宇宙の電動ターボ2017年01月30日 03:11

宇宙の電動ターボ
宇宙の電動ターボ


ボディは炭素繊維強化プラスチック製。

エンジンには、電動ターボが付いているといえば、自動車好きの浮沈子としては、アウディの新型スーパースポーツでも出たのかと思うところだ。

(Rocket Lab)
https://ja.wikipedia.org/wiki/Rocket_Lab

「2014年7月にElectronと称する炭素繊維強化プラスチック製のロケットで110キログラム (240 lb)のペイロードを1回毎の打ち上げ費用をUS$500万ドル未満で打ち上げると発表した。」

(Rocket Lab: バッテリーパワーによる新方式の液体ロケットエンジンを発表・コストは従来型の10分の1)
http://www.businessnewsline.com/news/201504220235060000.html

「このRocket Labのエンジンの場合、ターボポンプをリチウムバッテリーの電力を使って電気モーターを使って駆動させるという方式を採用」

ちょっと古いが、纏まった記事があった。

(Rocket Lab: the Electron, the Rutherford, and why Peter Beck started it in the first place)
http://www.spaceflightinsider.com/missions/commercial/rocket-lab-electron-rutherford-peter-beck-started-first-place/

「It's fueled by liquid oxygen and RP-1」

ケロシン系の燃料で、ファルコン9などと同じものだ。

しかし、こんな記事があって驚く。

(世界初の「3Dプリントロケットエンジン」ニュージーランドのRocket Labが開発)
http://nge.jp/2015/05/07/post-102935

「同社によると、“Electron”は使用する液体燃料の量を著しく少なくすることに成功。衛星が地球の軌道上にたどり着くまでに、航空機がロサンゼルス~サンフランシスコ間で使用するのと同程度の燃料しか必要としないという。」

航空機の大きさにもよると思うんだがな。

まあいい。

2段式ロケットで、直径1m、長さ(高さ?)20mと紹介されているので、我が国が誇るSS520の約2倍の大きさだな。

本当に490万ドルで上がるなら、比較的割安ということになる。

なにしろ、SS520は、軌道投入できないのに、同じくらいの金額を太平洋に捨ててきたわけだからな。

別に、4号機のことを言ってるわけではない。

観測ロケットだから、結果的に捨てることになるだけの話だ。

このラザフォードと名付けられた電動ターボ付ロケットエンジンの実装(配置)は、画像のように花びら型になっている。

オクタウエッブと呼ばれている、ファルコン9バージョン1.1以降の配置と同じだ。

9基のエンジンが取り付けられているさまは、さながらミニファルコン9といったところか。

素材については、使い捨てのくせに、贅沢なのを使ってるな。

軽量化のためということで、液体酸素タンクも複合材料らしいが、大丈夫なんだろうか?。

それほど、キンキンに冷やさなければ大丈夫なんだろう(たぶん)。

公式ホームページの動画には、このエンジンの燃焼試験の様子が出ている。

(Rocket Lab’s Rutherford Engine Qualified for Flight:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=Ngvow6egisg

リンク先のユーチューブの映像を見ると、安定して燃えてる感じだな。

2分38秒(148秒)くらい燃えている。

もうちょっと燃やしてほしいんだがな。

まあ、どうでもいいんですが。

多くの記事では、今にも飛びそうなことが書いてあるが、早くても2017年ということになった。

米国で飛ばすには、FAAの許可とかややっこしいんだろう。

ニュージーランドは、比較的あっさり認めるようだな。

ロケットは、エンジンだけで飛ぶわけじゃないから、開発は難航するかもしれない。

観測ロケットを飛ばしてきた実績はあるから、SS520のようなもんだろう(今度は、4号機とのガチ比較になるのかあ?)。

100kgの衛星を太陽同期軌道に入れることが出来るなら、上等な性能だ。

電柱ロケットが3kgとか4kgとかだから、少なくとも25倍の性能があることになる。

それを同額で実現しようというのだから、大したものだ。

しかも、全部民生品だしな(そうなのかあ?)。

ニュージーランドの打ち上げ環境は、緯度的にはあまり嬉しくない。

クライストチャーチの緯度は、南緯43度くらいだ。

我が国も、中緯度で頑張っているわけだから、応援したくなるな。

このロケットのことは、鳥嶋さんの記事にも出ていた。

(2017年の宇宙カレンダー)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/01/19/8326527

