😼LLSVP:海洋島玄武岩と月の成り立ち ― 2025年03月04日 00:58
LLSVP:海洋島玄武岩と月の成り立ち
地磁気反転は浮沈子の地球科学的興味の対象だ。
南大西洋異常帯(サウスアトランティックアノマリー:SAA)については、「けんてーごっこ」の初代合格者でもある。
(南大西洋異常帯)
https://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/04/17/6416061
「「南大西洋異常帯検定」なるページがあったので、チャレンジして見事合格した」
「(たった2問ですが)」
まあ、どうでもいいんですが。
他にも関連記事を書いている。
(新型コロナと地磁気異常の怪しい関係)
https://kfujito2.asablo.jp/blog/2020/05/30/9252394
「浮沈子は、南大西洋異常帯のけんてーごっこ初代被認定者である(エッヘン!:アホか・・・)。」
ちなみに、当時は見ることが出来た関連動画はリンク切れしていた。
まあいい。
久々にSAAのウィキ(英語版)を開いたら、ちょっと気になる記述が増えていた。
(南大西洋異常)
https://en.wikipedia.org/wiki/South_Atlantic_Anomaly
「南大西洋異常は、アフリカ大低せん断速度地域と呼ばれる地球内部の非常に密度の高い岩石の巨大な貯留層によって引き起こされると思われます。」
この記述は日本語版にはない。
「大低せん断速度地域」って、なーに?。
(LLSVP)
https://ja.wikipedia.org/wiki/LLSVP
「巨大低速度領域(きょだいていそくどりょういき、英語: Large low-shear-velocity provinces : LLSVP あるいは LLVP) とは、地球のマントル最下部に存在する大規模な構造の集まり」
「これらの領域ではせん断速度が小さいことが特徴であり、地震波トモグラフィーによって発見された。主要な2つの領域が太平洋とアフリカの下に数千 kmスケールで存在」
「せん断速度」というのがワケワカだが、グーグルAIが関連の論文(のプレス記事)を見つけてきた(流体の運動に関係した値らしい)。
(下部マントル深部の地震波速度異常(LLSVPs)を解き明かす鍵(プレスリリース))
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2016/160919/
「地震波速度の解析により、深さ660kmから2900kmの領域は下部マントルと呼ばれる層が存在していることが分かっています。また2000kmよりも深いところでは地域的な地震波速度異常が観測されています。」
「地震波速度には縦波音速VPと横波音速VSがありますが、ここでは両者から計算されるバルク音速VBと横波音速VSを用いて話を進めます。」
「太平洋とアフリカ大陸の地下では、平均的な値よりもVBが速く、VSが遅くなっています。この異常を示す区域は、LLSVPs(Large Low Share Velocity Provinces)と呼ばれています。」(原文ママ:Share←Shearの間違い)
うーん、なんだか余計ワケワカになっちまった気がするけど、地震波の伝わり方が下部マントル層において異常値を示す巨大構造があるということらしい。
で、ウィキの英語版を見てみた。
(大きな低せん断速度地域)
https://en.wikipedia.org/wiki/Large_low-shear-velocity_provinces
「主な地域には、アフリカLLSVPと太平洋LLSVPの2つがあり、どちらも核マントル境界から横方向に数千キロメートル、垂直方向には最大1,000キロメートルに及ぶ可能性がある。これらは、プレートテクトニクスの分野で著名な2人の地質学者、(ジョン)ツゾー・ウィルソンとW(ウィリアム)・ジェイソン・モーガンにちなんで、それぞれツゾーとジェイソンと名付けられている。」(画像参照)
「LLSVP はまだ比較的謎に包まれており、その性質、起源、地球力学的効果については多くの疑問が残っています。」
で、その起源のところを読んで驚いた。
「現在、LLSVP に関する有力な仮説は、沈み込んだ海洋スラブの蓄積である。」
まあ、こっちの方はありきたりな気がする。
地殻などの岩石層(リソスフェア)が沈み込む
→コアとマントルの境界でLLSVPに化ける(ちょっと違う?)
→その真上に小さなプルームの小さなクラスターが形成
→それが組み合わさってより大きなプルームを形成
→さらにスーパープルームになる
驚いたのはこっち。
「LLSVP の起源として提案されているもう 1 つの説は、その形成が巨大衝突仮説に関連しているというものです。」
「地球がテイアと呼ばれる惑星サイズの天体に衝突した後に月が形成」
「LLSVP はテイアのマントルの破片が地球の核マントル境界まで沈んだものである可能性」
「マントルの破片の密度が高いのは、地球のマントルの他の部分と比較して鉄 (II) 酸化物に富んでいるためです。この鉄 (II) 酸化物の組成が高いことは、月のサンプルの同位体地球化学や、LLSVP の上にある海洋島玄武岩の同位体地球化学とも一致しています。」
何か困った時に、地球外由来のアイテムに頼るというのは、生命の起源の話でも出てくる手法だがな。
まあいい。
真偽のほどは分からないけど、化学組成を説明しやすいというメリットはありそうな気もする。
「海洋島玄武岩」というのも聞きなれない。
(海洋島玄武岩)
https://en.wikipedia.org/wiki/Ocean_island_basalt
「海洋島玄武岩(OIB:Ocean island basalt)は、プレート境界から離れた海洋で噴火した火山岩で、通常は玄武岩質の組成をしています。」
「拡大中心(発散型プレート境界)で噴火する中央海嶺玄武岩(MORB)や沈み込み帯(収束型プレート境界)で噴火する火山弧溶岩とは異なり、海洋島玄武岩はプレート内火山活動の結果です。」
「中央海嶺の上にあるアイスランドや沈み込み帯の近くにあるサモアなど、海洋島の玄武岩の位置はプレート境界と一致する場合もあります。」
こっちも、なかなかややっこしそうだ。
「多くの海洋島玄武岩は火山ホットスポットで噴火する。」
「マントルプルーム上の地球の地殻プレートの相対運動により、年代が進むにつれて火山島と海山の連鎖が形成され、最も新しい活火山はマントルプルームの軸より上に位置し、より古い休火山はプルームの導管から次第に遠ざかる位置に位置するようになります」
「たとえば、ハワイ-天皇海山連鎖の最も古い海山は、8000万年以上前のものです。」
「海洋島の玄武岩はすべてマントルプルームの産物というわけではありません。」
「地球のマントルにおける海洋島玄武岩マグマの起源は様々であることが確認されているが、その主成分は古代の海洋性玄武岩質地殻のリサイクルであり、沈み込み帯の脱水過程の微量元素と同位体の特徴を受け継いでおり、高磁場強度元素が豊富に含まれて いる。」
ここでは、ジャイアントインパクト説は封印されているようだ。
記事は、地球化学的解説が延々と続くが、ワケワカなので割愛する。
浮沈子がダイビングで潜っている南の島は、殆ど全てプレート運動由来の地域(沈み込み帯)だから、プレート内火山活動による海洋島玄武岩にお目にかかることはない(ハワイで潜ったことはありません)。
異説であるティアのカケラが月と地球の両方にあり、45億年経った今でも海洋島の下に沈んでいるというのはなかなかロマンあふれるストーリーだ。
せいぜい1億年未満でプレートが沈み込み帯からマントルに落ち込み、リサイクルされて島弧付近から吹いただけというのは、あんまワクワクする話ではないからな(そうなのかあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子が魅かれたのは、南大西洋異常帯(SAA)がLLSVP(アフリカ:ツゾー)の影響を受けた話が、もしかするとジャイアントインパクトで砕け散ったティアのカケラだったりするんじゃないかという点だ。
ちなみに、ティアというのはセレーネ(月の女神)の母親なんだそうだ。
(テイア(惑星))
https://en.wikipedia.org/wiki/Theia_(planet)
「ギリシア神話では、テイアはティターン族の一人で、後に結婚したヒュペリオンの妹であり、月の女神セレーネの母である。この物語は、惑星テイアが月を創造したという理論的な役割と平行している。」
「太陽系初期に存在したとされる古代の惑星で、巨大衝突仮説によれば、約45億年前に初期の地球と衝突し、その結果放出された破片の一部が合体して月を形成した。」
「衝突シミュレーションは、下部マントルの大きな低剪断速度領域がテイアの残骸であるという考えを支持している。」
業界(学会?)で、この仮説がどれ程受け入れられているのかは知らない。
(地球の中心核近くの塊は他の惑星との衝突の残骸だと研究が発表)
https://www.theguardian.com/science/2023/nov/01/blobs-near-earths-core-are-remnants-of-collision-with-another-planet-study-says
「月のマントル岩石とLLVP関連の玄武岩が同じ化学的特徴を共有しているなら、どちらもテイア由来であるはずです。」
ウィキの出典からだが、2023年11月とあるから、比較的最近の発表だ。
もう一つの出典はNYTだが、アーカイブのリンクで読める。
(研究によると、月は「大きな衝突」によって形成され、地球深部に痕跡を残したという。)
https://archive.md/20231101232849/https://www.nytimes.com/2023/11/01/science/moon-formation-theia.html#selection-511.0-511.40
「科学者たちは、クレーターやテイアと呼ばれる原始惑星の破片のような決定的な証拠を欠いていた。」
