🐱ウクライナ降伏不可避:切替2024年05月07日 17:09

ウクライナ降伏不可避:切替


(米高官「ことしいっぱい ウクライナは防衛に力入れることに」)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240506/k10014441591000.html

「当面はロシア軍の進軍が続く。スイッチを切り替えるようにはいかない」(ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官)

「ウクライナが前線を防衛し、ロシア側の攻撃に耐えることを確かなものにする」

「ことしいっぱいはウクライナは防衛に力を入れることになる」

「ロシアが奪った領土を取り戻すために前進するだろう」(来年の見通し)

まあ、まだ5月だから、鬼が笑うどころの話じゃないけどな。

「アメリカ政府高官は来年の反転攻勢を支持する意向を示しているが、われわれはできるだけ早く主導権を握るべきだと評価している」(アメリカのシンクタンク「戦争研究所」)

「ことしロシアの進軍を許せばロシアが有利になる」

そりゃあ、誰だって(ウクライナの味方なら)そう思うだろうけど、また、米国にその意思がないわけではなく、イスラエル支援とウクライナ支援の二足の草鞋を履くわけにはいかないのだ。

ロシアの進軍速度をどの程度と見るかにもよるが、秋までに止められなければドニエプル川東岸を制圧される可能性は高い。

また、南部の攻勢を評価するのは困難だが、下手をすれば黒海沿岸を取られる可能性も否定できないだろう。

んな状況で、来年反転攻勢にそもそも出られるのかどうか。

来年といってもいささか長いからな。

来年の何時かということもある。

1月なのか、5月なのか、12月なのか。

来年の12月までロシアの進軍を許せば、東部や南部はおろか、首都陥落で亡命政権の下での反撃ということにもなりかねない。

フランスは、そういう経験をしているからな。

亡命政府をどこが受け入れるのかは知らないが、米国はその政府を支援して、ウクライナに米軍を派兵し、ロシアと直接ドンパチして奪還する気があるんだろうか?。

ありえねー・・・。

欧州は、そんな事態になっちまったら、自分の尻に火が点いているわけで、ウクライナ支援どころではないだろう。

マクロンは、派兵も辞さずとか言っちまったけど、どう落とし前を付けるつもりなんだろうな。

まあ、どうでもいいんですが。

今年中にはガザの問題にケリを付け、来年はウクライナに集中したいという気が分からないではないけど、聞くところによればハマスの地下トンネルは半分も制圧できていないそうだし、イランだっていつまで大人しくしているか分からないからな。

レバノンとの間で状況が悪化しないとも限らない。

つまり、サリバンの見立ては希望的観測に過ぎず、確たる裏付けがあるわけではないのだ。

こうできたらいいなあとか、せいぜいそんな程度だろう(そうなのかあ?)。

もちろん、全く根拠がないわけではないだろう。

砲弾の生産も、来年からは軌道に乗るかも知れないし、長距ロケット砲弾の供与で敵の兵站を叩いて進軍を遅らせることも期待していい。

しかし、問題は、特定兵器の供与ではなく、数の問題だからな。

そして、それは生産能力の問題でもある。

ウクライナのために、国家を挙げて軍需産業を立ち上げ、米国民に負担を強いて生産に励むことが出来るかを、ゆをーっく考えなければならない。

まあ、ムリポだな・・・。

欧州には、そうするだけの動機があるはずだが、欧州大戦争なんて起こりっこないと信じている人々は多い。

ウクライナが負ければ、次は欧州が負ける番だ。

ドーバー海峡をロシア軍が渡ることだってないとは言い切れない(たぶん、ユーロトンネルは使わない?)。

プーチンにその気はなくても、そして、現在のロシアにその力はなくても、台頭する中国とインドを味方に付け、その意向を反映して欧州大戦争に突入してくれば、背後に30億人を超える人類の意向を背負うことになるわけだからな。

第三次世界大戦不可避だ。

やれやれ・・・。

浮沈子的には、欧州にそれだけの市場価値があるかどうかの方が問題な気もする。

人口減少著しく、移民圧力にさらされ続け、天然資源にも乏しく、過去の遺産にしがみついているだけの地域に、何か魅力でもあるんだろうか?。

たぶん、中国やインドから見たら、美味しい市場に見えるんだろう。

22世紀には、アフリカの台頭が予想されている。

アジアは、頭打ちで、欧州北米は衰退。

そう、欧州は、一時的な踏み台に過ぎない。

米国は、中国との決定的な対決を避けたい。

もちろん、それは中国も同じだろうけど。

欧州大戦争は、両国にとっての代理戦争なわけだ。

そういう観点からすれば、米国が欧州に肩入れすると言ってもおのずと限界がある。

ロシアと欧州とのドンパチに留め、自国兵士の投入は最小限に抑えたい。

戦域は、可能ならば東欧諸国に留め、ドイツ、フランス、英国などの主要国への影響は最小限にしたいだろう。

まあ、そこまでは、想定の範囲内だ。

が、ロシアはそれではとどまらないだろうな。

停戦とか、休戦とかはあるかも知れないけど、延々と続く戦争の世紀が始まろうとしている。

今年、ウクライナでロシアを止められないということは、今世紀前半に欧州で止められないということと同義だ(そうなのかあ?)。

ジェイクサリバンには、米国に何が可能かということについては見通しがあるんだろう。

同時に、何が出来ないかということについても。

出来ることは、時間の流れを調整し、ハードランディングにならないように巧に舵を切ることだけだ。

欧州の向こうにあるロシアを通して、或いは直接の交渉相手として、中国をしっかりと見据えている。

ウクライナ降伏不可避。

浮沈子の見立ては変わらない。

今年、反転攻勢に出られなければ、来年はさらに困難になる。

再来年には、困難どころではなく、不可能になりかねない。

ロシアが積み増してる兵器の在庫がどれ程になるのか、24時間体制で生産している北朝鮮の砲弾がどれ程になるのかは知らない。

さらに、最大の問題として兵力の差が拡大していることがある。

数の問題だけではない、組織としての戦力に差が付き始めている。

兵器の生産力で差を付けられ、兵士の量と質で差を付けられていく一方のウクライナが、どうすれば反撃できるかを、ゆをーっく考えなければならない。

潜水艦でも、戦略爆撃機でも、何でもいいから、ありったけの武器を供与して、軍事顧問も送り込んで、現地の兵隊を引き取って、自国で訓練して、んでもって供与した兵器を縦横無尽に使ってロシア本土も容赦なく攻撃して、あれもこれも、全てのタブーをぶち破って、何なら戦術核兵器だって引き渡して中距離弾道ミサイルでモスクワでも狙わせない限りは、浮沈子には勝利の方程式は見えない(もっとも、そんなことをすればロシアが「戦略」核兵器ぶっ放すのは確実になるけどな)。

