🐱スターライナー:安全は全てに優先する ― 2023年06月03日 00:21
スターライナー:安全は全てに優先する
(ボーイング、スターライナーの打ち上げわずか数週間前に2つの重大な問題を発見)
https://arstechnica.com/space/2023/06/boeing-stands-down-from-starliner-launch-to-address-recently-found-problems/
「すでに赤字となっているスターライナー計画にボーイングが今後もコミットし続けるかどうかについて疑問が生じている。」
「ミッションを飛行させるコストは、ボーイング社がNASAに返済しなければならない資金よりも高額になる可能性」
「民間乗務員プログラムからの撤退について何らかの協議があったのか」
「それについては真剣な議論はしていない」
B社社内での検討については否定してないからな。
商売としては、早い時点での損切りこそ最善の策だ。
この話は、さすがに世界を驚かせたようで、我が国でも早速報じられている。
(ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」有人飛行試験延期 新たな問題が発覚)
https://sorae.info/space/20230601-cft-starliner.html
「CFTの新たな実施予定時期は明らかにされていません。」
年内の打ち上げは無理だろう。
今頃になって、こんな初歩的な話が出てくるということは、他にも何か隠れた瑕疵があって、次のCFTで明らかになったりして、実際のサービスインは無期限延期になる恐れもある。
6回の契約任務は、B社の意向に関わらず、実質的に履行不可能なのではないか。
(技術的な問題により、ボーイングのスターライナー乗組員カプセルにさらなる遅れが生じる)
https://spaceflightnow.com/2023/06/01/technical-snags-force-another-delay-for-boeings-starliner-crew-capsule/
「この技術的問題は何年も発見されずにいたが、ソフトウェアやバルブ、宇宙船のその他の部品に一連の問題が発生したため、すでに予定より何年も遅れていたボーイング社のスターライナー計画にさらなる挫折をもたらした。」
有人飛行試験の前に発見されたのは不幸中の幸いだったに違いない。
「重要なのは安全性が常に当社の最優先事項であるということだ」
「それは遅れを意味するので残念だと言う人もいるかもしれないが、チームは正しい選択をしていることを誇りに思っている」
あと7年くらい引っ張れば、ISSの寿命が尽きて、B社が上げようと思っても行き先がなくなるからな。
安全は、任務遂行の絶対条件だ。
B社は、かつて787のバッテリーの件で、旅客機を作る能力に問題があることを証明し、737Maxでは、多くの人命を犠牲にしてそのことを確認した。
今また、宇宙船を作る能力にも欠陥があることを示したわけで、安全な宇宙機を作ることはもはやできないだろう。
ブルーオリジンの下請けになって、HLSのドッキングシステム作りに専念しているのが丁度いいかもしれない。
最終製品としての宇宙船やそのシステムをインテグレートすることは、もはや不可能と言える(断定的!)。
NASAは未練たらたらだが、ここは潔く切って捨てるのがよろしい。
それが、NASAにとってもB社にとっても最良の選択に相違ない。
2社による冗長性を確保することはできなくなったわけだが、まあ、曲がりなりにもソユーズは飛んでいて、ISS絡みの国際協力は続いているようだからな。
冷却水が漏れたとしても、パラシュートがブチ切れたり、絶縁テープが火を噴くよりはマシだ(浮沈子は、構造的なエア漏れがあったと見ているけどな)。
まあいい。
少なくとも、年内の打ち上げは見送りになる公算が高い。
それだけではない。
ISSタクシーからのB社の撤退が視野に入ってきたということだ。
バルカンロケットの遅れのために、ULAの打ち上げはひっ迫している。
焼け石に水かもしれないが、B社のISSミッションがキャンセルされれば、多少は助かるに違いない(使いまわしがきかない2段目は別でしょうが)。
赤字まみれのスターライナーミッションには、ボーイングは積極的な投資をしないだろう。
今更なトラブルの発覚は、B社がNASAに送ったシグナルに相違ない。
早く切ってくれ!。
