🚀スターシップ:雨上がりの火星移民2024年11月15日 10:43

スターシップ:雨上がりの火星移民
スターシップ:雨上がりの火星移民


(SpaceX、6回目のスターシップ試験打ち上げに備える:いつ実施されるかは不明)
https://www.teslarati.com/spacex-readies-sixth-starship-test-launch-date/

「数週間前、同氏はスペースXがブースターと上段の両方のキャッチを試みることはできるが、実現は来年になりそうだと述べた。」

えーとですねえ、問題はそこじゃないんですけど・・・。

「テキサス州ブラウンズビルでは、11月18日、19日、20日の午前8時から午後10時まで、SpaceXの活動のために道路が封鎖される。」

「スペースXは、テスト飛行は11月18日月曜日に予定されていると述べたが、同社が準備を進めていることは明らかである。」

もちろん、そっちでもない。

「マスク氏が最近、2年以内にロケットを火星に送りたいと明らかにした」

ファルコンヘビーの打ち上げでは、地球ー火星軌道(やや外側まで)にスターマン(宇宙服着せてテスラロードスターに乗せたマネキン)を送り込んでいるからな。

(スターマンはどこにいる?宇宙でイーロン・マスクのテスラ・ロードスターを追跡!)
https://www.whereisroadster.com/

「2018 年 2 月 6 日、UTC 20:45 に、最初のファルコン ヘビーが宇宙に打ち上げられました。これには、スターマンを搭載したテスラ ロードスターという非常に特別なペイロードが搭載されていました。」

無人飛行で火星に送り込むくらいなら、想定の範囲内だ(着陸とかは出来なくても、周回軌道くらいには送れるかもしれない)。

問題は次だ・・・。

「それから2年後、彼はスターシップに人間を乗せて火星への初の有人飛行を試みたいと考えている。」(テスララティ)

「火星への最初の宇宙船は、地球と火星間の次の移動期間が開かれる2年後に打ち上げられる予定です。無人機で火星に無傷で着陸できるかどうかをテストします。着陸がうまくいけば、火星への最初の有人飛行は4年後になります。」(同上)

べらぼーめ・・・。

先日も、鳥嶋さんの記事を読んで、強烈な違和感を感じた。

(ロケットを「箸」で捕まえた日 - スペースXが見せた技術力と火星移住への道筋)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20241113-3063874/

「そう遠くないうちに、人工衛星を載せて飛ぶようになり、数年以内には人を乗せて飛び、そして月や火星に行く日も来るかもしれない。」

「スターシップ2は、再設計した前方フラップ、より大きな推進剤タンク、新型の耐熱タイルと二次熱保護層などを特徴とし、スペースXが目指すスターシップの理想像――人類の火星移住を実現するための移民船により近づく。」

「火星移住という目標を掲げる同社にとって、それはまさに「うまい飯なら箸をおかぬ」ことだろう。」

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子的には、2段目使い捨てのスターリンクV2.0フルの打ち上げが先行し、2段目の再使用にチャレンジしながら実績を積み、その間にHLSやタンカー、軌道上燃料保管機(デポ)、一般の衛星打ち上げ(20機くらいまとめて)を展開するのに数年かかると見ている。

2段目の回収が安定するまでには、少なくとも100回程度の連続回収を成功させる必要があるだろうしな。

有人での回収(有人の場合は例外なく回収しなければならない)に至っては、慎重に慎重を期す必要がある。

有人で打ち上げ、軌道上でクルードラゴンに乗り換え(初期のうちならISSを経由できるかも)、スターライナーのCFTみたいに、片道切符で運用するテストも行われるに違いない(乗員は、クルードラゴンで帰還)。

で、いよいよ、満を持して有人での回収を行うわけだ(ドキドキ!)。

失敗すれば犠牲者が出るわけで、決死の覚悟が求められる(そうなのかあ?)。

10年以内に、そんなことが起こるとは、浮沈子にはとてもとても、とてもとてもとても考えられない。

4年後に、有人火星飛行だってえ?。

ありえねー・・・。

鳥嶋さんがいうように、「数年以内に人を乗せて飛ぶ」可能性はある。

上記のように、片道切符で打ち上げて帰りはクルードラゴンという寸法だ。

2段目にクルードラゴン積んで、軌道上で放出するという形態も考えられる(ややムリポ?)。

で、2段目はクルードラゴンとは別に再突入させて回収テストだ。

クルードラゴンだけじゃもったいないから、別途スターリンクも積むかもしれない。

そういう、クルードラゴンとの併用期間を経て、十分な実績とダメ出しをしてから有人再使用に踏み切る。

その際の2段目の回収方法については、抜本的な見直しが必要になるかもしれない。

鳥嶋さんもそのことは認識している。

「もちろん、課題はまだ多い。たとえば、箸で捕まえるという方法が本当に最適かは議論の余地があるだろう。」

「しかし、スペースXの強みは、実際にやってみたことで、その長所も短所も知ることができたという点にある。改良が必要なら改良し、使い物にならないようならまた別の方法を考える――スペースXの開発のスピード感なら、どういう選択肢を取るにしてもすぐに対処できるだろう。」

