🚀アルテミス:月軌道ステーションの危機2025年04月15日 19:52

アルテミス:月軌道ステーションの危機


(月面ゲートウェイの骨組みが完成 ― 次の目的地はトランプ大統領の解体台になるかもしれない)
https://arstechnica.com/space/2025/04/heres-the-latest-on-nasas-lunar-gateway-a-program-many-people-want-to-cancel/

「NASAが月に恒久的な前哨基地を望むなら、なぜ月面に置かないのでしょうか?」(そうだそうだ!!)

「スターシップとブルーオリジン社が製造するNASAの2番目の月面着陸船は、月面に到達するためにゲートウェイのような前哨基地にドッキングする必要はありません。」(自動翻訳訂正済み)

「ゲートウェイは不要であるだけでなく、NASAの目標の妨げ」

「国際的なパートナーはゲートウェイの開発と建設の費用の約60%を負担」

「ステーションの運用と補給もNASAが担う」

うーん、必ずしもお得な取引というわけではないようだ。

「第2期トランプ政権下では月と火星のバランスが変化する可能性があり、ゲートウェイがNASAにとってどれほどの価値を持つのかという不確実性はさらに高まる」

「ゲートウェイは私たちにどんなチャンスをもたらしてくれるのでしょうか?そして、課題はどこにあるのでしょうか?ゲートウェイは、予算超過やスケジュール遅れに陥っている多くのプログラムの一部であると考えているからです。」(ジャレッドアイザックマン:NASA長官候補)

HALOモジュールとPPEモジュールの建造は進んでいるようだが、いくつかの問題が残っている。

・PPEのスラスターは納入試験中
・通信システムはこれから納入
・質量管理問題は当面棚上げ(推力の範囲に収まるかどうかは未定)
・スターシップのような巨大訪問機がドッキングした際の制御性は未解決(改善はされているようですが)

で、前述のように、予算と納期の問題があるわけだな。

やれやれ・・・。

ルナゲートウェイなんていらないんじゃね?。

月面に降り立ったなら、そこから飛び立つ必要があり、そのためには燃料を用意しなければならない(空気や水や食糧も)。

月軌道ステーションなら、地球から持って行った燃料だけで帰ってくることが出来る(未確認:短期滞在なら可能かも)。

つまり、有人月探査は3つに分かれる。

➀月周回軌道(自由帰還軌道含む)まで
➁ルナゲートウェイ(NRHO:Near Rectilinear Halo Orbit)滞在
➂正真正銘の月面探査

自由帰還軌道や、月軌道を何周か回って帰ってくるというミッションがあってもいいかも知れない(➀)。

目的地としては、やっぱ月面まで行きたい(➂)ところだが、周回軌道上のルナゲートウェイまで(➁)でもいいや・・・(そういうことかあ?)。

毎回月面まで行くというのは辛いものがあるからな。

米国は、自由主義陣営の国々のお客さん(宇宙飛行士)を、月周回ツアーと月面着陸ツアーに振り分けることになる。

バリエーションとして、ルナゲートウェイに滞在するというプランがあればなおいいだろう(➁)。

そうすることで、ISSで地球低軌道で展開したように、有人宇宙開発の盟主でいられるわけだ。

そこは、ほれ、政治的な動機なわけだから、どんだけ貢献したかによって色分けされるということになる。

ルナゲートウェイは、必ずしも無用の長物ではないかも知れない・・・。

滞在期間の延長とか、そういうバリエーションも付けられるしな。

ISSでもそうした対応は行われたが、384,400kmの彼方と400kmとでは、アットーテキな距離感の違いがある(961倍)。

ルナゲートウェイを維持するということになれば、ロジ(輸送)が重要になるわけだが、我が国はそこへの貢献も求められるに違いない。

月面着陸ということになれば猶更だ。

有人月面基地なんてのは、夢のまた夢だろう(そうなのかあ?)。

まして、そこに人類を常駐させることは、おそらく今世紀中には不可能だ。

火星は、更にその先にある(最も近い時でも5,500万km:月までの距離の143倍、ISSまでの距離の137,500倍)。

べらぼーめ・・・。

その距離を移動するリスク、その間に受ける放射線や無重力のリスク、宇宙船の故障、人間関係のトラブル、その他ありとあらゆる障害が横たわり、しかも、たどり着く先にあるのは楽園などではない!。

