🐱バックアップか冒険か:S社のHLSは大冒険だがな2023年10月30日 20:33

バックアップか冒険か:S社のHLSは大冒険だがな
バックアップか冒険か:S社のHLSは大冒険だがな


(ジェフ・ベゾスがNASAのために新しい月着陸船のデザインを披露)
https://arstechnica.com/space/2023/10/jeff-bezos-shows-off-new-moon-lander-design-for-nasa/

「ブルームーン・マーク1は単発の月面貨物着陸船で、地表に留まり、安全かつ信頼性が高く、手頃な価格で月環境へのアクセスを提供する」

「われわれは、昼夜を問わず月面への世界的な着陸能力を可能にするために、マーク1とマーク2の両方の着陸船を開発している」

柳の下の2匹目のドジョウを求めて、NASAはブルーオリジンが主導する月着陸船(HLS:ヒューマンランディングシステム)を選択した。

マーク1というのは、どうやら開発の第一段階として取り組む使い捨ての貨物機らしい。

実際に人間を載せて飛ぶのは、後発のマーク2ということなわけだな。

(ジェフ・ベゾス設立の宇宙企業Blue Originが新型の月面貨物着陸船「Blue Moon Mark 1」の実物大モックアップを発表)
https://gigazine.net/news/20231030-blue-origin-blue-moon-mark-1/

「Blue Moon Mark 1はアルテミス計画で宇宙飛行士が月周回軌道と月面を往復する際に利用される予定」

えっ?、違うのかあ?。

「Blue Moon Mark 1は月面に停留可能な単発の月貨物着陸機で、安全で信頼性が高く、手頃な価格で月環境へのアクセスを提供します。Mark 1は直径7mのニューグレンのフェアリングを活用して貨物輸送を提供し、月面のどこにでも最大3トンを輸送します」

うーん、こっちには「貨物機」と明記されているけどな。

まあいい。

海のものとも山のものとも知れない、ワケワカの着陸機はいいとして、問題なのはそれを月まで運ぶロケットなわけだ。

「Blue Moon Mark 1の打ち上げは、Blue Originが開発する直径7mの大型ロケット「ニューグレン」で行われる予定」

永遠に飛ばないロケットの代名詞となっているニューグレン(そうなのかあ?)。

まだ、地上から1mmも上がっていないエンジンだけが完成していると言われている(バルカンロケットでも使うからな)。

バルカンの方は、いろいろド派手な爆発とかもあったけど、上手くすれば年内に初号機が打ち上げの運びになるらしい。

(ULAのバルカンロケットの初打ち上げはクリスマスか来年)
https://arstechnica.com/space/2023/10/for-the-first-launch-of-ulas-vulcan-rocket-its-christmas-or-next-year/

「トリー・ブルーノ氏は火曜日CNBCに対し、バルカンロケットの最初の実証飛行は12月24日に打ち上げられる予定であると語った。バックアップの起動日は 12 月 25 日と 26 日です。」

「そうでなければ、打ち上げは1月まで待たなければなりません。」

浮沈子的には、来年(しかも、第二四半期)に一票だな。

「いくつかの資格試験が並行して行われています。どちらも11月に行われます。ブースターはすでに準備が整っており、クリスマスイブである理由は科学と軌道力学のためです。」

ペイロードは、偶然にも月着陸船だからな。

タイミングを合わせる必要がある。

「何らかの理由で何かが起こった場合、悪天候、ステージの発送に遅れが生じた場合、1月に移行する可能性があり、そこでも同様の期間が設けられます」

そこに、ULAの身売りの話が絡んでくると、さらに複雑怪奇になる。

(ロケットメーカーULAのCEOが全社に向けてセールストークを行う)
https://arstechnica.com/space/2023/10/ceo-of-rocket-maker-ula-makes-a-sales-pitch-for-the-whole-company/

「ロッキード・マーチンはすでにユナイテッド・ローンチ・アライアンスの共同所有者であり、ロケット会社の完全な経営権を握る最有力候補とみられる。」

「アマゾンも可能性の一つです。」

「ULAを買収すれば自社で衛星を打ち上げられる可能性がある。」

「ジェフ・ベゾス氏の宇宙会社ブルー・オリジンも候補に挙がる可能性」

ホントかあ?。

「ノースロップ・グラマンと L3Harris も興味を持っている可能性」

浮沈子は、依然としてノースロップグラマンの可能性が高いと見ているんだがな。

まあ、どうでもいいんですが。

問題は、マーク1やマーク2の打ち上げが、影も形もないニューグレンで行われる予定になっていることだ。

それに先立って予定されているアルテミス3や4が、スターシップで行われることになっている以上にリスキーな話に思える。

NASAは、全てを自社開発によるのではなく、一部を外部調達によってアルテミスを進めようとしている。

月軌道ステーションの建造もしかりだがな。

記事には詳細は出てこないが、有人で運用されるマーク2では、ロッキードマーチンの宇宙船も必要だ。

「ブルー オリジンには 3 回のニュー グレンの打ち上げが必要です。」(初出のアルスの記事)

