🐱ロケット事業の黄昏2023年03月07日 06:17

ロケット事業の黄昏
ロケット事業の黄昏


ロケットの打ち上げ(の中継動画)を見るのは楽しい。

多くは、ファルコン9の打ち上げで、特に1段目の回収が成功するかどうかが見ものだ。

たまに、本当に稀に、失敗してくれたりするとワクワクする(そんなあ!:ちなみに、浮沈子は有人ロケットの打ち上げは、生中継では見ません:怖くて見ていられない!)。

一時期は、フェアリングの回収にもトリッキーな方法(船の上に広げたネットでキャッチ)を試みていたしな(最近は水に落としてから拾うようです:たんじゅん・・・)。

ロケットラボのエレクトロンの1段目も、ヘリコで空中キャッチとか言っていたが、結局、落としてから拾うことにしたようだ。

やれやれ・・・。

が、まあ、いろいろな打ち上げを見て楽しめた時代も、そろそろ様変わりしてきているようだ。

スペースXの登場で、業界の地図は塗り替わり、ウクライナ紛争の影響で、益々S社一色の様相を呈している。

スターシップの開発に成功した暁には、コモディティ化した打ち上げだけのつまらん世界にるかもしれない。

まあいい。

最近の記事で、ULAが売りに出ているという話がある。

(情報筋によると、著名な米国のロケットメーカー、ユナイテッド・ローンチ・アライアンスが売りに出されている)
https://arstechnica.com/science/2023/03/sources-say-prominent-us-rocket-maker-united-launch-alliance-is-up-for-sale/

「親会社の 1 つ、ロッキードかボーイングがもう一方を買収する可能性があります。」

「アマゾンが興味を持つ可能性が高い。」

「Blue Originも興味があるかもしれません。」

浮沈子はどれでもない気がする。

「他の潜在的な入札者には、国家安全保障に関心があり、バルカンに固体ロケットモーターを提供するノースロップグラマンが含まれます。」

これじゃないのかあ?。

打ち上げロケット会社の運営は、多くのノウハウを必要とする。

全くの素人が手を出すことは難しい。

S社のように、ゼロから立ち上げて育てるのも大変だが、米国の主要打ち上げ会社を買収して運営するのはイーロンマスクでもムリポだろう(つーか、買わねーよ・・・)。

「商用立ち上げの新しい時代に競争力を持つためには、新しい所有者はおそらくULAを解放してイノベーションを起こし、そのための資金を提供する必要があります.」

イノベーションがそう簡単に起こせるなら苦労はしない。

規模のメリットを発揮してコストダウンを図るか、異なる技術を融合して統合のメリット(シナジー効果)を出すしかない。

ノースロップグラマンは、固体燃料ロケットに強みがあったけど、最近の流行りではなくなってきたからな。

再使用し辛い(スペースシャトルでは、モーターケースを拾い上げて再使用していたけど、おそらく使い捨てにした方が安いだろう:未確認)。

ブースターとしての使い捨て需要と、再使用ロケットのノウハウを組み合わせれば(バルカンは、一応、エンジンユニットを再使用できる触れ込みです)、時流に乗ることが出来るかもしれない。

ロッキードマーチンが全部を所有する案もあるけど、規模のメリットは持てないからな。

アマゾンや、新興ロケット会社による買収は論外だ。

ブルーオリジンは、脈がないわけではないけど、ニューグレンの開発までの繋ぎにしかならない(それはそれで、メリットはありますが)。

いずれにしても、部屋の中のゾウであるスターシップが出来れば、隙間産業になってしまうのがオチだ。

価格は10分の1以下で、高頻度に打ち上げられるロケットを横目に見ながら、特殊需要の隙間産業的打ち上げに甘んじていくしかない。

将来性のない業種から、まだ企業価値が残っているうちに撤退するという経営判断は、たぶん正しい。

最も成功しているS社自身が、ロケット会社から衛星事業会社に転身してしまったからな。

次は、大陸間弾道旅客会社になるんだろう(そうなのかあ?)。

地球上のどこにでも、100トンの貨物や人員を1時間以内にお届け可能な夢のロジスティクス事業だ。

打ち上げロケットが商売になるとしたら、地球低軌道で薄利多売するか、深宇宙探査で阿漕に稼ぐか、低軌道コンステレーション並みのキラーアプリを見つけてこなければならない。

