🐱ウクライナ降伏不可避:今年の目標は領土奪還から国家存続へと後退 ― 2023年11月02日 01:15
ウクライナ降伏不可避:今年の目標は領土奪還から国家存続へと後退
(対ロ反攻、早急な成功期待すべきでない=ゼレンスキー大統領)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/T7MWJLNJTFIHDM5TZ2DH23UZJU-2023-11-01/
「われわれは、あまりにも早急な成功に慣れてしまった世界に住んでいる。本格的な侵攻が始まったとき、世界中の多くの人はウクライナが生き残れるとは思っていなかった」
「同盟国の支援拡大でウクライナは最終的にはロシアに勝利する」
「黒海の戦いでのウクライナの成功は、今日多くは語られていないが、歴史書に載るだろう」
うーん、どこの国の歴史書かが問題だな。
(ガザ攻撃で深まるウクライナ支援国の分断と離反 ゼレンスキー大統領は苦渋の発言修正)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/900000690.html
「アラブとイスラムの国々にとっては、いまやイスラエルはロシアと同じ無慈悲な「民間人を殺害する戦争犯罪人」に見えているにもかかわらず、ゼレンスキー大統領としては「イスラエルはロシアがウクライナでやっていることと同じことをガザでしている」と訴えかけることはできない立場だ。」
イスラエル情勢で、浮沈子はゼレンスキーがイスラエル支持なことが疑問だったが、全てはロシアに対抗する基準で計られているとすれば理解できないではない。
「ハマスとロシアは「同じ悪であり、違いはイスラエルを攻撃したテロリスト集団とウクライナを攻撃したテロリスト国家だというにすぎない」」
「世界の結束を弱めるため中東で戦争をあおることはロシアの利益になる」
まあ、記事にもあるように、その後、イスラエルは侵略者としての本性を露わにし、暴虐の限りを尽くしている。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子がこの記事で注目したのは、末尾の記述だ。
長いが引用する。
「1990年代の混乱するロシアで、プーチン大統領は西側の民主主義、自由主義の身勝手さを骨身にしみて経験してきた。」
「「民主主義」を標榜する西側は、選挙での政権維持に腐心せざるをえず、不安定な民意などというものは、戦争の長期化によるエネルギーの高騰や穀物不足に音を上げ、そのうち自国利益中心に変わり、ウクライナへの支援も先細っていくに違いない、欧米の言う「民主主義」などその程度のものだ、とタカをくくりながら長期戦を睨んでいるのだろう。」
エネルギーの高騰と穀物不足が主たる要因になるのかは知らない。
が、ウクライナへの支援が、量的にはともかく、質的変化を伴い、その意味を変えていく兆候は既にEUでも現れている。
戦場で勝てないウクライナを、どう支援していくのか。
それは、単にウクライナをどうするかという問題ではなく、動乱の時代において、「専制主義」に対して「民主主義」をどう守るかという話につながる。
つーか、単に西側が中露に対してどう対抗するかという話だ。
たぶん、イデオロギーの問題じゃない。
この間、ウクライナ情勢は大きく転換している。
(ロシア軍 ウクライナ各地を夜間に攻撃 製油所が破壊され火災)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231101/k10014244621000.html
「ロシア軍は、東部ドネツク州のウクライナ側の拠点、アウディーイウカでも掌握をねらって部隊を増強」
「敵はアウディーイウカの包囲を諦めておらず、航空戦力を使って攻撃を支援している」
スホーイ25も撃墜されているらしいから、まともな地上戦(つまり、ちゃんとした航空支援も受けている)を展開しているということだろう。
「ドネツク州のバフムトでの戦闘について、「ロシア軍が防衛から積極的な攻勢へと移行した」」
(ロシア軍 ウクライナ東部で攻勢強めるも 南部では守りを強化か)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231101/k10014243741000.html
「ロシア軍は、クピヤンシクで活発に活動し、バフムトでは防衛から積極的な攻勢へと移行した」
「ハルキウ州クピヤンシクやドネツク州バフムトでロシア軍が攻勢を強めている」
「ロシア軍が南部ヘルソン州で作戦指揮をとる司令官に、精鋭とされる空てい部隊の司令官で、参謀本部の評価が高い、テプリンスキー氏を新たに任命」
「ロシアにとって、ヘルソン州の占領地域の維持が優先課題となっている」
占領地域の維持で、エースを投入するというのは考えづらい。
ここはズバリ、南部でも逆「反転攻勢」を掛けるつもりだろう。
一度は占領しながら苦渋の撤退をしたヘルソン市の再占領と、オデッサへの侵攻を睨んでいるに違いない(テキトーです)。
今年中に、ウクライナが領土奪還を果たし、ロシアを交渉に引きずり出すという目論見はどこへ?。
最近の報道では、「反転攻勢」という威勢のいい表現も見られなくなりつつある(そうなのかあ?)。
反転攻勢しているのは、ロシアの方だしな。
迂闊に使うと、敵を利することにもなりかねない。
「ウクライナ軍の部隊は、ヘルソン州を流れるドニプロ川でロシア側が占領する東岸に渡って反転攻勢を続けていて・・・」(ちゃんと使ってるじゃん!。)
まあ、どうでもいいんですが。
ゼレンスキーは、年内の目標を「領土の完全奪還」から「ウクライナ存続」に引き下げたようだが(そういうことかあ?)、浮沈子には妥当に思える。
([FT]ウクライナ、兵器の自前調達へ 防衛産業の構築急ぐ)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB011ZU0R01C23A1000000/
「西側の支援国への依存を減らすために、ウクライナは国内防衛産業の構築を模索する。」
「世界中で弾薬が枯渇しており、ここウクライナで生産すべきだということは理解している」
分かっちゃいるけど、そう簡単には作れないだろう。
今は、西側の軍事援助や自国兵器の改良で凌いでいるだろうが、それがいつまでも続くわけではないことは分かっている。
ロシアとの戦争を、どれ程長期に想定しているかにもよるけど、戦車や戦闘機などは到底、自前で作ることは難しいだろう(戦車とかは、ラインメタルと提携して国内生産できるようにするかもしれない)。
装甲車両、陸海空のドローン、大砲、弾薬といった、いわば消耗兵器が主たる生産品になる。
航空宇宙産業もあるくらいだから、基本的な技術力は高い。
(ウクライナの宇宙開発)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%81%AE%E5%AE%87%E5%AE%99%E9%96%8B%E7%99%BA
「ソビエト連邦の宇宙開発のうち約 30 % がウクライナにおける研究の成果」
しかし、軍事産業として展開するということになれば、様々な問題をクリアしていかなければならないだろう。
実際には、ラインメタルの話のように、西側防衛産業の呼び込みという形になるんだろう。
それも、実際には「戦後」ということになるらしい。
(焦点:西側防衛企業、ウクライナでの武器生産実現は「戦後」か)
https://jp.reuters.com/article/defence-ukraine-idJPKBN2Y9062
「西側の防衛関連企業はウクライナでの武器生産に関心を持っているが、あくまで「戦後」になってからの話」
「侵攻してきたロシアを押し返す戦いを続けているウクライナは、ドローンや弾薬から戦車まで、国内における武器生産能力の拡充を渇望している。」
「しかし話を聞いた業界幹部は、現時点ではリスクがあまりに大きい」
「クライナと共同生産事業に関して直接話し合っているとは承知していない」(米防衛大手ロッキード・マーチンの航空宇宙事業を率いるグレッグ・ウルマー氏)
「戦争が続いている間に直接投資への意欲を見せた業界幹部はゼロ」
浮沈子が注目していた、ラインメタルの現地生産についても出ている。
「ドイツのラインメタルは先月、ウクライナ国有企業ウクルオボロンプロムと合弁事業を立ち上げ、ウクライナ国内で戦車の製造と修理を手がけると発表。」
「業界幹部によると、修理施設に比べて全面的な組み立てラインを設置するのは難しい。」
つまりだな、消費地に近いところでの生産は有利には違いないが、問題は「近過ぎる」ことなわけだ。
「メドベージェフ前大統領は、ラインメタルがウクライナに立ち上げた施設全てが報復攻撃対象になると警告」
やれやれ・・・。
「主要保険会社が、リスクが高すぎるとして戦時下のウクライナを総じて保険対象から除外しているという問題もある。」
つまり、当面の需要を賄うためにウクライナが自国で必要な兵器を生産できる目途はない、ということになる。
「大半の西側防衛企業は当面、ウクライナ国外からの支援を続けたい様子」
この記事は、以前にも読んだ記憶がある(6月頃の記事)。
状況は変わっていないからな。
「リスク」という点では、むしろ増大しているだろう。
要するに、西側の援助に頼る以外に方法はないということになる。
で、その西側の援助が変質しつつあるわけだ。
その原因は、ウクライナが戦場で勝てなくなったからだが、その状況を作ったのはロシアが戦闘国家としての態勢を立て直したからということになる(ロシアの消耗も激しいだろうが、それに耐える態勢を作り上げてしまった!)。
検証が困難な海洋での戦果を誇張するしかないゼレンスキー政権は、今年に限って言えば、完全に敗北している。
西側は、戦略を見直す必要が出ている。
勝てないウクライナを使って、どう勝利するかという難しい対応だ。
支援は継続し、見かけは同じだろうが、その目的とするところは変わる。
ウクライナにとっては、質的変化というのは死活問題だ。
領土分断は当然として、残る自国領土での統治の問題も出てくる。
少なくとも、現在の政権がそのままの形で存続することはない。
経済圏としては、EUに取り込まれることになるかもしれないし、それはロシアも認めているが、国家のカタチとして、あくまで領土奪還を目指して戦闘を継続する姿勢は取れないだろう。
安全保障上の、(素のNATOではない)何らかの枠組みの中で、ロシアとの共存を図ることになる。
それは、事実上の降伏に等しい。
いや、その線で合意に漕ぎ着けられれば、大勝利かも知れない。
