kfujitoの徒然（ｂｙ浮沈子）

欧州大戦争：ザポリージャ戦線：フリアイポレ方面：著しく悪化


（シルシキー総司令官が危機的状況を認める、フリアイポレ方面の状況が著しく悪化）
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/commander-in-chief-sirsiki-acknowledges-the-critical-situation-the-situation-in-the-hliaipol-area-has-deteriorated-significantly/

「このまま悪天候が続けば、準備されたヤンチャー川沿いの防衛ラインを失ったウクライナ軍は酷い目に合うかもしれない」

この戦線におけるロシア快進撃のきっかけは、昨年のブーレダル陥落によるそうだ。

（ロシア軍がヴフレダルを占領、ヒルニク方面でも新たな包囲が発生）
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-troops-occupy-vhledal-new-siege-in-hirnik-direction/

「ウクライナ軍はヴフレダルを放棄して撤退した可能性が高い」

記事の日付を見ると、昨年の１０月１日となっている。

ロシア軍は直線距離にして７０ｋｍ余りを、１年以上かけて進軍してきたことになる（画像参照）。

やれやれ・・・。

（ザポリージャ州で防衛ラインが崩壊、ロシア軍は勢いに乗ってフリアイポレに迫る）
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/defense-lines-collapse-in-zaporizhia-oblast-russian-forces-gain-momentum-and-approach-hryaipol/

「これまでヴフレダルがロシア軍の前進を食い止めてきたため、ヴフレダル以降の南ドネツクやザポリージャ州の防衛ラインは「南からの押し上げ」のみに集中できたが、ヴフレダルが陥落したことで「準備していた南からの攻撃」ではなく「想定していない西からの攻撃」を受けて防衛ラインが崩壊し、ロシア軍は2024年10月1日～2025年9月31日までの1年間で80kmも西に前進している。」

まあ、西からの攻撃じゃなく、東からだろうけど。

（フリアイポレ方面の戦い、ロシア軍が怒涛のスピードで前進して集落を占領）
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/in-the-battle-for-hliaipol-russian-troops-advanced-at-breakneck-speed-and-occupied-the-village/

「ドネツク州の戦いは恐ろしいほどブトゥソフ氏の指摘通り推移している」

ここで触れられている見解は注目に値するので、長いが全文を引用する。

「ウクライナ軍が南ドネツクを制圧する上でヴフレダルは有利な位置にあり、圧倒的な高さ、密集した建造物、無人機運用にとって最高の電波到達範囲、あらゆる兵器の射撃位置を提供する極めて重要な場所だった。この都市は多数の陣地と地雷原によって強力な要塞地帯を形成していたため、ヴフレダル喪失は戦略的に深刻な結果をもたらす敗北だ。敵はヴフレダルを突破したことでヴェリカ･ノボシルカ方向やクラホヴォ方面にやってくると思うが、もう南ドネツクにヴフレダルほど戦術的利点をもたらす防衛拠点は存在しない。早急にドニプロとザポリージャの州境を東側からカバーする新たな防衛ラインを構築しなければならない」

「因みにブトゥソフ氏はアウディーイウカ陥落前「アウディーイウカはドンパスにおける戦略的な交通要衝で防衛の拠点だ。ここを敵に明け渡すということは得策ではない。もしアウディーイウカを失えば地形的に不利な戦場で戦うハメになるしかなく、ポクロウシク、ディミトロフ、クラホヴェが最前線の街になるだろう。つまりアウディーイウカを失うということは戦闘に有利な地形まで後退することを強いられ、その過程で多くの土地を失うだろう」と指摘していた。」

そりゃそうなんだろうけど、戦って敗れれば占領されちまうからな。

ヴェリカ･ノボシルカもクラホヴェも既にロシア軍に占領され、ポクロウシク、ディミトロフは風前の灯火、ブトゥソフ氏が指摘していた「ドニプロとザポリージャの州境を東側からカバーする新たな防衛ライン」がどこにあったのかは知る由もない。

「フリアイポレの東側面を守るヤンチャー川沿いの防衛ライン（ウスペニフカ、ノヴォミコライウカ、ノヴォヴァシリフスケ、パヴリフカ、ポルタフカ、マリニフカ）は9日までに全て陥落」（初出の記事より）