浮沈子的には、別の方法を考える方を強く勧める。

確認しておこう。

スターシップの開発が順調に進み、スターリンクの打ち上げに用いられる目途が立ったとしても、2段目の回収を伴う有人化までには更なる開発が必要になる。

とても4年後に間に合う話ではない。

火星との会合周期が2年余りということで、イーロンマスクは最短のスケジュールを描いたのかもしれないが、そして、そりゃあいつものことなんだが、実現可能性はゼロだ(断定的!)。

S社の目標が、火星移民であることは周知だ。

が、単発で火星周回、よしんば、1回限りの着陸が出来たとしても、「移民」なんて話は実現可能性すら怪しい。

浮沈子的には、火星周回飛行すら不可能と信じている。

無重力、放射線、ありとあらゆるトラブル対応・・・。

いつか、人類はそれらを克服して、惑星間飛行を成し遂げるかもしれない。

リサニップが言うように、遺伝子を組み替えて放射線耐性を向上させ、無重力による筋肉や骨の縮退や眼球の変性を抑制し、長期の宇宙飛行に適応させることが出来るようになるかもしれない(<以下追加>参照)。

工学的にも、効率的なエンジンの開発で飛行期間を短縮したり、何らかの方法で人工的な重力を発生させ、画期的な放射線遮蔽を行い、生体への影響を緩和することも考えられるからな。

でも、それは「4年後」じゃない!。

40年後でも怪しい。

月でさえ、前回の有人飛行から50年以上経過していることを考えると、実現していないと考えるのが自然だ(技術的にはともかく、政治的経済的社会的な問題か)。

400年後くらいなら、まあ、あり得ないとまでは言わない(んな先のことは知ったこっちゃないしな)。

それでも、単発ならともかく、「移民」なんて話は眉唾物だ。

まあ、どうでもいいんですが。

宇宙開発は莫大なリソースを投じて行われる。

ちまちました計画じゃない。

人類の夢を託すに足る、稀有壮大な目標が必要だ。

だから、イーロンマスクじゃなくたって、大ぶろしきを広げたがる気持ちも分からないではない。

恒星間飛行やら、ワープやら、科学とフィクションの境界領域の怪しげな話が跋扈する。

が、夢は夢に過ぎない。

S社は、垂直打上ロケットで、パワードランディングさせるというロケット工学の金字塔を打ち立てつつある。

1段目の回収は、実績的には、ほぼ達成したと言っていい(名目上は、まだ試験段階ということになっている)。

2段目の完全回収は、これからの課題だ。

それは素晴らしいことには違いないし、打ち上げ頻度の向上とコストの低減を実現し、宇宙へのアクセスに新しい時代を開くことは間違いない。

そのことに対する肯定的評価と、詐欺紛いの「火星移民」の話を混同してはならないだろう。

そこには、無限の隔たりというよりは、質の異なるものを感じる。

現在見えているロケット技術の延長線上に、火星移民はない。

何か、画期的なブレイクスルーがなければ、いいとこ月面基地止まりだ。

それにしたって、40年後に実現するかどうかは怪しい。

非軍事の宇宙開発は、民間の投資を呼び込むためにありとあらゆる手練手管を繰り出してくるに違いない。

月面開発なんて、その最たるものだ。

資源開発を餌にして、次々と探査機を送り込んでいる。

火星移民は、それに比べたら、まだ「将来の夢」を謳っている分、罪一等軽いかもしれない。

それでも、それを目標としてスターリンクの収益を充てるとしたら問題だろう。

もっとも、それはスターリンクの宣伝費用の一部なのかもしれない。

スターリンク(アンテナやサービス)を買うと、火星移民の夢が漏れなくついてくるわけだ。

浮沈子は、むしろ、ネットに繋がらない贅沢を選ぶな。

さて、そろそろパソコンの前を離れて、フィットネスにでも行ってこようか。

雨も、どうやら上がったようだしな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(TED日本語 - リサ・ニップ: 宇宙での生存に備えて人類が進化する方法)
https://digitalcast.jp/v/24426/