「私たちは地球の深部を調査しました」(研究を率いたカリフォルニア工科大学の博士研究員、チアン・ユアン氏)
「衝突天体テイアの大きな破片を発見しました。」(同上)
「ユアン博士は、ツゾとジェイソンの体積が月の体積とほぼ同等であることに気づき、彼と彼の同僚は、これらがテイアの別の破片である可能性があるのではないかと考えました。」
「ユアン博士によると、シミュレーションではテイアのマントルの10%以上が地球の深部マントルに埋め込まれた可能性も示された。」
「シミュレーションは説得力のある仮説を提供したが、証拠にはならなかった」(今回の研究には関わっていないチューリッヒのスイス連邦工科大学の地球物理学教授、ポール・タックリー氏)
「その塊が海洋地殻または原始時代の残骸から来た可能性はまだある」「私たちの研究では他の理由を排除することはできない」(ユアン博士)
沈んだだけなら、ホットスポットから上がってくる溶岩(海洋島玄武岩)を調べても、ティア由来かどうかは分からないなあ・・・。
SAAのウィキのリンクを見てみた。
(科学者たちは宇宙の穴についてかなり不安を感じている)
https://www.popularmechanics.com/space/satellites/a43412493/nasa-tracking-dent-in-earths-magnetic-field/
「SAA は、アフリカ大低せん断速度地域と呼ばれる、地下深くにある非常に密度の高い岩石の巨大な貯留層によって生じたものと思われます。地球の磁場形成に最も大きく寄与しているのは、地球の外核にある溶融金属の動きですが、アフリカ大低せん断速度地域はその流れを妨げ、結果として磁場全体を弱めています。」
外核の流動を阻害するだけでいいなら、確かに地磁気異常の原因になるかも知れない。
「研究者の中には、SAA は地球の磁場が反転する兆候であり(これは何十万年もかかるが、起こり得る)、電子機器や通信システムに深刻な影響を及ぼす可能性が高いと理論づけている人もいる。」
LLSVPが地磁気反転とどう関わっているのかは知らない。
地下数千kmの世界は、地震波や地磁気によってしか知ることは出来ない。
地磁気の強さは減少し続けていて、1500年も経てば消えて無くなると言われている。
それが、地球上の生命にどんな影響を与えるかは分からない。
ダイビングの時に、コンパスナビゲーションが出来なくなることは間違いないからな。
ナチュラルナビゲーションも、ちゃんと練習しとかないとな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(地球の奥深くに古代惑星の遺跡が眠る)
https://www.caltech.edu/about/news/the-remains-of-an-ancient-planet-lie-deep-within-earth
「1980年代、地球物理学者たちは驚くべき発見をした。地球の中心近くの深部で、大陸ほどの大きさの異常物質の塊が2つ見つかったのだ。1つはアフリカ大陸の真下、もう1つは太平洋の真下だ。それぞれの塊は月の2倍の大きさで、周囲のマントルとは異なる割合の元素で構成されている可能性が高い。」
使える画像を探していて見つけたカルテクの記事。
現論文は金を払わないと読めない。
やれやれ・f・・。
ユアン博士の出てくるリンク先の動画も見た。
LLSVP証拠として挙げているのは3つ。
・巨大衝突シミュレーションでティアの一部が地球に取り込まれたこと(地球のマントルを半分だけ溶かして残った固体マントルに沈み込んだ)
・地球化学者は、LLSVPの化学組成が周囲のマントルとは異なると考えていること
・非常に高解像度のマントル滞留シミュレーションを行って、2つのLLSVPが出来上がったこと
まあ、動画では2つの山が出来てるけどな。
LLSVPの発見は50年も前だ。
しかし、それをジャイアントインパクトの痕跡として捉えたたのは、ユアン博士らの研究がおそらく初めてなんだろう。
んな、45億年も前の物的証拠が見つかるなんて、誰も想像していなかったに違いない。
で、例によって気になるのは、ユアン博士が地球生命に言及している点だな。
「(月を形成する巨大衝突による地球進化の初期条件は、)地球がこれまでのどの惑星とも、地質学的生物学的に異なる理由の1つの基本的な要因であると思います。」
ここまではいい。
論文のアブストラクトが乗っているページには、気になる記述もある。
(月形成インパクターが地球の底部マントル異常の原因か Moon-forming impactor as a source of Earth’s basal mantle anomalies)
https://tiisys.com/blog/2023/11/02/post-128890/
「巨大衝突は惑星集積の最終段階でよく見られるため、衝突によって引き起こされる同様のマントル不均一性は、他の惑星体の内部にも存在する可能性があります。」
うーん、これじゃあ、まるで地球型生命の誕生や進化の要件は、宇宙全体に遍く存在していると言わんばかりだ(そうなのかあ?)。
巨大衝突時代については、最近のシミュレーションで当たり前になったけど、今のところ太陽系内に地球外生命がいるという話はない。
ユアン博士も、「1つの基本的要因」と限定しているからな。
動画の最後には、アルテミス計画によって月の岩石が大量にもたらされ、研究の進展が期待できるとかなんとか・・・。
2023年11月じゃ、ドナルドトランプとイーロンマスクの名コンビは、まだ誕生していなかったしな。
このコンビが、NASAを破壊し尽くすことは十分懸念される。
アルテミスがどうなるかは、まだ、誰にも分からない。
それもまた、「1つの基本的要因」なのかもな・・・。
地磁気反転は浮沈子の地球科学的興味の対象だ。
南大西洋異常帯(サウスアトランティックアノマリー:SAA)については、「けんてーごっこ」の初代合格者でもある。
(南大西洋異常帯)
https://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/04/17/6416061
「「南大西洋異常帯検定」なるページがあったので、チャレンジして見事合格した」
「(たった2問ですが)」
まあ、どうでもいいんですが。
他にも関連記事を書いている。
(新型コロナと地磁気異常の怪しい関係)
https://kfujito2.asablo.jp/blog/2020/05/30/9252394
「浮沈子は、南大西洋異常帯のけんてーごっこ初代被認定者である(エッヘン!:アホか・・・)。」
ちなみに、当時は見ることが出来た関連動画はリンク切れしていた。
まあいい。
久々にSAAのウィキ(英語版)を開いたら、ちょっと気になる記述が増えていた。
(南大西洋異常)
https://en.wikipedia.org/wiki/South_Atlantic_Anomaly
「南大西洋異常は、アフリカ大低せん断速度地域と呼ばれる地球内部の非常に密度の高い岩石の巨大な貯留層によって引き起こされると思われます。」
この記述は日本語版にはない。
「大低せん断速度地域」って、なーに?。
(LLSVP)
https://ja.wikipedia.org/wiki/LLSVP
「巨大低速度領域(きょだいていそくどりょういき、英語: Large low-shear-velocity provinces : LLSVP あるいは LLVP) とは、地球のマントル最下部に存在する大規模な構造の集まり」
「これらの領域ではせん断速度が小さいことが特徴であり、地震波トモグラフィーによって発見された。主要な2つの領域が太平洋とアフリカの下に数千 kmスケールで存在」
「せん断速度」というのがワケワカだが、グーグルAIが関連の論文(のプレス記事)を見つけてきた(流体の運動に関係した値らしい)。
(下部マントル深部の地震波速度異常(LLSVPs)を解き明かす鍵(プレスリリース))
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2016/160919/
「地震波速度の解析により、深さ660kmから2900kmの領域は下部マントルと呼ばれる層が存在していることが分かっています。また2000kmよりも深いところでは地域的な地震波速度異常が観測されています。」
「地震波速度には縦波音速VPと横波音速VSがありますが、ここでは両者から計算されるバルク音速VBと横波音速VSを用いて話を進めます。」
「太平洋とアフリカ大陸の地下では、平均的な値よりもVBが速く、VSが遅くなっています。この異常を示す区域は、LLSVPs(Large Low Share Velocity Provinces)と呼ばれています。」(原文ママ:Share←Shearの間違い)
うーん、なんだか余計ワケワカになっちまった気がするけど、地震波の伝わり方が下部マントル層において異常値を示す巨大構造があるということらしい。
で、ウィキの英語版を見てみた。
(大きな低せん断速度地域)
https://en.wikipedia.org/wiki/Large_low-shear-velocity_provinces
「主な地域には、アフリカLLSVPと太平洋LLSVPの2つがあり、どちらも核マントル境界から横方向に数千キロメートル、垂直方向には最大1,000キロメートルに及ぶ可能性がある。これらは、プレートテクトニクスの分野で著名な2人の地質学者、(ジョン)ツゾー・ウィルソンとW(ウィリアム)・ジェイソン・モーガンにちなんで、それぞれツゾーとジェイソンと名付けられている。」(画像参照)
「LLSVP はまだ比較的謎に包まれており、その性質、起源、地球力学的効果については多くの疑問が残っています。」
で、その起源のところを読んで驚いた。
「現在、LLSVP に関する有力な仮説は、沈み込んだ海洋スラブの蓄積である。」
まあ、こっちの方はありきたりな気がする。
地殻などの岩石層(リソスフェア)が沈み込む
→コアとマントルの境界でLLSVPに化ける(ちょっと違う?)