そうすれば、今後数十億ドルに及ぶ可能性がある追加支出を回避して、そのリソース(技術者も含めて)を、金になる軍事支出に回すことも可能だ。
おそらく、NASAも既に本気じゃないだろう。
OFT2から帰還した直後、残るCFTとB社に義務的に割り当てられた6回の飛行ミッション以外、全てのISSフライトをS社に発注した時点で、実態がどうなっているのかは把握されていたに違いないのだ。
スペースシャトルからISSの建造、SLSの開発に至る宇宙開発における華々しいB社の歴史は終わった。
アルスの以前の記事によれば、ULAからも撤退するようだしな。
浮沈子のこの妄想は、おそらく正鵠を得ているに違いない。
OFT、OFT2、CFTと回を重ねるごとに問題が噴き出す状況は、NASAとしても容認できないだろうしな。
こんなはずじゃなかった・・・。
その真の原因はどこにあるのか。
それは、米国の衰退そのものの象徴だ。
コストプラスの契約で回していた時には、それでも十分な見返りを得ることができたわけだからな。
金廻りが悪くなって、政府予算が確保できない状況の中で、以前と同じようなことをやろうとするなら、企業側にリスクを求める固定価格契約で節約するしかなくなってきたわけだ。
金をケチれば、品質は落ちる。
例外はいくらもあるだろうが、基本はそうなる。
我が国のH3も同じ流れに乗っているからな。
まあ、どうでもいいんですが。
技術も管理能力もなければ撤退するのが正解だ。
物理の神様は公平だからな。
B社のロゴが付いているからと言って、大目に見てくれたりはしない。
人命にかかわる事故が起こる前に発覚したことは幸いだ。
安全は全てに優先する。
その中には、ISSタクシーのミッションそのものも含まれているに相違ないのだ・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
エリックバーガーが続きの記事を書いている。
(スターライナーを飛ばし続けるために、ボーイングはいくつかの難しい選択をしなければならない)
https://arstechnica.com/space/2023/06/to-keep-starliner-flying-boeing-must-make-some-hard-choices/
「3 つのオプション」
・最初の選択肢:
現在の路線を堅持し、スターライナーに社内資金を投じてNASA宇宙飛行士のスニ・ウィリアムズ氏とブッチ・ウィルモア氏による試験飛行を完了し、NASAミッションの認定を取得すること
・2番目の選択肢:
ボーイングがスターライナーから撤退すること
・ボーイングにとって最後の選択肢:
スターライナーへの投資を倍増することだ。
結論は最初から出ているがな。
「残酷な現実は次のとおりです。スターライナーの長期的な将来を確保するために、危険な道を進んで自己投資することはボーイングの本性ではありません。」
しかし、では、とっとと退場することになるかといえば、そうとばかりは言えない。
「私たちはスターライナーの将来と、どのように前進していくかについて話し合ってきました」
「スターライナーの飛行を続けるには、どの打ち上げロケットを使用するかについていくつかの決定を下さなければなりません。一定の飛行速度に達したら、より多くの乗組員モジュールを構築する必要があります。これらが私たちが議論していることです」
再び、同じこと(民間有人宇宙飛行のコンペ)が起これば、B社は参加しないだろうか?。
そうとは限らない。
十分な収益が見込め、そのリソースを調達することが出来れば、再度のチャレンジがないとは言えない。
しかし、20年前とは世界は変わってしまったからな。
NASAは、B社がいなくても事業を継続できる見通しを得ている。
ULAについても同じことが言えるかもしれない。
米軍は、そのロケットに頼ることなく、宇宙に進軍することができるようになった。
それはいいことなんだろうか?。
浮沈子は、素直には喜べないのではないかという気がしてならない。
ロケット科学において、何か根本的な進歩があった記憶はない。
メカトロニクスで、多少、気が利いた運用ができるようになったかもしれないが、本質的なところで何が変わったというわけではないのだ。
つまり、リスクが増大して、その分効率が上がっただけだろう(そうなのかあ?)。
薄利多売になり、事業の継続性は高まったかもしれないが、そこから生まれるものは水平展開にとどまる。
物理の神様が、それに応じた貢物を要求するのは時間の問題かもしれないな・・・。
