懐疑的 ― 2017年01月02日 22:36
懐疑的
歳のせいだろうか?。
最近、何事によらず懐疑的になってしまう。
というか、批判的、いや攻撃的といってもいい。
これは、歳のせいなのか、元々の性格なのか、そもそも対象とする物事が、実際そのようになってきたということなのか。
例えば宇宙旅行、例えば高速増殖炉、例えば核融合発電。
今にも実現しそうな話を聞かされ、莫大な予算と人材、長期に渡るアプローチを続けながら、具体的な話は何一つ実現していない。
生臭い話は、いろいろある(石油に代わるエネルギー源が実用化されると困る人が大勢いるとか・・・)。
しかし、そもそも、そういう現実とのしがらみは別にして、何か根本的に実現を阻害する要素があるのではないか。
宇宙旅行については、いくつか具体的な要素を挙げることが出来る。
避け難いロケットの爆発リスク、無重力による骨や筋肉の衰え、宇宙放射線による遺伝子の損傷、長期間の閉所での生活、エトセエトセ・・・。
高速増殖炉については、もう、その実現をまともに信じることは誰もできなくなった。
そして、核燃料サイクルという神話が崩壊した後には、核廃棄物の管理という負の遺産だけが残されていく。
人類の歴史と比較して、永遠にも近い時間をその存在と共に生き続けなければならない未来の人々。
浮沈子は、その罪を贖うことが出来るのは、核融合だと信じてきた。
核分裂エネルギーの利用は、本来のエネルギーである核融合を手にするまでの必要悪、やむを得なかった所業として贖罪するしかないと考えてきたのだ。
しかし、その核融合さえ、ひょっとしたら絵に描いた餅に終わるかもしれない。
(究極のエネルギー源「核融合エネルギー」を人類は実用化することができるのか?)
http://gigazine.net/news/20161111-fusion-energy-explained/
「しかし、一番の問題は、実現のためにどれほどのコストがかかるのかがわからない所にあります。いわば、何兆円というお金をかけても実現するかどうかがわからないが、実現すると大きなメリットを得ることができる、という史上空前のギャンブルというわけです。」
「場合によっては、多額の予算をつぎ込んだあげく、使い物にならない遺産が残されてしまうことも考えられます。」
「そのため、同じお金をかけるのであれば、すでに確立されている既存の技術に投資する方がよい結果を生むかもしれません。」
壮大な博打に、どれだけの金をつぎ込んでいくのかという話は、ここにも顔を出してくる。
(核融合炉実現へ険しい道
実験炉運転、大幅に延期)
https://this.kiji.is/159121500107572726?c=39546741839462401
「核融合の開始時期は2027年から35年に大幅に延期され、建設費も当初の約3倍の2兆円余りに増加。」
つまり、高速増殖炉と同じ構造がここにもあるということだ。
もし実現すれば、大きなゲインがあるから、投資を続けるべきだ、と。
高速増殖炉の場合、我が国がエネルギー資源に乏しいという事情が拍車をかけた。
現状では、世界のエネルギーはだぶついていて、生産調整をしないと価格下落が起こる状況になっている。
こんな記事もあった。
(核融合炉は本当に可能か?)
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/1006/201006_102.html
「研究者の間では,核融合発電所の建設と運転は,核融合の火の玉を作り出すという物理的課題よりもずっと困難だろうという認識が広がりつつある。」
「これまでの考え方は,『確かに難しい問題はあるが,いずれ解決はつくだろうから,まずは核融合反応そのものに集中しよう』というものだった」という。「それは間違いだったかもしれない」
つまり、今達成しようとしている目標がクリアされたとしても、実際の発電というのは不可能という結論に至るかもしれないというのだ。
何たる杜撰さ・・・。
NIFの実験が成功したという話は聞かない。
つまり、核融合というのは、爆弾以外に成功したことはないのだ。
今世紀中(つまり、概ね80年以内)に、成功する目途も立っていない。
実用段階どころか、実現する見通しすらない。
それだけ困難な技術であるということもある。
そして、少しでも実現に近づこうという方向性はある。
しかし、そこから先に進む気配はない。
ひょっとしたら、本当は高速増殖炉の液体ナトリウムのような、管理が難しい要素が見つかっていて、それがクリアできないことが既に分かっているのではないのか。
「実用的な核融合炉を作るには,何百万度もの高温に何年間も連続して耐えられる材料が必要になる。しかも,高エネルギーの核子が常に衝突するので,通常の材料は脆くなるし放射能を帯びてしまう。さらに,一部の核融合燃料を複雑な増殖プロセスによって生産する必要もある。」
余程のブレイクスルーが連続しなければ、実現は不可能に思える。
それでも、夢のエネルギーを求めて投資を続けるのは、人間の欲があるからだ。
「核融合の燃料は通常の海水中に含まれているし,廃棄物は大気中への排出物も放射性廃棄物もゼロになるはずだ。核融合によって,エネルギーに対する人類の飽くなき欲求は満たされるはずだ。永遠に。」
まあ、やや正確さを欠く記述には違いないが、一般の認識はその程度だろう。
トリチウムを初めとする放射性廃棄物の問題は、新たな議論を呼ぶだろうし、既に触れた炉の放射化は避けることは出来ない。
エネルギー資源が、地球上に偏って存在していることが、多くの災いを生んだように、核融合技術を持つ国と持たざる国の存在が、新たな不均衡をもたらす可能性もある。
人類は、この手の問題を起こすのは得意だからな。
海水中の資源ということになれば、内陸国と海洋に接する国との格差は、確実に発生する。
大陸国家と海洋国家という、使い古された区分が、新たな意味を持ってくるかもしれないし。
まあ、どうでもいいんですが。
新年なのにな。
懐疑的な気分は晴れない・・・。
歳のせいだろうか?。
