🐱スターシップ:たらればなIFT-2 ― 2023年11月10日 21:41

スターシップ:たらればなIFT-2


スターシップの2回目の統合フライトテストについては、先日も記事を上げた。

(スターシップ:発射台の上の2匹目のドジョウ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2023/11/04/9631337

内容は重複する点が多いが、スティーブンクラークが詳細を報じているので、再度取り上げる。

(次のスターシップがステージングを通過できれば、それは勝利と言えるでしょう)
https://arstechnica.com/space/2023/11/if-the-next-starship-makes-it-through-staging-you-can-call-that-a-win/

「2回目のスターシップ試験飛行は、早ければ来週、おそらく月曜日の朝にテキサス州ブラウンズビル近くのスペースXの打ち上げ基地から行われる可能性がある。」

ありえねー・・・。

「打ち上げの試みの前に立ちはだかる最後の問題は、連邦航空局と米国魚類野生生物局による環境審査です。」

早くても、クリスマス前に終わるとは思えないし、それはS社にも分かっているだろう。

「スターシップがロケットの2つの最も重要な短期目標であるスターリンク衛星の配備やNASAの月への飛行を開始するまでには、越えなければならないハードルはさらにたくさんある。今月後半にこれらのハードルのほんのいくつかをクリアできれば、SpaceX は大喜びするだろう。」

年内は、積み重ねられたスターシップの姿を見ることで満足するしかない。

スティーブンクラークは、記事の中でいくつか重要な問題を指摘している。

「テキサス州のスターシップ発射台の改修はロケットの強力な推力に耐えられるでしょうか? 」(一部修正)

「ロケットのラプターエンジンは、4月の最初のスターシップ試験飛行よりも信頼性が高まっていますか?」

「ロケットのスーパーヘビーブースターはスターシップ上段から無事に分離できるのでしょうか?」(一部修正)

浮沈子的に気になっているのは、もちろんラプター2エンジンの信頼性だ。

「4月の試験打ち上げでは、スーパーヘビーブースターに搭載された33基のラプターエンジンのうち6基が離陸前または飛行中に故障した。ブースターのエンジンコンパートメントでの推進剤の漏れと火災により、最終的にロケットの主要飛行コンピューターとの接続が切断され、ロケットは飛行開始から2分強で制御を失った。」

燃料系の対応は、おざなりなものになりそうだ。

「飛行の最初の 3 分を乗り切るだけで、SpaceX が Starship で正しい道を進んでいることを示すのに十分だと私には思われます。それまでの飛行が成功すれば、スペースX社は4月の試験飛行で燃料漏れやエンジンベイの火災を引き起こした問題を軽減したことになる。」

「それはおそらく、SpaceXがラプターエンジンの信頼性を向上させたこと、そして飛行中の操縦のためにラプターをジンバルまたはピボットさせるために使用されるロケットの新しい電気推力ベクトル制御が魅力的に機能したことを意味するだろう。」

「変更の一部は、最初のスターシップ試験飛行で使用された油圧ステアリングシステムを置き換えるための電気推力ベクトル制御を含む」

「この次回のスターシップ飛行では、4月に飛行したものと同様の「ラプター2」エンジンが使用される。SpaceXは、信頼性に対処するためにアップグレードされた「Raptor 3」設計に取り組んでいます。」

「スペースXは、ブースターの33基のラプターエンジンの周囲のシールドを強化し、近くのエンジンの爆発から保護した。これは、宇宙への上昇中に 1 つのエンジンが故障して別のエンジンが故障するリスクを軽減することを目的としています。」

「将来のラプターエンジンは、漏れ経路が少なく改良された燃料マニホールド設計を採用する予定だが、スターシップの2回目の飛行では、技術者らはマニホールドのボルトをより強く締め付けることでこの懸念に対処しようと試みた。」

「次のフライトに割り当てられるブースター 9 と呼ばれる超大型ブースターにも、エンジン ベイ火災のリスクを軽減するための拡張消火システムが搭載されています。」

エンジン周りの改修に触れている記述を読むと、IFT-2での対応が十分とは思えない。

燃料漏れについては、改良されたマニホールドを投入するのではなく、ボルトの締め付けを強くするだけの対応のようだ。

また、エンジンベイ火災の対応は、消火システムを強化するだけで、火災の発生そのものを抑制するわけではない。

エンジン自体の信頼性向上は行われず、「エンジンの周囲のシールドを強化し、近くのエンジンの爆発から保護」するに留まる。

「SpaceXは、信頼性に対処するためにアップグレードされた「Raptor 3」設計に取り組んでいます。」(再掲)

