🐱スターシップ:スーパーヘビーブースター:スタティックファイアテスト:31/33は成功なのか?2023年02月11日 05:21

スターシップ:スーパーヘビーブースター:スタティックファイアテスト:31/33は成功なのか?


(SpaceX、Starship の巨大なスーパー ヘビー ブースターで 31 基のエンジンをテスト発射)
https://spaceflightnow.com/2023/02/09/spacex-test-fires-31-engines-on-starships-gigantic-super-heavy-booster/

「エンジニアがブースターの 33 個のエンジンの 1 つを点火直前に停止し、別のエンジンが「自動的に停止した」」

「つまり、全体で 31 個のエンジンが発火しました」

「しかし、軌道に乗るにはまだ十分なエンジンです!」

このテストは、スターシップにとっては重要なマイルストーンなわけだ。

「Gwynne Shotwellは・・・同社は木曜日に完全な静的燃焼テストを試みると述べ、「SpaceXにとって重要な日」と呼んだ.」

「実際に火をつけて出発する前に行うことができる最後の地上試験」

メディアは、次の発言を大々的に報じている。

「本当の目標は、発射台を爆破しないことです。それが成功です。」

これが、ギャグに過ぎないことは誰でも知っている。

テストの成功と呼べるのは、33機全てのエンジンが正常に点火されることだったことは明白だ。

軌道に上がるのに十分だとか、エリックラルフが言ってるように、エンジンの合計出力が史上最大を更新したかという話ではない。

(SpaceX Starship ブースターは、記録破りの 31 エンジンの静止火災に耐えました)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-booster-survives-most-powerful-static-fire-in-history/

「31 台のラプターが N1 の推力記録を破るには、平均スロットル設定が約 64% 以上である必要があり、不合理とは言えません。」

ったく、んなこたぁ、どーでもいーんですよ・・・。

浮沈子的には、このスタティックファイアテストは、当然のことながら失敗だと見ている。

単なる31/33という、点火したエンジンの数の問題じゃなく、スーパーヘビーブースターが、完成には程遠いことをうかがわせる、決定的な失敗なわけだ(そうなのかあ?)。

確かに、ここ2年間のスターシップの開発は、いくつかのトラブルがあったとはいえ、保守的な開発モードで行われてきた。

大量の資本を投下して作り上げた発射施設を温存したいというのも、確かに合理的な理由ではあるけれどな。

だが、仮に発射台をぶっ壊したとしても、貴重なデータが取れれば、そっちの方が長期的には速いペースでの開発に繋がる(たぶん)。

今回は、その意味では、多少ギャンブルな面があったかも知れない。

べらぼーな出力を発揮する猛獣を、フルに解き放つわけだからな。

そのリスクを冒す価値があるチャレンジで、結果的には最小のネガで切り抜けたと言えるのかもしれない。

まあいい。

しかし、全基が正常に起動しなかったことは、浮沈子的には大いに不満だ。

これが「成功」などとは、お世辞にも言えない。

事前に停止された1基のラプター(原因不明)だけならまだしも、自動停止した2基目(こっちも原因不明)があったというのは致命的だ。

今回は、たまたま1基だけが不発だったけど、次回は全部不発になるかも知れないじゃないの(そうなのかあ?)。

そんなロケットに、貴重なペイロードを載せられるのかあ?。

ラプター2改良型エンジンは、まだまだ完成には程遠いわけだ。

そして、その不安定なエンジンを33基も組み込んだスーパーヘビーブースターは、33倍ヤバいことになる(そういう計算なのかあ?)。

もちろん、一方では、クラスター化して束ねて使えば、一つ一つの信頼性は低くても、ある程度の冗長性が生まれることにはなる。

実際、ファルコン9でも、過去に作動不良を起こしているからな。

が、しかし、そういうのは、実際の運用の中で不測の事態が発生した場合の保険として組み込まれているわけで、通常は全てのエンジンが正常に稼働することが期待されている。

まだ開発中なわけだから、もちろん、完璧に動くとは限らない。

何らかの問題が発生することは、当然、想定の範囲内だ。

繰り返すが、今回どんな問題が起きたのかは、現時点では不明だ。

だが、安心して飛ばせる状態にないことだけは明確になった。

従来から、スーパーヘビーの地上テストは、慎重を期して起動するエンジンの数を小刻みに増やしてきた(一度は、全部同時にやるつもりで予備燃焼をチャレンジしたようですが、漏れ出たメタンに引火したしな・・・)。

