😼欧州大戦争:ウクライナの勝利は近い:皮算用と政治的意志 ― 2025年06月17日 03:39
欧州大戦争:ウクライナの勝利は近い:皮算用と政治的意志
(多くの人が思うより早くウクライナはロシアに勝つ=カナダ専門家)
https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/4004768-duokuno-renga-siuyori-zaokuukurainaharoshiani-shengtsukanada-zhuan-men-jia.html
「戦争は、多くの人が予想しているよりも早く終わる。ウクライナと民主的世界の勝利によってだ。ソ連はアフガニスタンで約10年間負け続けた。それよりはるかに弱いロシアは、(編集注:当時のアフガニスタンより)はるかに強いウクライナに対してそれほど長く耐えられない。戦力の比率に疑いはない。唯一の未解決なことは、政治的意志である」(カナダのトロント大学にて「G7リサーチ・グループ」を率いるジョン・カートン博士(国際関係))
専門家で学者さんでもあるので、根拠は明快で理路整然としている。
ソ連はロシアより強かった
→ウクライナはアフガニスタンよりはるかに強い
→ソ連はアフガニスタンに10年間負け続けた
→したがって、ロシアはウクライナに負ける(しかも、開戦(2022年)から10年以内に!)
完璧だ!。
アリの這い出る隙も無い。
しかし、問題も抱えている。
「唯一の未解決なことは、政治的意志」(再掲)
まあ、それが最大の問題で、ご自身が「G7リサーチ・グループ」を率いているからよーっくご存じのはずだ。
「私たちは、奇妙で憂慮すべき状況も目にしている。トランプ大統領が今もプーチンに関する否定的なことは何も言うことができないのだ」
いったい、どうしてそういうことになっているのか。
ついこの間までは、そういう懸念はなかったのではないか。
事実、ウクライナは反転攻勢に成功し、ロシアを東南部4州に押し戻した(2023年以降は、鳴かず飛ばずだが、それ以前は勢いがあったからな)。
ガザの問題が発生し、米国の支援が滞る中、満を持してクルスクに侵攻し、世界をあっと言わせた。
トランプ政権が誕生して、万事休すと思われたが(3月初旬の状況は悲惨だったな)、今月にはロシアの最深部にまで侵入して戦略爆撃機などを破壊する快挙を成し遂げている。
欧州の結束は固く、ロシアの政策転換でかつてない支援の広がりがみられる(タウルスは供与しないみたいだけど)。
ウクライナの勝利を疑う輩は、勉強不足でトロント大学で単位を取ることは出来ないだろう(そういうことかあ?)。
しかし、米国はウクライナ支援から撤退する。
停戦の仲介についても、双方がその意思を示さない限り、手を出さないことに決めた。
未解決だった政治的意志は、解決できないまま空中分解した。
専門家はロシア(ソ連)が敗北した10年戦争を根拠にしているけど、ロシアは20年以上に渡って戦い続け、ロシア(帝国)が勝利した大北方戦争を例にしている。
どっちもどっちな気がするけど、つまり、当てにはならないのだ。
米国がウクライナ紛争から手を引くと決めたのは、確かに割に合わない投資を止めて可能な限り回収するためだが、その根拠は勝敗の行方にある。
ぶっちゃけ、ウクライナはロシアに勝てないからだ。
本来、ロシアは一方的に侵攻しているわけだから、ロシアがそれを止めれば戦争は終わる。
現政権が、たとえ縮小された国土になったとしても、二度と侵攻を受けない安全保障を獲得し、裏付けとなる強固な軍隊を維持することが出来れば、それは勝利だ。
ロシアの野望は、道半ばにして潰える。
ウクライナから奪い取った領土は、やがて外交的に取り戻すことが出来る可能性がある。
我が国は、第2次世界大戦で国土の多くを失ったが、小笠原や沖縄は外交的に取り戻すことが出来たからな(北方領土や竹島はまだですが)。
別に、米国とドンパチやって奪ったわけではない。
しかし、トランプ政権は、そういう道筋が描けないと見切ったわけだ。
ロシアのウクライナ侵攻は、単なる領土拡張戦ではなかった。
NATOの西進を阻み、大ロシア帝国を復活させるための狼煙だ。
ロシアは、国家の存続と未来を賭けて、死に物狂いで戦っているのだ(そうだったのかあ?)。
浮沈子は最近まで、まさかそんな覚悟でドンパチしているとは夢にも思わなかった。
死傷者も100万を超え、経済も疲弊していることだし、ここいらで手打ちして、現政権の存続を認めて、ある程度の緊張関係を保ちながら、隣国として共存できるのではないかと思っていた。
そうではなかった。
ラブロフは、単にNATO非加盟というだけではなく、現政権の退場を前提としていると明言した。
外国の軍隊の駐留も認めず、事実上、非武装の中立国としてのみ存在を認めるという。
ロシア語の公用語化も押し付ける。
我が国は「無条件降伏」し、漢字の使用も「当用漢字」(当面用いる漢字)として、ローマ字教育と共に、日本語教育の危機に晒されたが、関係者の尽力で、戦後80年経っても、こうして日本語(浮沈子のは、かなり怪しいですが)を用いることが出来ている。
まあ、どうでもいいんですが。
ロシアは、ウクライナを属国として支配下に置こうとしている。
間接統治なわけだ。
それが、実際にどういう形になるかの詳細は分からない。
経済圏としてはEUへの加盟を認めるようだ(EUの方が認めるかどうかの問題はあるけどな)。
が、政治体制や安全保障上の位置付けて譲るつもりはない。
トランプは、プーチンとの直接のやり取りや、特命大使の情報からそれを掴み、ロシアの覚悟と政治的意志を確認した。
そう、西側に唯一欠けている最大の懸案だな。
これは、ロシアの一方的な領土拡張戦争ではないのだ。
