電柱ロケットの怪2017年01月11日 15:13

電柱ロケットの怪


このロケットのことについては、先日、ブログネタとして取り上げた。

(電柱ロケット)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/01/09/8312627

「衛星を打ち上げるロケットとしては、世界最小とみられ、「電柱ロケット」とも呼ばれている。」

内之浦の天候が悪く(つーか、風が強い?)、今朝の打ち上げは延期。

14日以降に再設定されているようだ。

JAXAのプレスリリースでは、SS-520 4号機として、正式名称を公表している(電柱4号ではない)。

(SS-520 4号機実験の実施について)
http://www.jaxa.jp/press/2016/12/20161208_ss-520-4_j.html

まあ、どうでもいいんですが。

しかしだ、一部報道機関がこの名称を一切使用していないというのは、どうでもいいとは言えない。

今のところ、SS-520 4号機という名称を使っていないのは、朝日とNHKだ(他にもあるかも)。

まあ、そのうち使うかもしれないとはいえ、奇妙な感じがする。

(世界最小級ロケット、打ち上げ中止 天候条件整わず)
http://www.asahi.com/articles/ASK1C31CWK1CULBJ001.html

「衛星を打ち上げるロケットとしては世界最小クラスのロケット」

以下、ロケットとだけ呼んでいる。

(世界最小クラスのミニロケット まもなく打ち上げ)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170111/k10010834861000.html

NHKは、かなり確信犯だ。

「新たに開発された世界最小クラスのミニロケット」

「電柱ほどの大きさのミニロケット」

以下、ロケットとかミニロケットと呼んでいる。

関連記事の中でも、正式名称の使用は避けている。

(電柱サイズのミニロケット公開 超小型衛星専用)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170109/k10010833481000.html?utm_int=detail_contents_news-related-auto_001

この記事では、ミニロケットとして紹介されている。

H2AやH2B、こうのとりなどは、正式名称や愛称でちゃんと紹介しているのに、いくら一般に馴染みがなく、シリーズ化される予定がないからといって、敢えて正式名称を使わないというのは不自然に感じる。

記事も読み辛くなっているしな。

何か、深い理由があるんだろうか?。

(NATOコードネームの一覧 (ミサイル):地対地ミサイル)
https://ja.wikipedia.org/wiki/NATO%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)#.E5.9C.B0.E5.AF.BE.E5.9C.B0.E3.83.9F.E3.82.B5.E3.82.A4.E3.83.AB

「英語で地対地ミサイルを意味する「surface-to-surface missile」に合わせて、型番は「SS」に統一されている。」

まさかねえ、型式のSSが、これを連想させるからじゃないよねえ?。

(SS-520ロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/SS-520%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

「S-520ロケットを第1段ロケットとして使用し、それに新規開発された第2段ロケットSS-520B2を加えた2段式で構成される。」

「2016年5月、JAXAは文科省・宇宙開発利用部会 調査・安全小委員会で、2/3段継手・第3段・衛星継手などの新規開発と一部改修を行って、SS-520の4号機により超小型衛星の打ち上げを行うことを報告し、2016年6月にこの計画を発表した。」

(S-520ロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/S-520%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

「S-520という名称は単段式の固体燃料ロケットで、直径が520mmであることを表す。」

地対地ミサイルを連想させる要素はない。

しかし、調べていくと、何となく臭ってくる・・・。

「制式観測機として主に利用されていたK-9Mを置き換える目的で計画された。」

カッパロケットについては、こんな記述があるのだ。

(カッパロケット:カッパロケットの軍事転用)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%91%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88#.E3.82.AB.E3.83.83.E3.83.91.E3.83.AD.E3.82.B1.E3.83.83.E3.83.88.E3.81.AE.E8.BB.8D.E4.BA.8B.E8.BB.A2.E7.94.A8

「1960年代にカッパロケットK-6Y型5基と関連機材(打ち上げ設備と固体燃料製造設備とロケット追尾用レーダー)がユーゴスラビアに輸出され、それらの技術はユーゴスラビアが独自開発していた地対空ミサイルR-25 ヴルカンに軍事転用された。」

「1965年にはインドネシアにもカッパロケットK-8型10基と関連機材が伊藤忠商事によって輸出され、軍事転用を懸念したマレーシアが日本に抗議した。」

「これらの結果、1967年に佐藤栄作首相により、共産圏や紛争当事国への武器輸出を禁止する、「武器輸出三原則」が表明された。」

ぷんぷん臭うな・・・。

武器輸出が緩和され、ミサイルの輸出だってできるようになるかもしれないこの時期に、SSなんとかという名称は、ちょっと刺激的過ぎる気がしないでもない。

単段式固体燃料ロケット(S)が、2段式になったからSSになっただけなのにな(4号機は、3段式ですが)。

もとより、何が理由で朝日とNHKがSSが付く名称を避けているのかは不明だ(NHKには、メールで問い合わせ中)。

例によって、浮沈子の妄想が暴走しているだけかもしれないし・・・。

名称はともかく、NHKの記事や解説をみると、超小型衛星の需要が一定程度(年間約100機)あって、今後の伸びが期待されることは確かなようだ。

打ち上げの自由度を得るために、専用ロケットの開発があってもいい。

人工衛星の打ち上げが、国家や国際資本を背景に行われていた時代は、過去のものになりつつある。

うちの大学専用とか、我が社専用の衛星や、そのうち、俺様専用衛星も上がる時代が来るかもしれない。

そのうち、プロポーズの時に、指輪の代わりに超小型人工衛星を送るなんちゅう話がでてくるかも!?。

「きみに、星をプレゼントしたいんだ・・・」

まあ、低軌道だとすぐ高度が下がって燃え尽きちゃうからな。

縁起物としては、ちょっと向かないかもな・・・。