🐱米国大統領選挙:決別? ― 2024年02月20日 01:47
米国大統領選挙:決別?
(【米大統領選・トランプ氏再選シミュレーション】佐藤優氏が予測する“大混乱”「米国は世界の紛争から手を引き、各地で勢力図が書き換えられる」)
https://www.news-postseven.com/archives/20240219_1942425.html/2
「実は、「対トランプ」において、日本政府の備えは今のところ悪くないと思っている。」
「もしトラ」「まずトラ」どころか「確トラ」の様相が濃くなる中、この記事を読んだ。
佐藤氏の見解は、浮沈子にとっていつも刺激的で、必ずしも同意ではないんだが、なかなか参考になる。
で、期待しつつ続きを読んだが、一瞬でぶっ飛んだ!。
「首相は昨年9月19日の国連総会演説で、「イデオロギーや価値観では現在の国際社会の問題を解決することはできません」と言い切った。民主主義や法の支配、基本的人権の尊重などを価値観として共有する国家との関係を強化するという、それまでの価値観外交と決別することを表明し、第一歩を踏み出したわけだ。」
ちょっと、吐き気がするほどのキョーレツな違和感、アンビリーバボーな見解に、元ネタを必死で漁った・・・。
(第78回国連総会における岸田総理大臣による一般討論演説)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/unp_a/page4_006001.html
要約には、そのくだりはなかったので、全文のリンクをクリック!。
(第78回国連総会における岸田文雄内閣総理大臣の一般討論演説(令和5年9月19日(火)於 国連本部))
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100555712.pdf
「2 人間の尊厳を守る国際協力とは」
「世界は、気候変動、感染症、法の支配への挑戦など、複雑で複合的な課題に直面しています。各国の協力が、かつてなく重要となっている今、イデオロギーや価値観で国際社会が分断されていては、これらの課題に対応できません。」
「我々は、人間の命、尊厳が最も重要であるとの原点に立ち返るべきです。我々が目指すべきは、脆弱な人々も安全・安心に住める世界、すなわち、「人間の尊厳」が守られる世界、なのです。」
「国際社会が複合的危機に直面し、その中で分断を深める今、人類全体で語れる共通の言葉が必要です。「人間の尊厳」に改めて光を当てることによって、国際社会が体制や価値観の違いを乗り越えて「人間中心の国際協力」を着実に進めていけるのではないでしょうか。」
ちょっと、息が出来る気がしてきたな。
グローバルな課題は、世界が分断されていては対応できないというだけの話だ。
やれやれ・・・。
まあ、この文脈の中にも「法の支配」というのが出てきて、当然、我が国はそれを尊重する立場を鮮明にしている。
それが、「複雑で複合的な課題」になっちまってる現状が問題だがな。
政府は、国際情勢の推移及び日本の外交活動をとりまとめた「外交青書」を毎年発行している。
何年も、読んだことなかったけど、一応、我が国の外交姿勢を確認するために目を通した(全部読んだわけじゃありませんけど)。
(外交青書2023(HTML))
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2023/html/
「民主主義や法の支配、基本的人権の尊重などを価値観として共有する国家との関係を強化するという、それまでの価値観外交と決別」(再掲)
・・・なんてことはなかった。
やれやれ・・・。
脅かさないでもらいたいなあ。
元分析官の佐藤氏は、当然、外交青書は読んでいるはずだから、初出の記事に煽りを書いたのは意図的なものだろう(よく読むと、引用されている文言もビミョーに変えてあります:岸田首相が、原稿通り読んだかは未確認)。
自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配もキッチリ謳われている。
「日本は、自国及び国民の安全と繁栄を確保し、自由、民主主義、基本的人権の尊重といった普遍的価値を増進し、国際社会の多様性を念頭に包摂的なアプローチで、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持発展させるため、力強く、きめ細やかな外交を進めていかなければならない。」(第1章 国際情勢認識と日本外交の展望:2 日本外交の展望)
その上で、イデオロギーや価値観で対立し分断された国際社会では、グローバルな課題に対応できないとしている。
