🚀スターライナー:CFTの真実:危機一髪のドッキング ― 2025年04月05日 15:54
スターライナー:CFTの真実:危機一髪のドッキング
(スターライナーの宇宙ステーションへの飛行は、私たちのほとんどが考えていたよりもはるかにワイルドだった)
https://arstechnica.com/space/2025/04/the-harrowing-story-of-what-flying-starliner-was-like-when-its-thrusters-failed/
「私たちは10分間のインタビュー時間をあっという間に過ぎ、結局30分近くも話をしました。」
「それはとんでもない話だ。」
まあ、どれ程ヤバかったかということについては、作家としての才能にも恵まれているエリックバーガーの文章を読んでもらうのが一番だ。
浮沈子は、一気に読んだ(もちろん、自動翻訳で)。
トレーニングダイブを控えていたので、このブログ記事を書くのが今日になったけど、このところ興味を引く宇宙ネタが乏しかった中ではピカいちの記事だ。
「宇宙船が宇宙ステーションに接近する際、接近のガイドとして 2 本の仮想線が使われます。その 2 本は R バーで、宇宙ステーションと地球の中心を結ぶ線です。「R」は半径を表します。そして V バーは宇宙ステーションの速度ベクトルです。」
「ウィルモアが 6DOF 制御について言及するとき、彼は 6 つの自由度(six degrees of freedom)、つまり 3 次元空間で可能な 6 つの異なる動き (前後、上下、左右、ヨー、ピッチ、ロール) を意味します。スターライナーの 4 つのドッグハウスとさまざまなスラスタにより、パイロットは宇宙船の動きをこれらの 6 つの自由度にわたって制御できます。」
記述の順序通りではないけど、これらを踏まえて読む必要がある。
宇宙空間は摩擦などの抵抗がないからな・・・。
「スラスタが失われたら、宇宙空間で制御不能になる可能性がある」
「そして、なんと、何が起こったのでしょう。最初のスラスタが失われたのです。」
「スラスターの問題により、スターライナーが宇宙ステーションから約 260 メートル (850 フィート) 離れた V バーに近づいたとき、ウィルモアは手動で宇宙船を制御しなければなりませんでした。」
「Vバーに近づくにつれて、2番目のスラスタが失われます。つまり、6DOF制御の喪失に対する単一のフォールトトレランスになります。」
「スターライナーがステーションから数百メートル以内に近づいたとき、2 番目のスラスタが故障」
「「単一故障」許容条件は、スターライナーの動きを完全に制御できなくなるリスクが生じる前に、スラスタがあと 1 回故障しても耐えられることを意味します。これにより、ドッキング試行の強制中止が必要になります。」
「私たちはシングルフォールトトレラントなので、『わあ、宇宙ステーションを離れるんだ』と思いました。飛行ルールは知っていますから。」
つまりだな、本来のルールに従えば、スターライナーはISSに接近することを許可されず、地球に戻るしかなかったわけだ。
では、なぜそうしなかったのか。
コントロールを失い、ISSに激突するリスクを冒してまで、なぜドッキングを強行したかが重要なわけだ。
しかもそれは、NASA自身が定めた飛行規則を捻じ曲げて(記事では「免除(waived)」:放棄)行った決定なわけだ。
「「Vバーを回収し、私が手動制御を引き継ぎました。そして、3番目のスラスターを失いました。今、再び、それらはすべて同じ方向を向いています。」
「今、私たちはゼロフォールトトレラントです。」
「今はゼロフォールトトレラントで、私が手動制御しています。そして、ああ、操縦が鈍い。」
ヤバいな・・・。
ヤバ過ぎ!。
ルールを冒して先に進めば進むほど、状況は悪くなる一方だ。
「4番目のスラスターが失われました。これで6DOF制御が失われました。前進できません。」
「これは非常に危険な状況です」
ここで、なぜ地上のチーム(ミッションコントロール)がドッキングを強行したかが明らかにされる・・・。
「ドッキングの試みを単に放棄することは、受け入れがたい解決策でした。ドッキングプロセス中に機体を制御するためにスラスタが必要であったのと同様に、スラスタはスターライナーを軌道離脱噴射と地球の大気圏への再突入に向けて配置するためにも必要でした。」
ISSにドッキングできなければ地球に戻るしかないけど、そのための姿勢制御にもスラスターは必要だからな。
進む(ISSドッキング)にも退く(地球に戻る)にも、不可欠な機能だったわけで、フライトディレクターは人命尊重の観点から超法規的決断をしたことになる(そういうことかあ?)。
やっば!!。
どーする!?。