火星は、人類にとっては地獄そのものだ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

アイザックマンは、おそらくルナゲートウェイを切るだろう。

周回だけして帰ってくるだけでも、ツアーは成り立つ。

月面に降り立つだけなら、月軌道上の拠点は必要ない。

元々、常駐を前提にしていないわけだし、ぶっちゃけ、無用の長物だ。

あれば、それに越したことはないけど、なくてもいい。

最大の問題は、そこへ観光客をどうやって運ぶかという話になる。

もう、アルテミスの中でSLSとオリオン宇宙船は飛ばない(あと2回でお終い)。

アルテミス4以降はキャンセルになる。

スターシップとニューグレンを有人化していくしか道はないのだ。

それは、早くても2030年代になる。

2020年代の後半は、寂しい時代になるんだろうな・・・。

🚀スターリンク:世界を変える衛星インターネット2025年04月15日 13:22

スターリンク:世界を変える衛星インターネット
スターリンク:世界を変える衛星インターネット


(マスクの野望を支える「衛星インターネット」事業の未来が危うい)
https://forbesjapan.com/articles/detail/78464

「スターリンクの将来性が、投資家が想定しているほど高くないかもしれない」

・衛星には人口密集地域で多数のインターネット利用者を同時にカバーする能力がそもそもなく、過疎地域においては高額な料金を支払える人口が限られている。

・まだアフリカやアジアの多くの国でサービスを開始していないが、これらの地域では既存市場よりも富裕層が少ない。

・先進国においては、もはや拡大余地があまり残っていない可能性

・ジェフ・ベゾス率いるアマゾンなども競合サービスの立ち上げの準備を進めている。

一見すると、もっともな理由に思える。

技術的限界と市場が限られている点については、確かに懸念材料と言える。

が、やや疑問も感じる。

そんなに将来性がない市場に、なぜ、ライバルは参入しようとしているのか。

しかも、コスト効率ははるかに悪い(自前の打ち上げロケット無いしな)。

「打ち上げ予定のV3衛星によって、データ送信能力を既存の第2世代衛星の10倍にしようとしているが仮にそれによって1平方キロあたり10人にサービスを提供できるようになったとしても、都市部で対応できる顧客数は限られる。例えば、人口が800万人強のニューヨーク市で、スターリンクが対応可能なのはせいぜい7000世帯程度だという。」

支払い能力がある顧客が都市に集中し、そこでは技術的限界から顧客数を伸ばせないという構造は、確かに懸念材料だ。

が、ちょっと待って欲しい。

その、潜在的顧客は、なぜ都市に住んでいるのか。

労働集約的業務をこなす点では、確かに労働力を確保する点で都市が好ましいけど、インターネットによる通信革命でその状況は大きく変わりつつあるのではないのか。

「スターリンクは、通信会社の大きな脅威になったりしない。それだけは、はっきり明言しておきたい」(2020年の話:コロナの大流行前だからな)

10年後にその状況が大きく変わっている可能性は高いだろう。

しかも、顧客には既存の通信事業者が含まれる。

バックホール回線やバックボーンをスターリンクに上げて、一般の顧客に近いところでのサービスに注力するビジネスモデルを選択するわけだ(バックホール用に専用の帯域を確保したしな)。

それは、既存の通信会社にとっては大きな脅威になる。

スターシップに対する予測も、的を得ているとは言えない。

「スターリンクを除けば、通信衛星の打ち上げ需要はほぼ横ばいのままで、地球観測衛星はそれほど多くの数を必要としない。そして宇宙観光に関しては、打ち上げコストが劇的に下がったとしても、生命維持装置などのコストを考慮すると、1人あたりのチケット代は10万ドル(約1430万円)を超える。「そんな金額を払える人がどれほどいるのか?」」

蒸気機関車(自動車)が登場した時、その前を旗を持った人間が走ったという話を思い出す(赤旗法)。

浮沈子は、宇宙旅行の収益の持続性については同じような懸念を持っているが、輸送手段の革命が状況を劇的に変える可能性は否定できない。

「伝統的な指標をあてはめても意味がないんだ」

正にその通り。

昨日のように明日があるという時代じゃない。

変革は、今日、今、この瞬間に起こっている。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子的最大の懸念は、市場合理性などクソ食らえの中国の台頭だな。