おそらくは、縦深防御の要塞が築かれておらず、ここを抜かれると一気に攻め上がられる可能性があるのかもしれない（未確認）。

ウクライナは、兵力の欠乏という宿痾を抱え、貧弱な防御線を維持できず、兵力・物量共に勝るロシア軍に押し切られる形で戦線が崩壊する末路を迎えつつあるのだ（そうなのかあ？）。

フリアイポレ方面が、そのきっかけになるのかどうかは分からないがな・・・。

＜以下追加＞ーーーーーーーーーー

（ウクライナメディア、まもなくザポリージャ州の防衛が深刻な危機に陥る）
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-media-zaporizhia-oblast-defenses-soon-to-face-serious-threat/

「攻勢に適した夏が終わってロシア軍の前進テンポが鈍化してもドニプロペトロウシク州南東部とザポリージャ州北東部に跨る戦場＝フリアイポレ方面だけは例外」

「10月の衝突回数と失われた領土の相関関係においてフリアイポレ方面で発生した衝突回数は16％に過ぎないものの、全体の領土損失に占める割合は69％にも達している。」

「ロシア軍は多くの戦力を投入しなくてもウクライナ軍の防衛の弱さのお陰で「不釣り合いなど多くの領土を獲得している」」

「これまで見過ごされてきたドニプロペトロウシク州南東部とザポリージャ州北東部に跨る戦場でロシア軍の前進が加速している」「驚くべきことに2025年に最も領土損失を記録した戦場の報道は最も少なかった」「この地域の戦いは長いあいだウクライナや世界から無視されてきたものの状況は急速に変わりつつある」「広大な領土損失を軽視してきた代償が重くのしかかりつつあり、ザポリージャの前線ラインはまもなく深刻な危機に陥るかもしれない」（kyiv Independent）

航空万能論のこの記事で浮沈子が注目したのはこの一点。

「南ドネツクからザポリージャ州北東部までの広大な農地や荒れ地の防衛に関する優先順位を下げたことも理解できる。この地域は人口がまばらで大きな都市も存在せず、ここでの領土損失が直ぐに決定的な戦略的影響を及ぼす訳でもないからだ。そのため同地域におけるロシア軍の前進は許容できるものだった」（同上）

「南ドネツクからザポリージャ州北東部に跨る広大な土地はいつの時代も争いが絶えず、何世紀にも渡って繰り広げられてきた血みどろの新しい歴史は、現在のウクライナにとって重大な意味をもつかもしれない」

ポーランドのことが頭をよぎった。

この国の国境は戦争の度に書き換えられてきたからな。

そのミニチュア版がここにあるわけだ。

両者に共通するのは平たんな土地だ。

「人口がまばらで大きな都市も存在せず、ここでの領土損失が直ぐに決定的な戦略的影響を及ぼす訳でもない」（再掲）

さて、どうなることやら・・・。

「勿論、現状からのザポリージャ占領は途方もない困難な任務だが、州都をFPVドローンの射程圏内に収めるだけでもウクライナにとっては壊滅的な打撃になり得る。さらに陥落が差し迫っているポクロウシクのことを考えると、まもなく大統領と参謀本部がポクロフスケ情勢について言及しなければならないことは本当に厄介だ。冬の間にフリアイポレ方面の状況が安定するかどうかは不明で、その多くのキーウの意思決定にかかっている。具体的にはドンバスでロシア軍の前進を阻止している部隊をザポリージャ州に移動させるかどうかだが、これは容易な解決ではなくさらなるトレードオフに過ぎない」

