🚀スターライナー:CFT:タイプAの事故と認定 ― 2026年03月07日 06:25

スターライナー:CFT:タイプAの事故と認定
スターライナー:CFT:タイプAの事故と認定


スターライナーのCFT(クルードフライトテスト)が、実にヤバかったという話はこのブログでも既に取り上げている。

(スターライナー:高視認性危機一髪:後知恵の意義)
https://kfujito2.asablo.jp/blog/2025/12/24/9825787

「制御が回復しなければ、ドッキングも軌道離脱も制御不能となり、機体と乗組員の喪失につながる可能性があったという懸念がリアルタイムで存在していました」(元スペースシャトル船長で現在はNASA航空宇宙安全諮問委員会(ASAP)委員を務めるチャーリー・プレコート氏)

今回は、内部の委員会(ASAP)ではなく、NASA自身が厳しい評価を下したという記事が上がっている。

(スターライナーの飛行トラブルについてNASAの経営陣とボーイングを独立報告書が厳しく批判)
https://spaceflightnow.com/2026/02/19/independent-report-sharply-criticizes-nasa-management-boeing-for-troubled-starliner-flight/

「ボーイング社のスターライナー宇宙船の初の、そして今のところ唯一の有人飛行に関する独立した調査の結果、このテストは複数の技術的問題と管理ミスによって生じた、生命を脅かす可能性のある「タイプA」の事故であると結論付けられたとNASA当局者が木曜日に発表」

「しかし、明確にしておくと、NASAは技術的な原因が解明され、修正され、推進システムが十分に適格となり、適切な調査勧告が実施されるまで、スターライナーで新たな乗組員を飛行させることはないだろう」(NASAのジャレッド・アイザックマン長官)

(NASA長官、スターライナーの飛行を「タイプA事故」に分類、NASAのミスと主張)
https://arstechnica.com/space/2026/02/nasa-chief-classifies-starliner-flight-as-type-a-mishap-says-agency-made-mistakes/

「ウィルモアはもはやスターライナーを完全に制御することができませんでした。しかし、ドッキングを断念するという解決策は受け入れ難いものでした。ドッキングプロセス中の機体制御にスラスタが必要であったのと同様に、スターライナーを軌道離脱噴射と大気圏再突入に向けて位置調整するためにもスラスタは必要でした。そのため、ウィルモアは宇宙ステーションへの接近と地球への帰還のどちらがリスクが高いか、熟考する必要がありました。」(ウィルモア氏:アルスとのインタビューで)

「その時点で地球に戻れるかどうか分からない」「戻れるかどうかも分からない。実際、おそらく戻れないだろうと思っている。そこで、6自由度制御を失い、後部スラスター4基がダウン。軌道力学をイメージしている。宇宙ステーションは機首を下げている。つまり、ステーションと完全に水平ではないが、下にある。ステーションより下であれば、速度が速くなる。それが軌道力学だ。ステーションから離れていく。だから、私はこれらすべてを頭の中で考えている。自分がどんな制御をしているのか分からない。もしまたスラスターを失ったら?通信が途絶えたら?どうすればいいんだ?」(同上)

「そのようなことが存在しないかのように装い、単一の道筋にのみ焦点を当てたことで、リーダーシップが介入して軌道修正すべきだった文化的な問題が生み出されました」(アイザックマン)

「NASA​​内部のどのレベルでそのような問題があったのでしょうか? 複数のレベル、つまりNASAの長官にまで及んでいたと言えるでしょう。」(同上)

つまりだな、技術的問題が明確に存在するにも拘らず、それを軽視して既定路線で押し切ろうとする組織的な文化(圧力?)が存在したことが重大だというわけだ。

「アイザックマン氏はNASA職員に宛てた手紙の中で、NASAとボーイングによるこれらの故障に関する調査は、スラスター故障の根本原因を突き止めるのに十分ではなかったと述べた。」

「調査は往々にして直接的な原因で止まり、解決策を講じたり、あるいは原因不明の異常として受け入れたりしていました」「場合によっては、データを論理的な結論に至るまで厳密に追跡しなかったために、直接的な原因の診断自体が誤っていたこともあったのです。」(アイザックマン)

