🐱再使用の陥穽:固有事象の罠2023年03月29日 09:16

再使用の陥穽:固有事象の罠


(Blue Origin は 9 月のニュー シェパードの中止をエンジン ノズルの故障のせいにする)
https://spaceflightnow.com/2023/03/27/blue-origin-blames-september-new-shepard-abort-on-engine-nozzle-failure/

「調査官は、「事故の直接の原因は、動力飛行中の BE-3PM (パワー モジュール) エンジン ノズルの構造的疲労による故障である」と判断しました。」

「回収されたノズル破片の高温と目に見える「ホット ストリーク」は、「エンジンの境界層冷却システムに加えられた設計変更」が原因でした。」

別記事によれば、この機体は運用されている中で最も古いものだったという。

設計変更を受けた時期や内容は不明だ。

再使用ロケット(弾道飛行ですが)の老舗であるブルーオリジン(再使用での運用は、ファルコン9よりも早い)だが、その失敗がもたらしたものは、単なるNS-23ミッションの遅れではないだろう。

やっぱ、再使用ってヤバいかも・・・。

使い捨ての方が無難なんじゃね?。

後腐れないし・・・。

不具合があったとしても、バレずに済むからな(そういうことかあ?)。

まだ特定されたわけではないけど、H3で不具合を起こした2段目の電源系統(未着火の原因とされている)は、H2Aでも同じだといわれている。

もちろん使い捨てだからな。

今までは、単に運が良かっただけかもしれない(まだ、未確認ですが)。

打ち上げ実績で信頼性を判断するという、まあ、結果オーライな基準は、ある意味やむを得ないし、合理的な面もあるけど(使い捨ての場合、打ち上げに支障がなければ潜在的な不具合は関係ないからな)。

2系統に冗長化された電源で、両方が異常値を示したことで、新たに搭載された判定システムが「NO GO」を選択した。

健全性が否定されて、着火中止となったこと自体に問題はないけど、それがもたらした結果はミッションの失敗だ。

うーん、どっちがいい?。

再使用ロケットは、回収後に点検を受けて、物理的な不具合を検証できる。

テレメトリーに乗らないログも解析されるし、システム全体の健全性を担保できる可能性は高まる。

が、それですべてが明らかになるわけではない。

打ち上げ自体は、毎回が新たなチャレンジということになる。

金属疲労などの経年劣化などは、目視などでは分からないからな。

そういうのは、予防的交換で対処するしかない。

予め、詳細な試験を地上で行っておいて、耐用年数(再使用回数)などの統計を取り、妥当な閾値を設定して、それを超えないように事前に交換する。

今回はノズルの冷却システム(境界層冷却システム)への変更が遠因ということだから、ノズルの内面に流す燃料水素のフィルム冷却が上手くいかなくなったんだろう(未確認)。

「Blue Origin のエンジニア、連邦航空局、NASA、およびオンボード ビデオ、回収された残骸、テレメトリー、実験室でのテストを研究した独立したアナリストが、長時間の失敗調査に参加しました。」