そもそも、浮沈子の妄想の中では、米国は戦場でロシアが相応の犠牲を払えば、ウクライナをくれてやることになっている。
そもそも、軍事的に非対称な戦争が継続できるわけはなく、西側の援助はNATOに火の粉が掛からないことを大前提とした制約が大きい形で行われている。
その限界が見えてきたということなわけだ。
そろそろ、収束(停戦や休戦)を真剣に考えておかないと、完全な敗戦ということになりかねない。
ロシアは、戦場でケリと付けようと言い放っている。
アウディーイウカでの戦闘では、犠牲を厭わず、きっちり航空戦力も投入して、まともな戦争(まあ、ロシアにとってですが)をしている。
近接肉弾戦な状況では、期待の新兵器(?)であるエイタクムスも役には立たない。
もちろん、戦争だからな。
前線の情報が正確に伝えられているとは限らないし、戦略的な話になれば、なおのこと情報戦が活発になる(特に、西側は「民主主義」だそうだからな)。
それでも、本来なら徹底抗戦をアピールして、戦果を強調したい一方の当事者が、戦略目標を引き下げたり、検証困難な戦域での勝利を喧伝しだしている状況を見れば、戦況はおのずと明らかだ。
今日は11月。
マークミリーが期限を切った、反転攻勢の期限は過ぎた。
それは同時に、浮沈子の妄想の中で、クリミアに核爆弾が投下されるタイミングが訪れたということでもある。
起死回生の、一発の核(もちろん、複数でもいいんですが)。
もっとも、それが戦況を変えるきっかけになるためには、ヘルソン州の大部分がロシアに占領されている中で、海上からクリミアに大量の兵力を揚陸しなければならない。
21世紀版、ノルマンディー上陸作戦が必要なわけで、西側の情報戦がどれほど成功しているかは知らないが、そんな気配は毛ほどもない。
ちょっと待てよ、ガザのハマスの襲撃は、そのカムフラージュとしてやらせたのかもしれないな(そうなのかあ?)。
陽動としては、ちょっとインパクトがありすぎる気がするけど、ノルマンディでも陽動作戦が行われたからな。
「黒海の戦いでのウクライナの成功は、今日多くは語られていないが、歴史書に載るだろう」(再掲)
うーん、怪しい・・・。
実に怪しい!。
月が替わって、今年も残るところ2か月を切った。
ウクライナの反転攻勢は、少なくとも今年は終わった。
冬に向けて、インフラに対する攻撃に備える季節がやってきたわけだ。
「中部ポルタワ州では製油所が破壊されて火災が起きました。ウクライナ側は本格的な冬が迫る中、防空システムの強化に向けて欧米各国に支援を求めています。」(前出のNHKの記事より)
「ロシア側からの無人機による攻撃でクレメンチュクにある製油所が破壊されて火災が起きた」
電力施設だけではなく、燃料関係の施設にも攻撃が及んでいる。
報じられている事実だけの現実の世界では、今年はこのまま大規模な地上戦闘は収束し、飛び道具中心の攻防に移るだろう。
反転攻勢は功を奏せず、ウクライナは残りの領土を維持しただけで、失意の中で年を越すことにる。
来年2月になれば、ロシアのウクライナ侵攻は3年目を迎えることになる。
反転攻勢の失敗、ロシアの強靭化を許した1年が終わり、西側に支援の見直しを促すことになる。
3年目は厳しいだろうな。
ゼレンスキー政権は、来年も、領土の完全な奪還と、ウクライナの勝利を訴え続けるんだろうか。
ウクライナへの援助が、西側にとってお得な投資ですと、売り込み続けるつもりなんだろうか。
ロシアは、現在、多大の犠牲を払って逆「反転攻勢」を掛けている。
ロシアにとっての「勝利」に必要なものが何かが分かっているのだ。
確かに、作戦は無謀で兵士を使い捨てにし、命令不服従や投降者も多数に及び、虎の子の航空機の損耗もあるだろうが、それによって得るものが何かは明確に分かっている。
ウクライナ降伏不可避。
浮沈子の見立ては変わらない。
停戦交渉が、水面下でどの程度進んでいるかは分からない。
ひょっとしたら、無条件全面降伏でなければ、ロシアは呑まないかもしれないしな。
侵略者は占領者となり、それらしく振舞う。
ロシアも、ウクライナ地域と敵対ばかりはしていられないだろうから、戦後の統治についてはそれなりのビジョンを持っているに違いない。
ウクライナの明日がどうなるかは、ウクライナが決める。
「後退せず、燃え尽きない全ての人々に栄光あれ」(初出のロイターの記事)
米国にそそのかされ、占領地を奪還できると吹き込まれ、戦争に駆り出されて死んじまったり負傷したりした多くの国民が、栄光だけで報われるかどうかは知らない。
浮沈子は正義派じゃない。
ウクライナの地でどのような統治が行われようと、知ったことではない。
宇宙でたった一つしかない人間の住む星の上で、互いに武器を振りかざし、ドンパチやらかす愚かさを嘆くだけだ。
ガザ侵攻で、侵略者であるイスラエルのネタニヤフは、停戦は敗北と同じだと言い切った。
テロ攻撃を受けた自衛戦争として、いささかやり過ぎの感がある報復戦だが、武力を行使する国家の権力者がそう思っている以上、それを止めることは誰にもできない。
イスラエルは、自由な民主国家だからな。
やれやれ・・・。
ウクライナも同じだな。
その未来をどうするか、も一度、じっくりと考え直してみる必要があるような気がするんだがな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(北朝鮮、ロシアに100万発超の砲弾を供与-韓国情報機関)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-01/S3FXELT0G1KW01
「北朝鮮からロシアへの武器供与は8月から10回程度行われている」
「北朝鮮が供与した砲弾は約2カ月の戦闘に十分な量」
先日の記事では30万発と言ってたけど、もっと多かったわけだな。
やれやれ・・・。
それを、たった2か月で撃っちまうというのもべらぼうな話だ。
もちろん、それで終わりではないだろう。
ロシアは、ロケット技術を提供し、北朝鮮の軍事衛星の打ち上げを支援する。
んでもって、上手く上がれば、打ち上げにもう100万発だろう(そうなのかあ?)。
今後も、継続的に供給が続くものとみられる。
ロシアは、具体的に戦争継続の手立てを進めている。
囚人の徴兵や志願兵の募集、来年の選挙が終われば、新たな予備役の招集(たぶんね)。
イランや中国からの必要な物品の調達(ドローンとか)。
国内の兵器産業は、活況を呈しているだろうしな。
世界最大の人口を誇るインドなどへの石油の輸出も順調だ。
攻者3倍の法則に従えば、逆「反転攻勢」に伴うロシアの損耗はウクライナのそれを数倍上回るに違いない(6倍とも言われている)。
政治要請があれば、軍事常識を無視してリソースを投入する無茶苦茶な用兵をするお国柄だから、場合によっては10倍くらいの損失を出すことだってあるかもしれない。
それに耐えられる、そして、数十年に渡る長期的な戦闘を可能にする戦時体制を、この2年間に作り上げている。
イスラエルは、国連や場合によっては米国をさえ敵に回しても国家の意思を貫徹しようとしているけど、ロシアは安保理の常任理事国でもあるからな。
中国というお友達もいるし、インドをはじめとするグローバルサウスのファンも多い(ここは、数が勝負ですから)。
厄介だ・・・。
仮に、ウクライナが停戦に応じれば、ロシアのこうした投資や能力は一時的には宙に浮く。
つまり、余剰の武器生産能力なり調達能力が生まれることになる。
それは、実戦証明された(コンバットプローブンな)兵器の在庫増加と、それを求める他国への供給につながるだろう。
世界は不安定さを増し、混乱の火種が増えていく。
西側はこの間、短期の収束を前提として、生産設備の増強や投資を行っていないからな。
在庫の更新と、既存の生産力で賄っている。
彼我の差は、開くばかりだ・・・。
状況の長期化が進めば進むほど、不安定さは増大し、一触即発になっていく。
西側もどこかで兵器の生産力事態を増強する方向へと転換せざるを得なくなるだろうが、それには時間が掛かるからな。
その差が最大になったところで、再び戦闘が再開されるわけだ(そんなあ!)。
今度はウクライナだけではないだろう。
北朝鮮、台湾、東シナ海、南シナ海などの東アジア、アフリカ、東南アジア、南アメリカなど、紛争の火種を抱える地域で同時多発的に軍事衝突が発生する。
悪夢だ・・・。
これでは、迂闊に停戦などできないではないか(そういうことかあ?)。
西側には、始まっちまった戦争を継続させようというインセンティブが働いている。
ロシアを疲弊させようという試みは潰えたが、今ここでやめれば、世界の(西側にとっての)リスクを増加させるだけになってしまう。
少なくとも、西側が戦時態勢を整えて、長期戦に臨むことが出来るようになるまでは、ロシアを消耗させ続けなければならない。
更に、可能であれば、西側が再びアットーできるようになるまで、ウクライナには戦い続けてもらうのがよろしい(そうなのかあ?)。
戦場で勝てないウクライナであっても、大負けして崩れない程度に持ちこたえてくれれば、それは西側の利益につながる。
勝てないウクライナに、領土分割を前提とした停戦の圧力がかかるとは限らない(現に、中国の仲介で鄭セインしようとした時、米国は大統領まで動員して止めに入っているしな)。
「同盟国の支援拡大でウクライナは最終的にはロシアに勝利する」(再掲)
結論から言えば、勝利に必要な支援拡大はない。
西側に、その余力はないのだ(その余力があれば、自国の兵器を積み増す)。
見かけ上は、数パーセントの金額が上乗せされたり、若干兵器の増強はあるかも知れないが、攻め込んでくるロシアの勢いを弱めることが出来る程度だろう。
しかし、それは領土奪還には程遠いだろう。
今、再び攻め込まれているウクライナは、西側の支援の下、崩壊せずに持ちこたえることが出来るだろうか。
それすらも怪しい。
それはひとえにロシアの意思による。
まあ、ロシアのことだからな。
再び慢心して、拙攻をやらかさないという保証はない!。
が、ふつーに戦っていれば、ぼろ負けする気遣いはない。
じりじりと占領地を拡大し、ウクライナの産業自体を弱体化させ、西側の支援の意欲にボディーブローを与えつつ、政治的自滅を待つだけでいいのだ。
それは、ロシアの侵攻前に、西側がロシアに対して繰り出していた戦術そのものでもある。
双方がクリティカルな時期を乗り越えた後には、地力の差が出るのだ。
現代の戦争は総力戦だ。
兵を養い、武器を与え、突撃させて、以上終わりではない。