→その真上に小さなプルームの小さなクラスターが形成
→それが組み合わさってより大きなプルームを形成
→さらにスーパープルームになる
驚いたのはこっち。
「LLSVP の起源として提案されているもう 1 つの説は、その形成が巨大衝突仮説に関連しているというものです。」
「地球がテイアと呼ばれる惑星サイズの天体に衝突した後に月が形成」
「LLSVP はテイアのマントルの破片が地球の核マントル境界まで沈んだものである可能性」
「マントルの破片の密度が高いのは、地球のマントルの他の部分と比較して鉄 (II) 酸化物に富んでいるためです。この鉄 (II) 酸化物の組成が高いことは、月のサンプルの同位体地球化学や、LLSVP の上にある海洋島玄武岩の同位体地球化学とも一致しています。」
何か困った時に、地球外由来のアイテムに頼るというのは、生命の起源の話でも出てくる手法だがな。
まあいい。
真偽のほどは分からないけど、化学組成を説明しやすいというメリットはありそうな気もする。
「海洋島玄武岩」というのも聞きなれない。
(海洋島玄武岩)
https://en.wikipedia.org/wiki/Ocean_island_basalt
「海洋島玄武岩(OIB:Ocean island basalt)は、プレート境界から離れた海洋で噴火した火山岩で、通常は玄武岩質の組成をしています。」
「拡大中心(発散型プレート境界)で噴火する中央海嶺玄武岩(MORB)や沈み込み帯(収束型プレート境界)で噴火する火山弧溶岩とは異なり、海洋島玄武岩はプレート内火山活動の結果です。」
「中央海嶺の上にあるアイスランドや沈み込み帯の近くにあるサモアなど、海洋島の玄武岩の位置はプレート境界と一致する場合もあります。」
こっちも、なかなかややっこしそうだ。
「多くの海洋島玄武岩は火山ホットスポットで噴火する。」
「マントルプルーム上の地球の地殻プレートの相対運動により、年代が進むにつれて火山島と海山の連鎖が形成され、最も新しい活火山はマントルプルームの軸より上に位置し、より古い休火山はプルームの導管から次第に遠ざかる位置に位置するようになります」
「たとえば、ハワイ-天皇海山連鎖の最も古い海山は、8000万年以上前のものです。」
「海洋島の玄武岩はすべてマントルプルームの産物というわけではありません。」
「地球のマントルにおける海洋島玄武岩マグマの起源は様々であることが確認されているが、その主成分は古代の海洋性玄武岩質地殻のリサイクルであり、沈み込み帯の脱水過程の微量元素と同位体の特徴を受け継いでおり、高磁場強度元素が豊富に含まれて いる。」
ここでは、ジャイアントインパクト説は封印されているようだ。
記事は、地球化学的解説が延々と続くが、ワケワカなので割愛する。
浮沈子がダイビングで潜っている南の島は、殆ど全てプレート運動由来の地域(沈み込み帯)だから、プレート内火山活動による海洋島玄武岩にお目にかかることはない(ハワイで潜ったことはありません)。
異説であるティアのカケラが月と地球の両方にあり、45億年経った今でも海洋島の下に沈んでいるというのはなかなかロマンあふれるストーリーだ。
せいぜい1億年未満でプレートが沈み込み帯からマントルに落ち込み、リサイクルされて島弧付近から吹いただけというのは、あんまワクワクする話ではないからな(そうなのかあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子が魅かれたのは、南大西洋異常帯(SAA)がLLSVP(アフリカ:ツゾー)の影響を受けた話が、もしかするとジャイアントインパクトで砕け散ったティアのカケラだったりするんじゃないかという点だ。
ちなみに、ティアというのはセレーネ(月の女神)の母親なんだそうだ。
(テイア(惑星))
https://en.wikipedia.org/wiki/Theia_(planet)
「ギリシア神話では、テイアはティターン族の一人で、後に結婚したヒュペリオンの妹であり、月の女神セレーネの母である。この物語は、惑星テイアが月を創造したという理論的な役割と平行している。」
「太陽系初期に存在したとされる古代の惑星で、巨大衝突仮説によれば、約45億年前に初期の地球と衝突し、その結果放出された破片の一部が合体して月を形成した。」
「衝突シミュレーションは、下部マントルの大きな低剪断速度領域がテイアの残骸であるという考えを支持している。」
業界(学会?)で、この仮説がどれ程受け入れられているのかは知らない。
(地球の中心核近くの塊は他の惑星との衝突の残骸だと研究が発表)
https://www.theguardian.com/science/2023/nov/01/blobs-near-earths-core-are-remnants-of-collision-with-another-planet-study-says
「月のマントル岩石とLLVP関連の玄武岩が同じ化学的特徴を共有しているなら、どちらもテイア由来であるはずです。」
ウィキの出典からだが、2023年11月とあるから、比較的最近の発表だ。
もう一つの出典はNYTだが、アーカイブのリンクで読める。
(研究によると、月は「大きな衝突」によって形成され、地球深部に痕跡を残したという。)
https://archive.md/20231101232849/https://www.nytimes.com/2023/11/01/science/moon-formation-theia.html#selection-511.0-511.40
「科学者たちは、クレーターやテイアと呼ばれる原始惑星の破片のような決定的な証拠を欠いていた。」
「私たちは地球の深部を調査しました」(研究を率いたカリフォルニア工科大学の博士研究員、チアン・ユアン氏)
「衝突天体テイアの大きな破片を発見しました。」(同上)
「ユアン博士は、ツゾとジェイソンの体積が月の体積とほぼ同等であることに気づき、彼と彼の同僚は、これらがテイアの別の破片である可能性があるのではないかと考えました。」
「ユアン博士によると、シミュレーションではテイアのマントルの10%以上が地球の深部マントルに埋め込まれた可能性も示された。」
「シミュレーションは説得力のある仮説を提供したが、証拠にはならなかった」(今回の研究には関わっていないチューリッヒのスイス連邦工科大学の地球物理学教授、ポール・タックリー氏)
「その塊が海洋地殻または原始時代の残骸から来た可能性はまだある」「私たちの研究では他の理由を排除することはできない」(ユアン博士)
沈んだだけなら、ホットスポットから上がってくる溶岩(海洋島玄武岩)を調べても、ティア由来かどうかは分からないなあ・・・。
SAAのウィキのリンクを見てみた。
(科学者たちは宇宙の穴についてかなり不安を感じている)
https://www.popularmechanics.com/space/satellites/a43412493/nasa-tracking-dent-in-earths-magnetic-field/
「SAA は、アフリカ大低せん断速度地域と呼ばれる、地下深くにある非常に密度の高い岩石の巨大な貯留層によって生じたものと思われます。地球の磁場形成に最も大きく寄与しているのは、地球の外核にある溶融金属の動きですが、アフリカ大低せん断速度地域はその流れを妨げ、結果として磁場全体を弱めています。」
外核の流動を阻害するだけでいいなら、確かに地磁気異常の原因になるかも知れない。
「研究者の中には、SAA は地球の磁場が反転する兆候であり(これは何十万年もかかるが、起こり得る)、電子機器や通信システムに深刻な影響を及ぼす可能性が高いと理論づけている人もいる。」
LLSVPが地磁気反転とどう関わっているのかは知らない。
地下数千kmの世界は、地震波や地磁気によってしか知ることは出来ない。
地磁気の強さは減少し続けていて、1500年も経てば消えて無くなると言われている。
それが、地球上の生命にどんな影響を与えるかは分からない。
ダイビングの時に、コンパスナビゲーションが出来なくなることは間違いないからな。
ナチュラルナビゲーションも、ちゃんと練習しとかないとな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(地球の奥深くに古代惑星の遺跡が眠る)
https://www.caltech.edu/about/news/the-remains-of-an-ancient-planet-lie-deep-within-earth
「1980年代、地球物理学者たちは驚くべき発見をした。地球の中心近くの深部で、大陸ほどの大きさの異常物質の塊が2つ見つかったのだ。1つはアフリカ大陸の真下、もう1つは太平洋の真下だ。それぞれの塊は月の2倍の大きさで、周囲のマントルとは異なる割合の元素で構成されている可能性が高い。」
使える画像を探していて見つけたカルテクの記事。
現論文は金を払わないと読めない。
やれやれ・f・・。
ユアン博士の出てくるリンク先の動画も見た。
LLSVP証拠として挙げているのは3つ。
・巨大衝突シミュレーションでティアの一部が地球に取り込まれたこと(地球のマントルを半分だけ溶かして残った固体マントルに沈み込んだ)
・地球化学者は、LLSVPの化学組成が周囲のマントルとは異なると考えていること
・非常に高解像度のマントル滞留シミュレーションを行って、2つのLLSVPが出来上がったこと
まあ、動画では2つの山が出来てるけどな。
LLSVPの発見は50年も前だ。
しかし、それをジャイアントインパクトの痕跡として捉えたたのは、ユアン博士らの研究がおそらく初めてなんだろう。
んな、45億年も前の物的証拠が見つかるなんて、誰も想像していなかったに違いない。
で、例によって気になるのは、ユアン博士が地球生命に言及している点だな。
「(月を形成する巨大衝突による地球進化の初期条件は、)地球がこれまでのどの惑星とも、地質学的生物学的に異なる理由の1つの基本的な要因であると思います。」
ここまではいい。
論文のアブストラクトが乗っているページには、気になる記述もある。
(月形成インパクターが地球の底部マントル異常の原因か Moon-forming impactor as a source of Earth’s basal mantle anomalies)
https://tiisys.com/blog/2023/11/02/post-128890/
「巨大衝突は惑星集積の最終段階でよく見られるため、衝突によって引き起こされる同様のマントル不均一性は、他の惑星体の内部にも存在する可能性があります。」
うーん、これじゃあ、まるで地球型生命の誕生や進化の要件は、宇宙全体に遍く存在していると言わんばかりだ(そうなのかあ?)。
巨大衝突時代については、最近のシミュレーションで当たり前になったけど、今のところ太陽系内に地球外生命がいるという話はない。
ユアン博士も、「1つの基本的要因」と限定しているからな。
動画の最後には、アルテミス計画によって月の岩石が大量にもたらされ、研究の進展が期待できるとかなんとか・・・。
2023年11月じゃ、ドナルドトランプとイーロンマスクの名コンビは、まだ誕生していなかったしな。
このコンビが、NASAを破壊し尽くすことは十分懸念される。
アルテミスがどうなるかは、まだ、誰にも分からない。
それもまた、「1つの基本的要因」なのかもな・・・。
😼欧州大戦争:ウクライナ戦線:米国支援停止 ― 2025年03月04日 12:49
欧州大戦争:ウクライナ戦線:米国支援停止
