🐼再使用ロケット:ネビュラ1:惜しい!2024年09月24日 10:52

再使用ロケット:ネビュラ1:惜しい!
再使用ロケット:ネビュラ1:惜しい!


(ディープ・ブルー・エアロスペースのホップテスト、着陸直前に異常発生)
https://spacenews.com/deep-blue-aerospace-hop-test-suffers-anomaly-moments-before-landing/

「垂直離陸、垂直着陸試験の映像には、ロケットが所定の高度まで上昇し、179秒間の飛行に使用された3基のエンジンのうち2基を停止する様子が映っている。」

どう見てもCGな1本目の動画とは異なり、2本目の映像は打ち上げから「墜落激突爆発」までの一貫したリアル映像を示している(残念ながら爆発後の「炎上&木っ端微塵」は映っていない:惜しい!:そういうことかあ?)。

まあいい。

打ち上げ、上昇、姿勢制御、降下への切り替え(エンジンの一部停止)、着陸地点への誘導、地上5mくらいまでの降下(スロットリングによる推力の制御)、ホバリングに近い速度までの減速は上手くいっている。

あとちょっとだったのにな・・・。

中国のパワードランディングの実情を初めて見た。

もちろん、これはスペースXがグラスホッパーでやっていたレベルだからな。

宇宙空間からの超音速での降下(と減速)は今後の課題だが、実用への可能性を十分感じさせてくれる。

このレベルの飛行は、おそらく我が国でも実現可能に違いない(未確認)。

エリックバーガーも記事にしている。

(中国のロケットが日曜日に着陸をわずかに逃した。ビデオは素晴らしい)
https://arstechnica.com/space/2024/09/a-chinese-rocket-narrowly-missed-a-landing-on-sunday-the-video-is-amazing/

「試験飛行は約2分半順調に進んだが、着陸直前に機体に問題が発生し、火の玉が噴き出した。」

「ファルコン9と同様に、灯油と液体酸素を燃料とするエンジンで動く。」

「早ければ11月にも、再度の高高度テスト飛行を試みる予定」

再テストへのリードタイムの短さも、S社を彷彿とさせる。

記事によれば、中国ではこのほかにも数社が再使用ロケットに取り組んでいるらしい。

Deep Blue Aerospaceは、外連味のないエンジンを採用し、基礎的な技術を積み上げて、確実な打ち上げロケットを開発しようとしているように見える。

それが実現可能であることは、ファルコン9が実証しているからな。

何の前例もなく、工学的なチャレンジを行うのとは異なる。

さらには、経済的なインセンティブ、高頻度打ち上げによる市場支配という人参もぶら下がっている。

中国の再使用ロケット技術は本物だ。

ネビュラ1のビデオ(実写版の方)は、そのことを明らかにしている。

エリックバーガーは余裕で見ているけど、やがては追いつかれ、ひょっとするとぶち抜かれる可能性もある。

米国は、国家を挙げて使い捨てロケットであるSLSを開発したが、中国は官民一体で再使用ロケットに取り組んでいる。

(中国、大型再使用ロケットを2025年と2026年に打ち上げ予定–直径が4mと5m)
https://uchubiz.com/article/new41280/

「直径が4mと5mの再使用可能なロケットを、それぞれ25年と26年に打ち上げる計画」

「2027年の試験飛行が予定されている長征10号のシングルコア版は次世代宇宙船を地球低起動(LEO)に打ち上げるのに利用され、3コア版は宇宙船「夢舟(むしゅう、Mengzhou)」を月周回軌道に打ち上げる。」

(中国、有人月探査ロケット「長征10号」の新型エンジンをテスト)
https://uchubiz.com/article/new24413/

「長征10号は2027年の試験飛行が予定されているロケットで、月探査や有人月面探査にも利用される予定」

だが、まあ、当分は1段目の再使用に留まるだろう。

それでも、再使用ロケットによる高頻度低コスト打ち上げを手に入れれば、地球低軌道衛星コンステレーションによるインターネットサービスやスパイ衛星網を構築することが可能になるし、スターリンク(スターシールド)に対抗することだってできるかもしれない。