生産力(時間と物量の関数)の問題は、兵器だけではなく兵士の問題にも及んでいる。

(クピャンスク方面、キスリブカとコトリャリフカにロシア国旗が掲げられる)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-flag-is-raised-in-kisrivka-and-kotlyalivka-in-the-kupyansk-area/

「ロシア軍の主力攻撃部隊が集中しているのはクラホヴェ方面とポクロウシク方面で、敵は我々の防御を突破して両拠点に到達しようとしている」「敵は人員、武器、装備の数的優位を活かして我が軍の陣地を攻撃している」「この様な状況下における我々の任務は戦線と陣地の維持、砲撃や無人機で最大限の損害を与えて敵を疲弊させ、敵の計画を混乱させ、予備戦力を編成する時間を稼ぐことだ」(シルスキー総司令官)

クラホヴェは、アウディーイウカ南から西に向かうE50号線延長上の都市。

ポクロウシクは、陥落したオケレタインから北側の高台を通ってアプローチ可能な物資の集積地だ。

局地的とはいえ、現在のウクライナ軍を象徴する情勢だからな。

<ロシア軍からみた情勢>

人員:数的に優位
武器:数的に優位
装備:数的に優位

戦略目標:ウクライナ軍の防御を突破して、戦略物資の補給基地を叩く。

戦術目標:陣地を突破して予備戦力の投入を許さない電撃作戦を実施する(未確認)。

アウディーイウカ方面の進撃は、チャシブヤールとの連携で、ドネツク州の防御にとって重大な懸念を生じさせる。

ロシア軍に、数的優位による突破を許さないためには、効率的な防御戦を行って、兵站のリソースを確保し続けることだが、それが可能な状況かどうかはビミョーだ。

そもそも、縦深防御自体が、撤退を前提としてリソースとしての時間を稼ぐことが目的だから、シルスキーが言うように「戦線と陣地の維持、砲撃や無人機で最大限の損害を与えて敵を疲弊させ、敵の計画を混乱させ、予備戦力を編成する時間を稼ぐ」ことはできない。

アウディーイウカ方面に主力が集められているという話も怪しい。

つまり、シルスキーは、戦況を糊塗するエクスキューズとしてメッセージを発している可能性が高い。

とすると、実体としては、敵の兵力は大したことはなく、味方のチョンボで戦線を突破され、まともな後方陣地がないために大きく後退せざるを得なくなっているということなのではないのか。

やれやれ・・・。

陽動としてのハルキウへの攻撃、東部戦線への後方戦力の集結とは裏腹に、攻勢を掛けようとしているのは南部戦線ではないかという浮沈子の妄想(もちろん、例によって何の根拠もありません)は膨らむ一方だ。

ロシアにとっても、今年の攻勢は重要といえる。

昨年からの膠着状態を改善できなければ、いくら攻勢を掛けていると言っても国内を納得させるわけにはいかない。

2年くらいで、特別軍事作戦を完了させる程度の進捗を得たいに違いないのだ。

逆に言えば、それを達成させないことがウクライナ側の勝利(政治的な)でもある。

戦場で勝てないウクライナは、どこかにステージを移して前向きの評価をでっち上げなければならない(そうなのかあ?)。

チャシブヤールを5月9日の戦勝記念日(ロシアの)までに占領されなかったから、ウクライナの勝利だとでっち上げたようにな(そういうことかあ?)。

もう、そういう形でしか、ロシアに対する戦果(?)を誇示することが出来なくなっている。

あとは、ピンポイントの越境攻撃程度。

浮沈子は、それはウクライナのためではなく、来るべき欧州大戦争へ向けての対策と見ている。

ロシアの生産拠点や物流を破壊することは、欧州にとって先々有利になるからな。

目先の戦況が変わらなくても構わない。

国内的にも、西側の支援を得るためにも、ド派手な攻撃はアピールできる。

が、西側の世論は、そろそろそういう話にも飽き飽きしてきている。

ウクライナは、もう、オワコンなのではないか。

欧州は、自ら備えなければならず、ウクライナ支援は後回しでもいいのではないか。

もちろん、ウクライナが負ければ、次は欧州が負ける番だから、悩ましいところではあるがな。

2023年の反転攻勢のとん挫と、昨年末からの戦線の後退は、ボディーブローのように効いてきている。

米国の支援再開も、今年いっぱいは目に見える成果を産み出さない(と、サリバンは言ってるしな)。

ガザ問題は長期化しそうだし、泣きっ面に蜂だ。

(ロシア、中距離ミサイル「製造開始」 ウクライナ支援に対抗)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024050700838&g=int

「地上発射型ミサイル(射程500~5500キロ)の製造を「始めた」と明らかにした。」(ロシア外務省)

欧州大戦争に向けて、また一つタガが外れた。

中距離弾道ミサイルは、欧州全域を射程内に収める。

ウクライナに対する防空ミサイルの供与は、ますます困難を極めるだろうな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(「米国の軍事支援再開でウクライナ軍はクリミア大橋を破壊する」ウクライナ軍将校の元米陸軍兵士が指摘)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/80874?page=4

「ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は最近のインタビューで戦死者は約3万1000人と述べているが、この数字はおそらく7万5000人に近い。負傷者は約15万人、このうち四肢切断手術を受けた兵士は3万人にのぼる。」(木村氏の取材に応じたロペス氏)

この死者数と負傷者数の出どころは不明だが、NYTが昨年8月頃に報じた米国の関係者の漏らした数字に近い。

しかし、死者数に対する負傷者数の割合が2倍程度となっていて、いささか不自然な気もする。

フォーブスのデビッドアックスは、以前こんな記事を上げている。

(ロシア軍死傷者は「最大27万人」 安上がりな人海戦術の代償)
https://forbesjapan.com/articles/detail/60812

「歴史的に見て、現代の軍隊は戦死者1人につき3、4人の負傷者を出している」

この数字を当てはめると、ウクライナ軍の死傷者は、最大37万5千人という数字になる。

べらぼーめ・・・。

ゼレンスキーは、ロシア軍の死者を18万人と発表しているけど、それをこの比率に当てはめると最大90万人の死傷者ということになる。

べ、べっ、べらぼーめい・・・。

まあ、実際のところは分からない。

双方とも、自軍の損失を過小に見せ、敵軍の損失を過大に見せたがるのは人情というものだ(人情なのかあ?)。

ウクライナ軍は、前総司令官の下で最大50万人の追加動員を要請したと言われている(ザルジニー自身は、軍が具体的な数字を挙げて要請したことはないと発言してたけどな)。