月面開発とか、宇宙太陽光発電所とかな。

火星移民でもいいけど・・・。

究極のアイテムは、宇宙コロニーかも知れない。

打ち上げる重量は半端ないからな。

ISSなどというチンケな宇宙船とは3桁以上違う(テキトーです)。

まあ、小惑星とか月とかから、マスドライバーで送り出すにしても、そのエネルギーをどうするかとか(原子力発電所とかそれこそ太陽光発電所とか作らないとな)、いずれにしても相当期間の運搬需要はある。

そういう話に乗っかって荒稼ぎできなければ、もう、衛星打ち上げとかでは商売にならないのだ。

B社が打ち上げ事業から撤退するというのは、S社に対して白旗を掲げたことになる(そうなのかあ?)。

そもそも、デルタ4からは、早々に撤退したからな(ヘビー除く)。

ULAが出来たいきさつだって、B社がL社に対して産業スパイを働いたことがきっかけだ。

米軍の打ち上げは、6対4でULAに取らせることになっているけど、次回は4対6に、いや、1対9になるかも知れない。

潰すことはないだろうが、業界の再編は進むだろう。

ロッキードマーチンが全部所有するということもないわけじゃない。

ひょっとして、ノースロップグラマンとの共同所有とか。

いずれにしても、同じ様な完全再使用ロケットで、S社に価格競争を仕掛けることが出来なければ、或いは、全く新しいロケットビジネスの需要を開拓できなければ、スターシップの登場と共に、この業界は終わる。

9割を占めるS社と、その他大勢・・・。

もちろん、我が国のH3などは歯牙にも掛からない。

(H3ロケット初号機の打ち上げ中止は、電気的離脱で生じたノイズが原因と特定)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230305-2607897/

「問題の原因として特定されたのは、地上と機体を電気的に切り離した瞬間に発生したノイズ。地上側に対策を施し、めどが立ったことから、3月10日までの再打ち上げを目指すことが決まった。」

「半導体スイッチをオン/オフするFPGAは、機体と地上を繋ぐアンビリカルを経由して、地上側から制御している。」

「電気的離脱時に発生したノイズにより、FPGAが誤動作」

対策は、時差を与えて離脱させることによるノイズの低減だという。

うーん、本当に大丈夫なのかあ?。

「電源・通信ラインは、リフトオフ時に物理的に遮断(アンビリカル離脱)されるのだが、よりマイルドに遮断するため、その前に地上側の機械式リレーによって、電気的に遮断することが行われていた。今回問題となったノイズは、この機械式リレーの作動によって発生」

「機械式リレーの作動によってノイズが発生するのは割と一般的」

「同様に電気的離脱を行っていたH-IIAロケットでは、これまで同じ問題は起きたことは無かったという。なぜH3ロケットだけで発生したのか、どういった違いによって発生するのか、その理由は現時点では分かっていない。」

