🐱北朝鮮軍事偵察衛星打ち上げ成功:衛星は機能するのか2023年11月24日 20:45

北朝鮮軍事偵察衛星打ち上げ成功:衛星は機能するのか
北朝鮮軍事偵察衛星打ち上げ成功:衛星は機能するのか


(韓国 “北朝鮮 衛星打ち上げは成功 ロシアから技術支援”)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231123/k10014267011000.html

「北朝鮮による21日の軍事偵察衛星の打ち上げについて成功したという分析」

「打ち上げは成功し、衛星が軌道に進入した」

「北朝鮮がロシアに対し、関連する設計図やこれまでのデータを渡し、その分析結果を受け取った状況を把握したとして、ロシアによる技術支援があった」

「ことし5月に行った打ち上げの残がいを分析したところ、当時搭載されていたものは、偵察衛星としての性能がなかった」

「北が撮影したものを公開しないかぎり、性能を把握できる状況にならない」(今回の衛星について)

「今後、数日程度で機能しているかどうかを判断できると思う」

これらの情報は、韓国によってもたらされている。

この打ち上げは、米国でも報じられている。

(北朝鮮が人工衛星を打ち上げ、その後ブースターを爆破したとみられる)
https://arstechnica.com/space/2023/11/north-korea-launched-a-satellite-then-apparently-blew-up-its-booster/

「火曜日の夜、北朝鮮の千里馬1号ロケットがブースターエンジンが停止するまで夜空を高く上昇していく姿を垣間見た。その後、上段エンジンが点火してペイロードを軌道上に送り続け、ロケットの使用済みの消耗品ブースターを残して朝鮮半島西の黄海に落下する。」

黄海に落下したはずの1段目について、打ち上げた北朝鮮が意図的に爆発させた可能性について報じられているのが興味深い。

「北朝鮮による5月と8月の最初の2回の千里馬1号打ち上げは失敗に終わった。5月の打ち上げ後、韓国当局者らは、同国の海軍が黄海からロケットの比較的大きな破片と、発射台に搭載された衛星の残骸を回収したと発表」

「韓国軍は当時、ロシアのエンジン技術などの外国部品がロケットに使用されていないかどうかを判断するために破片を検査すると発表」

「韓国当局者らは、この衛星には軍事的価値はほとんどないと述べたが、ソウルの指導者らはロケットの査察で、北朝鮮のロケット計画へのロシアの関与の可能性について新たな詳細が明らかになったかどうかについては明らかにしていない。」

「自身のウェブサイトでミサイル発射を専門的に追跡しているオランダの考古学者マルコ・ラングブルック氏は、ブースターの爆発は北朝鮮のロケットが韓国の手に落ちないようにするために「意図的に行われた可能性が十分にある」と結論づけた。」

うーん、何とも言えないなあ・・・。

「このロケットはおそらく北朝鮮の最新の大陸間弾道ミサイルをベースとしている。核弾頭を世界中の標的に届けることを目的としたミサイル「火星17」」

「北朝鮮が四酸化窒素と組み合わせてヒドラジンを消費するロシアのRD-250エンジンに似た独自のエンジンを開発した可能性もある。これらの貯蔵可能な推進剤が集まると自動的に燃焼するため、エンジンの設計が比較的シンプルになり、長期的な警戒が必要なミサイルにとっては優れたソリューションとなります。」

つまり、軍事偵察衛星を、大陸間弾道ミサイルの技術で打ち上げているわけで、到底、褒められた話ではない。

「韓国のシン国防相は、この発射は弾道ミサイル技術を利用した北朝鮮の発射を禁止する国連安全保障理事会決議への「明らかな違反」であると述べた。」

「1回目と2回目の試みはエンジンの問題で失敗したではないか?今回の最大の特徴はエンジンの成功だ…これは8月のプーチン大統領の支援の申し出が見せかけではなかったことを示している」

つまり、100万発の砲弾の見返りに、ロシアは弾道ミサイル技術を供与した可能性が指摘されているわけだ。

とすれば、意図的に破壊したという説明もリアリティーを帯びてくる。

「北朝鮮の残りの発射シーケンスは計画通りに進んだように見えた。千里馬 1 号ロケットの第 2 段は宇宙への飛行を続け、その後、第 3 段で北朝鮮の衛星万里鏡 1 号を軌道に乗せました。」(自動翻訳の衛星名を修正)

「北朝鮮の国営通信社は発射が成功したと発表し、米軍が公開した追跡データもこれを裏付けた。軍の追跡レーダーは、地球上空約310マイル(500キロメートル)の極軌道上で衛星を検出した。」

北朝鮮は、以前にも人工衛星を打ち上げている。

今回は、ロケットも衛星も大型化している。

「火曜日の打ち上げは、北朝鮮の千里馬1号ロケットの3回目の飛行であり、北朝鮮が2012年と2016年に成功した最初の2基の人工衛星の配備に使用した打ち上げロケットよりも高性能であると思われる。」

衛星の性能確認が公になるかどうかは分からない(軍事衛星だからな)。

(北朝鮮が偵察衛星の打ち上げに成功したと発表 予告期間の1時間余り前に実施)
https://sorae.info/space/20231122-north-korea.html

「チョンリマ1型ロケットは日本時間2023年11月21日22時42分に北朝鮮の西海(ソヘ)衛星発射場から発射」(北朝鮮の国家航空宇宙技術総局)

「飛行は正常で、同日22時54分にマンリギョン1号の軌道投入に成功」(同上)

「11月21日22時43分頃に発射された1発は複数に分離し、1つ目は朝鮮半島の西約350kmの東シナ海上(予告落下区域外)に22時50分頃落下、2つ目は沖縄本島~宮古島間の上空を通過した後、沖ノ鳥島の南西約1200kmの太平洋上(予告落下区域内)に22時57分頃落下したと推定」(防衛省発表)

この中では、1段目の爆発については触れられていない。

「2023年5月31日に実施された初打ち上げでは2段目エンジンの始動時に異常が発生して黄海に墜落」(北朝鮮発表)

「2023年8月24日に実施された2回目の打ち上げでは3段目の飛行中に非常爆発システムの誤作動が発生」(同上)

通告の時間枠開始の1時間前の打ち上げと言い、1段目の爆発と言い、お騒がせな打ち上げだったが、無事に極軌道に投入されたようだ。

(偵察衛星で米グアム基地の画像取得 北朝鮮国営メディア)
https://www.afpbb.com/articles/-/3492679

「朝鮮中央通信(KCNA)は、金氏が「太平洋・グアム(Guam)上空から撮影した、アプラ湾(Apra Harbor)のアンダーセン空軍基地(Anderson Air Force Base)をはじめ、主要な米軍基地の衛星写真を閲覧した」と伝えた。」

おお、やったじゃん!?。

しかし、アンダーセンはアプラ湾じゃないけどな(そんなあ!)。

(アンダーセン空軍基地)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%B3%E7%A9%BA%E8%BB%8D%E5%9F%BA%E5%9C%B0

「グアムのジーゴから北東に約6.4kmの場所に位置する」

(アプラ港)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%A9%E6%B8%AF

「グアム島中西部にある港」

「アメリカ軍基地:
アメリカの艦船への補給が可能な基地であり、横須賀と並ぶ西太平洋の重要な拠点となっている」

北朝鮮がテキトーなのか、AFPがいい加減なのかは知らない。

まあ、どうでもいいんですが。

「KCNAは、衛星は「7〜10日間の調整を終えた後、12月1日から正式に偵察ミッションが始まる」と伝えた。」(AFP)

100万発の砲弾(152mm砲弾、122mmロケット弾も?)の見返りだからな。

大切に運用してもらわんとな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(北朝鮮の金総書記、新たなスパイ衛星の「標的地域」写真を視察=KCNA)
https://jp.reuters.com/world/security/Y65IDVUQRJJYVPVCSSWJJ6JWNA-2023-11-24/

「KCNAによると、金氏は24日、平壌にある国家航空宇宙技術総局(NATA)の管制センターを訪問し、北朝鮮国内の一部地域で撮影された写真や画像を視察。」

写真と画像を区別しているところがミソか(波長帯を区別して取得できるセンサーがあるということかも)。

「写真は24日朝に衛星が半島上空を通過した際に撮影されたもので、ソウルのほか、米軍と韓国の軍事基地がある木浦、群山、平沢、烏山の写真も含まれていたという。」

うーん、アプラ港にあると言われるアンダーセン基地(ワケワカ!)については触れられていない。

ロイターは、怪しげな情報は避けているようだな(そうなのかあ?)。

まあいい。

しかし、今度は「北朝鮮の一部地域」に、「ソウルのほか、米軍と韓国の軍事基地がある木浦、群山、平沢、烏山」が含まれているような文脈になっちまっているぞお!。

衛星関係の記事は、慣れない記者が書くと混乱するな・・・。

(木浦市)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%B5%A6%E5%B8%82

「韓国全羅南道西南部の市。」

(群山市)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%A4%E5%B1%B1%E5%B8%82

「大韓民国全羅北道北西部の市」

「在韓米軍の群山空軍基地が所在する。」

(平沢市)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E6%B2%A2%E5%B8%82

「大韓民国京畿道南部にある市。」

「韓国海軍第2艦隊及び在韓米軍の軍港がある。」

(烏山市)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%83%8F%E5%B1%B1%E5%B8%82

「大韓民国京畿道中部の市。」

「在韓米軍の烏山空軍基地はアメリカ第7空軍司令部が所在する。」

木浦(モクポ:モッポとも)市には、基地がないのかと思ったら、韓国海軍の基地があった。

(第3艦隊 (韓国海軍))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC3%E8%89%A6%E9%9A%8A_(%E9%9F%93%E5%9B%BD%E6%B5%B7%E8%BB%8D)

「司令部は木浦市に所在する。」

まあ、どうでもいいんですが。

北朝鮮は、ロケット技術の供与を受けて、着々と偵察衛星の配備を進めるだろう。

アンダーセンは、金総書記の天敵であるB-1B爆撃機の基地だからな。

こっちもちゃんと写しておかんとな。

そういえば、先日、B-1Bの後継機であるB-21が飛んだとかいう記事を読んだ記憶がある。

(B-21 (航空機))
https://ja.wikipedia.org/wiki/B-21_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