つまり、ラプター2そのものの信頼性向上はない(!)ということなわけだ。

それは、ラプター3が出来るまでは変わらないということだな。

んな状況で行われるテストフライトに、多くを期待する方が間違っているだろう。

油圧で駆動していたジンバル機構を、電動制御に変更したことは確かに有効だが、それが実戦で期待通りに動くかどうかは別の話だ。

ホットステージングについては、分離条件を誤魔化して、早期に2段目を分離させようという阿漕な手段としか思えない。

もちろん、分離後にスーパーヘビーブースターが自爆したって、一向にかまわない(そんなあ!)。

「エンジンが点火し、段階分離中に船が自爆しなければ、軌道に到達する可能性は十分にあると思う」(イーロンマスク)

「スペースX社はこれまで宇宙でラプターエンジンを点火したことがないため、関係者らはスターシップの上段がどのように機能するかを知りたがっている。」

分離にこぎつけることが出来れば、IFT-2(2回目の統合飛行テスト)は大成功だろうな。

記事中では、NASAのジムフリーはOFTー2(2回目の軌道飛行テスト)と呼んでいるが、飛行予定はあくまで弾道飛行で軌道飛行じゃない。

まあ、どうでもいいんですが。

「NASA にとって成功とはおそらく、スペース X が今後 1 ~ 2 年以内にスターシップ試験の次の段階、つまり軌道上での燃料補給に進むことを可能にするあらゆる結果を意味します。そうすれば、2020年代後半までに宇宙飛行士を乗せてスターシップを月面に着陸させるという希望が生き続けることになるが、たとえNASAの公式スケジュールである2025年がもはや実現不可能だったとしても、これは現実的なことのように思われる。」

ないない・・・。

ホットステージングで誤魔化そうとしたりしても、信頼性の低いラプター2のままで、2段目を分離することは不可能だ。

前回は、約4分間飛んでいたけど、次回はそれより短い可能性だってある。

ただし、S社にとって、墜落爆発炎上木っ端微塵(激突はない)は、「常に」(ここ、重要です!)想定の範囲内だ。

「SpaceX の Starship プログラムは豊富なハードウェアを備えており、同社の従業員の移動は迅速です。テキサス州南部では、さまざまな生産段階にある多数のロケットがあります。2 番目のスターシップが軌道に乗れなかった場合、さらに多くの車両が飛行を待機することになります。」

IFT-2の飛行は来年(2024年)の第2四半期、その次は2025年の第2四半期、毎年、そのパターンが続く(そうなのかあ?)。

その度に発射台が損傷し、半年掛けて修理を行い、絶滅危惧種のアセスメントを繰り返す。

S社の迅速な対応で、ラプター3がリリースされれば、状況は変わるかもしれない。

2段目の適切なタイミングと条件での分離、準軌道飛行の実現、1段目のソフトランディングのデモンストレーション、2段目の大気圏再突入マニューバの成功・・・。

どれも、タラレバな話だが、その後は2段目使い捨ての軌道飛行や、燃料デポの打ち上げ、タンカーバージョンからの給油、HLSの打ち上げと無人での月面着陸と続く。

スターリンク的には、フルバージョンのV2衛星の打ち上げ、それに伴う携帯電話への直接接続の実現など、夢は膨らむ一方だ。

が、エンジンの信頼性向上なくしては、全ては淡い夢に過ぎない・・・。

スターシップは、実現すれば部屋の中のゾウだ。

宇宙へのアクセスに、コペルニクス的転回をもたらすことは間違いない。

有人バージョンが登場すれば、SLSに止めを刺すだろう。

しかし、それには、再使用に対する絶対的な信頼性が求められる。

NASAは、数十回とか、場合によっては100回以上の連続無人飛行実績を要求するに違いない。

が、運用が完全再使用ということになれば、その期間は短い。

半端ない打ち上げ頻度が実現可能だからな。

慌てる必要などこにもない。

2回目の打ち上げが、来年になったからといって、嘆くことはない。

どーせ、2分41秒の燃焼時間を満たせずに、空中爆発することは目に見えている(そうなのかあ?)。

それどころか、発射台から飛び立てずに、もろとも大爆発してもおかしくはない。

1回目の打ち上げが、ラッキーだっただけかもしれないのだ(そんなあ!)。

発射台の上の2匹目のドジョウ。

今年、我々が見ることが出来るのは、それだけかもしれない。

来年の春まで、それが続いたとしても、浮沈子は驚かない。

その間にも、ラプター3の設計は進捗するだろうから、スターリンクの開発がとん挫しているわけではない。

数年後、この時期を振り返る時、それが停滞ではなかったことに気付くだろう。

拙速なロケットの発射を繰り返して、周辺の被害を増加させるだけが能じゃない。

ラプター2の燃焼試験だと思って、せめて発射台をぶっ壊さずにメキシコ湾上に出られれば成功だということにしておいた方が無難だろうな・・・。

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