1回目:着陸船を月周回軌道に送る。

2回目、3回目:ロッキード マーティン製の給油タグボートの部品を運び、月面で着陸船のタンクを満たす。

具体なハンドリングがどうなるのかは知らない。

記事では、液体水素の長期保存と、宇宙での移送が技術的あい路になるとされている。

「ゼロボイルオフシステムで水素を貯蔵可能な推進剤にすることができれば、月の資源を解放するだけでなく、NTP(原子力熱推進)やその他のそれを超えた推進技術などの可能性も拓けるでしょう。」(ブルー・オリジン社でブルームーン・プログラムを監督するクーリス氏)

夢や希望を語るのはいいけど、ロケットもなければ着陸船の影も形もないことを自覚しないとな(特にマーク2は、想像図しかない)。

まあいい。

ブルームーンに先立つS社のHLSについても触れている。

「NASAは、正式に2025年後半と2028年に予定されているアルテミスIIIおよびアルテミスIVミッションで、巨大スターシップビークルによる2回の有人月面着陸についてスペースXと契約した。これらのミッションも遅延する可能性が高く、計画の準備状況からスケジュール上のプレッシャーまでさまざまである。」

2020年代に実現すると思っている関係者は皆無だろう。

既に、NASAはアルテミス3を無着陸で飛ばす腹を括っている。

「スペースXの今のところの優先事項は、スターシップロケットを軌道に乗せることであり、その後同社は宇宙で燃料補給技術をテストする必要があるが、これにはスターシップの打ち上げを数多く成功させる必要がある。」

1回の試験飛行の認可に1年もかかる状況では、今世紀中の実現も怪しい。

「アルテミス計画を監督する NASA 上級マネージャーのジム・フリー氏は、「(アルテミス) III のためにまとめなければならないコンポーネントが山ほどある」と語った。」

ジムフリーは、SLSの栄誉とか言っているけど、そっちだって、これから先、何が起こるか分からないからな。

実際、オリオン宇宙船が無人使用ではなく、有人仕様に開発されてから宇宙空間に出るのはアルテミス2が初めてとなる。

そして、2段目の開発の問題も残っている(現在の2段目は暫定)。

が、SLSの最大の問題は、その莫大なコストだろう。

打ち上げごとに、20億ドルとも40億ドルともいわれる予算を飲み込んでいく。

移動発射台の開発でも、様々な問題を抱えており、先行きは不透明だ。

「栄誉」に甘んじている場合じゃないことだけは間違いない。

「ブルー・オリジンはアルテミスVミッションで宇宙飛行士を月周回軌道と月面の間で輸送し、その後宇宙に戻す役割を担うことになる。このミッションは正式には2029年までに予定されているが、2030年代にずれ込む可能性が高い。」

アルテミス4(S社のHLSデビュー)が2030年代になることは間違いないからな(21世紀における人類初の月面着陸で、中国に先を越されることは確定!)。

ブルームーン(とりあえずマーク1)が飛ぶのは、さらにその先でいいわけだ(ニューグレンも、その頃になれば形になってるかもな)。

浮沈子が生きているうちに、ブルームーンが飛ぶかどうかも怪しい(そうなのかあ?)。

少なくとも、マーク2が飛ぶのは、早くても2040年代だろう(そんなあ!)。

一連の記事を読むと、NASAの焦りとジェフベゾスの余裕(!?)が感じられる。

米国は、有人宇宙開発で、民間企業を巻き込んだ大ぶろしきを広げてしまっている。

スケジュールは名ばかりとなり、再使用と持続性の陥穽に落ち込んでいる。

目先の成果を、着実に積み上げていこうとするロシアや中国とは異なる。

S社の登場が、業界をひっ掻きまわしているからな。

再使用ロケットの開発成功は、宇宙へのアクセスに大変革をもたらしている。

(来年、SpaceX は平均 2.5 日に 1 回の打ち上げを目指しています)
https://arstechnica.com/space/2023/10/next-year-spacex-aims-to-average-one-launch-every-2-5-days/