それ以来、徐々に起動エンジンの数を増やして、今回、満を持しての全基起動のトライだったはずだが、結果は失敗に終わった(少なくとも、部分的失敗であることは否めない)。

品質管理上の問題なのか、ラプター2改良型の設計や製造の根本的な問題なのか。

スーパーヘビーブースターは、これまで何度も、エンジンを取り付けてから交換したりしているからな。

機体に取り付けてみないと、完全性の確認が出来ないのかも知れない(まともなテスト環境がないんだろう:つーか、エンジンテストを期待に取り付けてやる発想なのかも)。

そうなると、エンジン側だけではなく、スーパーヘビーブースターの燃料系の問題も気になる。

原因の究明には時間がかかる可能性があるな。

ひょっとすると、年内の打ち上げも怪しい(そうなのかあ?)。

3月だとか、4月だとか、メディアは勝手に書いているけど、まあ、絶対に、その時期には飛びっこない(断定的!:どんだけ早くても夏前ということはない)。

一方では、発射台の損傷の修復の問題もある。

壊滅的な破壊は免れたかもしれないけど、煙道を持たない安普請の発射台は、噴射の度に損傷し、毎回修復をしなければならない(ボカチカのスターベースは試験施設という位置付けだから、それはそれでいいのかもしれないけどな)。

次回の全基起動テストだって、5月くらい(3か月後)にならなければ実施不可能だ(発射台は2つあるから、交互に使えばすぐに出来るかもな)。

もちろん、そこで新たな問題が発生すれば、試験飛行は更にその後になる。

見かけは31基の制御起動に成功したわけだが、内実はボロボロズタズタな状況なわけだ(そんなあ!)。

じゃあ、今回のスタティックファイアテストは、目も当てられないほどの大失敗なのかと言えば、そんなことはない。

もろ手を挙げての大成功ではないけれど、前回14基の発射に留まったテストに比べれば、倍以上のラプターエンジンを起動することに成功している。

更に言えば、起動後に制御的に停止することにも成功した(ここ、重要です!)。

次のテストでは、正真正銘、33基全基の正常起動にチャレンジすることになる。

その際に、2段目を積み重ねた上で行うかは考え物だ(浮沈子は、まずは今回と同じように、スーパーヘビーブースター単体で行うと見ている)。

2段目のスターシップを積んだ完全な状態で、安定的に静的噴射を行う目途が立てば試験飛行に進めるが、それは当分先の話だ(早くても秋頃か)。

機体構造の動的挙動や、軌道速度からの2段目再突入など、飛ばしてみなければ分からないことは多いから、一日でも早く打ち上げたいところだが、エンジンの起動すらまともに行えない現状では、それ以前にやることが山ほどあることになる。

(SpaceX は、その巨大なスーパー ヘビー ロケットのホット ファイア テストを完了します [更新])
https://arstechnica.com/science/2023/02/as-early-as-today-starship-faces-its-final-exam-before-a-launch-attempt/

「本当の目標は発射台を爆破しないこと、それが成功だ」

メディア受けするコメントが、あちこちで使われているな。

それは、あくまでも、墜落激突爆発炎上木っ端微塵を繰り返してきた開発の経緯を振り返って、ショットウェルが放ったジョークに過ぎない。

確認しておこう。

「打ち上げチームは点火の直前に 1 つのエンジンを停止し、別のエンジンは自動的に停止しました。」

「SpaceX にとって朗報なのは、少なくとも初期の段階では、南テキサスの打ち上げインフラはほとんど無傷に見えたことです。」

それが全てで、それ以上でもそれ以下でもない。

「これは SpaceX にとって大きなマイルストーンであり、3 月後半または 4 月初旬に予定されている軌道試験飛行に向けて同社を軌道に乗せる可能性があります。」