技術的な問題の追及が不十分だったことも、こうした圧力が背景にあったからかも知れない。

この件については、鳥嶋さんも分かりやすい解説記事を上げている。

(ボーイングの宇宙船「スターライナー」を襲った“最も重大な事故” NASA報告書から見えた深層)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20260304-4180764/

「過去には、スペースシャトル「チャレンジャー」や「コロンビア」の事故が同じタイプAに分類されており、事態の深刻さが浮き彫りとなった。」

うーん、やっぱそうだったか・・・。

「2024年6月には2人の宇宙飛行士を乗せ、初めての有人飛行試験(CFT)に臨んだ。しかし打ち上げ前から、推進系を加圧するためのヘリウムが漏れる不具合が起き、打ち上げ後もヘリウムの漏れが再発。さらに、ISSとのドッキング直前には、28基ある姿勢制御用スラスター(RCS)のうち5基が作動しなくなった。このうち3基は同じ方向の制御に関わるスラスターだったため、スターライナーは一時的に「6自由度」制御、つまり目標の方向と軌道を正確に維持する能力を失い、制御不能に近い、きわめて危険な状況となった。」

アルスによるウィルモア氏のインタビューをあらためて読むと、この時点でのヤバさは半端ないことが分かる。

「その時点で地球に戻れるかどうか分からない」「戻れるかどうかも分からない。実際、おそらく戻れないだろうと思っている。そこで、6自由度制御を失い、後部スラスター4基がダウン。軌道力学をイメージしている。宇宙ステーションは機首を下げている。つまり、ステーションと完全に水平ではないが、下にある。ステーションより下であれば、速度が速くなる。それが軌道力学だ。ステーションから離れていく。だから、私はこれらすべてを頭の中で考えている。自分がどんな制御をしているのか分からない。もしまたスラスターを失ったら?通信が途絶えたら?どうすればいいんだ?」(再掲)

やれやれ・・・。

綱渡り的対応を経て、ISSとのドッキングには成功したものの、2名の宇宙飛行士は別便(クルードラゴン)で地球に帰還している。

「こうした事態を受け、NASAは2025年2月、スターライナーに関する独立プログラム調査チームを設立。CFTで表面化した問題について、技術面に加えて組織面、文化面の要因も含めて調査を進めた。報告書は2025年11月に完成し、2026年2月19日に内容が公表された。」

「報告書によると、2022年の2度目の無人飛行試験でスラスターに問題が起きたにもかかわらず、その後、適切な措置が講じられず、発生した問題に真に対処することなくプロジェクトが継続されたという。また、ボーイングがスターライナーに加えた変更や改良の多くについて、NASAが十分に把握しないまま承認していた」

「また、スターライナーCFTが無人で帰還した際にも、クルー・モジュール側で推進系が故障し、大気圏再突入中にスラスターの故障許容性(フォールト・トレランス)が確保できない状態になっていたとの指摘がある。」

このクルーモジュールのスラスタートラブルは、当初から浮沈子も認識しており、胸を張って無人帰還を果たしたとは到底言えない状況だったわけだ。

その他にも、サービスモジュールの推進システムの冗長性の欠如や複数のシステムで設計限界を超える運用を容認していた点も問題視されている。

しかし、何と言っても組織の中に圧力があった点が最大の問題だったというわけだ。

「CFTで宇宙飛行士を乗せたまま帰還させるか、無人で帰還させるかが議論された際には、計画の評判に傷がつくことへの懸念が意思決定に影響し、安全が最優先とならない場面があった——すなわち体裁を保つために有人での帰還が強行される可能性もありえた——とも指摘」

まあ、浮沈子もあの時にはひょっとしたらNASAが押し切るかも知れないと思ってたからな。

「異機種冗長性」(dissimilar redundancy)はリスクヘッジの金科玉条ではないけど、NASAは宇宙ビジネスの活性化の観点からも、スターライナーの開発を続ける意向を示している。