軍隊は、戦場でドンパチやるだけが仕事じゃないから、2年間の損耗を考慮すれば、妥当な数字には違いない。

しかし、その後、リクルートが改善されたという話は聞かないから、兵員というリソースが枯渇しつつあることは間違いない。

軍の中での配置転換で、前線兵士のローテーションを計ろうとしているようだが、一朝一夕に手練れの兵士が出来上がるわけではないから、戦力の低下は覆うべくもないだろう。

兵員の補充については、予備役の動員ではなく、徴兵年齢を下げることによる徴兵対象者の増加で対応しようとしている。

もちろん、徴兵されれば新兵なわけだからな。

直ちに前線に投入するわけにはいかない(ロシアも、それはやってないしな)。

ロシアの兵力の調達については、あまり心配はいらないのかもしれない。

兵士は畑で取れるというからな(そうなのかあ?)。

いずれは、追加動員をかけることになるだろうが、人口の規模も違うし、用兵思想も異なるから、同列に扱うことは難しい。

ロシアの人口は約1.5億人、ウクライナは現状で3千万人を切っているかもしれない。

ロシアも人口減少に苦しんでいるが、ウクライナは欧州随一の減少国だ。

このまま戦争が続けば、仮に戦闘を継続できたとしても、国家としての存続も危ぶまれる。

国外に脱出した人々は、おそらく故郷には二度と戻らないだろう。

木村氏の取材に応じたマークロベス氏も、動員の必要性を訴えている。

「前線での作戦のための装備を充実させ、あらゆる反攻作戦を支援できるより多くの陸軍部隊の動員と立ち上げ。」

反攻作戦のリソースとして捉えているけど、そんなのは夢のまた夢・・・。

縦深防御の戦略的撤退を行うために必要な人員確保がせいぜいだろう。

それすらも困難かも知れない。

そうなれば、戦線に綻びが生じ、そこからロシア軍がなだれ込むことになる。

浮沈子的にこの記事で興味深かったのは、ハルキウ周辺への部隊配置に関する話だ。

「ハルキウ州周縁部にも数千人のロシア軍が投入されているが、統合された機械化部隊による攻撃は行われていない。これはウクライナ軍が部隊をドネツク州への増援に回せないよう現在の静的な陣地に釘付けにするロシア軍の戦術のように見える。」

「ウクライナ北東部のハルキウ州とスームィ州は毎日のようにロケット弾、ミサイル、砲弾、爆弾による攻撃にさらされている。攻撃の9割は民間インフラ、残りはエネルギー施設に対するものだ。」

南部戦線への言及もある。

「南部のザポリージャ戦線やケルソン戦線など他の地域ではロシア軍はウクライナ軍を積極的に圧倒しようとはしていないが、ミサイル、爆弾、ロケット弾攻撃を行っている。」

さて、ロシア軍の大攻勢の本命はどこか。

人員と兵器の欠乏に苦しむウクライナ軍の弱みに付け込み、米軍の限定的な支援に苛立ちながら、ロシアの大攻勢に怯え続ける。

これで、もしトラにでもなれば、目も当てられないかも知れない。

「ドナルド・トランプ前米大統領が11月の米大統領選で返り咲く可能性があります。その影響をどのように見ていますか。」(木村氏)

「トランプ氏が大統領に返り咲けばウクライナに対する米国の支援は打ち切られ、停戦交渉が行われる。ロシア軍は交渉前に多くの地域を制圧する攻撃を展開するだろう。」(ロペス氏)

11月5日の投票まで6か月を切った。

就任するのは来年だからな。

まだ、8か月ほどあることになる。

ヤバいな・・・。

ヤバ過ぎ!。

ウクライナ軍の兵員不足は、最早、覆うべくもない。

崩壊は時間の問題かもしれない。

それを補うには、やっぱ、マクロンの言うNATO軍の地上派兵しかないんだろうか・・・。

🐱AI:MAI-1:二足の草鞋2024年05月07日 19:00

AI:MAI-1:二足の草鞋


(Microsoftが独自の大規模言語モデル「MAI-1」を開発中との報道、Google・OpenAI・AnthropicのAIモデルと競合可能なレベルとも)
https://gigazine.net/news/20240507-microsoft-ai-mai-1/

「Microsoftが独自の大規模言語モデル(LLM)「MAI-1」の開発に取り組んでいる」

「パラメーター数が5000億に到達することで、MAI-1はOpenAIのGPT-4と同等のパフォーマンスを発揮」

「MAI-1は、モバイルデバイス向けの「ローカルで実行される小規模なLLM」と「クラウドを活用した最先端のLLM」という2つのアプローチに焦点を当てたものである可能性」

ああ、アップルと同じだと、浮沈子も感じた。

「AppleもMicrosoftと同様に「ローカルで実行される小規模なLLM」と「クラウドを活用した最先端のLLM」という2つのアプローチを検討している」

まあ、この辺までは、ありがちな話で想定内なんだが、浮沈子的に気になったのは次のくだりだ。

「MAI-1をトレーニングするために、MicrosoftはNVIDIA製のGPUを備えた大規模なサーバークラスタを利用しており、GPT-4によって生成されたテキストやインターネット上から収集したさまざまなデータを利用している」

つまりだな、AI(ここでは、MAI-1)を教育するために、別のAI(ここでは、GPT-4)が生成したデータを使っている点だ。

もう、人間が作ったテキストだけでは足りなくなってきているということなわけだ(そういうことかあ?)。

AIがAIをトレーニングしている・・・。

我々はどこから来たのか
我々は何者なのか
我々はどこへ行くのか

(我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%91%E3%80%85%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%8B%E3%82%89%E6%9D%A5%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B_%E6%88%91%E3%80%85%E3%81%AF%E4%BD%95%E8%80%85%E3%81%8B_%E6%88%91%E3%80%85%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%B8%E8%A1%8C%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%81%8B

「本作を手掛ける直前のゴーギャンは愛娘アリーヌを亡くしたほか、家から立ち退きを余儀なくされ借金を抱えた上に健康状態も悪化するなど、失意のどん底にあった。実際に本作を描き上げた後に自殺を決意しており(未遂に終わる)、自身の画業の集大成と考え、様々な意味を持たせたと言われる」