持続可能な産業態勢、民間軍事部門を絡めた複合的重層的な戦力の育成、安定的な国際関係、戦術や戦略を支える多様な兵器の開発、ある意味で最も重要な、情報戦を制する能力、エトセエトセ・・・。
個別に見れば、ドローンや衛星インターネット、衛星情報や電力インフラなど、21世紀らしいド派手な話はあるし、携行対戦車ミサイルや最新鋭の戦車、戦闘機、一発で戦艦を撃沈する長距離巡航ミサイルなど、ミリオタを刺激してやまない話は枚挙にいとまはないだろうが、戦いの帰趨を担っているのは大砲と地雷、突撃する歩兵や塹壕といったジミーな話だ(つまらん・・・)。
高度に訓練された、つまり、コストの掛かった兵隊ではなく、畑で取れたばかりの、安上がりで軍服さえ満足に支給されていない、訓練不足の大量の兵士が戦場の動向を左右している。
浮沈子は専門家じゃないんで詳しくはないんだが、兵站を担っているのもどうやら昔ながらの鉄道らしい。
ジャストインタイムで供給されるわけでもなく、後方に備蓄して、集積されてから車両で供給されているようだ。
ロシアは、自前で全てが差配できる(もちろん、輸入もある)が、ウクライナは支援国との調整や受け入れの問題も抱えている。
実務的にも複雑な問題を処理していかなければ、統制の取れた戦いは難しい。
本格的な侵攻から2年近く、ウクライナは戦術的にも戦略的にも、良くやってきたと言っていい(浮沈子は、昨年2月の侵攻後、10日以内にケリがつくと見ていた)。
これまでは、侵略された祖国を守るとか、領土を取り返すとか、戦闘のモチベーションを高めるのに苦労する状況ではなかったが、これからは祖国の存続をかけて戦うことになる(そうなのかあ?)。
負けないこと、抵抗し続けることが戦略目標になる。
難しいなあ・・・。
ロシアの強力な逆「反転攻勢」を受けて、戦略的退却を迫られる場面も多くなるに違いない。
侵攻1年目のロシアと同じだ(最大版図の約半分からの撤退を余儀なくされている)。
兵員について、ロシアは大規模な予備役の招集や民間軍事部門の活用で凌ぐことが出来たが、ウクライナは戦闘員の不足も深刻だろう(未確認)。
確認しておこう。
今ウクライナが勝てないのは、ロシアが犠牲を厭わずに無謀な用兵をしているとか、西側の援助が滞っていて、投入している戦力が活用できていないからではない。
もちろん、一部にはそういうことがあるかもしれないが、国力の差が歴然と現れているということに他ならない。
ここで、西側の支援に変化が現れるとか、停戦の動きが出てきたりすれば、ラクダの背中に藁を1本置くことになる。
この状況での停戦は、ウクライナにとっては敗北と同じだ(そうなのかあ?)。
おいそれと応じることはできないだろう。
しかし、そうしなければ戦場で負け続けるだけになる。
元々、非対称戦を強いられている中で、撤退が続けば踏みとどまることに困難が生じる。
ウクライナの内陸には、強固な防衛線を設定しにくいからな(ドニプロ川とかありますが)。
それとも、前線でロシア軍の攻勢を凌いでいる間に、新たな防衛線を早急に築いているんだろうか。
そうして、来年もまた、ロシアを領内から追い出して、占領されている領土を完全に奪還すると宣言するつもりなんだろうか(ありえねー・・・)。
ロシアの占領地を分断して、アゾフ海へ通じ、クリミア半島を孤立させて奪還するというグランドデザインだったが(浮沈子的には、分断した部隊の補給線を考えれば無謀に思えるけど)、少なくとも今年はその片鱗を見たに留まった。
ロシアは反転攻勢を良く凌ぎ、限定的な前進にとどめている。
今後、逆「反転攻勢」を食らい続けるウクライナが、同様の防御力を発揮できるかどうかは疑問だ。
唯一の強みは、ロジスティクス上のあい路がない点だが、そもそもの兵器や弾薬をどーするという問題は未解決なままだ。
押し戻されて、ロシア国境と前線の距離が増えれば、長距離射程のミサイルとかロケット弾の供与は受けやすくなるかもしれない(それって、メリットなのかあ?)。
ロシアは、100万発の砲弾を2か月で撃ち尽くす。
その弾幕の向こう側に、ウクライナのアスがあるのかは、誰も知らない・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーー
(ロシア、1日で118カ所の集落を攻撃=ウクライナ内相)
https://www.bbc.com/japanese/67294264
「ロシアは大きな損害にもかかわらず、依然として「武器や装備、ミサイル、弾薬において優位に立っている」」(ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官)
「(アウディイウカは)消され、破壊された。この1日で40回の大きな爆撃があった」(アウディイウカの地域指導者ヴィタリ・バラバシュ氏)
「ロシアは攻撃の第3波を用意していると警告した。ウクライナ当局は、ロシアがこの町を包囲し占領するため、増援部隊を投入しているとしている。」
「ウクライナ軍参謀は、10月31日にアウディイウカ周辺だけで20回の攻撃があったと述べた。」
情報の正確さはともかく、ロシアが東部で攻勢を強めていることは間違いない。
「ロシアはまた、北東部ハルキウ州のクピヤンスクでも攻撃を激化させており、バフムート周辺の領土の奪還を阻止しようとしている。」
が、別の記事では、ウクライナが善戦している様子も伝えられている。
(トラックで駆け回るりゅう弾砲「カエサル」 激戦地でロシア部隊を次々に撃破)
https://forbesjapan.com/articles/detail/67056
「ウクライナ側はこれまで、ロシア軍の前進をおおむね押しとどめている。」
「ウクライナの守備隊は3週間にわたり、攻撃してくるロシア軍の縦隊を砲撃で次々につぶし、兵士2000人・車両数百台という1個旅団規模の損害を与えた」
「ロシア軍がアウジーイウカでの作戦に先立ち対砲兵戦術を練り上げたにもかかわらず、第55旅団のカエサルを1両も撃破できていないとみられる」
「狙いすました場所にクラスター弾を雨のように降らせれば、敵の数個小隊を壊滅させることができる。」
「カエサル自走りゅう弾砲を運用する砲兵部隊のメッセージは明確だ。家に帰れ。さもなくば155mm弾は容赦しない、と」
なんとも勇ましい発言だが、家に帰るのがどっちかは分からない。
「ウクライナの反転攻勢は今のところ、南部と東部でロシア軍に占領された領土の奪還にほとんど進展しておらず、西側諸国が戦争に疲弊することを懸念している。」(BBC)
「ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)からの兵器供与にもかかわらず、戦争に負け始めている」(ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相)
「ウクライナがザポリッジャやヘルソン、ドネツクの奪還作戦で大きな損害を被ったと発言。「兵士の士気も下がっている」と述べた。一方で、ロシア部隊は前進している」(同上)
まあ、軍のトップが威勢のいいことを言い合うのは当たり前だ。
報道は、それらを伝えてくれるが、何がどうなっているかを知るすべはない。
「アメリカの支援がなければプーチンが成功してしまうと明言する」(ロイド・オースティン米国防長官)
米国議会に対する警告だが、ウクライナが支援頼みということは間違いないだろう。
「同盟国に対し、戦闘機やドローン、最新の電子兵器や地雷除去技術などを提供するよう呼びかけ」(ザルジニー総司令官)
アウディーイウカ周辺で大活躍の自走りゅう弾砲カエサルも、西側供与の兵器だし、発射されているクラスター弾も西側供与(米国製)だ。
まあいい。
東部での戦況は、いずれ明らかになるだろう。
家に帰るのがウクライナなのか、ロシアなのかも分かる。
混迷を深める欧州の支援体制や、米国の予算措置状況も、年内には決着する。
懸念が生じていることは事実だが、西側の支援が継続することは間違いない。
米国の支援がなければ、プーチンが成功することは確かだが、問題は支援があってもプーチンの成功が見えてきているという点だ(そうなのかあ?)。
誰が何を言っているかからは、本当のことは分からない。
重層的な情報戦が敷かれている中で、報道が伝えられるのは、現地からの伝聞、限られた現地取材、そして、大本営発表や政治的な意図満載の発言だけだ。
「本当のことを言うなら、全ての立場に疲れが見えている」(イタリアのジョルジャ・メローニ首相)
ポロリと漏らした本音だそうだが、短期決着を想定していた西側が、想定外の事態に陥っていることを示唆している。
投資の失敗に気が付き、早期に損切りするのか、際限のない穴につぎ込み続けるのかの判断を迫られている。
から手形(占領地の全面奪還)を発行し続けるゼレンスキーに、いつまで支援を続けるか、政治的には難しいところだ。
事業が成功しないのは、投資規模が足りないからだというが、規模に見合った戦果が上がっていないことも事実だ。
ウクライナの存続自体が戦果だと言われてもな・・・。
それが、台湾有事や朝鮮半島有事、南シナ海や東シナ海の衝突を防いでいるというのは、いささか桶屋が儲かる話に聞こえる。
現在の支援規模と内容を継続すれば、ウクライナはロシアの侵攻を食い止め、存続し続けることが出来るのかという問題もある。
戦争は相手のある話だから、ロシアがどうするかにもよるが、今の状況を見ていると、膠着状態が続くか、逆「反転攻勢」が占領地域の拡大やウクライナのインフラを圧迫して、国家としての息の根を止めに来る可能性が高い気がする。
ウクライナが、望み通りの領土奪還を実現するには、ロシア自らが占領地を放棄するしかないだろうし、自国兵士の血で贖った土地である以上、ウクライナ兵士の血で取り戻すしかない気がする。
この数か月の反転攻勢で見えてきたのは、それが不可能かもしれないことだ。
今年不可能なだけだったのではなく、未来永劫不可能かもしれないという、お先真っ暗な状況になっている(そんなあ!)。
ロシアだって、厳しい状況には違いない。
停戦や休戦に持ち込めれば、一息つくことが出来るだろう。
インセンティブがないわけではない。
しかし、別に戦い続けても構わない。
その態勢は築かれている。
ウクライナ側からすれば、停戦や休戦はロシアの軍事力を増強させるだけということになる。
「ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官は1日、戦争は今や「位置関係の」、つまり静的な段階に移行していると警告した。(BBC:原文:the war was now moving to a "positional" or static stage.)