「地球低軌道に多数の商業宇宙ステーションが必要となり、人間と貨物を軌道に運べる複数の手段を持つことが利益を生み出す」

まあ、ロシアのソユーズや中国の神舟もあるけどな。

「いまなお続く原因究明や改修、追加試験によって、開発期間と開発費は一段と増える見通しとなっている。別の未知の問題が残っている場合、対応が長期化するおそれもある。経営上の判断として、ボーイングがスターライナーの事業から撤退を決める可能性もありうるだろう。」

今後、ブルーオリジンなどが有人宇宙船の開発に乗り出したりすれば、B社に拘る必然性は無くなる。

また、S社がスターシップの有人運用に踏み出せば、軌道経済はコペルニクス的転回を迎えることになる。

「NASAとボーイングは、この苦境から立ち直ることができるのか。それはスターライナーだけでなく、米国の宇宙開発の未来をも左右することになるだろう。」

もう、NASAもB社も、宇宙開発の第一線から退くことになるかも知れない(そうなのかあ?)。

これからは、トランプのゴールデンドームの時代だ。

民生用の有人宇宙開発の時代は終わった(そういうことかあ?)。

アイザックマンが如何に交通整理を行って正しい軌道に導こうとしても、先立つものがなければ何もできないからな。

それを民間から調達して、お役所の掟をスルーしようとしているようだが、そのインセンティブとNASAの思惑が一致するとは限らんからな。

特に、リスクが大きい有人宇宙開発においてはなおさらだ。

浮沈子的には、そこに未来はないと見ている。

基本的に、人類は宇宙には馴染まない。

ロボット(無人機)やAIが活躍するステージだ。

物見遊山や冒険はある程度続くかもしれないけど、リスクをなくすことは出来ない。

浮沈子は、ダイビングと比較していろいろ考えている。

器材やトレーニングでリスクを軽減できたとしても、本質的に内在する危険を無くすことは出来ない。

それをある程度容認していくしかないのだ。

宇宙も水中も、人間が生存できない過酷な環境であることは間違いない。

それを、人間の欲望の対象(民需というのは基本的にそうだからな)として捉え、宣伝やら何やらで搔き立てて行こうというのは王道ではないという気がする。

アイザックマンの軌道経済の活性化というアプローチは、浮沈子的にはどこか危うさを感じる。

米国のフロンティア精神は、確かに建国の原動力にはなったかもしれないが、その後、全世界に災厄をもたらしてきた(そういうことかあ?)。

宇宙経済に依存する地球という未来に、浮沈子は否定的だ。

我々はこの星で生まれ、この星の上で進化し、この星と共に滅びる(これって、地球教?)。

ノアの箱舟やバベルの塔の話は、神様の意向に反する者たちが滅ぼされるというストーリーだが、人類が多惑星種になろうとする行為は神意に適っているとは到底思えない。

鉄槌が下される前に、撤退するのが妥当だろう(そうなのかあ?)。

確認しておこう。

スターライナーのCFTは、ヤバい話だった。

NASAは、それを認めた上で、開発の継続を進めようとしている。

その動機は、地球低軌道への人類のアプローチを続けるためということなわけだ。

米国は、NASA主導の国家的開発から民間主導の軌道経済への転換を見据えている。

浮沈子は、その流れには懐疑的だ。

宇宙は過酷な環境であり、人類の持続的な生存には不向きだからな。

技術の発展がそのリスクを軽減することがあっても、ゼロにすることは出来ないし、受け入れ可能なレベルに落とし込めるかどうかも分からない。

確かに、航空機産業は今や人類にとって不可欠な経済行為に発展しているし、海運業も同じだ。

宇宙技術がそうならないとは言えない。

が、しかし、それは極めて困難で、時間と金の投資が見合うかどうかはいささか疑問だ。

人類がそのリスクを取って投資するかどうかは、よーっく考えた方がいい気がするんだがな・・・。

😼メキシコへの道:第5章:トラバース ― 2026年03月07日 22:56

メキシコへの道:第5章:トラバース
メキシコへの道:第5章:トラバース


講習5日目(2月15日)の1本目は、お馴染みのタジマハから、ちょっと離れたサグラドというセノーテまで、水中洞窟を潜って移動するトラバースという離れ業(そうなのかあ?)を実践する。

