🐱生命の起源:地球外生命探査の意味2023年07月18日 04:05

生命の起源:地球外生命探査の意味
生命の起源:地球外生命探査の意味


(0×∞=生命の起源!?)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/story/newsletter/page/6927/

「生命が誕生する確率はほとんどゼロでも,宇宙は無限に近いほど広いので,生命は発生できる」

プレスリリースへのリンクがあったので見てみる。

(宇宙における生命〜どのように生まれたのか、そして命の星はいくつあるのか)
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2020/6688/

「このシナリオが正しければ、地球外生命を我々が将来発見する確率は、極めて低いと予想されます。」

このシナリオというのは、「自己複製できる高度な遺伝情報を持った生命体が、非生物的でランダムな反応から偶然生じる」という話だ。

単純な計算では、観測可能な宇宙の範囲に生命を発生させる天体が存在する可能性はない(もちろん、地球を含めて!)。

理論(生命の誕生など、確率的にありえねー・・・)と観測事実(現に地球上には生命がいるじゃん!?)の矛盾を、科学はどう説明するのか。

「しかし最新の宇宙論によれば、宇宙は我々が観測可能な距離(138億光年)のはるかむこうにまで拡がっています。その広大なインフレーション宇宙のどこかで生命が発生すれば、地球に今、我々が存在することは説明できます。」

べらぼーめ・・・。

「このように生まれた生命を持つ惑星は、恐らく、観測可能な宇宙のなかに地球だけです。それでも、我々の知る観測事実と何ら矛盾はありません。そしてこれは将来、我々が地球外生命を発見する可能性は、(残念ながら)限りなく低いことを意味します。」

要するに、地球生命はランダムな化学反応によって偶然生まれただけで、神様も仏さまもいらないという話なわけだ。

そして、その場合、地球外生命探査は理論的に無意味ということになる(そうなのかあ?)。

ワレワレハコドクナノダ・・・。

浮沈子は、以前から生命が誕生したのが1回限り(少なくとも、その後、何度も生命の誕生があったという話は聞かない)というのが不思議でならなかった。

最初の生命誕生の前に、何度か失敗(?)があっただろうことは想像できても、ものになった生命誕生の後でも、いくらでもその機会があったはずだからな。

単純な化学進化の流れの中で生まれたという仮説(つまり、神様がサイコロを振った)が正しいとすれば、観測可能な宇宙の中で、偶然に生命が生まれ、それがただ1回しか起こらなかったとしても矛盾はないという話になる。

この論文の発表があまり注目されないのは、「だから何だ?」ということになっちまうからだろう。

新しいことは何もない。

地球外生命が発見されたわけでも、新たな化学合成のプロセスが発見されたわけでもない。

現状を、それらしく解説して見せただけだ。

が、浮沈子的には大いに注目するに値する結論なわけだ。

地球外生命探査なんて、無意味なことに金をつぎ込むのはやめろという結論なわけだからな(そういうことかあ?)。

「今回の方程式は、(1) 知的生命体ではなく、最初の生命誕生を対象としている」

その後の進化とか、多細胞生物とか、文明とか、そういう話はさらにその先ということになる。

地球外生命探査という、業界を盛り上げるとっておきのネタに冷水をぶっかけるような研究を、誰が称揚するものか!(そういうことかあ?)。

しかも、偶然でもいいということなら、生命誕生を導き出した特殊な化学進化のプロセスを発見しようという意欲まで失わせる。

やれやれ・・・。

生命の材料となる化学物質は、宇宙探査の中で山のように見つかるだろう。

我々は、ありふれた星屑の中から生まれた。

水素やヘリウムに比べれば、存在割合は少ないけど、それでも、その辺りに漂っている元素が元ネタなわけだからな。

単なる偶然から、たまたま生まれた生命の成れの果てなだけの存在。

そこには、何ら特殊なプロセスは必要ない。

生成されたRNAが、直ちに分解されない程度の環境があればそれでいい(熱水鉱床とかもいらないかも:未確認)。

んな惑星は、それこそ星の数ほどあるんだろうが、そうだとしてもその中で生命が誕生することができる確率は限りなく低い。

我々が知り得る(観測可能な)宇宙の中で、たった1回だけの偶然で起こった稀有な出来事である可能性は高い。

そうでないという話は、SFとか、業界の宣伝以外にはないからな。

ちょっとがっかりな話でもある。

浮沈子的には、この地球以外で持続的に生命活動を営み続けることも不可能だと考えている(明確なエビデンスがあるわけじゃないけど)。

特に、人類のように高度に適応してしまった存在はなおさらだ。

(元宇宙飛行士、人工重力の研究は「非常に重要」だと語る)
https://arstechnica.com/space/2023/07/former-astronaut-says-its-extremely-important-to-study-artificial-gravity/