(“トランプ氏 ウクライナ軍事支援 一時停止指示”米メディア)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250304/k10014739101000.html
「アメリカの複数のメディアは3日、トランプ大統領が、ウクライナへのすべての軍事支援を一時停止するよう指示したと相次いで伝えました。」
「「ブルームバーグ」は国防総省の高官の話として、軍事支援の停止は、トランプ大統領が、ウクライナのリーダーが平和に対する誠実な決意を示したと判断するまで継続されるとしています。」
「まだウクライナに届いていないすべての軍事支援が一時停止の対象になるとしていて、航空機や船舶で輸送中の兵器や、隣国のポーランドに運び込まれたものも含まれる」
マジか!?。
ヤバいな・・・。
ヤバ過ぎ!。
支援の停止を検討していることは、ワシントンポストが報じていたが、まさか本当に止めるとは思っても見なかったからな。
ウクライナが求める停戦後の安全保障は、レアアースの取引で十分ということなわけだ(そうなのかあ?)。
(ゼレンスキー大統領 “停戦ほど遠い”にトランプ大統領が非難)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250304/k10014738801000.html
「ロシアとの停戦合意に達するにはほど遠い」(ウクライナのゼレンスキ―大統領)
「最悪の発言だ。アメリカはもう長くは我慢しない。この男はアメリカの後ろ盾がある限り、平和を望んでいない」(アメリカのトランプ大統領)
まあ、そう言うだろうな。
就任後、24時間で終わらせて見せると豪語していた手前、当事者が妨害に走っているように見えるんだろう。
だが、トランプが支援を止めても、ウクライナは少なくとも夏くらいまでは戦闘を続けることが出来るだろう。
問題は欧州の出方だが、米国の後ろ盾(航空支援など)がない状態では手も足も出せない。
「ヨーロッパはゼレンスキー氏との会合で、アメリカなしでは仕事ができないとはっきりと表明した。ロシアに対する強さを示す意味ではあまり良い発言ではない。何を考えているのか」(同上)
浮沈子も同感だ。
独自の停戦案を模索しているようだが、それさえも米国頼みだし、停戦後の安全保障(欧州軍の駐留)も米国ありきだ。
ふざけんな!(バンスのぼやき・・・)。
「トランプ大統領はあの場を自分の支持層向けにウクライナから鉱物資源を勝ち取った場としたかった。一方、ウクライナ側はアメリカに鉱物資源を半永久的にプレゼントするだけだったら安全が守られないというところがあった。国の命運をかけた外交をゼレンスキー大統領は行っていた」「あの場でトランプ大統領とバンス副大統領を怒らせないためには『ロシアとしっかり話をする』といった絶対に言えないことを言うことだった。ゼレンスキー大統領の後ろには家族が亡くなったウクライナ人がいるわけで、その人たちの声を代弁しないといけなかった」「トランプ大統領はゼレンスキー大統領がいかに、いこじでロシアとの平和交渉に全く興味がなく、自分の主張をする男だと支持層向けにPRした。ゼレンスキー大統領にとっては大きなマイナスになった」(アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授)
トランプにとっては、ゼレンスキーが嫌がらせをして、トランプがノーベル平和賞を取れないように画策しているとしか見えないんだろう(そういうことかあ?)。
トランプ政権になって、米国の支援が途絶える中(政権発足後の新たな支援の決定はない)、ウクライナが望む形での平和は期待できなくなっている。
仮にレアアースの契約を得たとしても、それがプーチンに対する切り札になるわけじゃあないしな。
(トランプ氏、ウクライナへの軍事支援停止-ゼレンスキー氏と口論後)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-03/SSKNEWT1UM0W00
「欧州には米国が現在提供している武器やその他の能力などの多くが欠けており、当局者は武器の供給は夏までしか続かない公算が大きいと話している。」
元ネタになったブルームバーグの記事も読んだが、いいことは何も書かれていない。
浮沈子的に気になるのは、米国の情報提供やスターリンクがどうなるかだが、今のところ具体な情報はない。
(米国が援助停止の危機、ウクライナは大砲を撃ち続けられるか)
https://forbesjapan.com/articles/detail/77532
「米国はこの戦争から手を引くかもしれない。それでもウクライナ軍の大砲は、長期にわたって大砲を撃ち続けることができるだろう。」
デビッドアックスは、例によって超楽観的だが、昨年の今頃(彼自身も大騒ぎだったからな)と大きく変わったことは何もない。
(【解説】 ゼレンスキー氏、手負いながらも断固として……離英直前に英記者団と)
https://www.bbc.com/japanese/articles/cvgdv0eg2k6o
「3年間の戦争によるあらゆる圧力にもかかわらず、ホワイトハウスからのあらゆる要求にもかかわらず、2日夜のゼレンスキー氏は決然として揺るぎなかった。」
英国ではそれでいいかも知れないけどな。
もう、ゼレンスキーがホワイトハウスに行くことは、二度とないだろう。
どうやら、米国の支援なしでもロシアとの戦闘を継続する腹を括ったようだ。
トランス二ストリアへの侵攻は、浮沈子の妄想を越えて現実の選択肢として浮上してきた。
トランプ政権は、躊躇うことなくプーチンとの関係改善を加速するに違いない。
もっとも、米ロの関係が深まることはウクライナにとって、悪いことばかりじゃない。
2つの核大国の関係が安定することは、相互の信頼が増大することを意味する。
ウクライナの地でドンパチが繰り返されないことへの、何よりの保証でもある。
ゼレンスキーは面白くないかも知れないが、第5条の発動なんかできっこなく、米国が手を引きたがっているNATO加盟などよりよっぽど確かな保障だ。
プーチンが、相手の弱みに付け込んで約束を反故にする常習癖があったとしても(オランドがそう言ってたからな)、核大国同士の約束を違えれば世界は終わる。
バイデンはウクライナをけしかけ、ロシアに噛みつかせた。
ボリス・ジョンソンも加担したけど、米国の支援がなければウクライナは早期に停戦するしかなかった(3日でも2週間でもどっちでもいいんですが:ホワイトハウスでの会話より)。
今後の和平交渉で、イスタンブール合意より良い条件が出ることはない。
2014年にクリミアを占領した時から、いや、それ以前からプーチンの腹は決まっている。
バルト海から黒海にかけて、再び鉄のカーテンを引くのだと。
NATO何するものぞ(そうなのかあ?)。
マクロンがどれ程凄んでみせたところで、西ヨーロッパが全力でエストニア(リトアニアでもラトビアでもいいんですが)を助けることはない(ちっとは派遣するだろうけどな)。
ウクライナでの停戦がどんな形であれ実現すれば、米国は緊張緩和の醸成策として、東欧などからの軍事力の引き上げを行う可能性がある。
それも直ちに。
ポーランドは気が気じゃないだろうし、ルーマニアも血相変えて反対するだろう。
が、プーチンは断行する。
ロシアとの信頼が重要だからな。
そうして、欧州は売り物になる。
ロシアが買うかどうかは分からない。
買えば、血で贖うことになるだろうが、その対価を払う用意はあるだろう。
そして、欧州が弱みを見せれば、プーチンは間違いなく侵略する。
プーチンの後継者も、そのまた後継者も・・・。
米国はウクライナに対する軍事支援を停止した。
名目上、それは一時的なものとされているけど、その意味するところは複雑だ。
欧州は敵がプーチンだと思っているが、後ろから撃たれるとは夢にも考えていないだろう。
世界の安全保障のパラダイムが、眼の前で音を立てて崩れ去っていく。
米国がロシアと縒りを戻すことは、我が国にとっては短期的には大歓迎だ。
ロシアや中国に対し、交渉の餌として差し出さない限りは。
長期的には、自前の核防衛を検討し、実戦配備に向けて取り組みを始めなければならない。
時間は少ない。
北朝鮮は実践経験を積み、中国は台湾を併合し、太平洋の西半分を支配しようとしている。
グアムもサイパンもフィリピンもオーストラリアも、たぶんニュージーランドも中国の制海権に入る。
我が国は、ロシアと中国の勢力圏の中にポツンと取り残される。
それは確定した未来、明日の日本の姿だ・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(トランプ政権、移送中を含めたウクライナへの全軍事援助停止を命じる)
https://grandfleet.info/us-related/trump-administration-orders-suspension-of-all-military-aid-to-ukraine-including-during-transfer/
「Washington Postも先月28日「トランプ政権がゼレンスキー大統領の態度を理由に移送中の全軍事援助の停止を検討している」と報じていたが、BloombergやCNNは3日「トランプ政権が軍事支援の一時停止を命じた」と報じた。」
「トランプ大統領はゼレンスキー大統領が平和への取り組みに誠意を示したと判断できるまで軍事支援の一時停止を命じた」「ヘグゼス国防長官に航空機や船舶で輸送中、ポーランドに運びこまれた武器や物資のウクライナ移送を停止するよう命じた」(Bloomberg)
「トランプ政権が平和に注力しているのは明らかでウクライナも協力する必要がある」「トランプ政権は軍事支援を一時停止してウクライナが平和への取り組みに協力的かどうかを見直している」「この一時停止はウクライナに到着していない全ての武器や装備に適用される」(CNN)
「トランプ大統領は前政権から引き継いだ未消化分のウクライナ支援資金(38.5億ドル)を用いて「新たな支援」を1度も承認しておらず・・・」(航空万能論ブログ管理人)
既報の通りだが、浮沈子的には以下の部分が刺さった(グサっ!)。
「トランプ政権の関係者は再三「ロシアと交渉するウクライナの指導者にゼレンスキーは相応しくない」と発言しているため、口論に対する謝罪ではなく「ゼレンスキー大統領の辞任」を望んでいる」(同上)
やっぱ、考えることは同じだな・・・。
軍事技術的に気になるところもある。
「PAC-3MSEの直接供給が途切れれば弾道ミサイルの攻撃を防げなくなり(中略)この部分だけは欧州がどう頑張っても単独でカバーできないはずだ。」(同上)
PAC-3MSEは、首都キーウや限られた都市(未確認)しか配備されていない、究極の迎撃ミサイルだ。
ロシアは、早速狙ってくるに違いない。
謝罪ではなく、辞任を求めているという見方は、厳しいようだが妥当だろう。
おまいとじゃ、停戦交渉の場に出られない!(トランプのぼやき・・・)。
ウクライナに言うこと聞かせる最後の手段に出たということは、今後、米国が新たな支援を承認することはないという明確な意思の提示だ(そうなのかあ?)。
交渉事としては、そういう先々の方針は伏せておきたいだろうけど、いつでも武器が手に入る状況では、それをウクライナに納得させることは難しい。
作為不作為を問わず、行動は最も説得力のある言語だ。
まあいい。
トランプ政権がウクライナに配ったカードはレアアースだけだ。
他には何も与えない。
安全保障もなければ、武器も弾薬も兵士もない。
ウクライナの選択肢は、「無条件停戦」しかないのだ。
いや、欧州の支援だけで戦い続けるという選択肢はある。