ポクロフスケというのは、ドニプロペトロウシク州にある小都市で、「事実上」陥落しちまったドネツク州の都市とは異なる。

兵站拠点ともなっていて、この両都市を結ぶ補給路を断たれるとフリアイポレはひとたまりもなくなる。

ポクロフスケ自体も攻撃の対象となってきている（既にFPVドローンの射程圏内）。

ドンバスを取るか、ザポリージャ方面を取るか。

もちろん、ウクライナが両方を同時に守り切ることは困難だ。

「現状のウクライナ軍には戦略的予備戦力が殆どもしくは全くなく、全ての場所を同時に防衛することは不可能」

ドネツク州を放り出して、軍事的に優先順位が低いザポリージャ州の残りの地域に軍隊を振り向ける選択はあり得ない。

つまり、フリアイポレが抜かれるということはだな、州都ザポリージャが脅かされることと同義なわけだ。

それはさらにドニプロ（ドニプロペトロウシク州の州都）にも及び、クレメンチュクにも達するかもしれない。

ドニエプル川左岸（東岸）は、ロシア軍に蹂躙されることになる。

南から押し上げるロシア軍、その頃にはドネツク州を手に入れて東から西進するだろうロシア軍、更にはハルキウ方面やスムイ方面にも押し寄せる（そんなあ！）。

ウクライナは、ドニエプル川という自然の要塞を最後の頼みとして防衛に当たるかも知れないが、そこには大きな穴がある。

そう、ベラルーシはドニエプル川の右岸（西岸）に国境を接しているからな。

また、現在は黒海艦隊はウクライナに封じ込められているけど、そっち方面から大規模に揚陸されればオデッサも危うい。

軍事的に見て、ウクライナに勝ち目はないのだ。

しかも、現在のロシアの進軍ペースが維持されるという保証もない。

ウクライナ全土を制覇するのに１００年掛かるとか、そういう算数の問題ではないのだ。

１０００ｋｍに渡る戦線を維持できなくなれば、その時点で大規模な突破が行われる可能性がある。

フリアイポレ陥落が懸念されているのは、それもあるに違いない。

「現状のウクライナ軍には戦略的予備戦力が殆どもしくは全くなく、全ての場所を同時に防衛することは不可能」（再掲）

ロシアが、ウクライナ戦線に割くことが出来る余力をどの程度残しているのかは知らない。

が、欧州本体に攻め込む余力があることは間違いない。

いつでも、どこへでもだ。

ロシアは戦争に勝とうとしているのではない。

ウクライナの軍事力を消耗させ、枯渇させようとしている。

兵力も、武器弾薬も、軍事産業も、戦争遂行に必要な要素全てを破壊し尽くそうとしているように見える。

それがウクライナ自身の手によって行われることを期待している。

描いている物語は、なるべく早い段階でそれが行われるように仕向けることだ。

米国を手玉に取り、欧州をけん制しつつ、シナリオに手を加え続けている。

領土侵略は、そのための小道具に過ぎない。

だからこそ、プーチンは和平のための領土条件をちょこまかと弄っているのだ。

べらぼーめ・・・。

ウクライナは、まだ抗戦能力を残している。

西側からのカンフル注射で、辛うじて生き残っている。

資金や直接間接の軍事援助で。

既に、自国資金で軍事費を賄うことは出来なくなっている。

ロシアの凍結資産を当てにして、自転車操業しているだけだ。

欧州はそれを軍事費に転用しようとしているけど、問題はそれが尽きた時の話なわけだ。

財政的破綻は免れない。

財政的根拠を欠いたまま、戦争を継続することは無謀だろう。

遠からずハイパーインフレを食らって経済は破綻、国家は消滅する。

まあ、そうなる前に何らかの手を打つんだろうが、その選択肢はますます限られていく。

戦場で勝てないウクライナに投資し続ける経済的理由はない。

それは、欧州大戦争という広域の枠組みの中での合理性だけで成立している際どい話だ。

まあ、ロシアはそれ自体が西側の妄想だと言ってるけどな。

浮沈子はそうは思わない。

プーチンは、東欧諸国への影響力を取り戻したいと思っているだろうし、次世代のメドベージェフは欧州自体を呑み込みたいと考えているに決まっている（そうなのかあ？）。

中国の手先となったとしても、ロシアにとっては大きな見返りがあるからな。

中国の首都はローマになる（そうなのかあ？）。

大ユーラシア帝国とかいってな・・・。

今夜も、妄想が止まらなくなった。

２２世紀の夢でも見ながら寝るとしよう・・・。

＜さらに追加＞ーーーーーーーーーー

（ロシア軍、ポクロフスケとフリアイポレを結ぶ主要ルートの物理的遮断に成功）
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-forces-successfully-block-a-major-route-between-pokrovske-and-hlyaipolye/