「国際社会が歴史の転換期に差しかかり、パワーバランスの変化と地政学的競争が激しさを増す一方で、気候変動や感染症など地球規模課題は、人類の生存そのものを脅かすものであり、価値観や利害の相違を超えて、国際社会が全体として協力して解決策を模索することが求められている。」
「国際関係は対立や競争と協力の様相が複雑に絡み合う状況にある。」
自国の価値観を、時に武力で他国に押し付けることができない二等国家(!)としては、無難な認識だろう。
現実の国際社会においては、「自由、民主主義、基本的人権の尊重といった普遍的価値」が定着しているわけではない。
また、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」が維持されているとは言えない。
それは、未だに国際社会の「複雑で複合的な課題」の一つなわけだ。
まあいい。
佐藤氏は「もしトラ」の文脈の中で、「価値観ではなく、ディールで結びつく関係を重視するトランプの考え方に結果的に沿っている。」としているが、日米関係がいかに外交の基軸であったとしても、普遍的価値や国際秩序をないがしろにすることがあってはなるまい。
(北米局)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/sosiki/hokubei.html
「米国は日本にとって唯一の同盟国であり、日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸です。日本と米国は、安全保障、経済、地域情勢、地球規模課題、人的交流等のあらゆる分野において緊密に連携しています。」
かつて、全方位外交といわれた時代があったけど、今は昔・・・。
カナダについても触れている。
「カナダは日本や米国と同じG7のメンバーであり、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有するインド太平洋地域の重要な戦略的パートナーです。」
うん、間違いない。
わが国外交の基軸にブレはない。
「もしトラ」になったら、まあ、それも怪しいだろうけどな。
国家は正義では動かない。
国益で動く。
問題は、何が国益かを、短期長期に渡って見極め、4年に1度ぶっ壊れる米国との付き合い方を間違えないようにすることだ。
プーチンは、バイデンの方がいいって言ってたけどな(本気かあ?)・・・。
(【米大統領選・トランプ氏再選シミュレーション】佐藤優氏が予測する“大混乱”「米国は世界の紛争から手を引き、各地で勢力図が書き換えられる」)
https://www.news-postseven.com/archives/20240219_1942425.html/2
「実は、「対トランプ」において、日本政府の備えは今のところ悪くないと思っている。」
「もしトラ」「まずトラ」どころか「確トラ」の様相が濃くなる中、この記事を読んだ。
佐藤氏の見解は、浮沈子にとっていつも刺激的で、必ずしも同意ではないんだが、なかなか参考になる。
で、期待しつつ続きを読んだが、一瞬でぶっ飛んだ!。
「首相は昨年9月19日の国連総会演説で、「イデオロギーや価値観では現在の国際社会の問題を解決することはできません」と言い切った。民主主義や法の支配、基本的人権の尊重などを価値観として共有する国家との関係を強化するという、それまでの価値観外交と決別することを表明し、第一歩を踏み出したわけだ。」
ちょっと、吐き気がするほどのキョーレツな違和感、アンビリーバボーな見解に、元ネタを必死で漁った・・・。
(第78回国連総会における岸田総理大臣による一般討論演説)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/unp_a/page4_006001.html
要約には、そのくだりはなかったので、全文のリンクをクリック!。
(第78回国連総会における岸田文雄内閣総理大臣の一般討論演説(令和5年9月19日(火)於 国連本部))
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100555712.pdf
「2 人間の尊厳を守る国際協力とは」
「世界は、気候変動、感染症、法の支配への挑戦など、複雑で複合的な課題に直面しています。各国の協力が、かつてなく重要となっている今、イデオロギーや価値観で国際社会が分断されていては、これらの課題に対応できません。」
「我々は、人間の命、尊厳が最も重要であるとの原点に立ち返るべきです。我々が目指すべきは、脆弱な人々も安全・安心に住める世界、すなわち、「人間の尊厳」が守られる世界、なのです。」