「トランプ大統領は「ウクライナ支援のため米企業から武器を購入しても良い」と言っている」(同上)
その年単位の時間を凌げれば、欧州は金で解決する道を開くことが出来る。
しかし、それではロシアとの良好な関係を築くことが出来なくなるからな。
忘れちゃいけない。
支援する欧州も、またエサなのだ・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(米国の支援停止でウクライナ苦境に 抗戦可能期間は「半年間」か 戦局の転換点迎える)
https://www.sankei.com/article/20250304-ARI6ADRKRZIKHKQ2KT6BUE4OJI/
「米国の支援を欠いた場合、ウクライナが抗戦を続けられる期間は「半年間」程度に過ぎないとの観測もある。」
「米国の軍事支援が停止された場合、ウクライナが現在の水準で戦闘を継続できるのは今年夏までだ」(WSJ)
「米国の支援なしでも少なくとも6カ月間は戦える」(FT:ウクライナの議員や軍関係者)
これは、ブダノフの説明とも整合する。
「米国の支援が停止されてもロシアは即座に戦勝を得られない」(複数の露専門家)
「米軍から提供されてきた諜報・偵察データを得られなくなったり、米衛星インターネットサービス「スターリンク」との接続が解除されたりした場合、ウクライナ軍はドローン(無人機)攻撃なども困難になるとされる。」
浮沈子的には、短期の影響はこっちの方がデカいと思うんだがな。
備蓄や欧州支援である程度賄える砲弾、ロケット砲弾、ミサイルなどは、しばらくしてから影響が出る(前線への供給調整にも依ります)。
「欧州や英国も米支援の不足分を補うのは困難だとする見方が強い。」
そうなると問題は、米国の停止期間ということになる。
また、そんな半年も先になって、今更のように「米国の支援がなければ戦えないことが分かったので、停戦交渉してください」と言ったところで、取り合ってもらえるかどうかはビミョーだ。
その間、ロシアの占領地が増えちまったら、米国の取り分は減るわけだしな。
まあ、どうでもいいんですが。
(「スターリンクの代わり」 EU、ウクライナへの衛星通信支援を分析=報道)
https://www.ukrinform.jp/rubric-defense/3966393-sutarinkuno-daiwariukurainaheno-wei-xing-tong-xin-zhi-yuanwo-fen-xibao-dao.html
「ウクライナはすでに、EUが提供する政府衛星通信Govsatcomと2030年代に利用開始となる新しいサービスIRIS²の利用に関心を表明」(トーマス・レニエ欧州委員会報道官)
2030年代だってえ?。
やれやれ・・・。
「委員会はその間でウクライナと連絡を続けていく」(同上)
2022年のロシア本格侵攻の際に、ドイツがヘルメット5000個を提供した話を思い出した。
「レニエ委員は、そのシステムはウクライナに「先駆的政府サービス」を提案するものとしつつ、それが実践でどうなるか、あるいはどれくらい迅速に運用できるようになるかは明言しなかった。」
「ポリティコは、ウクライナにとって衛星通信は決定的に重要なツールだが、マスク氏が戦時下で今後もスターリンクを提供し続けるかどうかが不明だと指摘している。」
「昨年、ウクライナは、約4万2000台のスターリンク端末が国内で利用されており、その約半分はポーランドが資金を出していると伝えていた。」
いろいろ書いているけど、ぶっちゃけ、スターリンクを置き換えることが出来る代替手段はない。
スターリンクを失えば、ウクライナ軍の作戦効率は半減すると言われている。
イーロンマスクは、今回の軍事支援停止に絡めて、ウクライナへのサービスを継続するかどうかの情報を発信していないようだ(未調査)。
砲弾よりも通信だな・・・。
<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー
(交渉材料としてのクルスク占領地、ウクライナ軍が支配地域を大きく失う)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/occupied-kursk-as-a-bargaining-chip-ukrainian-forces-lose-large-area-of-control/
「最も戦闘が激しい地域は東部戦線ではなくクルスク(1日の衝突回数が30回)だ」「ロシア軍がクルスク奪還に向けて「大幅に攻撃を強化している」という認識」(ウクライナ軍参謀本部:3月2日)
「もポクロウシク方面(21回)よりクルスク方面(29回)での衝突回数の方が多く、ロシア軍が東部戦線よりもクルスク奪還にリソースを回してきたという認識」(同上:3月3日)
まあ、ポクロフシク方面だけで戦闘が行われているわけではないから、必ずしもクルスクにその分のリソースを回しているとは言えないだろう(未確認)。
逆に、ウクライナ軍がリソース不足に陥り、兵站の遮断を狙うロシア軍の展開に対応できなくなっている可能性が高い。
「DEEP STATE基準でもレベデフカ集落内の大半はロシア軍支配地域で、ここからスジャ防衛の生命線=38K-004まで5km~6kmほどしかなく、ロシア軍がスームィ州バシフカ北西に前進しようと試みているのも不気味に見え、スームィ州に食い込んできたグレーゾーンが(DEEP STATE基準で)ロシア軍支配地域に置き換わると危機の度合いが1段高まる」(航空万能論ブログ管理人)
既に38K-004は火力管制下に置かれ、輸送車両の損失も発生していると言われている。
補給線は他にもあるだろうから、完全に遮断するためには時間が掛かるだろうけど、占領地北部への兵站が細ることは避けられそうもない。
米国の軍事支援は中止されるは、貴重な占領地は目減りが続くはで、ウクライナにとっていいことは何もない。
ポクロフシクとディミトロフ(ミルノフラド)が持ちこたえているのが唯一の救いか。
浮沈子的には、逆に、ウクライナ軍のリソースがここに釘付けになって、クルスクへの手当てが出来ないのではないかと見ているけどな。
ロシアは、もう、アウディーイウカの時のような、ド派手な攻撃はしないんだろう。
圧力をかけ続け、ローテーションなどで綻びが出れば進軍し、じわじわと占領地を拡大し続ける。
それはお互い様だからな。
ウクライナ軍もまた、若干の反撃を行い、ポジションの改善を図るけど、完全に押し切るところまでは行かない。
例えば、アウディーイウカを奪還するとか、トレツクからロシア軍を追い出すとか・・・。
時間は、確実にロシア側に付いている。
少なくとも年内にロシアのリソースが枯渇するという話はない。
最近は、ロシアが崩壊して、西側に分割されるなどという荒唐無稽な話は聞かなくなった。
むしろ、米国による経済制裁の解除によって、中国への依存が減るのではないかという観点から、中ロ関係に亀裂が入るという観測も出てきている。
まあ、それはないと思うんだがな。
台湾併合や朝鮮半島危機に際して、両国の関係はむしろ強固になるだろう。
加えて、欧州大戦争が始まれば猶更だ。
米国は、世界の警察から地域大国へと、ポジションを変えていく時間を稼ごうとしているだけかもしれない。
ウクライナ紛争を巡る余りにも急速な展開は、巨象の寝返りに踏みつぶされるネズミの悲劇だろう。
トランプ政権は、ウクライナへの支援を直ちに完全にぶった切りたいところを、ぐっと堪えて(!)経済取引を絡めて停戦を実現しようとしている。
そりゃあ、ウクライナにしてみれば、悪党プーチンを野放しにする言語道断の所業に映るだろうし、ホワイトハウスに喧嘩吹っ掛けに行ったって不思議じゃない(結果、そうなったし・・・)。
徹底抗戦して、強い立場で交渉に臨み、悪党を縛り首にして留飲を下げたいだろうけど、もう米国の後ろ盾はない(そうなのかあ?)。
頼りにならない欧州(少し大きめのネズミ?)しかいないからな。
どうするのか。
欧州が束になって米国を説得し、バイデン時代に勝る軍事支援を勝ち取って、プーチンを追い詰めるなどという話は、浮沈子の妄想も敵わない絵空事に過ぎない。
ウクライナがソ連から名目上独立して30年余り。
真の独立を勝ち取るために戦い続けた3年余りの戦闘は、ようやく終わりに近づいている。
うーん、もう一年くらいはドンパチが続くかもしれないけど、「反転攻勢」とか、「全領土奪還」などというトンデモな幻想は消えた。
トランプの思惑とは別に、ウクライナはいずれ停戦に応じることになる。
まだ戦えると思っている限り、この国は真の独立を賭けて戦い続けるだろう。
ロシアは、そのことをよーっく理解している(つーか、ようやく理解したということか)。
トランプ劇場の下手な演出に踊らされたりはしない。
ロシアもまた、戦いが続くと思う限り、ウクライナの真の独立を封じ込めるために戦い続けるに違いない。
NATO非加盟、軍隊の解体と中立国化。
その戦略目標が実現するまで、戦いは終わるまい。
トランプの停戦工作は失敗するだろう。
支援の停止は、逆に欧州を焚き付け、プチバイデンな支援を継続させるきっかけを作ることになる。
戦闘は激しさを増し、一時的にはウクライナが勢いづくことがあるかも知れない。
ウクライナは、その時を捉えて停戦交渉に持ち込もうとするかもしれないけど、ロシアは逆に応じないだろう。
米国のグランドデザインは変わらない(変えられない)。
米ロ対欧州ウクライナ連合の構図が鮮明になる。
NATOは、黙っていても崩壊する運命にあるわけだ(カナダは、もう米国に付くしかないしな)。
欧州は、それを覚悟でウクライナを支援するんだろうか?。
(EU、「再軍備」125兆円 ロシアの脅威に対抗―欧州委員長)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025030401007&g=int
「ウクライナへの侵攻を続けるロシアの脅威に対抗するため、8000億ユーロ(約125兆円)規模の「再軍備計画」を表明」
「複数のEU加盟国による防空システム、ミサイル、ドローンなどの共同調達を促す融資制度の新設を首脳らに書簡で提案」
まあ、餅を絵に描くことは簡単だが、食える餅をつくることは容易ではない。
「EU加盟国に課された財政規律の緩和やEU予算の活用を含め、再軍備計画が実行されれば「安全で強靱(きょうじん)な欧州のため、8000億ユーロ近くの防衛費を捻出できる」」
国内問題を抱える30の国々(NATO)が、それぞれに思惑を持って構成している欧州が、実際に再軍備計画に乗ってくるかどうかは未知数だし、このタイミング(ウクライナ支援停止)での発表は眉唾でしかない。
が、ウクライナ支援において、この精神が踏襲されるなら、ロシアに対する安全保障策としての自国の防衛強化が、支援の継続と増加に繋がる可能性がないとは言えない。
浮沈子的には、この計画がちゃんと機能する時期は、ウクライナだけじゃなくてバルト3国と東欧諸国がロシアに併合されてからになると思うんだがな・・・。
<また追加>ーーーーーーーーーー
(「米支援停止でも戦況維持できる」ウクライナ首相 欧州から代替兵器調達も)
https://www.sankei.com/article/20250304-6FHTTMSMNNIU5DKNRJMK76475A/
「米国の支援が停止されても戦局に直ちに影響しないとする認識」(ウクライナのシュミハリ首相)
「軍と政府には前線の状況を維持する能力と手段がある」(同上)
「ウクライナは(ロシアと)和平合意を締結するまで米国の支援が続くよう努めている」(同上)
