🐱SLS:アルテミス1:ついでにキャップストーンも2022年09月16日 08:44

SLS:アルテミス1:ついでにキャップストーンも


(NASAの月探査計画「アルテミス1」SLS打ち上げは日本時間9月28日以降に)
https://sorae.info/space/20220913-nasa-sls-artemis1.html

「初号機の打ち上げは、日本時間9月28日以降に予定されています。」

つまり、23日の打上げはキャンセルなわけだ。

なんで?。

「NASAは9月3日の打ち上げ延期後に改めてコアステージ側のシールを交換しており、極低温推進剤の充填テストを9月21日以降に実施することが計画されています。」

おっと、今週末の予定だった充填テストが延期になったわけだ。

詳細な理由は、NASAのブログでも分からない。

(NASA は Artemis I 極低温デモンストレーション テストと打ち上げの日付を調整します。パッドでの進歩は続く)
https://blogs.nasa.gov/artemis/2022/09/12/nasa-adjusts-dates-for-artemis-i-cryogenic-demonstration-test-and-launch-progress-at-pad-continues/

「更新された日付は、極低温デモンストレーション テストの準備に多くの時間を費やすという追加の価値を含む」

「打ち上げの準備に多くの時間を費やすことができます。」

「マネージャーはチームが十分な休息を取り、極低温推進剤の供給を補充することもできます。」

ものは言いようだな。

そうやって、この5年間、遅れ続けてきたわけだ(SLSの当初の打ち上げ予定は2017年)。

まあいい。

「NASA と SpaceX は、10 月 3 日月曜日の EDT 午後 12 時 45 分までに、国際宇宙ステーションへの機関のCrew-5ミッションを開始することも引き続き目標としています。チームは、アルテミス I の計画と並行して、今後の商用クルーの打ち上げに取り組んでおり、両方の打ち上げスケジュールは、今後数週間にわたって引き続き評価されます。」

「今週、チームは極低温タンクのデモンストレーション中に再度テストする前に、2 つのプレート間にしっかりと結合していることを確認するために周囲条件でテストを実施し、テストの準備を開始します。」

「デモンストレーション中、発射管制官は超低温の液体酸素と液体水素を SLS ロケットのコア ステージと中間極低温推進ステージにロードします。このデモンストレーションにより、チームは水素漏れが修復されたことを確認し、システムへの熱および圧力関連のストレスを軽減するように設計された最新の推進剤装填手順を評価し、キックスタート ブリード テストを実施し、事前加圧手順を評価することができます。」

水素漏れが止まり、エンジンの予冷が確認されれば、このままぶち上げるつもりのようだ。

何かトラブルが見つかれば(水素タンクのダンプバルブの件もあるしな)、どの道、打ち上げは再度延期になる。

ここは素直に、VABに戻し、自動破壊システムのバッテリーも交換すれば、チームも、もっとゆっくり休息できるだろうに・・・。

充填テストに先立って行われる常温(周囲温度)での漏洩テストで、漏れが止まっていなければ悲惨だ。

アルテミス、アルテミスとて、漏れにけり・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

いずれにしても、少なくとも21日以降に行われる充填テストの結果が出るか、イースタンレンジでの打ち上げを管理する宇宙軍の裁定が出れば、何らかの動きがあるだろう。

NASAのアルテミスのブログには、キャップストーンの情報も載る。

リンク先には、由々しき状況が記載されていた。

また、何かやらかしちまったようだ・・・。

(CAPSTONE ミッション: 2022 年 9 月 12 日の更新)
https://advancedspace.com/capstone-12sep22-update/

「9 月 8 日の 3 回目の軌道修正マヌーバ (TCM-3) 中またはその直後に、宇宙船は異常に見舞われ、機体の姿勢率が搭載されたリアクション ホイールの制御および対抗能力を超えて上昇しました。車両は、テレメトリが回収されるまでの約 24 時間、地上との通信を試みていました。回復の時点で、宇宙船は安定した構成ではなく、電力が正ではなく、システムは定期的にリセットされていました。」

