🚀スターライナー:複合的要因2024年08月11日 10:06

スターライナー:複合的要因


(ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」、帰還が大幅遅れ - いったいなぜ?)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240810-3002943/

「当初は8日間、また長くとも45日間が予定されていたミッションだが、7月が過ぎ、そして打ち上げから約2か月が経過したいまなお、NASAとボーイングは具体的な帰還の目標日さえ発表していない」

記事では言及されていないが、45日間というのはスターライナーに搭載されているバッテリーの寿命とされている。

まあ、認定しているのがNASAだから、その辺りはさじ加減でどうにでもなるのかもしれないが、物理(化学?)の神様は容赦なく劣化を進行させるからな。

まあいい。

猛暑とダイビングの日程の関係でブログをサボっているうちに、ウクライナはロシア本土に侵攻し、お盆を控えて新型コロナは小康状態(と言っても、第11波は進行中)となっている。

変わらないのはスターライナーだけだ。

やれやれ・・・。

「スラスターの問題については、太陽からの加熱が引き金になった可能性が高いとされている。スターライナーの太陽電池は、サービス・モジュールの後部に貼ってあるため、軌道上では太陽にお尻を向けるような姿勢で飛行する時間が長い。そのため、その部分が過熱状態になり、スラスターに問題が起きたというシナリオ」

記事では、ドッグハウス内の断熱材は、この過熱に対する措置だと見ているようだが、当然、蓄熱効果もある。

「もちろん、断熱材を貼るなどして対策は取られていたものの、たとえば太陽の熱に加え、スラスターの噴射によるそれ自身の過熱、断熱材によってスラスターが入っているポッド全体が魔法瓶のような状態になってしまう」

浮沈子が引っ掛かったのは、次のくだりだ。

「複合的な要因によって、想定よりも過熱した可能性がある」

今回のポイントはそこだろうな。

多くの場合、複合的要因の中身を解析することは難しい。

そんなことが簡単にできるのなら、競馬のような賭け事は成立しなくなる。

未来を完全に見通すことはできないのだ。

そうはいっても、ある程度は予想できるから、その範囲で対策して、後は実際に試験を積み重ねることになる。

スターライナーは、その段階にあるわけだから、想定外のトラブルに見舞われていること自体は驚くことではない。

しかし、既に無人飛行の段階でも同様の現象は起きていたわけで、未解決なまま有人飛行を行ったという点については褒められた話ではない。

「8月8日になり、NASAとボーイングは一転して、ウィルモア、ウィリアムズ両宇宙飛行士を別の宇宙船で帰還させる検討を行っていることを認めた。」

妥当な措置だろうな。

「最近明らかになったところでは、スターライナーCFT-1の機体には自動操縦の機能がなく、無人でISSから離脱するには、ソフトウェアを更新しなければならない」

有人機として設計されたスターライナーが、完全に無人の状態で運用できない仕様に変更されたことは驚くことではないけど、ソユーズやクルードラゴンが完全無人運用を可能としていることを考えると、いささか疑問も感じる。

担当者は、「しまった!」と思ったに違いない。

「スターライナーは2019年と2022年に無人での飛行試験を行っており、このときは無人でISSへのドッキングと離脱が可能な能力をもっていた。なぜ、現在の機体からそれが外されているのかは明らかになっていない。」

まあ、どうでもいいんですが。

ケチが付きまくっているスターライナーだが、そもそも、そういう話は想定の範囲内で、開発が断念されたり、NASA以外の顧客が付かずに赤字続きになることも想定されているわけだから、B社が早々に損切りに動くことだってあるに違いない。

「原因究明が終わっても、改修や追加の試験などに時間がかかる可能性もある。さらに、これまでの度重なる開発の遅延や、飛行試験で問題が相次いでいることを鑑みると、また別の未知の問題が潜んでいる可能性も否定できない」