「米国の支援が停止した場合、ウクライナは欧州諸国から代替兵器を購入したり、供与を受けたりする可能性を検討」(ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問)
「可能性を検討」かあ・・・。
つまりだな、完全に想定外で、何の準備もしてこなかったということなわけだ(そういうことかあ?)。
まあ、浮沈子だって、まさか本当に止めるとは思っていなかったからな。
(ウクライナ軍事支援の停止確認 物流拠点のポーランド)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025030401245&g=int
「米国によるウクライナへの軍事支援の物流が実際に停止していることを確認」「国境やわが国の(物流)拠点から届く報告は、米国が表明したことを裏付けるものだ」(ポーランドのトゥスク首相)
「ポーランドは、ロシアの侵攻を受けるウクライナに隣接し、西側諸国による軍事・人道支援の物流拠点となっている。」
やれやれ・・・。
その一方で、制裁の解除に向けた準備は、着々と進んでいる。
(米、ロシア制裁緩和の可能性検討 財務・国務省に作業要請=情報筋)
https://jp.reuters.com/world/us/UCQTCGYAB5IB3LNTVYNTONOG4E-2025-03-03/
「ホワイトハウスは国務省と財務省に対し、緩和できる可能性のある制裁のリストを作成するよう要請。」「現在、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)を含む特定の団体や個人に対する制裁解除の提案が策定されている」(米当局者や情報筋)
「ウクライナ侵攻を受けて米国が導入したロシアへの制裁には、石油・ガス産業からの収入制限や軍資金の調達能力縮小を目的とした措置が含まれている。」
ウクライナにしてみれば、発狂しそうな話だが、これが国際政治の現実なわけだ。
<またまた追加>ーーーーーーーーーー
(米国、ウクライナとの情報共有を一部停止-トランプ政権が圧力強化)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-05/SSNK4BT1UM0W00
「匿名を条件に語った米当局者1人によると、ウクライナが自国軍部隊を守るために必要な情報を除いた全てが共有停止の対象となる。」
「われわれは一歩引き、この関係の全ての面を一時停止し、見直している」(ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当))
「ウクライナ政府高官は、トランプ政権が軍事情報共有を停止したとの一部報道を否定し、引き続き米国から必要な情報を受け取っていると述べている。」
「英紙デーリー・メールも、米政府が英国による情報共有を禁じたと報じている。」
「事情に詳しい東欧当局者の1人は、情報共有の停止が影響するのはロシア領内の標的に限られると述べた。」
「ラトクリフ中央情報局(CIA)長官も5日、米国が情報共有も停止したかどうかの質問に対し、明確に否定することはしなかった。同氏はFOXビジネスに対し、「確かにトランプ大統領が命じたのは停止だ」と発言。」
情報共有は機微に渡る事項だだ。
詳細が報道されることはないだろうが、こうして漏れ出てくる話を総合すると、何らかの形での制限が加わっていることは確かだ。
ウクライナ側から見て、制限されていないように見える程度の、緩やかなものなのかもしれないし、それと気付かれないように間引きされたものなのかもしれない。
まあ、おそらくは、ウクライナ側の発表は、国内向けの情報戦の如何の可能性が高いだろうけどな。
「情報共有の停止は先月の首脳会談後に生じた緊張をさらに高める」
武器供与の一時停止は、まあ、当分は何とか対処できるだろうけど、情報共有(提供)の停止は、待ったなしの死活問題だ。
顔が引きつるレベルの話なわけだ。
特にロシア領内の情報の欠如は、クルスク方面の戦況の悪化に拍車がかかる可能性がある。
やれやれ・・・。
あとは、スターリンクがどうなるかが最大の問題だな・・・。
<もっと追加>ーーーーーーーーーー
(軍事支援一時停止でゼレンスキーに揺さぶりかけるトランプ、スターリンク遮断ならウクライナ軍は数週間で崩壊も)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/86986?page=6
「ウクライナ軍はドローン運用にイーロン・マスク氏のスターリンクを利用している。米情報機関はリアルタイムでロシア軍の位置情報を提供している。これらの協力が打ち切られたらウクライナ軍は対抗手段を失う。数週間でウクライナは壊滅するという悲観的な見方すら出ている。」
木村氏の情報の出所は不明だが、この記事の時点ではスターリンクはまだ稼働しているようだな・・・。
(ユーテルサット株、最安値から最大7.5倍に 「ゲームストップ効果」か)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/G7VTQYAJDJM4PJFZMGDL6XCD5A-2025-03-07/
「ウクライナへのインターネット接続の追加供給に向けて欧州連合(EU)と交渉している。トランプ米大統領の側近のイーロン・マスク氏が率いる通信ネットワーク「スターリンク」に取って代わる可能性が示唆された」
「先週は最安値水準で推移していたユーテルサットの株価は、今月5日に前週末の6倍まで上昇。6日には前日比で18%上昇し、時価総額は40億ユーロ(43億ドル)を超えた。ただ6日終値では11%安となった。」
うーん、敵失でしか株価改善が図れないという静止衛星市場は、何とも言えない状況だな・・・。
(“トランプ氏 ウクライナ軍事支援 一時停止指示”米メディア)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250304/k10014739101000.html
「アメリカの複数のメディアは3日、トランプ大統領が、ウクライナへのすべての軍事支援を一時停止するよう指示したと相次いで伝えました。」
「「ブルームバーグ」は国防総省の高官の話として、軍事支援の停止は、トランプ大統領が、ウクライナのリーダーが平和に対する誠実な決意を示したと判断するまで継続されるとしています。」
「まだウクライナに届いていないすべての軍事支援が一時停止の対象になるとしていて、航空機や船舶で輸送中の兵器や、隣国のポーランドに運び込まれたものも含まれる」
マジか!?。
ヤバいな・・・。
ヤバ過ぎ!。
支援の停止を検討していることは、ワシントンポストが報じていたが、まさか本当に止めるとは思っても見なかったからな。
ウクライナが求める停戦後の安全保障は、レアアースの取引で十分ということなわけだ(そうなのかあ?)。
(ゼレンスキー大統領 “停戦ほど遠い”にトランプ大統領が非難)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250304/k10014738801000.html
「ロシアとの停戦合意に達するにはほど遠い」(ウクライナのゼレンスキ―大統領)
「最悪の発言だ。アメリカはもう長くは我慢しない。この男はアメリカの後ろ盾がある限り、平和を望んでいない」(アメリカのトランプ大統領)
まあ、そう言うだろうな。
就任後、24時間で終わらせて見せると豪語していた手前、当事者が妨害に走っているように見えるんだろう。
だが、トランプが支援を止めても、ウクライナは少なくとも夏くらいまでは戦闘を続けることが出来るだろう。
問題は欧州の出方だが、米国の後ろ盾(航空支援など)がない状態では手も足も出せない。
「ヨーロッパはゼレンスキー氏との会合で、アメリカなしでは仕事ができないとはっきりと表明した。ロシアに対する強さを示す意味ではあまり良い発言ではない。何を考えているのか」(同上)
浮沈子も同感だ。
独自の停戦案を模索しているようだが、それさえも米国頼みだし、停戦後の安全保障(欧州軍の駐留)も米国ありきだ。
ふざけんな!(バンスのぼやき・・・)。
「トランプ大統領はあの場を自分の支持層向けにウクライナから鉱物資源を勝ち取った場としたかった。一方、ウクライナ側はアメリカに鉱物資源を半永久的にプレゼントするだけだったら安全が守られないというところがあった。国の命運をかけた外交をゼレンスキー大統領は行っていた」「あの場でトランプ大統領とバンス副大統領を怒らせないためには『ロシアとしっかり話をする』といった絶対に言えないことを言うことだった。ゼレンスキー大統領の後ろには家族が亡くなったウクライナ人がいるわけで、その人たちの声を代弁しないといけなかった」「トランプ大統領はゼレンスキー大統領がいかに、いこじでロシアとの平和交渉に全く興味がなく、自分の主張をする男だと支持層向けにPRした。ゼレンスキー大統領にとっては大きなマイナスになった」(アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授)
トランプにとっては、ゼレンスキーが嫌がらせをして、トランプがノーベル平和賞を取れないように画策しているとしか見えないんだろう(そういうことかあ?)。
トランプ政権になって、米国の支援が途絶える中(政権発足後の新たな支援の決定はない)、ウクライナが望む形での平和は期待できなくなっている。
仮にレアアースの契約を得たとしても、それがプーチンに対する切り札になるわけじゃあないしな。
(トランプ氏、ウクライナへの軍事支援停止-ゼレンスキー氏と口論後)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-03/SSKNEWT1UM0W00
「欧州には米国が現在提供している武器やその他の能力などの多くが欠けており、当局者は武器の供給は夏までしか続かない公算が大きいと話している。」
元ネタになったブルームバーグの記事も読んだが、いいことは何も書かれていない。
浮沈子的に気になるのは、米国の情報提供やスターリンクがどうなるかだが、今のところ具体な情報はない。
(米国が援助停止の危機、ウクライナは大砲を撃ち続けられるか)
https://forbesjapan.com/articles/detail/77532
「米国はこの戦争から手を引くかもしれない。それでもウクライナ軍の大砲は、長期にわたって大砲を撃ち続けることができるだろう。」
デビッドアックスは、例によって超楽観的だが、昨年の今頃(彼自身も大騒ぎだったからな)と大きく変わったことは何もない。
(【解説】 ゼレンスキー氏、手負いながらも断固として……離英直前に英記者団と)
https://www.bbc.com/japanese/articles/cvgdv0eg2k6o
「3年間の戦争によるあらゆる圧力にもかかわらず、ホワイトハウスからのあらゆる要求にもかかわらず、2日夜のゼレンスキー氏は決然として揺るぎなかった。」
英国ではそれでいいかも知れないけどな。
もう、ゼレンスキーがホワイトハウスに行くことは、二度とないだろう。
どうやら、米国の支援なしでもロシアとの戦闘を継続する腹を括ったようだ。
トランス二ストリアへの侵攻は、浮沈子の妄想を越えて現実の選択肢として浮上してきた。
トランプ政権は、躊躇うことなくプーチンとの関係改善を加速するに違いない。
もっとも、米ロの関係が深まることはウクライナにとって、悪いことばかりじゃない。
2つの核大国の関係が安定することは、相互の信頼が増大することを意味する。
ウクライナの地でドンパチが繰り返されないことへの、何よりの保証でもある。