(ボーイング、スターライナーの打ち上げわずか数週間前に2つの重大な問題を発見)
https://arstechnica.com/space/2023/06/boeing-stands-down-from-starliner-launch-to-address-recently-found-problems/
「すでに赤字となっているスターライナー計画にボーイングが今後もコミットし続けるかどうかについて疑問が生じている。」
「ミッションを飛行させるコストは、ボーイング社がNASAに返済しなければならない資金よりも高額になる可能性」
「民間乗務員プログラムからの撤退について何らかの協議があったのか」
「それについては真剣な議論はしていない」
B社社内での検討については否定してないからな。
商売としては、早い時点での損切りこそ最善の策だ。
この話は、さすがに世界を驚かせたようで、我が国でも早速報じられている。
(ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」有人飛行試験延期 新たな問題が発覚)
https://sorae.info/space/20230601-cft-starliner.html
「CFTの新たな実施予定時期は明らかにされていません。」
年内の打ち上げは無理だろう。
今頃になって、こんな初歩的な話が出てくるということは、他にも何か隠れた瑕疵があって、次のCFTで明らかになったりして、実際のサービスインは無期限延期になる恐れもある。
6回の契約任務は、B社の意向に関わらず、実質的に履行不可能なのではないか。
(技術的な問題により、ボーイングのスターライナー乗組員カプセルにさらなる遅れが生じる)
https://spaceflightnow.com/2023/06/01/technical-snags-force-another-delay-for-boeings-starliner-crew-capsule/
「この技術的問題は何年も発見されずにいたが、ソフトウェアやバルブ、宇宙船のその他の部品に一連の問題が発生したため、すでに予定より何年も遅れていたボーイング社のスターライナー計画にさらなる挫折をもたらした。」
有人飛行試験の前に発見されたのは不幸中の幸いだったに違いない。
「重要なのは安全性が常に当社の最優先事項であるということだ」
「それは遅れを意味するので残念だと言う人もいるかもしれないが、チームは正しい選択をしていることを誇りに思っている」
あと7年くらい引っ張れば、ISSの寿命が尽きて、B社が上げようと思っても行き先がなくなるからな。
安全は、任務遂行の絶対条件だ。
B社は、かつて787のバッテリーの件で、旅客機を作る能力に問題があることを証明し、737Maxでは、多くの人命を犠牲にしてそのことを確認した。
今また、宇宙船を作る能力にも欠陥があることを示したわけで、安全な宇宙機を作ることはもはやできないだろう。
ブルーオリジンの下請けになって、HLSのドッキングシステム作りに専念しているのが丁度いいかもしれない。
最終製品としての宇宙船やそのシステムをインテグレートすることは、もはや不可能と言える(断定的!)。
NASAは未練たらたらだが、ここは潔く切って捨てるのがよろしい。
それが、NASAにとってもB社にとっても最良の選択に相違ない。
2社による冗長性を確保することはできなくなったわけだが、まあ、曲がりなりにもソユーズは飛んでいて、ISS絡みの国際協力は続いているようだからな。
冷却水が漏れたとしても、パラシュートがブチ切れたり、絶縁テープが火を噴くよりはマシだ(浮沈子は、構造的なエア漏れがあったと見ているけどな)。
まあいい。
少なくとも、年内の打ち上げは見送りになる公算が高い。
それだけではない。
ISSタクシーからのB社の撤退が視野に入ってきたということだ。
バルカンロケットの遅れのために、ULAの打ち上げはひっ迫している。
焼け石に水かもしれないが、B社のISSミッションがキャンセルされれば、多少は助かるに違いない(使いまわしがきかない2段目は別でしょうが)。
赤字まみれのスターライナーミッションには、ボーイングは積極的な投資をしないだろう。
今更なトラブルの発覚は、B社がNASAに送ったシグナルに相違ない。
早く切ってくれ!。
そうすれば、今後数十億ドルに及ぶ可能性がある追加支出を回避して、そのリソース(技術者も含めて)を、金になる軍事支出に回すことも可能だ。