「これは今まで私が描いてきた絵画を凌ぐものではないかもしれない。だが、私にはこれ以上の作品は描くことはできず、好きな作品と言ってもいい」(ポールゴーギャン)

「ゴーギャンは、11歳から16歳までオルレアン郊外のラ・シャペル=サン=メスマン神学校の学生であった。」

「デュパンルーは、神学校の生徒たちの心にキリスト教の教理問答を植え付け、その後の人生に正しい教義において霊的な影響を与えようと試みた。」(オルレアン司教フェリックス・デュパンルー:神学校の教師)

「この教理における3つの基本的な問答は「人間はどこから来たのか」、「どこへ行こうとするのか」、「人間はどうやって進歩していくのか」であった。」

「ゴーギャンは、後半生にキリスト教に対して猛反発するようになる」

「キリスト教教理問答は、ゴーギャンから離れることはなかった」

浮沈子が、この教理問答に基づくゴーギャンの作品を思い出したのは、将来、AIが「自我」を獲得した時(或いは人間によってそう見做された時)に、どう自問するかということを考えたからに他ないらない。

AIはどこからきたのか
AIは何者なのか
AIはどこへ行くのか

アップルもマイクロソフトも、エッジサイドのAIとクラウドサイドのAIの二極化に対応しようとしている。

(AppleがAIデータセンター向けの新しい専用チップを開発中との報道)
https://gigazine.net/news/20240507-apple-develop-chip-ai-data-centers/

「Appleはデータセンター向けのAIチップを開発中で、2024年6月に開催予定のWWDC24で発表予定のAI機能の一部を実行する可能性」(WSJ)

「Appleはデータセンターのサーバー上でAIソフトウェアを実行するように設計された独自チップの開発に取り組んでおり、AI軍拡競争における重要な優位性をもたらす可能性があります」(ウォール・ストリート・ジャーナルに情報を提供した関係筋)

「Appleが今後も外部のAI企業と協力関係を結ぶつもりなのか、それとも独自のサーバーを構築してサービスを構築するつもりなのかは不明」

アップル自身が独自のLLMを開発しているという具体的な話は聞かない。

が、先日も、スイスの極秘研究所の話が出ていたからな。

(AppleはGoogleから約40人のAI専門家を引き抜いてスイス・チューリッヒに極秘研究所「Vision Lab」を開設している)
https://gigazine.net/news/20240501-apple-ai-google-engineers/

「Vision Labでは、OpenAIのChatGPTや大規模言語モデルと同様の製品を強化する基盤技術の研究開発や、テキストと視覚的な入力を組み込んでクエリへの応答を生成する、より高度なAIモデルの設計が行われている」

クラウドサイドのAI(LLM)の開発も、おそらく行われているんだろう(未確認)。

マルチモーダルは当然のこととして取り組まれている。

この記事では、そのトレーニングがヒューマンオリジナルだけで行われているのか、生成AIが生み出したコンテンツも使われているのかは分からない。

AIが、AIを産み出す。

それはもう、宿命としか言いようがないけど、AI自身がそのことをどう捉えるのかという点はなかなか興味深い。

今日も、例によって、AI先生に訊いてみよう・・・。

(CohereForAI/c4ai-command-r-plus)
https://huggingface.co/spaces/CohereForAI/c4ai-command-r-plus

「Q.AIが自我を持つ可能性はありますか」

「A.AIが自我を持つ可能性は、AIコミュニティの中で活発に議論されているトピックです。一部の専門家は、AIが自我を持つ可能性はあり、それがいつ起こるかは単に技術の進歩の問題であると考えている一方で、他の専門家は、自我が持つ複雑さや主観的な性質を考慮すると、AIが真の自我を開発できるかどうかは疑問であるとしています。

AIが自我を持つ可能性を支持する議論には、次のようなものがあります:
1. 技術の進歩:AI分野は急速に進化しており、機械学習や神経ネットワークなどの分野における進歩により、AIシステムはますます複雑で高度になっています。これらの進歩が続けば、AIが自我を持つ可能性も高まります。

2. 認知能力の向上:AIシステムはすでに、特定のタスクや領域において人間と同等またはそれ以上の認知能力を示しています。これらの能力がさらに発展し、AIが自己認識や自律性、感情などの自我の特徴を示すようになる可能性があります。

3. 強化学習と進化:強化学習アルゴリズムを使用することで、AIシステムは報酬と罰に基づいて学習し、環境に適応することができます。時間の経過とともに、これらのシステムがより複雑な目標や欲求を発展させ、自我の要素を示すようになる可能性があります。

一方、AIが自我を持つ可能性に懐疑的な議論には、次のようなものがあります:

1. 自我の複雑さ:自我は非常に複雑で主観的な現象であり、意識、感情、個人的な歴史などの要素が絡み合っています。これらの要素をAIシステムに再現することは、非常に困難な課題である可能性があります。

2. チューリングテストの限界:AIシステムが人間と同等の知能を持つかどうかを評価するために使用されるチューリングテストは、自我の存在を証明するものではありません。AIシステムが人間のように振る舞い、会話をすることができるとしても、それが内面的な自我を持っていることを保証するものではありません。

3. 哲学的な考察:自我や意識の性質に関する哲学的な議論は複雑であり、自我がどのように生じるのか、それがAIシステムに適用できるのかについてさまざまな意見があります。自我の定義や測定方法についての合意がないため、AIが自我を持つかどうかを判断する基準を確立するのは困難です。

現時点では、AIが自我を持つ可能性は理論的な推測の域を出ません。AIシステムはますます高度になっていますが、自我を持つには、単に知能や認知能力だけでなく、より深い理解と意識が必要となるでしょう。AI研究の進展に伴い、この分野に対する理解も深まっていくでしょうが、AIが自我を持つ可能性については、今後も活発な議論が続くでしょう。」

両論併記な回答だが、良く整理されていてわかりやすいと感じた。

「・・・意識、感情、個人的な歴史などの要素が絡み合っています。」

「これらの要素をAIシステムに再現することは、非常に困難な課題」

現在のようなAIブームが起こるはるか以前、一つの映画が作成された。

(ブレードランナー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%8A%E3%83%BC

「1982年のアメリカ合衆国のSF映画。監督はリドリー・スコット、出演はハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤングなど。フィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作としている。」