「英誌エコノミストへの寄稿でザルジニー氏は、これによってロシアに「軍事力を再建する」余裕を与えてしまうだろうと述べた。」(同上)
イスラエルと同じ言い回しに聞こえるな。
停戦はハマスに対する降伏と同じだ・・・。
ウクライナは戦い続けなければ、その存在意義を失う。
停戦や休戦しているウクライナに、支援の手は差し伸べられないだろう(そうなのかあ?)。
その間、ロシアの軍備は着々と進み、戦闘再開時には決定的な差が付いている可能性がある。
その一方で、戦闘を継続する中で膠着状態が続けば、長期化への懸念が生じてくることも確かだ。
時間は、常にロシアに味方しているように見える。
そう見えるのは、事態が短期の戦場の動向だけでは左右されない、新たなステージに進展したことを示唆している。
支援を含めたウクライナの国力と、ロシアの国力とのぶつかり合いになっている。
10両のカエサルの活躍では、どうしようもないわけだ。
この冬、ウクライナがどういうポジションになるかは大注目だな。
ロシアの攻勢が続き、西側の支援が見直される事態になれば、(西側の)想定外の事態が生じる。
状況が管理しきれなくなり、ウクライナがロシア本土に攻撃を仕掛けたり、中国の仲介で停戦するかもしれない。
一寸先は闇のウクライナ情勢。
ああ、もちろん、浮沈子の妄想の通り、クリミアに核爆弾が投下され、西側の支援で大規模部隊が揚陸されて、戦況が覆る可能性だってある(ねーよ・・・)。
陽動作戦に過ぎなかったガザ襲撃は、大成功だったからな(そうなのかあ?)。
それとも、ウクライナ侵攻自体が、イスラエルにおける占領強化の陽動作戦だったのか(そんなあ!)。
もう、ワケワカ・・・。
<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー
(ウクライナ戦争の停止、露国民7割が支持 露世論調査)
https://www.sankei.com/article/20231102-D4JWS2I355PQFLVACIPWBLECFI/
「「仮にプーチン大統領がウクライナとの戦争停止を決めた場合、その決定を支持するか」とロシア国民に尋ねたところ、70%が「決定を支持する」と回答」
まあそうだろうな。
「レバダ・センターは10月19~25日、18歳以上の露国民約1600人を対象に世論調査を実施。結果を31日に公表」
どんな調査機関なのか気になったので、調べたら記事が上がっていた(今年1月の記事です)。
(ロシア社会は“プーチンの戦争”を止められない)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/01/27/28858.html
「2003年に設立された「レバダセンター」」
「「レバダセンター」は2016年、プーチン政権によって、いわゆる「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながらも独自の世論調査活動や分析を続けています。」
ロシア当局には、あまり人気がないようだな。
「政権に批判的な姿勢を変えることなく、世論調査や分析を続けてきた独立系の世論調査機関「レバダセンター」で、所長を務めてきたグドゥコフ氏」
「2021年5月に所長を退任したあとも、研究部長としてロシア社会について独自の分析を続け、リベラルな論客として活動」
「ロシアは民主主義国ではありませんし、世論は体制が下す決定に何の影響力も持っていません。」
そうはいっても、一応選挙はあるし、反体制派が活動もしている(すぐ、投獄されちゃいますけど)。
「ウクライナでの軍事活動の開始とともに、260以上の人気のある出版物、インターネットのポータルサイト、「モスクワのこだま」といったラジオ局、「ドーシチ」のようなテレビ局、ネットメディアの「メドゥーザ」などが閉鎖」
「国民の大多数はここへのアクセスを失い、国営テレビからすべての情報を得ています。これは非常に攻撃的で、うそが多くデマに満ちた、非常に強力な全体主義的なプロパガンダの影響力を持つチャンネルです。」
やれやれ・・・。
国民の多くは、国営テレビに洗脳され続け、正しい情報からは遠ざけられている。
レバダセンターのアンケートは、そうした中で行われていることに注意だ。
「仮にプーチン大統領がウクライナとの戦争停止と、併合したウクライナ領土の返還を決めた場合、その決定を支持するか」
「「完全に支持する」「おおむね支持する」とした回答者の割合は計34%」
「「あまり支持しない」「全く支持しない」との回答は計57%」
戦争の継続には反対だが、ロシアが血で贖った土地は返還したくないわけだ。
当然だろうな。
N社の記事によれば、ロシアでは面従腹背が定着しているそうだ。
「ソビエト時代の二重思考の技能はここに由来しています。自宅の台所でなら、罵ったり思っていることを話したりできます。ですが、公の場では人々は政権が彼らに期待している通りに行動するのです。」
レバダセンターのアンケートが、どっちの思考を反映しているのかは知らない。
「人々は戦争を望んでいませんし、そもそも自身の日和見主義と体制順応主義の下で、平和に暮らしたいと思っています。」
「クリミア併合は流血なしの素早い作戦でした。」
「2022年3月にはこれを期待していたものの、うまくいきませんでした。戦争は長期化し、損失の規模は大きくなっていく一方です。」
N社の記事からは、1年近くがたって行われた今回のアンケート。
「プーチン政権は従来、「国民の大多数がウクライナでの軍事作戦を支持している」と主張してきたが、今回の調査結果は露国民内での厭戦(えんせん)機運の高まりを示唆」(産経)
ロシアの一般市民の間では、ロシアが攻め込まれたわけでもないのに、隣国を攻撃し続けることに対する批判が渦巻いているんだろう。
当局のプロパガンダにもかかわらず、市民の間に常識が機能していることにホッとする。
と同時に、その常識は血で贖った土地の放棄を否定するわけだ。
停戦は遠いと感じざるを得ない。
記事では、ロシアの状況について、興味深い分析もあるが、ここでは触れない。
来年のロシア大統領選挙は滞りなく行われるだろうし、プーチンの再選は間違いない。
停戦は実現せず、ロシアが占領地を放棄することはない。
戦争は、構造的に長期化する。
おそらく、ウクライナの来年の目標も、「国家の存続」に留まるだろう(対外的には領土奪還というでしょうが)。
その間、じりじりとロシアに攻め込まれ続ければ、支援の形態に変化が生じ、国家の存続も危うくなるかもしれない。
翌年も、また翌年も、同じ状況が続けば危ないな。
ロシアには帰る家があるが、ウクライナ兵にはそれがなくなるかもしれない。
実際に、都市部への絶え間ない攻撃が続けば、文字通りな事態も生じる。
確認しておこう。
ロシアは民主国家じゃないそうだから、アンケートの結果が政策に反映されることはない。
戦争の継続は人気がないが、占領地を放棄して停戦することには反対だ。
いずれにしても、ウクライナ紛争は長期化する。
それを止められるのは米国だが、そんな気はさらさらない。
ロシアも米国も、戦場でケリをつける腹だ。
未だに、公式にエイタクムスの供与を認めていない米国の真意は分からない。
一発逆転の兵器にはなりそうもないし、今のところその気配もない。
近接戦闘では使えないから、遠隔地への攻撃を想定していることは確かだ。
やっぱ、クリミアかな。
今年の締めは、ショボい話に終わりそうだな・・・。
<また追加>ーーーーーーーーーー
(ロシア軍防空網、弱体化か 地対空ミサイル発射機4基失う 英分析)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4d36b49dd579f1a4e83dc583cc8316addab02a45
「西側諸国の支援を受けたウクライナ軍の使用する「近代的な精密攻撃兵器に手を焼いている」」
防空システムに穴が空いたとか、モスクワが空爆し放題になったとかいう話ではない。
「ロシア軍が先週、ウクライナ軍の攻撃により同国東部ルガンスク州などで長距離地対空ミサイルの発射機を少なくとも4基失った」
「補充に伴い「他の作戦地域の防空態勢が弱体化する可能性が現実味を帯びている」」
うーん、「弱体化」する「可能性」が「現実味」を帯びているわけか。
影響がないわけでもないという程度なのかな。
「手を焼いている」程度では、軍事的には影響がないだろう。
英国民の税金で供与した兵器は、その程度しか機能していないのか。
もっと、こう、ド派手な絵面が欲しいな。
先日のセバストポリで、潜水艦のどてっぱらに開いた穴みたいなヤツ!。
EUを離脱した英国は、独自の立場で支援を展開している。
やっぱ、この時期、今年の支援の総決算みたいな話が必要だ。
「弱体化」、「可能性」、「現実味」、「手を焼いている」では弱いだろうな・・・。
<またまた追加>ーーーーーーーーーー
(消耗戦は「ロシアに有利」 空軍、電子戦強化が鍵)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ada832353103bd9caf4cd2d91b997d3761c3b1f4
「ロシアの侵攻が互いの陣地を奪い合う消耗戦に移行しており、軍事力を回復できるロシアにとって有利な状況が生まれる」(ウクライナ軍のザルジニー総司令官)
上記のBBCの記事の話の詳細が出ていた。
「ロシア軍の人的損失は甚大だが武器備蓄では今後も優位性を保つとして「ロシアを過小評価すべきでない」と強調」
支援を含めたウクライナ軍の総力として、ロシアに十分対抗できているわけではないということなわけだ(そうなのかあ?)。
政治家とは異なり、職業軍人はプロだからな。
強いものは強いと、正当に評価できる。
敵を貶める必要もないし、必要以上に味方を持ち上げることもしない。
が、正当に評価したとして、その支援が得られるかどうかは別問題だ。
「空軍や通信妨害などの電子戦の強化」
「ミサイルや砲弾などの兵器増強も重要」
「ロシア側の兵器を破壊するための武器や、地雷除去技術も必要」
それらを潤沢に提供できたとしても、肝心のウクライナの兵力が伴うかどうかは、さらに別の話だ。
戦場では、それらの総合力が問われる。
今年の戦略目標は達成できなかった。
浮沈子は、目標の設定自体が過大だったと見ている。
1年足らずでロシアの支配地域すべてを取り戻すことなどできはしない。
それは、これからますます難しくなるだろう。
ウクライナが核武装し、モスクワの防空システムを次々と破壊し、クレムリンをむき出しにして核ミサイルで恫喝でもしない限りは難しい。
もちろん、そんなことは現実には起きないし、地べたを這って進軍していく陸上部隊がその成果を得るには年単位の時間が掛かる。
それも、必要とされる兵器や兵力、支援が理想的に提供され、武運がもたらされた時の話だ。
対ロシア戦では、今後は難しい。
敵は、それらを悉く持っているしな(武運もかあ?)。
ロシアが逆「反転攻勢」に出た時、1000kmの戦線を維持しなければならないのはウクライナ側になる。
北東部は、ロシアのロジも強く、攻めやすいからな。
これからも、厳しい状況が続く。
ウクライナが来年以降、進軍したい南部には十分な兵力を回すことが出来なくなる可能性がある。
そこに、戦力に勝るロシアが増強した兵力を振り向けてくれば、反転攻勢どころか占領地を増やされる恐れがある。
ヘルソンからミコライウ、オデッサにかけての南部回廊を押さえられれば、内陸国となったウクライナの国力は激減する。