浮沈子的には、この辺りで決断した方が傷が浅くて済む気がする。

金勘定のマネージメントは得意でも、技術の統合能力に限界があるわけだからな。

複合的要因を妥当な範囲に押し込んで、表面化しないように制御することが出来ないわけだ。

「問題の調査、対処、復旧作業にあまりにも時間がかかりすぎており、一般・メディアに対する説明も不十分かつ首尾一貫していない。」

NASAは当初から、最終決定は上級管理者が行うと明言している。

つまりだな、このCFTが上手くいかないということになれば、スターライナーの開発を断念するという状況なわけだ(そうなのかあ?)。

B社は、これに先立って既に16億ドルを持ち出していることを明らかにしている。

NASAは、2機種体制のISSタクシーを諦めることになり、B社の信用は地に落ちるだろう。

ソユーズしかなかった状況に比べれば、クルードラゴンを手に入れたわけで、十分な成果は得ている。

スターライナーを捨ててしまっても、惜しいことはない。

この宇宙船は問題が多すぎる。

鳥嶋さんが指摘しているように、隠れた瑕疵はほかにもあるに違いない。

全自動で帰還させるためのソフトウェアの試験には、1か月余りを要するといわれる。

それだって、スラスターが物理的な損傷に見舞われればカバーは出来ず、ISSに激突するリスクもある。

この宇宙船は、人を乗せずに運用することは想定されていないからな。

何十というロケットエンジンを使い捨てにする高コストな設計という点でも、先々に禍根を残す恐れがある。

ここは、潔く兜を脱いでS社に道を譲るべきだろう。

スターシップが出来れば、SLSもお払い箱になるしな。

2040年頃には、有人宇宙開発から完全撤退することになるに違いない(そうなのかあ?)。

2030年には、ISSはお払い箱だしな。

後継の民間宇宙ステーションも決まらず、月軌道ゲートウェイの先行きも怪しい。

お先真っ暗な気もするがな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(NASAはほぼ1世代で最も重要な安全上の決定を下そうとしている)
https://arstechnica.com/space/2024/08/nasa-is-about-to-make-its-most-important-safety-decision-in-nearly-a-generation/

「差し迫った決定の中心にいる3人の管理者、NASAのケン・バワーソックス氏とスティーブ・スティッチ氏、ボーイングのリロイ・ケイン氏は、2003年のスペースシャトルコロンビア号 の不運な最終飛行で重要な役割を果たしたか、その事故の影響を経験した人物である。」

「スターライナー宇宙船をどうするかというNASAの決定と、 21年以上前にNASAがコロンビア号 の状況について検討していたことの間には、重要な違いが1つある。」

「当時、シャトル計画の責任者は コロンビア号の左翼前縁の損傷に気付いていなかった。シャトルから返ってきたデータはすべて、再突入と着陸に問題がない状態であることを示していた。今日、管理者はスターライナーに問題があることを認識している。」

メーカーであるボーイングは、スターライナーでの有人帰還に自信を持ち、ユーザーであるNASAは懸念を抱いている。

どこかで聞いたような話だが、B社の「自信」が当てにならないことは、これまでも何度も(特に航空機の分野で)明らかになっている。

「率直に言って、彼らはコロンビア号については無知だったか、同じレベルの精査をしていなかった。断熱材の剥離が問題になるとは思っていなかったからだ」(元NASA宇宙飛行士)

「また、この件では、ボーイングはスターライナーの乗組員が無事帰還することに大きな問題はないと確信しているが、NASA内部にはそう感じていない人もいる」

コロンビア号の事故に絡めたこの記事に、浮沈子はやや違和感を感じている。

当時とは状況が異なるし、関与した人物はNASAの関係者なわけだからな。

共通の人々であることに意味はない。

が、人間の判断のベースになる「経験」という点では無関係ではないだろう。

一方で、その人々が今回のCFT打ち上げを推進したことも指摘されている。

「その決定は十分に支持されていたのか、それとも誰かが『打ち上げ熱』に駆られていたのか?」(NASAエイムズ研究センターの元所長で コロンビア号 事故調査委員会の委員でもあるスコット・ハバード氏)