「初飛行:2023年11月10日」

「アメリカ空軍は戦略爆撃機として、B-1、B-2、B-52の3機種を運用しているが、2020年代後半からB-1とB-2を段階的に退役させ、以降は新型エンジンへの換装などで延命するB-52とB-21の2機種体制にする計画である」

なんと、B-52は、まだ使うつもりなんだ・・・。

ちなみに、ウィキ本文では11月11日初飛行となっているが、出典を見ると「The B-21 Raider took its first test flight on Friday」(金曜日は10日です)となっている。

うーん、英語版のウィキでも10日になっているからな。

わが国との時差の関係かも知れない(浮沈子は、ウィキペディアの記述上の時差の扱いについては知りません)。

まあ、こっちもどうでもいいんですが。

北朝鮮が、打ち上げた軍事衛星で、アンダーセンに駐機しているB-1Bを確認できたかどうかは知らない(B-2は、飛来していたとしても、エアコンが効いた屋内に駐機するから、衛星では分からないだろう:エアコンの室外機の発熱で分かるかも)。

本格運用が始まれば、様々な情報が入ることになるが、それが平和に結びつくように運用してもらいたいもんだな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(「米軍基地を撮影、金正恩氏が確認」北朝鮮 衛星の作動をアピールか)
https://www.asahi.com/articles/ASRCT2QYQRCTUHBI00F.html

「在韓米軍基地やハワイの米軍基地などを撮影した写真を確認」

ハワイだってえ!?。

「偵察衛星は24日午前10時15~27分と25日午前9時59分~10時2分に朝鮮半島上空を通過した。」

「韓国軍や在韓米軍基地の場所を中心に韓国国内の11カ所を列挙し「重要標的地域」を撮影したと主張」

・22日:
グアムのアンダーセン米空軍基地

・24日:
キャンプ・ハンフリーズのある京畿道平沢(ピョンテク)やソウルなど

・25日:
釜山作戦基地に21日から停泊しているカールビンソンなど

・25日午前5時13分(平壌時間):
米ハワイ上空を通過し、海軍基地や空軍基地

「韓国の情報機関・国家情報院は、軍事偵察衛星として有用な水準には達していないとみており・・・」

アサヒは、アプラ湾については触れていない。

まあいい。

ハワイの撮影の話は初めて出た。

(パールハーバー・ヒッカム統合基地)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%A0%E7%B5%B1%E5%90%88%E5%9F%BA%E5%9C%B0

「ハワイ州ホノルルに位置するアメリカ軍の基地である。2010年にアメリカ空軍のヒッカム空軍基地とアメリカ海軍のパールハーバー海軍基地が統合して誕生した基地」

「西経157度56分38秒」

ソウル市の経度を見ると、東経126度58分とある。

経度にしておよそ22+53=75度離れている。

高度500km程度の極軌道で周回しているとすると、地球自体が24時間で1回転(360度)しているので1時間では15度ずつずれる地表を観測できる計算だ。

25日の通過時間が約5時間ずれていることから、通過時刻については一応整合している。

が、衛星の周回時間はおよそ90分と見られることから、若干怪しい気がしないでもない(その辺りは、韓国軍が解析しているでしょうけど)。

まあ、どうでもいいんですが。

(韓国やハワイ米軍基地を衛星で撮影「正恩氏が確認」 北朝鮮報道)
https://www.sankei.com/article/20231125-IPAVCBILSZILPJZ364OXVHRUXE/

「韓国国内の「重要標的地域」や米ハワイの写真を確認」

「25日午前には、日本や朝鮮半島を管轄する米インド太平洋軍司令部があるハワイの米軍基地や、韓国南部釜山(プサン)に寄港中の米原子力空母カール・ビンソンを写真に収め、正恩氏が確認」

「22日にも米領グアムの空軍基地を撮影した写真を正恩氏が確認」

韓国は、北の衛星の成功を快く思っていないようで、どーせ公開されっこない軍事衛星が撮影した画像を見なければ性能は判断できないとか、「(打ち上げ成功の)喜びのあまり勇み足をしたようだ」(申源湜(シン・ウォンシク)国防相)などと、撮影の成功に否定的な見方を示すなど、牽制している。

金総書記が、満面の笑顔で写っている写真も添えられていて、北朝鮮では大喜びしているようだ(また、記念日作るんじゃね?)。

「国家航空宇宙技術総局平壌総合管制所を訪れ、笑顔を見せる北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(右)=24日(朝鮮中央通信=共同)」(写真のキャプション)

韓国は、先日、自力で衛星打ち上げに成功したばかりだ。

(国産ロケット打ち上げ成功 夢が現実に…韓国が「宇宙強国G7」に仲間入り)
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/05/26/2023052680016.html

「韓国が独自開発した国産ロケット「ヌリ」が実際に人工衛星を宇宙に運ぶ「初めての実用レベルの衛星打ち上げ」に成功した。」

韓国国防省が、今回の北朝鮮の打ち上げは、ロシアの協力で実現したと主張する背景には、対抗意識があるのかもしれない(未確認)。

「宇宙開発の後発組である韓国は、2009年から1兆9570億ウォン(現在のレートで約2060億円)をかけたヌリ計画に成功し、グローバル競争に加わる足がかりを築いた。」

「韓国政府は今年から10年間にわたり2兆132億ウォン(約2120億円)を投じ、2032年に月着陸船を送ることを目標に、次世代ロケットの開発に着手する。」

鼻息は荒い!。

「今日、我々は夢が現実になり得ることを確認した」(尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領)

北が、あっさりと「自主技術」で打ち上げに成功したということになれば、ちょっと面白くない気分かも知れない。

まあ、どうでもいいんですが。

「自国で作った衛星を自国で作ったロケットに搭載し、宇宙軌道に載せた国は米国・フランス・日本・ロシア・中国・インドしかない」(同上)

浮沈子の記憶が確かならば、イランも自国開発のロケットで、自国製造の衛星を上げてたような気がするんだがな。

(イラン宇宙機関)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%A9%9F%E9%96%A2

「2008年8月17日にサフィールロケットの軌道投入が行われた。」

この時の衛星投入が成功したかどうかは怪しいとされている。

「2009年2月2日、イラン国営テレビはイラン初の国産衛星「オミード」がサフィール-2によって低軌道に無事打ち上げられたと報道」

こっちは間違いないようだ。

そもそも、北朝鮮自体が、過去に衛星打ち上げに成功しているからな。

うーん、あんま、その辺を突っつかない方が無難かもしれないなあ・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(各国初の軌道投入の年表)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%84%E5%9B%BD%E5%88%9D%E3%81%AE%E8%BB%8C%E9%81%93%E6%8A%95%E5%85%A5%E3%81%AE%E5%B9%B4%E8%A1%A8

「2022年時点では11カ国が独自のローンチ・ヴィークルを使って地球周回軌道以上の軌道へ物体を送り込む能力を開発した。」

衛星が、自国製造かどうかは問わない点に注意だな。

韓国大統領は、その辺りにもこだわっているようだからな。

「自国」ということになれば、その数え方の問題も出てくる。

「ソビエト連邦の崩壊後、ロシアとウクライナの2国は衛星製造と打ち上げ能力を継承している。」

「欧州統合開発のアリアン計画の前にフランスとイギリスは独自に衛星の打ち上げ能力を得ておりそれぞれ、アルジェリアとオーストラリアから衛星を打ち上げている。」

・ソビエト連邦:1957年10月4日:スプートニク1号
・アメリカ:1958年2月1日:エクスプローラー1号
・フランス:1965年11月26日:アステリックス
・日本:1970年2月11日:おおすみ
・中国:1970年4月24日:東方紅1号
・イギリス:1971年10月28日:プロスペロ
・欧州宇宙機関:1979年12月24日:CAT-1
・インド:1980年7月18日:ロヒニD1
・イスラエル:1988年9月19日:オフェク1
・ウクライナ:1991年9月28日:ストレラ-3(x6, Russian)
・ロシア:1992年1月21日:コスモス2175号
・イラン:2009年2月2日:オミード
・朝鮮民主主義人民共和国:2012年12月12日:光明星3号2号機
・韓国:2022年6月21日:ダミー衛星、性能検証衛星 (キューブサット4機含む)

韓国は、「羅老号」による打ち上げを過去に行っており、2013年1月30日に3号機の打ち上げに成功した。

衛星「STSAT-2C」は韓国の製造だが、まあ、試験衛星だな。

(STSAT-2C)
https://ja.wikipedia.org/wiki/STSAT-2C

「軌道投入確認のためのレーザー反射鏡、宇宙放射線測定センサー、宇宙イオン測定センサー、レーザー発振器、姿勢制御用ホイール、赤外線映像センサーなどが搭載されている[2]。太陽同期軌道で1日に地球を14周する。」

「予定されていた1年間の試験を終え、2014年4月以降通信を途絶、運用停止している」

「羅老号」は、ロシア(クルニチェフ国家研究生産宇宙センター)との共同開発ということになった。

様々なエピソードがあったようだが、韓国は独自ロケットを開発し、昨年、打ち上げに成功している(ウィキは、これを掲載)。

今年の5月には、実用衛星の打ち上げを行ったということなわけだ。

浮沈子は良く知らなかったんだが、イスラエルは数年に一度のペースで衛星を打ち上げており、今年の3月にも上がっている。

(シャビット 2)
https://en.wikipedia.org/wiki/Shavit_2

「シャビット-2:2023年3月28日23:10:パルマチム空軍基地:オフェク-13」

ちなみに打ち上げられているオフェクシリーズは、我が国のスパイ衛星と同じく、光学衛星とレーダー衛星を交互に上げている(13は合成開口レーダー搭載)。

「シャビットは近い将来、商業打ち上げにも利用可能になると言われている。」

打ち上げロケットと言えば、米国、中国、ロシア、ESA位で、せいぜいインドしかカバーしていなかったが、イランとかイスラエルとかもたまに見ないとな(数年に1度で十分ですが)。