スターシップのように2段目の再使用が可能になれば、そして、スターリンクを上回る高頻度打ち上げ需要を見出すことが出来れば、中国は真の宇宙大国へと進化する可能性がある。

うーん、やっぱスペースコロニーかなあ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

別稿で取り上げるかもしれないけど、インドはその中国をキャッチアップしようと猛烈に追い上げている。

軍事需要があまりなさそうなので(未確認)すそ野は広くないかも知れないけど、限られたリソースを効率的に投入して、惑星探査や月面着陸を成功させている。

が、再使用ロケットの話は聞かない(まあ、将来、ちょこっとはやるようですが)。

鳴かず飛ばずのロシアでも、再使用という話は出ていない。

欧州や我が国は、話だけ出ていて、また、要素技術の開発はしているけど、本格的に取り組んでいるとは言えない。

未だに懐疑的だ。

つーか、1年に10回程度の打ち上げなら、使い捨ての方がいいのかもしれない。

中国が再使用に積極的取り組んでいる背景には、年間100回を大幅に上回る高頻度打ち上げの需要を見据えているからに他ならない。

中国版スターリンクの先に、どんな需要が見えているのか。

浮沈子的には、そっちの方が気になる。

太陽光発電か、宇宙日傘か。

中国の場合は、インドと異なり、軍事需要が活発だからな。

米国とシスルナ空間を争うのか、中国版スターシールドを展開するのか。

世界中どこでも1時間以内に兵士を送り込める、大陸間弾道輸送ロケットを目指しているのかもしれない。

ネビュラ1の先には、無限の広がりが横たわっている。

宇宙は広大だ。

そこへの高頻度低価格のアクセスを確立することは、国家にとっては極めて重要だろう。

小さな1歩だが、既に踏み出していることの意義は大きい。

その歩みが後退することはない・・・。

🚀インドの宇宙開発:宇宙ステーションだってえ!?2024年09月24日 15:46

インドの宇宙開発:宇宙ステーションだってえ!?
インドの宇宙開発:宇宙ステーションだってえ!?


(インド、再利用可能なロケットと宇宙ステーションモジュールの開発を承認)
https://arstechnica.com/space/2024/09/india-is-on-a-path-to-become-the-worlds-third-largest-space-power/

「総額で27億ドルの費用がかかると推定される。資金のほとんどは、同国の宇宙ステーションと再利用可能な打ち上げロケットに充てられる。」

うーん、再使用ロケットの需要としては、いささかショボい気がするけど、宇宙ステーションを上げるのに一定の頻度と回数を要することは確かだ。

人類は、3個目の宇宙ステーションを持つことになる(2個目は中国が上げているからな)。

ロシアも計画はしているようだが、当てにはならない。

「モディ首相が水曜日に発表した承認により、インドは2030年代に米国と中国に次ぐ第3位の宇宙大国となる軌道に乗ることになる。」

「インドの宇宙計画により同国は「世界の3大宇宙大国のうちの1つ」の地位に躍り出るだろう」(インドの液体推進システムセンター所長、V・ナラヤナン氏)

