kfujitoの徒然（ｂｙ浮沈子）

欧州大戦争：ウクライナ戦線：米国の一歩


（ロシア外務次官「米国がまず行動を」、関係改善に向け要求）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/VDDYNEEQO5IIBOG4ZS7L34HBCU-2025-02-06/

「失策と政権交代を踏まえ、相互尊重と平等な権利に基づいて関係を正常化するための第一歩を踏み出さなければならないのは米国だ」（ロシアのリャブコフ外務次官）

で、米国が踏み出した一歩はこれだ。

（トランプ政権、オリガルヒ制裁作業部会を解散　麻薬組織への対応重視）
https://jp.reuters.com/world/security/DIMLM25QZFMGLN2SP6TKODA6ZQ-2025-02-07/

「米国のトランプ政権は、ロシアのウクライナ侵攻を受けてロシアのオリガルヒ（新興財閥）の制裁逃れを摘発する作業部会「クレプトキャプチャー（窃盗犯の逮捕）」を解散すると発表」（ボンディ司法長官）

「就任初日の５日に明らかにした。」

「ロシアのプーチン大統領に近いオリガルヒを資金面で圧迫することを目的」

「今回の措置は少なくとも９０日間有効で、その後、更新されるか恒久化される可能性」

「トランプ大統領はロシアとの関係改善に意欲」

ロシアにとっては、特にプーチンにとっては嬉しいプレゼントだろう。

国家は正義では動かない。

プレゼントで動く（そうだったっけえ？）。

まあいい。

（ゼレンスキー大統領「トランプ氏の公式終戦計画はまだ」…米国、ウクライナ協議体関与後退か）
https://japanese.joins.com/JArticle/329610

「多様なメディアから出ている内容は、トランプ氏の公式的な計画ではないと確信する」（ウクライナのゼレンスキー大統領：６日（現地時間））

うーん、つまりは、ちゃんと教えてもらっていないということなわけだ。

「この日、ロシア当局は米国と終戦案関連の議論が進行中という事実を初めて公式的に認めた。」（この日：２月５日）

ロシア当局が、ゼレンスキーの発言を察知していたのかどうかは知らない。

つんぼ桟敷に置かれているぞという冷ややかな対応だな。

「米国はしっかりとした信頼できる計画を保有している」（トランプ氏のウクライナ・ロシア特使キース・ケロッグ氏）

「ロシア現地メディアはロシアのプーチン大統領とトランプ氏がウクライナ終戦などを議論する首脳会談を近く行う予定だと報じた。」

「ケロッグ氏は今月下旬にウクライナを初めて訪問してゼレンスキー氏と会う予定」

プーチンと会うのはトランプで、ゼレンスキーと会うのはケロッグか・・・。

日程の問題、役者の問題、そして、話し合いの中身の問題。

「トランプ政権はバイデン前政権が設立した多国籍ウクライナ支援協議体の座長を英国に譲る計画」（NYT）

「ヘグセス国防長官は１３日にベルギー・ブリュッセルで開催される「ウクライナ防衛連絡グループ」（ＵＤＣＧ）会議に出席するが、会議は主宰しない」

「ウクライナ追加支援に否定的なトランプ政権が支援協議体の座長から退けば、今後の米国のウクライナ支援は不透明になる」

まあ、そうだろうな。

「私は明確な平和計画構想を持っている」「ウクライナと米国が協力して平和計画を用意するだろう」（ゼレンスキー大統領）

一体、どうやって？。

米国の腰が引けている姿は、見ていて呆れるほどだ。

（駐米ウクライナ大使、米大統領補佐官と初会談　「徹底した議論」）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/7T432MQSJRKHLHV3MCUODO3CDU-2025-02-07/

「ウクライナは新政権との緊密な関係構築を模索」

「ウクライナのゼレンスキー大統領は今週、イェルマーク大統領府長官がウォルツ米大統領補佐官（国家安全保障担当）と話し合ったほか、自身のチームがケロッグ氏と対話したと述べた。」

うーん、それでも教えてはもらえず、緊密な関係は「模索」しているだけで構築できないでいるわけだ（そういうことかあ？）。

先日には、こんな記事も出ている。

（ロシア、トランプ氏の発言歓迎　ウクライナのＮＡＴＯ加盟巡り）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/TITAEJT4YVJX3KCN3ZB4BFFBYY-2025-02-05/