ゼレンスキーは面白くないかも知れないが、第5条の発動なんかできっこなく、米国が手を引きたがっているNATO加盟などよりよっぽど確かな保障だ。
プーチンが、相手の弱みに付け込んで約束を反故にする常習癖があったとしても(オランドがそう言ってたからな)、核大国同士の約束を違えれば世界は終わる。
バイデンはウクライナをけしかけ、ロシアに噛みつかせた。
ボリス・ジョンソンも加担したけど、米国の支援がなければウクライナは早期に停戦するしかなかった(3日でも2週間でもどっちでもいいんですが:ホワイトハウスでの会話より)。
今後の和平交渉で、イスタンブール合意より良い条件が出ることはない。
2014年にクリミアを占領した時から、いや、それ以前からプーチンの腹は決まっている。
バルト海から黒海にかけて、再び鉄のカーテンを引くのだと。
NATO何するものぞ(そうなのかあ?)。
マクロンがどれ程凄んでみせたところで、西ヨーロッパが全力でエストニア(リトアニアでもラトビアでもいいんですが)を助けることはない(ちっとは派遣するだろうけどな)。
ウクライナでの停戦がどんな形であれ実現すれば、米国は緊張緩和の醸成策として、東欧などからの軍事力の引き上げを行う可能性がある。
それも直ちに。
ポーランドは気が気じゃないだろうし、ルーマニアも血相変えて反対するだろう。
が、プーチンは断行する。
ロシアとの信頼が重要だからな。
そうして、欧州は売り物になる。
ロシアが買うかどうかは分からない。
買えば、血で贖うことになるだろうが、その対価を払う用意はあるだろう。
そして、欧州が弱みを見せれば、プーチンは間違いなく侵略する。
プーチンの後継者も、そのまた後継者も・・・。
米国はウクライナに対する軍事支援を停止した。
名目上、それは一時的なものとされているけど、その意味するところは複雑だ。
欧州は敵がプーチンだと思っているが、後ろから撃たれるとは夢にも考えていないだろう。
世界の安全保障のパラダイムが、眼の前で音を立てて崩れ去っていく。
米国がロシアと縒りを戻すことは、我が国にとっては短期的には大歓迎だ。
ロシアや中国に対し、交渉の餌として差し出さない限りは。
長期的には、自前の核防衛を検討し、実戦配備に向けて取り組みを始めなければならない。
時間は少ない。
北朝鮮は実践経験を積み、中国は台湾を併合し、太平洋の西半分を支配しようとしている。
グアムもサイパンもフィリピンもオーストラリアも、たぶんニュージーランドも中国の制海権に入る。
我が国は、ロシアと中国の勢力圏の中にポツンと取り残される。
それは確定した未来、明日の日本の姿だ・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(トランプ政権、移送中を含めたウクライナへの全軍事援助停止を命じる)
https://grandfleet.info/us-related/trump-administration-orders-suspension-of-all-military-aid-to-ukraine-including-during-transfer/
「Washington Postも先月28日「トランプ政権がゼレンスキー大統領の態度を理由に移送中の全軍事援助の停止を検討している」と報じていたが、BloombergやCNNは3日「トランプ政権が軍事支援の一時停止を命じた」と報じた。」
「トランプ大統領はゼレンスキー大統領が平和への取り組みに誠意を示したと判断できるまで軍事支援の一時停止を命じた」「ヘグゼス国防長官に航空機や船舶で輸送中、ポーランドに運びこまれた武器や物資のウクライナ移送を停止するよう命じた」(Bloomberg)
「トランプ政権が平和に注力しているのは明らかでウクライナも協力する必要がある」「トランプ政権は軍事支援を一時停止してウクライナが平和への取り組みに協力的かどうかを見直している」「この一時停止はウクライナに到着していない全ての武器や装備に適用される」(CNN)
「トランプ大統領は前政権から引き継いだ未消化分のウクライナ支援資金(38.5億ドル)を用いて「新たな支援」を1度も承認しておらず・・・」(航空万能論ブログ管理人)
既報の通りだが、浮沈子的には以下の部分が刺さった(グサっ!)。
「トランプ政権の関係者は再三「ロシアと交渉するウクライナの指導者にゼレンスキーは相応しくない」と発言しているため、口論に対する謝罪ではなく「ゼレンスキー大統領の辞任」を望んでいる」(同上)
やっぱ、考えることは同じだな・・・。
軍事技術的に気になるところもある。
「PAC-3MSEの直接供給が途切れれば弾道ミサイルの攻撃を防げなくなり(中略)この部分だけは欧州がどう頑張っても単独でカバーできないはずだ。」(同上)
PAC-3MSEは、首都キーウや限られた都市(未確認)しか配備されていない、究極の迎撃ミサイルだ。
ロシアは、早速狙ってくるに違いない。
謝罪ではなく、辞任を求めているという見方は、厳しいようだが妥当だろう。
おまいとじゃ、停戦交渉の場に出られない!(トランプのぼやき・・・)。
ウクライナに言うこと聞かせる最後の手段に出たということは、今後、米国が新たな支援を承認することはないという明確な意思の提示だ(そうなのかあ?)。
交渉事としては、そういう先々の方針は伏せておきたいだろうけど、いつでも武器が手に入る状況では、それをウクライナに納得させることは難しい。
作為不作為を問わず、行動は最も説得力のある言語だ。
まあいい。
トランプ政権がウクライナに配ったカードはレアアースだけだ。
他には何も与えない。
安全保障もなければ、武器も弾薬も兵士もない。
ウクライナの選択肢は、「無条件停戦」しかないのだ。
いや、欧州の支援だけで戦い続けるという選択肢はある。
「トランプ大統領は「ウクライナ支援のため米企業から武器を購入しても良い」と言っている」(同上)
その年単位の時間を凌げれば、欧州は金で解決する道を開くことが出来る。
しかし、それではロシアとの良好な関係を築くことが出来なくなるからな。
忘れちゃいけない。
支援する欧州も、またエサなのだ・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(米国の支援停止でウクライナ苦境に 抗戦可能期間は「半年間」か 戦局の転換点迎える)
https://www.sankei.com/article/20250304-ARI6ADRKRZIKHKQ2KT6BUE4OJI/
「米国の支援を欠いた場合、ウクライナが抗戦を続けられる期間は「半年間」程度に過ぎないとの観測もある。」
「米国の軍事支援が停止された場合、ウクライナが現在の水準で戦闘を継続できるのは今年夏までだ」(WSJ)
「米国の支援なしでも少なくとも6カ月間は戦える」(FT:ウクライナの議員や軍関係者)
これは、ブダノフの説明とも整合する。
「米国の支援が停止されてもロシアは即座に戦勝を得られない」(複数の露専門家)
「米軍から提供されてきた諜報・偵察データを得られなくなったり、米衛星インターネットサービス「スターリンク」との接続が解除されたりした場合、ウクライナ軍はドローン(無人機)攻撃なども困難になるとされる。」
浮沈子的には、短期の影響はこっちの方がデカいと思うんだがな。
備蓄や欧州支援である程度賄える砲弾、ロケット砲弾、ミサイルなどは、しばらくしてから影響が出る(前線への供給調整にも依ります)。
「欧州や英国も米支援の不足分を補うのは困難だとする見方が強い。」
そうなると問題は、米国の停止期間ということになる。
また、そんな半年も先になって、今更のように「米国の支援がなければ戦えないことが分かったので、停戦交渉してください」と言ったところで、取り合ってもらえるかどうかはビミョーだ。
その間、ロシアの占領地が増えちまったら、米国の取り分は減るわけだしな。
まあ、どうでもいいんですが。
(「スターリンクの代わり」 EU、ウクライナへの衛星通信支援を分析=報道)
https://www.ukrinform.jp/rubric-defense/3966393-sutarinkuno-daiwariukurainaheno-wei-xing-tong-xin-zhi-yuanwo-fen-xibao-dao.html
「ウクライナはすでに、EUが提供する政府衛星通信Govsatcomと2030年代に利用開始となる新しいサービスIRIS²の利用に関心を表明」(トーマス・レニエ欧州委員会報道官)
2030年代だってえ?。
やれやれ・・・。
「委員会はその間でウクライナと連絡を続けていく」(同上)
2022年のロシア本格侵攻の際に、ドイツがヘルメット5000個を提供した話を思い出した。
「レニエ委員は、そのシステムはウクライナに「先駆的政府サービス」を提案するものとしつつ、それが実践でどうなるか、あるいはどれくらい迅速に運用できるようになるかは明言しなかった。」
「ポリティコは、ウクライナにとって衛星通信は決定的に重要なツールだが、マスク氏が戦時下で今後もスターリンクを提供し続けるかどうかが不明だと指摘している。」
「昨年、ウクライナは、約4万2000台のスターリンク端末が国内で利用されており、その約半分はポーランドが資金を出していると伝えていた。」
いろいろ書いているけど、ぶっちゃけ、スターリンクを置き換えることが出来る代替手段はない。
スターリンクを失えば、ウクライナ軍の作戦効率は半減すると言われている。
イーロンマスクは、今回の軍事支援停止に絡めて、ウクライナへのサービスを継続するかどうかの情報を発信していないようだ(未調査)。
砲弾よりも通信だな・・・。
<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー
(交渉材料としてのクルスク占領地、ウクライナ軍が支配地域を大きく失う)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/occupied-kursk-as-a-bargaining-chip-ukrainian-forces-lose-large-area-of-control/
「最も戦闘が激しい地域は東部戦線ではなくクルスク(1日の衝突回数が30回)だ」「ロシア軍がクルスク奪還に向けて「大幅に攻撃を強化している」という認識」(ウクライナ軍参謀本部:3月2日)
「もポクロウシク方面(21回)よりクルスク方面(29回)での衝突回数の方が多く、ロシア軍が東部戦線よりもクルスク奪還にリソースを回してきたという認識」(同上:3月3日)
まあ、ポクロフシク方面だけで戦闘が行われているわけではないから、必ずしもクルスクにその分のリソースを回しているとは言えないだろう(未確認)。
逆に、ウクライナ軍がリソース不足に陥り、兵站の遮断を狙うロシア軍の展開に対応できなくなっている可能性が高い。
「DEEP STATE基準でもレベデフカ集落内の大半はロシア軍支配地域で、ここからスジャ防衛の生命線=38K-004まで5km~6kmほどしかなく、ロシア軍がスームィ州バシフカ北西に前進しようと試みているのも不気味に見え、スームィ州に食い込んできたグレーゾーンが(DEEP STATE基準で)ロシア軍支配地域に置き換わると危機の度合いが1段高まる」(航空万能論ブログ管理人)
既に38K-004は火力管制下に置かれ、輸送車両の損失も発生していると言われている。
補給線は他にもあるだろうから、完全に遮断するためには時間が掛かるだろうけど、占領地北部への兵站が細ることは避けられそうもない。
米国の軍事支援は中止されるは、貴重な占領地は目減りが続くはで、ウクライナにとっていいことは何もない。