外野はそれを期待しているが、浮沈子は極めて懐疑的だ(ありえねー・・・)。

これまでの、ド派手な開発の歴史をとりあえず棚上げにして公平な目で見るならば、スーパーヘビーブースター単体(2段目無し)での全基起動試験は、ありていに言って失敗に終わった。

それだけの話だ・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(スペースXが大型ブースター「スーパーヘビー」の点火試験実施 31基のエンジン同時点火に成功)
https://sorae.info/space/20230211-super-heavy-static-fire-test.html

「願わくば、今年はスターシップ」

たぶん、これが本音だろうな・・・。

浮沈子も、年内に上がればめっけもんだと思っている。

気になったのは次の部分だ・・・。

「dearMoonではスターシップは月の周回軌道に入らず、月の裏側を通過した後はそのまま地球へ戻ってくるため、打ち上げ後の推進剤補給は計画されていません。月面での離着陸を行うスターシップHLSに比べればハードルは低そうに思えます」

HLSの方が、大気圏再突入を伴わない分、100倍簡単だろう(そうなのかあ?)。

月面での離着陸なんて、半世紀以上前に、もっと複雑で危険なプロセス(着陸船と離陸船のエンジンは別もので、起動や分離に失敗すれば一巻の終わり)で、アポロが成功させているしな。

ショットウェルは、そこんとこは分かっている。

「スターシップによる有人飛行が少なくとも100回以上の無人飛行を重ねた後で行われると予想」

浮沈子的には、自由帰還軌道であれ何であれ、スターシップで人間を乗せて大気圏再突入→ネコ着地するのは、2030年代半ば以降の話と見ているからな。

10年早い。

もっとも、ちっとも分かってないのではないかと思われる節もある。

「・・・来年(2024年)はスターシップを100回飛ばしたい。来年は無理だとしても、2025年には100回飛ばせるだろう」

記事では、1日数十回の打ち上げを目指す話も出てくる。

やれやれ・・・。

まあ、このくらいオプチミスティックでなければ、S社の社長は務まらんだろうがな・・・。

スターシップの未来はバラ色に見えるが、全ては33基のラプターエンジンの点火に成功した暁の話だ。

それがクリアできなければ、ロケット革命なんて、いつまで経っても絵に描いた餅のまま終わる。

それを願っているロケットメーカーは多いだろうな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(スーパー ヘビー ロケットは、伝説のサターン V を上回る 31 のラプター エンジンの試験発射を実行しました。)
https://www.elonx.cz/raketa-super-heavy-provedla-testovaci-zazeh-31-motoru-raptor-a-prekonala-tak-legendarni-saturn-v/

「イーロン・マスクは、スターシップが2つのエンジンが機能していない状態で離陸したとしても、軌道に到達できると述べました。」

そう、それは誰でも知っている。

次が重要だな。

「ただし、実際の打ち上げの試みでは、ロケットはまったく離陸しないことを付け加えておく必要があります。これは、コンピューターが点火中にエンジンのいずれかに問題を検出した場合、打ち上げが中止されるためです。」

思った通り、点火エラーで起動しなかったエンジンがあれば離陸は行われない(考えてみれば当然ですが)。

こんな情報もある。

「SpaceX は後に、テスト中にエンジンが約 50% の出力に抑制されたことを特定したため、総推力は約 3,600 トンでした。これは、アポロ計画の伝説的なサターン V 月面ロケットよりもわずかに高いです。ただし、総推力は約3,900トンで、現在の王様であるアメリカのSLSロケットよりは少し劣ります。」

リンクされているツイッターには次の記述がある。

「スーパー ヘビー ブースター 7 は、31 台のラプター エンジンの全期間の静的燃焼テストを完了し、推力 790 万ポンド (約 3,600 トン) を生成しました。これは、ブースターの能力の半分未満です。」

まあいい。

いずれにしても、スーパーヘビーブースターのスタティックファイアテストは失敗に終わった。

記録も達成できていないしな。

顔を洗って、出直すしかないのだ・・・。

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