冷却系2016年08月06日 04:32

冷却系
冷却系


浮沈子は、2台のポルシェの面倒を見ている(見られている?)。

まあいい。

片や空冷、此方水冷のエンジンだ。

もう、ブロックからして違うし、1984年(カレラのエンジンに換装)と2003年だから、20年近くの時間が経っていて、比較にはならない。

水は温まりにくく冷めにくいが、空気は温まりやすく冷めやすい。

比熱というらしいが、浮沈子には良く分からん(物理、サボってたんで!)。

(比熱とは)
http://d-engineer.com/netsuriki/hinetu.html

「1kg の物質の温度を 1K (=1℃)上げるのに必要な熱量」

「比熱の例 単位:[J/kgK]
物質:比熱
・水:4186
・空気(湿度100%):1030
・空気(乾燥):1005」

なんだ、4倍くらいしか違わないのか。

993が水冷化して996になった時の技術的なネックは、通過時の騒音がクリアできなかったからだという話を読んだ記憶がある。

パワーじゃなかったんだ・・・。

でも、レーシングマシンでは、水冷ヘッドの導入を行っていたし、やっぱ、今時は水冷でしょう!。

昨日から、高温ガス炉のことを調べていて、一次側の冷却はヘリウムガスで行っているということが書いてある。

熱的な負荷が掛かって、二次側に奪われていけば、自然に温度は下がるんだろうが、水素発生装置も、発電用のタービンも、これからつながるようだ。

それにしても、二次側の負荷は一定とは限らないし、原子炉側の出力を自由自在に変えられるわけではないので、どこかで熱収支を調整しなければならない。

冷却系統の図を見ると、一次加圧水冷却器、二次加圧水冷却器、補助冷却器というのがあって、なんと、水冷だ!。

で、この純水を何で冷やしているかといえば、最後は空冷で、大気放熱している。

まあ、水冷の03ボクスターだって、ラジエーターで大気放熱してるからな。

(冷却系統)http://httr.jaea.go.jp/index_top.html

まず、メインの中間熱交換器(IHX)というのがあって、一次側と二次側が、ここで熱交換をする。

「伝熱管はヘリカルコイル型で外側をヘリウムガス、内側もヘリウムガスが流れる構造です。伝熱管が破損した場合に核分裂生成物(FP)を含んだ1次冷却材が2次側に漏れないよう2次側の圧力を1次側より高くしています。」

表を見ても、細かいことは分からないが、この解説を読むと気になることが書かれている。

放射化しないはずのヘリウムガスに、核分裂生成物(FP)が混じっているということだ。

系統間の圧力差は、0.1MPaとなっている(画像参照)。

一次側が4.0MPa、二次側が4.1MPa。

気圧でいえば、約1気圧の差だ。

そして、一次側、二次側のそれぞれに、加圧水冷却器が付いている。

さらに、一次側には並列に補助冷却器がついていて、これも加圧水で冷却している。

一次加圧水冷却機については、解説が載っている。

「伝熱管はU字管で、外側をヘリウムガス、内側を加圧水が流れる構造です。伝熱管が破損した場合に、加圧水が1次系に流入するのを防止するため、加圧水の圧力をヘリウムガスより低圧にしてあります。」

「主要材質:ステンレス鋼(伝熱管)」

なんか、昔、どっかの原発で、伝熱管の振動によって破断したとかいう記憶があるんだが、気体中では大丈夫なのかあ?。

(原子力発電所蒸気発生器の伝熱細管破断)
http://www.sozogaku.com/fkd/cf/CB0061010.html

「伝熱細管の1本が第6支持板付近で破断していることが判明」

「主蒸気隔離弁を遠隔操作により閉止しようとしたが、完全閉止を確認できなかった」

「加圧器逃がし弁を開放しようとしたが作動せず、加圧器補助スプレで系の圧力を下げる」

対応の中でも、作動するはずの機器が動かなかったりしているしな。

穴が開けば、当然、エア噛み(エアじゃないけど)を起こすわけで、ポンプが機能しなくなる(ヘリウムの圧力の方が高い)。

熱交換はストップということだ。

加圧水の圧力は3.5Mpaだが、穴が開いたんだから、いずれは同じになる(たぶん)。

二次ガス系統に、高温高圧になった水蒸気が混入するというわけだ(たぶん)。

ここで、最悪の事態を考えれば、先ほどのガス・ガスで熱交換をしていた中間熱交換器にも穴が開いてしまって、こっちは、二次側の圧力が高いから、一気に一次側に流れ込んで、いきなり原子炉内が水蒸気で一杯になったりするわけだ。