「これは、インドがロシアの宇宙計画を追い越すことを望んでいることを示唆している。」

「ロシア政府が、独立した国家宇宙ステーション、ソユーズ有人宇宙船の代替、あるいは重量物の再利用可能なロケットを支援できるかどうかについては、深刻な疑問がある。」

ここで重要なのは、インドが独立した「有人」宇宙開発を目指しているという点だ。

欧州や我が国は、米国に依存(国際協力ともいうが)して有人宇宙開発を進めている。

独自の宇宙船を使って打ち上げることはない。

ロシア、中国は既に有人宇宙船を所有している。

インドは、その列に連なろうとしているわけだ。

「欧州と日本も宇宙で多くの成果を上げているが、独立した有人宇宙飛行計画がなく、両国政府は再使用ロケットの開発を大幅に支援する措置を講じていない。」

有人宇宙開発と再使用ロケットが連動しているとは必ずしも言えない。

が、両者は多額の費用を要し、開発が長期に及ぶという点では共通している。

インドは、宇宙開発に投入するコストは僅かだが、ピンポイントでツボを押さえ、効果的に開発を進めている。

世界最大の人口を抱える国家として、宇宙大国であることは必要なポジションなんだろう。

将来的に、ロシアと中国、そしてインドは、宇宙で協力し合うことになる。

その際に、有利な位置を占めるためにも、これからの10年を有効に活用してく必要があるわけだ。

「インドは早ければ来年、ガガンヤーン有人宇宙飛行計画で宇宙飛行士を軌道上に打ち上げる4番目の国になることを目指している。」

「この計画が再び延期されたとしても、インドが次に有人宇宙飛行クラブに加わることはほぼ確実だ。」

有人宇宙開発は、月探査や惑星探査とは次元が異なる。

宇宙クラブのメンバーとして、一人前と見做されるためには避けて通れないパスだ。

こういう一点豪華主義的宇宙政策(そうなのかあ?)は、一昔前の流行ような気がするけど、逆に、今後、このスタイルを追求する国家が次々と台頭してくる可能性もある。

ブラジル、イラン、南アフリカ共和国(?)、イスラエルやパキスタンとかも、可能性は否定できない。

インドは、これらの国々に技術供与して、その存在感を高めていくことになるだろう。

まあ、イランとかはロシア辺りから直接移転するかもしれないし、イスラエルは米国からいくらでも支援が受けられるからな。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子的に驚くのは、やはり宇宙ステーションだ。

「新たな資金は、ガガンヤーン計画の無人試験飛行1回と、インドのインド宇宙ステーション「バーラティヤ・アナトリクシュ」の最初のモジュールの打ち上げも予定されている2028年までの8回の実証ミッションにも充てられる。」

「インドは2035年までに、5つのモジュールを軌道上に乗せ、52トンの完全組み立て済み宇宙ステーションを建設する計画」

達成時期はともかく、使い捨てロケットで可能なレベルで、実現可能性は高い。

再使用ロケットよりは現実味がある。

有人宇宙開発とのマッチングも悪くないしな。

記事では、再使用ロケットへの取り組みについても書かれているが、ファルコン9のコンセプトをなぞっただけの感じだ。

「スーリヤ ロケットの第 1 段には着陸脚が備えられ、オフショア バージに垂直着陸したり、発射場に戻ったりできる。これは、SpaceX がファルコン 9 ブースターを回収する方法に似ている。」

中国の再使用ロケットと異なり、こちらは、まだスロットリング可能なエンジンの試験中だ。

もっとも、メタロックス推進剤を使用する点では、チャレンジングではあるけどな。

それだけに、早急に結果を出そうとしているわけではなく、取り組んでいるというエクスキューズだけな気もする。

再使用ロケットの打ち上げ能力で宇宙ステーションを構築するというコンセプトではなさそうだ(なーんだ・・・)。

まあいい。

「インド政府は新型ロケットの開発を8年以内に完了することを目指している。インド政府によると、運用開始後は、同ロケットはインドの宇宙ステーションへの乗組員打ち上げを含む国家および商業ミッションを支援」

