印象の印象2014年06月14日 06:05

印象の印象
印象の印象


パリに着いて、丸2日間が経った。

12日午前中のパリ市内観光、午後はオルセー美術館で鑑賞、TGVに乗ってルマン予選観戦、夜明かしして13日朝、TGVでパリに戻り、仮眠の後、マルモッタン美術館、オランジェリー美術館で鑑賞の後、凱旋門登頂(?)、オペラ座近くでカツ丼セット(13.5ユーロ)を食べるという盛りだくさんの内容だった(カツ丼は普通盛りですが)。

まあいい。

12日のパリ市内観光では、ドビュッシーの墓もお参りするというコアな内容である。

この間で、最も印象的だったのは、クロード・モネの「印象・日の出」を鑑賞できたことである。

印象派に関心がある浮沈子としては、パリに来たからには、外せないプログラムである。

鑑賞しないで、帰れるかあ?。

地下鉄を乗り継いで、ラ・ミュエット駅で降り、午後の日差し溢れる公園を横切って美術館に到着。

10ユーロを払い、中に入る。

ここは、2日券が使えないのだ。

1階、2階と見て回ったが見当たらない。

あれえ?、どっかに貸し出してるのかあ?。

地下1階が、印象派のコレクションになっている。

階段を降りた左手に、小さなその絵は浮沈子が来るのを待っていた。

灰色と白とオレンジだけの絵の具で、朝もやに煙る港の日の出が描かれている。

(印象・日の出)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B0%E8%B1%A1%E3%83%BB%E6%97%A5%E3%81%AE%E5%87%BA

実際の絵は、水面に映るオレンジの絵の具に、白が盛ってあったりして、ちょっと複雑な色使いをしているのだが、光の画家と言われたモネの面目躍如である。

今観ても、さりげない色使いや筆遣いによって、対象の特徴を見事に表現する手法は、さながら魔法のように思えるのだ。

見たままを、網膜に飛び込んできた光子をそのまま、カンバスと絵の具を通して定着させる。

対象が何であれ、優れた観察と揺るぎない技法で描かれた絵は、近くで見ても何の変哲もない、いや、むしろ、絵の具を乱暴に塗りたくっただけの稚拙な絵画にしか見えない。

それが、少し離れて全体の様子が見えてくると、精緻に描かれた騙し絵などよりも、はるかにリアルに見えてくるから不思議だ。

そこには、光子を絵画として定着させるに当たり、人間の脳が果たす役割を熟知した巨匠の腕前が光っている。

なるほど、この絵があるだけで、この美術館の価値は数倍になっているだろう。

もちろん、モネのコレクションだけでも大変充実しており、睡蓮の連作もあるし、バラ垣を描いた連作もあった。

睡蓮と言えば、オランジェリー美術館の楕円形の部屋が2つ繋がっているところに描かれた、壁画ともいえる睡蓮の作品(一部屋に4つ)が有名だが、「これでもか」といった雰囲気があり、浮沈子は好きになれなかった。

それに引き換え、地味な色使いの「印象・日の出」は、小さいながらもこの画家の才能を窺わせるに足る強烈な印象があったし、何より、日本からわざわざこの絵を見るためだけ(あれ、ルマンに来たんじゃなかったっけ?)に9700kmを飛んだことを思うと、浮沈子は、不覚にも涙が出て仕方なかった。

それほど感動したし、強い印象を与える絵だった。

どんなに印刷技術が進歩しても、モニターの解像度や色再現性が進歩しても、画家が捕らえた光子を放つオリジナルの絵画に勝るものはない。

特に、印象派の絵画の中には、絵の具の盛り上がりの陰影まで利用しているんじゃないかと思われる作品もあって、是非是非、実物を拝まれることをお勧めする。

オルセーも良かったし、今回は時間と体力と、ルマンでの予選鑑賞に思いの他時間を取られたこともあって、3つしか見られなかったが、それぞれ世界に冠たる美術品を収蔵していて、特にオルセーの印象派コレクションは、一見に値するな。

浮沈子なんか、感動して涙が止まらなかった。

ルーブルとかもいいけど、是非、オルセーやマルモッタンにも足を運んで頂きたい。