🐱落日の宇宙開発:ロシアも米国も2023年10月08日 20:10

落日の宇宙開発:ロシアも米国も
落日の宇宙開発:ロシアも米国も


(ロシアは全体の予算が静かに削減される中、宇宙での大きな未来について語る)
https://arstechnica.com/space/2023/10/russia-talks-a-big-future-in-space-while-its-overall-budget-is-quietly-cut/

「このプレゼンテーションには、ポチョムキン村のような雰囲気があった。ポチョムキン村とは、2世紀前にロシアの女帝エカチェリーナ2世に好印象を与えるために設計された偽の村を指す。」

歴史的に、ポチョムキン村があったかどうかは別にしても、予算削減が確実なロシアの宇宙開発に現実味はない。

乏しいのではなく、皆無だ。

2028年にISSから離脱する予定のロシアモジュールは、残念ながら、生きながらえることなく消滅する。

もう、米国も引き留めはしないだろう(ボロボロだしな)。

新しい住処を求めて宇宙を彷徨うか、中国の宇宙ステーションにドッキングするかだが、あちらもそれを求めているならともかく、新たなリスクを背負い込むことになる。

ロシアは、宇宙ステーションどころか、グロナス (GLONASS)を維持することすら出来なくなる。

ソ連崩壊から暫くの間、グロナスは壊滅状態になった。

現在は必要な衛星数(24機)を上げているが、たびたびトラブルに見舞われている。

中国の北斗に置き換えられていくんだろう(そうなのかあ?)。

ISSのロシアモジュールの半分は、米国の資産だ。

ソ連崩壊後、米国の資金によって建造され、打ち上げられている。

このまま行けば、当時と同じような状況が生まれる。

しかも、今度ばかりは米国が手を差し伸べるわけにもいかない。

ウクライナ問題があるからな。

ロシアの宇宙でのプレゼンスは、時たま打ち上げられる軍事衛星に限定されていくんだろう。

が、果たしてそうなるんだろうか?。

浮沈子は、つまはじきされている中国とロシアが結びついて、宇宙開発のもう一つの極を形成する可能性が高いと見ている。

ISSから離脱した比較的新しめのモジュールを、中国の宇宙ステーションにドッキングさせることが出来ればめでたしめでたしだ。

中国にとっては、リスクを受け入れるだけの価値がある。

最近でこそ、チョンボ続出(打ち上げ失敗、ISS空気漏れ、宇宙船の冷却液漏れエトセエトセ)だが、60年を超える有人宇宙活動の歴史は伊達じゃない。

月面着陸(無人機)は失敗したけど、サンプルリターンは半世紀前に実行している。

まあ、中国にしてみれば、国際的なパートナーシップが持てるだけでもめっけもんだ。

共同開発という名目でも、実質的には中国の事業として進むことになるんだろう。

とすれば、ポチョムキン村も、張りぼてではなく、リアルな開発になる可能性が出てくる。

「ロシアも国内の大きな通信需要を満たすために巨大星座「スフェラ」の開発に熱心に取り組んでいる」

「直接セル間通信を提供する能力」

「少なくとも数十億ドルの費用がかかります。」

その程度は、中国が何とでもするだろう。

ISSについては、以前に鳥嶋さんの記事が上がっている。

(国際宇宙ステーション、運用延長が決定 - ロシアが同意もくすぶる懸念)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230511-2677329/

「ロシアのエンジニア・チームは自国のモジュールの耐久性について調査を行い、今年2月には2028年までの運用延長は可能とする報告書を発表」

「4月26日、ロシア政府がISS計画へのロシアの参加を2028年まで延長することを承認したことを発表」

他の参加国が2030年までとしているのに、2年短いというのは、うーん、ビミョーだ・・・。

「ISSの中で、ロシアのモジュールはその半分近くを占めており、宇宙飛行士の生活や実験に使われているほか、宇宙船や補給船による宇宙飛行士や補給物資の輸送も行うなど、重要な役割を担っている。そのため、ロシアが2028年以降、ISSから離脱すれば、他国が望む2030年までの運用が難しくなる可能性がある。」

リブーストなど、ロシアモジュールのISSにおける役割などもあるが、まあ、離脱する可能性が高いだろうな(そうなのかあ?)。

ちなみに、リブーストは通常はズヴェズダ後部にドッキングしたプログレス貨物船によって行われている(ズヴェズダでもリブースト可能)。

まあ、どうでもいいんですが。

記事の中には、ロシアの独自ステーションの話も出てくる。

「ロシアはまた、独自の宇宙ステーションを建造する計画も破棄してはいない。ISSへの参加と並行して計画を進め、2028年ごろには独自の宇宙ステーションに移行することを考えているものとみられる。」