記事では、惑星探査についても触れられているが割愛する。

全体を読むと、どうも米国の後追いな気もするけど、インドの宇宙開発が民需を喚起できるかはいささか疑問だ。

軍事需要がベースにあって、膨大なリソースを擁する米国の真似をしても、やがては馬脚を現すことになる。

アルテミスに参加し、米国のスキームに乗って見せてはいるけど、この国の宇宙開発は独自だ。

当分は、形の上では中国の後追いになるだろう。

今回は見送られたようだが、2040年までには独自で月面有人探査を狙っている。

中国から10年遅れだが、無理のないところだ。

それまでに、現在の宇宙開発への投資がどれだけ続くか、或いは増加するかというところだな。

やっぱ、宇宙ステーションの中って、カレー味になっちまうのかな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(インド、月サンプルリターン、金星探査機、宇宙ステーションモジュール、再利用可能ロケットを承認)
https://spacenews.com/india-approves-moon-sample-return-venus-orbiter-space-station-module-and-reusable-launcher/

「チャンドラヤーン4号月サンプル回収ミッションを承認」

「このミッションの複雑さは、2040年までに宇宙飛行士を月に着陸させるというインドの目標に向けた基礎的な技術と能力を提供するものとなる。」

「このミッションにより、インドは有人ミッション、月サンプルの回収、月サンプルの科学的分析のための重要な基礎技術を自給自足できるようになる。実現に向けて、インド産業界が大きく関与することになるだろう」(政府の声明)

自給自足か・・・。

植民地の歴史を持つ国家が追及する「絶対的な価値」だ。

「インド宇宙基地(BAS-1)の初モジュールを承認」

「ガガンヤーン有人宇宙飛行計画の範囲と予算を拡大」

計画は詳細に及んでいる。

「2026年までに4つのミッションを実施」

「2028年12月までにBASの最初のモジュールの開発と、BASのさまざまな技術の実証と検証のための4つのミッションを実施」

最初のマイルストーンまでは2年、次も2年刻みで計画されている。

具体的だな・・・。

「予算は、拡張に対応するために1110億ルピー(13億5000万ドル)増加し、2010億ルピー(4億3200万ドル)となった。」(計算、おかしくね?:The Gaganyaan budget was expanded by 111 billion rupees ($1.35 billion) to 201 billion rupees ($432 million) to accommodate the expansion.)

ちなみに、1ドル≒84インドルピーくらいだ。

んなんで足りるかどうかは別にしても、予算の裏付けを伴う中期計画として明確に位置づけられている。

再使用ロケットも出ている。

「NGLVは現在のLVM3の3倍の積載量を1.5倍のコストで運ぶように設計」

「再利用可能な部品とモジュール式のグリーン推進システムを備え、低コストで効率的な宇宙へのアクセス手段を提供」

「このプロジェクトには824億ルピー(9億9,400万ドル)が割り当てられている。」

「開発段階では8年間にわたり3回の試験飛行が行われる予定」

んなんで開発できるとは到底思えないが、それなりのやる気は感じられる。

大胆に予想すれば、再使用は放棄(無期限の先送りでもいいけど)されるのではないか。

宇宙ステーションにしても、有人飛行や月面着陸にしても、再使用である必然性はどこにもない。

インドの使い捨てロケットは、打ち上げ頻度はともかく、価格的には再使用ロケットに匹敵する経済性があるからな。

開発してますという、エクスキューズだけになるかもしれない。

まあいい。

「全体として、これらの開発はインドの宇宙部門への多大な資源投資と、月や惑星の探査、打ち上げ、有人宇宙飛行など多様な目標を掲げた野心の拡大を表している。」

アンドリュージョーンズはそう言っているけど、浮沈子的には宇宙ステーション以外は現在の延長線上にあるような気がしている。

既存のプロジェクトを再定義して、見栄えよくしただけ(そうなのかあ?)。

それでも、独自の宇宙ステーション建造に名乗りを上げ、初期モジュールの打ち上げスケジュールを出した点には注目する。

そう上手くいくんだろうか・・・。

😼欧州大戦争:クルスク侵攻の真実2024年09月24日 18:45

欧州大戦争:クルスク侵攻の真実


(侵攻942日目、ロシア軍がヴフレダル包囲に向けた大規模攻撃を開始)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/on-the-942nd-day-of-the-invasion-russian-forces-launch-a-major-offensive-to-encircle-vhledal/