ウクライナに勝ち目はない。
勝ち目のない戦争に投資するのはバカだ。
米国は、ウクライナ紛争から撤退する。
ロシアとの関係を改善する必要があるから、衛星情報サービスの供与からも撤退する(当局者は、継続すると言っているらしいが、結局は止めることになるだろう)。
欧州は、米国とは少し違った立場だ。
ロシアと国境を接して存在し、緊張関係に晒されている。
この間、ウクライナを支援し、ロシアに制裁を加えてきたいきさつから、そう簡単には引き下がれない。
ウクライナから手を引けば、次は我が身に襲い掛かってくるわけだからな。
その時期を遅らせ、少しでもロシアを疲弊させておくためにも、ウクライナ支援は続けざるを得ない。
引くに引けないのだ。
んでもって、更なる問題も抱えている。
欧州の支援は、米国の支援あっての補助的なものだ。
今、必死になって米国が抜けた穴を埋めようとしているけど、おそらく十分には出来ないだろう。
加えて、イスラエルとイランの戦争が勃発しちまった。
当初の予定より、大幅に前倒しで米国の支援は途絶えることになった。
これは、ウクライナにとっては一大事だ。
徐々にフェードアウトしていくということなら、武器弾薬の生産力を増強したりもできただろうが、ナタでぶった切るように支援が終わっちまえばそれも叶わない。
2023年10月や、2024年春先の悪夢が蘇る・・・。
欧州自体の安全保障にも大穴が開きかねない。
浮沈子は、欧州の支援も途絶えるに違いないと見ているけど、欧州大戦争の前哨戦であるウクライナ戦線をどうコントロールするかは、彼らが決めることだ。
ウクライナは、欧州諸国に派兵を要請するだろうが(もう、してるかも)、それに応じるかどうかがまず問題だ。
次の段階として、クルスクでウクライナがやったように、欧州がロシアに先制攻撃をかけて出鼻を挫くという作戦だ。
ロシアがウクライナに勝てないと断言するのなら、NATOをもってすればロシアに勝てないことはないんじゃないのかあ?。
もちろん、政治的意志の欠如は、欧州の得意技だからな(そうなのかあ?)。
トロント大学のセンセは、大西洋を隔てているから、その辺りの頃合いが読めないのかもしれない。
(G7サミット、16日から議論…中東情勢・ウクライナ支援や世界経済など巡り「結束」問われる場に)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250616-OYT1T50006/
「議長国カナダは、トランプ氏と他の参加国との溝に焦点が当たることを避けるため、首脳宣言の発表を見送る方針」
「個別のテーマで合意文書を発表することで、連携姿勢を打ち出す方向で調整」
セコっ!。
浮沈子的には、イタリアのメローニがどう出るかにも注目している。
英仏独にカナダを加えた有志連合は、一応足並みがそろってきたのかもしれないが、傍観者の我が国やフランスと反りが合わないイタリアが足を引っ張りかねない(そうなのかあ?)。
今回、ゼレンスキーは17日の午前中に出番があるけど、ひっ迫する中東情勢への対応が押して、下手をすればそれもなくなる可能性がある(そんなあ!)。
ウクルインフォルムは、せっかくインタビューに応じてくれたカートン博士の意見を記事にせざるを得なかったんだろうが、正直鼻白んでいたのではないのか。
今、プーチンがウクライナ侵攻を途中で放り出して、ウクライナの現政権と欧州最強のウクライナ軍を存続させ、将来のNATO加盟を認めると信じている者など誰もいないだろう。
皆無だ。
プーチンがいなくなれば、メドベージェフが後を継ぐ(未確認)。
ブチ切れた新大統領は、就任から3秒以内に核ミサイルの発射ボタンを押すだろう(そうなのかあ?)。
まあいい。
ロシアは、背水の陣を敷いている。
北朝鮮との軍事協定は、その現れの一つだ。
欧州は、彼らとの一戦をも覚悟しなければならない。
特に、越境して先制攻撃を仕掛ければ、その可能性は高まる。
欧州大戦争は、どういう形で始まるにせよ、いよいよ時間の問題になってきている。
それは誰も望んでいないし、そうならないような様々な手立てを取ろうとしているけど、それらはすべて裏目に出て事態を悪化させていくように思われる。
人類の知恵は、核弾頭を制御し、減らしていく方向で調整する仕組みを作りかけたが、中国は毎年増やし続け、米ロの弾頭数も減少は頭打ちだ。
東西冷戦は終わったが、紛争自体は増加傾向にあり、ドローンなどの新兵器の登場で戦場は変わりつつある。
最強の盾を持てば、戦争は防ぐことが出来ると考えるのがふつーだ。
が、相手方は、その盾を破ろうと最強の矛を持とうとする。
抑止力というのが存在するとすれば、最強の矛を持つこと自体が最強の盾にもなるしな。
で、軍事力の増強は留まるところを知らない。
力を持てば、それを行使して恫喝したりドンパチして自国の利益を計ろうとすることは道理だ。
人類は、実にロジカルに戦争する。
勝つか負けるかは、やってみなければ分からないところもある。
分からなければ、とりあえずやめておいて、他の手段を考えればいいんだが、あるものは使いたくなるのが人情だ。
ロジカルなだけではなく、情に流されやすい(そういうことかあ?)。
ドンパチは悲惨だ。
やってみて、それに気が付けばその時点で止めればいいだけだが、一旦始めたものをなかなか止められないというのも無理のない話だからな。
ああ、あそこでやめるんじゃなかったと、後から悔やみたくないからな。
で、結局、あそこでやめておけばよかったという後悔が残る形で終わることになる。
歴史は、その繰り返しで埋まっている。
やれやれ・・・。
(トランプ氏「ロシアのG7除外は誤り」、中国参加にも言及)