今回の分散離脱対策で、十分なノイズ低減効果が得られているという判断なんだろうが、ノイズによって誤動作したFPGAとやらは交換されているわけではない。

「ノイズの過電圧でFPGAが異常な動作をしたのか、それともノイズがたまたまコマンドと解釈できるようなものだったのか、詳細はまだ不明。」

「ノイズが原因であることは分かった。そこで、対策として、電気的離脱の手順を変更。ノイズを抑制する効果が確認できた」

「時間差を付けて順次遮断するように変更した。これは地上側のプログラム変更のみで行い、機体側には一切変更は無い。」

まあいい。

S/N比がどうだとか、そういう話でケリがついているんだろうが、実際にやってみなければ分からないというのが正直なところではないのだろうか。

「最終検証では波形の観測まではできないので、誤動作しないかどうかのみ確認するとのこと。」

それは、これまでのH2Aの時と同じように、たまたま上手くいったというだけのことかも知れない。

「電気的な事象、とくにノイズのようなものは、再現性が無い場合も多く、原因の特定は非常に難しい。」

「今度こそ打ち上げを成功させるべく、最後の一瞬まで頑張りたい。これまでエンジニアが最高のパフォーマンスを出してきているので、打ち上げの成功に繋がると思っている」

頑張ったから成功するというもんじゃない(もちろん、やるべきことをやらなければ成功はおぼつかないけどな)。

打上げは、物理の神様への信心が大切だ。

当たるも八卦、当たらぬも八卦・・・。

おっと、斜陽な打ち上げビジネスの話だったか。

そのH3が太刀打ちできるのは、せいぜいバルカンロケットとか、その程度だろう。

ファルコン9の信頼性には程遠いし、再使用による経済性では勝負にならない。

結局、民間衛星の打ち上げは、ウクライナであぶれた衛星を回してもらうのがせいぜいで、年間100回の打ち上げを目指しているS社とは比較にならない(H3は年6回が「目標」だそうです)。

それでも、ULAみたいに潰れることはない。

コストプラスの重工の契約は健在だし。

H3だって、削り出しで作っているインジェクターを3Dプリンターで作るらしいからな。

上手くいけば、コスト削減に繋がるかも知れない。

今回人身御供にされているアロス3は、本来なら固体燃料ブースターなしで上がる衛星だ。

そういう需要を掘り起こして、なるべくSRBを使わずに済ませることが出来ればいいのかも知れない(イプシロンを商用化するという話はないからな:それよりもなによりも、次の打ち上げを成功させないとな)。

我が国では、S社の10分の1の開発速度で、10分の1の打ち上げ頻度を、米国の宇宙予算の10分の1でこなしている。

同じ形をしたロケットが上がっていることさえ奇跡だ。

しかも、打ち上げビジネスは斜陽と来ている。

業界は、産業として育てて欲しいと言っているのかも知れないが、経産省だって、先のない事業に予算を回す気はない。

国家安全保障の観点から、防衛省はお客さんになってくれるかもしれないけど、海外では軍事衛星を平気で他国に上げてもらっているしな。

重工も、そろそろロケット事業の引き取り先でも探しておいた方がいいかもな・・・。

🐱H3:開発打ち切り!?2023年03月07日 21:00

H3:開発打ち切り!?
H3:開発打ち切り!?


(H3ロケット打ち上げ失敗 2段目が点火せず JAXAは原因究明へ)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230307/k10014000041000.html

始めに断っておくけど、このブログ記事を書く前に2本ほど、没記事を書いている。

1段目と補助ロケットの燃焼テストを無事にクリアーし、次回の2段目点火テストに期待(そんなあ!)。

失敗は失敗だが、細部に焦点を当てて、フェアリングの投棄のタイミングがファルコン9(スターリンク2-7)より遅く、空気抵抗が少ないところで外している点を指摘し、衛星に優しいいいロケットだと褒めた記事も(前の記事と今回の記事の画像はその名残り)。

不幸中の幸いは、発射時に爆発炎上木っ端微塵になって、せっかく新しくした発射台ごと吹っ飛ばさなかったことと、指令破壊で落下したエリアが想定内で、二次被害がなかった点だな。

浮沈子は、新開発のロケットだから、3回くらいは失敗してもやむを得ないと考えている。

次回は、2段目の着火には成功するも、衛星のデプロイに失敗するかも(ファルコン9でも、ズーマで似たような話が:責任分界点の問題で、S社としては打ち上げ成功と捉えているようですが)。

3回目の失敗として想定されているのは、衛星そのものが壊れちまって、単なるデブリの打ち上げに終わるというもの(「ひとみ」の残骸とか、まだ周ってるのかな?)。

まあ、どうでもいいんですが。

が、そうやって甘やかしていると、いつまで経っても上がらないからな。

今回は、前回の記事の流れで、グサッと厳しくいくことにした。

「搭載された衛星に関係されたみなさま、地元をはじめ、関係するみなさま、そして多くの国民のみなさまのご期待に応えられず深くおわび申し上げます」

「・・・フィリピン沖の深い海に落下しているということもあり機体の回収は基本的に考えていない」

「まずは1号機の原因究明を早急に行うとともに次の打ち上げへの道筋をつけるのが喫緊の課題と認識している。その過程の中で2号機以降の計画をどう立て直すかあわせて検討したい」