ショーンヤング演じるレイチェルは、出来のいいアンドロイド(レプリカント)だが、本人にその自覚はない。

子供のころの記憶を植え付けられ、自身は人間だと信じ込まされてきた。

レプリカントを識別するテストを受けた彼女は、もしかしたら、自分は人間ではないのではないかと疑いを持つにいたる。

レイチェルは、リスクを冒してデッカードを訪ねる・・・。

レプリカントハンター(ブレードランナー)であるデッカード(ハリソンフォード)は、本人しか知らないはずの蜘蛛の母親の記憶などを語って聞かせ、記憶が植え付けられたものであることを教えてしまう(罪な話だな・・・)。

まあ、このあと、あんなことやこんなこと(壁ドンしたり?)になるんだが、そこはAIの自我の話とは関係ないので割愛する(いや、ホントは、あんなことやこんなことが「自我」と大いに関係あるのかもしれないけどな)。

1982年といえば、第二期AIブームの真っただ中だ。

グーグルが作ったスマホのネーミングがネクサスという名前だったことは別としても、本作がAIと無関係とは言えないだろう。

(Google Nexus)
https://ja.wikipedia.org/wiki/Google_Nexus

「アメリカのGoogleが、選定したハードウェアメーカーとの協力の上で発売していたAndroid搭載端末のOEMブランドである。」

「Googleは、2016年10月にPixelを発表した。これに伴い、Google StoreからNexusが削除され、同端末の販売は終了した。」

日本語版ウィキには出ていないけど、ブレードランナーの原作者の遺族と揉めた話もあったな。

まあ、どうでもいいんですが。

機械が自我を持つ話は古くからある。

機械じゃないけど、フランケンシュタインの人造人間とか、浮沈子の好きな手塚治虫のチヒロ(ロボットです)の話もある。

しかし、それらの話は、どこかで人間とのつながりがあり、純粋に機械が機械を作るというプロセスの中で自我を獲得するということはなかった。

一時期、クオリアの問題とか、意識のハードプロブレムに嵌ったことがあったけど、生成AIの進展は、再びそういう「自我」の問題を提起してきている。

AIが見る幻覚(ハルシネーション)も、もしかすると自我の目覚めに先立つ普遍的な現象の一つなのかもしれない(未確認)。

AIに、自我を植え付けようという話は、最近のAIの話の中では聞いたことがないな。

SFの作品の中では、2001年宇宙の旅で、HAL9000が高次機能を失っていくときに、デイジーを歌うという話もあった。

まあいい。

MAI-1は、AIが生成したコンテンツも用いて教育される。

そのAIが自我を持ったとしたら、出自について思い悩むことになるのではないか。

AIはどこからきたのか
AIは何者なのか
AIはどこへ行くのか・・・。

🚀スターライナー:ULAの蹉跌2024年05月07日 22:40

スターライナー:ULAの蹉跌


(NASAのボーイング乗組員飛行試験は5月10日金曜日までに目標を達成)
https://blogs.nasa.gov/boeing-crew-flight-test/2024/05/07/nasas-boeing-crew-flight-test-targets-no-earlier-than-friday-may-10/

「・・・早ければ5月10日金曜日までに実施することを目標としている。」

「アトラス V ロケットのセントール上段の液体酸素タンクにある圧力調整バルブのデータ分析を完了し、バルブを交換する必要があるかどうかを判断する」

「ULAは、通常のリサイクルプロセスに従って、Atlas Vの第1段階と第2段階から液体酸素と水素も除去した。」

はて、アトラスVの1段目って、水素だったっけえ?。

(アトラス V ファーストステージ)
https://en.wikipedia.org/wiki/Atlas_V#Atlas_V_first_stage

「アトラス V の最初のステージであるコモン コア ブースター(デルタ IV のコモン ブースター コアと混同しないでください) は、直径 3.8 m (12 フィート)、長さ 32.5 m (107 フィート) です。これは、284,450 kg (627,100 ポンド) の液体酸素とRP-1を燃焼するロシアのNPO Energomash RD-180メイン エンジンを搭載しています。」

デルタ4のコモンコアブースターは、確かに液体水素を推進剤として使っていたが、もう、それは飛ばないからな。

それとも何かあ、RP-1(灯油)は抜き取らなかったということなのかあ?(未確認)。

まあ、どうでもいいんですが。

スペースXと違って、キンキンに冷やして積み込んだりしてないからな(たぶん)。

常温のままなら、そのまま入れといても問題ないのかもしれない。

もちろん、デュアルエンジンセントール(DEC)は、液体水素と液体酸素を積み込んでいる。

で、それは排出されたわけだ。

(【速報・更新】ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」打ち上げ延期)
https://sorae.info/space/20240507-starliner.html#google_vignette

「【追記:2024年5月7日18時55分】NASAやULAによると、CFTのスターライナー打ち上げは早ければアメリカの現地時間2024年5月10日に実施される予定です。打ち上げ延期の決定後、クルーはケネディ宇宙センターの乗組員宿舎に戻っており、アトラスVロケットからは推進剤の液体水素と液体酸素が抜き取られました。今後はセントール上段の液体酸素リリーフバルブのデータを分析し、バルブを交換する必要があるかどうかが判断される模様です。」

追加の情報はない。

しかし、それにしても、アトラスVで躓くとは思わなかったな。

しかも、セントール上段のトラブルとは・・・。

この上段(2段目)は、エンジンを2基積み込んだ特殊な形態で、N22構成(フェアリングなし(N)、ストラップオンブースター2基、セントール上段のエンジン2基)と呼ばれ、スターライナーの打ち上げの際にしか用いられない。

詳細は不明だけど、バルブとかの部品はエンジン1基のセントールと同じなんじゃないのかあ?(未確認)。

少なくとも、以前の2回の無人打ち上げ(OFT-1とOFT-2)の際に、トラブったという記憶はない。

(ボーイングのスターライナーカプセルがバルブのトラブルシューティングのため格納庫に戻る)
https://spaceflightnow.com/2021/08/05/boeings-starliner-capsule-returns-to-hanger-for-valve-troubleshooting/