トラバースというのは、登山などで斜面を横移動することを言うんだそうだが、洞窟潜水の世界では開水面のある泉(セノーテ)間を水中洞窟を通って移動することを言う。

トラバースの話はシュロ(Xulo)の時にも出てきたな(キャタピラへのトラバースが可能とか)。

(メキシコへの道:第5章:セノーテシュロ(Xulo))
https://kfujito2.asablo.jp/blog/2026/03/02/9839438

「記事にもあるように、キャタピラ(前回潜ったセノーテ)にも繋がっているようだが、トラバースは容易ではないようだな(未確認)。」

トラバースについてネットで調べていたら、伊佐治さんの記事が出ていた。

(メキシコ・セノーテ「タクビハ」〜「ピット」:水中探検家・伊左治のフツーではないダイビングガイド)
https://oceana.ne.jp/diving/diving-spot/144540

「タクビハからはドスオホス水系の各セノーテに繋がっていて、上で紹介したピットへも水中で繋がっている。今回はタクビハからピットを往復してくるダイビングを計画した(このような、ある泉から別の泉まで水中で移動することを“トラバース”という。)。」

タクビハは、ドスオホスのすぐそばにあって、浮沈子も松永さんのガイドでドスオホスまでトラバースしたことがある(2023年12月16日)。

タクビハにもカバーンラインがあって、タクビハ→ドスオホス(カバーンライン)→タクビハ→タクビハ(カバーンライン)というコースだったと記憶している。

まあ、どうでもいいんですが。

今回はタジマハからサグラドへのショートコースだ。

サグラドで検索すると、チチェン・イッツァの聖なる泉(セノーテ)が出て来るけど、そこじゃない!(紛らわしいな)。

グーグルマップで見ると、Cenote Sagrado Mayaと表示されている(トゥルムに近いところ(ノホッチナチッチの先です)にもCenote sagradoというところがあり、更に紛らわしい)。

タジマハの近くのヤツだからな。

間違わないようにな。

で、タジマハからは35分ほどで到着している(最初に水中でバルブ関係のドリルやってるから、この時はエントリーして5分後くらいに潜っている)。

トラバースのプロファイルの特徴は、何と言っても水面に浮上する点だ。

途中に水面があるところは他にもあるけど、概ね浮上とかはしない(観光目的でエアドームになってるところに顔を出したりはしますが)。

外気が入っていないエアドームは、呼吸に不向きなガスが溜まっているのでレギュレーターを外すことは出来ない。

が、トラバースして他のセノーテに到達すればその限りではない。

サグラドは、初めてのトラバースになった。

洞窟潜水には様々な楽しみ方がある。

メインラインを辿るのも良し、ジャンプして別のラインを辿るのも良し、T(ティー)の先に行くのも良し、サーキットを回ってくるのも良し、トラバースして他のセノーテに行くのも良し・・・。

フルケーブダイバーになれば、それらのコースを辿って戻ってくることが出来るようになる。

伊佐治さんのように、ケーブDPVやステージタンクのスキルを身に付ければ、より遠くに行くことが出来るようにもなる。

その先にあるのは探検家の領分だ。

繋がっていないセノーテを繋げたり(ルートを発見したり)、まだラインが引かれていない前人未到の洞窟に侵入したりもする。

今回は、ロストバディーのスキルで、浮沈子もその気分(気分だけですが)を少しだけ味わった。

まあいい。

浮沈子は洞窟愛が足りず、どこを潜ってもあまり変わらないような気がする。

死神看板が立っている洞窟の奥に何があるかを知りたくてフルケーブダイバーの講習を受けたんだが、洞窟の奥にはどこまでも続く洞窟があっただけだった(そういうことかあ?:動物の骨とか貝の化石、焚火の跡、壺などもあります)。

トラバースして他のセノーテ(開水面がある泉)に出るというのは、洞窟潜水のハイライトの一つだ。

洞窟の先にあるのは、洞窟だけじゃない!。

別のセノーテもあるぞお!。

と、まあ、今回はこの辺で・・・。