さて、原因の究明は、後始末として行うとしても、2号機以降の開発を行うのかどうかは白紙に戻して考えた方がいいのではないのか。

つまりだな、既に十分ケチをつけたわけだから、この際、自前の大型(中型?)ロケットの開発を断念するという選択肢を考えた方がいいのではないかということなわけだ。

2060億円という金(開発費)をどぶに捨てることになるけど、米国のSLSみたいに、全国津々浦々に仕事を落としているわけでもないし、やめちまっても政権与党の基盤を揺るがすことにはならないだろう。

幸い、前任のH2Aは、暫くは飛ばせるようだし、どーせ、先細りの業界だし。

海外では、軍事衛星だって日常的に外国のロケットに打ち上げてもらっているし、我が国自身が自衛隊の通信衛星をスカパーとの相乗り(区分所有)で、アリアンで上げてもらおうとしてたからな(輸送中のトラブルで、結局、H2Aで上げましたが:うーん、今思えば工作員が仕組んだのかも)。

重工は、嫌とは言わないだろう。

防衛費の増加で、儲からない民生事業に注力するよりも、資源の最適化が図れるからな。

極超音速巡航ミサイルでも開発した方が、お国のためになると思ってるんじゃないのかあ?(浮沈子も、そう思います:<さらに追加>参照)。

これから失敗の原因を探り、対策を施すということになれば、さらに金も時間もかかる。

そのコストは、直接払われなくても、次期基幹ロケットの開発費に上乗せされたりするわけだしな(そうなのかあ?)。

我が国のロケット技術を欲しがるところに、技術供与して上げれば、きっと喜ばれるに違いない(って、どこよ!?)。

衛星ビジネス(作成運用)とか、衛星通信サービスとか、そういう付加価値の高いところに集中して、斜陽産業の打ち上げロケットから撤退するというのは悪くないと思うんだがな。

打ち上げ能力自体、世界的にだぶついてくることは見えている。

独自に打ち上げ能力を持ちたいなんてのは、見栄と自慢以外の動機はないんじゃないのかあ?。

衛星なんて、国境関係なく周回してるんだから、世界中どこから打ち上げても同じだ。

米国にお願いして、ULAでも譲ってもらった方がいい気がする(ちょっと、持てあます気もしますけど)。

「H3の第2段エンジンはH2Aの第2段エンジンをベースに一部改良していて酸素と水素を燃焼させるという基本的なところは同様だが電気的なネットワークは同様ではない」

H3の電装系は、個数ベースで9割が民生部品(主に自動車)というから、その辺りの問題があるのかも知れない。

1段目の着火をぶった切ったFPGA(Field Programmable Gate Array)が、そうだったのかは知らない。

地上側の従来の電源遮断シーケンスを通さなかったんだから、ぶっちゃけ、不良品(!)だったわけで、分割して遮断するという対策自体が邪道な気もする。

まあ、今回、2段目の着火が出来なかった原因は不明だが、専門家は、1段目と同様に着火信号が届かなかったからとみているようだ。

「第2段エンジンは、H2AやH2Bといったこれまでのロケットを踏襲したもので、使用実績もたくさんある。信頼性も高く、いかなる状況下でも着火するシステムなので、これが着火していないということは、エンジンの問題ではなく、着火信号が行っていない、ということだろう。過去に第2段エンジンが燃焼しなかった例は聞いたことがない」