「突然、初めてトランプ大統領が最初の演説の１つで、ウクライナ危機に関するバイデン政権の立場を批判し、ウクライナをＮＡＴＯに引き込んだことが大きな過ちの１つだと単刀直入に語った」「米国が真剣に議論する用意があるものとして、ＮＡＴＯの問題が初めて認識された」（ロシアのラブロフ外相）

大歓迎だな・・・。

例によって、佐藤優氏は単刀直入に切り込んでる。

（【#佐藤優のシン世界地図探索95】トランプのウクライナ停戦は『かぐや姫』のような話？）
https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2025/02/07/125992/

「和平を結ぶには結局、プーチンが了承しないといけませんからね。」

「トランプとプーチンの腹づもりが同じ方向性にならないと決まりません。」

「残ったウクライナをどのように整理するかが問題」

「ウクライナのNATO加盟は絶対にありません。」

「アメリカの参戦だけでなく、ヨーロッパ全域が戦争に巻き込まれます。それを望んでいるのはポーランドくらいです。」

いやあ、この辺の認識は大胆だな・・・。

戦争の展開についてもバッサリだ。

「左岸は全て取るでしょう。」

「その前に白旗を上げれば別です。だから、ウクライナがいつ手を上げるか、そのタイミングだけ」

「ウクライナには自分たちで停戦を決断する能力はありません」

「アメリカが「白旗を上げろ」とウクライナに告げた時」

ロシア側の都合（占領地経営の均衡点）もあるようだが、そこは割愛する。

「ウクライナが攻めてきている間は止められません。いまはウクライナが弱くなり、十分に抵抗できない状況になっていますが、最後はやはり「アメリカがそこで終わりと思ったら」ということになると思います。」

ガブリエルのラッパを吹くのは米国ということなわけだ。

停戦後のウクライナ統治がどうなるのかは見通せない。

米国の思惑としては、とにかく「選挙」の実施というのがポイントになっている。

「教えた通りに戦え」「最後のひとりまで戦うんだ。アメリカの価値観のために」

バイデン政権が画策したロシア衰退のシナリオは潰えた。

NATO加盟を夢に見つつ、西側勢力を味方に付けて戦い続けたウクライナの独立戦争は終わる。

あーっ、いや、まだ分からんけどな。

「ウクライナが攻めてきている間は止められません」（再掲）

（スジャ方面でウクライナ軍が新たな攻勢、ロシア軍の防衛ラインを突破）
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-forces-launch-new-offensive-in-suzha-region-break-through-russian-defense-line/

「ウクライナ軍は我々の防衛ラインを突破した」「ロシア軍支配地域がウラノク方向に後退した」（ロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR）

（ウクライナ軍が東部戦線でも反撃、ロシア軍はポクロウシクとクラホヴェで後退）
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-forces-counterattack-on-the-eastern-front-as-russian-forces-retreat-in-pokrovsk-and-krahove/

「ウクライナ軍がポクロウシク方面とクラホヴェ方面で反撃を実施した」「ロシア軍はkm単位の後退を余儀なくされた」（ロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR）

「この日のロシア軍は「獲得した領土」よりも「失った領土」のほうが大きく、ウクライナ軍にとって久々に良い1日だ。」（航空万能論ブログ管理人）

本当にそう言えるのかどうか、浮沈子的には疑問だ。

その領土の獲得や喪失のために、多くの犠牲が払われている。

「ウクライナ軍が東部戦線でkm単位の反撃を行うのは非常に珍しく、しかもロシア側が「荒野ではなく占領された集落の奪還に動いている」と報告するのは初めてかもしれない。」（同上）

「この日のロシア軍は「獲得した領土」よりも「失った領土」のほうが大きく、こんな逆転現象は2023年夏以降に1度も見たことがない。」（同上）

ただし、これらの評価には留保がついている。

「この変化はドラパティ陸軍司令官がホルティツィア作戦･戦略グループの司令官に就任した結果なのか、偶然の産物なのかは不明」（同上）

クルスクでも更なる反撃が観測されている。

「ウクライナ軍が我々の防衛ラインを5kmも突破してしまった」「敵は現在もチェルカスカヤ･コノペリカとファナセエフカに存在する」「新たな攻撃準備の兆候も報告されている」「最大350人の兵士と最大50ユニットを擁する敵部隊が最大5kmの深さまで我々の防衛ラインを突破した」「敵は主要目標のウラノクにまだ到達出来ていない」「この過程で多数の人員と装備を失ったものの確保した範囲の陣地強化を始めている」「南からスジャにアプローチするためのマフノフカが遠くなった」「ウクライナ軍がスジャを保持できる時間が伸びた」（ロシア人の複数のミルブロガー）