おっと、我が国を忘れるところだった・・・。

🐱ニューグレン:3年後の火星飛行2023年11月24日 09:00

ニューグレン:3年後の火星飛行


(今から1年後?—
NASAはブルー・オリジンの最初のニュー・グレン・ロケットで火星ミッションを開始する
この火星ミッションは比較的低コストなので、NASAはリスクを冒す価値があると考えている。)
https://arstechnica.com/space/2023/11/nasa-will-launch-a-mars-mission-on-blue-origins-first-new-glenn-rocket/

「2月にNASAは、初期のニューグレンミッションの1つでESCAPADEを飛行させるためのBlue Originとの打ち上げ契約を発表した」

「ブルー・オリジンの遅延の歴史を考慮すると、ニュー・グレンが本当に1年以内に飛行できるようになるかどうか疑問を持つのは当然」

「火星の打ち上げ期間は通常 26 か月ごとに行われるため、ESCAPADE が 2024 年末に打ち上げられなかった場合、次の打ち上げの機会は 2026 年末になる」

「実績のないロケットでもう少しリスクを負うことと引き換えに、成果物は少し異なり、いつ飛行する準備ができているかを顧客に電話する際の自信が少し薄れます。 」(NASAの打ち上げサービス責任者であるブラッドリー・スミス氏)

結論は、明らかな気がするがな。

「ジェフ・ベゾス氏の宇宙会社はNASAのために一対の火星探査機を打ち上げる可能性が高い。」

しかし、その時期は2026年末ということになる。

ニューグレンについては、2016年の発表時に、鳥嶋さんが記事を書いている。

(Amazon設立者ベゾスの宇宙企業、超大型ロケット「ニュー・グレン」を発表)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20160920-new_glenn/

「ベゾス氏は過去のインタビューで「火星には興味はない」と語っており、少なくともブルー・オリジン自身が火星を積極的に狙うことはないようである。」

まあいい。

2016年と言えば、まだ、ファルコンヘビーは飛んでおらず、スターシップは構想だけで、影も形もない時期に当たる。

「ファルコン9はこれまでに6機のロケット回収に成功しているが、再使用はまだ行われていない。」

歴史を感じる記述だが、まだ、7年しか経っていない。

生き馬の目を抜くS社の開発速度だが、ブルーオリジンは、のんびり確実に実績を積んでいる。

BE-4エンジンの開発については、興味深い話題がある。

「ブルー・オリジンのような設立から20年足らずの企業が、なぜこれほど難しいエンジンを造れるだけの技術をもっているのは謎に包まれている。ロシアから技術や人の流れがあるとも言われるが、まったくわかっていない。」

ロシアネタに強い鳥嶋さんでさえ情報を掴めていなかったわけだが、その後の話は聞かない。

2017年には、エンジン開発の特集をしているけど、その時点でも謎に包まれたままだ。

(ロケット開発"空白の20年"を乗り越える米国、空白の続くロシア)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/us_rocket-4/

「実のところ、米国がどのようにしてRD-180級のエンジンを造れるようになったのかはまだ謎が多い。RD-180の情報にアクセスできたエアロジェット・ロケットダインはともかく、ブルー・オリジンのような新興企業にどのように技術が、そして人がわたったのかは明らかになっていない。」

まあ、どうでもいいんですが。

BE-4を搭載したバルカンは、クリスマスイブに飛ぶだろう。

3年後に火星に向けて初飛行となるニューグレンにも、BE-4が使われる。

エンジンの開発は、2011年から行われていたようだが、ULAが採用したいきさつを考えると何とも言えないものを感じる。

その頃、まだ、ウクライナでドンパチやってるんだろうか?。

それとも、「反転攻勢」に成功して、領土奪還を果たしているんだろうか・・・。

🐱ポストISS:恐ろしい「G」ワード2023年11月23日 16:43

ポストISS:恐ろしい「G」ワード


(予算削減とステーションの老朽化により、NASA は軌道上のギャップを愛することができるでしょうか?)
https://arstechnica.com/space/2023/11/with-budget-cuts-and-an-aging-station-can-nasa-learn-to-love-a-gap-in-orbit/

「1975 年の最後のアポロ有人飛行の後、米国宇宙機関には、1981 年にスペースシャトルが登場するまで、宇宙飛行士を宇宙に飛ばす能力はありませんでした。」

「2011年にスペースシャトルが引退し、NASAはスペースXのクルードラゴンの代替品を9年近く待たなければならなかったときも同じプロセスを繰り返した。」

「これらのギャップはどちらも、不適切な計画、不十分な資金、楽観的すぎるスケジュールの組み合わせによって引き起こされました。」

民間宇宙ステーションの計画が次々とキャンセルされる中で、米国は地球低軌道上の拠点を失うという深刻な問題と直面している。

「それは良くないことだし、ギャップは望んでいない」(CLDプログラムを監督するNASA本部商業宇宙飛行部門のディレクター、フィル・マカリスター氏:CLD(commercial LEO destinations「商用LEO目的地」))

「個人的には、それが世界の終わりではないと思います。」(同上)

「クルードラゴンとスターライナーを活用して、ギャップの影響を軽減することはできます。」

「必要な研究を完了するために2人乗りの乗組員が最大10日間宇宙に滞在できるように準備することができる」

ははあ、宇宙ステーションの代わりに、ISSタクシーを短期運用の軌道上実験施設に改造しようということか。

もっとも、中国の宇宙ステーションは健在だから、人類が地球低軌道上に留まり続けることは間違いない。

米国が宇宙空間への有人アクセス手段を失っている間も、ロシアはソユーズを維持し続けてきたからな。

ISSへの送り迎えも、ロシアにやってもらっていたわけだし。

何年続くか分からない「ギャップ」の間、中国の宇宙ステーションを利用させてもらうという選択肢があってもいいだろう。

それで、何も不都合なことはあるまい?。

ロシアは、中国と協力して、地球低軌道の活動拠点を維持すると浮沈子は妄想している。

ISSがなくなったらなくなったで、人類には何の不都合もない。

見上げるものはあるからな・・・。

🐱スターシップ:世間の厳しい目2023年11月21日 09:57

スターシップ:世間の厳しい目


(米スペースX宇宙船が打ち上げ後に連絡途絶、2回目の無人飛行試験)
https://jp.reuters.com/world/us/NCBCHVT5ZZOFZC2WPDAIWDBHSQ-2023-11-19/

「2回目の無人試験飛行となった今回も、宇宙空間に達した後に無事海上へ着水させるという成功を収めることができなかった。」

「このロケットと宇宙船は、米航空宇宙局(NASA)が中心となって進めている国際月探査「アルテミス」計画の有人月着陸に使われる予定」

「NASAが設定したスケジュールに間に合うのかどうか懸念する声も出ている。」

浮沈子が見るところ、この記事を書いている記者は宇宙開発関係が専門ではない感じだ。

つまり、一般の視点で見ている。

手厳しいな・・・。

スターシップは、他の企業が半世紀掛かっても出来なかったことを、5年でやり遂げようとしている。

SLSは、無人飛行を成功させたが、その部品は1970年代に開発が始まったスペースシャトルから流用している。

巨大な使い捨てロケットの打ち上げコストは、1回あたり20億ドルとも25億ドルともいわれ、NASAの探査計画を圧迫すると懸念されている。

爆発炎上木っ端微塵のスターシップは、まだまだ有人で飛ばすことなど想像すらできないが、仮に実現すれば、その時点でSLSを完全に過去のものにすることが出来る。

S社が取り組んでいるのは、そういうロケット(1段目のスーパーヘビーブースター)&宇宙船(2段目のスターシップ)なわけだ。

アルテミス計画における1回目と2回目のHLS(ヒューマンランディングシステム:月着陸船)には、確かにスターシップのバリエーションの一つが使用されることになっているが、もちろん、今回打ち上げられたものとは異なるタイプだ。

HLSとして打ち上げられるスターシップは、二度と地球に戻ることはなく、宇宙空間で使い捨てにされる(月軌道上で何回か使われるかもしれませんが)。

大気圏で操縦するために使われる翼もなければ、再突入時に断熱圧縮によって高温になる機体を保護する耐熱タイルもない。

仕掛けは似ているが、異なる宇宙機ということになる。

もちろん、打ち上げ時には人間は乗せない。

無人機として打ち上げ、月軌道で乗り換えることになる。

有人の打ち上げには、SLSとオリオン宇宙船が使用される。

ハッキリ言って2度手間だが、現在のところ、それがNASAのビジョンだ。

月面への継続的なアプローチを続けるためには、当面、それしか手がない。

公式には2025年とされている、米国の月面着陸再開は、少なくとも数年は遅延する。

中国は、初の有人月面探査を目指しているが、おそらくは米国に先んじて成功させるだろう。

一発物だからな。

継続性など、毛ほども考えていないに違いない(そうなのかあ?)。

米国は、月へのアプローチを、火星探査への一里塚と位置付けている。

月軌道をベースに経験を積み、行って帰ってくるだけの火星周回軌道までを見据えて動いている。

SLSとオリオンは、今のところ、その手段の一環として位置づけられている。

が、まあ、スターシップがものになれば、ちゃぶ台返しは確実だ。

スターシップで地球から打ち上げられ、地球軌道上で燃料を補給してから、スターシップで火星に向かうことになるだろう。

我々が、今、目にしている開発途上のロケット&宇宙船は、そういうパフォーマンスを秘めている。

有人探査では、月軌道までしか想定されていないSLSとは異なる。

まあ、イーロンマスクは、木星圏でも行けるというかもしれないが、浮世離れしている浮沈子だって、そこまで楽天的にはなれない。

火星への有人探査に対しても、極めて懐疑的だ。

人間は、宇宙向きにはできていないからな。

まあ、どうでもいいんですが。

スターシップの開発は、難航を極めている。

IFT(インテグレーテッドフライトテスト)と呼ばれる統合飛行試験は、2回とも失敗に終わった。

それは事実だ。

が、その間に、着実な進歩があったことも確かだ。

困難ではあるが、不可能ではない。

3回目の統合飛行試験がいつ行われるかは不明だが、間違いなく実施されるだろう。

技術的に暗礁に乗り上げるとか、資金ショートを起こしてとん挫する懸念はなくなった(未確認)。

少なくとも、そう確信させる成果を出した。

これなら行ける!。

今回の失敗の原因究明と、その対策は難航するだろう。

回を重ねる毎に、それは困難さを増す。

解決不能な難題に直面するかも知れない。

が、宇宙開発なんてそんなもんだ(そうなのかあ?)。

取り組んでいるのは、前人未到の完全再使用可能な史上最大のロケットだ。

あっけなく成功するということは決してない(あっけなく、失敗ばかりだけど)。

それでも、前進し続ける。

こういう徹底抗戦は大賛成だな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(スターシップ3回目試験飛行、3~4週でハードウエア準備-マスク氏)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-11-20/S4EH8YDWLU6801