「スターライナーが 28 基の反応制御システム スラスターのうち 4 基を失った後、ヴァン サイス氏とヒューストンのチームは、故障したスラスターをリセットすることが成功の最大のチャンスであると判断しました。」(ヴァン サイス氏(Ed Van Cise):ヒューストンのジョンソン宇宙センターにある NASA のミッション コントロールで15 年間のキャリアを誇るフライト ディレクター:この時点で、宇宙船は彼の管轄下にあります。)
「最大の成功のチャンス」と言うより、最早、それしか状況を改善に向かわせる手立てがなく、運を天に任せて再起動に踏み切ったというのが実態ではないのかあ?。
まあいい。
これで、ミッションは破滅の危機に追い込まれた。
絶体絶命、正真正銘の危機だ!。
記事では、シミュレーションにおいても、4つのスラスターの同時故障の訓練は行われなかったとされている。
やれやれ・・・。
で、一か八かのリセットをかけたわけだな。
どうなった?。
「4 つのスラスターのうち 2 つがオンラインに戻った。」
おおっ!。
「これで、シングルフォールトトレラント状態に戻りました。しかし、5番目のジェット機が失われました。」
なんと・・・。
「5番目のジェット機が故障する前に、2機のジェット機が回復したのは神の摂理だと考えています。これで、再びゼロフォールトトレラント状態に戻りました。」
綱渡りというかなんというか、敢えて言えば、綱が切れて、その切れた綱の端を片手で辛うじて掴んでいる状態なわけだ。
地上コントロールは、再び賭けに出る(再起動で4基のうち2基が戻ったからな:追加で故障した残る3基のうち、1基でも戻ればめっけもんだ)。
「ミッションコントロールは、故障したスラスターを再度回復させることを決定しました。ウィルモアが操縦装置から手を離した後、このプロセスによりスラスターは 1 つを除いてすべて回復しました。」
やれやれ・・・。
既に報じられている通り、この1基のスラスターは最後まで回復することはなかった。
ようやく、両手で切れた綱(ISSと繋がっている)に摑まることに成功した。
「この時点で、機体は当初の目的どおりに自律飛行できるようになりました。」
「そして、私は自動モードに戻しました。そしてもちろん、ドッキングしました。」
自動モードと手動モードの切り替えにおける葛藤、ミッションコントロールのスタッフに対する信頼、その他もろもろの事象におけるウィルモア宇宙飛行士の不安や決断は、敢えて省略している。
確かなことはただ一つ。
このフライトは行うべきではなかったということなわけだ。
「ウィルモア氏は、宇宙ステーションへのドッキング後、スターライナーはおそらく帰還の乗り物にはならないだろうとかなり確信していたと付け加えた。」
当然だろうな。
「NASAとボーイングは、スターライナーが乗組員を乗せて無事帰還することを公に確信していると表明した。しかし、あの恐ろしい旅を終えたばかりのウィリアムズとウィルモアは違った考えを持っていた。」
「私たちが経験したことから、私はとても懐疑的でした。私たちがそれを成し遂げられるとは思えませんでした。」(それ:スターライナーが乗組員を乗せて無事帰還すること)
「できるだろうという希望はありましたが、そこにたどり着き、『そうだ、私たちは戻って来られる』と言えるようになるまでには、本当に大変だったでしょう。」
「だから彼らはそうしなかった。」
9か月後、2人の宇宙飛行士は無事に地球に戻ってこられ、この話をすることが出来た(めでたしめでたしだな)。
エリックバーガーの記事を読むと、9か月間ISSに監禁(!)されたことなど、どーでもいいような気になる。
ドッキング直前のクリティカルな状況を考えれば、それは長過ぎた休暇に過ぎない。
一つ間違えれば、永遠に戻ることのない旅路になっちまったかもしれなかったわけだからな。
「ウィルモアは飛行中の体験や不安を気軽に話してくれました。」
「私たちは10分間のインタビュー時間をあっという間に過ぎ、結局30分近くも話をしました。」(再掲)
30分どころか10時間あっても、話足りないに違いない(未確認)。
「政治的な話は話題に上らなかった。その代わりに、これまで語られなかったスターライナーの飛行が実際にどのようなものだったのか、本当の話を知りたかった。」
この話は、おそらくウィルモア氏にとっての紛れもない真実だろう。
NASAとボーイングは、今でも今年の終わりか来年初めにかけて、修正を加えたスターライナーを飛ばそうと画策している。
止めた方がいい。
どーせ需要などないのだから(そうなのかあ?)。
仮に飛ばすとしても、せめて無人機(貨物でもいいんですが)として飛ばしてもらいたい。
「5番目のジェット機が故障する前に、2機のジェット機が回復したのは神の摂理だと考えています。」(再掲)
「ミッションコントロールは、故障したスラスターを再度回復させることを決定しました。ウィルモアが操縦装置から手を離した後、このプロセスによりスラスターは 1 つを除いてすべて回復しました。」(再掲)
幸運の女神は、既に2回も登場しちまったからな。