「スターリンクとの直接携帯電話通信も検討する予定で、これは来年の144便に追加される重要な機能です。」

「毎月 12 便を運航することを社内で検討しています。」

べらぼーめ・・・。

が、一方では、このスケジュールにはスターシップが組み込まれていないことに注目する必要がある。

「2022年にSpaceXとT-MobileがStarlink電話サービスを初めて発表したとき、SpaceXの創設者イーロン・マスクは、同社の巨大な新しいStarshipロケットでしか打ち上げることのできない、はるかに大型のStarlink衛星が必要になると示唆した。」

「SpaceXは、オリジナルのStarlink衛星よりも大きいが、Starshipに搭載される衛星よりも小さい、同社の主力ロケットであるFalcon 9ロケットで飛行するための追加のスループット容量を備えた、中間のStarlink宇宙船設計を開発した。」(V2ミニ)

「現在、Starshipの準備が整っていないため、直接セル間通信が可能になった新しいStarlink衛星もFalcon 9で飛行を開始する予定だ。」

この記事の最後には、スターシップのリリースについて、重要なヒントが記されている。

「Arsは先週、音声、データ、モノのインターネットサービスなど、2025年と2026年に計画されているStarlinkの直接セルへのアップグレードは、Starshipの立ち上げと稼働に依存する可能性が高いと報じた。」

業界は、既に、スターシップの立ち上げが2026年になっても実現しないと見ているわけだ(そうなのかあ?)。

莫大な予算を飲み込むアルテミスが、技術的あい路ではなく、予算上のあい路で2年から3年に1回しか飛べず、月面着陸の再開が2030年代に持ち越されることが確実になった現在、後世の歴史家が、2020年代を失われた10年と記述する可能性が高まってきた。

もちろん、有人宇宙開発が何もないというわけではない。

月周回軌道に、いくつかのモジュールが打ち上げられ、人類がパーシャルに滞在できる月軌道ステーションが出来ることは確実だろう。

完成は2030年代かも知れないけどな。

また、月面への無人着陸は、複数回実現するに違いない。

それらは、有人着陸への準備と位置付けられ、なんとか誤魔化すことになるのかもしれないが、ISSの運用停止までに、中国を含めて有人月面着陸を果たすことが出来るかどうかはビミョーだ。

ブルーオリジンは、オービタルリーフを放り出して、地球低軌道を捨てちまったからな。

民間宇宙ステーションの芽も潰えた(そうなのかあ?)。

2030年代初頭、地球低軌道には中国の宇宙ステーションだけが周回し、月軌道には新たな有人宇宙船が、時折訪れる物見遊山の宇宙飛行士を乗せて回ることになる。

それって、もう、7年後の話だ。

2030年代なら、大丈夫なんだろうか?。

浮沈子的には、さらに怪しいと見ている。

数十回の試験飛行をスペースシップがこなすには、1年がかりの許認可のペースを考えれば、数十年かかることになるからな(そんなあ!)。

無人の貨物運用ならなんとかかるかもしれないが、2030年代に有人飛行が出来るかどうかは怪しくなってきている。

浮沈子的には、深宇宙への人類の進出などしないでいいという気だから、一向に差し支えないけどな。

地球低軌道に、たまに物見遊山で上がる程度で十分だろう。

そこから先は、ロボットの世界だ。

無重力や放射線に耐え、孤独な状況でも精神を病まず、黙々と任務をこなす。

(NASAが190億km離れたボイジャー2号に18時間かけてソフトウェア更新用パッチを送信)
https://gigazine.net/news/20231025-nasa-voyager-software-patch/

「ボイジャー1号・2号は、これまでに星間空間で運用された唯一の宇宙船なので、彼らが送り返してくるデータは、私たちのローカル宇宙を理解する上で、他に類を見ない価値があります」

「ボイジャー1号は地球から150億マイル(約241億km)、ボイジャー2号は120億マイル(約193億km)離れており、ボイジャー2号へのパッチ送信は18時間かけて行われた」

月は、せいぜい40万km足らずの指呼の間にある。

宇宙探査の主役は、もともと人間ではないのだ。

莫大な費用とリスク、計画の遅れは、ひょっとすると人類の有人宇宙探査そのものを見直す契機となりかねない。

永遠に飛ばない、ブルームーンマーク2ということにもなりかねない。

ジェフベゾスの余裕は、それが理由なのかもな・・・。