「3回目試験飛行ついて、3、4週間以内に飛行のためのハードウエアの準備が整う」(スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO))

人類史上最強な超オプティミストの発言だから、どれ程当てにしていいかは分からない。

明後日は、浮沈子が帯状疱疹ワクチン(シングリックス1回目)を接種してから1か月になる。

メキシコから帰ってきて数日後から、2回目接種が可能になるわけで、年内にうち終える予定でいる。

つーことは、あれだな、当局の認可が間に合えば、3回目は年内ということになるわけだ(そんなに早いのかあ?)。

まあ、ハードの準備も当局の認可も順当に(!)遅れるだろうから、早くても来年の第2四半期(4月以降)だろう。

エリックバーガーは、相変わらず毒っ気たっぷりの記事を上げている。

(疑う人たち、申し訳ありませんが、スターシップは実際に飛行に非常に成功しました。
スターシップは、わずか 2 回目の飛行で、おそらく NASA の SLS ロケットと同じくらいの成功を収めています。)
https://arstechnica.com/space/2023/11/heres-why-this-weekends-starship-launch-was-actually-a-huge-success/

「打ち上げに関するメディア報道の多くは、イーロン・マスクとスペースXの新たな失敗という厳しい評決を下した。」

この記事のニュアンスは、浮沈子が一般の報道を読んで感じたことと共通のものだ。

「誰がロケット事業を理解しているのか、誰が何の手がかりも持たない単なる観察者なのかがわかります。」

別に、一般人がロケット事業を利菓子いている必要はない(そうなのかあ?)。

浮沈子が、ロケット事業を理解しているとは言わないが、多額の税金が投入されているわけだから、納税者としてそれなりの理解は不可欠だが、微に入り際に渡って知っている必要はない。

「「失敗」や「爆発」といった言葉で先頭に立つことは、(中略)そうですね、それは正確です。しかし、それは完全に要点を外した怠惰な解釈です。」(2001年のワールドシリーズの例えは、全く知らないんで割愛した。)

「スターシップロケットの第一段、スーパーヘビーは爆発した。そして、上段のスターシップには、飛行停止システム(車両がコースを外れて飛行し始めた場合に備えて搭載されている爆発物)が爆発するという障害が発生した。」

それは予想されていたとエリックは言うが、SLSは爆発したのか?。

サターンVは爆発したのか?。

米国の巨大ロケットの歴史の中で、スペースシャトルの2回の事故は、それぞれ7名の人命が失われたということで大きなトラウマとなっている。

が、それは運用中の事故であり、開発のプロセスの中で爆発したわけじゃないからな。

「しかし、このような実験的で境界を押し広げるテスト飛行では、それは予想されていました。」

一般化した時に、エリックバーガーの解釈は、妥当とは言えない。

巨大ロケット開発で、しかも、要素技術の段階ではなく、統合飛行試験に臨んだ段階で、爆発炎上木っ端微塵というのは、過去に例を見ない。

浮沈子が知る限りは、皆無だ。

つまりだな、予想されていたというのは、S社の開発においてという条件付きの話なわけだ。

まあいい。

1段目のブーストバックバーンの失敗については、テスララティのリチャードアングルと同じく、ホットステージングの影響と見ている。

「おそらく、スターシップのエンジンの点火により下のロケットが焦げたため、第 1 段の上部は高温のステージングによって損傷しすぎていたのでしょう。」

「また、推進剤があまり残っておらず、残った燃料と酸化剤をエンジンに移動させるのが難しいことから、スーパーヘビー内部のタンク圧力に問題があった可能性もある。」

急速な方向転換のために、推進剤が適切にエンジンに供給されなかった可能性があるというわけだ。

うーん、その可能性は否定できないな・・・。

ファルコンシリーズで経験を積んでいても、あっちは灯油だからな。

切り離した後の燃料タンク内での挙動については、今回が初めての経験になる。

「スペースX社は回収実験という次のステップに踏み切ったので、主要な任務を完了した後の最初のステージの損失は、一部の観察者によってどういうわけか失敗とみなされていました。」

いやいや、決して一部の観察者だけじゃないだろう。

一般の多くの人(メディアの記者を含めて)は、1段目に自爆システムが仕込まれていることすら知らず、爆発は、ロケットの不具合が直接の原因で起こったと考えているに違いない(そうなのかあ?)。

「言っては申し訳ないが、それはただの愚かなことだ。」

そうではあるまい。

既に、1段目の回収はファルコンシリーズによって日常化し、成功して当たり前な状況に到達している。

そのS社が作ったスーパーヘビーブースターなら、最初から成功してもおかしくないと考えるのは自然な話であって、愚かとは言えないのではないのかあ?。

2段目の喪失に係る考察もある。

「1 つ以上の Raptor エンジンが故障した可能性があります。おそらく、エンジンを熱から保護するためのエンジン周囲のシールドに問題があったのでしょう。いずれにせよ、スターシップはコースを外れて飛行し始め?・行停止システムが作動した。」

コースの逸脱については未確認だ。

「スターシップの3番目の飛行のペイロードとしてスターリンク衛星を搭載したとしても、私は驚かないでしょう。」

さすがにそれはないと思うけどな。

まあ、どうでもいいんですが。

「ある意味では、スターシップはたった 2 回目の飛行で、NASA の SLS ロケットと同じくらいの成功を収めています。」

SLSとの開発手法の違いはあるにしても、この言及も適切とは思えない。

到達点として評価すれば、40万km離れた月へ行ったロケットと、150km足らずで爆発しちまったロケットということになるんじゃないのかあ?。

2666倍の差がある(そういうことかあ?)。

SLSは、次回には有人飛行を行う。

たとえ、100分の1の費用と比較的短期間での開発で打ち上げることが出来たとはいえ、有人飛行を認められるまでに100回の飛行が必要ということになれば、そして、それまでに、開発当初から10年かかるとすれば、結果的には同等と言えるのではないか。

まあ、浮沈子は、敢えてそういうスキームで評価してみたが、開発期間ということなら、1970年代のスペースシャトルの開発から数えなければならないだろうし、片や使い捨てロケットであり、此方完全再使用を目指すロケットということで、作っているものも異なる。

米国は、2つの開発手法を組み合わせ、宇宙開発における現実的な解決を図っており、違いや優劣を議論することは大切には違いないが、それが全ての議論ではないだろう。

「もしスペースXがスーパーヘビーの上にICPSとオリオン宇宙船のハードウェアを取り付けていたら、土曜日に月に行くことができたかもしれない。」

エリックバーガーとも思えない、雑な議論だな。

1段目の到達速度や高度は、SLSの場合、軌道速度と地球周回可能な高度に達している。

スターシップは、1段目だけでは、到底、それには及ばない。

残念ながら、その組み合わせでは月には行けない。

やれやれ・・・。

「これが反復設計の力です。失敗として認識される一般的なカナードを乗り越えることができれば、代替案よりも高速かつ安価で、通常は優れています。」

開発手法についても、一般化することは危険だ。

現在は、計算機能力の向上を背景にしたシミュレーションで、相当程度追い込むことが可能になってきている。

実機でのテストは、概ね、その成果を確認する程度かも知れない(未確認)。

半築な要素技術を組み合わせて、最適化(ギリギリで達成)して作り上げた仕掛けは、想定外の事態に対応する能力に乏しく、宇宙空間などの未知の領域での使用に適しているとは必ずしも言えない。