3度目はないだろう・・・。
(スターライナーの宇宙ステーションへの飛行は、私たちのほとんどが考えていたよりもはるかにワイルドだった)
https://arstechnica.com/space/2025/04/the-harrowing-story-of-what-flying-starliner-was-like-when-its-thrusters-failed/
「私たちは10分間のインタビュー時間をあっという間に過ぎ、結局30分近くも話をしました。」
「それはとんでもない話だ。」
まあ、どれ程ヤバかったかということについては、作家としての才能にも恵まれているエリックバーガーの文章を読んでもらうのが一番だ。
浮沈子は、一気に読んだ(もちろん、自動翻訳で)。
トレーニングダイブを控えていたので、このブログ記事を書くのが今日になったけど、このところ興味を引く宇宙ネタが乏しかった中ではピカいちの記事だ。
「宇宙船が宇宙ステーションに接近する際、接近のガイドとして 2 本の仮想線が使われます。その 2 本は R バーで、宇宙ステーションと地球の中心を結ぶ線です。「R」は半径を表します。そして V バーは宇宙ステーションの速度ベクトルです。」
「ウィルモアが 6DOF 制御について言及するとき、彼は 6 つの自由度(six degrees of freedom)、つまり 3 次元空間で可能な 6 つの異なる動き (前後、上下、左右、ヨー、ピッチ、ロール) を意味します。スターライナーの 4 つのドッグハウスとさまざまなスラスタにより、パイロットは宇宙船の動きをこれらの 6 つの自由度にわたって制御できます。」
記述の順序通りではないけど、これらを踏まえて読む必要がある。
宇宙空間は摩擦などの抵抗がないからな・・・。
「スラスタが失われたら、宇宙空間で制御不能になる可能性がある」
「そして、なんと、何が起こったのでしょう。最初のスラスタが失われたのです。」
「スラスターの問題により、スターライナーが宇宙ステーションから約 260 メートル (850 フィート) 離れた V バーに近づいたとき、ウィルモアは手動で宇宙船を制御しなければなりませんでした。」
「Vバーに近づくにつれて、2番目のスラスタが失われます。つまり、6DOF制御の喪失に対する単一のフォールトトレランスになります。」
「スターライナーがステーションから数百メートル以内に近づいたとき、2 番目のスラスタが故障」
「「単一故障」許容条件は、スターライナーの動きを完全に制御できなくなるリスクが生じる前に、スラスタがあと 1 回故障しても耐えられることを意味します。これにより、ドッキング試行の強制中止が必要になります。」
「私たちはシングルフォールトトレラントなので、『わあ、宇宙ステーションを離れるんだ』と思いました。飛行ルールは知っていますから。」
つまりだな、本来のルールに従えば、スターライナーはISSに接近することを許可されず、地球に戻るしかなかったわけだ。
では、なぜそうしなかったのか。
コントロールを失い、ISSに激突するリスクを冒してまで、なぜドッキングを強行したかが重要なわけだ。
しかもそれは、NASA自身が定めた飛行規則を捻じ曲げて(記事では「免除(waived)」:放棄)行った決定なわけだ。
「「Vバーを回収し、私が手動制御を引き継ぎました。そして、3番目のスラスターを失いました。今、再び、それらはすべて同じ方向を向いています。」
「今、私たちはゼロフォールトトレラントです。」
「今はゼロフォールトトレラントで、私が手動制御しています。そして、ああ、操縦が鈍い。」
ヤバいな・・・。
ヤバ過ぎ!。
ルールを冒して先に進めば進むほど、状況は悪くなる一方だ。
「4番目のスラスターが失われました。これで6DOF制御が失われました。前進できません。」
「これは非常に危険な状況です」
ここで、なぜ地上のチーム(ミッションコントロール)がドッキングを強行したかが明らかにされる・・・。
「ドッキングの試みを単に放棄することは、受け入れがたい解決策でした。ドッキングプロセス中に機体を制御するためにスラスタが必要であったのと同様に、スラスタはスターライナーを軌道離脱噴射と地球の大気圏への再突入に向けて配置するためにも必要でした。」
ISSにドッキングできなければ地球に戻るしかないけど、そのための姿勢制御にもスラスターは必要だからな。
進む(ISSドッキング)にも退く(地球に戻る)にも、不可欠な機能だったわけで、フライトディレクターは人命尊重の観点から超法規的決断をしたことになる(そういうことかあ?)。
やっば!!。
どーする!?。
「スターライナーが 28 基の反応制御システム スラスターのうち 4 基を失った後、ヴァン サイス氏とヒューストンのチームは、故障したスラスターをリセットすることが成功の最大のチャンスであると判断しました。」(ヴァン サイス氏(Ed Van Cise):ヒューストンのジョンソン宇宙センターにある NASA のミッション コントロールで15 年間のキャリアを誇るフライト ディレクター:この時点で、宇宙船は彼の管轄下にあります。)