「ウクライナ軍はウスペニフカ防衛を犠牲にしてでも守りたかったフリアイポレへの主要補給ルートを失った」

ウクライナ軍の戦力不足は１０００ｋｍに渡る戦線の全域だけではなく、局地戦における部隊配置にまで及んでいる。

「ウスペニフカはヴィシュネヴェ防衛に戦力の50％が引き抜かれて状況が悪化した。」（DEEP STATE）

「第102領土防衛旅団の1個大隊がウスペニフカの状況を救おうと試みたが戦力の不均衡で良い結果を得られなかった」（同上）

戦力の不均衡というのは、つまり戦力不足ということに他ならない。

ビシュネベは、ポクロフスケとフリアイポレを結ぶ主要ルートであるP-85に至る途上にあったが、ロシア軍は南側を迂回してダリニウカを占領した。

「この集落の解放はザポリージャ州での前進にとって非常に重要で、ロシア軍はP-85の移動を物理的に遮断し、ウクライナ軍はフリアイポレ方向への主要補給ルートを失った。ロシア軍は引き続きラディスネ方向に攻撃を行っている。今後もP-85の制御を維持･強化していく必要があるものの、この方面におけるウクライナ軍の状況はどんどん悪化している」（RYBAR）

浮沈子的には、RYBARの報告の中の以下のくだりに関心を寄せた。

「ロシア軍は防衛ラインを拠点を突破した。第5戦車旅団の突撃部隊はダニリウカを制圧して国旗を掲げ、南の森林地帯からもウクライナ軍部隊を追い払った。ロシア軍はダニリウカへの突入前、航空機や無人機で集落周辺の陣地を徹底的に破壊し、ダニリウカへの接近を妨害するため設置していた有刺鉄線にも穴を開けた」

近接航空支援を受け、突入前に陣地や有刺鉄線などの障害を排除して歩兵を送り込んでいる。

この時期に特有の気象条件（雨や霧）が影響したかどうかは不明だが、ロシア軍は勝利の方程式を手に入れているようだ。

陣地前方にFPVドローンを多数展開し、キルゾーンを構築して歩兵による突破を未然に防ぎ、侵入した敵は徹底排除するというウクライナの防御戦法はどこへ？。

攻撃側が数倍の兵力を投入しなければならない防御戦に徹するウクライナ軍は、その優位性を生かせず押し切られ続けている。

撤退自体は想定の範囲内だが、既に見たように、ブーレダルからフリアイポレまでのロシア軍の進軍速度は他の戦線のそれを凌駕している（航空万能論の記事では年間８０ｋｍ）。

この勢いのままで推移すれば、州都ザポリージャまで１年余りで到達する（約９０ｋｍ）。

やれやれ・・・。

来年の今頃までドンパチが続いていれば、既にザポリージャ市街戦に突入している可能性もある。

数万人規模のポクロフシクなどとは桁が違うからな。

（ザポリージャ）
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3

「人口 （2007年現在）
市域 790,000人」

その頃まで、ウクライナ軍の予備兵力が枯渇しないで残っていたとしても、どこまで戦えるか。

ドニプロべトロウシク州を西進したロシア軍が、同時期にドニプロを攻めている可能性もある（ホントかあ？）。

（ドニプロ）
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%8B%E3%83%97%E3%83%AD

「人口は968,502人（2022年1月19日時点）」

ポクロフシクからの距離は１５０ｋｍ以上だから、同時期ということはないか（テキトー過ぎ！）。

まあいい。

ウクライナは早急に、現在の戦線の西側に新たな防御線を構築する必要がある。

既にあるとすれば、強化や多重化が必須だ。

ゼレンスキーは、ドンバスを明け渡せば、そこを足掛かりにさらに内陸部を侵略してくるということで、領土割譲を拒んでいる。

そういう事態を想定している以上、当然、しかるべき防御策を講じていると思われる（未確認）。

しかし、アウディーイウカ陥落後、必ず来ると分かっていたポクロフシクでさえ、ロシア軍の手に落ちようとしている。

難攻不落の要塞などないのだ。

領土というリソースを消耗しながら、時間というリソースを稼ぎ、その時間の中で停戦や休戦、つかの間の平和のための和平交渉を進めるしかない。

まして、ロシアはウクライナとのドンパチを「内戦」だと思ってるからな。

まあ、どうでもいいんですが。

今日、フリアイポレの主たる兵站ラインが物理的に遮断されたからと言って、明日にもドニエプル川左岸がロシアに蹂躙されるような言動は慎まなければならない。

が、決してそうはならないという話はどこからも聞こえてこない。

兵力差、支援する他国の状況を比較しても、１年後あるいは２年後には想定される事態に違いない。

浮沈子的には、そんなことになる前に、くだらんドンパチなどさっさと止めて、荒廃した国土の復興に１日でも早く取り掛かるべきだと思うんだがな・・・。