国家の威信を賭けて、スターリンクを凌駕しようとするだろう。

地球低軌道を巡る熱い戦いは始まったばかりだ。

限界だってえ?。

少し、気が早いような感じがするんだがな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(技術の進歩は受け入れるしかないが)
https://wirelesswire.jp/2017/05/59907/

「人類の歴史を振り返ると、大きな技術革新があった時、人類は技術を社会に合わせるのではなく、技術に合わせて社会を変えてきた。技術を封じ込めて、これまでの社会体制を維持しようとする試みはすべて失敗した。」

赤旗法のところで、浮沈子は鉄道と勘違いしていたんだが、蒸気機関を使った自動車だった。

やれやれ・・・。

この記事を読んで訂正した。

「進歩する技術への社会からの抵抗として有名なのは赤旗法だ。イギリスにおいて19世紀後半に施行された法律である。自動車——といっても当時は内燃機関ではなく蒸気機関を使った蒸気自動車だったのだが——は赤い旗を持った者が自動車の前を歩かなければ道路を走ってはいけないとする法律である。そうしなければ自動車は危険であると考えられたのだ。当然、自動車は前を歩く赤旗を持った者以上の速度を出すことはできない。」

「今の感覚からすれば馬車を引く馬のほうがいつ暴走するかも分からず危険に感じる。しかし当時のイギリスでは馬は御者で押さえることができるが、火力を使う蒸気自動車はいつ故障するかも分からず(実際、初期の蒸気機関はよく爆発事故を起こした)、また、周囲の馬を驚かせて暴走を引き起こす危険性があると考えられたのだった。」

新しい技術の登場と、それに対する社会の反応は様々な悲劇(喜劇かあ?)を生む。

浮沈子のように、スマホは自宅でサーバー化され、携帯電話は家電と化している話もある(ワケワカ・・・)。

今日は、出がけに電話が掛かってきて、最近留守電を入れてい頂いていた銀行のご担当の方と、やっとお話しできた(携帯、持って出ればあ?)。

やれやれ・・・。

以後は、メールでのやり取りをお願いしておいた。

まあ、どうでもいいんですが。

都市部にすむ浮沈子は、低軌道衛星コンステレーションによるインターネット接続とは無縁だ。

スターリンクはあくまでブログネタに過ぎない。

山奥で異なるアーキテクチャのスマホ持ちとばったり会っても、スマホを持ち歩かない浮沈子は例のミッションにも対応できないしな(相手の方には、メールに添付して送って欲しいと頼んでアドレスを登録してもらうのがせいぜいだろう)。

「技術を封じ込めて、これまでの社会体制を維持しようとする試みはすべて失敗」(再掲)

まあいい。

世の中の流れに棹差して生きるというのも、一つの生き方ではある。

今日は、HTTPサーバー(HTTP FS:無料版)の設定を少し弄って様子を見ている(画像参照:変更できないパスワード設定したり:そんなあ!)。

無駄な抵抗はやめて有料版にするか、リナックス環境を整えて、素直にアパッチを入れるか。

ジャンクライフに大きな技術革新があれば、また書くかもな・・・。

🚀SLS:使われるのはアルテミス3まで2025年04月13日 19:35

SLS:使われるのはアルテミス3まで


(ロケットレポート:ロケット戦争の「無人地帯」、アイザックマン氏、SLSに冷淡)
https://arstechnica.com/space/2025/04/rocket-report-no-mans-land-in-rocket-wars-isaacman-lukewarm-on-sls/

「SLSの残された時間はついに残り少なくなってきているのかもしれない。」

記事は、エリックバーガーのレポートの抜粋なんだが(記事中にリンクがあります)、このウィークリーの要約でも十分なので、詳細が知りたい方は元記事を当たられたい(浮沈子は一応読みました)。

「ジャレッド・アイザックマン氏は水曜日、上院での承認公聴会で、NASAが月と火星への有人ミッションを同時に追求することを望んでいると述べた。」

「上院議員らは、宇宙飛行士を月に送るために設計されたNASAの大型ロケット、スペース・ローンチ・システムについて、アイザックマン氏の意見を繰り返し求めた。」

「アイザックマン氏は、構想されているアルテミス II ミッションの実施に賛成しているかのような口調だった (聴衆の中にアルテミス II の宇宙飛行士 4 人がいたのも不思議ではない)。また、アルテミス III の乗組員をできるだけ早く月面に到達させたいとも述べた。」