過度な冗長性は、確かにコストの増加につながり、商業的な使用には好ましいとは言えない場合もあるだろうが、そこは、用途を見極める必要がある。

「SpaceXがやろうとしていることは、物理学と資金の観点から非常に挑戦的であり、その取り組みはまだ始まったばかりである。」

浮沈子は、S社の取り組みを批判しているわけではない。

アポロやスペースシャトルの開発がなければ、スターシップは生まれなかったということを言いたいだけだ。

SLSだって、スターシップが有人使用されるまでの間は、米国の深宇宙での有人探査を担うことになる(中国に抜かれちゃうかもしれませんが)。

スターシップは、未来のロケットであり宇宙船だ。

従来のそれらとは、異なるコンセプトで設計されている。

21世紀的な事物の象徴の一つだ。

失敗は、失敗で構わないではないか。

破天荒なCEOの言動とは裏腹に、S社は、実に健全な企業だ。

それは、ファルコンシリーズの開発でも実証されている。

特に、ISSタクシーであるクルードラゴン(ドラゴン2有人版)の開発で見せた、粘りと改善の努力は注目に値する。

全く同時期にスタートした宇宙企業の老舗であったB社の手掛けたスターライナーは、未だにリリースされていない。

もちろん、ロケットの部分的な再使用に成功した企業もない。

ロケットラボは、いいところまで来ているけど、成功したとは言えないからな。

弾道ロケットでは、既に実績もあるが、軌道ロケットでは皆無だ。

おっと、スペースシャトルはあったけどな。

巨大な燃料タンクは、検査のために回収されることはあっても、再使用はされなかったからな。

固体燃料ロケットは再使用され、宇宙船であるオービターも再使用された。

コスト的には引合わなかったが、再使用ロケットという概念を形にした。

ファルコンズも、スターシップも、20世紀に先人たちが見た夢を追い続けているという意味では、同じ流れの中にある。

エリックバーガーは、官僚主義的チェッカーと実行者という対比の中で見ているけど、それは事業の性質によって変わってくる。

何が適正なのかは、時代によっても変わるからな。

アポロは、政治的選択の中で進行した。

アルテミスも、同じかもしれないが、政治的強度の点では中国は当時のソ連とは比較できない。

宇宙開発において、中国の進展を脅威だと感じているのは一部の米国人に限られているだろう。

そんな状況の中では、チェッカーズが蔓延っているとしても、まあ、大きな問題にはなるまい。

限られた予算を執行するのに、どんな体制がいいかとか、効率的に開発された打ち上げ資源を調達するにはどうしたらいいかという程度の話だ。

NASAは、スペースシップにも投資しているからな。

それは、全体の一部であるかもしれないが、重要なアプローチだ。

「賢いやり方は、実際に活動している人々を応援することです。」

一般人に出来ることと言えば、スターリンクのアンテナ買って、契約することくらいか。

都会に住む浮沈子には不要だがな。

確認しておこう。

エリックバーガーが何と言おうと、IFT-2は失敗だ。

浮沈子は、90点を付けているけど、それは成功か失敗かという基準じゃない。

開発を継続し、実用レベルで完成させるための道筋をつけたという意味での評価だ。

もし、2回目の統合飛行試験で、発射台で爆発炎上木っ端微塵になれば、開発そのものの正否が問われることになりかねなかったからな。

その可能性は十分あった。

1回目の試験のネガを正確に評価し、それを潰すことに専念してきたS社の努力のたまものと言える。

脱帽だ。

浮沈子の大甘の採点が、S社に届くことはないだろうが、これも精神的な支援の一つのカタチだろう。

ひょっとしたら、年内に、もう一度統合打ち上げ試験がみられるかもしれない(可能性はあるが蓋然性はない!)。

(社長所感(9月))
https://www.fesc.co.jp/syokan/201609.pdf

「私が、ここで逆立ちをするようなものだ。逆立ちすることはできるので、possibility(可能性)はあるが、教師が生徒の前で、そんな恰好はしないので、probability(蓋然性)はないということだ。」

もし年内に上がるようなことがあれば、漱石が逆立ちするに違いない・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(スターシップはついに 2 回目の打ち上げの準備が整い、修復されたランプとステージを分離する新しい方法がテストされます。)
https://www.elonx.cz/starship-je-konecne-pripravena-na-druhy-start-ktery-otestuje-opravenou-rampu-a-novy-zpusob-oddeleni-stupnu/

「2回目の打ち上げが大きな失敗なく成功すれば、理論的には3回目の試験ミッションは長く待つ必要はないはず」

「FCCの新たな文書によると、スペースXはすでにそのような可能性に向けた準備を始めている」

「スペースXが2024年2月までにスターシップの3回目の打ち上げを実施する予定であることが示されている。」

「これまでのミッションとの違いは、スターシップの電動着陸が行われることだ。」(電動着陸:パワードランディングの下手な自動翻訳)

「ハワイ近くの自由落下ではなく、インド洋へ」

うーん、ということは、地球周回軌道へ投入してから降ろすということか。

まだ、再突入時のマニューバリングや耐熱タイルの機械的熱的強度試験もしてないのにな。

大丈夫なのかあ?。

「非公式には、スターシップ S28 とスーパーヘビー B10 のプロトタイプは 3 回目のミッションで飛行できると考えられており、これも現在の試験体と比較して多くの改良が加えられています。」

そりゃあ結構な話だが、その前に2回目の「失敗」の原因究明と、その対策のための「改良」を加えなければ、メキシコ湾から外に出ることはできないだろう。

統合フライトテストは、来年2月とされているようだが、遅延は必至だ。

今回の「失敗」のリカバリーは、そう簡単ではないだろうな・・・。

🐱スターシップ:気が付けばIFT-22023年11月18日 15:37

スターシップ:気が付けばIFT-2
スターシップ:気が付けばIFT-2


(NASAがSpaceXの2回目のStarship試験飛行から見たいもの)
https://arstechnica.com/space/2023/11/what-nasa-wants-to-see-from-spacexs-second-starship-test-flight/

「SpaceX は Starship を宇宙に打ち上げる必要があります。それが土曜日の実物大スーパーヘビーロケットとスターシップ上段の2回目の試験飛行の目標だ。すべてが計画通りに進めば、スターシップは時速 17,000 マイル近くまで加速することになるが、これは地球の周りの安定した軌道に達するのに必要な速度にわずかに届かない程度である。これにより、車両は、ほぼ世界一周の旅を経て、ハワイ付近で目標とする着水に向けて自然に大気圏に再突入する軌道に残ることになる。」

浮沈子は来年の第二四半期にならなければ、2度目の統合飛行試験(IFT-2)はないと思っていたら、なんと、明日にも飛ぶっていうじゃないの・・・。

ホントかあ?。

「明日はテストであり、どちらにしても多くのことを学ぶことになるだろう」(NASAの有人着陸システムプログラムを管理するリサ・ワトソン・モーガン氏)

NASAは、既にIFT-2の先を見据えている。

「スターシップの上段は、最終的には複数の設計に進化し、着陸船、宇宙輸送機、給油タンカー、推進剤貯蔵庫の艦隊を作成」

もちろん、まだ、絵に描いた餅に過ぎない。

「(土曜日に)試験される宇宙船は、最終的に我々が持つことになる人間着陸システムの宇宙船ほど成熟していないのは明らかだ」

それでも、月の先にあるのは火星だ。

「NASA の全体的な戦略は依然として火星への人々の派遣に向けられています。月ミッションは前菜であり、地球近隣での実践と技術開発の機会を提供します。」

「NASAはアルテミスの月面ミッションは、それ自体は歴史的で挑戦的なものではあるが、単なる足がかりに過ぎないと考えている。火星への有人ミッションには、おそらく宇宙での燃料補給、推進剤貯蔵所、高度な推進力と生命維持装置などが必要となるだろう。それらはすべてアルテミスの一部です。」

「われわれはこの件に関して近視眼的ではないように努めている」

いやあ、少しは目の前の問題を注視しないと、とてもとても、火星にはいきつけないのではないのかあ?。

「スターシップの最初のテスト飛行では、ブースターの33基のラプターエンジンのうち少なくとも5基が故障した。エンジニアらはその飛行のデータを分析した結果、ブースターのエンジンルームで火災を引き起こした燃料漏れがあることを発見した。」

故障の原因は燃料漏れによる火災だけじゃないような気がするんだがな。

それなら、その後の点火テストで、6秒間の燃焼の際に、数基が着火できなかったのもそのせいだとでもいうんだろうか?。

IFT-2では、漏れを起こした燃料マニホールドの設計はそのままで、ボルトの増し締めと、火災を起こした時の消火システムの強化(延焼を防止するセパレーターの強化含む)で対応するとしている。

エンジンは手付かず・・・。

前出のNASAのリサワトソンモーガンは、興味深い発言をしている。

「人間着陸システムの宇宙船の時代までに、私たちはラプターのずっと後の世代に乗っていて、それによって宇宙船自体の人間による評価に必要なエンジンの予測可能性が得られるでしょう」

つまりだな、現状のエンジンではとても有人飛行の評価の見込みはないということなわけだ。

浮沈子は知らなかったんだが、IFT-1で使われたエンジンは、ラプター2ではなく、殆どが初代ラプターという記述もある。

「次のスターシップ試験飛行のエンジンは第1世代と第2世代のラプターを組み合わせたものだが、4月の最初の打ち上げでは主に古いエンジンモデルが使用された。」

その点では、やや改良と言えなくもないが、故障したエンジンがどちらの世代だったかの情報はない。

この記事のメインコンテンツは、タンカーからデポへの燃料移送の回数だが、そういう話は全て軌道飛行に成功してからの話で、何年も先のことになる(予定では来年だそうです)。

「来年は推進剤移送実証試験を行う予定です。」

マジか!?。

確認しておこう。

まだ、IFT-2は成功していない。

IFT-1は、悲惨な失敗に終わっている(空中で分離前に迷走して爆発:しかもタイミング遅れ!)。

気が早いというかなんというか・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(2回目のStarship統合飛行)
https://www.elonx.cz/druhy-integrovany-let-starship/

「テストミッション計画は、最初の統合されたスターシップ飛行と同じである必要があります。」

「したがって、飛行は、スーパーヘビーに接続されたスターシップがテキサス州ボカチカ(スターベース)のランプから出発し、東に向かうことで進行する必要があります。」

「スーパーヘビーロケットは打ち上げ後3分以内に分離し、部分的に陸地に帰還するが、その後メキシコ湾に着陸すると予想されている。」

「その間にスターシップは軌道速度に達するはずですが、軌道は一周しないため、宇宙船は大気圏に再突入する前に地球を一周する時間がありません。」

「したがって、船は最大高度 235 km に達し、打ち上げ後約 77 分で大気圏に突入する予定です。」

「しかし、たとえこの飛行段階を無傷で生き延びたとしても、動力着陸は試みられず、ハワイのカウアイ島海岸の北西の太平洋に衝突すると爆発するだろう。」

「したがって、船は地球の約 4 分の 3 からのみ周回することになります。」

画像は、プレスキットからの切り出し。

「スーパーヘビー:
スーパーヘビー B9 ミサイルには、合計 33 基の第 2 世代大気圏ラプターが装備」

うーん、これを読むと、全基ラプター2とあるんだがな。

まあいい。

古いラプターでも、新しいラプター2でも、まともに飛ばしてくれればいいだけだ。

「初めて電動傾斜システムとエンジン部のシールドが改良」

「ロケットの上部にある追加のリングも新しいもので、これには熱シールドとスターシップのエンジンからの排気用の通気口が含まれています。最初のミッションとは異なり、これらは船がスーパーヘビーに接続されている間に点火されます(いわゆるホットステージング)。これにより、総耐荷重が最大 10% 増加します。」

ほほう、結構重いんだな。

「マスク氏は、空母がファルコンロケットのような減速突入点火を行わずに大気圏への再突入に耐えられるほど頑丈であることを期待している。」(空母:スーパーヘビーブースターのこと)