「想像してみて欲しい。我々は厳しい戦争で苦戦し、援助も受けられず、士気を維持するのに必死になっている。ロシア軍はウクライナ東部で主導権を握り、ハルキウ州の一部を占領し、スームィ州を攻撃しようとしている。我々はパートナーに延々と助けを求める以外にも何かしなければならない。一体どうすればいいのか?国民に「あと2週間で東部地域は消滅する」と言えばいいのか?勿論、両手を挙げることも出来るが、大胆な一歩を踏み出すこともできる」(ゼレンスキー大統領)

「クルスク侵攻が輝かしい成功として歴史に残るのか、それとも失敗として歴史に刻まれるのかを判断するのは時期尚早だ。一つだけ言えるのは「既にある程度の成果が出ている」という点で、この作戦はロシア軍の動きを鈍化させ4万人規模の部隊をクルスクに移動させた。東部戦線の兵士らも攻撃を受ける回数が減ったと言っている。この作戦を通じて我々はパートナーに自身の能力を、グローバルサウスの国々に「全てをコントロールしている」というプーチン大統領の主張が嘘であると示した」(同上)

「勝利計画(プランA)は戦争を一刻も早く終わらせるためウクライナの強化を想定している。これにロシアの関与は必要ない。勝利計画はロシアの参加なしに何が達成できるかをパートナーに説明するもので、バイデン大統領からの支持を獲得できるよう設計されている。それでもバイデン大統領が拒否すれば勝利計画を強制することは出来ない。そうなれば我々は引き続きプランBの範囲内で生きていくしかない。そうなれば本当に残念なことだ」(同上)

「プランBが何なのかは不明だが、引き続きと述べているため「どうやって戦争を終結させるのか道筋が見えない現状」のことを指しているものと思われる。」(ブログ管理人)

(ゼレンスキーがクルスク侵攻を主導、ザルジニーを含む一部の軍高官は反対)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/zelensky-leads-invasion-of-kursk-opposed-by-some-senior-military-officials-including-zarzhny/

「クルスク侵攻作戦はゼレンスキー大統領=政治サイドが提案したもの」「解任前のザルジニー総司令官はギャンブル要素が強い作戦実施に反対していた」「イシュクロウ大佐が旅団戦力に不釣り合いな任務と主張していたのはクルスク侵攻作戦だった」

「ウクライナ軍がクルスクで何を達成するため前進しているのか良く分からないのは「橋頭堡を確保した後どうするのか?=明確な第2段階作戦が用意されていなかったため」ということになる。」

「この話が事実だった場合でも留意するべきは「ザルジニー総司令官が把握している侵攻作戦の内容は2月までのもの」という点で、2月~8月までの間に第2段階作戦を策定していた可能性もあるが、今のところはそれが見えてこないのでアナリストらが首を傾げているのだろう。」

浮沈子の妄想の中では、クルスクで核兵器を爆発させ(ロシアから鹵獲した戦術核とかあ?)、しかも、ロシアが反撃してくるのを見計らって、その奪還した地域で爆発させて被害を甚大化したうえで、米国から調達した戦術核兵器を自国の弾道ミサイルに搭載してモスクワを狙うと恫喝、プーチンを交渉の場に引きずり出し、跪かせて東部の占領地から撤退させるというシナリオだったんだがな。

この記事が本当なら、なーんも考えていなかったということになる(そうなのかあ?)。

追い詰められたネズミが猫を嚙んだだけだ。

ドンだけ追い詰められていたかということも、記事の末尾に出てくる。

「因みにWall Street Journalは17日「ウクライナとロシアの戦争で計100万人が死傷者した」「非公開の機密資料によればウクライナ軍の死傷者数は約48万人(死者8万人+負傷者40万人)と推定されている」と報じている。」