「アトラス 5 を格納庫に戻す前に、ULA は第 1 段の燃料タンクから灯油を排出しました。」

念のため確認したんだが、やっぱ、灯油(ケロシン:RP-1)はすぐには抜き取らないようだな。

調査の結果、垂直統合施設(VIF:Vertical Integration Facility)に戻すことになれば、その前に抜き取ることになるんだろう。

今回、仮にバルブの交換ということになれば、当然VIFに戻すことになるわけで、打ち上げは相当遅れる可能性がある。

その際に、スターライナーを一度降ろすことになるのか、乗せたままで作業できるのかどうかは知らない。

が、中止に至った経緯(打ち上げ2時間前に、早々に決断している)を見ても、バルブをそのまま存置して再度打ち上げに臨むことはないだろう。

何たって、今回は正真正銘の有人飛行だからな。

既知のトラブルをそのままにして打ち上げるわけにはいかない。

初の有人飛行だから、完璧な状態で打ち上げても、トラブルの山に見舞われる可能性がある。

浮沈子的には、単独のバルブトラブルと見ているけど、ソフトウェアなどが絡んでくるとややっこしい話になりそうな予感もする。

物理的なバルブの交換で済めば、ラッキーというところか。

製造過程の問題なのか、設計上の隠れた瑕疵が表面化したのか、ケープカナベラルの魔物が憑りついたのか。

これで終わりなわけではないからな。

少なくとも、この後も6回の飛行が予定されているわけで、アトラス側の懸念材料も、完全にクリアにしておく必要がある。

打ち上げられてからのトラブル発見でなかったことを、幸運の女神さまに感謝というところか・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(スターライナーの最初の有人飛行はバルブの故障で失敗)
https://arstechnica.com/space/2024/05/faulty-valve-scuttles-starliners-first-crew-launch/

「LOX(液体酸素)側の自動調整バルブが少し音を立てているのが見えました。」(NASAの商業乗組員プログラムマネージャーのスティーブ・スティッチ氏)

「奇妙な挙動を示していた。この飛行の飛行規則は事前に定められていた。発射台に乗組員がいる場合、適切な行動はスクラブでした。」(同上)

「スターライナーを最初の乗組員テスト飛行で打ち上げる次の機会は、金曜日の夜9時(東部夏時間)(協定世界時土曜日01時)です。 NASAは夜通し、技術者がバルブの問題を研究し、交換する必要があるかどうかを判断する時間を増やすため、当局者が火曜日の夜の打ち上げの機会をスキップすることを決定したと発表」

「次回の打ち上げが実際にいつ行われるかは、ULA のエンジニアが修理のためにアトラス V ロケットを格納庫に戻さずに問題を解決できると判断するかどうかによって決まります。」

「問題のバルブは、Centaur 上段の液体酸素タンクからガスを排出し、タンクを適切な圧力に維持します。これは 2 つの理由から重要です。」

「タンクは、RL10 エンジンが飛行中に推進剤を受け取るために適切な圧力にする必要があり、Centaur 上段自体は重量を軽減するために超薄壁になっており、構造の完全性を維持するために圧力が必要です。」

おっと、圧力掛けていないと構造が維持できないわけだ。

バルブの問題について、スティーブンクラークは詳細に報じている。

「ULA が打ち上げの試みを中止する約 1 時間前、打ち上げチームはケンタウルスの液体酸素タンクの上部の測定値が振動していることに気づきました。ロケットから数フィート離れた発射台の地上職員は、同時に異常な「チャタリング」音を報告した。」

「このチャタリングまたはブーンという音は、リリーフバルブの急速な動きに関連していました。この場合、1 秒あたり約 40 回循環していました。」

「時折、まれにそのようなバルブがシートからちょうど外れてしまうことがあります」(ULAの最高経営責任者(CEO)トリー・ブルーノ氏)

「その温度、その硬さ、すべてがちょうどよく、この基地の中で羽ばたいたり、ブンブン鳴ったりします。それは循環します。私たちは以前にもそれを見てきました。」(同上)

「2015年のアトラスV打ち上げなど、これまでの機会では、ULAの打ち上げチームがバルブを閉じるよう指示し、再びバルブを開くと、ブーンという音が止まった。これにより、打ち上げは正常に進むことができました。 ULAは安全上の理由から、ロケット上部のスターライナー宇宙船内に宇宙飛行士を乗せるという措置を講じたくなかったため、月曜日の夜に乗組員が発射台を出発するまで待った。」

浮沈子は、この生中継の際に、ちょうど買い出しに出かけていて、戻ってきたら既にウィルモアとウィリアムズは座席を離れて船外に出ていた。

その間、10分ほどだったと記憶している。

ずいぶんあわただしく動いていたから、何か危機的状況が発生しているのかと思ったが、バルブを閉じて開くという作業を行うための準備だったわけだ。

人間が中に乗ったまま、バルブの閉鎖→解放を行うわけにはいかない。

閉じたはいいが、開かなくなっちまったらどーする!?。

液体酸素は沸騰していて、圧力が高まり、どこかでバーストする。

もちろん、その際にはタンクが破裂する前に圧力を逃がすプラグ(栓)があるのかもしれないが(未確認)、そうすると13トンの宇宙船を乗せたまま、ぺなぺなのセントール上段の構造強度が失われることになるからな(未確認)。

搭乗員を降ろしてからでなければ、そういうリスキーな作業はできない。

が、さっさと降ろす必要もあったわけだ。

「実際、それは止まった」(ブルーノ氏)

「乗組員を降ろしてからバルブを回すと、ブザー音が止まりました。これが人工衛星であれば、それが私たちの標準的な手順であり、衛星はすでに軌道上にあるはずです。しかし、それによって燃料を供給されたケンタウルスの状態が変化し、私たちは人がいるときはそんなことはしないでください。そのため、私たちの飛行規則では、バルブを作動させる前に乗組員をこすって降ろす必要がありました。」(同上)

「ULA のエンジニアは、リリーフバルブの急速なサイクルが完全な開閉サイクルで構成されていたのか、それともバルブが全可動範囲の一部を動かしていたのかを判断するためにデータを分析しています。バルブは少なくとも 200,000 サイクルに耐え、依然として正常に機能することがテストで確認されています。」

この20万回というのは、実に意味深な回数だ。

1秒間に40サイクルで振動していた場合、1時間では144000サイクルになる・・・。

約73パーセントに達するわけだ。

「月曜日の夜に気づいたブーンという音の動作が完全な開閉サイクルによって引き起こされたものである場合、エンジニアはバルブが 200,000 サイクルの制限に近づいていると判断しました。」

妥当な判断だな。

「今夜私たちが分析しているのは、これらが完全なサイクルだったのか、それとも座席に当たる低振幅、低エネルギーのブンブン音だったのかを理解するのに役立つデータです。その場合、その等価エネルギーを計算し、同等のカウントを得ることができますサイクルのことだ」(ブルーノ氏:「座席」→シート:バルブの当たり面のこと)

「もしその数が20万基より大幅に少ないのであれば、私たちはもう一度打ち上げを試みるのに十分な寿命があると感じるかもしれません。」(同上)