画像ではよく分からないんだが、ブーストバックバーンとランディングバーンは行うが、ファルコン9で追加された大気圏再突入時のエントリーバーンは行わない。

ふーん・・・。

ホットステージングも、新機軸だ。

これが定着するかどうかについて、浮沈子は懐疑的だ。

重量増加もあるしな。

分離の条件を誤魔化すための、一時的な措置ではないのか。

まあ、どうでもいいんですが。

今度こそ成功するのか、それとも、1度目の時と同じく、分離前に爆破の憂き目にあうのか。

あと数時間で、それは明らかになる。

世紀の一瞬だな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーー

(スターシップの2回目の飛行試験)
https://www.spacex.com/launches/mission/?missionId=starship-flight-2

「2回目の飛行試験では、パッド基礎の強化や水冷鋼製火炎偏向器などの多くの機能強化に加え、スーパーヘビーラプターエンジン用のホットステージ分離システムと新しい電子推力ベクトル制御(TVC)システムが初披露される。」

しつこいようだが、エンジン本体は変わらない。

「乗組員と貨物の両方を地球周回軌道まで運び、人類が月に帰還し、最終的には火星やその先へ旅行できるよう、完全に再利用可能な輸送システムの構築に取り組む上で、再帰的な改善は不可欠です。」

S社が目指す完全再使用が成功するのかどうかは、この打ち上げが成功するかどうかにかかっていると言っていい。

2段ロケットだからな(ペイロードを含む)。

2個のアイテムを回収することになる。

スターシップ(2段目)と、スーパーヘビーブースターだ。

打ち上げシークエンスが出ているので、コピペしておく。

秒読み
すべての時間はおおよその時間です

時/分/秒 イベント
02:00:00 SpaceX Flight Director が世論調査を実施し、推進剤負荷の GO を検証
01:37:00 ブースター LOX (液体酸素) ロード中
01:37:00 ブースター燃料(液体メタン)搭載中
01:17:00 船舶燃料(液体メタン)積載作業中
01:13:00 船にLOXを積み込んでいます
00:19:40 ラプターはブースターと船のエンジン冷却を開始します
00:00:10 火炎ディフレクターの作動
00:00:03 ラプターの点火シーケンスが始まります
00:00:00 興奮保証

飛行試験のタイムライン
すべての時間はおおよその時間です

時/分/秒 イベント (すべてが計画通りに進んだ場合)
00:00:02 降ろす(リフトオフ)
00:00:52 Max Q (ロケットにかかる機械的応力がピークになる瞬間)
00:02:39 ブースター MECO (ほとんどのエンジンが停止)
00:02:41 ホットステージング (Starship Raptor 点火とステージ分離)
00:02:53 ブースター・ブーストバック・バーン始動
00:03:47 ブースターブーストバックバーンシャットダウン
00:06:18 ブースターは遷音速
00:06:30 ブースター着地燃焼起動
00:06:48 ブースター着地燃焼停止
00:08:33 宇宙船のエンジン停止
01:17:21 スターシップのエントリー
01:28:43 宇宙船は遷音速です
01:30:00 刺激的な着陸!

浮沈子的には、2分39秒後のブースターメインエンジンカットオフまでに、ケリがついていると思うけどな。

エンジン単体の信頼性を、インテグレーションでどこまでカバーできるかが問題だ。

そこが、この打ち上げシステム全体の核になっている。

NASAのリサワトソンモーガンも、現状バージョンのエンジンの信頼性には疑問を投げかけている。

まあ、誰が見ても、そこにネックがあることは疑わないだろう。

発射台の改良、エンジン周辺の改善、分離方式の見直しなど、S社は必要と思われる努力は尽くしている。

失敗やトラブル、想定外のイベントは想定の範囲内だ(ワケワカ・・・)。

まあいい。

今回の成功確率は、イーロンマスクによれば6割だそうだが、半々よりはマシになった程度のヤマ勘だろう。

飛ばしてみなけりゃ、分からんだろう!?。

あと2時間余りで全ては明確になる。

NASAは、その先の世界を夢見ているようだが、悪夢に変わらないことを祈ろう・・・。

スティーブンクラークは、追加で着目点をリストした記事を上げている。

(土曜日の朝にスターシップが離陸するときに注意すべき5つのこと)
https://arstechnica.com/space/2023/11/five-things-to-watch-for-when-starship-takes-off-saturday-morning/

「あなたが宇宙愛好家なら、そこから本当の楽しみが始まります。SpaceXの2回目の本格的なStarshipテスト飛行で注目すべき5つの点を紹介する。」

1. 発射台はどのように耐えられるでしょうか?
2. 今回のラプターエンジンはより良く機能するでしょうか?
3. ホットステージングは​​どのように機能しますか?
4. スターシップは宇宙を飛べますか?
5. ブースターと宇宙船は地球に帰還できるでしょうか?

「スペースX社独自のファルコン9ロケット用発射施設を含む他の発射台でも、同様の放水システムが使用されている。」(発射台関連)

「同様」では、決してない。

浮沈子的には、発射台の真下に水を溢れされる仕掛けは、初めて見た。

他の発射台では、音響によるロケットや発射台への障害を防ぐために、音のエネルギーを吸収させるために放水している程度だからな。

「ロケットは飛行開始から2分強で制御を失った。その直後、自爆機構が作動してロケットを爆破した。」(エンジン関連)

これも事実ではない。

制御を失ったロケットは、1分間以上迷走し、3分59秒で自爆した。

自爆は2段階で行われている。

「直後」では、決してないな。

「我々は、ラプターエンジンがこのテストでより良いパフォーマンスを発揮すると予想しています」(スターシップの設計に基づいて有人評価の月着陸船を開発するスペースX契約を監督するNASAの人間着陸システムプログラムのマネージャー、リサ・ワトソン・モーガン氏)

これは、根拠なき期待という奴だろう。

「人間着陸システムの宇宙船の時代までに、私たちはラプターのずっと後の世代に乗っていることになり、それによって宇宙船自体の人間による評価に必要なエンジンの予測可能性が得られるでしょう。」(同上:再掲)

この結果も、すぐに明らかになる。

「次の飛行がうまく機能し、軌道に到達する可能性は、前回の飛行よりもはるかに高いと思います」(ホッとステージング関連:イーロンマスク)

「おそらく60パーセントくらいでしょう。それはステージの分離がどれだけうまくできるかによって決まります。」(同上)

「IFT-2と呼ばれるSpaceXの2回目の本格的なスターシップ試験飛行の飛行プロファイルでは、ミッション開始8分33秒で停止するまで、上段の6基のラプターエンジンを約6分間燃焼させる必要がある。」(宇宙空間飛行関連)

まあ、ここまで来れば、成功と言っていいだろうな。

最後の問題は、やはり大気圏再突入ということになる。

「スペースXは安定した軌道を維持するのに十分な速度をロケットに意図的に与えていないため、スターシップは太平洋上で大気圏に再突入し、ハワイ北西の夜明け前の着水を目標とする。」(再突入関連)

「ステンレス製のスターシップ上段の片面は、ロケットを大気圏再突入の熱から守るためにセラミックタイルで覆われています。スターシップには、テキサスから打ち上げられてから約 90 分後に最終的に太平洋の表面に到達するまで、大気中を誘導するためのフィンが付いています。」(同上)

セラミックタイルの機械的耐久性、耐熱性、フィンによるマニューバリング、今回は実施されないようだが、お約束のネコ着地(終端速度:ターミナルベロシティからの方向転換とパワードランディング)が、最後の見どころというわけだ。

この他にも、再突入の際に、宇宙空間と電波をやり取りして、ブラックアウトせずに通信を確保できるか(今回行われるかどうかは未確認:たぶんやるに違いない)など、細かい点は多々ある。

2段目の分離に辿り着くのが、最初の目的で、次が地球4分の3周の宇宙飛行、最後に再突入というところか。

発射台とエンジンの健全性というのは、それ以前の問題だからな。

前回は、そこで躓いてコケたわけだ。

今回はどうなるのか。

2時間後には、全てが分かる・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

浮沈子の予想を悉く裏切り、ラプター2エンジンは、ホットステージングまで1基も壊れずに安定して燃焼した。

分離時は、真ん中の3基だけが燃焼を続け、ほかの30基は燃焼を停止した。

ホットステージングも恙なくクリアし、分離後の1段目の離脱も順調に見えたが、ブーストバックバーンのエンジン点火の際に未着荷エンジン多数の状態になり、期待が不安定になったのか、そのまま爆発して木っ端微塵になった。

やれやれ・・・。

それでも、2段目は順調に飛行を続け、成功かと思われた矢先、SECO(セカンドエンジンカットオフ)寸前の8分過ぎ頃にテレメトリーデータが消え、期待喪失と報じられた。

やれやれ・・・。

発射台の方は無事と見られる。

採点してみよう。

1 発射台は無事か?→OK!
2 エンジンは安定して燃焼したか?→OK!:しかし、再点火に問題あり(1段目喪失)
3 ホットステージングは上手くいったか?→OK!
4 宇宙空間での燃焼は上手くいったか?→OK!:しかし、燃焼終了には至らなかった(2段目喪失)
5 大気圏再突入は上手くいったか?→未達