「計画された TCM-3 の操縦の後、宇宙船は期待どおりに地上通信に戻らず、問題がある可能性があることを最初に示しました。」

「限られたデータを使用して作業を行った統合運用チームは、9 月 8 日木曜日の夜に運用上の緊急事態を宣言することが賢明であると判断しました。」

本日現在、正常に戻ったという話はない。

探査機の回転が止まらなければ、月軌道投入のマニューバが出来ず、ミッションは失敗に終わる。

キャップストーンは、何かやる度にトラブルに陥るなあ・・・。

最小の投資(打ち上げロケットも探査機も)でクリティカルな軌道を通り、月探査を行おうというのは悪くないけど、その度にハラハラドキドキするようでは困るな。

前回の通信喪失は、誤ったコマンドの送信だったと記憶している。

(ミッション チームが NASA の CAPSTONE の通信問題の原因を特定)
https://blogs.nasa.gov/artemis/2022/07/07/mission-team-determines-cause-of-communications-issues-for-nasas-capstone/

「探査機の試運転中に、ディープ スペース ネットワーク チームは、一貫性のない測距データに注目しました。これを調査している間、宇宙船運用チームは宇宙船の無線の診断データにアクセスしようとし、無線を動作不能にする不適切な形式のコマンドを送信しました。」

今回の不具合の原因究明はこれからとなるが、今は、それどころじゃない。

回転している探査機の姿勢制御を取り戻すことが最優先だ(その過程の中で、原因が判明する可能性もありますけど)。

前回は、探査機の自律的機能で姿勢を維持したとある。

「CAPSTONE が地球と接触していない間、宇宙船は自律的にその向きを維持して、アンテナを地球に向けたままにし、ソーラー パネルがバッテリーを充電し続けられるようにしました。CAPSTONE はまた、スラスターを使用して標準的な操作を実行し、宇宙船の回転と方向転換を助ける内部ホイールであるリアクション ホイールから過剰な運動量を放出しました。」

今回は、セーフモードに入っているので、何らかのコマンドを送って良きに計らわなければならない。

状況は、前回より格段に厳しい。

(チームは CAPSTONE の継続的な復旧作業に取り組んでいます)
https://blogs.nasa.gov/artemis/2022/09/15/teams-work-ongoing-recovery-efforts-for-capstone/

「現在進行中の主な焦点は、宇宙船の推進システムを加熱することです。これは、9 月 8 日に宇宙船をセーフモードにした最初の問題の後、動作温度限界を下回っています。」

「太陽に対する宇宙船のスピンは、推進システムの加熱に十分であるように見えます。宇宙船の推進システムの温度が少なくとも12時間41 ° F ( 5 ° C )になったら 、チームはさらに評価します。」

なーんだ、積極的に何かしているわけではない。

温まるのを待っているだけ・・・。

(CAPSTONE ミッション: 2022 年 9 月 15 日の更新)
https://advancedspace.com/capstone-15sep22-update/

「・・・これらすべての例外的な個人の迅速な行動と献身的な注意がなければ、CAPSTONE ミッションはこの異常のために失われた可能性があります。」

綱渡りだなあ・・・。

探査機の温度が上がり、通信状況が改善し、新たなデータが取得されたところで、それを評価した結果が芳しくなければ、復旧に向けた対応は困難になる可能性もある。

いいニュースは、探査機が予定の軌道に乗っていること(地上のディープスペースアンテナで探査機が追尾できる)と、曲がりなりにも低利得アンテナによる通信が確保され、テレメトリーが取れていることだろう。

状況が予断を許さない点は変わりない。

直接の関係はもちろんないけど、ニューシェパードの件と言い、キャップストーンの件と言い、アルテミス1の打ち上げにとって、幸先が悪い気がする。

「これは依然として動的で変化する状況です。」

一寸先は闇の宇宙開発。

この話、何かあればまた書く。

🐱スターリンク:南極だって!2022年09月16日 21:28

スターリンク:南極だって!