重要な指摘もある。

「残念ながら、宇宙飛行の現実の世界では、完璧な飛行理論はめったにありません」(NASAの元飛行ディレクター、ウェイン・ヘイル氏)

「時には優れた飛行理論もありますが、飛行の根拠として提案されている理論には曖昧さが含まれていることがほとんどです。飛行理論が適切かどうかを判断するには、誰かが判断を下さなければなりません。」

NASAは、どういう判断をするのかな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(私は今回NASAの安全文化を信頼しており、あなたもそうすべきだ)
https://arstechnica.com/space/2024/08/with-starliner-stuck-in-space-has-nasas-safety-culture-changed-since-columbia/

「当時、私はこの悲劇が、宇宙飛行について考え、書き続けるという私の職業人生の残りの方向性を決めることになるとは思ってもいませんでした。これが私のキャリアにおける情熱のすべてとなりました。」

エリックバーガーの宇宙ジャーナリストとしての原点が、コロンビア号の事故だったわけだ。

「スターライナーの宇宙飛行士ブッチ・ウィルモアとスニ・ウィリアムズの命がかかっている状況で、彼らが正しい判断を下すと信じる理由はあるのだろうか。」

彼は、スターライナーを捨てて、クルードラゴンで帰還させるのが正しいと信じているようだ。

が、記事にもあるように、コロンビア号の事故はチャレンジャーに引き続いて起こった。

「チャレンジャー号の事故後、変化があったが、それらは消え去り、持続しなかったことを私たちは観察しました」(ジョージ・ワシントン大学の著名な宇宙史学者、ジョン・ログスドン氏)

残念ながら、浮沈子は歴史が繰り返されると見ている。

「シャトルは 2003 年までに何十回もの飛行に成功していましたが、スターライナーは依然としてテストと開発の段階にあります。したがって、「これは前にも見たことがある」という罠に陥ることは困難」

「さらに、シャトルは燃料電池やその他の消耗品のために軌道上での寿命が限られていましたが、ミッション マネージャーはスターライナーの問題を数日ではなく数週間、さらには数か月にわたって調査できるという余裕があります。」

「最後に、2003年からの大きな変化として、NASAの管理者は、乗組員を帰還させるためのすぐに利用できるバックアップオプション、つまり信頼性の高いクルードラゴン宇宙船を手に入れました。」

これらの理由は決定的ではない。

宇宙開発が政治的な側面を持つことを考えれば、受け入れられるリスクであれば、それを取らせるに違いないのだ。

今回は、大統領選挙の時期とも重なっているからな。

トランプを応援するイーロンマスクが率いるクルードラゴンに花を持たせるわけにはいかない(そうなのかあ?)。

NASAの安全文化の根底にあるのは、この役所が政治のおもちゃになりやすい点だ。

下級技術者の意見がどれだけ権限を持っていたとしてもだ。

宇宙開発がリスキーなのは、それが困難だからというより、ど派手な成果を得るために、リスクを顧みずに突入するという原理的な事業性格にも依っている。

事故は宿命だし、その犠牲者の数だけ進歩がある。

「チャレンジャー号の20年後にコロンビア号が来ましたが、NASAはチャレンジャー号以前と同じ機能不全パターンに陥っていたと私たちは評価しました。今日、NASAとボーイングが閉鎖的で耳を傾けていないと非難する人はいません。チャレンジャー号の教訓は忘れ去られたと思いますが、コロンビア号の教訓は忘れ去られていません。」(ジョン・ログスドン氏)