こうしてみると、大甘の採点では80点で、BプラスかAを取っていると言える。

もっとも、1段目がブーストバック燃焼に失敗して失われたこと、2段目も燃焼途中で喪失したことを厳しく採点すれば、40点で落第となる。

浮沈子的には、分離までの間、ラプター2が全基燃焼し続けたことを評価して、大甘な点数を付けたい。

90点くらい上げてもいい。

何より、発射台を壊さずに済んだことで、次回のIFT-3への道が続いているということになった。

また、ラプター2の燃焼安定性に目途が付いたことから、ラプター3の完成を待たずに試験飛行が実施できることになった。

再着火の問題はあるけどな。

2段目が途中で失われた点については、今後の調査が待たれる。

ホットステージングは、一見成功に見えたが、2段目の着火までにやや手間取った感じもあった(スケジュール上は、2秒の感覚があるとされていたが、それ以上な気もした)。

まあいい。

IFT-1で、この成果が出ていれば、完全に成功と言っていいだろうが、2回目ということを考えれば物足りなさも感じる。

ステージングに成功したなら、せめてSECOまでは行って欲しかった気がする。

タダのブリキ細工(ブリキじゃありませんが)の宇宙船が、大気圏外(高度は150km近くまで上がっていた)に到達したというのは大したものだ。

スターシップの開発は継続されるだろうし、このまま進展すれば2030年代には月面着陸へ持ち込めるかもしれない(2020年代は無理だな)。

NASAの夢見る月や火星への展開には、まだまだ時間が掛かるだろうが、全く見通しがないということはなくなった。

浮沈子的には、1段目の爆発炎上木っ端微塵が見れたことだけでも満足だ(そんなあ!)。

やっぱ、スペースXの打ち上げは、こうでなくっちゃ・・・。

<また追加>ーーーーーーーーーー

(宇宙船が初めて宇宙に上昇したときに雷鳴をもたらした)
https://arstechnica.com/space/2023/11/spacex-can-celebrate-three-big-wins-after-second-starship-test-flight/

「テキサス州ボカチカビーチ—スペースX社の巨大ロケット「スターシップ」が土曜日、初めて宇宙に到達し、8分間以上真っ直ぐ真っ直ぐ飛行した後、同社の南テキサス発射基地からメキシコ湾下方で約160マイル上空で爆発した。」

スティーブンクラークが、IFT-2の詳細を報告している。

「軌道飛行試験-2(OFT-2)と呼ばれる土曜日の試験打ち上げの飛行プロファイルでは、無操縦のスターシップは、目標とする再突入とハワイ近くの太平洋での着水の前に、地球をほぼ一周する軌道を描くはずだった。」

「結局、ロケットはこの目標には到達しなかったが、土曜日の結果は有望なものだった。」

記事では、多くの観察(スティーブンクラークは現地にいたようです)が報告されているが、彼が言うところの「有望」という表現が一番適切な気がする。

今回は、テストの成功とまでは言えないが、それを実現するための進歩は確実に見られた。

「ブースターはスターシップの上段から切り離された直後に爆発したが、ブースター自体が故障したのか、それとも潜在的なリスクである上段エンジンからの過熱した排気によって損傷したのかは不明」

「上段は6基のラプターエンジンに点火し、スターベースから東へ飛行を続け、最終的に時速約15,000マイル(時速約24,100キロ)の速度まで加速した。スペースXのライブ打ち上げでのリアルタイムデータ表示によると、宇宙船は高さ100キロメートルの国際的に認められた宇宙境界線であるフォン・カルマン線を超えて上昇し、最終的に高度92マイル(149キロメートル)で頂点に達したという。」(映像のテレメトリーでは、速度毎時24124km、高度148km)

「6基のスターシップエンジンが停止する予定だった時点の30秒も経たないうちに、スペースX社はロケットからのテレメトリーを失った。」

「数分後、インスプラッカーは、スターシップの自動飛行停止システムが、メキシコ湾上で上段のエンジン燃焼の後半に作動したようだと報告した。プエルトリコの気象レーダーは、おそらくスターシップの破片が大西洋上で大気圏に落下するのを検出した。」

メキシコ湾上空で自爆装置が作動したのなら、大西洋上まで破片が届くはずはないと思うんだがな。

もちろん、第1宇宙速度(毎時28800km)には達していない。

まあいい。

やり残したことは他にもある。

「宇宙船は、大気圏再突入の熱からステンレス鋼の構造を保護するために、数千枚のセラミックタイルで覆われていました。タイルの一部は宇宙への上昇中に船から落ちたように見えたが、スペースXはこれに関するビデオの兆候をすぐには確認しなかった。」

「スターシップ上部ステージが破壊されたため、船の熱シールドをテストする機会も失われました。ミッションが完璧に成功した場合、飛行は離陸後約1時間半で終了し、太平洋でスターシップが着水するはずだった。」

SECOに到達しなかったため、宇宙空間における2段目の安定性と、大気圏再突入時の全てのテストは先送りとなった。

1段目と2段目が失われたという結果そのものは、確かに芳しいことではない。

原因の如何によっては、克服が難しい問題をはらんでいる可能性もある。

浮沈子的に、現段階で気になっているのは、1段目のブーストバックバーンでの再着火に複数のエンジンが失敗した点だ。

中央3基のエンジンは燃焼しっぱなしのはずだが、そのうちの1基はブーストバックバーン中に失火している。

再着火だけではなく、燃焼継続についても、完全に不安が消えたわけではない。

2段目の空中での着火は、あっけなく成功したようだし、初期の燃焼に問題があったようには見えなかった。

テレメトリーを見る限り、燃料切れで消えたわけでもなさそうだしな。

途中でデータが途切れた理由が何かは分からないが、解説を提供したSpaceXの上級エンジニア、ジョン・インスプラッカー氏が言うように、2段目も自爆システムが作動したとすれば、エンジン系統以外での予期せぬ異常があった可能性もある。

全ては、今後の事故調査に委ねられる。

「4月の試験飛行後に行ったように、スペースXは土曜日の打ち上げで観察された問題を修正するための是正措置のリストを作成する予定だ。」

「FAAはリストを承認し、スペースX社が3回目のスターシップ試験飛行のための新たな商業打ち上げライセンスを発行する前に、公共の安全に関連するすべての措置を確実に完了することを保証する予定である。」

心残りは、2段目が爆発炎上木っ端微塵になるシーンが見られなかったことだけだ・・・。

<またまた追加>ーーーーーーーーーー

(超大型スターシップは高く上昇するも、2回目の試験飛行では及ばなかった)
https://spaceflightnow.com/2023/11/18/super-heavy-starship-climbs-high-but-falls-short-on-second-test-flight/

「スターシップ上段を宇宙に打ち上げることに2回連続の失敗」

「ロケット会社にとっては悔しい失望」

「スターシップの輸送を期待していたNASAにとっては大きな後退」

なかなか手厳しいな・・・。

「あらゆる遅延はNASAの月面着陸スケジュールに脅威をもたらす。」

「分離の直後、第 1 段は向きを変え、テキサス州の海岸に近いメキシコ湾で計画された制御された着水に備えて整列を開始しました。」

「しかし、その直後、おそらく高温のステージング技術によるストレスが原因で、突然バラバラになってしまいました。」

スペースフライトナウのウイリアムハーウッドは、ホットステージングによるストレスが、1段目の分離後のトラブルの原因になったと見ているようだ。

調査の結果を見なければ分からないが、その可能性は今のところ否定できない。

「飛行開始約8分半で管制官がロケットとの接触を失うまではすべて順調だった。」

テレメトリーが失われた時刻は、映像では8分3秒だったからな。

事実とは異なる。

予定のタイムラインでは、SECOは8分33秒となっているから、30秒も前にテレメトリーが途絶えたことになる。

2段目に何が起こったかは、今後の解析を待つしかない。

「その時点までにこのロケットは長距離追跡カメラの視界から消えていたが、大気中の突然のきらめく乱れはロケット破壊の兆候だった可能性がある。」

映像は、確かに乱れているが、その原因は不明だ(2段目の燃料が爆発したのか、自爆システムが作動したのか:自爆システムは燃料タンクを割る仕掛けと聞いている)。

タンクの燃料残量は、直前までのテレメトリーが正確なら、それほど多くはなかったはずだ(全燃焼予定時間5分53秒のうち、30秒分:8.5パーセント)。

テレメトリーが切れてから、映像に最初の小さな乱れが入るまでには数秒(2秒程度)のタイムラグがあり、その後、さらに2秒程度遅れて大きな乱れと引き続き小さな乱れが起こっている。

また、原因は分からないが、打ち上げ後、7分41秒後にも、噴煙に乱れが生じている(テレメトリー作動中)。

いずれにしても、完全再使用を目指すスターシップは、今回も使い捨てになった。

仮に、ペイロードが乗っていたとしても、軌道上に配置することはできなかったわけで、使い捨てロケットとして見た時でも、「失敗」以外の評価はできない。

ウイリアムハーウッドの見立ては正しい。

浮沈子とかは、どうしてもロケット開発については贔屓目で見るからな。

(スターシップ打ち上げ、また失敗 上空でロケット爆発―スペースX)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023111900010&g=int

「「スターシップ」を搭載したロケットを打ち上げたが、失敗に終わったもようだ。スターシップは4月の試験飛行でも、打ち上げ後に爆発している。」

世間の目は厳しいな・・・。

「「スーパーヘビー」ロケットの1段目が切り離し後、メキシコ湾上空で爆発。」

「2段目からのデータが途絶えた。2段目が失われたかもしれない」

文字通りのブリキ細工から追いかけている浮沈子としては、もう少し、寛大な目で見て欲しい気もする。

浮沈子は、90点を付けている。

ラプター2の1段目の燃焼は100点だ。

完璧!。

信頼性に疑いを持っていた浮沈子は、脱帽するしかない。

まあ、原因は不明だが、再着火には失敗したし、2段目のトラブルが、長秒燃焼によるものだとすれば、完全な信頼を置くには早過ぎるけどな。

分離するところまでは、順調過ぎる程だと感じていた。

前回はともかくも、今回の失敗は先へ繋がっている。

3度目を行う意義は十分ある。

おそらく、NASAも同じだろう。

原因調査と対策が待たれる・・・。

<もっと追加>ーーーーーーーーーー

(イーロン・マスクのスターシップ・ロケットはさらに高みへ進むが、その後失われる)
https://www.bbc.co.uk/news/science-environment-67462116

「今回は、ラプターエンジンと呼ばれる33基のエンジンすべてが、離陸中にすべて稼働していました。そしてこれにより、スターシップは実際に第一段階分離と呼ばれるものに実際に到達することができました。これは最も興味深い部分です。これが彼らが望んでいたものです」(スペース・ウォッチ・グローバル編集長のエマ・ガッティ博士)

「イーロンは成功の確率が60%だと予測していた。そして私は、おそらく彼らは60%成功しただろうと言うだろう」(フィル・メッツガー博士:元 NASA の科学者で、現在はセントラルフロリダ大学に在籍:ロケットシステムを研究)