https://jp.reuters.com/world/us/AYRXS2T6U5N3JN7BUW4QH34UDU-2025-06-16/
「ロシアを主要8カ国(G8)から除外したのは間違いだった」(トランプ米大統領)
「トランプ氏は今年2月にも、ロシアをG8の枠組みから除外しG7としたのは誤りであり、ロシアの復帰を望むとの認識を示している。」
紛争当事者の一方であるゼレンスキーの目の前で、こういう発言を繰り返すというのは、米国の政治的意志の明確な現れだ。
傷口に塩を塗る所業だろう。
さて、他のG7諸国はどういう政治的意志を示すんだろうな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(欧州委員長、G7パートナーたちに対露制裁強化を呼びかけ)
https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/4004719-ou-zhou-wei-yuan-zhangpatonatachini-dui-lu-zhi-cai-qiang-huawo-hubikake.html
「カラスEU外務・安全保障政策担当上級代表は、同案の発表はEUがロシアとの間で今後も「通常の関係(ビジネス・アズ・ユージュアル)」に戻るつもりはないという明確なシグナルを送るものだと発言」
非常に勇ましい、明確な政治的意志だと感じる。
が、この明快さは両刃の剣だ。
EUの経済制裁には、残念ながら限界がある。
経済は生き物だから、ズルもするし抜け穴も探る。
既成の効果とイタチごっこだ。
また、相互に依存しあっていれば、何とか折り合いをつけて事を荒立てずに済ませようとするかもしれないが、お互いに赤の他人になれば平気でドンパチし出す可能性は高まる。
まして、対立を先鋭化させ、関係離脱を計ろうとしている米国に対しては逆効果となりかねない。
米国は乗ってくるんだろうか?。
ちょっと気になる報道があった。
(米ロ外交協議中止、米国決定とロシア報道官 関係改善に暗雲)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/CYS2KEPQD5KIJKMTAOJWDUSOXY-2025-06-16/
「きょう現在、両国の外交団の活動正常化に向けた『摩擦要因』を取り除く2国間協議の枠組みにおける次回会合は、米交渉担当者の決定により中止された」「休止期間が長引かないことを願う」(ロシア外務省のザハロワ報道官)
3年間途絶えていた2国間の外交関係を正常化させるプロセスが中断したという話だ。
これが何を意味するのかは知らない。
「ザハロワ氏は、1月のトランプ大統領のホワイトハウス復帰後に始まった協議の中断について、米国側が何らかの理由を示したかどうかについては言及していない。」
実務手続きの停止は、いくつかある段階の、まあ、比較的軽微な対応ということになる。
軽くジャブを繰り出す感じか()
G7開催のタイミングと重なるから、単にその影響とも考えられるが、んなことは何年も前から分かっていることだからな。
怪しい・・・。
実に怪しい!。
この件、何か分かればまた書く。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
米ロ交渉の件じゃないんだが、G7絡みで特報が入った。
(トランプ大統領 G7サミット切り上げ帰国 中東情勢を受け)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250617/k10014837041000.html
「ホワイトハウスのレビット報道官は16日、トランプ大統領が中東情勢を受けてG7サミットを切り上げ、16日夜に開催地カナダを離れると明らかに」(すでに帰国済み)
なんと!。
早引けかあ・・・。
「多くの重要な案件に対応するため」(レビット報道官)
「私はできるだけ早く戻らなければならない。できることならあすもここにいたいが、この重大な状況をみんな理解してくれている」(トランプ大統領)
「トランプ大統領の出席に心から感謝する。完全に理解している」(議長国カナダのカーニー首相)
ちょっと気になる発言もあった。
「フランスのマクロン大統領は記者会見で、トランプ大統領が予定を切り上げて帰国することについて、イスラエルとイランの停戦を実現するという目的のためであれば、前向きなことだと強調し、理解を示しました。」
しかし・・・。
「注目を求め続けるマクロン大統領は、私が、イスラエルとイランの『停戦』に取り組むためにワシントンに戻ると誤って発言した。間違っている。私がなぜ、今、ワシントンに向かっているのかわかっていない。停戦とは何ら関係がなく、はるかに大きなことだ」(トランプ大統領)
マクロンは、カーニーと違って、「完全に理解」してないということなわけだ。
やれやれ・・・。
もちろん、17日午前中のウクライナ情勢に対する議論はすっぽかし、ゼレンスキーとの首脳会談も行われなかった。
追加の支援をおねだりしようとしてたのにな・・・。
「完全に理解」どころか、全く理解できないに相違ない。
(G7サミット 最終日 トランプ大統領不在でウクライナ情勢議論へ)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250617/k10014837621000.html
「ウクライナ情勢をめぐってはロシアへの追加制裁といった圧力の強化などをめぐりアメリカのトランプ大統領とヨーロッパの首脳との間で立場の隔たりが浮き彫りになっていて、G7での議論の行方が注目されていましたが、トランプ氏の不在によって、具体的な議論の進展は望めない状況です。」