おそらく、NASAも既に本気じゃないだろう。
OFT2から帰還した直後、残るCFTとB社に義務的に割り当てられた6回の飛行ミッション以外、全てのISSフライトをS社に発注した時点で、実態がどうなっているのかは把握されていたに違いないのだ。
スペースシャトルからISSの建造、SLSの開発に至る宇宙開発における華々しいB社の歴史は終わった。
アルスの以前の記事によれば、ULAからも撤退するようだしな。
浮沈子のこの妄想は、おそらく正鵠を得ているに違いない。
OFT、OFT2、CFTと回を重ねるごとに問題が噴き出す状況は、NASAとしても容認できないだろうしな。
こんなはずじゃなかった・・・。
その真の原因はどこにあるのか。
それは、米国の衰退そのものの象徴だ。
コストプラスの契約で回していた時には、それでも十分な見返りを得ることができたわけだからな。
金廻りが悪くなって、政府予算が確保できない状況の中で、以前と同じようなことをやろうとするなら、企業側にリスクを求める固定価格契約で節約するしかなくなってきたわけだ。
金をケチれば、品質は落ちる。
例外はいくらもあるだろうが、基本はそうなる。
我が国のH3も同じ流れに乗っているからな。
まあ、どうでもいいんですが。
技術も管理能力もなければ撤退するのが正解だ。
物理の神様は公平だからな。
B社のロゴが付いているからと言って、大目に見てくれたりはしない。
人命にかかわる事故が起こる前に発覚したことは幸いだ。
安全は全てに優先する。
その中には、ISSタクシーのミッションそのものも含まれているに相違ないのだ・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
エリックバーガーが続きの記事を書いている。
(スターライナーを飛ばし続けるために、ボーイングはいくつかの難しい選択をしなければならない)
https://arstechnica.com/space/2023/06/to-keep-starliner-flying-boeing-must-make-some-hard-choices/
「3 つのオプション」
・最初の選択肢:
現在の路線を堅持し、スターライナーに社内資金を投じてNASA宇宙飛行士のスニ・ウィリアムズ氏とブッチ・ウィルモア氏による試験飛行を完了し、NASAミッションの認定を取得すること
・2番目の選択肢:
ボーイングがスターライナーから撤退すること
・ボーイングにとって最後の選択肢:
スターライナーへの投資を倍増することだ。
結論は最初から出ているがな。
「残酷な現実は次のとおりです。スターライナーの長期的な将来を確保するために、危険な道を進んで自己投資することはボーイングの本性ではありません。」
しかし、では、とっとと退場することになるかといえば、そうとばかりは言えない。
「私たちはスターライナーの将来と、どのように前進していくかについて話し合ってきました」
「スターライナーの飛行を続けるには、どの打ち上げロケットを使用するかについていくつかの決定を下さなければなりません。一定の飛行速度に達したら、より多くの乗組員モジュールを構築する必要があります。これらが私たちが議論していることです」
再び、同じこと(民間有人宇宙飛行のコンペ)が起これば、B社は参加しないだろうか?。
そうとは限らない。
十分な収益が見込め、そのリソースを調達することが出来れば、再度のチャレンジがないとは言えない。
しかし、20年前とは世界は変わってしまったからな。
NASAは、B社がいなくても事業を継続できる見通しを得ている。
ULAについても同じことが言えるかもしれない。
米軍は、そのロケットに頼ることなく、宇宙に進軍することができるようになった。
それはいいことなんだろうか?。
浮沈子は、素直には喜べないのではないかという気がしてならない。
ロケット科学において、何か根本的な進歩があった記憶はない。
メカトロニクスで、多少、気が利いた運用ができるようになったかもしれないが、本質的なところで何が変わったというわけではないのだ。
つまり、リスクが増大して、その分効率が上がっただけだろう(そうなのかあ?)。
薄利多売になり、事業の継続性は高まったかもしれないが、そこから生まれるものは水平展開にとどまる。
物理の神様が、それに応じた貢物を要求するのは時間の問題かもしれないな・・・。
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