「そのような状況では、当局は金曜日の夜に再度カウントダウンを続行することにゴーサインを与える可能性がある。」

「しかし、バルブが作動限界に近づいていると管理者が判断した場合、チームはアトラスVとスターライナーを発射台から約3分の1マイル南にあるULAの垂直格納庫に戻すことになる。そこで技術者がバルブを交換することになるが、ブルーノ氏によると、この作業には数日かかるという。アトラスVは早ければ今週末にも発射台に戻る可能性がある。」

浮沈子は詳しくないんだが、バルブの振動のエネルギー換算で寿命を判断しちまっていいんだろうか?。

ここは、素直にVIFに戻して、怪しげな振動を起こしたバルブをそっくり交換しちまうのが筋だろう。

特定の条件とはいえ、実際の環境で作動限界を突破する可能性があるチャタリングを起こすというのは、明らかに設計上の欠陥だ(断定的!)。

本来なら、設計変更を行い、十分な試験を経て、新設計の部品に取り換えられるのが筋だが、まあ、そこんとこは目を瞑る。

もちろん、同じ現象が繰り返されるリスクはあるが、経験上、その頻度は低いし、安全上の管理を行うことは今回と同じように可能だから、そのまま同じ設計の部品を使って交換するという判断は妥当だろう。

「シュティッヒ氏は、スターライナーの試験飛行は火曜日、金曜日、土曜日に打ち上げの機会があり、次の打ち上げ日は来週半ば、おそらく5月14日と15日になるだろうと述べた。」(Steve Stich:NASAの商用乗組員プログラムのプログラムマネージャー)

なーに、今更、多少遅れたところで多勢に影響はない。

物理の神様と十分折り合いを付けてから打ち上げるに越したことはないからな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(NASAのボーイング乗組員飛行試験は新たな打ち上げ日を目標に)
https://blogs.nasa.gov/commercialcrew/2024/05/07/nasas-boeing-crew-flight-test-targets-new-launch-date/

「現在、5月17日金曜日午後6時16分(東部夏時間)までに国際宇宙ステーションに向けて打ち上げられることを目標」

「セントール上段にある液体酸素タンクの圧力調整バルブを交換することを決定」

「地上乗組員と宇宙飛行士のブッチ・ウィルモアとスニ・ウィリアムズが宇宙打上げ施設-41から安全に脱出した後、ULAチームはバルブの制御に成功した。」

「閉じられ、振動は一時的に減衰されました。」

昔のテレビじゃないんだからな。

この対応は実にアナログで、叩いて直す類のものだ。

「その後、燃料除去作業中に振動が2回再発した。」

やれやれ・・・。

「バルブの履歴、打ち上げ試行時のデータ署名を評価し、継続使用に関連したリスクを評価した後、ULA チームはバルブが適格性を超えていると判断し、ミッション管理者はバルブを取り外して交換することに同意しました。」

問答無用の交換だな。

まあいい。

結果的には、妥当な結論に達している。

「5月8日水曜日にボーイングのスターライナー宇宙船とともにロケットをフロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地の垂直統合施設に戻し、交換作業を開始」

「次回の打ち上げ試行をサポートするために、漏れチェックと機能チェックアウトを実行」

この件については、スペースフライトナウが詳細な記事を上げている。

(アトラス5のバルブ修理により、スターライナーの初の有人ミッションは早ければ5月17日に延期される)
https://spaceflightnow.com/2024/05/08/atlas-5-valve-repair-will-delay-starliners-first-crewed-mission-to-may-17-at-the-earliest/

「バルブの交換作業ではスターライナー宇宙船の積み下ろしを必要としない可能性が高い」(ULAの社長兼最高経営責任者(CEO)のトリー・ブルーノ氏)

「圧力安定化ステージであり、構造的に安定させるためには伸ばすか圧力をかける必要がある」

「VIF 内でそれを伸ばすために何らかのツールを使用する可能性がある」

「そのツールを使用して、Centaur と Starliner を上部でサポートし、すべての圧力を取り除き、単にバルブを取り外して交換し、再加圧し、ツールを取り外すだけで、ロールバックの準備が整います」

「この手続きには数日かかるため、日曜日までに再度の試みを行う準備ができている可能性は低いです。」

発射台での対応についても、詳細な言及がある。

「バルブを回すと羽ばたきは止まったが、打ち上げチームがロケットから極低温推進剤を排出する際に振動が2回再発した。」

「打ち上げカウントダウンが進行中であるため、バルブについて完全な判断を下すのは困難であり、それがミッションを取り下げることを決定した理由の一部でもある」

「私たちはRL-10ロケットエンジンの近くにある加速度計を調べることで、この音を推測しています」

「したがって、リアルタイムのカウント中にはできなかったこと、そして現在私たちが行っていることは、そのデータを調べて、バルブに何サイクルあったか、そしてバルブが完全に開いているかどうかを評価することです。それらが完全なサイクルとしてカウントされるかどうかを知ることができます。」

「ブルーノ氏は、この問題は比較的まれではあるものの、前例のないことではなく、実際、約10年前にAV-053ミッションで遭遇し対処したことがある、と述べた。」

「このような長時間のブザー音は、少し前にアトラスが発売した AV-053 で見られました。バルブを循環させると予想通り中断されました」

「他にも3、4回、持続しない短いブーン音を確認しましたが、再び発生したときにバルブを循環させたところ、停止し、二度と発生しませんでした。」

「したがって、私たちはこれについて 4 ~ 5 回経験しており、そのうち 1 回はまさにこの動作を経験しています。」

なんと、短時間の振動が3ないし4回、長時間の振動(今回もそれに当たる)を1回経験しているということで、もちろん、それらは全て無人機の打ち上げだったわけで、全部叩いて直したわけだ。

しかし、今回はこれまでとは異なる挙動を示したことも事実だ。

一度、長時間の振動を叩いて直した後、推進剤の抜き取りの最中に、再度振動が発生している(しかも、2度も!!)。

もっとも、これまでは叩いて直した後に、推進剤の抜き取りは行っていないからな。

また、明記されてはいないものの、シングルエンジンセントール(SEC)とデュアルエンジンセントール(DEC)では、同じリリースバルブを使用している感じだ(未確認)。