(SpaceXの「Starlink」、南極でテスト--全7大陸で利用可能に)
https://japan.cnet.com/article/35193398/

「NSFの支援を受けた南極のUSAPの科学者らは、とても幸せだ!Starlinkは、マクマード基地に新たに配備されたユーザー端末で極地でのサービスをテストしており、科学支援のために帯域幅と接続性を高めている」

ウソつけえ!。

どーせ、エッチな動画見て喜んでいるんだろう・・・(未確認)。

まあ、どうでもいいんですが。

「この南極基地の通信は、バックアップとして米航空宇宙局(NASA)、米防衛省、Airbus、Iridiumが所有する複数の衛星に頼っているという。」

「SpaceXによると、南極におけるStarlinkサービスは、同社の「宇宙レーザーネットワーク」によって実現しているという。同社がこの1年間テストしてきたこのネットワークは、同社の衛星の間のレーザーによって光リンクを提供する。」

おお、スペースレーザーは、ちゃんと動いているということなわけだ。

南極でスターリンクが繋がった話は、あちこちに出ている。

(Starlink、南極マクマード基地でも利用可能に)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2209/16/news081.html

「Starlinkは現在、7つの大陸すべてに対応している。南極のような遠隔地では、この機能はStarlinkのスペースレーザーネットワークで実現する」

(Starlink はすでに 700,000 人の顧客を抱えており、南極でも事業を展開していますが、SpaceX はデータ制限を導入する可能性があります)
https://www.elonx.cz/starlink-uz-ma-700-tisic-zakazniku-a-funguje-i-na-antarktide-spacex-ale-mozna-zavede-datove-limity/

「SpaceX は何ヶ月にもわたって衛星を極軌道に打ち上げてきたため、サービスは南極でも利用できるようになりました。このおかげで、たとえば、マクマード サイエンス ステーションのインターネット接続は高速化されています。SpaceXは、軌道上の Starlink 衛星間の通信用のレーザー リンクのおかげで、極域のカバレッジが可能であると指摘しています。」

現在、衛星間のクロスリンクを利用して通信できるのは、浮沈子が知る限りスターリンクとイリジウムだけだ(他にもあったかも知れませんが、忘れました)。

イリジウムは、既に完成しているからな。

スターリンクのスターレーザーは、これから本格的に展開されることになる。

衛星バックボーンが成立するかどうかの正念場だ。

今のところ、ワンウェブとかでは、クロスリンクを張る具体的な計画はない(構想としては持っているようですが)。

2020年代の商用うち上げのほぼ全てを押さえている、アマゾンのプロジェクトカイパーがどうなるのかは知らない。

(Starlink は、南極大陸を含む 7 大陸すべてに高速インターネットをもたらします)
https://www.teslarati.com/starlink-covers-7-continents-antarctica/

「マクマード基地は南極最大のコミュニティで、最大 1,258 人の居住者をサポートできます。また、年間を通じて運営されている、米国に拠点を置く 3 つの南極科学施設の 1 つとしても機能しています。1 年を通して平均気温が氷点下になる月があるため、そのような場所にインターネット アクセスを提供する Starlink の機能は実に印象的です。」

(マクマード基地)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%89%E5%9F%BA%E5%9C%B0

「すべての月で平均気温が氷点を下回っているため、マクマード基地は極地の氷雪気候(ケッペンの気候区分でいえばEF)に該当する。しかしながら、最暖月 (12月と1月)においては一時的に気温が氷点を上回ることがある。」

寒いとこでもアンテナが機能するということなわけだ。

「座標: 南緯77度51分 東経166度40分」

スターリンクの軌道面のうち、グループ2(2-1のみ:高度570km、傾斜角70度:50機ー1機離脱:2022年9月11日現在:以下同じ)は打ち上げ済みで、グループ3(560km、97.6°:187機ー10機離脱)についても上がっているけど、何機が機能しているかは知らない。

マクマードの緯度を見ると、78度くらいだから、2-1で上げた衛星でもカバーできるかもしれない(未確認)。

クロスリンク(スターレーザー)さまさまだな。

この機能の真の価値は、地上ネットワークに依存せずにバックボーンを形成することが出来る点にある。

記事にもあるように、南極における高速接続の実証は、そのことを象徴していると言えよう。

まあ、今はどこか近くのゲートウェイに降ろしているんだろうけどな(未確認)。

各メディアが、揃ってこのことを取り上げていることからも、スターリンクの注目度が高いことが分かる。

クロスリンクが本格的に機能しだせば、沿岸だけでなく、全海洋での接続や、ゲートウェイを置くことが困難な砂漠や密林においても、低遅延な高速ネットワークを張ることが出来るようになる。