ゼレンスキーは、ウクライナの死者数は3万人だと明かしていたが、ざっと3倍近くの8万人(ロシアは7万人)で、負傷者を合わせた死傷者数はロシアと大差ない。

こりゃあ、猫でもなんでも嚙んじまうだろう・・・。

今週には、バイデン大統領に核兵器をおねだりするのかもしれないが(未確認)、ロシアと対等に渡り合うにはそのくらいの手札が必要だ。

国内の産業はボロボロ、インフラの多くが破壊され、人口減少に歯止めがかからず、欧米からの支援がなければ国家が維持できないウクライナ(税収の全てを軍事費(多くは兵士の給料?)に投入=それ以外は100パーセント支援頼り)は、存亡をかけて戦い続けている。

経済的には欧州のお荷物、兵器的には米国頼り、「あと2週間で東部地域は消滅する」というゼレンスキーの認識は真実に近い。

クルスク侵攻の効果については、東部戦線の現場認識と齟齬があると言われているが(航空万能論の記事は、この間、そう報じている)、確かにポクロフシクは占領されていないし、この方面のロシア軍の西進は止まっている。

チャシブヤールも残存しているし、ヤバくなりつつあるがクラホベやブーレダルも踏みとどまっている。

北の方では、クピヤンスクも健在だ。

厳しい状況が続いているが、戦線は崩壊していない。

3年弱で50万人の兵力を損耗したとして、実質的に1千万人の潜在的な兵力を有するウクライナ(国内人口3千万人:うち、男性2千万人:戦闘可能人口は半分と推定)は、単純にあと60年間は戦争を継続することが出来るし、人口減少が続くとはいえ、世代交代もあるから100年は持ちこたえられるだろう。

兵器は、西側(主に米国)から無尽蔵に供与されるし、軍事費以外の国家予算は欧州が支えるだろうから問題ない。

長期戦はロシアに有利とされているが、そんなことはないかも知れない(そうなのかあ?)。

その間に、クルスクのみならず、ウクライナに隣接するロシア領を次々と侵略し、版図を拡大し続ければ、東部で失った領土に有り余る占領地を得られるに違いない(僅か2か月足らずで1000平方キロメートル:1年間で6千平方キロメートル:100年間で60万平方キロメートル:ほぼウクライナの面積に等しい)。