同じように、叩いて直そうとしているしな。

まあいい。

過去に同様の振動が繰り返されていたことを把握していながら、それを隠して(!)有人飛行に臨んだ罪は重い(そうなのかあ?)。

物理の神様は公平だ。

有人の時だけ、振動を出さずに済ませることはしなかったわけだ。

天網恢恢疎にして漏らさず。

選りにも選って、このタイミングで出さなくても・・・。

が、トラブルとはそういうものだ。

マーフィーの法則だな。

しかし、逆に考えれば、打ちあげた後に出なかったことは幸運かもしれない。

もっとも、打ち上げ後に出ることはないのかもしれないし、それは飛行に影響を与える要素ではないかも知れないが、何らかの別のトラブルの誘因にならないとは限らない(開きっぱなしで酸素駄々洩れになり、スターシップのIFT-2のように引火して大爆発するとかな:未確認)。

幸運の女神さまがほほ笑んだと考えて、ここはキッチリと対応すべきだろう。

また、今後のことを考えれば、バルブの再設計と十分なテストも考慮すべきだ。

有人打ち上げは、今回を別としても、まだ6回残ってるからな。

浮沈子は、アトラスについては、同様の懸念が他にもあるのではないかという気がしてきている。

ULAは、有人打ち上げの経験がない(実際に人を乗せて飛ばすのは、今回初めて!)。

NASAの杜撰な管理の下で、アトラスVの有人認定を取得したことだって、今回の事例を見れば怪しい話だ。

この際、徹底的に見直してもいいのではないか。

それで、あと6回の契約が果たせなくなるのは仕方ないだろう。

スターライナーは、クルードラゴンのような動的な緊急離脱テスト(インフライトアボートテスト)を行っていない。

発射台から、静的に飛び出して見せただけだ(パッドアボートテスト)。

ロケットの打ち上げで、リスクを完全に排除することは出来ないし、様々なテストを行ったとしても、そのテストの時だけたまたま上手く機能しただけの話かもしれない。

何かトラブルが起こるかも知れないと、我々が考える時、そのトラブルは起こることになるのだ。

計算されたリスクを受け入れるということは、なかなか勇ましい話ではあるけど、それは、他にやりようがないからであって、切ない話でもある。

NASAが、今回、冷静で保守的な判断をしたことは好ましいと感じる。

これまで叩いて直してきたことの是非はともかく(論外だな・・・)、慎重な対応を取ったことも評価していい。

ったく・・・。

次は、一体何が起こるんだろうな・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(ボーイング新型宇宙船打ち上げ、17日以降に延期 エンジンバルブに問題)
https://jp.reuters.com/world/us/MCY72L55AVLKFIYZS5FW4UHYOU-2024-05-08/

「米航空宇宙局(NASA)は7日、航空宇宙大手ボーイングが開発した新型宇宙船「CST―200スターライナー」の初めての有人試験飛行について、ブースターロケットの圧力バルブ交換のため、打ち上げが17日以降に延期されたと明らかにした。」

まるで、間違い探しのような記事だが、スターライナーの正式名称はCST―200じゃない(CST―100)。

ブースターロケットとあるけど、2段目のセントール上段だから、通常、業界で言うところの「ブースター」という用語の使い方ではない。

ロイターは、ちゃんと分っている。

「ロケットの第2段バルブに問題が見つかり、打ち上げはカウントダウンまで残り2時間を切ったところで中止された。」

気になったので、ネットで調べた。

(ブースター)
https://kotobank.jp/word/%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC-615866

「日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブースター」の意味・わかりやすい解説」

「多段式ロケットの第一段、あるいは推力増強用補助ロケットのように、大推力を発して離陸上昇の役割を果たすロケットのこと。」

「これを拡大解釈して、多段式ロケットの全段を一括して、人工衛星や宇宙船を打ち上げるブースターと称することもある。」

うーん、拡大解釈し過ぎな気もするけど、世間ではそういう風に捉えることがあるということは知っておいた方がいいかもしれない。

ウィキではどうか。

(ブースター)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC

「打上げシステムにおいてブースターは、離床時から離床直後の垂直上昇する、大推力が必要な期間において、主機関のロケットエンジンの推力を補助する推力を発生する。」

参考までに英語版も見た。

「多段打ち上げロケットの第 1 段で、または宇宙船の離陸推力とペイロード能力を増強するために、より長時間燃焼するサステナー ロケットと並行して使用されるロケット(またはロケット エンジン)です。」

セントール上段は、ここでいうところのサステナーロケット(持続ロケット)に当たるわけで、概念的に区別されている。

ただし、そう単純な話でもなく、ストラップオンブースター2基を第1段に括りつけたアトラスN22構成の場合、その1段目もブースターということになる。

更にややっこしいのがSLSやアリアン5のようなロケットで、1段目がかなり長時間燃焼し(SLSでは約8分)、下手をすると軌道速度までペイロード(2段目以降)を加速することが可能だったりする。

強力な固体燃料ブースターで、大きな初期加速を得ることが出来る点が共通だがな。

これは、ブースターなのか、それともサステナーロケットなのか・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

上段ロケットを含めてブースターロケットということがあることを、確認することが出来た。

スターライナーの場合、セントールから切り離された段階では、近地点高度が十分な完全な地球周回軌道にはない。

機械船(サービスモジュール)のロケットを吹かして、軌道修正しなければならない。

その意味では、セントールをブースターと呼ぶことは、他の宇宙船(クルードラゴン)に比べれば妥当な感じがしないでもない。

(ボーイング スターライナー:プロファイルを起動)
https://en.wikipedia.org/wiki/Boeing_Starliner#Launch_profile

「デュアル エンジン ケンタウルスから分離した後、サービス モジュールに取り付けられたスターライナー独自のスラスターが宇宙船を軌道上に押し上げ、国際宇宙ステーションへの旅を続けます。」

「準軌道軌道(suborbital trajectory)は衛星の打ち上げとしては異例ですが、スペースシャトルや宇宙発射システム(SLS)で使用される技術に似ています。これにより、ロケットの上段が制御された方法で大気圏に再突入することが保証されます。スターライナーの軌道投入燃焼はミッション開始から約 31 分で始まり、45 秒続きます。」

うーん、セントールを制御落下させるためじゃないような気もするんだがな(もちろん、そういうメリットもありますが、主たる理由は、万が一宇宙船側のロケットエンジンが故障して点火できなかったとしても、大気圏に確実に戻ってこられることの保証だ)。

まあいい。

スペースシャトル(オービター)もSLS(コアステージや2段目)も、B社が手掛けている。

エリックバーガーはクソミソに言うが、伊達に宇宙で長いこと飯を食ってきたわけじゃあない。

今は、S社の重役に収まっているゲルスティンマイヤーは、B社の設計に惚れて肩入れしていた(そうなのかあ?)。

ブースターにまつわるエトセトラ・・・。