「第1段エンジンに燃焼などの指示はできているので、第2段エンジンを制御するコンピューターの問題だと思われるが、現時点では原因について何ともいえない」

我が国のロケットで衛星が上がらなくても、庶民の生活に影響はない。

世界の衛星の99.9パーセント以上は、海外のロケットで上がっている。

ちなみに、2022年には、H2Aは1機も上がっていない(2019年もゼロ:最近4年余り(50か月)で6機だけ)。

浮沈子は、真面目に書いている。

そりゃあ、もちろん、今回1号機がペイロードを軌道投入できなかったことは残念だし、1日も早く2号機が飛んで欲しいという願いがないわけではないが、冷静に考えれば見栄と自慢以外の動機はない(それはそれで重要ですが)。

こんなもの、要らない!。

プラグマチックな理由などないのだ。

それは、SLSと同じ陥穽にハマってしまっているだけ。

おらが村の農道空港(農道離着陸場)。

幸い、近所の村(中国とかあ?)からは、頻繁に打ち上げがあるしな。

今はドンパチやってるけど、収まればロシアからの打ち上げも復活する。

韓国も、独自ロケットの開発に成功した。

もう、ロケット持ってるだけじゃ自慢にはならない。

見栄も張れない。

頭を冷やして、別の道を探る好機かもしれない。

部屋(打ち上げロケット業界)の中のゾウ(スターシップ)が歩き出せば、部屋ごとぶっ壊れる運命にある(英語の例えとは異なります:念のため)。

H2Aを延命し、スターシップにでも出資しておくことを勧める。

我が国は、2040年代に、H3の10分の1のコストを目指している(1回の打ち上げで5億円くらいか)。

もちろん、完全再使用ロケットでなければ達成は不可能だ。

たとえ、20年先に実現できたとしても、おそらくペイロード重量当たりのコストはスターシップの100倍だろう。

その頃には、原子力エンジンを搭載した軌道専用ロケットが、宇宙空間を飛び回っているに違いないのだ。

永遠に商売にならない事業に投資し続けるのは愚かだ。

反重力エンジン(アンオブタニウムとか)でも開発しない限り、我が国のロケットが政府需要以外の顧客を得て生業を続けることはない(お情けで、年に1機とか2機じゃな)。

悪いことは言わない。

明日からは、打ち上げロケットの開発をやめて、スペースジェット(開発を断念した国産旅客機)を復活させよう!。

その方が、お国のためになる気がするがな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

いくつか記事を読んだので、関心を引いたものを引用しておく。

(H3発射失敗「原因究明は時間かかる」 米本浩一・東京理科大教授)
https://www.sankei.com/article/20230307-VQ4V2QWXCFOBTIH6ZH7LNBZNX4/

「限られたテレメトリーデータから原因を推定するのはかなり難しく、時間がかかる。原因が究明されても、対策について実証試験をしなければならず、年単位の遅れになってしまうだろう。」

「H3後の基幹ロケットでは、米スペースXのファルコン9のような再使用型が検討されている。」

我が国のロケット開発では、同時並行で行う余力はないだろうからな。

次期基幹ロケットでは、まだ、完全再使用というわけにはいかないだろうから、いずれにしても2段目の不具合については究明しておかなければならない。

せっかく上手くいった1段目を見捨てるというのも、正直言って勿体ない。

で、ずるずると引きずっていくうちに、世界の再使用の流れから取り残されてしまうわけだ。

開発資源が限られているなら、H3の開発をうち切って、再使用ロケットの開発に舵を切るべきだろう。

こういう話を始めると、いや、1段目が上手くいったんだから、それを生かすべきだとか、どーせ、次期開発でも2段目は使い捨てなんだから、現状の開発を生かすべきだとかいう話が出てくるだろうが、そういう議論(正論?)に耳を傾けていたら競争に打ち勝つことなどできはしない。

