サイドマウントの研究(2)2013年01月28日 20:52

サイドマウントの研究(2)
サイドマウントの研究(2)


今回は、「腰への負担」の軽減という点について、触れてみたい。

浮沈子は、何年かに1回、不定期に腰痛を発症する。

(腰痛)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%85%B0%E7%97%9B

(科学的根拠(Evidence Based Medicine;EBM)に基づいた
腰痛診療のガイドラインの策定に関する研究)
http://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php

運動不足による腹筋や背筋の衰え、同じ姿勢を長く続けることによる筋肉のうっ血などが、背景にあると思われるが、理由なんてどうでもいいから、この痛みをなんとかしてくれえ!、というほど痛い。

本当に、息をしても痛い!。

激痛を堪えながら、トイレに行って用を足す。

涙がチョチョギレ、目の前が暗くなるほどの痛みだ。

安静にして、収まるのを待つしかない。医者に行っても、痛み止めと湿布薬をくれるのがせいぜいである。腰痛は、薬では治せない。

腫瘍などの別の病気に伴って起こる腰痛もあり、こちらの方は原疾患の治療と痛みのコントロールになる。

椎間板ヘルニアになると、場合によっては手術に頼るしかなく、予後もいいとはいえない。

直立歩行をする人間の宿命のような腰痛であるが、(見かけ上)重力から開放されているはずのダイビングで、なんで腰痛になるのか。

(腰痛に関して)
http://www.diversclinic.jp/2/youtu/youtuu2.html

「ダイビング中に生じる腰痛の誘因は、姿勢、泳ぎ方、体位変換(身体をねじるなど)などです。腰を反るような姿勢で長時間泳いでいると腰痛を起こすことがあります。特に、マイナス浮力で足の方が浮き気味になった状態が続くと腰痛を起こしやすくなります。フィンを左右にスライドさせるフィンキックより、バタ足のほうが、腰痛を起こす傾向があります。初心者では、水中で身体が安定しないため、腰をひねって無理な姿勢になり、これがきっかけで腰痛持ちになることさえあります。
  ダイビング前後に腰痛を起こすのは、ボンベや重器材を運ぶとき、BCなどの器材を着脱するときです。BCに腕を通したり、ボンベを背負って立ち上がるときは、少々腰を曲げたりねじったりする必要があります。」とある。

重い器材の運搬は、人任せにしているので問題ないが、水中での姿勢が問題になるようだ。

「ダイビング中に痛みを生じたら、痛みを誘発しない泳ぎ方で移動しなければいけません。少し腰を丸め(前かがみ姿勢)で、背泳の格好でフィンを左右にスライドさせて泳ぐのが最も腰に負担をかけません。この泳ぎ方であれば、背筋もあまり使いませんし、バタ足(フィンキック)の時のように腰を反る必要もなく、腰のひねりも加わらないので、あまり痛みを生じることなく泳ぐことができます。BCは海面で脱いで、器材の運搬はバディに任せましょう。」

背泳ぎが腰への負担にならないとある。しかし、それでは奇妙なダイビングになる。

腰を反る姿勢も問題のようだ。バックマウントでは、どうしても腰が反り気味になり、長時間その姿勢が続くことが影響する場合があるらしい。

短く、軽いタンクでは腰痛が起こりにくいが、ロングタンクでは腰が痛くなるということもあるだろう。そもそも、物理的にタンクの底が腰に当るということもある。

浮沈子は、胴の長さが人一倍あるためか、その点では有利であるな。

フィンキックの方法も考慮する必要がある。バタ足ではなく、煽り足の方がいいようだが、何度練習してもうまくならない。

舌を噛みそうになる(関係ないじゃん!?)。いやいや、本当に、ギクシャクしてどうしようもなくなり、奥歯で舌を噛んでしまいそうになる。

CCR特有の現象かもしれない。

さて、サイドマウントにすると、本当に腰への負担が軽減し、腰痛対策になるのだろうか。

(サイドマウントの利点)
http://www.padi.co.jp/visitors/news/pn12079.asp

腰への負担が少ない、と書いてはあるが、フィッティングがよくないと、かえって負担が増えるのではないか。

「BCD及びハーネスはサイドマウント専用のものが好ましい」とも書いてあって、この辺りが重要のようだ。別に専用でなくても、自分に合った調整ができればそれでいいだろうし、専用の器材を買っても、うまくできなければ辛いだけだろう。

タンクは、基本的には腰に近い位置で引っ掛けて止めるようになるので、力は腰の骨にかかる(ハーネスを調整する必要がある)。背中に付けた場合と、根本的に違うところだ。構造的に腰椎に負担がかからない。