「国際社会が複合的危機に直面し、その中で分断を深める今、人類全体で語れる共通の言葉が必要です。「人間の尊厳」に改めて光を当てることによって、国際社会が体制や価値観の違いを乗り越えて「人間中心の国際協力」を着実に進めていけるのではないでしょうか。」
ちょっと、息が出来る気がしてきたな。
グローバルな課題は、世界が分断されていては対応できないというだけの話だ。
やれやれ・・・。
まあ、この文脈の中にも「法の支配」というのが出てきて、当然、我が国はそれを尊重する立場を鮮明にしている。
それが、「複雑で複合的な課題」になっちまってる現状が問題だがな。
政府は、国際情勢の推移及び日本の外交活動をとりまとめた「外交青書」を毎年発行している。
何年も、読んだことなかったけど、一応、我が国の外交姿勢を確認するために目を通した(全部読んだわけじゃありませんけど)。
(外交青書2023(HTML))
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2023/html/
「民主主義や法の支配、基本的人権の尊重などを価値観として共有する国家との関係を強化するという、それまでの価値観外交と決別」(再掲)
・・・なんてことはなかった。
やれやれ・・・。
脅かさないでもらいたいなあ。
元分析官の佐藤氏は、当然、外交青書は読んでいるはずだから、初出の記事に煽りを書いたのは意図的なものだろう(よく読むと、引用されている文言もビミョーに変えてあります:岸田首相が、原稿通り読んだかは未確認)。
自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配もキッチリ謳われている。
「日本は、自国及び国民の安全と繁栄を確保し、自由、民主主義、基本的人権の尊重といった普遍的価値を増進し、国際社会の多様性を念頭に包摂的なアプローチで、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持発展させるため、力強く、きめ細やかな外交を進めていかなければならない。」(第1章 国際情勢認識と日本外交の展望:2 日本外交の展望)
その上で、イデオロギーや価値観で対立し分断された国際社会では、グローバルな課題に対応できないとしている。
「国際社会が歴史の転換期に差しかかり、パワーバランスの変化と地政学的競争が激しさを増す一方で、気候変動や感染症など地球規模課題は、人類の生存そのものを脅かすものであり、価値観や利害の相違を超えて、国際社会が全体として協力して解決策を模索することが求められている。」
「国際関係は対立や競争と協力の様相が複雑に絡み合う状況にある。」
自国の価値観を、時に武力で他国に押し付けることができない二等国家(!)としては、無難な認識だろう。
現実の国際社会においては、「自由、民主主義、基本的人権の尊重といった普遍的価値」が定着しているわけではない。
また、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」が維持されているとは言えない。
それは、未だに国際社会の「複雑で複合的な課題」の一つなわけだ。
まあいい。
佐藤氏は「もしトラ」の文脈の中で、「価値観ではなく、ディールで結びつく関係を重視するトランプの考え方に結果的に沿っている。」としているが、日米関係がいかに外交の基軸であったとしても、普遍的価値や国際秩序をないがしろにすることがあってはなるまい。
(北米局)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/sosiki/hokubei.html
「米国は日本にとって唯一の同盟国であり、日米同盟は日本の外交・安全保障の基軸です。日本と米国は、安全保障、経済、地域情勢、地球規模課題、人的交流等のあらゆる分野において緊密に連携しています。」
かつて、全方位外交といわれた時代があったけど、今は昔・・・。
カナダについても触れている。
「カナダは日本や米国と同じG7のメンバーであり、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有するインド太平洋地域の重要な戦略的パートナーです。」
うん、間違いない。
わが国外交の基軸にブレはない。
「もしトラ」になったら、まあ、それも怪しいだろうけどな。
国家は正義では動かない。
国益で動く。
問題は、何が国益かを、短期長期に渡って見極め、4年に1度ぶっ壊れる米国との付き合い方を間違えないようにすることだ。
プーチンは、バイデンの方がいいって言ってたけどな(本気かあ?)・・・。
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