国力の低下は、戦力の低下を招き、負のスパイラルが始まって反転攻勢どころか、さらに戦争を継続すれば国家の維持も危うくなる。
どうなるかは、ロシア次第だ。
戦場でケリをつけるつもりなら、全面降伏するまで戦うしかない。
その後は、バルト3国、ポーランド、ドイツなどへと蚕食が続く。
まあ、それもロシア次第だがな。
ロシアを追い込んだツケを、西側がとことん喰らうことになる。
その頃は、もう、プーチンは存在しない。
この戦争がプーチンの戦争だと言っていた人々も、この世にはいなくなっている。
大ロシア帝国という怪物を産み出したのは確かにプーチンかも知れないが、飼い太らせたのは外ならぬ西側だ。
そして、そのツケは、自ら食い殺されることによって払うことになる。
西は大西洋から南はインド洋まで、大洋に阻まれて進軍が止まるまで、誰にもそれを止めることはできない。
ウクライナで我々が見ているのは、西側の軍事的常識を逸脱した、時代遅れの用兵から脱却できない頓珍漢な戦術を繰り返す、愚かなロシア軍に見える。
兵士の人命は鴻毛より軽く、次から次へと無尽蔵に供給される。
西側には理解できない、異次元の戦闘が延々と続くことになる。
ザルジニーが見ているのは、そういう世界だ。
もっとも、ウクライナだって人のことは言えないだろう。
ドローンの活用などで多少洗練されているとはいえ、航空支援無き陸上兵力の投入で、甚大な損亡を食らっている。
兵力の投入がいつまで続くかは分からないが、ウクライナは早晩、兵力不足に陥ることになる。
守りに入れば損耗を抑えることが出来るけど、戦略的に兵器などの支援を受け続けることが出来るかどうかという問題を抱えることになる。
自国内の生産は間に合わず、じり貧に陥る危険が出てくる。
ロシアは、最後まで押し切るかもしれない。
既に、次の戦略目標を西側に置いている可能性もある。
ロシアはすでに、NATOと直接対峙する大欧州戦争への準備を始めているのだ。
NATO諸国の司令官が、サルジニーと同じ世界を見ることになるだろう。
(【速報】ロシアがCTBT・包括的核実験禁止条約から事実上離脱へ プーチン大統領が法令に署名)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d5c9bdcc89d35593df22fcff5a5ced0cda5d4004
「アメリカは長い間条約を批准せず、我々の共通の懸念を執拗に無視してきた。我々が目の当たりにしているのは偽善だ。アメリカが義務を果たす措置を講じなければ、この条約は見せかけとなる。ロシアがこのまねごとに参加する意味はない」(マトビエンコ上院議長)
ロシアがその際に対峙しようとしているのは米国だ。
欧州は、その通過地点に過ぎない。
NATO第5条が、張子の虎かどうかが試されるときは近いだろう。
ドーバー海峡が見える丘に(そんなところがあるかどうかは知りませんが)、ロシアの国旗が翻る妄想が見えてきた気がする・・・。
(対ロ反攻、早急な成功期待すべきでない=ゼレンスキー大統領)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/T7MWJLNJTFIHDM5TZ2DH23UZJU-2023-11-01/
「われわれは、あまりにも早急な成功に慣れてしまった世界に住んでいる。本格的な侵攻が始まったとき、世界中の多くの人はウクライナが生き残れるとは思っていなかった」
「同盟国の支援拡大でウクライナは最終的にはロシアに勝利する」
「黒海の戦いでのウクライナの成功は、今日多くは語られていないが、歴史書に載るだろう」
うーん、どこの国の歴史書かが問題だな。
(ガザ攻撃で深まるウクライナ支援国の分断と離反 ゼレンスキー大統領は苦渋の発言修正)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/900000690.html
「アラブとイスラムの国々にとっては、いまやイスラエルはロシアと同じ無慈悲な「民間人を殺害する戦争犯罪人」に見えているにもかかわらず、ゼレンスキー大統領としては「イスラエルはロシアがウクライナでやっていることと同じことをガザでしている」と訴えかけることはできない立場だ。」
イスラエル情勢で、浮沈子はゼレンスキーがイスラエル支持なことが疑問だったが、全てはロシアに対抗する基準で計られているとすれば理解できないではない。
「ハマスとロシアは「同じ悪であり、違いはイスラエルを攻撃したテロリスト集団とウクライナを攻撃したテロリスト国家だというにすぎない」」
「世界の結束を弱めるため中東で戦争をあおることはロシアの利益になる」
まあ、記事にもあるように、その後、イスラエルは侵略者としての本性を露わにし、暴虐の限りを尽くしている。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子がこの記事で注目したのは、末尾の記述だ。
長いが引用する。
「1990年代の混乱するロシアで、プーチン大統領は西側の民主主義、自由主義の身勝手さを骨身にしみて経験してきた。」
「「民主主義」を標榜する西側は、選挙での政権維持に腐心せざるをえず、不安定な民意などというものは、戦争の長期化によるエネルギーの高騰や穀物不足に音を上げ、そのうち自国利益中心に変わり、ウクライナへの支援も先細っていくに違いない、欧米の言う「民主主義」などその程度のものだ、とタカをくくりながら長期戦を睨んでいるのだろう。」
エネルギーの高騰と穀物不足が主たる要因になるのかは知らない。
が、ウクライナへの支援が、量的にはともかく、質的変化を伴い、その意味を変えていく兆候は既にEUでも現れている。
戦場で勝てないウクライナを、どう支援していくのか。
それは、単にウクライナをどうするかという問題ではなく、動乱の時代において、「専制主義」に対して「民主主義」をどう守るかという話につながる。
つーか、単に西側が中露に対してどう対抗するかという話だ。
たぶん、イデオロギーの問題じゃない。
この間、ウクライナ情勢は大きく転換している。
(ロシア軍 ウクライナ各地を夜間に攻撃 製油所が破壊され火災)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231101/k10014244621000.html
「ロシア軍は、東部ドネツク州のウクライナ側の拠点、アウディーイウカでも掌握をねらって部隊を増強」
「敵はアウディーイウカの包囲を諦めておらず、航空戦力を使って攻撃を支援している」
スホーイ25も撃墜されているらしいから、まともな地上戦(つまり、ちゃんとした航空支援も受けている)を展開しているということだろう。
「ドネツク州のバフムトでの戦闘について、「ロシア軍が防衛から積極的な攻勢へと移行した」」
(ロシア軍 ウクライナ東部で攻勢強めるも 南部では守りを強化か)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231101/k10014243741000.html
「ロシア軍は、クピヤンシクで活発に活動し、バフムトでは防衛から積極的な攻勢へと移行した」
「ハルキウ州クピヤンシクやドネツク州バフムトでロシア軍が攻勢を強めている」
「ロシア軍が南部ヘルソン州で作戦指揮をとる司令官に、精鋭とされる空てい部隊の司令官で、参謀本部の評価が高い、テプリンスキー氏を新たに任命」
「ロシアにとって、ヘルソン州の占領地域の維持が優先課題となっている」
占領地域の維持で、エースを投入するというのは考えづらい。
ここはズバリ、南部でも逆「反転攻勢」を掛けるつもりだろう。
一度は占領しながら苦渋の撤退をしたヘルソン市の再占領と、オデッサへの侵攻を睨んでいるに違いない(テキトーです)。
今年中に、ウクライナが領土奪還を果たし、ロシアを交渉に引きずり出すという目論見はどこへ?。
最近の報道では、「反転攻勢」という威勢のいい表現も見られなくなりつつある(そうなのかあ?)。
反転攻勢しているのは、ロシアの方だしな。
迂闊に使うと、敵を利することにもなりかねない。
「ウクライナ軍の部隊は、ヘルソン州を流れるドニプロ川でロシア側が占領する東岸に渡って反転攻勢を続けていて・・・」(ちゃんと使ってるじゃん!。)
まあ、どうでもいいんですが。
ゼレンスキーは、年内の目標を「領土の完全奪還」から「ウクライナ存続」に引き下げたようだが(そういうことかあ?)、浮沈子には妥当に思える。
([FT]ウクライナ、兵器の自前調達へ 防衛産業の構築急ぐ)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB011ZU0R01C23A1000000/
「西側の支援国への依存を減らすために、ウクライナは国内防衛産業の構築を模索する。」
「世界中で弾薬が枯渇しており、ここウクライナで生産すべきだということは理解している」
分かっちゃいるけど、そう簡単には作れないだろう。
今は、西側の軍事援助や自国兵器の改良で凌いでいるだろうが、それがいつまでも続くわけではないことは分かっている。
ロシアとの戦争を、どれ程長期に想定しているかにもよるけど、戦車や戦闘機などは到底、自前で作ることは難しいだろう(戦車とかは、ラインメタルと提携して国内生産できるようにするかもしれない)。
装甲車両、陸海空のドローン、大砲、弾薬といった、いわば消耗兵器が主たる生産品になる。
航空宇宙産業もあるくらいだから、基本的な技術力は高い。
(ウクライナの宇宙開発)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%81%AE%E5%AE%87%E5%AE%99%E9%96%8B%E7%99%BA
「ソビエト連邦の宇宙開発のうち約 30 % がウクライナにおける研究の成果」
しかし、軍事産業として展開するということになれば、様々な問題をクリアしていかなければならないだろう。
実際には、ラインメタルの話のように、西側防衛産業の呼び込みという形になるんだろう。
それも、実際には「戦後」ということになるらしい。
(焦点:西側防衛企業、ウクライナでの武器生産実現は「戦後」か)
https://jp.reuters.com/article/defence-ukraine-idJPKBN2Y9062
「西側の防衛関連企業はウクライナでの武器生産に関心を持っているが、あくまで「戦後」になってからの話」
「侵攻してきたロシアを押し返す戦いを続けているウクライナは、ドローンや弾薬から戦車まで、国内における武器生産能力の拡充を渇望している。」
「しかし話を聞いた業界幹部は、現時点ではリスクがあまりに大きい」
「クライナと共同生産事業に関して直接話し合っているとは承知していない」(米防衛大手ロッキード・マーチンの航空宇宙事業を率いるグレッグ・ウルマー氏)
「戦争が続いている間に直接投資への意欲を見せた業界幹部はゼロ」
浮沈子が注目していた、ラインメタルの現地生産についても出ている。
「ドイツのラインメタルは先月、ウクライナ国有企業ウクルオボロンプロムと合弁事業を立ち上げ、ウクライナ国内で戦車の製造と修理を手がけると発表。」
「業界幹部によると、修理施設に比べて全面的な組み立てラインを設置するのは難しい。」
つまりだな、消費地に近いところでの生産は有利には違いないが、問題は「近過ぎる」ことなわけだ。