「また、ウクライナへの軍事支援に消極的なトランプ氏と対話する機会を増やし、理解を求めたいとしていたゼレンスキー大統領にとっても予想外の事態となりました。」
米国の関心がウクライナから離れていることは明白だ。
中東情勢は、たまたま重なっただけの話で、主因ではない。
ただし、米国がウクライナの支援を全面的に打ち切ったとか、特定の支援を止めちまったという話はない。
唯一の例外は、3月上旬の一時的な軍事支援の停止と衛星情報サービスの停止、ドローン迎撃用近接信管(迎撃ミサイル用)の中東米軍への振り替えだけだ。
マルコルビオは、米国議会に対して、前政権が行ったロシアに対する制裁はそっくりそのまま続いていると明言している。
明日にも、ウクライナが軍事的に崩壊するような話になっているということはない。
欧州は新たな経済制裁で盛り上がっているし、タウロスの供与は見送ったけど、ドイツの政策転換もあって、軍事支援は拡大方向にある。
ロシアの猛攻は続いているが、ウクライナはここが踏ん張りどころだ。
が、残念なニュースもある。
(米政権の対ロ圧力作業部会が解散、交渉停滞やNSC大量解雇で=当局筋)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/CB4DQ2OHM5MP7MWDNX3WLW56ZU-2025-06-17/
「トランプ米政権で、ウクライナ和平交渉の加速に向けロシアに圧力をかける戦略を策定する省庁横断作業部会が設立されたものの、最近解散したことが米当局者の話で分かった。」
「作業部会の解散を命令したのが誰なのかは不明。トランプ氏がこの作業部会の設立、そして解散を知っているのかも分からない。」
米国の官僚組織は巨大だからな。
浮沈子的には、トランプ政権になってから設立というところが意外だった。
「作業部会は、国家安全保障会議(NSC)によって3月か4月に設立され、国務省、財務省、国防総省、情報機関の当局者が参加した。停戦合意のとりまとめでロシアに圧力をかける戦略が話し合われた。」
その頃は、100日停戦案が生きていたからな。
「そこで浮上したのは、旧ソビエト諸国、その他東欧・アジア諸国に対し、ロシアとの貿易や、ロシアからのエネルギー輸入を制限するよう促すまたは圧力をかけることだった。ロシア依存を減らす内容の経済協定から秘密の特殊作戦まで、さまざまなアイデアが提起された」
「対ロ制裁回避の取引に利用されている国の一つのカザフスタンに、より積極的に取り締まってもらうようインセンティブの制度を構築する案も出されたという。」
実戦的で、かなり練られたアイデアが検討されていたようだ。
「しかし5月になると、作業部会の活動は停滞する。」
「トランプ氏がロシアに対し強硬姿勢を取ることに関心がないことが、参加者の目で明らかになったため」
やれやれ・・・。
「欧州・ロシア担当の責任者アンドリュー・ピーク氏、ウクライナ戦争を直接担当するチーム全員が解任された。」
NSCの縮小は、以前にも報じられていたけど、対ウクライナ政策に大きな影響を与えたという話は初めて聞いた。
(トランプ米政権、国家安全保障会議の職員数十人を解雇=関係筋)
https://jp.reuters.com/world/security/CPOQTQWZVRPR7KPYIKYLF62JLQ-2025-05-24/
「ウクライナや係争地カシミールなど大半の主要な地政学的問題を担当する職員が同日午後に解雇されたという。NSCはホワイトハウスで外交・安全保障の政策を取りまとめているが、関係筋によると、今回の大幅縮小により政策形成よりも大統領が打ち出す政策の実行に重きを置く小規模な組織と化すとみられる。」
「NSCはバイデン前政権時代は300人以上の職員がいたが、最終的に50人程度に減らされる見込み」
解体的縮小と言っていい。
バイデン政権の遺産を嫌っただけな気もするけど、その影響で作業部会が消滅したことはウクライナにとってはヤバい話だ。
逆にロシアにとっては朗報だろう。
欧州などとの政策協調や、効果的な政策遂行に支障をきたす可能性もある。
ぶっちゃけ、制裁を解除していく時にも、段階的に計画的に行わなければならないが、ちぐはぐな選択を行う可能性も出て来る。
細かい話は、政治家には無理だからな。
縦割りの組織を横断的に掌握して、整合性のある政策を形成する機能は、どの国の政府であれ必要だ。
トランプが、G7をスポイルしたタイミングで出てきた話で、ちょっと出来過ぎな感もあるけどな・・・。
(多くの人が思うより早くウクライナはロシアに勝つ=カナダ専門家)
https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/4004768-duokuno-renga-siuyori-zaokuukurainaharoshiani-shengtsukanada-zhuan-men-jia.html
「戦争は、多くの人が予想しているよりも早く終わる。ウクライナと民主的世界の勝利によってだ。ソ連はアフガニスタンで約10年間負け続けた。それよりはるかに弱いロシアは、(編集注:当時のアフガニスタンより)はるかに強いウクライナに対してそれほど長く耐えられない。戦力の比率に疑いはない。唯一の未解決なことは、政治的意志である」(カナダのトロント大学にて「G7リサーチ・グループ」を率いるジョン・カートン博士(国際関係))
専門家で学者さんでもあるので、根拠は明快で理路整然としている。
ソ連はロシアより強かった
→ウクライナはアフガニスタンよりはるかに強い
→ソ連はアフガニスタンに10年間負け続けた
→したがって、ロシアはウクライナに負ける(しかも、開戦(2022年)から10年以内に!)