ここんとこ、どうにかならないものなんだろうか?。

原子炉内には、金属も使われているだろうし、そこから発生した水素ガスや1000度くらいの高温になった水蒸気で、有り得ないはずの、想定外の爆発が起こる可能性は否定できないだろう(配管の破れが、他にも起これば、当然空気中の酸素も入ってくる)。

そもそも、ヘリウム通すことしか考えていないんだから、黒鉛炉に水ぶっかけるなんて試験はやらないだろう。

やっば・・・。

冷却系統の図を見ると、原子炉格納容器境界が、赤い破線で表示してあるが、その内部圧力は3.5Mpaとある。

(高温ガス炉水素・熱利用研究センター:「高温工学試験研究炉(HTTR)の構造」参照)
http://www.jaea.go.jp/04/o-arai/nhc/jp/_top/top.htm

原子炉建屋のイラストが載っているが、圧力容器の中に、中間熱交換器や加圧水冷却器が納まっている様子が分かる。

(高温工学試験研究炉「HTTR」仕様)
http://www.jaea.go.jp/04/o-arai/research/research_03.html

同じようなイラストが描かれているが、こちらでは空気冷却器が建屋の屋上に付いていることが分かる。

何の負荷も接続されていないわけだから、今のところは、全ての熱は、ここから捨てられているわけだ(地球温暖化じゃん!?)。

まあ、どうでもいいんですが。

原子炉格納容器は地下に設置されている。

原子炉は、基本的には、同じ原理、つまり、放射性元素の崩壊熱を何らかの形で取り出して、動力や高温として利用しようという仕掛けなのだから、大きく違うわけではない。

いずれにしても、空冷(空気じゃないですが)と思われていた高圧ガス炉が、実は水冷だったという点は、注目すべきだ。

配管の径や流量などから、気相のままで冷やすことが出来ず、水が禁忌であるにもかかわらず、システムの中で水冷を取り入れざるを得なかったのかもしれない。

もちろん、それなりの対策はとっているんだろうが(圧力差を与えるなど)、想定外の事故は、起こり得るわけだしな(実際起こったし)。

試験研究炉ということで、その点の設計は改善されるのかもしれない。

原子炉内に水が入らないという前提で、様々な設計をしているんだろうから、万が一、入った時には悲惨だろうな。

配管破断と、全電源喪失が同時に起これば、嬉しくない話にもなりかねない。

ヘリウム自体も、実は気になっている。

この気体は、漏れる。

漏れて、減っていくから、「減り」ウムというくらいだ(ウソです!)。

世の中では、水素の次に軽い物質で、単原子分子だから、分子量は4ということになる。

水素は、気体では2原子分子で、分子量は2だから、2倍しかない。

お祭りで風船を買ってきても、萎んでしまうしな。

放射線に晒されても、放射化しないというが、一次冷却ガスを閉じ込めておく必要はあるようだ。

やっぱ、何か混じるのかもしれないし、事故の際の封じ込めということかもしれない。

そこも、良く分からない点だ。

どのくらい漏れるものなのか、漏れた分の補充は行われるのか、二次系もヘリウム使うのはなぜなのか。

ちなみに、原子炉側の幹事会社は三菱重工だ。

(高温ガス炉)
https://www.mhi.co.jp/products/detail/high-temperature_gas-cooled_reactor.html

「幹事会社として、その推進に主導的役割を果たし・・・」

「HTTR当社担当主要機器:
・格納容器
・非常用空気浄化設備
・主冷却設備
・高温二重配管
・加圧水冷却器、ヘリウム循環機等
・原子炉補助設備
・計測制御設備」