「今すぐ和解し、このばかげた戦争をやめろ！」。

トランプの叫びが聞こえそうな気がする（2023年1月22日のSNSへの投稿だそうです）。

ウクライナの人前が立ち、欧州大戦争への発展が阻止され、長期に渡る平和が訪れることが何より重要だ。

領土でも、兵器でも、弾薬でも、正義でも、独立でも、ましてレジャーランドでもない（ガザの米国占領はホントに実現するのかあ？）。

今月、トランプとプーチンは平和に向けての一歩を踏み出すだろう。

佐藤氏の見立てでは、そこに欧州を絡ませないことが重要（ロシアにとって？）としているけど、それで安定した平和が維持できるのかどうかは分からない。

この３年間は一体何だったのか。

浮沈子的には、ウクライナが白旗を上げる前に、トランス二ストリアに越境すると見ている。

そう簡単に降伏出来ないだろう。

最後の一暴れをしなければ、収まらないに違いない。

もうこれ以上、戦っても得るものはないとウクライナが納得するまで戦わせるかもしれない。

それは残酷な仕打ちだ。

浮沈子には、少なくとも今はそう映るけどな・・・。

＜以下追加＞ーーーーーーーーーー

（米が戦争終結案説明と報道、14～16日の安全保障会議で　特使は「来週発表できない」と否定）
https://www.sankei.com/article/20250207-IHZS7DXPCZPEPO3327QMWY6V3M/

「ケロッグ氏は米ニュースマックス・テレビのインタビューで「来週は発表できない」と述べ、報道を否定」（米ニュースマックス・テレビのインタビュー）

「ロシアのウクライナ侵攻を終わらせる計画を14～16日開催のミュンヘン安全保障会議で各国に説明すると報じた」（ブルームバーグ通信）

どっち！？。

ロシアに停戦を呑ませるための舞台裏での調整が難航しているのではないか。

（ウクライナは米国からの紛争終結計画を待ち、ゼレンスキー大統領の肩に再び圧力がかかる）
https://www.vietnam.vn/ja/ukraine-cho-doi-ke-hoach-cham-dut-xung-dot-tu-my-ap-luc-lai-de-len-vai-tong-thong-zelensky

「キエフ・インディペンデント紙によると、ウクライナ紛争を終結させるための米国の計画は、2月14日から16日まで開催されるミュンヘン安全保障会議で発表される予定」

「しかし、ウクライナとロシア担当の米国大統領特使キース・ケロッグ氏はこれを否定し、ドナルド・トランプ氏が最初にこの計画を導入するだろうと断言したが、具体的な時期については明らかにしなかった。」

うーん、どうやら、来週末の発表はないような雰囲気だな。

しかも、トランプ大統領直々の発表になるという。

ひょっとするとひょっとして、とても、とてもとても、とてもとてもとても、ケロッグの口から発表できる内容ではない、ということなのかも知れない（なにそれ？）。

つまりだな、ウクライナにとって決定的な内容を含むことになるわけだ（そうなのかあ？）。

一つ気になっているのは、ゼレンスキーがミュンヘン安全保障会議に参加することだ。

（ウクライナ、今月の米ケロッグ特使の訪問に期待＝大統領府長官）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/O3EIZZJ37RKYDIHMHUDK662PWA-2025-02-07/

「イェルマーク氏は６日、ＡＰ通信に対し、ゼレンスキー大統領がミュンヘン会議に出席すると明らかにした。同会議にはバンス米副大統領も出席する予定。」

ミュンヘンで発表しないということはだな、ロシアとの内容の調整が先だということなわけだ（そういうことかあ？）。

いや、既に、ウクライナとの調整が済んでいるということなのか。

まあ、調整も何も、米国が白旗掲げろと言ったら、その通りにするしかないわけだからな。

本当のところは分からない。

停戦の外交交渉は、双方が腹の探り合いを繰り返す。

特に、ドンパチ続けるメリットが大きいロシアを説得するのは大変だ。

＜さらに追加＞ーーーーーーーーーー

（トランプ氏、ウクライナ大統領と来週会談の見通し）
https://jp.reuters.com/markets/commodities/R4HN3YHSLBPMNOMOPO6KSXVE4I-2025-02-07/