完璧だ!。
アリの這い出る隙も無い。
しかし、問題も抱えている。
「唯一の未解決なことは、政治的意志」(再掲)
まあ、それが最大の問題で、ご自身が「G7リサーチ・グループ」を率いているからよーっくご存じのはずだ。
「私たちは、奇妙で憂慮すべき状況も目にしている。トランプ大統領が今もプーチンに関する否定的なことは何も言うことができないのだ」
いったい、どうしてそういうことになっているのか。
ついこの間までは、そういう懸念はなかったのではないか。
事実、ウクライナは反転攻勢に成功し、ロシアを東南部4州に押し戻した(2023年以降は、鳴かず飛ばずだが、それ以前は勢いがあったからな)。
ガザの問題が発生し、米国の支援が滞る中、満を持してクルスクに侵攻し、世界をあっと言わせた。
トランプ政権が誕生して、万事休すと思われたが(3月初旬の状況は悲惨だったな)、今月にはロシアの最深部にまで侵入して戦略爆撃機などを破壊する快挙を成し遂げている。
欧州の結束は固く、ロシアの政策転換でかつてない支援の広がりがみられる(タウルスは供与しないみたいだけど)。
ウクライナの勝利を疑う輩は、勉強不足でトロント大学で単位を取ることは出来ないだろう(そういうことかあ?)。
しかし、米国はウクライナ支援から撤退する。
停戦の仲介についても、双方がその意思を示さない限り、手を出さないことに決めた。
未解決だった政治的意志は、解決できないまま空中分解した。
専門家はロシア(ソ連)が敗北した10年戦争を根拠にしているけど、ロシアは20年以上に渡って戦い続け、ロシア(帝国)が勝利した大北方戦争を例にしている。
どっちもどっちな気がするけど、つまり、当てにはならないのだ。
米国がウクライナ紛争から手を引くと決めたのは、確かに割に合わない投資を止めて可能な限り回収するためだが、その根拠は勝敗の行方にある。
ぶっちゃけ、ウクライナはロシアに勝てないからだ。
本来、ロシアは一方的に侵攻しているわけだから、ロシアがそれを止めれば戦争は終わる。
現政権が、たとえ縮小された国土になったとしても、二度と侵攻を受けない安全保障を獲得し、裏付けとなる強固な軍隊を維持することが出来れば、それは勝利だ。
ロシアの野望は、道半ばにして潰える。
ウクライナから奪い取った領土は、やがて外交的に取り戻すことが出来る可能性がある。
我が国は、第2次世界大戦で国土の多くを失ったが、小笠原や沖縄は外交的に取り戻すことが出来たからな(北方領土や竹島はまだですが)。
別に、米国とドンパチやって奪ったわけではない。
しかし、トランプ政権は、そういう道筋が描けないと見切ったわけだ。
ロシアのウクライナ侵攻は、単なる領土拡張戦ではなかった。
NATOの西進を阻み、大ロシア帝国を復活させるための狼煙だ。
ロシアは、国家の存続と未来を賭けて、死に物狂いで戦っているのだ(そうだったのかあ?)。
浮沈子は最近まで、まさかそんな覚悟でドンパチしているとは夢にも思わなかった。
死傷者も100万を超え、経済も疲弊していることだし、ここいらで手打ちして、現政権の存続を認めて、ある程度の緊張関係を保ちながら、隣国として共存できるのではないかと思っていた。
そうではなかった。
ラブロフは、単にNATO非加盟というだけではなく、現政権の退場を前提としていると明言した。
外国の軍隊の駐留も認めず、事実上、非武装の中立国としてのみ存在を認めるという。
ロシア語の公用語化も押し付ける。
我が国は「無条件降伏」し、漢字の使用も「当用漢字」(当面用いる漢字)として、ローマ字教育と共に、日本語教育の危機に晒されたが、関係者の尽力で、戦後80年経っても、こうして日本語(浮沈子のは、かなり怪しいですが)を用いることが出来ている。
まあ、どうでもいいんですが。
ロシアは、ウクライナを属国として支配下に置こうとしている。
間接統治なわけだ。
それが、実際にどういう形になるかの詳細は分からない。
経済圏としてはEUへの加盟を認めるようだ(EUの方が認めるかどうかの問題はあるけどな)。
が、政治体制や安全保障上の位置付けて譲るつもりはない。
トランプは、プーチンとの直接のやり取りや、特命大使の情報からそれを掴み、ロシアの覚悟と政治的意志を確認した。
そう、西側に唯一欠けている最大の懸案だな。
これは、ロシアの一方的な領土拡張戦争ではないのだ。
ウクライナに勝ち目はない。
勝ち目のない戦争に投資するのはバカだ。
米国は、ウクライナ紛争から撤退する。
ロシアとの関係を改善する必要があるから、衛星情報サービスの供与からも撤退する(当局者は、継続すると言っているらしいが、結局は止めることになるだろう)。
欧州は、米国とは少し違った立場だ。
ロシアと国境を接して存在し、緊張関係に晒されている。
この間、ウクライナを支援し、ロシアに制裁を加えてきたいきさつから、そう簡単には引き下がれない。
ウクライナから手を引けば、次は我が身に襲い掛かってくるわけだからな。
その時期を遅らせ、少しでもロシアを疲弊させておくためにも、ウクライナ支援は続けざるを得ない。
引くに引けないのだ。
んでもって、更なる問題も抱えている。