水を持ち込んだのは、三菱かあ・・・。

さらに、パンフレット(6ページ)を見ると、炉容器冷却設備というのがあって、これがちゃっかり水冷だったりしている。

(パンフレット)
http://httr.jaea.go.jp/images/index/panf_2015.pdf

ちなみに、ここ(1ページ目)に掲載されているお問い合わせ先の電話は、繋がらない(今年の6月に更新されたばかりなのに・・・)。

いろいろ突っ込みが出来そうな話だな。

この炉容器というのは、原子炉格納容器の内部にあって、原子炉圧力容器の外側に設置されているようだ。

ちょっと整理しておこう。

「原子炉(HTTR)の構成:
・燃料(ウラン化合物)
・4重にコーティングされた被覆粒子燃料(直径0.92mm)
・竹輪型の燃料コンパクト(被覆粒子燃料を素地材の中に散らして保持)
・竹輪を詰めた燃料棒
・燃料棒を束ねた燃料体(六角柱)
・黒鉛の減速材
・冷却材(ヘリウム)
・原子炉圧力容器(内圧:4MPa)
・スタンドパイプ(燃料交換用?)
・炉容器冷却設備(水冷)
・原子炉容器(材質等不明)
・中間熱交換器(二次側:4.1MPa)
・一次加圧水冷却器(水冷)(内圧:3.5MPa)
・二次加圧水冷却器(水冷)(内圧:3.5MPa)
・補助冷却器(水冷)(内圧:3.5MPa?)
・高温二重配管
・原子炉格納容器
・使用済み燃料貯蔵プール
・燃料交換機
・中央制御室
・原子炉建屋(屋上に空気冷却器)」

これに、別棟で、水素製造施設が接続される。

タービン発電機や廃熱利用の熱交換器がどこにあるのかは、イラストや図によって異なるので、ハッキリとはわからない(パンフ9ページと10ページではタービン建屋の有無が違う)。

シンプルとはいえない構成だな。

十分複雑だ。

パンフ11ページには、内陸部に設置可能というのと、海水淡水化の話が続いて出ていて笑える。

しかし、確かに、離島などでは必要な要素だな。

ディーゼルエンジンでは燃料を頻繁に運ばなくてはならないことを考えると、一度作ってしまえば水不足にもならず、燃料電池自動車は乗り放題だし。

放射性廃棄物は、他に捨て場がないので、施設内で2万年くらい保管というところか。

どうも、廃棄物の話になると原発は分が悪い。

燃料のウランにしても、エネルギー換算した資源量は石油より少ないらしいしな。

(第97回小出裕章ジャーナル)
http://www.rafjp.org/koidejournal/no97/

「石油に比べても、発生できるエネルギーに換算して、石油に比べても数分の1しかありませんし、石炭に比べれば、数10分の1しかない」

「地球上に存在しているウラン自身は大変貧弱な資源なので、原子力を推進しようとしてきた人達は、そのウランの一部、燃えない、ほんとは役立たずのウランをプルトニウムに変えて利用する。そうすれば、原子力の資源量が60倍になるので、石炭と同じぐらいの資源にはなる」

まあ、余程楽観的に見ても、増殖炉が動き出すのは来世紀の話だろう。

別に、急ぐ必要はない。

石油をどんどん燃やして、二酸化炭素を蓄積していけばいい(ちっと暑いですが)。

そんでもって、その二酸化炭素を分解して燃料にすればいいわけだ。

(逆転の発想 二酸化炭素をエネルギー源に)
http://www.swissinfo.ch/jpn/sci-tech/co2_%E9%80%86%E8%BB%A2%E3%81%AE%E7%99%BA%E6%83%B3-%E4%BA%8C%E9%85%B8%E5%8C%96%E7%82%AD%E7%B4%A0%E3%82%92%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E6%BA%90%E3%81%AB/38371582

まだ研究段階を出ていないようだが、100年くらい経てば、物になっているだろう。

原子力は、燃やしている段階では二酸化炭素を排出しないので、将来のエネルギー源を生み出さない、非効率な方法かもしれない。

核廃棄物も、再利用できるといいんだがな。

もんじゅの行方2016年08月06日 14:04

もんじゅの行方
もんじゅの行方


(もんじゅ 警報鳴っても半年間対応せず)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160803/k10010620241000.html