ポクロフシクとディミトロフ(ミルノフラド)が持ちこたえているのが唯一の救いか。
浮沈子的には、逆に、ウクライナ軍のリソースがここに釘付けになって、クルスクへの手当てが出来ないのではないかと見ているけどな。
ロシアは、もう、アウディーイウカの時のような、ド派手な攻撃はしないんだろう。
圧力をかけ続け、ローテーションなどで綻びが出れば進軍し、じわじわと占領地を拡大し続ける。
それはお互い様だからな。
ウクライナ軍もまた、若干の反撃を行い、ポジションの改善を図るけど、完全に押し切るところまでは行かない。
例えば、アウディーイウカを奪還するとか、トレツクからロシア軍を追い出すとか・・・。
時間は、確実にロシア側に付いている。
少なくとも年内にロシアのリソースが枯渇するという話はない。
最近は、ロシアが崩壊して、西側に分割されるなどという荒唐無稽な話は聞かなくなった。
むしろ、米国による経済制裁の解除によって、中国への依存が減るのではないかという観点から、中ロ関係に亀裂が入るという観測も出てきている。
まあ、それはないと思うんだがな。
台湾併合や朝鮮半島危機に際して、両国の関係はむしろ強固になるだろう。
加えて、欧州大戦争が始まれば猶更だ。
米国は、世界の警察から地域大国へと、ポジションを変えていく時間を稼ごうとしているだけかもしれない。
ウクライナ紛争を巡る余りにも急速な展開は、巨象の寝返りに踏みつぶされるネズミの悲劇だろう。
トランプ政権は、ウクライナへの支援を直ちに完全にぶった切りたいところを、ぐっと堪えて(!)経済取引を絡めて停戦を実現しようとしている。
そりゃあ、ウクライナにしてみれば、悪党プーチンを野放しにする言語道断の所業に映るだろうし、ホワイトハウスに喧嘩吹っ掛けに行ったって不思議じゃない(結果、そうなったし・・・)。
徹底抗戦して、強い立場で交渉に臨み、悪党を縛り首にして留飲を下げたいだろうけど、もう米国の後ろ盾はない(そうなのかあ?)。
頼りにならない欧州(少し大きめのネズミ?)しかいないからな。
どうするのか。
欧州が束になって米国を説得し、バイデン時代に勝る軍事支援を勝ち取って、プーチンを追い詰めるなどという話は、浮沈子の妄想も敵わない絵空事に過ぎない。
ウクライナがソ連から名目上独立して30年余り。
真の独立を勝ち取るために戦い続けた3年余りの戦闘は、ようやく終わりに近づいている。
うーん、もう一年くらいはドンパチが続くかもしれないけど、「反転攻勢」とか、「全領土奪還」などというトンデモな幻想は消えた。
トランプの思惑とは別に、ウクライナはいずれ停戦に応じることになる。
まだ戦えると思っている限り、この国は真の独立を賭けて戦い続けるだろう。
ロシアは、そのことをよーっく理解している(つーか、ようやく理解したということか)。
トランプ劇場の下手な演出に踊らされたりはしない。
ロシアもまた、戦いが続くと思う限り、ウクライナの真の独立を封じ込めるために戦い続けるに違いない。
NATO非加盟、軍隊の解体と中立国化。
その戦略目標が実現するまで、戦いは終わるまい。
トランプの停戦工作は失敗するだろう。
支援の停止は、逆に欧州を焚き付け、プチバイデンな支援を継続させるきっかけを作ることになる。
戦闘は激しさを増し、一時的にはウクライナが勢いづくことがあるかも知れない。
ウクライナは、その時を捉えて停戦交渉に持ち込もうとするかもしれないけど、ロシアは逆に応じないだろう。
米国のグランドデザインは変わらない(変えられない)。
米ロ対欧州ウクライナ連合の構図が鮮明になる。
NATOは、黙っていても崩壊する運命にあるわけだ(カナダは、もう米国に付くしかないしな)。
欧州は、それを覚悟でウクライナを支援するんだろうか?。
(EU、「再軍備」125兆円 ロシアの脅威に対抗―欧州委員長)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025030401007&g=int
「ウクライナへの侵攻を続けるロシアの脅威に対抗するため、8000億ユーロ(約125兆円)規模の「再軍備計画」を表明」
「複数のEU加盟国による防空システム、ミサイル、ドローンなどの共同調達を促す融資制度の新設を首脳らに書簡で提案」
まあ、餅を絵に描くことは簡単だが、食える餅をつくることは容易ではない。
「EU加盟国に課された財政規律の緩和やEU予算の活用を含め、再軍備計画が実行されれば「安全で強靱(きょうじん)な欧州のため、8000億ユーロ近くの防衛費を捻出できる」」
国内問題を抱える30の国々(NATO)が、それぞれに思惑を持って構成している欧州が、実際に再軍備計画に乗ってくるかどうかは未知数だし、このタイミング(ウクライナ支援停止)での発表は眉唾でしかない。
が、ウクライナ支援において、この精神が踏襲されるなら、ロシアに対する安全保障策としての自国の防衛強化が、支援の継続と増加に繋がる可能性がないとは言えない。
浮沈子的には、この計画がちゃんと機能する時期は、ウクライナだけじゃなくてバルト3国と東欧諸国がロシアに併合されてからになると思うんだがな・・・。
<また追加>ーーーーーーーーーー
(「米支援停止でも戦況維持できる」ウクライナ首相 欧州から代替兵器調達も)
https://www.sankei.com/article/20250304-6FHTTMSMNNIU5DKNRJMK76475A/
「米国の支援が停止されても戦局に直ちに影響しないとする認識」(ウクライナのシュミハリ首相)
「軍と政府には前線の状況を維持する能力と手段がある」(同上)
「ウクライナは(ロシアと)和平合意を締結するまで米国の支援が続くよう努めている」(同上)
「米国の支援が停止した場合、ウクライナは欧州諸国から代替兵器を購入したり、供与を受けたりする可能性を検討」(ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問)
「可能性を検討」かあ・・・。
つまりだな、完全に想定外で、何の準備もしてこなかったということなわけだ(そういうことかあ?)。
まあ、浮沈子だって、まさか本当に止めるとは思っていなかったからな。
(ウクライナ軍事支援の停止確認 物流拠点のポーランド)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025030401245&g=int
「米国によるウクライナへの軍事支援の物流が実際に停止していることを確認」「国境やわが国の(物流)拠点から届く報告は、米国が表明したことを裏付けるものだ」(ポーランドのトゥスク首相)
「ポーランドは、ロシアの侵攻を受けるウクライナに隣接し、西側諸国による軍事・人道支援の物流拠点となっている。」
やれやれ・・・。
その一方で、制裁の解除に向けた準備は、着々と進んでいる。
(米、ロシア制裁緩和の可能性検討 財務・国務省に作業要請=情報筋)
https://jp.reuters.com/world/us/UCQTCGYAB5IB3LNTVYNTONOG4E-2025-03-03/
「ホワイトハウスは国務省と財務省に対し、緩和できる可能性のある制裁のリストを作成するよう要請。」「現在、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)を含む特定の団体や個人に対する制裁解除の提案が策定されている」(米当局者や情報筋)
「ウクライナ侵攻を受けて米国が導入したロシアへの制裁には、石油・ガス産業からの収入制限や軍資金の調達能力縮小を目的とした措置が含まれている。」
ウクライナにしてみれば、発狂しそうな話だが、これが国際政治の現実なわけだ。
<またまた追加>ーーーーーーーーーー
(米国、ウクライナとの情報共有を一部停止-トランプ政権が圧力強化)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-03-05/SSNK4BT1UM0W00
「匿名を条件に語った米当局者1人によると、ウクライナが自国軍部隊を守るために必要な情報を除いた全てが共有停止の対象となる。」
「われわれは一歩引き、この関係の全ての面を一時停止し、見直している」(ウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当))
「ウクライナ政府高官は、トランプ政権が軍事情報共有を停止したとの一部報道を否定し、引き続き米国から必要な情報を受け取っていると述べている。」
「英紙デーリー・メールも、米政府が英国による情報共有を禁じたと報じている。」
「事情に詳しい東欧当局者の1人は、情報共有の停止が影響するのはロシア領内の標的に限られると述べた。」
「ラトクリフ中央情報局(CIA)長官も5日、米国が情報共有も停止したかどうかの質問に対し、明確に否定することはしなかった。同氏はFOXビジネスに対し、「確かにトランプ大統領が命じたのは停止だ」と発言。」
情報共有は機微に渡る事項だだ。
詳細が報道されることはないだろうが、こうして漏れ出てくる話を総合すると、何らかの形での制限が加わっていることは確かだ。
ウクライナ側から見て、制限されていないように見える程度の、緩やかなものなのかもしれないし、それと気付かれないように間引きされたものなのかもしれない。
まあ、おそらくは、ウクライナ側の発表は、国内向けの情報戦の如何の可能性が高いだろうけどな。
「情報共有の停止は先月の首脳会談後に生じた緊張をさらに高める」
武器供与の一時停止は、まあ、当分は何とか対処できるだろうけど、情報共有(提供)の停止は、待ったなしの死活問題だ。
顔が引きつるレベルの話なわけだ。
特にロシア領内の情報の欠如は、クルスク方面の戦況の悪化に拍車がかかる可能性がある。
やれやれ・・・。
あとは、スターリンクがどうなるかが最大の問題だな・・・。
<もっと追加>ーーーーーーーーーー
(軍事支援一時停止でゼレンスキーに揺さぶりかけるトランプ、スターリンク遮断ならウクライナ軍は数週間で崩壊も)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/86986?page=6
「ウクライナ軍はドローン運用にイーロン・マスク氏のスターリンクを利用している。米情報機関はリアルタイムでロシア軍の位置情報を提供している。これらの協力が打ち切られたらウクライナ軍は対抗手段を失う。数週間でウクライナは壊滅するという悲観的な見方すら出ている。」
木村氏の情報の出所は不明だが、この記事の時点ではスターリンクはまだ稼働しているようだな・・・。
(ユーテルサット株、最安値から最大7.5倍に 「ゲームストップ効果」か)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/G7VTQYAJDJM4PJFZMGDL6XCD5A-2025-03-07/
「ウクライナへのインターネット接続の追加供給に向けて欧州連合(EU)と交渉している。トランプ米大統領の側近のイーロン・マスク氏が率いる通信ネットワーク「スターリンク」に取って代わる可能性が示唆された」
「先週は最安値水準で推移していたユーテルサットの株価は、今月5日に前週末の6倍まで上昇。6日には前日比で18%上昇し、時価総額は40億ユーロ(43億ドル)を超えた。ただ6日終値では11%安となった。」
うーん、敵失でしか株価改善が図れないという静止衛星市場は、何とも言えない状況だな・・・。
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