欧州の支援は、米国の支援あっての補助的なものだ。
今、必死になって米国が抜けた穴を埋めようとしているけど、おそらく十分には出来ないだろう。
加えて、イスラエルとイランの戦争が勃発しちまった。
当初の予定より、大幅に前倒しで米国の支援は途絶えることになった。
これは、ウクライナにとっては一大事だ。
徐々にフェードアウトしていくということなら、武器弾薬の生産力を増強したりもできただろうが、ナタでぶった切るように支援が終わっちまえばそれも叶わない。
2023年10月や、2024年春先の悪夢が蘇る・・・。
欧州自体の安全保障にも大穴が開きかねない。
浮沈子は、欧州の支援も途絶えるに違いないと見ているけど、欧州大戦争の前哨戦であるウクライナ戦線をどうコントロールするかは、彼らが決めることだ。
ウクライナは、欧州諸国に派兵を要請するだろうが(もう、してるかも)、それに応じるかどうかがまず問題だ。
次の段階として、クルスクでウクライナがやったように、欧州がロシアに先制攻撃をかけて出鼻を挫くという作戦だ。
ロシアがウクライナに勝てないと断言するのなら、NATOをもってすればロシアに勝てないことはないんじゃないのかあ?。
もちろん、政治的意志の欠如は、欧州の得意技だからな(そうなのかあ?)。
トロント大学のセンセは、大西洋を隔てているから、その辺りの頃合いが読めないのかもしれない。
(G7サミット、16日から議論…中東情勢・ウクライナ支援や世界経済など巡り「結束」問われる場に)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250616-OYT1T50006/
「議長国カナダは、トランプ氏と他の参加国との溝に焦点が当たることを避けるため、首脳宣言の発表を見送る方針」
「個別のテーマで合意文書を発表することで、連携姿勢を打ち出す方向で調整」
セコっ!。
浮沈子的には、イタリアのメローニがどう出るかにも注目している。
英仏独にカナダを加えた有志連合は、一応足並みがそろってきたのかもしれないが、傍観者の我が国やフランスと反りが合わないイタリアが足を引っ張りかねない(そうなのかあ?)。
今回、ゼレンスキーは17日の午前中に出番があるけど、ひっ迫する中東情勢への対応が押して、下手をすればそれもなくなる可能性がある(そんなあ!)。
ウクルインフォルムは、せっかくインタビューに応じてくれたカートン博士の意見を記事にせざるを得なかったんだろうが、正直鼻白んでいたのではないのか。
今、プーチンがウクライナ侵攻を途中で放り出して、ウクライナの現政権と欧州最強のウクライナ軍を存続させ、将来のNATO加盟を認めると信じている者など誰もいないだろう。
皆無だ。
プーチンがいなくなれば、メドベージェフが後を継ぐ(未確認)。
ブチ切れた新大統領は、就任から3秒以内に核ミサイルの発射ボタンを押すだろう(そうなのかあ?)。
まあいい。
ロシアは、背水の陣を敷いている。
北朝鮮との軍事協定は、その現れの一つだ。
欧州は、彼らとの一戦をも覚悟しなければならない。
特に、越境して先制攻撃を仕掛ければ、その可能性は高まる。
欧州大戦争は、どういう形で始まるにせよ、いよいよ時間の問題になってきている。
それは誰も望んでいないし、そうならないような様々な手立てを取ろうとしているけど、それらはすべて裏目に出て事態を悪化させていくように思われる。
人類の知恵は、核弾頭を制御し、減らしていく方向で調整する仕組みを作りかけたが、中国は毎年増やし続け、米ロの弾頭数も減少は頭打ちだ。
東西冷戦は終わったが、紛争自体は増加傾向にあり、ドローンなどの新兵器の登場で戦場は変わりつつある。
最強の盾を持てば、戦争は防ぐことが出来ると考えるのがふつーだ。
が、相手方は、その盾を破ろうと最強の矛を持とうとする。
抑止力というのが存在するとすれば、最強の矛を持つこと自体が最強の盾にもなるしな。
で、軍事力の増強は留まるところを知らない。
力を持てば、それを行使して恫喝したりドンパチして自国の利益を計ろうとすることは道理だ。
人類は、実にロジカルに戦争する。
勝つか負けるかは、やってみなければ分からないところもある。
分からなければ、とりあえずやめておいて、他の手段を考えればいいんだが、あるものは使いたくなるのが人情だ。
ロジカルなだけではなく、情に流されやすい(そういうことかあ?)。
ドンパチは悲惨だ。
やってみて、それに気が付けばその時点で止めればいいだけだが、一旦始めたものをなかなか止められないというのも無理のない話だからな。
ああ、あそこでやめるんじゃなかったと、後から悔やみたくないからな。
で、結局、あそこでやめておけばよかったという後悔が残る形で終わることになる。
歴史は、その繰り返しで埋まっている。
やれやれ・・・。
(トランプ氏「ロシアのG7除外は誤り」、中国参加にも言及)
https://jp.reuters.com/world/us/AYRXS2T6U5N3JN7BUW4QH34UDU-2025-06-16/