「いつの日か地球を離れ宇宙を探検するとしたら、人間の体は厳しい宇宙空間環境で生き延びる為にかなりの改善が必要です。リサ・ニップは、合成生物学の力を用いて地球上の微生物の、放射能さえ耐え得るような能力を活用し、宇宙探検ができるように人類を進化させたいと考えています。「私たちは意思に基づいた遺伝子的進化の時代に近付いています」とニップは語ります。「人体の機能に新たな能力を加え高めるというのは、もはや『どうやって』という問題ではなく、『いつ、やるか』なのです」」

このページには、日本語の字幕のテキストも掲載されている。

数年ぶりに改めて読んだんだが(面倒くさいのでビデオは観ない)、浮沈子とはそりが合わない考え方だな。

「宇宙は凍える寒さで 厳しく過酷な環境です 私たちの星々への旅は 試練に満ちたものになり 我々は人類が何なのか そしてどう進化するのか という問いに 向かい合うようになるでしょう」

「その答えは 私たちが これまで集積して来た 技術を使うか使わないかに かかっていて 宇宙における人類の運命を 決定づけることになるでしょう」

意図的に進化を特定の方向に加速させる合成生物学。

分かりやすいアニメのページもある。

(長期間の宇宙旅行をヒトは生き延びられるでしょうか?ーリサ・ニップ)
https://www.ted-ja.com/2017/06/chang-qi-jian-noyu-zhou-lu-xing.html

「長期間の宇宙旅行は人体に大きな負担を与えます。微小重力は筋肉や骨の発達を妨げ、大量の放射線を浴びると非可逆的な突然変異を起こします。人類が宇宙旅行に真剣に取り組むことになれば、そこに大きな疑問が持ち上がります。地球の軌道を超えられたとしても、極限の宇宙環境に私たちは順応できるのでしょうか?リサ・ニップがその可能性を解説します。 講師:リサ・ニップ アニメーション:Bassam Kurdali *このビデオの教材 : http://ed.ted.com/lessons/could-we-survive-prolonged-space-travel-lisa-nip」(キャプションより)

浮沈子は、人類はこの地球上から出るべきじゃないという考えに凝り固まっている。

この星で生まれ、この星で生き、この星で滅ぶ。

しかし、生存権を拡張しようとするのは生命の方向性の一つかもしれない。

それが、単なる「拡散」ではなく、能動的な「進出」なだけの話なのかもしれない。

我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか。

(我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%91%E3%80%85%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%8B%E3%82%89%E6%9D%A5%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B_%E6%88%91%E3%80%85%E3%81%AF%E4%BD%95%E8%80%85%E3%81%8B_%E6%88%91%E3%80%85%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%B8%E8%A1%8C%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%81%8B

「タヒチで描かれた作品で、2020年6月現在は米国マサチューセッツ州ボストンにあるボストン美術館に所蔵されている。」

ウィキには、この絵の背景について触れている記述もある。

「・・・この教理における3つの基本的な問答は「人間はどこから来たのか」、「どこへ行こうとするのか」、「人間はどうやって進歩していくのか」であった。ゴーギャンは、後半生にキリスト教に対して猛反発するようになるが、デュパンルーが教え込んだこれらのキリスト教教理問答は、ゴーギャンから離れることはなかったと言える」

このネタは、以前から何度か取り上げているけど、浮沈子の宇宙開発に対する基本的スタンスは変わらない。

生身の人間が進出するには、宇宙空間は過酷過ぎる。

ロボットとかAIとか、そういう「観測者」を代理として送り込むのが最善だ。

この地球という星を大切にし、その上で滅ぶのが相応しい。

ジェフベゾスは、宇宙コロニーを建造するというけど、結局は放棄されるのが落ちだろう。

工学的問題が解決され、合成生物学などの成果が反映され、人類が地球環境でなくても生存できるようになる可能性は皆無じゃない。

今は不可能と思われていることが出来るようになるという、パラダイスな未来論を全否定するわけではないけど、生命とその進化について、浮沈子はタブーを感じている。

神聖にして侵すべからず(天皇じゃないけど)。

神が創りしもの(人の手によらないもの)に瑕疵はない。

人が作りしものは必ず壊れる。

一時的に上手くいったように見えても、長い目で見れば大きな失敗となりかねない。

人類もまた自然の一部なんだから、好きなようにすればいいという話もあるけど、浮沈子的には馴染めない。

しかし、その一方で、自らの視覚を維持するために、人工眼内レンズ入れたりしてるけどな。

結局は、その時々の流れの中で、合理的な妥協点を探っていくしかないんだろう。

合成生物学の成果を導入して、人類を宇宙化するというのは、やり過ぎだと感じる。

でも、いずれはそんなことも、当たり前になっているのかもしれない。

有難いことに、その前にこの世とおさらばするに違いないけどな・・・。