東部の侵略地(2割程度)なんて、ロシアにくれてやったって、痛くも痒くもないだろう(そんなあ!)。

まあ、どうでもいいんですが。

もっとも、その間もロシア軍の西進は続くだろうから、100年後に現在のウクライナが残っているかどうかは怪しい。

ウクライナはロシアに占領され、ロシアはウクライナに占領される。

等価交換方式だな(そういうことかあ?)。

ベラルーシの東に、新たなウクライナ国家が誕生するわけだ。

欧州は、それでも新生ウクライナに支援を続けるんだろうか?(兵站ルートがないけど?:ベルリン空輸の再来?)。

ウクライナ西部を制したロシア軍は、ポーランド、ルーマニア、モルドバなどを次々と攻略していく。

バルト3国やフィンランドも危ない(つーか、こっちが先かも)。

そんなカオスな状況になる前に、どこかで線引きが行われるだろう。

戦争を100年も続けるわけにはいかない。

とすれば、クルスクの侵攻は途中で止まる。

核兵器が使用されるかどうかは別にしても、ロシアが武力で奪還するには時間が掛かるに違いない。

その間に停戦交渉が始まれば、有利な取引材料にはなる。

その評価は、そのために失い続けることになる東部戦線の占領地の価値との比較考量になるだろう。

欧米からの支援の増加、グローバルサウスへの影響、国内の士気の高揚は、そのためのリソースに過ぎない。

結果は、領土の面積と付随する経済価値で決まる。

ロシア軍の西進は鈍っている。

水平展開(南北への進出)していることは事実だが、ウクライナ側の防御が決定的に破られたという話はない。

100年先のことは分からないが、少なくとも年内に大きな動きはないだろう。

米国は兵器でウクライナを支援し、欧州は経済を支え、ウクライナ国民は犠牲者の足し算と国内リソース(領土を含む)の引き算に明け暮れることになる。

クルスク方面の侵攻がどれ程進むかは分からない。

戦線を自ら拡大し、自軍の戦力を薄く引き伸ばしたことが成功だったかどうかの評価は、この戦争が終わるまで分からないだろう。

終わったところで、明確になるかどうかも怪しい。

タラレバの話は、永遠に続く。

間違いないのは、戦力を引きはがされ、撤退を余儀なくされている東部戦線の兵士の不満だろう。

なーに、心配には及ばない。

彼らもやがては戦線を離れることになる。

戦死するか、負傷するか、病気になるか。

新たな兵士が補充されるうちはまだいい。

やがては、陣地を畳み、撤退することになる。

なーに、心配には及ばない。

ウクライナは広大だからな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(対露強硬派のチェコ大統領がウクライナ領土の占領容認論 「一時的に一部が」)
https://www.sankei.com/article/20240924-ZOSSAIFOHNPUFFLPB54ATJWGXU/

「パベル氏はロシアによる一時的な領土支配の例は「数多くある」と述べた。一方で同紙は、1940年に当時のソ連に併合されたバルト3国の独立回復は、半世紀後の91年だったと指摘」(同紙:NYT)

クルスクの話ではないけど、バルト3国は50年間ロシア(ソ連)占領下におかれた。

浮沈子は、この戦争(ウクライナ紛争)を欧州大戦争の一局面と見ているから、この話はチェコにとっても他人事ではないだろう。

「パベル氏は軍出身で、北大西洋条約機構(NATO)軍事委員会の議長を務めた。」

パベル氏は、そのことを皮膚感覚で分かっているに違いない。

(チェコ大統領、ウクライナは目標と支援について現実的になるべきだ)
https://grandfleet.info/us-related/czech-president-ukraine-should-be-realistic-about-goals-aid/

「軍事的にロシアの敗北もウクライナの敗北も決して起こらないし、両国が掲げる目標の上限も達成できるとは期待できない」「だからこそ戦争はその間で終結することになるはずだ」

「ウクライナへの武器供給を止めれば自然に和平がやって来るというのは浅はかだ」「防衛分野や安全保障分野の経験、さらにロシアをよく知っている者の立場から言えば、仮に停戦を宣言しても和平はやって来ないしロシアは軍事活動を停止しない」

うーん、ではウクライナへの支援を継続すれば、和平はやってくるかといえば、そうではないだろう。

ウクライナが支援の限界、つまり、対ロシア戦力の限界を自覚し、妥協的になったとしても、おそらくロシアは軍事活動を停止することはないだろう。

目的は、ウクライナの支配だけじゃないからな。

「戦争を止めるかどうか、領土の一時的な喪失を受け入れるかどうかはウクライナ人が決めることで他人が指図してはいけない」(ブログ管理人)

「仮に戦争継続を選択しても「それを支える援助に応じるかどうか」も強制できない」(同上)

複雑怪奇なダイナミズムで動いている欧州は、白か黒かの米国とは異なる。

まあ、米国も、ずーっとグレーだけどな。

ウクライナに決定的な勝利を与えず、かといって敗北もさせない。

生殺し状態が続いている。

そして、たぶん、欧州全体に対しても、同じようなスタンスで臨むことになるんだろう。

欧州の20パーセントくらいはロシアにくれてやるつもりなのかもしれない。

で、米国はNATOから離脱。

東欧諸国はロシアに併合。

パベルが、そのころまで健在かどうかは知らないけど、「設定する目標と得られる支援について現実的になる」ことができるかどうかが問題だな・・・。