「国的に注目したいのは、ニュージーランドが登場しているということだろう。
ニューカマーだな。
国家バックではないので、宇宙の民営化という観点からも光が当てられている。」

(2017年の宇宙開発、ここに注目 - 新型ロケットや探査機の活躍が目白押し)
http://news.mynavi.jp/articles/2017/01/13/aerospace2017/

「未定: 小型ロケット「エレクトロン」、初打ち上げ:
近年、世界各国で小型衛星打ち上げ専用の小型ロケットの開発が盛んになっているが、そのなかで現在最も開発が進んでいる、ニュー・ジーランドに本拠地を置くロケット・ラボが開発した「エレクトロン」ロケットの打ち上げが迫っている。」

「エレクトロンは全長17mで、太陽同期軌道に150~225kgほどの打ち上げ能力をもつ。機体の全体に炭素繊維複合材料を使った先進的な設計をしており、また世界で初めて電動ポンプ式のロケット・エンジンを採用している。」

「すでに2016年末にはエンジンや機体の開発が終わり、発射場も完成。早ければ今年前半にも打ち上げられるという。」

ちょっと大きさや性能が違うけど、その辺は誤差のうちなのかも。

電動ターボエンジンが、アウディだけじゃないということは分かった。

(【動画】世界初の電動ターボがよくわかる! アウディがSQ7のアニメーション映像を公開)
http://levolant-boost.com/2016/03/10/7181/

ロケットとは関係ないが、ついでにリンクを貼っておく。

「一般的に、ターボ車は強力な加速を演出する魅力を持つ一方で、多少なりともターボラグを生じがち。まさに諸刃の剣であることはよく知られているが、新型アウディSQ7が搭載したEPCは、まさにターボの欠点を克服した画期的なソリューションといえる。」

ロケットの場合は、燃料や酸化剤を送るための必須の仕掛けだ。

自然吸気などという生ぬるい供給では到底追いつかないし、宇宙空間ではそんなものは元からない。

強制的かつ強力に押し込んでやらなければならない。

従来は、ノズルを冷却したガスを使ってタービンポンプを回したりしていたが、電動になれば、そういう配管は省略できるし、それこそ電子制御してエンジン特性を微調整することも出来る。

燃焼のコントロールも簡単にできるというわけだ。

リチウムポリマーを使っているらしいが、宇宙用としての実績については良く知らない。

まして、大電流を流す動力系に使おうというわけだから、実績はこれからというところか。

5分くらい持ってくれればいいわけだからな。

その後は、爆発するなり火を噴くなり、好きにしていい!(そうなのかあ?)。

ちょっと、その辺りも興味がある。

ニュージーランド議会の動向もあるけど、早ければ、今年前半に打ち上げになるらしい。

しかし、ニュージーランドかあ。

伏兵だな。

まあ、国家レベルの話とは違うけどな。

それがまた、21世紀らしくていい。

政府とは異なるレベルで、宇宙開発が加速している。

ISSも、先々民間に売り飛ばされるようだしな。

我が国のきぼうユニットは、区分所有とかになるんだろうか?。

そんでもって、大家さんであるボーイングに、家賃(共益費?)払ったり、電気水道代払ったりするんだろうか?。

冷戦後、国際協力の象徴だったISSも、商売のネタとして使われるようになるわけかあ・・・。

ビゲローとかが、ホテルコンパートメント接続して、毎晩飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎになるわけだな。

うーん、みんな宇宙酔いになっちまうから、安上がりでいいかもしれない・・・。

延期に次ぐ延期2017年01月30日 12:15

延期に次ぐ延期
延期に次ぐ延期


スペースXの打ち上げ予定が延期され続けている。

当初、1月中といわれたエコースター23の発射は、2月3日になったと報道されたが、さらに延期されて2月中旬になる見込みだ。

(SpaceX Delays First Flight From NASA Shuttle Launch Pad)
http://www.seeker.com/spacex-launch-rocket-nasa-space-shuttle-pad-florida-2224282842.html