どーせ商売にならないなら、確実に上がっているH2Aを使い続けて、その間にイノベーションを成し遂げるのが最短となるに違いない。

それとも、H2Aを使い続けることが出来ない決定的な理由でもあるんだろうか?。

確かに、固体燃料ロケットの推進剤(製造中止)とか、特許の問題はあるだろうが、適合する改良を施せば解決可能だろう。

LE-7Aエンジンの溶接が出来る職人がいなくなるとか、そういうことなら仕方ないけどな(溶接できなければ、エンジンは作れなくなる)。

職人を一から養成するには10年は掛かるからな。

我が国は、その間、打ち上げロケットなしで凌がなければならない。

いずれにしても、年単位の遅れが確実となった現在、将来に向けて正しい選択をしないと、それこそ世界に取り残される。

(日本の「H3」ロケット、打ち上げ失敗 指令破壊)
https://www.bbc.com/japanese/64871869

「今回、地球観測衛星「ALOS-3(だいち3号)」を搭載し、軌道に投入する予定だった。この衛星は、北朝鮮のミサイル発射を検知することが可能だという。」

高度669kmの極軌道だからな。

たまたま上空を通過している時にしか役には立たない。

スターリンクみたいに、数千機飛ばして常時監視するわけじゃないからな。

誰が入れ知恵したかは知らないけど、余計なことは言わない方が無難だ。

「「H3」は当初、3日に打ち上げを予定していたが、補助ブースターに不具合があったため中止した。」

このネタは、他ではどこも書いていない(浮沈子が見落としているだけかも)。

そもそも、公式予定で3日の打ち上げ予定というのはなかった(点火信号が送られなかった原因の特定がその頃だしな)。

6日の予定が7日に伸びたのは天候のせいだし。

まあいい。

「日本はこのロケットを、スペースXの「ファルコン9」に代わる、安価なロケットとして発表していた。」

だいぶ過剰宣伝をしているようだな。

(日本の旗艦H3ロケットが最初の試験飛行に失敗)
https://spaceflightnow.com/2023/03/07/japans-flagship-h3-rocket-fails-on-first-test-flight/

「JAXA によると、最も強力な構成の H3 ロケットは、最大 6.5 トンのペイロードを、多くの大型電気通信衛星が好む目的地である静止転送軌道に打ち上げることができます。これは、SpaceX の Falcon 9 ロケットの揚力に匹敵します。」

「当局は、スペースXのファルコン9ロケット、ULAのバルカンロケット、ヨーロッパのアリアン6ロケットと競合するH3ロケットの商業打ち上げ事業を誘致することを望んでいる.」

50億円で打ち上げられるのは、4トン程度で、それも高度500kmの極軌道までだ。

記事にある6.5トンの静止衛星を遷移軌道に上げるには、固体燃料ロケットを4本付けなければならないから、コストは90億円になり、ファルコン9とは勝負にならない(円安だから、トントンかな:6500万ドルで1ドル140円とすると91億円)。

ファルコン9には、更に使い捨てにしてスーパーシンクロナストランスファ軌道に投入したり、ヘビーを使って2機纏めて上げたりする裏技もあるしな。

高頻度高信頼性と言う観点からは、太刀打ちできないのだ。

2段目のロケットエンジンであるLE-5B-3の改良点について、詳しい解説も載っている。

「燃料効率の改善を達成するために、エンジニアはエンジンのミキサーの設計を変更しました。このミキサーは、燃料ターボ ポンプからの液体水素と、エンジン クーラント チャネルからのガス状水素を組み合わせます。」

「設計者は、エンジンの燃料ターボポンプのタービンを変更して、複数の上段燃焼を伴う長時間の任務中の疲労のリスクを軽減しました。」

点火しなかったエンジンの性能を、云々しても始まらない。

こうしてみると、H3は惜しいチャンスを逃したかもしれない。

導入されれば、円安、ウクライナ景気を取り込んで、ひょっとしたら売れたかもしれないからな(一時的でしょうけど)。

(「絶好のチャンス逃した」 的川泰宣JAXA名誉教授)
https://www.sankei.com/article/20230307-JBETO4ZJ7BMBDC3A6YEVHPTBTE/

「これからの日本の宇宙開発の計画を全面的に展開する希望が持てなくなったため、当面はこれまでのH2Aロケットや(固体燃料の)イプシロンロケットを従来通り使いながら、持ちこたえるしかない。世界の商業市場の情勢を見ても今は大変よい時期で、絶好のチャンスを逃したのは痛手である」