「長期にわたる宇宙飛行のベテランとして、彼は微重力が自分の体と同僚の宇宙飛行士の体に与える被害を直接目撃してきた。」

「たとえば、国際宇宙ステーションで生活した数百人の宇宙飛行士のデータに基づいて、 NASAは、重量を支える骨は宇宙飛行中に 1 か月あたり平均 1 ~ 1.5 パーセントのミネラル密度を失い、地球に帰還した後はこの骨が減少することを発見しました。喪失はリハビリテーションによって完全に回復されるわけではありません。さらに、適切な食事と運動習慣がなければ、宇宙飛行士は宇宙で筋肉量も減少します。」

「さらに、宇宙飛行士の中には、わずか数週間宇宙に滞在しただけで、視神経の腫れにより視力が低下する人もいます。約10年前にNASAが行ったある研究では、スペースシャトル宇宙飛行士の約30%、宇宙ステーション居住者の60%の視力が低下していることが判明した。」

地上の重力下においても、昨年夏の眼内レンズの手術で筋トレを禁じられていた浮沈子は、たった1か月半でウエイトが引けなくなり(プルダウン)、平泳ぎのキックが出来なくなってしまった。

無重力下ではなおさらだろうし、放射線とか免疫とか、他にもべらぼーにヤバい話はいくらもあるだろう。

(宇宙滞在による免疫機能低下の機構を解明
-無重力環境が引き起こす胸腺の萎縮と人工重力による軽減-)
https://www.riken.jp/press/2019/20191227_3/

「1)胸腺細胞の増殖が、宇宙環境により抑制され、胸腺萎縮を引き起こす
2)宇宙環境による細胞増殖抑制の一部は、人工1Gでは軽減される」

重力の付加で、影響がなくなったわけではない。

つまり、重力以外にも、細胞増殖抑制の因子があるらしいことなわけだ(そうなのかあ?)。

「宇宙滞在による免疫機能の低下はこれまでにも報告されてきましたが、その機構については多くが分かっていません。」

ざっくり言って、人類は宇宙に適応できない。

この地球で暮らし、この地球で栄え(100億人くらいには増えそうです:現在は80億人くらい?)、この地球と共に滅びる。

できもしない火星移民をそそのかしたり、スペースコロニーの建造をあおったりするのは犯罪的だな。

その地上でドンパチやって、人類同士が殺しあうなどと言うのは論外だろう。

まあいい。

我々は、この地球という星の上でその存在を全うする哲学を再構築する必要があるのではないか。

地球近辺を、たまにうろちょろして、短期の宇宙滞在をしたりする分には構わないけど。

無人の探査機を飛ばして、太陽系や近傍の恒星に行くのだっていいかもしれない(恒星探査は当分先でしょうけど)。

が、人類(地球生命でもいいけど)の本籍は、この地球上にある。

もしかしたら(たぶん)、観測可能な宇宙の中で、1度、そしてただ1度だけ生まれた「宇宙唯一の生命」としての貴重な存在なわけだ。

その辺を、もう少し真面目に考えていかないとな・・・。

🐱2段目の蹉跌:この頃よく聞く話2023年07月18日 13:20

2段目の蹉跌:この頃よく聞く話


(ロケットレポート: シンシティで大きな夢を。スペースXとFAAは訴訟の中止を求める)
https://arstechnica.com/space/2023/07/rocket-report-blue-origin-seeks-to-go-international-au-revoir-ariane-5/

「ベガCロケットはまだ苦戦中。6月28日に実施されたベガC「ゼフィーロ40」第2段の静的燃焼試験は不合格に終わった。」

「新しいカーボンカーボン材料は、予測と密接に関連した名目上の性能を示した。しかし、テスト開始から40秒後に別の異常が明らかになり、ロケットの飛行速度の低下につながった」