「タンクを付けていないような感じ」になる人もいる。

最高のフィッティングだろう。

(Steve Martin Sidemount Diving)
http://www.sidemountscubadiving.com/

ここにもサイドマウント漬けのインストラクター(コースディレクター?)がいるが、腰痛のことは書いていないようだ。ヤツラは、あんまり腰痛にならないのだろうか。

民族的に日本人には腰痛症が多いようだが、ブレークすれば多くのダイバーにとって福音になるかもしれない。

重心に近い、腰の位置にしっかりと固定することが大切で、横に吊るすことが効果があるわけではない。腰ではなく、ハーネスの上のほうにメインのフックを留めた場合は、逆効果になる可能性もある。

サイドマウントが、ダイバーの腰痛対策に貢献するかどうかは、ひとえにフィッティングにかかっていると言っても過言ではない。

サイドマウントの研究(3)2013年01月28日 21:54

サイドマウントの研究(3)
サイドマウントの研究(3)


ホリゾンタル・トリム(水平姿勢)が取りやすい、といわれるサイドマウントだが、本当にそうなのか。

そもそも、なんでホリゾンタル・トリムでなくっちゃいけないのか。

バックマウントで、何の工夫もなく、力を抜いて浮力と重力のなすがままにした時に、浮沈子は裏返しになる。

CCRのバランスの問題であり、オリジナルのソフトハーネスでも同じであった。

浮力の付いた身体を、重りを付けたCCRで上から押さえつけているわけだ。左右のバランスが少しでも崩れれば、重いほうを下にしてひっくり返る。物理の法則は正しい。

オリジナルの時には、肩の位置にウエイトポケットがあり、ここに重りを入れていたので、裏返しになると同時に逆立ちした。

今は、腰のベルトにウエイトポケットを付けているので、逆立ちはしないで直立する。

バランスを崩しているので、何か工夫が必要なのだろう(自分の浮力を減らすのがよろしい)。

水平姿勢は、水中を泳ぐ時の基本姿勢である。泳いでいない時は、どんな姿勢(垂直)でもよいが、泳ぐ時は水平がよろしい。もちろん、水平に泳ぐ時は、ということである。

水の抵抗がバカにならないことは、このシリーズ(?)の第1回でも触れた。

サイドマウントが、バックマウントよりも水平姿勢になりやすいかどうかは、もちろん、バランスの問題ではある。

しかし、バックマウントのタンクの固定については、ファーストレギュレーターの位置と頭の位置との関係があり、最適なバランスがとりづらいということはある。

CCRなんかは、殆どどうしようもない。重りで調整するしかない。

それに比べて、サイドマウントの場合は、タンクのメインの固定位置を調整して、エアの消費による変化を抑えながら、最適な位置にすることが可能だ。

逆に、これを疎かにすると、水平姿勢が極めてとりづらくなる。

タンクに巻いてあるベルトは一度締めると動かせないが、腰に固定する位置を換えながら、バランスを調整することが出来るわけだな。

重心は腰のあたりになるので、その近くで固定されているタンクのトリムへの影響も小さいと言える。体の脇にあるので、表だろうが裏だろうが、自由自在ということもある。

「sidemount」で画像を検索すると、よく裏返しになっているダイバーが写っている。

http://www.cn-tryton.pl/sites/default/files/foty_eventow/sidemount_tec_50.jpg

http://www.scubanoticias.com.br/wp-content/uploads/2011/06/Sidemount1.jpg

http://www.sidemountscubadiving.com/Portals/0/Website%20Pics%20(new3)/Sidemount%20Essentials%20YouTube.jpg

http://www.simplysidemount.com/uploads/images/sidemount_training.JPG

http://www.sidemountscubadiving.com/Portals/0/Website%20Pics/Sidemount%20Specialty.jpg

http://idc-college.com/img/Sidemount%20Diving(2).jpg

http://www.blackdivers.hu/wp-content/gallery/fooldal/sidemount.jpg

他にもあるのかもしれないが、これは、サイドマウントが裏返しになりやすいというよりは、裏返しに「も」なりやすいということなのだろう。横に付けているので、当然といえば当然だ。

オープンサーキットのアルミタンクなどの場合は、尻が浮いてくるので、バックマウントでは裏返しにはなりにくい。メタリコンではなりやすいかもしれない。

前回の腰痛の話とも関係するが、腰椎にムリな力がかからないので、裏でも表でも泳ぎやすい。

この裏返しホリゾンタル・トリムというのが、サイドマウントの普及と共に流行りだすのではないか(んなわきゃない!)。

それほどに、水平姿勢がとりやすいという何よりの証拠のように思える。

実際に試してみるのが楽しみになってくる。