長期的には低価格競争によるコモディティ化が必然で、斜陽化必至な打ち上げ市場も、アマゾンのプロジェクトカイパーバブルとウクライナ景気で、一時的には盛り上がっている。

スターリンクのそれなりの成功で、低軌道コンステレーションという新たな市場も見えている(まあ、たぶん、それも一時的でしょうけど)。

的川氏が指摘する絶好のチャンスは、せいぜい2020年代しか続かない。

逃がした魚はデカいけど、二度とは戻らないだろう。

黄昏の打ち上げ市場。

日没前の夕日は美しく見えるからな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(探知や迎撃が難しい極超音速ミサイルとは マッハ5超で不規則な軌道)
https://www.asahi.com/articles/ASQ2H64RPQ23ULEI002.html

あまりミリオタな記事が出ない朝日だが、妙に詳しい(1年以上前の記事です)。

「極超音速ミサイルは、音速の5倍(マッハ5=時速約6千キロ)を超える速さ(hypersonic)で飛ぶミサイルだ。エンジンがある極超音速巡航ミサイル(HCM)と、打ち上げられた後に滑空するだけの極超音速滑空体(HGV)がある。」

「先端がとがっていて下が平らな「ウェーブライダー」という形のものがあり、空気力学に詳しい日本の研究者は「衝撃波に『乗る』ことで、空気抵抗をあまり受けずに十分な揚力を得られる」と話す。水面を石が跳ねながら飛ぶ水切りと同じような原理だという。」

ICBM発射だと監視衛星から探知されてしまうが、航空機から発射すれば探知はほぼ不可能だ。

「小型で細いため、空中を高速で飛ぶときに出る熱も少なく、衛星からも見つけにくい」

「弾道ミサイルの発射を探知するために配備されている監視衛星では、極超音速ミサイルを追尾し続ける能力が十分ではない」

地上レーダーで見つけても、迎撃は出来ない。

「射程3千キロの弾道ミサイルなら、地上のレーダーで着弾の12分前に探知できるが、極超音速ミサイルは6分前にならないと見つけられない」

「速いうえに変化球。(迎撃は)余計に難しい」

「米国は、数百機の衛星を上空2千キロ以下という比較的低い高度に配備し、極超音速ミサイルを追尾しようとしている。」

実戦配備されるのは、何年も(何十年も?)先だろうしな。

これは、新たなスプートニクショックなわけだ。

先日、ドイツのラインメタルが、ウクライナに装甲車両工場を作るという話を読んだが、いくら防空システムがあるからといっても、ロシアのミサイルが飛んでくるところに生産拠点を置くというのは愚の骨頂だろう(2か月以内に判断するそうです)。

まあ、どうでもいいんですが。

「極超音速ミサイルは各国が注目するゲームチェンジャーだが、米国は遅れている。陸海空軍がそれぞれ独自に開発していて、費用を集中できなかったため」

「アフガニスタン紛争やテロとの戦いで消耗し、十分な費用をかけられなかった」

やれやれ・・・。

「防衛装備庁によると、日本も開発に乗り出している。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の技術を生かそうと協定を結んだ」

お国のために尽くせなければ存在する価値がないとまで自任している国策企業としては、何としても極超音速巡航ミサイル(滑空体でもいいですけど)を開発してもらいたいな。

弾道ミサイルにしか対応できない旧式の迎撃システムに何兆円も払うくらいなら、こっちの方が有効な気がする。

攻撃は、最大の防御だ。

モスクワに届くくらいの射程が欲しいな・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(10年近くの開発の後、日本の新しいロケットはデビューに失敗しました)
https://arstechnica.com/science/2023/03/the-launch-of-japans-large-new-rocket-fails-after-a-second-stage-problem/

「今回の失敗は、H3 ロケットの最新の課題にすぎません。ブースターの根本的な問題は、たとえ安全に飛行できたとしても、H3 ロケットには、現在 170 回以上の連続打ち上げ成功を収めている Falcon 9 に勝る明確な利点がないことです。」