「最大の成功のチャンス」と言うより、最早、それしか状況を改善に向かわせる手立てがなく、運を天に任せて再起動に踏み切ったというのが実態ではないのかあ?。
まあいい。
これで、ミッションは破滅の危機に追い込まれた。
絶体絶命、正真正銘の危機だ!。
記事では、シミュレーションにおいても、4つのスラスターの同時故障の訓練は行われなかったとされている。
やれやれ・・・。
で、一か八かのリセットをかけたわけだな。
どうなった?。
「4 つのスラスターのうち 2 つがオンラインに戻った。」
おおっ!。
「これで、シングルフォールトトレラント状態に戻りました。しかし、5番目のジェット機が失われました。」
なんと・・・。
「5番目のジェット機が故障する前に、2機のジェット機が回復したのは神の摂理だと考えています。これで、再びゼロフォールトトレラント状態に戻りました。」
綱渡りというかなんというか、敢えて言えば、綱が切れて、その切れた綱の端を片手で辛うじて掴んでいる状態なわけだ。
地上コントロールは、再び賭けに出る(再起動で4基のうち2基が戻ったからな:追加で故障した残る3基のうち、1基でも戻ればめっけもんだ)。
「ミッションコントロールは、故障したスラスターを再度回復させることを決定しました。ウィルモアが操縦装置から手を離した後、このプロセスによりスラスターは 1 つを除いてすべて回復しました。」
やれやれ・・・。
既に報じられている通り、この1基のスラスターは最後まで回復することはなかった。
ようやく、両手で切れた綱(ISSと繋がっている)に摑まることに成功した。
「この時点で、機体は当初の目的どおりに自律飛行できるようになりました。」
「そして、私は自動モードに戻しました。そしてもちろん、ドッキングしました。」
自動モードと手動モードの切り替えにおける葛藤、ミッションコントロールのスタッフに対する信頼、その他もろもろの事象におけるウィルモア宇宙飛行士の不安や決断は、敢えて省略している。
確かなことはただ一つ。
このフライトは行うべきではなかったということなわけだ。
「ウィルモア氏は、宇宙ステーションへのドッキング後、スターライナーはおそらく帰還の乗り物にはならないだろうとかなり確信していたと付け加えた。」
当然だろうな。
「NASAとボーイングは、スターライナーが乗組員を乗せて無事帰還することを公に確信していると表明した。しかし、あの恐ろしい旅を終えたばかりのウィリアムズとウィルモアは違った考えを持っていた。」
「私たちが経験したことから、私はとても懐疑的でした。私たちがそれを成し遂げられるとは思えませんでした。」(それ:スターライナーが乗組員を乗せて無事帰還すること)
「できるだろうという希望はありましたが、そこにたどり着き、『そうだ、私たちは戻って来られる』と言えるようになるまでには、本当に大変だったでしょう。」
「だから彼らはそうしなかった。」
9か月後、2人の宇宙飛行士は無事に地球に戻ってこられ、この話をすることが出来た(めでたしめでたしだな)。
エリックバーガーの記事を読むと、9か月間ISSに監禁(!)されたことなど、どーでもいいような気になる。
ドッキング直前のクリティカルな状況を考えれば、それは長過ぎた休暇に過ぎない。
一つ間違えれば、永遠に戻ることのない旅路になっちまったかもしれなかったわけだからな。
「ウィルモアは飛行中の体験や不安を気軽に話してくれました。」
「私たちは10分間のインタビュー時間をあっという間に過ぎ、結局30分近くも話をしました。」(再掲)
30分どころか10時間あっても、話足りないに違いない(未確認)。
「政治的な話は話題に上らなかった。その代わりに、これまで語られなかったスターライナーの飛行が実際にどのようなものだったのか、本当の話を知りたかった。」
この話は、おそらくウィルモア氏にとっての紛れもない真実だろう。
NASAとボーイングは、今でも今年の終わりか来年初めにかけて、修正を加えたスターライナーを飛ばそうと画策している。
止めた方がいい。
どーせ需要などないのだから(そうなのかあ?)。
仮に飛ばすとしても、せめて無人機(貨物でもいいんですが)として飛ばしてもらいたい。
「5番目のジェット機が故障する前に、2機のジェット機が回復したのは神の摂理だと考えています。」(再掲)
「ミッションコントロールは、故障したスラスターを再度回復させることを決定しました。ウィルモアが操縦装置から手を離した後、このプロセスによりスラスターは 1 つを除いてすべて回復しました。」(再掲)
幸運の女神は、既に2回も登場しちまったからな。
3度目はないだろう・・・。
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