「昨今のロシアの置かれた情勢、とくに資金面や半導体などの禁輸といった事情から考えると、計画がすんなりと進む可能性は低い。ただ、ロシアが宇宙分野においても欧米などと決別し、対抗していく意志を示している点は留意すべき」

うーん、浮沈子の見立てでは、使えそうなモジュール(ナウカとプリカルくらいしかないか)中国の宇宙ステーション(CSS)とドッキングしちまうのが、一番手っ取り早い気がするんだがな。

「CSSは今後、数十年は運用される」

「中国はCSSを足がかりに有人月探査の実現も目指しており、ロシアと共同で進めることも検討されている」

ロシア独自の宇宙ステーションは、ISSからのモジュールを継承しないで、スクラッチから建造されるということになっているらしい。

(ロシア軌道サービスステーション:ROSS)
https://en.wikipedia.org/wiki/Russian_Orbital_Service_Station

「ROSS は、 ISSのロシア軌道セグメントのモジュールを使用せずにゼロから構築される新しい独立型ロシア宇宙ステーション」

当初はISSで使用することになっていた実験モジュールを再設計して、2027年とか2028年に上げるという。

うーん、ムリポだなあ・・・。

「ROSS には最大 7 つのモジュールが含まれることが想定されており、2035 年が完成の目標日となっています。」

「最大 4 人の宇宙旅行者向けの商用モジュールも検討中です。」

なにか、悪い夢でも見ているんじゃないのかあ?。

ゼロベースでの構築というのは、ある意味で後ろ向きの選択だ。

ISSからのモジュール継承ということになれば、スケジュールはそれを踏まえたタイトなものになる(宇宙空間で10年間もほったらかしにはできないだろう)。

何もないところからのスタートなら、単に遅延させればいいだけだからな(そういうことかあ?)。

素直に、ナウカとプリカルを外して持って行って、中国のステーションにがちゃんこするのが手っ取り早いだろう。

まあいい。

鳥嶋さんは、ISSが平和のシンボルとして重要だと説いている。

浮沈子は、それ程楽観(?)はしていない。

ISSの終わりが、地球低軌道における国際協力の終わりであり、中国の宇宙ステーションを核とした新たな国際協力の始まりになるんだろう。

民間宇宙ステーションは、結局どれも実現せず、新たに構築される月軌道ステーション(ゲートウェイ)は、常駐施設ではないからな(2年間で2週間くらいしか使われないだろう)。

西側の軌道上のプレゼンスは、大幅に低下する。

それはロシアも同じだろう。

中国のCSSだけが、人類が見上げる唯一の有人の人工物になることは、徐々に現実味を増してきている。

「民間の商業宇宙ステーションの開発をめぐっては、アクシアム・スペースが「アクシアム・ステーション」という、まずはISSに結合する形で構築し、最終的には独立して運用することを目指したステーションを提案しているほか、ブルー・オリジンを中心とするチームは「オービタル・リーフ」というステーションを提案しており、三菱重工も参画している。」(鳥嶋さんの記事より)

「このほか、ノースロップ・グラマン、ナノラックスといった企業が検討や開発を行っている。」(同上)

我々は既に、オービタルリーフが事実上撤退したこと(ブルーオリジンは月面着陸の方が金になると見たらしい)、ノースロップグラマンが独自ステーションから撤退し、輸送サービスとしてナノラックスの傘下に入ることになったことを知っている。

アクシオムステーションは、影も形もないまま、終わる可能性もある(早くしないと、2028年には、ISSなくなっちゃうぞ!)。

NASAは、民間宇宙ステーションへの移行に乗り気ではないんじゃないのかあ?。

どーしてもやりたいって会社と、金儲けできる民間需要があるなら、少しは金も出すけど、そうでなければなくなっちまってもいいって、腹の底では考えているに違いない(そんなあ!)。

地球低軌道上での長期滞在でやりたいことはやったからな。

有人火星探査に必要というなら、月軌道でやればいい。

それがどれだけリスキーであったとしても、実際に火星に向けて飛ばすことに比べれば、ちょろい話だ。

それが問題だというなら、そもそも、有人火星探査自体がムリポということになるわけだからな。

地球低軌道は捨てたわけだ。

エリックバーガーは、ロシアのプランをポチョムキン村と揶揄するが、湯水のごとく金をつぎ込んでも、米国の有人宇宙開発におけるプレゼンスが増加するとは限らない。

早ければ5年後にISSは軌道から消え、月軌道ステーションが無人のまま回るだけになる(モジュールは幾つが上がっているでしょうが)。

2年に1度(金がないので、オリオンを飛ばせない!)、2週間だけ滞在するためだけにな(もちろん、まだ、月着陸船の影も形もない!)。

一方、中国はロシアと協力して有人月面着陸を果たし、月面基地の建設に向かって着々と計画を進めているだろう(その頃には、人類初の火星サンプルリターンも成功させてるかもしれないしな)。