問題はそこじゃないと思うんだがな。

政治的要因と切り離して、技術的に妥当な選択ができるのかどうか。

相変わらず、威勢の良い選択をして賭けに出るのかどうかだ。

残念ながら、浮沈子は後者と見ている。

コロンビアの時だって、全員がソユーズで帰還するとか、次のスペースシャトルの打ち上げを待って帰還するという選択肢はあった。

そこで威勢を張ったのは、米国がメンツにこだわったからだ。

今回もそうなるだろう。

何事もなく、有人で帰還することが出来れば英雄だ。

スターライナーも、首の皮一枚繋がる。

そうでなければ悲劇が起こる。

大統領選挙に与える影響も大きい。

現政権が、そのリスクを取るかどうかは分からない。

しかし、その動機は十分過ぎるほどある。

スターライナーの開発断念の結論が、早期(11月の大統領選挙前)に出されるとは思わないけど、それに繋がることは間違いない。

リスク回避としてのクルードラゴンでの帰還に落ち着く公算は高いが、B社は民主党に自社の宇宙船を有人帰還させるように働きかけるだろうからな(未確認)。

もちろん、無人で帰還させることは可能だろうし(来月までにはプログラムの入れ替えが可能か)、それが成功すれば、開発は継続するかもしれない。

技術的にクリアな話ではない。

とすれば、複合的要因を考慮した総合判断ということになる。

下級技術者の意見がどうこう言う話ではない。

そこに拘ってどーする!?。

歴史は繰り返す。

その瞬間を、我々は目撃することになるかもしれない・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(NASAはスターライナーの推進問題のリスクを定量化できないことを認める)
https://arstechnica.com/space/2024/08/nasa-acknowledges-it-cannot-quantify-risk-of-starliner-propulsion-issues/

「今月初めに開かれたいわゆるプログラム管理委員会の会議で、NASA の管理者はスターライナー計画に携わるさまざまなチームの代表者に対し、ボーイングの宇宙船が 2 人の乗組員とともに地球に帰還するのを承認する準備ができているかどうかを尋ねた。」

「委員会のメンバーの多くがノーと答えたため、NASA はスターライナーの帰還飛行の正式な「許可」か「中止」を決定するはずだった飛行準備状況レビューの上級職員会議を延期した。」

「それはまさに『適切な決定を下すために必要なすべてのデータが揃っていると感じますか』というものでした。私から見ると、ほとんどの人が「いいえ」と答え、もう少し作業が必要で、だからこそ私たちは作業を続けているのです。すでに「はい」と答えた人も数人いました。」(NASAの安全およびミッション保証局長ラス・デローチ氏)

クルードラゴンの打ち上げは延期され、さらに、それに乗って打ち上げられる宇宙飛行士の数も見直されようとしている。

「このドラゴン宇宙船は、5 か月または 6 か月の探査のために 4 人ではなく 2 人の乗組員を乗せて打ち上げられるため、来年地球に帰還したスターライナーの宇宙飛行士が座るための空席が残ることになる。」

家族は、既に何かを知らされているのかもしれない。

「ウィルモアさんの妻ディアナさんは、家族の故郷に近いテネシー州ノックスビルのCBS系列局に対し、クリスマス、結婚30周年、そして娘たちの学校行事のために夫が留守にすることに備えていると語った。」

「おそらく2月か3月までは帰ってこないと思います」

「とにかく順応して、予想外の出来事を予想するしかない」

殺伐とした宇宙開発の記事ばっか読んでいると、命懸けでロケットに乗る宇宙飛行士にも家庭があり、日常の生活があることを忘れそうになる。

予想外の出来事を予想する、か・・・。

やっぱ、スターライナーは無人で帰還させるべきだろうな。

この記事には、もう一つの側面(殺伐とした宇宙開発?)として、スラスターの検討に関する記述がある。

「元宇宙飛行士のバウワーソックス氏は、NASAが他のプログラムから推進装置の専門家を招き入れ、スラスターの問題を改めて検討したと語った。」

「NASAの他のセンターから招聘された外部エンジニアたちは、これまでのところ、スターライナーにフルタイムで取り組んでいるチームの評価にほぼ同意している」

「同じようなスラスターを扱い、同じような問題を経験した人はたくさんいます」

「私たちが目にしているものについてのフィードバックは受け取っており、その多くは軌道上で観測していた兆候の原因だと私たちが考えていたものを裏付けるものです。」

ちょっと気になる記述もある。

「NASAがウィルモア氏とウィリアムズ氏をスターライナーで帰還させると決定した場合、NASAは当初予想していた以上のリスクを受け入れなければならないだろうとバウワーソックス氏は述べた。」