「ロシアを主要8カ国(G8)から除外したのは間違いだった」(トランプ米大統領)
「トランプ氏は今年2月にも、ロシアをG8の枠組みから除外しG7としたのは誤りであり、ロシアの復帰を望むとの認識を示している。」
紛争当事者の一方であるゼレンスキーの目の前で、こういう発言を繰り返すというのは、米国の政治的意志の明確な現れだ。
傷口に塩を塗る所業だろう。
さて、他のG7諸国はどういう政治的意志を示すんだろうな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(欧州委員長、G7パートナーたちに対露制裁強化を呼びかけ)
https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/4004719-ou-zhou-wei-yuan-zhangpatonatachini-dui-lu-zhi-cai-qiang-huawo-hubikake.html
「カラスEU外務・安全保障政策担当上級代表は、同案の発表はEUがロシアとの間で今後も「通常の関係(ビジネス・アズ・ユージュアル)」に戻るつもりはないという明確なシグナルを送るものだと発言」
非常に勇ましい、明確な政治的意志だと感じる。
が、この明快さは両刃の剣だ。
EUの経済制裁には、残念ながら限界がある。
経済は生き物だから、ズルもするし抜け穴も探る。
既成の効果とイタチごっこだ。
また、相互に依存しあっていれば、何とか折り合いをつけて事を荒立てずに済ませようとするかもしれないが、お互いに赤の他人になれば平気でドンパチし出す可能性は高まる。
まして、対立を先鋭化させ、関係離脱を計ろうとしている米国に対しては逆効果となりかねない。
米国は乗ってくるんだろうか?。
ちょっと気になる報道があった。
(米ロ外交協議中止、米国決定とロシア報道官 関係改善に暗雲)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/CYS2KEPQD5KIJKMTAOJWDUSOXY-2025-06-16/
「きょう現在、両国の外交団の活動正常化に向けた『摩擦要因』を取り除く2国間協議の枠組みにおける次回会合は、米交渉担当者の決定により中止された」「休止期間が長引かないことを願う」(ロシア外務省のザハロワ報道官)
3年間途絶えていた2国間の外交関係を正常化させるプロセスが中断したという話だ。
これが何を意味するのかは知らない。
「ザハロワ氏は、1月のトランプ大統領のホワイトハウス復帰後に始まった協議の中断について、米国側が何らかの理由を示したかどうかについては言及していない。」
実務手続きの停止は、いくつかある段階の、まあ、比較的軽微な対応ということになる。
軽くジャブを繰り出す感じか()
G7開催のタイミングと重なるから、単にその影響とも考えられるが、んなことは何年も前から分かっていることだからな。
怪しい・・・。
実に怪しい!。
この件、何か分かればまた書く。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
米ロ交渉の件じゃないんだが、G7絡みで特報が入った。
(トランプ大統領 G7サミット切り上げ帰国 中東情勢を受け)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250617/k10014837041000.html
「ホワイトハウスのレビット報道官は16日、トランプ大統領が中東情勢を受けてG7サミットを切り上げ、16日夜に開催地カナダを離れると明らかに」(すでに帰国済み)
なんと!。
早引けかあ・・・。
「多くの重要な案件に対応するため」(レビット報道官)
「私はできるだけ早く戻らなければならない。できることならあすもここにいたいが、この重大な状況をみんな理解してくれている」(トランプ大統領)
「トランプ大統領の出席に心から感謝する。完全に理解している」(議長国カナダのカーニー首相)
ちょっと気になる発言もあった。
「フランスのマクロン大統領は記者会見で、トランプ大統領が予定を切り上げて帰国することについて、イスラエルとイランの停戦を実現するという目的のためであれば、前向きなことだと強調し、理解を示しました。」
しかし・・・。
「注目を求め続けるマクロン大統領は、私が、イスラエルとイランの『停戦』に取り組むためにワシントンに戻ると誤って発言した。間違っている。私がなぜ、今、ワシントンに向かっているのかわかっていない。停戦とは何ら関係がなく、はるかに大きなことだ」(トランプ大統領)
マクロンは、カーニーと違って、「完全に理解」してないということなわけだ。
やれやれ・・・。
もちろん、17日午前中のウクライナ情勢に対する議論はすっぽかし、ゼレンスキーとの首脳会談も行われなかった。
追加の支援をおねだりしようとしてたのにな・・・。
「完全に理解」どころか、全く理解できないに相違ない。