「原子力規制委員会は、保安規定違反に当たると判断し、複数の委員から「同じようなことが繰り返され大きな問題だ」などの指摘が出されました。」

「原子力規制委員会が日本原子力研究開発機構に代わる新たな運営主体を示すよう勧告し、文部科学省が検討しています。」

今回の事案を見ると、直ちに安全に問題が生じる様な話には思えないし、定められた手順を取らなかった理由も分からないではない。

「警報は水質悪化の基準値を下回る値で鳴る注意を知らせるものであり、急を要する事案ではないと判断した。浄化用の樹脂については保全計画上、使用後に廃棄する場所が確保できていなかったため取り付けることができなかったが、『警報が鳴った時点で、樹脂を交換する』という手順書のとおりにはできず、改善すべき点があった。また樹脂を取り付けていなくても長期間にわたって水質は安定していたが、核燃料は入っており、樹脂を入れておくべきだった」

さて、この報道を読んでから、この記事を読むと、味わい深いものがある。

(第154回小出裕章ジャーナル)
http://www.rafjp.org/koidejournal/no154/

「でも、私自身はまた別の力学というのがあると思っていて、もんじゅは最後には生き延びるのではないかと思っています。」

「もんじゅという原子炉を動かすことができると、核分裂性のプルトニウムの割合が98パーセントという、超優秀な原爆材料が自動的に手に入るというそういう原子炉なのです。」

「もんじゅというのは何としても生き延びさせると、なにがしかもんじゅを生き延びさせるための方策をまた考え出してくる可能性はあると思います。」

決められた手順に従い、命令通りに動き、管理が徹底されている組織・・・。

軍隊のような組織・・・。

先々、核兵器の開発につながるような、危ない施設を管理できるのは、そういう組織だろう。

なんだ、自衛隊に管理させれば簡単じゃん!?。

(もんじゅ運営の日本原子力研究機構に規制委がついにダメ出し「技術能力ない!」 引受先の本命は…)
http://www.sankei.com/affairs/news/151115/afr1511150002-n1.html

「高速炉を運転する技術は電力会社にはない。自前の原発で手いっぱいで、打診がきても、たぶん断るだろう。しかも国策を一民間事業者が負うのは難しい」

「だが、複数の原子力関係者に聞いてみると、一つの事業者の名前が浮かび上がった。敦賀原発(福井県)や東海第2原発(茨城県)を擁する原子力発電専門の電力会社「日本原子力発電」だ。」

「原電からもんじゅには、35人(電力会社出向分を含む)の運転員を派遣している。さらに管理職も14人(同)出しているほど、もんじゅとの結びつきが強い。」

「もんじゅは「原型炉」という位置付けで、次の段階として国は「実証炉」を造ることを決めているが、過去の記録を見ると、その建設主体は原電であることが明記されている。」

どうかな。

浮沈子には、自衛隊案(?)の方が、脈があると思うがな。

ナトリウム冷却などの問題は、運用経験豊富な米軍からの支援でどうにでもなるし、それ以外のところは、それこそ原電に委託してもいい。

宇宙開発が国防の枠組みを取り入れたように、原子力開発もそういう方向性を出そうとするかもしれない。

原発と軍事技術の融合は、この先、ますます避けて通れない道になる。

原型炉のうちから、ノウハウを吸収していくというのは、悪くない選択だと思うんだがな。

究極の原発話という割には、産経の記事はインパクトに欠ける。

(<もんじゅ>運営主体、8月中に回答…文科相)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160729-00000039-mai-soci

「文科省は機構からもんじゅ部門を分離し、新たな法人を作る方向で検討を進めている。」

大山鳴動して、新たな天下り先1匹というところか。

浮沈子は、そんなことでヤバイ原発である高速増殖炉が管理運営できるとは思わないがな。

(高速増殖炉:社会的課題:核兵器の材料)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E9%80%9F%E5%A2%97%E6%AE%96%E7%82%89#.E7.A4.BE.E4.BC.9A.E7.9A.84.E8.AA.B2.E9.A1.8C

「「もんじゅ」は停止するまでの1年半の間に濃縮度96%以上のプルトニウム239がおよそ60kg程度生じていたと考えられ、プルトニウム240などの不純物を混ぜることで軍事転用への懸念を回避したかどうか、明らかにはなっていない」

兵器級プルトニウムの生産設備でもあるわけだからな。

こんなもんを、文科省の管理下に置いておくことの方が、余程問題だと思うんだがな。

餅は餅屋。

兵器生産設備は、軍隊。

警備の問題も、一挙に解決というわけだ。

これはもう、安全の問題というよりは、国防や安全保障の問題だろう。

サンケイには、そこんとこ、もっと突っ込んでもらいたいもんだな。