H3の2段目(着火せず)やイプシロンSの2段目(テスト中に大爆発!)など、最近、洋の東西を問わず、2段目にまつわるトラブルの報道が続いている。

現在の中型以上のロケットは、2段構成が多い。

もちろん、そうじゃない(3段とか)もあるけど。

トラブルは、多段式の分離で起こるから、段数は少ない方がいいんだろうし、そうはいっても打ち上げロケットの宿命として、多段式にしないと軌道には乗れないからな。

スペースシャトルを単段式に分類することも可能だけど、SRBの巨大な推力は何だったんだという話になる。

実質的には、あれも2段式だろうな(ほかにも、巨大な燃料タンクを捨てちまうというズルもしてるしな)。

これまでも、2段目にまつわるトラブルがなかったわけではない。

S社のファルコン9にしても、初期のころにISS貨物便で吹っ飛んでいる(飛行中の唯一の失敗)。

スターシップで、墜落激突爆発炎上木っ端微塵を繰り返していたのは2段目だしな。

しかし、開発時はともかく、運用状態になってから2段目のトラブルが起こるというのは珍しいかもしれない。

打ち上げ直前にトラブルを検知して、打ち上げを中止できる1段目と異なり、2段目は打ち上げちまってからの点火になるしな。

後戻りが効かない。

当然、それに対応した設計になっているし、地上試験も徹底して行われている。

バルカンの2段目であるセントールVが、試験中に爆発したのだって、トリーブルーノが言うように、想定の範囲内の出来事なわけだ(そこで起きたトラブルに対応するための試験だからな)。

飛びながら点火し、場合によっては何度も点火を繰り返すことになるエンジンや、ペイロードを正確に軌道投入する仕掛けも必要だ。

力技で勝負の1段目(そうなのかあ?)とは、一味違う繊細さが要求される。

今回、ベガCの2段目の失敗が、なぜ起きたのかはまだ分からないが、前回の打ち上げで問題になった点とは異なる原因とされている(メーカーの主張ですが)。

(「ヴェガC」ロケット第2段の燃焼試験失敗 打ち上げ再開時期は不透明)
https://sorae.info/space/20230715-vega-c-zefiro40.html

「打ち上げ失敗の原因はZ40型モータのノズル内側に取り付けられている「スロート・インサート」という部品だったことが判明しています。」(前回打ち上げ時の話)

「試験開始から40秒後に別の異常が生じ、開始から97秒後に予定されていた試験終了の前にモータ全体の圧力低下が引き起こされた」(メーカーのアビオ社の話)

「アビオ社は今回の燃焼試験について、新たに開発されたカーボン素材製のスロートインサートそのものは「正常な性能を示していた」と述べており、失敗は別の原因によるものだったと強調しています。」

まあ、どうでもいいんですが。

ロケットの失敗や事故はすべからく想定の範囲内ともいえる。

だからこそ、連続して成功し続けることが話題になるし、信頼性の証となるわけだ。

設計の妥当性、製造の安定性、運用の適性が評価される。

全てがクリアされなければ成功はない。

物理の神様に逆らって、空気より重いものを飛ばすということなわけだから、当然の話だ。

しかも、空気がほとんどない宇宙空間に向かって、すごい速度で飛ばすわけだからな・・・。

(ロケット施設爆発、専門家「品質管理に問題あったか」…JAXAトラブル相次ぐ)
https://www.yomiuri.co.jp/science/20230714-OYT1T50243/

「極端に難しい技術開発をしていたわけではなく、製造上の初歩的なプロセスに問題があった可能性はある。イプシロンSロケットの今後の打ち上げに影響するだろう」

記事には、国産ロケットの主なトラブル事例が載っている(一部改変)。

「時期:機体:原因:結果
・1994年8月:H2・2号機:主エンジン燃焼後、制御システムの異常:補助ロケット着火せず
・1998年2月:H2・5号機:第2段エンジンの燃焼が途中で停止:打ち上げ失敗
・1999年11月:H2・8号機:第1段エンジンが燃焼停止:指令破壊
・2003年11月:H2A6号機:大型補助ロケットのノズルに穴が開いて燃焼ガスが漏出:指令破壊
・2013年8月:イプシロン1号機:点検用コンピューターの不具合:打ち上げ中止
・2022年10月:イプシロン6号機:姿勢制御装置に異常:指令破壊
・2023年3月:H3・1号機:第2段エンジンの着火が確認されず:指令破壊
・2023年7月:イプシロンS:第2段エンジンのテスト中に爆発:炎上木っ端微塵!

様々な種類のロケットにおいて、トラブルは多岐に渡っている。

つーか、この資料を作成した読売の担当者は、その多様性を示したかったのかもしれない。

そこから何かをくみ取り続けることが出来なければ、トラブルは繰り返されることになる。

失敗は、財産だからな。

かといって、多ければいいというもんじゃないけどな・・・。