やれやれ・・・。

宇宙空間におけるパクスアメリカーナも、そろそろ終焉が見えてきたのかもしれない。

中国から、アルテミスがポチョムキン村だと言われないようにする方が、よっぽど重要だと思うんだがな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(ロシアは早ければ2028年にも独自の宇宙ステーションを建設したいと考えている)
https://www.space.com/russian-space-station-ross-2028-timeline

「新たに公開されたインタビューから得られた大きなポイントの1つは、ロスコスモスは人間が新しい宇宙ステーションに時々だけ旅行することを望んでいるということである。」

ほほう、こっちも常時滞在じゃないんだ・・・。

「乗組員への給水、食事、衣服、酸素と水を提供するにはかなりの費用がかかります。さらに、部分的に地球の磁気圏の外側を飛行すると、宇宙飛行士の放射線量が増加し、そのため許容飛行時間が若干短縮されます」

「宇宙飛行士はおそらく、ロシアの科学者の実験を支援するため、年内にわずか数か月間だけROSSを訪問する」

「将来を見据えて、宇宙飛行士が月や火星への旅の準備を支援するための中継基地としてROSSが使用される可能性がある」

昨年の7月の記事だからな。

その後、どう変わったのかは知らない。

「ロシアは、2025年頃までに人類を月面に帰還させることを目的としたNASA主導のアルテミス計画に他のISSパートナーと参加することに関心を示していない。」

「スケジュールがうまくいけば、アルテミス連合が到着するかなり後までロシアは月に行かない可能性があることを示唆している。」

「宇宙飛行士を月に送る前に、この真剣で非常に費用のかかるステップの必要性を判断しなければならないことは明らかです」

他のプロジェクトはともかく、ROSSに関する限り、それ程無茶な計画とは思えないな。

月面有人活動を先送りすることで、現実的で有利なポジションを得ようとしているように見える。

宇宙ステーションの構成も外連味がない。

中国のそれに酷似しているが、やや規模が大きい感じだ(中国は大型モジュール3つだが、ロシアのは4つ)。

常時滞在を想定しないというのは、なかなか思い切った判断だが、ロシアはソ連時代に、サリュートでそういう運用もしている。

老舗のノウハウも持っているわけだ。

ISSの終焉は、一つの時代の終わりでもある。

今後は、スターシップの完成を待って、それで打ち上げられるモジュールが組み合わされることになるだろう。

ISS建造の立役者だったスペースシャトルは、その任務を終えている。

その退役後、米国側(西側?)の大型モジュールの打ち上げはない。

ロシアにしても、アンガラロケットの開発には苦労している。

いつまでもプロトンMに頼ってはいられないんだろうが、先は見えない。

宇宙開発に明確な区切りはない。

画期的な出来事が、何かそういうものがあるかのように思わせるだけだ。

スプートニクとか、アポロとか。

スペースXの再使用ロケットの実用化は、ロケットの打ち上げに対する常識を変えたかもしれない。

コストの問題もさることながら、打ち上げ頻度の激増は特筆ものだ。

スターリンクというアプリケーションを創造したということもある。

高頻度の打ち上げを支えているのは、毎月接続料を払っている顧客だ。

惑星(月)探査や宇宙ステーションには、そういう顧客はつかない。

税金というシステムを通じて、国家に納税することによって運営される。

ロシアは、そこのところをよく分かっているようだ。

地上の生活に最大の恩恵をもたらすような宇宙開発を心がけている。

実際、そう上手くいくかどうかは別だがな。

通信やリモートセンシングなど、宇宙空間ならではのメリットを生かしたアプリケーションを追及する。

GPS(えーと、これは米国版の測位システムですが、最早、普通名詞化しているからな)などもその一つだろう。

衛星打ち上げの成功率の向上、打ち上げコストの低減など、宇宙開発の進展で大きな前進を遂げた要素がなければ、それらのアプリケーションのメリットも十分発揮されなかったに違いない。

これからは、民間の打ち上げサービスを国家が買い上げる話になるんだろうが、実質的にはまだまだ税金の投入が必要だ。

浮沈子は、納税者の一人として、国家が実施する宇宙開発に大いに関心があるけど、衛星とかにはあまり興味がわかない。

宇宙ステーションは、人が乗れる衛星だ(うーん、長期間軌道に滞在している宇宙船というのが正しいんだろうけどな)。

衛星は、軌道を維持する燃料が枯渇すれば廃棄される。

最近は、燃料補給する衛星も出来ているようだけどな。

宇宙ステーションは、最初から燃料補給して軌道維持することを前提としている。

人類が見上げるものを飛ばしておくのは、なかなか大変だな・・・。