「メドベージェフ前大統領は、ラインメタルがウクライナに立ち上げた施設全てが報復攻撃対象になると警告」
やれやれ・・・。
「主要保険会社が、リスクが高すぎるとして戦時下のウクライナを総じて保険対象から除外しているという問題もある。」
つまり、当面の需要を賄うためにウクライナが自国で必要な兵器を生産できる目途はない、ということになる。
「大半の西側防衛企業は当面、ウクライナ国外からの支援を続けたい様子」
この記事は、以前にも読んだ記憶がある(6月頃の記事)。
状況は変わっていないからな。
「リスク」という点では、むしろ増大しているだろう。
要するに、西側の援助に頼る以外に方法はないということになる。
で、その西側の援助が変質しつつあるわけだ。
その原因は、ウクライナが戦場で勝てなくなったからだが、その状況を作ったのはロシアが戦闘国家としての態勢を立て直したからということになる(ロシアの消耗も激しいだろうが、それに耐える態勢を作り上げてしまった!)。
検証が困難な海洋での戦果を誇張するしかないゼレンスキー政権は、今年に限って言えば、完全に敗北している。
西側は、戦略を見直す必要が出ている。
勝てないウクライナを使って、どう勝利するかという難しい対応だ。
支援は継続し、見かけは同じだろうが、その目的とするところは変わる。
ウクライナにとっては、質的変化というのは死活問題だ。
領土分断は当然として、残る自国領土での統治の問題も出てくる。
少なくとも、現在の政権がそのままの形で存続することはない。
経済圏としては、EUに取り込まれることになるかもしれないし、それはロシアも認めているが、国家のカタチとして、あくまで領土奪還を目指して戦闘を継続する姿勢は取れないだろう。
安全保障上の、(素のNATOではない)何らかの枠組みの中で、ロシアとの共存を図ることになる。
それは、事実上の降伏に等しい。
いや、その線で合意に漕ぎ着けられれば、大勝利かも知れない。
そもそも、浮沈子の妄想の中では、米国は戦場でロシアが相応の犠牲を払えば、ウクライナをくれてやることになっている。
そもそも、軍事的に非対称な戦争が継続できるわけはなく、西側の援助はNATOに火の粉が掛からないことを大前提とした制約が大きい形で行われている。
その限界が見えてきたということなわけだ。
そろそろ、収束(停戦や休戦)を真剣に考えておかないと、完全な敗戦ということになりかねない。
ロシアは、戦場でケリと付けようと言い放っている。
アウディーイウカでの戦闘では、犠牲を厭わず、きっちり航空戦力も投入して、まともな戦争(まあ、ロシアにとってですが)をしている。
近接肉弾戦な状況では、期待の新兵器(?)であるエイタクムスも役には立たない。
もちろん、戦争だからな。
前線の情報が正確に伝えられているとは限らないし、戦略的な話になれば、なおのこと情報戦が活発になる(特に、西側は「民主主義」だそうだからな)。
それでも、本来なら徹底抗戦をアピールして、戦果を強調したい一方の当事者が、戦略目標を引き下げたり、検証困難な戦域での勝利を喧伝しだしている状況を見れば、戦況はおのずと明らかだ。
今日は11月。
マークミリーが期限を切った、反転攻勢の期限は過ぎた。
それは同時に、浮沈子の妄想の中で、クリミアに核爆弾が投下されるタイミングが訪れたということでもある。
起死回生の、一発の核(もちろん、複数でもいいんですが)。
もっとも、それが戦況を変えるきっかけになるためには、ヘルソン州の大部分がロシアに占領されている中で、海上からクリミアに大量の兵力を揚陸しなければならない。
21世紀版、ノルマンディー上陸作戦が必要なわけで、西側の情報戦がどれほど成功しているかは知らないが、そんな気配は毛ほどもない。
ちょっと待てよ、ガザのハマスの襲撃は、そのカムフラージュとしてやらせたのかもしれないな(そうなのかあ?)。
陽動としては、ちょっとインパクトがありすぎる気がするけど、ノルマンディでも陽動作戦が行われたからな。
「黒海の戦いでのウクライナの成功は、今日多くは語られていないが、歴史書に載るだろう」(再掲)
うーん、怪しい・・・。
実に怪しい!。
月が替わって、今年も残るところ2か月を切った。
ウクライナの反転攻勢は、少なくとも今年は終わった。
冬に向けて、インフラに対する攻撃に備える季節がやってきたわけだ。
「中部ポルタワ州では製油所が破壊されて火災が起きました。ウクライナ側は本格的な冬が迫る中、防空システムの強化に向けて欧米各国に支援を求めています。」(前出のNHKの記事より)
「ロシア側からの無人機による攻撃でクレメンチュクにある製油所が破壊されて火災が起きた」
電力施設だけではなく、燃料関係の施設にも攻撃が及んでいる。
報じられている事実だけの現実の世界では、今年はこのまま大規模な地上戦闘は収束し、飛び道具中心の攻防に移るだろう。
反転攻勢は功を奏せず、ウクライナは残りの領土を維持しただけで、失意の中で年を越すことにる。
来年2月になれば、ロシアのウクライナ侵攻は3年目を迎えることになる。
反転攻勢の失敗、ロシアの強靭化を許した1年が終わり、西側に支援の見直しを促すことになる。
3年目は厳しいだろうな。
ゼレンスキー政権は、来年も、領土の完全な奪還と、ウクライナの勝利を訴え続けるんだろうか。
ウクライナへの援助が、西側にとってお得な投資ですと、売り込み続けるつもりなんだろうか。
ロシアは、現在、多大の犠牲を払って逆「反転攻勢」を掛けている。
ロシアにとっての「勝利」に必要なものが何かが分かっているのだ。
確かに、作戦は無謀で兵士を使い捨てにし、命令不服従や投降者も多数に及び、虎の子の航空機の損耗もあるだろうが、それによって得るものが何かは明確に分かっている。
ウクライナ降伏不可避。
浮沈子の見立ては変わらない。
停戦交渉が、水面下でどの程度進んでいるかは分からない。
ひょっとしたら、無条件全面降伏でなければ、ロシアは呑まないかもしれないしな。
侵略者は占領者となり、それらしく振舞う。
ロシアも、ウクライナ地域と敵対ばかりはしていられないだろうから、戦後の統治についてはそれなりのビジョンを持っているに違いない。
ウクライナの明日がどうなるかは、ウクライナが決める。
「後退せず、燃え尽きない全ての人々に栄光あれ」(初出のロイターの記事)
米国にそそのかされ、占領地を奪還できると吹き込まれ、戦争に駆り出されて死んじまったり負傷したりした多くの国民が、栄光だけで報われるかどうかは知らない。
浮沈子は正義派じゃない。
ウクライナの地でどのような統治が行われようと、知ったことではない。
宇宙でたった一つしかない人間の住む星の上で、互いに武器を振りかざし、ドンパチやらかす愚かさを嘆くだけだ。
ガザ侵攻で、侵略者であるイスラエルのネタニヤフは、停戦は敗北と同じだと言い切った。
テロ攻撃を受けた自衛戦争として、いささかやり過ぎの感がある報復戦だが、武力を行使する国家の権力者がそう思っている以上、それを止めることは誰にもできない。
イスラエルは、自由な民主国家だからな。
やれやれ・・・。
ウクライナも同じだな。
その未来をどうするか、も一度、じっくりと考え直してみる必要があるような気がするんだがな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(北朝鮮、ロシアに100万発超の砲弾を供与-韓国情報機関)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-01/S3FXELT0G1KW01
「北朝鮮からロシアへの武器供与は8月から10回程度行われている」
「北朝鮮が供与した砲弾は約2カ月の戦闘に十分な量」
先日の記事では30万発と言ってたけど、もっと多かったわけだな。
やれやれ・・・。
それを、たった2か月で撃っちまうというのもべらぼうな話だ。
もちろん、それで終わりではないだろう。
ロシアは、ロケット技術を提供し、北朝鮮の軍事衛星の打ち上げを支援する。
んでもって、上手く上がれば、打ち上げにもう100万発だろう(そうなのかあ?)。
今後も、継続的に供給が続くものとみられる。
ロシアは、具体的に戦争継続の手立てを進めている。
囚人の徴兵や志願兵の募集、来年の選挙が終われば、新たな予備役の招集(たぶんね)。
イランや中国からの必要な物品の調達(ドローンとか)。
国内の兵器産業は、活況を呈しているだろうしな。
世界最大の人口を誇るインドなどへの石油の輸出も順調だ。
攻者3倍の法則に従えば、逆「反転攻勢」に伴うロシアの損耗はウクライナのそれを数倍上回るに違いない(6倍とも言われている)。
政治要請があれば、軍事常識を無視してリソースを投入する無茶苦茶な用兵をするお国柄だから、場合によっては10倍くらいの損失を出すことだってあるかもしれない。
それに耐えられる、そして、数十年に渡る長期的な戦闘を可能にする戦時体制を、この2年間に作り上げている。
イスラエルは、国連や場合によっては米国をさえ敵に回しても国家の意思を貫徹しようとしているけど、ロシアは安保理の常任理事国でもあるからな。
中国というお友達もいるし、インドをはじめとするグローバルサウスのファンも多い(ここは、数が勝負ですから)。
厄介だ・・・。
仮に、ウクライナが停戦に応じれば、ロシアのこうした投資や能力は一時的には宙に浮く。
つまり、余剰の武器生産能力なり調達能力が生まれることになる。
それは、実戦証明された(コンバットプローブンな)兵器の在庫増加と、それを求める他国への供給につながるだろう。
世界は不安定さを増し、混乱の火種が増えていく。
西側はこの間、短期の収束を前提として、生産設備の増強や投資を行っていないからな。
在庫の更新と、既存の生産力で賄っている。
彼我の差は、開くばかりだ・・・。
状況の長期化が進めば進むほど、不安定さは増大し、一触即発になっていく。
西側もどこかで兵器の生産力事態を増強する方向へと転換せざるを得なくなるだろうが、それには時間が掛かるからな。
その差が最大になったところで、再び戦闘が再開されるわけだ(そんなあ!)。
今度はウクライナだけではないだろう。
北朝鮮、台湾、東シナ海、南シナ海などの東アジア、アフリカ、東南アジア、南アメリカなど、紛争の火種を抱える地域で同時多発的に軍事衝突が発生する。
悪夢だ・・・。
これでは、迂闊に停戦などできないではないか(そういうことかあ?)。
西側には、始まっちまった戦争を継続させようというインセンティブが働いている。
ロシアを疲弊させようという試みは潰えたが、今ここでやめれば、世界の(西側にとっての)リスクを増加させるだけになってしまう。
少なくとも、西側が戦時態勢を整えて、長期戦に臨むことが出来るようになるまでは、ロシアを消耗させ続けなければならない。
更に、可能であれば、西側が再びアットーできるようになるまで、ウクライナには戦い続けてもらうのがよろしい(そうなのかあ?)。
戦場で勝てないウクライナであっても、大負けして崩れない程度に持ちこたえてくれれば、それは西側の利益につながる。
勝てないウクライナに、領土分割を前提とした停戦の圧力がかかるとは限らない(現に、中国の仲介で鄭セインしようとした時、米国は大統領まで動員して止めに入っているしな)。
「同盟国の支援拡大でウクライナは最終的にはロシアに勝利する」(再掲)
結論から言えば、勝利に必要な支援拡大はない。
西側に、その余力はないのだ(その余力があれば、自国の兵器を積み増す)。
見かけ上は、数パーセントの金額が上乗せされたり、若干兵器の増強はあるかも知れないが、攻め込んでくるロシアの勢いを弱めることが出来る程度だろう。