つまりだな、スターライナーは、故障のリスクを抱えたままの状態で宇宙飛行士を乗せて帰還することになるわけだ。

そのことは、誰も否定できない(実際に故障したしな)。

しかし、それがどの程度のリスクなのか、それが十分に受け入れ可能な程度かを評価するための数値化が出来ないでいる。

数値化するためには理論化が必要であり、そのためには因果関係の理解と十分なデータが不可欠だが、それには時間と手段が足りないわけだ。

「NASAの職員らは、宇宙船内で地球に帰還する場合、スラスターの問題が宇宙飛行士にどの程度の追加リスクをもたらすかを数値化できなかった。」

時間といっても、数週間かも知れないし数年かも知れない。

ホワイトサンズで行われた試験も、宇宙空間での環境を完全に再現したものではないしな。

結局は、あやふやで曖昧な状況の中で、現実的な決断を下すことになる。

「最終決定は NASA の最高幹部であるジム フリー氏か、NASA 長官のビル ネルソン氏に委ねられる可能性がある。」

技術的確証がない中では、ネルソン長官の決定は政治的なものになる。

浮沈子が、メーカーであるボーイングの主張をNASAが受け入れて、スターライナーで帰還することになると見ているのはこのためだ。

「ボーイング社は8月2日、「スターライナー宇宙船と、乗組員を乗せて安全に帰還する能力に引き続き自信を持っている」と述べた。」

NASAは、何も変わっていない。

チャレンジャーの時も、コロンビアの時も、この役所は「技術」という煙幕を上手に使って政治的意図を強行した。

ぶっちゃけ、宇宙飛行士は消耗品だ(そんなあ!)。

代わりはいくらでも揃えられる。

だが、スターライナーを諦めた場合、代わりのISSタクシーをもう一つ仕立てることは不可能だろう。

もっとも、将来的にはドリームチェイサーを有人化するという手は残っている。

(ドリームチェイサー)
https://en.wikipedia.org/wiki/Dream_Chaser

「ドリームチェイサースペースシステムは、もともと有人機として計画されていましたが、ドリームチェイサーカーゴシステムの貨物型が運用可能になった後に生産される予定です。有人型は、最大7人の乗客と貨物を低地球軌道まで運ぶ予定」

「ドリームチェイサーのコンセプトとデザインは、NASA のオリジナルのスペースシャトルプログラムの流れを汲むものです。」

有人機が開発される頃には、ISSは南太平洋の藻屑となっているだろうけど、後継の民間宇宙ステーションへの有人運搬手段としては活躍の余地がある。

「2019年に、使い捨てのシューティングスター貨物モジュールがCRS-2飛行のドリームチェイサー貨物システムの一部になることが発表」

「このモジュールは再突入時に燃え尽きることで不要な貨物の廃棄をサポートします。」

「貨物の運搬に加えて、シューティングスターモジュールには最大6kWの電力を供給するソーラーパネルが搭載されている。また、能動的および受動的な熱管理も提供し、6つの搭載されたスラスタを介してドリームチェイサーの移動および回転機能を提供」

おっと、こっちも使い捨てスラスターとソーラーパネルの組み合わせか・・・。

まあいい。

有人バージョンの太陽電池やスラスターがどうなるかは分からないけどな。

また、有人バージョンは折り畳みの翼でフェアリング内に収まる貨物バージョンとは異なる可能性もある。

「CRS-2ガイドラインを満たすため、貨物ドリームチェイサーは折りたたみ式の翼を持ち、直径5メートルのペイロードフェアリングに収まる。これは、フェアリングなしで打ち上げられることを意図している有人ドリームチェイサーとは対照的である。」

浮沈子的には、こっちに賭けた方が無難だと思うんだかな・・・。

<また追加>ーーーーーーーーーー

このブログ記事を読み返していてあることに気づく。

「残念ながら、宇宙飛行の現実の世界では、完璧な飛行理論はめったにありません」(NASAの元飛行ディレクター、ウェイン・ヘイル氏)