「アルテミス II とアルテミス III ミッションの実施に前向き」

一方、その先の話については否定的だ。

「SLS ロケットとオリオン宇宙船に基づくアルテミス月面計画の現在のアーキテクチャは、NASA の深宇宙輸送計画に対する理想的な「長期的な」解決策ではないだろうと述べた。」

「SLS ロケットのアップグレードや Lunar Gateway など、これに続くすべての計画が削減対象になる可能性がある。」

つまりだな、アルテミス計画のアーキテクチャは刷新され、SLSとオリオンは引退する(そうなのかあ?)。

それだけじゃない。

有人月面開発そのものが見直され、持続可能性(=コスト削減)と中国との競争に負けない迅速性が求められる。

戦術目標としての月面開発と、戦略目標としての火星開発が、有人宇宙探査の中で明確に位置付けられるようになるということなわけだ。

浮沈子は、どちらも懐疑的だ。

いずれにしても、そのシーンの中にSLSの居場所はない・・・。

🐱スターリンク:空が見えれば:スマホ直接通信2025年04月10日 15:49

スターリンク:空が見えれば:スマホ直接通信
スターリンク:空が見えれば:スマホ直接通信


(au、日本全土をエリア化、衛星とスマホの直接通信サービス「au Starlink Direct」を提供開始)
https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-533_3815.html

「KDDI、沖縄セルラーは2025年4月10日から、衛星とauスマートフォンの直接通信サービス「au Starlink Direct」の提供を開始」

「auをご利用のお客さまは、申し込み不要で本日から当面無料でご利用いただけます。」

いやはや、山奥でばったり出会ったアイフォーンとアンドロイドスマホ持ちが「画像ファイル」をやり取りするミッションに、意外に早いタイミングで安直な解決方法が登場するかもしれない。

が、まだ、当分の間は大丈夫だろう。

「1. 利用可能サービス:

・テキストメッセージ送受信
・現在地の位置情報共有
・Android スマートフォンでGeminiによる調べものなど
・緊急地震速報/津波警報/国民保護情報(Jアラート)受信」

空が見えればというのが条件だからな。

地下空間で電波を飛ばしていないところは対応できないし、そもそも文字情報系に限られる。

やってできないことはないのかもしれないが、画像ファイルの転送は今のところ公式にはサポートされていない。

(Base64についてまとめてみた)
https://zenn.dev/yudesugi_cone/articles/b75d6077ea54b3

「Base64は、バイナリデータをテキスト形式に変換するエンコーディング方式の1つです。
これを使用すると、画像やファイルのようなバイナリデータをメールやURLの中に埋め込むことができます。」

「au Starlink Direct」で、この手が使えるかどうかは知らない。

まあ、どうでもいいんですが。

いずれにしても、auユーザー同士という制約はある。

メーカー(アップルとグーグル)が仲良しになって囲い込みの手段としてのファイル転送を止め、エアドロップとクイックシェア(クイック共有:旧ニアバイシェア)に互換性を持たせてくれれば、こんなに苦労する必要はないんだがな。

今日は、ギャラクシーA21スマホとクロームブック(C214MA)を持ち出してUSBで繋ぎ、HTTPサーバーも立ててハッキングされやしないかとドキドキしながら動かしている。

有線接続は快適だな・・・。

今、シェアウォーターのペレグリンが入荷したという連絡があった(メッセンジャー)。

サブサーフェスに新たなデータぶち込むためにも、せっせと潜らないとな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(「au Starlink Direct」超速攻レビュー、『日本全土が通信エリア』を実現する国内初のとんでもないサービスに)
https://buzzap.jp/news/20250410-au-starlink-direct-review/

「アンテナピクトに「SpaceX | au」と表示されており、新時代の到来を感じさせます。」

「「衛星経由でメッセージを送受信できます」という心強い表示。」

「文字通りどこでもつながるようになることで、社会はより良い方向に変わっていくことが期待できそう」

うーん、スマホを持ち歩かない浮沈子は、なんだかビミョーな気分だな・・・。

🚀スターシップ:IFT-9:1段目の再使用へ2025年04月09日 01:01

スターシップ:IFT-9:1段目の再使用へ


(スペースXはスターシップのスーパーヘビーブースターの再利用に向けて大きな一歩を踏み出した)
https://arstechnica.com/space/2025/04/spacex-just-took-a-big-step-toward-reusing-starships-super-heavy-booster/