しかし、それは領土奪還には程遠いだろう。
今、再び攻め込まれているウクライナは、西側の支援の下、崩壊せずに持ちこたえることが出来るだろうか。
それすらも怪しい。
それはひとえにロシアの意思による。
まあ、ロシアのことだからな。
再び慢心して、拙攻をやらかさないという保証はない!。
が、ふつーに戦っていれば、ぼろ負けする気遣いはない。
じりじりと占領地を拡大し、ウクライナの産業自体を弱体化させ、西側の支援の意欲にボディーブローを与えつつ、政治的自滅を待つだけでいいのだ。
それは、ロシアの侵攻前に、西側がロシアに対して繰り出していた戦術そのものでもある。
双方がクリティカルな時期を乗り越えた後には、地力の差が出るのだ。
現代の戦争は総力戦だ。
兵を養い、武器を与え、突撃させて、以上終わりではない。
持続可能な産業態勢、民間軍事部門を絡めた複合的重層的な戦力の育成、安定的な国際関係、戦術や戦略を支える多様な兵器の開発、ある意味で最も重要な、情報戦を制する能力、エトセエトセ・・・。
個別に見れば、ドローンや衛星インターネット、衛星情報や電力インフラなど、21世紀らしいド派手な話はあるし、携行対戦車ミサイルや最新鋭の戦車、戦闘機、一発で戦艦を撃沈する長距離巡航ミサイルなど、ミリオタを刺激してやまない話は枚挙にいとまはないだろうが、戦いの帰趨を担っているのは大砲と地雷、突撃する歩兵や塹壕といったジミーな話だ(つまらん・・・)。
高度に訓練された、つまり、コストの掛かった兵隊ではなく、畑で取れたばかりの、安上がりで軍服さえ満足に支給されていない、訓練不足の大量の兵士が戦場の動向を左右している。
浮沈子は専門家じゃないんで詳しくはないんだが、兵站を担っているのもどうやら昔ながらの鉄道らしい。
ジャストインタイムで供給されるわけでもなく、後方に備蓄して、集積されてから車両で供給されているようだ。
ロシアは、自前で全てが差配できる(もちろん、輸入もある)が、ウクライナは支援国との調整や受け入れの問題も抱えている。
実務的にも複雑な問題を処理していかなければ、統制の取れた戦いは難しい。
本格的な侵攻から2年近く、ウクライナは戦術的にも戦略的にも、良くやってきたと言っていい(浮沈子は、昨年2月の侵攻後、10日以内にケリがつくと見ていた)。
これまでは、侵略された祖国を守るとか、領土を取り返すとか、戦闘のモチベーションを高めるのに苦労する状況ではなかったが、これからは祖国の存続をかけて戦うことになる(そうなのかあ?)。
負けないこと、抵抗し続けることが戦略目標になる。
難しいなあ・・・。
ロシアの強力な逆「反転攻勢」を受けて、戦略的退却を迫られる場面も多くなるに違いない。
侵攻1年目のロシアと同じだ(最大版図の約半分からの撤退を余儀なくされている)。
兵員について、ロシアは大規模な予備役の招集や民間軍事部門の活用で凌ぐことが出来たが、ウクライナは戦闘員の不足も深刻だろう(未確認)。
確認しておこう。
今ウクライナが勝てないのは、ロシアが犠牲を厭わずに無謀な用兵をしているとか、西側の援助が滞っていて、投入している戦力が活用できていないからではない。
もちろん、一部にはそういうことがあるかもしれないが、国力の差が歴然と現れているということに他ならない。
ここで、西側の支援に変化が現れるとか、停戦の動きが出てきたりすれば、ラクダの背中に藁を1本置くことになる。
この状況での停戦は、ウクライナにとっては敗北と同じだ(そうなのかあ?)。
おいそれと応じることはできないだろう。
しかし、そうしなければ戦場で負け続けるだけになる。
元々、非対称戦を強いられている中で、撤退が続けば踏みとどまることに困難が生じる。
ウクライナの内陸には、強固な防衛線を設定しにくいからな(ドニプロ川とかありますが)。
それとも、前線でロシア軍の攻勢を凌いでいる間に、新たな防衛線を早急に築いているんだろうか。
そうして、来年もまた、ロシアを領内から追い出して、占領されている領土を完全に奪還すると宣言するつもりなんだろうか(ありえねー・・・)。
ロシアの占領地を分断して、アゾフ海へ通じ、クリミア半島を孤立させて奪還するというグランドデザインだったが(浮沈子的には、分断した部隊の補給線を考えれば無謀に思えるけど)、少なくとも今年はその片鱗を見たに留まった。
ロシアは反転攻勢を良く凌ぎ、限定的な前進にとどめている。
今後、逆「反転攻勢」を食らい続けるウクライナが、同様の防御力を発揮できるかどうかは疑問だ。
唯一の強みは、ロジスティクス上のあい路がない点だが、そもそもの兵器や弾薬をどーするという問題は未解決なままだ。
押し戻されて、ロシア国境と前線の距離が増えれば、長距離射程のミサイルとかロケット弾の供与は受けやすくなるかもしれない(それって、メリットなのかあ?)。
ロシアは、100万発の砲弾を2か月で撃ち尽くす。
その弾幕の向こう側に、ウクライナのアスがあるのかは、誰も知らない・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーー
(ロシア、1日で118カ所の集落を攻撃=ウクライナ内相)
https://www.bbc.com/japanese/67294264
「ロシアは大きな損害にもかかわらず、依然として「武器や装備、ミサイル、弾薬において優位に立っている」」(ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官)
「(アウディイウカは)消され、破壊された。この1日で40回の大きな爆撃があった」(アウディイウカの地域指導者ヴィタリ・バラバシュ氏)
「ロシアは攻撃の第3波を用意していると警告した。ウクライナ当局は、ロシアがこの町を包囲し占領するため、増援部隊を投入しているとしている。」
「ウクライナ軍参謀は、10月31日にアウディイウカ周辺だけで20回の攻撃があったと述べた。」
情報の正確さはともかく、ロシアが東部で攻勢を強めていることは間違いない。
「ロシアはまた、北東部ハルキウ州のクピヤンスクでも攻撃を激化させており、バフムート周辺の領土の奪還を阻止しようとしている。」
が、別の記事では、ウクライナが善戦している様子も伝えられている。
(トラックで駆け回るりゅう弾砲「カエサル」 激戦地でロシア部隊を次々に撃破)
https://forbesjapan.com/articles/detail/67056
「ウクライナ側はこれまで、ロシア軍の前進をおおむね押しとどめている。」
「ウクライナの守備隊は3週間にわたり、攻撃してくるロシア軍の縦隊を砲撃で次々につぶし、兵士2000人・車両数百台という1個旅団規模の損害を与えた」
「ロシア軍がアウジーイウカでの作戦に先立ち対砲兵戦術を練り上げたにもかかわらず、第55旅団のカエサルを1両も撃破できていないとみられる」
「狙いすました場所にクラスター弾を雨のように降らせれば、敵の数個小隊を壊滅させることができる。」
「カエサル自走りゅう弾砲を運用する砲兵部隊のメッセージは明確だ。家に帰れ。さもなくば155mm弾は容赦しない、と」
なんとも勇ましい発言だが、家に帰るのがどっちかは分からない。
「ウクライナの反転攻勢は今のところ、南部と東部でロシア軍に占領された領土の奪還にほとんど進展しておらず、西側諸国が戦争に疲弊することを懸念している。」(BBC)
「ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)からの兵器供与にもかかわらず、戦争に負け始めている」(ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相)
「ウクライナがザポリッジャやヘルソン、ドネツクの奪還作戦で大きな損害を被ったと発言。「兵士の士気も下がっている」と述べた。一方で、ロシア部隊は前進している」(同上)
まあ、軍のトップが威勢のいいことを言い合うのは当たり前だ。
報道は、それらを伝えてくれるが、何がどうなっているかを知るすべはない。
「アメリカの支援がなければプーチンが成功してしまうと明言する」(ロイド・オースティン米国防長官)
米国議会に対する警告だが、ウクライナが支援頼みということは間違いないだろう。
「同盟国に対し、戦闘機やドローン、最新の電子兵器や地雷除去技術などを提供するよう呼びかけ」(ザルジニー総司令官)
アウディーイウカ周辺で大活躍の自走りゅう弾砲カエサルも、西側供与の兵器だし、発射されているクラスター弾も西側供与(米国製)だ。
まあいい。
東部での戦況は、いずれ明らかになるだろう。
家に帰るのがウクライナなのか、ロシアなのかも分かる。
混迷を深める欧州の支援体制や、米国の予算措置状況も、年内には決着する。
懸念が生じていることは事実だが、西側の支援が継続することは間違いない。
米国の支援がなければ、プーチンが成功することは確かだが、問題は支援があってもプーチンの成功が見えてきているという点だ(そうなのかあ?)。
誰が何を言っているかからは、本当のことは分からない。
重層的な情報戦が敷かれている中で、報道が伝えられるのは、現地からの伝聞、限られた現地取材、そして、大本営発表や政治的な意図満載の発言だけだ。
「本当のことを言うなら、全ての立場に疲れが見えている」(イタリアのジョルジャ・メローニ首相)
ポロリと漏らした本音だそうだが、短期決着を想定していた西側が、想定外の事態に陥っていることを示唆している。
投資の失敗に気が付き、早期に損切りするのか、際限のない穴につぎ込み続けるのかの判断を迫られている。
から手形(占領地の全面奪還)を発行し続けるゼレンスキーに、いつまで支援を続けるか、政治的には難しいところだ。
事業が成功しないのは、投資規模が足りないからだというが、規模に見合った戦果が上がっていないことも事実だ。
ウクライナの存続自体が戦果だと言われてもな・・・。
それが、台湾有事や朝鮮半島有事、南シナ海や東シナ海の衝突を防いでいるというのは、いささか桶屋が儲かる話に聞こえる。
現在の支援規模と内容を継続すれば、ウクライナはロシアの侵攻を食い止め、存続し続けることが出来るのかという問題もある。
戦争は相手のある話だから、ロシアがどうするかにもよるが、今の状況を見ていると、膠着状態が続くか、逆「反転攻勢」が占領地域の拡大やウクライナのインフラを圧迫して、国家としての息の根を止めに来る可能性が高い気がする。
ウクライナが、望み通りの領土奪還を実現するには、ロシア自らが占領地を放棄するしかないだろうし、自国兵士の血で贖った土地である以上、ウクライナ兵士の血で取り戻すしかない気がする。
この数か月の反転攻勢で見えてきたのは、それが不可能かもしれないことだ。
今年不可能なだけだったのではなく、未来永劫不可能かもしれないという、お先真っ暗な状況になっている(そんなあ!)。
ロシアだって、厳しい状況には違いない。
停戦や休戦に持ち込めれば、一息つくことが出来るだろう。
インセンティブがないわけではない。
しかし、別に戦い続けても構わない。
その態勢は築かれている。
ウクライナ側からすれば、停戦や休戦はロシアの軍事力を増強させるだけということになる。
「ウクライナ軍のヴァレリー・ザルジニー総司令官は1日、戦争は今や「位置関係の」、つまり静的な段階に移行していると警告した。(BBC:原文:the war was now moving to a "positional" or static stage.)