手厳しいな・・・。

しかし、これでも礼儀を踏まえた抑制的な表現だな。

「Falcon 9や米国と中国で開発中の多くの新しいブースターとは異なり、新しいH3ロケットも完全に消耗品です。」

再使用ロケットの信奉者であるエリックバーガーは、他の記事でもその見解を主張している。

(軍事打ち上げ契約の次のラウンドのゴールドラッシュが始まった)
https://arstechnica.com/science/2023/03/the-gold-rush-for-the-next-round-of-military-launch-contracts-has-started/

「米軍が新しい機能をもたらす革新的な商用宇宙システムにさらに大きく依存することを計画していることを示唆」

「これは、SpaceX、Relativity Space、Blue Origin など、完全に再利用可能な打ち上げシステムや宇宙での機能の開発を計画している企業にとっては恩恵となる」

まあ、多少、我田引水なところもあるな。

民間のイノベーションを取り込むということが、再利用性に特化した話なわけじゃない。

しかし、結果的に、米軍の需要が再使用ロケットによって効果的に(特に頻度と価格の点で)満たされるだろうことは想像に難くない。

使い捨てのレガシーシステムを運用する会社が、それらの新興企業に勝る結果を出し続けられるかどうかだ。

「レーン2はどうですか?:
・・・
2025 年からの 5 年間で約 40 のミッションが授与されます。
・・・
このレーンに 2 つの中隊のみを選択し、ミッションを 60:40 の比率で分割します。」

いきなり90:10にはならないようだな。

しかし、長年この業界を見続けてきた彼には、我々とは異なる世界が見えているようだ。

「言い換えれば、革新するか死ぬかです。」(In other words: innovate or die.)

この認識を踏まえて、前の引用記事の標題には、H3に対する本音の評価が端的に記されている。

「H3 IS NOT TO BE —」(H3は死んだ:ハムレット的な浮沈子の訳)

やれやれ・・・。

生き馬の目を抜く米国の打ち上げロケット業界。

100億ドルの米軍の需要に100億ドルのアマゾンのバブル、毎週打ち上げられるスターリンク衛星、とどめはNASAのアルテミスと惑星探査。

もちろん、民間の衛星も多数上がるしな。

それと、ほぼ同数の中国の打ち上げが覇を競っている。

それでも、この業界は斜陽だそうだ。

もう、打ち上げロケットでぼろ儲けは出来ない。

インフラとして、価格競争に叩きこまれ、革新できなければ消えていくだけだ。

H3に拘って乗り遅れれば、ますます困難な状況に陥る。

年間6機の打ち上げに、2千億円(15億ドル)の開発費を投じるチンケな商売。

「世界は変わりつつある」(The world is changing)

エリックバーガーはそういうけど、それはいつの時代も言われ続けてきた決まり文句に過ぎない。

変わり続ける世界とどう関わるのか。

それが問題(That is the question)だな・・・。

<また追加>ーーーーーーーーーー

(H3ロケット打ち上げ失敗の衝撃 危機を乗り越えるには 今何をすべきか解説します)
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/480538.html

「今のH2Aはすでに部品も生産されておらず、H2Aで代わりに打ち上げることは不可能」

んなもんは、作ればいいだけの話じゃないのかあ?。

2060億円くらい掛ければ、部品位は作れるだろう?。

H3を開発したって、どーせ商売にはならないんだから、H2Aの延命策を真剣に考えるべきだ。

幸い、固体燃料ブースターの改良は上手くいったわけだからな。

H2Aは、こいつを付けなければ、離床することも叶わない。

毎回2本は使うわけで、それだけでもコスト削減にはなる。

ハードポイント(ロケット側の取り付け位置)の変更なども必要だろうが、早急に対応すべきだ。

少なくとも、H2Aは上がっている(2段目の着火もな)。

次のロケットが出来上がるのを確認もせずに、部品供給をうち切るということ自体が大失策だ。

前のめりになって、なんとしてもH3の開発を完了させなければならないということ自体が、誤った方向だということは明らかだ。

しかし、この記事は、ホントに読みづらいな・・・。