「彼らはデータを調べることになるでしょう。ロケットには膨大な量のデータが地上に送信されています。彼らは考えられるすべてのシステムとサブシステムのデータを持っているでしょう。ですから、彼らが次のことを行えることは疑いありません」(同上)

「何がうまくいかなかったのか原因を特定し、できるだけ早く次の打ち上げに向けて突き進むと確信しています。」(同上)

BBCは、専門家の肯定的意見を取り上げ、かなり前向きに評価している。

エマガッティも、浮沈子同様にラプター33基が分離まで燃焼し続けたことを高く評価している。

やっぱ、そこがネックだと見ていた人は多いのだ。

今後の改善が簡単に行くとは限らない。

次の打ち上げの時期に言及するのは時期尚早だ。

クリアすべき課題は、打ち上げる度に、より解決困難なものになるに決まっているからな。

来年には、IFT-3が上がるかもしれないが、ひょっとしたら、そうではないかも知れない。

「彼らは考えられるすべてのシステムとサブシステムのデータを持っているでしょう。ですから、彼らが次のことを行えることは疑いありません」

その通りだ。

「彼らは60%成功した」(再掲)

そうだろうか?。

まだ、誰も成功だとは言えない(S社であっても)。

ブースターも宇宙船も、予期せぬ事態に巻き込まれ、予測不能の状態で指令破壊された。

データは取れたかもしれないが、それは成功じゃない。

統合テスト飛行は、それ自体が完全な飛行を意味しない(100パーセントの成功であったとしても)。

スターシップは、最初のマイルストーンに「さえ」到達していないというのが、公平な見方というものだ。

それでも、第一段階の到達点が視野に入ったことは間違いない。

浮沈子は、大甘の90点を付けている。

重量ペナルティが大きいホットステージングを、今後も継続するかどうかは考え物だ。

今回は、分離の際にエンジンを3基だけ継続して点火させていたが、あれが最終形とは思えないな。

ジンバルが付いている13基全部を燃焼させたまま分離するのが最終形かもしれない(停止するのは、外周の20基だけ:未確認)。

まあ、どうでもいいんですが。

ラプター2の燃焼が安定して、ホットステージングでなくても分離できるということになれば、そもそも、それ自体を止めちまって、通常の分離に戻すかもしれない。

今回一部で指摘されているように、1段目の再使用に支障を生じる原因になるとすれば、なおさらのことだ。

「スターシップは、これまで地球から打ち上げられた中で最も強力なロケット システムです。」

何度も言及されているように、スターシップは部屋の中のゾウだ。

「SpaceX のエンジニアが Starship を完成させることができれば、それは革命的なものになるでしょう。」

「これは、完全かつ迅速に再利用可能であり、燃料を補給してすぐに空中に戻すことができる飛行機のように動作することを目的としています。」

「この能力は、一度に 100 トン以上の物体を軌道上に乗せる重量とともに、宇宙活動のコストを大幅に削減するでしょう。」

打ち上げロケットの定義を変え、市場を破壊し、NASAの探査計画や有人ロケット計画をちゃぶ台返しする最終兵器だ。

使い捨てロケットによる打ち上げを、永遠に過去のものとし、国家需要以外の全ての打ち上げ会社を倒産に追い込みかねない。

べらぼーめ・・・。

浮沈子は、このロケットが実際に開発され、成功に向けて進んでいること自体を疑問視していた。

ありえねー・・・。

資金が途切れれば、開発は中止される。

NASAがアルテミスのHLS(ヒューマンランディングシステム)に選定した時、何かの冗談かと思ったが、今や、それを疑う必要はない。

スターシップのバージョンの一つは、(木っ端微塵にならずに)間違いなく月面に着陸するだろう。

軌道上の燃料デポや、輸送船(タンカー)だって、実現するに違いない。

その確信は、昨日まではなかった。

「ブロードバンド インターネット衛星の世界的なネットワークを確立する彼の Starlink プロジェクトも支援します。」

「すでに数千機のスターリンク宇宙船が軌道上にいますが、今後のモデルはより大型でより重くなり、それらを軌道に乗せるにはスターシップが必要になります。」

アマゾンが、逆立ちしても追いつけない領域へと、スターリンクは進化し続けるだろう。

250トンの低軌道打ち上げ能力(2段目使い捨ての場合)をフルに使って、一度に100機以上のV2(フルバージョン:1機2トンと言われている)を上げることになる。

べ、べっ、べらぼーめい・・・。

そこで稼いだ金をつぎ込んで、火星移民を目指すわけだ。

ちょっと待った!。

浮沈子は、仮にスターシップが有人で成功したとしても、それについては懐疑的だ。

人類が、多惑星種になるというビジョンには賛成できない。

この星の上で生まれ、この星の上で生き、この星の上で滅びる。

全てのタマゴは、この地球という惑星の上(たった1つのバスケットの中)にあり、火星やエウロパやエンケラドゥスの上に置かれることはない。

浮沈子は、そう信じているし、疑う余地はないと感じている。

人類は、宇宙向けに出来ていないからな。

が、スターシップを作っちまう位な存在であることは確かだ。

人類が、宇宙人(宇宙での生存に最適化された人類)を自らの手で作り出さないとは断言できない。

2025年までには無理だろうし、2020年代に実現することはないだろう。

21世紀中にも不可能かもしれないが、その先は分からないぞお・・・。

スターシップの改良バージョンに乗って、火星や木星圏、土星圏にも足を延ばす日が来ないとは限らない。

乗客の方はともかく、ロケットが宇宙に飛び出し、他の惑星に大量の荷物を届けることが出来ることを、浮沈子は確信できた。

これまでのように、グラム単位で重量を計算し、強度とのバランスを考えて探査機を設計してきた時代は終わる(そうなのかあ?)。

なんなら、軌道上に組み立て工場を打ち上げ、部品を組み上げて巨大な探査機を作り、そこから旅立たせてもいい。

直径9mの1枚物の反射鏡を持った宇宙望遠鏡だって、そのまま打ち上げ可能だ。

しかも、予算さえ許せば、毎年でも上がる。

夢のような話だが、それが現実になりつつあることを実感する。

ああ、もちろん、他者にとっては、悪夢以外の何物でもないだろうな。

ULAが売りに出ているのも頷けるというものだ。

さて、スターシップの実現が現実味を帯びてきた今、我が国はどうするんだろうな。

使い捨てロケットを、今後10年間作り続けて、部分的再使用ロケットの開発に進むんだろうか。

それとも、もう、打ち上げロケットの開発は諦めて、直径9mの巨大衛星の開発にでも注力するのかな・・・。

<もっともっと追加>ーーーーーーーーーー

(SpaceX、宇宙船の2回目の統合飛行試験を開始)
https://www.teslarati.com/spacex-launches-the-second-integrated-flight-test-of-starship/

「ストリームに基づくと、エンジンの停止は t+8 分 4 秒に発生し、続いて t+8 分 7 秒に飛行が終了したように見えます。」

2段目の飛行終了の詳細は、まだ確認されていない。

「SpaceX は Raptor エンジンの信頼性がはるかに優れていることを示し、33 基の Raptor エンジンはいずれも第 1 段階燃焼中に故障せず、完璧な高温段階で、SpaceX が信号を失うまで非常にスムーズに Ship 25 を燃焼させました。」

1段目のブーストバックバーンの失敗については、過回転(over-rotate)が原因ではないかと推測している。

少し勢いよく向きを変えたような感じはあったが、一部のラプター2が再点火しなかったことや次々と失火したことも事実だ。

センサーが、過回転を検知して、それが理由で自爆装置が働いたということかもしれない。

ひょっとすると、後付けしたホットステージング用の段間構造物が、空力的に悪さをした可能性もある(ろくに、シミュレーションもしてないだろうしな)。

今後の解明と改善が待たれるところだ。

2段目の燃焼停止については、まだ、原因の推測すら出ていない。

こっちは、テレメトリーが停止する前の7分41秒当たりの排気流の乱れのような映像が気になっている。

その後、テレメトリーが消え、さらに数秒置いて大きな排気流の乱れが生じている。

自爆装置は、ここで働いたのかもしれないな(未確認)。

それでも、高度148km、時速2万4千km以上まで加速したわけで、真空中のラプター2バキュームの燃焼に問題はなかったと思われる。

軌道設計に無理があったとは思えないし、この程度でぶっ壊れるようなら、それはそれで問題だ。

2段目の機械的強度は、今回の飛行が一番ストレスを受けているはずだ(墜落激突を除く?)。

エンジンがフルパワー出した時の振動などが、機体に与えるストレスなども、初めて計測されている。

加速中だから、燃料を吸い込み損ねてタービンポンプが吹っ飛んだということも考えづらいしな。

テレメトリーが途絶えた時には、まだ、燃料は残っていた。

まあ、どうでもいいんですが。

テスララティのリチャードアングルも、ラプター2の安定した燃焼を讃えている。

1回目の統合飛行試験の成績が悪すぎということもあるが、この点では、複数の評価が一致している。

浮沈子が懸念していた、エンジン単体での問題ではなかったのかもしれないな。

が、一方では、ブーストバックバーンでの再着火の失敗や次々と失火した現象は、相変わらずの懸念材料だろう。

ラプターの点火は、自然発火するトリエチルボランを使った点火システムではなく、電気的に火花を飛ばして直接燃料に着火するイグナイター方式と聞いている。

宇宙空間での複数回の点火を、回数の制限なく行う必要を見越したためだと言われている。

着火システムの問題なのか、相変わらず、燃料系の問題なのかは分からない。

分離までの燃焼には問題なかったからな。

それとも、それは見かけだけの話で、燃料漏れやそれに伴う出火は続いていて、強化された消火システムが機能していただけなのかもしれない。

分離後は、消火剤が底をつき、燃料漏れによる出火を止められずに、次々に失火していったのかも・・・。

スーパーヘビーブースターの信頼性は重要だ。

再使用回数は、当初の目論見では1000回と言われている。

今回の打ち上げでは、まだ、0.5回しか成功していない(片道だけ!)。

先は長そうだな・・・。