「ゼレンスキー大統領と来週会談」

おっと、さきにこっちかあ？。

「ロシアのプーチン大統領とも会談したい」

うーん、どっちが先かが重要なんだがな。

（米はウクライナと先に首脳会談を）
https://nordot.app/1260675923825705845

「トランプ氏とロシアのプーチン大統領の会談よりも先に実施することが重要」（ウクライナのゼレンスキー大統領）

浮沈子も、そこのところは注目している。

米国のスタンスがある程度明らかになるからな。

しかし、問題は中身だ。

何が話し合われ、何が話し合われないかが問題だ。

そもそも、話し合いなのか、一方的な通告なのかということもある。

軍事支援の規模、期間、具体な中身、NATO加盟の扱い、それに代わる安全保障の中身、米国の戦後の関与、エトセエトセ・・・。

＜さらにさらに追加＞ーーーーーーーーーー

（ウクライナ大統領との会談調整　来週にもワシントンで―トランプ米大統領）
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025020800128&g=int

「両政府が実務レベルで詳細を詰めている」「今後数週間は外交が非常に集中する可能性がある」「この時間を生産的なものにするため必要なことをする」（ウクライナのゼレンスキー大統領）

おっと、水面下での調整は行われているようだ。

ロシアを交渉に引きずり出す譲歩をウクライナに呑ませることが出来るのか、それともプーチンの罠にまんまとハマり、白旗を掲げるまで戦い続けることになるのか。

トランプが停戦を望んでいることは間違いないし、本人も繰り返しそう表明している。

（トランプ大統領、来週にもゼレンスキー大統領と会談へ…「もう終わりが見たい」）
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250208-OYT1T50040/

「トランプ氏は、「もう終わりが見たい」と語り、ロシアによるウクライナ侵略の早期終結を目指す方針を改めて強調した。」

どんな終わり方をするのかが死活的に重要だ。

下手をすると、米国の支援が断たれ、欧州が受け皿となる前に、ロシアが停戦を破って戦闘が再開されるかもしれないし、その時にNATOがぼーっとしていると欧州大戦争がおっぱじまる可能性だってあるからな。

停戦のプロセスとスキームは、十分調整して丁寧に行う必要がある。

早けりゃいいってもんじゃないだろう。

停戦は、新たな戦闘の前提となってはならない。

バイデン政権下では、それを恐れて何度もその機会を逃してきた。

ウクライナの継戦能力は、米国が支援を断てば失われるけど、ロシアの継戦能力は温存され、停戦によって蓄積増強され、欧州にとっての脅威が増大するという構図は変わらない。

トランプが掲げる米国一国主義は、欧州の扱いを誤るリスクを孕んでいる。

ロシアは、その危うさを梃子にして、新たな緊張緩和（デタント）を仕掛けてくる可能性が高い。

それは罠だ。

その罠に、トランプはまんまと落ちる。

原則なきディールは、短期の問題解決には効果的だろうけど、その先にある長期的リスクを抱え込む恐れがあるからな。

ロシアは１００年先を見て交渉を進める。

いきなり欧州大戦争というドンパチで攻め込むのか、デタントで欧州を弱体化させるワンクッションを挟むのか。

ロシアにしてみれば、バイデンが仕掛けた攻撃を辛うじて凌いだ格好だが、いつ再び仕掛けられないとも限らないからな。

逆に、平和攻勢を掛けてくる可能性は十分にある。

NATOとの対立は望まないとか、ロシアに欧州侵略の意図はないとか、ああだとかこうだとか・・・。

んなこたぁ、絶対にない（断定的！）。

ウクライナの併合に成功すれば、バルト３国やトランス二ストリア、場合によってはフィンランドにも手を伸ばしてくることは間違いない。

柳の下の次の獲物はどこになるのか。

NATOは、既に死に体だ。

英仏独伊は手も足も出ないだろう（せいぜい指先くらいか）。

ウクライナの停戦合意の先に何があるのか。

ドンパチを早期に収めることは重要だ。

浮沈子的には大賛成だ。

が、新たな火種を抱えないように配慮することも大切だろう。

トランプの停戦案が、どういう中身になっているのかは知らない。

それは、ひょっとするとウクライナの未来より、遥かに重要かもしれない・・・。