「Preliminary schedules show that launch targeted for Feb. 15.」

ということは、ISSへの輸送から数日で打ち上げることになる。

(SpaceX CRS-10)
https://en.wikipedia.org/wiki/SpaceX_CRS-10

「Launch date Planned: 8 February 2017」

こっちの日程が優先だからな。

やむを得ない。

同じ射点(39A)から上げるわけで、タイトなスケジュールになる。

まあ、3日に上げてから8日に上げるのに比べれば、緩くなったわけだ。

毎週、ロケットを打ち上げないと、スペースXはスケジュールをこなせない。

その観点からも、去年の9月1日の爆発は痛かったということになる(射点はケープカナベラルSpace Launch Complex 40 (SLC-40) )。

ここを直すよりも、39Aの改修を優先したようだ。

今回のエコースターは、静止軌道だからな。

バンデンバーグから上げるわけにはいかない。

ISSへの打ち上げはどっからでもいいんだろうが、まあ、相手がNASAだからな。

お役所の都合で、どこでもいいというわけにはいかないんだろう。

まあ、どうでもいいんですが。

エコースター23の打ち上げに注目しているのは、この打ち上げが1段目を使い捨てにする最後の打ち上げになるかもしれないからだ。

衛星の重量と軌道の関係で、どうやらドローン船への回収は無理らしい。

それが、例のキンキンに冷やし過ぎて爆発したタンクの影響なのかどうかは分からない。

逆に、ブロック5が登場すると、毎回1段目の回収を見せつけられるわけで、1段目使い捨ての打ち上げは見られなくなる。

貴重な打ち上げなわけだ(そうなのかあ?)。

もう、そういう時代に現実になったわけだ。

ついこの間までは、再使用ロケットなんて、夢物語、空想科学小説というか、アニメの世界だと思っていたのが、これからはそれが新しいスタンダードになろうとしている。

コスト的に十分低減されるのかについては、いささか疑問が残るが、その見通しがあるからこそ、困難な着陸を実現したんだろう。

もちろん、コストが下がったからといって、スペースXが値札を下げるとは限らない。

商売だからな。

アットーテキな競争力の中で、他社よりちょっとだけ低い値段でガッポリ儲けるというのが正しい。

いくら安くできるといっても、世界中の打ち上げを独占できるわけではないからな。

出来ちゃうのかな。

やりかねないな。

イーロンマスクは、テスラの開発で、内燃機関で走るクルマを、地上から一掃すると言ってるようだしな。

トヨタと袂を分かつことになったのも、ホントはそれが原因じゃないのかと浮沈子は思ってるんだがな。

まあいい。

ロケットの打ち上げは、まだまだ国家が絡む事業だ。

中国の軍事衛星をファルコンが上げるわけにはいくまい。

アリアンだって、黙っちゃいないだろう。

ロシアも、安いロケットを作ろうとしているしな。

インドとかが力をつけて来たら、ちょっと脅威だ。

それでも、国策としてのロケット開発というのは、暫くは残る。

軍事技術ということもあるしな。

しかし、そんな事情にはお構いなく、ファルコンによる価格破壊は続いていくだろう。

3割、4割引きは当たり前(どっかで聞いたような)。

1基数億円のロケットエンジンを束ねて、使い捨てにしてしまうコンセプトでは、どうやっても太刀打ちできない。

2段目の再使用という宿題もある。

浮沈子的には、是非とも実現してもらいたい話だが、かなり難易度は高い。

ファルコンヘビーが上がるようになれば、2段目の搭載燃料も増やせるし、そうすれば回収への道筋も付けやすくなると思ってるんだがな。

完全再使用ロケットは、まだまだ先の話だ。

2段目は、当分使い捨てにならざるを得ない。

つーことは、あれだな、別にエコースター23の打ち上げは、特別でも何でもないのかもしれない。

いやいや、ファルコンの完全「不再使用」ロケットの見納めになるわけだから、やっぱ見逃すわけにはいかないな。

うーん、なんかややっこしい話だ・・・。