「時には優れた飛行理論もありますが、飛行の根拠として提案されている理論には曖昧さが含まれていることがほとんどです。飛行理論が適切かどうかを判断するには、誰かが判断を下さなければなりません。」

つまり、技術的あいまいさを完全になくすことはできない。

「シャトルは 2003 年までに何十回もの飛行に成功していましたが、スターライナーは依然としてテストと開発の段階にあります。したがって、「これは前にも見たことがある」という罠に陥ることは困難」

経験による罠に陥ることは困難だという主張があるが、こんなことも書いてある・・・。

「元宇宙飛行士のバウワーソックス氏は、NASAが他のプログラムから推進装置の専門家を招き入れ、スラスターの問題を改めて検討したと語った。」

「NASAの他のセンターから招聘された外部エンジニアたちは、これまでのところ、スターライナーにフルタイムで取り組んでいるチームの評価にほぼ同意している」

「同じようなスラスターを扱い、同じような問題を経験した人はたくさんいます」

「私たちが目にしているものについてのフィードバックは受け取っており、その多くは軌道上で観測していた兆候の原因だと私たちが考えていたものを裏付けるものです。」

浮沈子は、これを読んでハッとしたのだ。

NASAは、外部プログラムの経験を外挿することによって、自ら「経験の罠」にハマっていこうとしているのではないか。

つまりだな、スラスターの故障なんて話はどこにでも転がっている日常的な話で、ボーイングの見解(有人で帰還させることに対する自信)は妥当だということなわけだ。

技術的あいまいさを残し、開発中の有人宇宙船に無人機(たぶん)の経験を重ね、「これは前にも見たことがある」という罠にハマろうとしている。

もう一つ、気になる話もある。

クルードラゴンの打ち上げが1か月以上延期になった背景には、現在のスターライナーには無人で帰還させるためのプログラムが欠如し、有人飛行でないと帰還させられない問題がある。

無人帰還させるプログラムをチェックしてロードするには、4週間かかると言われていたからな。

延期ということは、一見、無人で帰還させるためと考えることもできるが、既にOFT-2で実証済みな帰還方法で、実は有人帰還させるという可能性も残されている。

これもまた、無人機での経験を外挿して罠にハマろうというパターンなわけだ。

OFTー2は成功したんだから、その方法を採るという選択肢を否定することは難しい。

しかも、スラスター不良の原因は「ある程度」分かっているわけで、OFT-2に比べて成功する可能性はむしろ高まっていると見ることもできる。

スターライナーを首の皮一枚残して先につなげるためには、何としても2人の宇宙飛行士を乗せて帰ってこなければならないからな。

もちろん、物理の神様が見逃すはずはない。

不完全な飛行理論をどのように組み合わせたところで、完全な飛行理論にはならない。

NASAは、自ら罠にハマっている。

経験値を外挿し、「これは前にも見たことがある」と思い込もうとしている。

スターライナーCFTは、完全自動飛行で有人帰還させる。

これが浮沈子の大胆な予想だ。

もちろん、例によって当てにはならない。

2人の宇宙飛行士をクルードラゴンで帰還させるという「無難」な選択の可能性は、依然として高い。

そこからの仕切り直しは一苦労だろうが、考えられる範囲での最良の選択だと思われる。

その後、B社が開発を断念する可能性もある。

そうなれば、NASAはこれまでの投資をすべて失い、メンツをつぶされ、チキンと揶揄され、末代までの恥を晒すことになる(そうなのかあ?)。

まして、無人帰還に成功したりすれば、B社が非難されることはないだろう。

そして、その可能性は高い。

ぶっちゃけ、来年の2月か3月のクルードラゴンでの帰還飛行でトラブルになれば、それこそ目も当てられないからな。

様々な要素とリスクを天秤にかけ、NASAは結論を出すだろう。

いや、既に結論は出ていて、それに向かってシナリオを進めているだけなのかもしれない・・・。