(G7サミット 最終日 トランプ大統領不在でウクライナ情勢議論へ)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250617/k10014837621000.html
「ウクライナ情勢をめぐってはロシアへの追加制裁といった圧力の強化などをめぐりアメリカのトランプ大統領とヨーロッパの首脳との間で立場の隔たりが浮き彫りになっていて、G7での議論の行方が注目されていましたが、トランプ氏の不在によって、具体的な議論の進展は望めない状況です。」
「また、ウクライナへの軍事支援に消極的なトランプ氏と対話する機会を増やし、理解を求めたいとしていたゼレンスキー大統領にとっても予想外の事態となりました。」
米国の関心がウクライナから離れていることは明白だ。
中東情勢は、たまたま重なっただけの話で、主因ではない。
ただし、米国がウクライナの支援を全面的に打ち切ったとか、特定の支援を止めちまったという話はない。
唯一の例外は、3月上旬の一時的な軍事支援の停止と衛星情報サービスの停止、ドローン迎撃用近接信管(迎撃ミサイル用)の中東米軍への振り替えだけだ。
マルコルビオは、米国議会に対して、前政権が行ったロシアに対する制裁はそっくりそのまま続いていると明言している。
明日にも、ウクライナが軍事的に崩壊するような話になっているということはない。
欧州は新たな経済制裁で盛り上がっているし、タウロスの供与は見送ったけど、ドイツの政策転換もあって、軍事支援は拡大方向にある。
ロシアの猛攻は続いているが、ウクライナはここが踏ん張りどころだ。
が、残念なニュースもある。
(米政権の対ロ圧力作業部会が解散、交渉停滞やNSC大量解雇で=当局筋)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/CB4DQ2OHM5MP7MWDNX3WLW56ZU-2025-06-17/
「トランプ米政権で、ウクライナ和平交渉の加速に向けロシアに圧力をかける戦略を策定する省庁横断作業部会が設立されたものの、最近解散したことが米当局者の話で分かった。」
「作業部会の解散を命令したのが誰なのかは不明。トランプ氏がこの作業部会の設立、そして解散を知っているのかも分からない。」
米国の官僚組織は巨大だからな。
浮沈子的には、トランプ政権になってから設立というところが意外だった。
「作業部会は、国家安全保障会議(NSC)によって3月か4月に設立され、国務省、財務省、国防総省、情報機関の当局者が参加した。停戦合意のとりまとめでロシアに圧力をかける戦略が話し合われた。」
その頃は、100日停戦案が生きていたからな。
「そこで浮上したのは、旧ソビエト諸国、その他東欧・アジア諸国に対し、ロシアとの貿易や、ロシアからのエネルギー輸入を制限するよう促すまたは圧力をかけることだった。ロシア依存を減らす内容の経済協定から秘密の特殊作戦まで、さまざまなアイデアが提起された」
「対ロ制裁回避の取引に利用されている国の一つのカザフスタンに、より積極的に取り締まってもらうようインセンティブの制度を構築する案も出されたという。」
実戦的で、かなり練られたアイデアが検討されていたようだ。
「しかし5月になると、作業部会の活動は停滞する。」
「トランプ氏がロシアに対し強硬姿勢を取ることに関心がないことが、参加者の目で明らかになったため」
やれやれ・・・。
「欧州・ロシア担当の責任者アンドリュー・ピーク氏、ウクライナ戦争を直接担当するチーム全員が解任された。」
NSCの縮小は、以前にも報じられていたけど、対ウクライナ政策に大きな影響を与えたという話は初めて聞いた。
(トランプ米政権、国家安全保障会議の職員数十人を解雇=関係筋)
https://jp.reuters.com/world/security/CPOQTQWZVRPR7KPYIKYLF62JLQ-2025-05-24/
「ウクライナや係争地カシミールなど大半の主要な地政学的問題を担当する職員が同日午後に解雇されたという。NSCはホワイトハウスで外交・安全保障の政策を取りまとめているが、関係筋によると、今回の大幅縮小により政策形成よりも大統領が打ち出す政策の実行に重きを置く小規模な組織と化すとみられる。」
「NSCはバイデン前政権時代は300人以上の職員がいたが、最終的に50人程度に減らされる見込み」
解体的縮小と言っていい。
バイデン政権の遺産を嫌っただけな気もするけど、その影響で作業部会が消滅したことはウクライナにとってはヤバい話だ。
逆にロシアにとっては朗報だろう。
欧州などとの政策協調や、効果的な政策遂行に支障をきたす可能性もある。
ぶっちゃけ、制裁を解除していく時にも、段階的に計画的に行わなければならないが、ちぐはぐな選択を行う可能性も出て来る。
細かい話は、政治家には無理だからな。
縦割りの組織を横断的に掌握して、整合性のある政策を形成する機能は、どの国の政府であれ必要だ。
トランプが、G7をスポイルしたタイミングで出てきた話で、ちょっと出来過ぎな感もあるけどな・・・。

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