長期間にわたる徹底した調査を行った背景には、再使用ロケットの信頼性に係る案件ということがあったのかも知れない。

ファルコン9は、既に200回近くの再使用を試みているし、有人システムにも採用している。

ニューシェパード(のBE-3エンジン)に固有の事象なのか、再使用ロケット全般に共通の懸念を生じるのかの判定ということだな。

結果は、固有事象ということになった。

が、本当にそうなんだろうか?。

物理の神様は、またもや難題を仕込んだのではないか。

回収によって、隠れた瑕疵を発見しやすくなるはずの再使用ロケットが失敗した。

それは、再使用といえども、発見できない不具合を内包する可能性があるという警鐘だった。

それを、固有の問題として片付けてしまうことの危うさを感じる。

じゃあ、何をどこまでやればいいのかという話にもなる。

スペースシャトルは、SSMEを全バラしてチェックしたが、固体燃料ロケットのシール漏れや耐熱タイルの不具合(外部燃料タンクの断熱材の落下?)で事故った。

神(この場合は死神でしょうけど)は「外部」に宿る・・・。

人の作りしものに完全なものなどない。

形あるものは全て壊れる。

まあ、最近は、みんなプログラムで制御されているようだからな。

形がなくても壊れたりするけどな。

まあ、どうでもいいんですが。

使い捨てでも、再使用でも、そこんとこは同じだ。

人間が不完全な存在であり、必ず過ちを犯すということを忘れて、謙虚さを失うことが最も怖い。

細心の注意を払い、完璧を期したとしても、避けがたい失敗は残る。

ブルーオリジンは、そのためのアボートシステムだというだろうし、事実そうなんだが、毎回それが起動するようでは困るからな。

ソユーズロケットのアボートシステムは、1000回を超える運用で、初めて起動した(2回目だったかな)。

ニューシェパードが何回目だったかは数えていないけど、まだ20回くらいじゃないのかあ?(未確認)。

初物にトラブルはつきものだが、経験を重ねれば重ねたで、マンネリズムの陥穽にハマる危険も出てくる(ソユーズとかあ?)。

ニューシェパードには、まだ、隠れた瑕疵があるに違いない。

それは、たった200回しか飛んでいないファルコンも同じだ。

再使用ロケットは登場して間もない新しい技術だ。

毎回の打ち上げは、使い捨てロケットと変わらない。

何処を切っても金太郎飴なのは、ぼんやりと中継を眺めている世界中のオーディエンスのレベルなだけの話だ。

当事者には、緊張感を持って臨んでもらいたいもんだな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーーー

(過熱ノズル —
Blue Origin は、打ち上げ失敗の詳細な分析を提供します)
https://arstechnica.com/science/2023/03/blue-origin-provides-a-detailed-analysis-of-its-launch-failure/

「9 月に NS-23 ミッションを開始したブースター 3 は、2017 年 12 月にデビューした同社の最も古い運用ロケットでした。」

記事には、ブルーオリジンの調査概要へのリンクが張られている。

(ブルーオリジン NS-23の所見)
https://www.blueorigin.com/news/ns-23-findings/

「NS-23 の事故の直接の原因は、エンジン ノズルの熱構造の故障でした。」

目新しいことは何もない。

加いい・因となった設計変更の詳細は分からない。

いつの時点で、何のために変更されたのかも不明のままだ。

「公共の安全を守るために設計されたすべてのシステムは、計画どおりに機能しました。けがはありませんでした。地上のシステムに損傷はなく、すべてのがれきは指定された危険区域で回収されました。」

大したことはない、全ては順調で、直ぐに再開されると・・・。

同じ様な熱的損傷で燃焼室に穴が開いちまったH3のLE-9エンジンは、その後の回収に2年もかかっている(時間がかかったのは、ターボポンプの方ですが)。

もちろん、そっちの方は大丈夫で、失敗したのは2段目の点火だけどな。

神は外部に宿る・・・。

まあいい。

事故った3号機はすでに失われているから、それ以外の機体を使って再開される。

フィルム冷却の設計変更が、どの機体に適用され3号機だけだったのか、有人で使われている4号機などにも施されているのかさえ分からない。

やれやれ・・・。

いつもは鋭い指摘で浮沈子をうならせてくれる、エリックバーガーらしからぬ詰めの甘さだな。

まあ、どうでもいいんですが。

エンジン冷却についてまとめた記事も見つけた。

(3200℃まで加熱されるロケットエンジンはどうやって高温に耐えているのか?)
https://gigazine.net/news/20220123-rocket-engine-cooling/

「ロケットエンジンの燃焼室(チャンバー)では、ガスが約3200℃まで加熱される」

「多くの材料の融点を超えるこの高温に耐えるにあたっては、いろいろな工夫が取り入れられています。」

◆1:ヒートシンク:チャンバーの壁を厚くする。
◆2:燃料と酸化剤の比率:燃料リッチにする。
◆3:アブレーティブ冷却:気化熱を利用する方法
◆4:再生冷却:推進剤をチャンバーとノズルの壁面内部を通してからインジェクター経由でチャンバーに送り込む。
◆5:フィルム冷却:チャンバーとノズルの内部と壁との間に流体を注入して、高温ガスと壁との間に境界を作る。
◆6:放射冷却:金属部分から熱を宇宙に放射

固有事象といっても、簡単な話ではなさそうだな・・・。