言ったVS言わない2016年08月20日 23:59

言ったVS言わない
言ったVS言わない


(安倍首相
核先制不使用、米司令官に反対伝える 米紙報道)
http://mainichi.jp/articles/20160816/k00/00e/010/189000c

「米ワシントン・ポスト紙は15日、オバマ政権が導入の是非を検討している核兵器の先制不使用政策について、安倍晋三首相がハリス米太平洋軍司令官に「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」として、反対の意向を伝えたと報じた。」

内容は、かなり具体的だ。

「同紙は複数の米政府高官の話として、ハリス氏と会談した際、安倍首相は米国が「先制不使用」政策を採用すれば、今年1月に4度目の核実験を実施するなど核兵器開発を強行する北朝鮮に対する核抑止力に影響が出ると反対の考えを述べたという。」

(U.S. allies unite to block Obama's nuclear 'legacy':元記事?)
https://www.washingtonpost.com/opinions/global-opinions/allies-unite-to-block-an-obama-legacy/2016/08/14/cdb8d8e4-60b9-11e6-8e45-477372e89d78_story.html?utm_term=.e1a56f21b318

「Japan, in particular, believes that if Obama declares a “no first use” policy, deterrence against countries such as North Korea will suffer and the risks of conflict will rise.」

「Japanese Prime Minister Shinzo Abe personally conveyed that message recently to Adm. Harry Harris Jr., the head of US Pacific Command, according to two government officials.」

ここまで、踏み込んで懸念を伝えたとしたら、かなり信ぴょう性がある話だとだれもが思うだろうな。

浮沈子も、まあ、そういうことがあったとしても不思議ではないと受け止めていた。

従来からの我が国の政策とも一致しているしな。

だから、さっき、こんな報道があって驚いた。

(安倍首相
「反対」報道を否定…米の核先制不使用巡り)
http://mainichi.jp/articles/20160821/k00/00m/010/045000c

「首相がハリス米太平洋軍司令官に反対の意向を伝えたと米ワシントン・ポスト紙が報じたことについて、「核の先制不使用についてのやりとりは全くなかった。どうしてこんな報道になるのか分からない」と否定した。」

羽田空港で、オリンピックの閉会式に行く時にインタビューに答えたらしい。

これって、いったいどっちなんだろな。

もちろん、ここでは、先制不使用について、改めて意見を述べたわけではない。

「先般、オバマ大統領と広島を訪問し、核なき世界に向け決意を表明した。着実に前進するよう努力を重ねたい」

ただ、毎日はビミョーな編集をしているな。

「先制不使用については「米側は何の決定も行っていないと承知している。今後も米国政府と緊密に意思疎通を図っていきたい」と述べるにとどめた。」

浮沈子は、たぶん、言ったんだろうと思っている。

別に、言っても構わないと思うしな。

外交マターとしての先制使用による抑止力は、まあ、どうでもいいようなもんだ。

絵に描いた餅に過ぎない。

その、絵に描いた餅が、外交ゲームの持ち札として、結構重要だったりするんだろうが、それはプロの外交の世界だ。

言ったんなら、言ったと言えばいいだけじゃん?。

それを、わざわざ、慌ただしい出発のタイミングで否定しなくてもいいような気もするしな。

きっと、米国側から、否定してくれと頼まれたのかもしれない。

(ワシントン・ポスト)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88

「ワシントンD.C.の地方紙であるが、世界的影響力を与える「高級紙」の部類であり、新聞の読者もアメリカ合衆国の高学歴層が大半である。」

昔、ワシントンに行ったときに、ホテルの部屋に届けられた新聞がこれだった。

1週間分はあるんじゃないかという、とてつもない分量だったな。

「保守派からは「ポトマック河畔のプラウダ」と揶揄された。」

浮沈子は、ワシントン・ポストといえば、何といってもウォーターゲート事件だな。

(ウォーターゲート事件)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6

「1972年6月にワシントンD.C.の民主党本部で起きた盗聴侵入事件に始まったアメリカの政治スキャンダル。」

米国政治の恥部だな。

「議会の大統領弾劾の動きに抗しきれなくなって合衆国史上初めて大統領が任期中に辞任」

ディープ・スロートという内部告発者が出てきたりして、スパイ小説顔負けの話がごろごろしている。

ディープ・スロートの意味が分からないって?(子供は、分かんなくていいです!)。

(ディープ・スロート (ウォーターゲート事件):ディープ・スロートの正体)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%88_(%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%88%E4%BA%8B%E4%BB%B6)#.E3.83.87.E3.82.A3.E3.83.BC.E3.83.97.E3.83.BB.E3.82.B9.E3.83.AD.E3.83.BC.E3.83.88.E3.81.AE.E6.AD.A3.E4.BD.93

「後に明らかになったことだが、1972年10月にウッドワードとフェルトが初めて「密会」してから数日をおかずに、大統領執務室の録音テープから、ハリー・ロビンス・ハルデマン補佐官がワシントン・ポストに情報を入れたのはマーク・フェルトであったとニクソンに報告している。その報告の情報源はワシントン・ポスト内であった」

ちょっと、背筋が寒くなるような話だな・・・。

まあいい。

今回の話は、それほどのことじゃあない。

秘密をリークした米国の政府高官が、どうなろうと、知ったことではない。

そもそも、我が国が先制不使用に反対であることは、何十年も前からの既定路線であるし、民主党政権時代を含めて、その方針は変わっていない。

今更、ワシントン・ポストの報道を否定しても、何のメリットもないと思うんだがな。

ワシントン・ポストといえば、こんな記事もあった。

(ワシントン・ポストの五輪リポーター、実は人工知能だった!)
http://www.gizmodo.jp/2016/08/rio-ai-report.html

「米大手メディア、ワシントン・ポストが、リオ五輪の報道に一部、人工知能を採用していることを明かしました。使っているのは自社開発の人工知能「Heliograf」。」

「将来的には大統領選挙での活用も予定されています。」

先制不使用の記事は、さすがにヘリオグラフじゃないと思うが(元記事にはBy Josh Roginとある)、ちょっとドキドキしたな・・・。