最近、何事によらず懐疑的になってしまう。
というか、批判的、いや攻撃的といってもいい。
これは、歳のせいなのか、元々の性格なのか、そもそも対象とする物事が、実際そのようになってきたということなのか。
例えば宇宙旅行、例えば高速増殖炉、例えば核融合発電。
今にも実現しそうな話を聞かされ、莫大な予算と人材、長期に渡るアプローチを続けながら、具体的な話は何一つ実現していない。
生臭い話は、いろいろある(石油に代わるエネルギー源が実用化されると困る人が大勢いるとか・・・)。
しかし、そもそも、そういう現実とのしがらみは別にして、何か根本的に実現を阻害する要素があるのではないか。
宇宙旅行については、いくつか具体的な要素を挙げることが出来る。
避け難いロケットの爆発リスク、無重力による骨や筋肉の衰え、宇宙放射線による遺伝子の損傷、長期間の閉所での生活、エトセエトセ・・・。
高速増殖炉については、もう、その実現をまともに信じることは誰もできなくなった。
そして、核燃料サイクルという神話が崩壊した後には、核廃棄物の管理という負の遺産だけが残されていく。
人類の歴史と比較して、永遠にも近い時間をその存在と共に生き続けなければならない未来の人々。
浮沈子は、その罪を贖うことが出来るのは、核融合だと信じてきた。
核分裂エネルギーの利用は、本来のエネルギーである核融合を手にするまでの必要悪、やむを得なかった所業として贖罪するしかないと考えてきたのだ。
しかし、その核融合さえ、ひょっとしたら絵に描いた餅に終わるかもしれない。
(究極のエネルギー源「核融合エネルギー」を人類は実用化することができるのか?)
http://gigazine.net/news/20161111-fusion-energy-explained/
「しかし、一番の問題は、実現のためにどれほどのコストがかかるのかがわからない所にあります。いわば、何兆円というお金をかけても実現するかどうかがわからないが、実現すると大きなメリットを得ることができる、という史上空前のギャンブルというわけです。」
「場合によっては、多額の予算をつぎ込んだあげく、使い物にならない遺産が残されてしまうことも考えられます。」
「そのため、同じお金をかけるのであれば、すでに確立されている既存の技術に投資する方がよい結果を生むかもしれません。」
壮大な博打に、どれだけの金をつぎ込んでいくのかという話は、ここにも顔を出してくる。
(核融合炉実現へ険しい道
実験炉運転、大幅に延期)
https://this.kiji.is/159121500107572726?c=39546741839462401
「核融合の開始時期は2027年から35年に大幅に延期され、建設費も当初の約3倍の2兆円余りに増加。」
つまり、高速増殖炉と同じ構造がここにもあるということだ。
もし実現すれば、大きなゲインがあるから、投資を続けるべきだ、と。
高速増殖炉の場合、我が国がエネルギー資源に乏しいという事情が拍車をかけた。
現状では、世界のエネルギーはだぶついていて、生産調整をしないと価格下落が起こる状況になっている。
こんな記事もあった。
(核融合炉は本当に可能か?)
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/1006/201006_102.html
「研究者の間では,核融合発電所の建設と運転は,核融合の火の玉を作り出すという物理的課題よりもずっと困難だろうという認識が広がりつつある。」
「これまでの考え方は,『確かに難しい問題はあるが,いずれ解決はつくだろうから,まずは核融合反応そのものに集中しよう』というものだった」という。「それは間違いだったかもしれない」
つまり、今達成しようとしている目標がクリアされたとしても、実際の発電というのは不可能という結論に至るかもしれないというのだ。
何たる杜撰さ・・・。
NIFの実験が成功したという話は聞かない。
つまり、核融合というのは、爆弾以外に成功したことはないのだ。
今世紀中(つまり、概ね80年以内)に、成功する目途も立っていない。
実用段階どころか、実現する見通しすらない。
それだけ困難な技術であるということもある。
そして、少しでも実現に近づこうという方向性はある。
しかし、そこから先に進む気配はない。
ひょっとしたら、本当は高速増殖炉の液体ナトリウムのような、管理が難しい要素が見つかっていて、それがクリアできないことが既に分かっているのではないのか。
「実用的な核融合炉を作るには,何百万度もの高温に何年間も連続して耐えられる材料が必要になる。しかも,高エネルギーの核子が常に衝突するので,通常の材料は脆くなるし放射能を帯びてしまう。さらに,一部の核融合燃料を複雑な増殖プロセスによって生産する必要もある。」
余程のブレイクスルーが連続しなければ、実現は不可能に思える。
それでも、夢のエネルギーを求めて投資を続けるのは、人間の欲があるからだ。
「核融合の燃料は通常の海水中に含まれているし,廃棄物は大気中への排出物も放射性廃棄物もゼロになるはずだ。核融合によって,エネルギーに対する人類の飽くなき欲求は満たされるはずだ。永遠に。」
まあ、やや正確さを欠く記述には違いないが、一般の認識はその程度だろう。
トリチウムを初めとする放射性廃棄物の問題は、新たな議論を呼ぶだろうし、既に触れた炉の放射化は避けることは出来ない。
エネルギー資源が、地球上に偏って存在していることが、多くの災いを生んだように、核融合技術を持つ国と持たざる国の存在が、新たな不均衡をもたらす可能性もある。
人類は、この手の問題を起こすのは得意だからな。
海水中の資源ということになれば、内陸国と海洋に接する国との格差は、確実に発生する。
大陸国家と海洋国家という、使い古された区分が、新たな意味を持ってくるかもしれないし。
まあ、どうでもいいんですが。
新年なのにな。
懐疑的な気分は晴れない・・・。
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