砂漠や密林は、気候的には中緯度や低緯度にあるわけだから、静止衛星を使って通信することも可能だが、極域についてはカバーしきれないところも出てくる。

そもそも、静止軌道では、原理的に低遅延を実現することはできない(数百ミリ秒は避けられない:それでも、ズームとかはふつーにできるようです:<さらに追加>参照)。

そんな需要がどれだけあるのかという話は置いておくとしても、低軌道コンステレーションかつ高速クロスリンクでなければ実現できない機能なわけだ。

イリジウムも、同じコンセプトで設計されているけど、容量的には小さいからな。

軌道高度は780kmだから、遅延は小さいだろうけど。

世界が注目するスターリンク。

通信容量が大きい第二世代衛星の打ち上げは、スターシップの完成に掛かっているけど、いつになったら出来ることやら・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

南極ということなので、一応、確認してみた。

(昭和基地:通信設備)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%9F%BA%E5%9C%B0#%E9%80%9A%E4%BF%A1%E8%A8%AD%E5%82%99

「南緯69度00分25.05秒 東経39度35分01.48秒」

「2004年、第44次越冬隊によってインテルサットアンテナが敷設され、昭和基地におけるインターネットの常時接続が実現した。」

「接続速度は3Mbps程度」

やれやれ・・・。

彼我の差は歴然だな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(南極のインターネット事情)
https://www.town.yakumo.lg.jp/blog/information/index.php/2021/09/08/3582/

「いざ昭和基地と通信が始まると、ちょっとその辺でZoomをやっているんじゃないか?と思うほどスムーズで、音声や画像の遅延も皆無。同席していた教委の担当者も「全然遅延がない」と驚いており、私の口からは「本当にこれは南極なんだろうか」とさえ言葉が出ました。」

ホントかあ!?。

ズームの遅延に埋もれてただけじゃないのかあ?。

まあいい。

インテルサット通信の保守をしている、KDDIの派遣社員の記事へのリンクがあったので読んでみた。

(「“南極”が勤務地です!」 南極越冬隊の一員として、昭和基地の通信環境をひとりで守る)
https://time-space.kddi.com/feature/genbadamashii-sp/20150528/

「昭和基地のネットワークは、インテルサット衛星通信によってKDDI山口衛星通信所と接続され、そこから立川市の国立極地研究所(極地研)に専用線で接続されている。昭和基地と極地研の距離は約14,000kmあるが、内線電話はつながり、イントラネットにも接続できる。つまりネットワーク的には昭和基地は極地研の一部となっている。」

KDDIの記事としては、14000kmという記述は如何なものかだな(通信距離は、静止衛星への往復だから7万km以上だ)。

まあいい。

「1年以上の間、日本を離れて任務を務める越冬隊員にとって、電話で家族の声を聞くことは大きな楽しみで、休日には順番待ちをしながら交代で電話をかけている。」

KDDIは、バックホール回線として、スターリンクを導入しようとしている。

山間僻地が多い我が国では、一定の需要はあるだろうが、まずは、昭和基地から始めた方がいいんじゃないのかあ?。

マクマードでは500Gbps(プレミアム)でつながり、昭和基地では3Mbpsぽっちと、名目上、ざっくり17万倍の差があることになる。

許容の限度を超えている気がするんだがな・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(無線信号処理研究室(笹森研究室))
https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/engineering/chair/fsasalab/research.html

「携帯電話回線の人口カバー率はほぼ100%(人が住んでいる地域はほぼサービスエリア内)ですが、面積カバー率(サービスエリアの面積が国土全体の面積に占める割合)は約60%です。農業や林業など中山間地域でもIoTを必要としていますが、電波が届かないと通信はできません。」

「携帯電話(800MHz帯)の人口カバー率と面積カバー率(総務省:電波の利用状況調査 p.16)」(リンク先は、令和元年度)

60パーセントというのは、800MHz帯の面積カバー率(NTTとKDDIが使用)だ(ソフトバンクは900MHz帯:やや面積カバー率は高い)。
面積カバー率というのは、余り宣伝効果がないので、各社とも積極的に公表していないようだが、これからは変わってくるかもしれないな。

山間僻地の需要がどれほどあるのかは知らないが、逆に、どこでも繋がるということになれば、需要を掘り起こすことになるのではないか。

インターネットとコンビニがあれば、浮沈子は生きていけるからな(そうなのかあ?)。

後は、アマゾンで配達してくれれば一生困らないだろう。

コンビニまで、クルマで丸一日掛かりで買い出しに行くとか、アマゾンの配達区域外だったりすると困るな・・・。