「英誌エコノミストへの寄稿でザルジニー氏は、これによってロシアに「軍事力を再建する」余裕を与えてしまうだろうと述べた。」(同上)
イスラエルと同じ言い回しに聞こえるな。
停戦はハマスに対する降伏と同じだ・・・。
ウクライナは戦い続けなければ、その存在意義を失う。
停戦や休戦しているウクライナに、支援の手は差し伸べられないだろう(そうなのかあ?)。
その間、ロシアの軍備は着々と進み、戦闘再開時には決定的な差が付いている可能性がある。
その一方で、戦闘を継続する中で膠着状態が続けば、長期化への懸念が生じてくることも確かだ。
時間は、常にロシアに味方しているように見える。
そう見えるのは、事態が短期の戦場の動向だけでは左右されない、新たなステージに進展したことを示唆している。
支援を含めたウクライナの国力と、ロシアの国力とのぶつかり合いになっている。
10両のカエサルの活躍では、どうしようもないわけだ。
この冬、ウクライナがどういうポジションになるかは大注目だな。
ロシアの攻勢が続き、西側の支援が見直される事態になれば、(西側の)想定外の事態が生じる。
状況が管理しきれなくなり、ウクライナがロシア本土に攻撃を仕掛けたり、中国の仲介で停戦するかもしれない。
一寸先は闇のウクライナ情勢。
ああ、もちろん、浮沈子の妄想の通り、クリミアに核爆弾が投下され、西側の支援で大規模部隊が揚陸されて、戦況が覆る可能性だってある(ねーよ・・・)。
陽動作戦に過ぎなかったガザ襲撃は、大成功だったからな(そうなのかあ?)。
それとも、ウクライナ侵攻自体が、イスラエルにおける占領強化の陽動作戦だったのか(そんなあ!)。
もう、ワケワカ・・・。
<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー
(ウクライナ戦争の停止、露国民7割が支持 露世論調査)
https://www.sankei.com/article/20231102-D4JWS2I355PQFLVACIPWBLECFI/
「「仮にプーチン大統領がウクライナとの戦争停止を決めた場合、その決定を支持するか」とロシア国民に尋ねたところ、70%が「決定を支持する」と回答」
まあそうだろうな。
「レバダ・センターは10月19~25日、18歳以上の露国民約1600人を対象に世論調査を実施。結果を31日に公表」
どんな調査機関なのか気になったので、調べたら記事が上がっていた(今年1月の記事です)。
(ロシア社会は“プーチンの戦争”を止められない)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/01/27/28858.html
「2003年に設立された「レバダセンター」」
「「レバダセンター」は2016年、プーチン政権によって、いわゆる「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながらも独自の世論調査活動や分析を続けています。」
ロシア当局には、あまり人気がないようだな。
「政権に批判的な姿勢を変えることなく、世論調査や分析を続けてきた独立系の世論調査機関「レバダセンター」で、所長を務めてきたグドゥコフ氏」
「2021年5月に所長を退任したあとも、研究部長としてロシア社会について独自の分析を続け、リベラルな論客として活動」
「ロシアは民主主義国ではありませんし、世論は体制が下す決定に何の影響力も持っていません。」
そうはいっても、一応選挙はあるし、反体制派が活動もしている(すぐ、投獄されちゃいますけど)。
「ウクライナでの軍事活動の開始とともに、260以上の人気のある出版物、インターネットのポータルサイト、「モスクワのこだま」といったラジオ局、「ドーシチ」のようなテレビ局、ネットメディアの「メドゥーザ」などが閉鎖」
「国民の大多数はここへのアクセスを失い、国営テレビからすべての情報を得ています。これは非常に攻撃的で、うそが多くデマに満ちた、非常に強力な全体主義的なプロパガンダの影響力を持つチャンネルです。」
やれやれ・・・。
国民の多くは、国営テレビに洗脳され続け、正しい情報からは遠ざけられている。
レバダセンターのアンケートは、そうした中で行われていることに注意だ。
「仮にプーチン大統領がウクライナとの戦争停止と、併合したウクライナ領土の返還を決めた場合、その決定を支持するか」
「「完全に支持する」「おおむね支持する」とした回答者の割合は計34%」
「「あまり支持しない」「全く支持しない」との回答は計57%」
戦争の継続には反対だが、ロシアが血で贖った土地は返還したくないわけだ。
当然だろうな。
N社の記事によれば、ロシアでは面従腹背が定着しているそうだ。
「ソビエト時代の二重思考の技能はここに由来しています。自宅の台所でなら、罵ったり思っていることを話したりできます。ですが、公の場では人々は政権が彼らに期待している通りに行動するのです。」
レバダセンターのアンケートが、どっちの思考を反映しているのかは知らない。
「人々は戦争を望んでいませんし、そもそも自身の日和見主義と体制順応主義の下で、平和に暮らしたいと思っています。」
「クリミア併合は流血なしの素早い作戦でした。」
「2022年3月にはこれを期待していたものの、うまくいきませんでした。戦争は長期化し、損失の規模は大きくなっていく一方です。」
N社の記事からは、1年近くがたって行われた今回のアンケート。
「プーチン政権は従来、「国民の大多数がウクライナでの軍事作戦を支持している」と主張してきたが、今回の調査結果は露国民内での厭戦(えんせん)機運の高まりを示唆」(産経)
ロシアの一般市民の間では、ロシアが攻め込まれたわけでもないのに、隣国を攻撃し続けることに対する批判が渦巻いているんだろう。
当局のプロパガンダにもかかわらず、市民の間に常識が機能していることにホッとする。
と同時に、その常識は血で贖った土地の放棄を否定するわけだ。
停戦は遠いと感じざるを得ない。
記事では、ロシアの状況について、興味深い分析もあるが、ここでは触れない。
来年のロシア大統領選挙は滞りなく行われるだろうし、プーチンの再選は間違いない。
停戦は実現せず、ロシアが占領地を放棄することはない。
戦争は、構造的に長期化する。
おそらく、ウクライナの来年の目標も、「国家の存続」に留まるだろう(対外的には領土奪還というでしょうが)。
その間、じりじりとロシアに攻め込まれ続ければ、支援の形態に変化が生じ、国家の存続も危うくなるかもしれない。
翌年も、また翌年も、同じ状況が続けば危ないな。
ロシアには帰る家があるが、ウクライナ兵にはそれがなくなるかもしれない。
実際に、都市部への絶え間ない攻撃が続けば、文字通りな事態も生じる。
確認しておこう。
ロシアは民主国家じゃないそうだから、アンケートの結果が政策に反映されることはない。
戦争の継続は人気がないが、占領地を放棄して停戦することには反対だ。
いずれにしても、ウクライナ紛争は長期化する。
それを止められるのは米国だが、そんな気はさらさらない。
ロシアも米国も、戦場でケリをつける腹だ。
未だに、公式にエイタクムスの供与を認めていない米国の真意は分からない。
一発逆転の兵器にはなりそうもないし、今のところその気配もない。
近接戦闘では使えないから、遠隔地への攻撃を想定していることは確かだ。
やっぱ、クリミアかな。
今年の締めは、ショボい話に終わりそうだな・・・。
<また追加>ーーーーーーーーーー
(ロシア軍防空網、弱体化か 地対空ミサイル発射機4基失う 英分析)
https://news.yahoo.co.jp/articles/4d36b49dd579f1a4e83dc583cc8316addab02a45
「西側諸国の支援を受けたウクライナ軍の使用する「近代的な精密攻撃兵器に手を焼いている」」
防空システムに穴が空いたとか、モスクワが空爆し放題になったとかいう話ではない。
「ロシア軍が先週、ウクライナ軍の攻撃により同国東部ルガンスク州などで長距離地対空ミサイルの発射機を少なくとも4基失った」
「補充に伴い「他の作戦地域の防空態勢が弱体化する可能性が現実味を帯びている」」
うーん、「弱体化」する「可能性」が「現実味」を帯びているわけか。
影響がないわけでもないという程度なのかな。
「手を焼いている」程度では、軍事的には影響がないだろう。
英国民の税金で供与した兵器は、その程度しか機能していないのか。
もっと、こう、ド派手な絵面が欲しいな。
先日のセバストポリで、潜水艦のどてっぱらに開いた穴みたいなヤツ!。
EUを離脱した英国は、独自の立場で支援を展開している。
やっぱ、この時期、今年の支援の総決算みたいな話が必要だ。
「弱体化」、「可能性」、「現実味」、「手を焼いている」では弱いだろうな・・・。
<またまた追加>ーーーーーーーーーー
(消耗戦は「ロシアに有利」 空軍、電子戦強化が鍵)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ada832353103bd9caf4cd2d91b997d3761c3b1f4
「ロシアの侵攻が互いの陣地を奪い合う消耗戦に移行しており、軍事力を回復できるロシアにとって有利な状況が生まれる」(ウクライナ軍のザルジニー総司令官)
上記のBBCの記事の話の詳細が出ていた。
「ロシア軍の人的損失は甚大だが武器備蓄では今後も優位性を保つとして「ロシアを過小評価すべきでない」と強調」
支援を含めたウクライナ軍の総力として、ロシアに十分対抗できているわけではないということなわけだ(そうなのかあ?)。
政治家とは異なり、職業軍人はプロだからな。
強いものは強いと、正当に評価できる。
敵を貶める必要もないし、必要以上に味方を持ち上げることもしない。
が、正当に評価したとして、その支援が得られるかどうかは別問題だ。
「空軍や通信妨害などの電子戦の強化」
「ミサイルや砲弾などの兵器増強も重要」
「ロシア側の兵器を破壊するための武器や、地雷除去技術も必要」
それらを潤沢に提供できたとしても、肝心のウクライナの兵力が伴うかどうかは、さらに別の話だ。
戦場では、それらの総合力が問われる。
今年の戦略目標は達成できなかった。
浮沈子は、目標の設定自体が過大だったと見ている。
1年足らずでロシアの支配地域すべてを取り戻すことなどできはしない。
それは、これからますます難しくなるだろう。
ウクライナが核武装し、モスクワの防空システムを次々と破壊し、クレムリンをむき出しにして核ミサイルで恫喝でもしない限りは難しい。
もちろん、そんなことは現実には起きないし、地べたを這って進軍していく陸上部隊がその成果を得るには年単位の時間が掛かる。
それも、必要とされる兵器や兵力、支援が理想的に提供され、武運がもたらされた時の話だ。
対ロシア戦では、今後は難しい。
敵は、それらを悉く持っているしな(武運もかあ?)。
ロシアが逆「反転攻勢」に出た時、1000kmの戦線を維持しなければならないのはウクライナ側になる。
北東部は、ロシアのロジも強く、攻めやすいからな。
これからも、厳しい状況が続く。
ウクライナが来年以降、進軍したい南部には十分な兵力を回すことが出来なくなる可能性がある。
そこに、戦力に勝るロシアが増強した兵力を振り向けてくれば、反転攻勢どころか占領地を増やされる恐れがある。
ヘルソンからミコライウ、オデッサにかけての南部回廊を押さえられれば、内陸国となったウクライナの国力は激減する。
国力の低下は、戦力の低下を招き、負のスパイラルが始まって反転攻勢どころか、さらに戦争を継続すれば国家の維持も危うくなる。
どうなるかは、ロシア次第だ。
戦場でケリをつけるつもりなら、全面降伏するまで戦うしかない。
その後は、バルト3国、ポーランド、ドイツなどへと蚕食が続く。
まあ、それもロシア次第だがな。
ロシアを追い込んだツケを、西側がとことん喰らうことになる。
その頃は、もう、プーチンは存在しない。
この戦争がプーチンの戦争だと言っていた人々も、この世にはいなくなっている。
大ロシア帝国という怪物を産み出したのは確かにプーチンかも知れないが、飼い太らせたのは外ならぬ西側だ。
そして、そのツケは、自ら食い殺されることによって払うことになる。
西は大西洋から南はインド洋まで、大洋に阻まれて進軍が止まるまで、誰にもそれを止めることはできない。
ウクライナで我々が見ているのは、西側の軍事的常識を逸脱した、時代遅れの用兵から脱却できない頓珍漢な戦術を繰り返す、愚かなロシア軍に見える。
兵士の人命は鴻毛より軽く、次から次へと無尽蔵に供給される。
西側には理解できない、異次元の戦闘が延々と続くことになる。
ザルジニーが見ているのは、そういう世界だ。
もっとも、ウクライナだって人のことは言えないだろう。
ドローンの活用などで多少洗練されているとはいえ、航空支援無き陸上兵力の投入で、甚大な損亡を食らっている。
兵力の投入がいつまで続くかは分からないが、ウクライナは早晩、兵力不足に陥ることになる。
守りに入れば損耗を抑えることが出来るけど、戦略的に兵器などの支援を受け続けることが出来るかどうかという問題を抱えることになる。
自国内の生産は間に合わず、じり貧に陥る危険が出てくる。
ロシアは、最後まで押し切るかもしれない。
既に、次の戦略目標を西側に置いている可能性もある。
ロシアはすでに、NATOと直接対峙する大欧州戦争への準備を始めているのだ。
NATO諸国の司令官が、サルジニーと同じ世界を見ることになるだろう。
(【速報】ロシアがCTBT・包括的核実験禁止条約から事実上離脱へ プーチン大統領が法令に署名)
https://news.yahoo.co.jp/articles/d5c9bdcc89d35593df22fcff5a5ced0cda5d4004
「アメリカは長い間条約を批准せず、我々の共通の懸念を執拗に無視してきた。我々が目の当たりにしているのは偽善だ。アメリカが義務を果たす措置を講じなければ、この条約は見せかけとなる。ロシアがこのまねごとに参加する意味はない」(マトビエンコ上院議長)
ロシアがその際に対峙しようとしているのは米国だ。
欧州は、その通過地点に過ぎない。
NATO第5条が、張子の虎かどうかが試されるときは近いだろう。
ドーバー海峡が見える丘に(そんなところがあるかどうかは知りませんが)、ロシアの国旗が翻る妄想が見えてきた気がする・・・。
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