「ブースターのメタン燃料ラプターエンジン33基のうち29基が飛行実証済みである」

まあ、数の違い(前回は1基だけ)こそあれ、エンジンの再使用にはすでに踏み切っている。

次回は、機体そのものの再使用を伴うところが新しい。

巨大なロケットとは言え、2段目に比べれば飛行速度は遅いし、高度も低く(100kmくらいか)、大気圏再突入における温度上昇も軽微だ。

メカジラキャッチのギミックにも複数回成功していて、安定感を増してきている。

ここいらで、機体の再使用に踏み切りたいというのも分からなくはない・・・。

しかし!。

IFT-7で使った33基のエンジンのうち、4基は換装になった。

打ち上げ時には問題なかったものの、ブーストバックバーンの際に内周のエンジンのうちの1基が点火せずにそのまま推移し、慣性飛行後のランディングバーンの初期減速の際に全基点火している。

中央の3基を含めた内周のエンジン13基はジンバル付きで、外周の20基とは異なる。

換装の対象となったエンジンがどれかは知らない。

それだけじゃない。

前回のIFT-8においても、ブーストバックバーンの際に内周のエンジンのうち隣り合う2基が点火せずにそのまま推移し、慣性飛行後のランディングバーンの初期減速の際に1基が点火しなかった!。

ランディングバーンで未点火だった1基は、ブーストバックバーンで点火しなかった2基のうちの一つだった。

やれやれ・・・。

ちなみに、メカジラキャッチしなかったIFT-6では、エンジンの再点火はすべて成功している。

つまりだな、そこに着目すれば、最近のIFTでは6→7→8と回を重ねる度に、再点火の失敗は増加しているということになる。

飛行:打ち上げ時:ブーストバックバーンの失敗:ランディングバーンの失敗:
IFT-6:0:0:0
IFT-7:0:1:0
IFT-8:0:2:1

やれやれ・・・。

こうしてみると、ブロック2に更新された2段目に注目が集まる中、1段目の再使用を始めるというのは、かなりリスキーな選択と言えるかもしれない。

機体の再使用はもちろん初めてだし、エンジンの信頼性も怪しい(少なくとも再点火については疑問が残る)。

IFT-9でも、使用されるエンジンはラプター2のままだ。

燃料流路などを鋳込んで作ったラプター3は、まだ投入されない。

ブースターは、33基のエンジン(将来的には増えるかも)があるために、故障確率も上がるがそれだけ冗長性があるともいえる。

上昇過程では、初期の頃のような打ち上げから未着火状態や途中失火は見られなくなってきている。

再点火が難しいわけだ。

それでも、中央の3基については最近の失敗はない。

最終減速でメカジラに捕まえられるまで、シビアにコントロールしなければならないからな。

これが点火しなかったりすれば、大事故に繋がる。

打ち上げ施設に突っ込み、墜落激突爆発炎上木っ端微塵だ。

何か少しでも問題があれば、自動的に洋上着陸(着水)に切り替えるようだけど、それがいつもうまくいくかどうかは分からない(S社は太鼓判押すだろうけどな)。

ひょっとすると、ラプター2の再点火の信頼性には限界があって、これ以上の改善を施すことが難しいのかも知れない。

その点はラプター3で対応することにして、機体の再使用に踏み切ったということなのかも知れない。

だとすると、IFT-9は既知のリスクを抱えて飛ぶことになる。

仮に、2段目の問題が解決されていたとしても、下手をするとそれを確認することなく途中でエンジン絡みの問題を起こしかねない。

もっとも、打ち上げ時の未着火は最近はないからな。

その確率は低いだろう。

S社も、それを見越して踏み切っている。

しかし、1段目の再使用は、それ自体が大きな賭けだ。

2段目に比べてストレスが少ないとはいえ、5千トンを超える打ち上げ重量を動かすための機械的ストレスは小さいとは言えない。

ステンレス製の機体の耐久性、溶接部分の劣化(内部のクラック)、もちろん、エンジンや再突入時の熱的な問題も抱えることになる。

もちろん、2段目を上げちまった後のトラブルは、発射台に激突する以外は想定の範囲内だろう。

再使用に向けて、データ収集の意味合いが強い。

浮沈子的には、2段目の飛行はもちろんだが、1段目の飛行、特に再点火や強度の問題には大注目だな・・・。