🐱欧州大戦争:21世紀の戦場2024年05月27日 07:04

欧州大戦争:21世紀の戦場


(エクスカリバー砲弾の命中率、2023年8月までに55%から6%に低下)
https://grandfleet.info/us-related/excalibur-shell-accuracy-will-drop-from-55-to-6-by-august-2023/

「ロシア軍は精密誘導兵器の攻撃対象になる静的目標の周囲に電子戦システムを配備」

「エクスカリバー砲弾を目標に誘導するGPS誘導をかき消してしまうほどの妨害電波を飛ばしている」(英国王立防衛安全保障研究所のアナリスト)

「GPS誘導のJDAM、HIMARSで使用するロケット弾、GLSDBも妨害電波の影響を受けており・・・」

「ウクライナ軍はGLSDBの戦場配備を中止した」(ウクライナのシンクタンク(Center for Defense Strategies))

GLSDBがお払い箱になった件は、このブログでも触れた。

エクスカリバー砲弾の話は、浮沈子的には初耳だったな。

確かザルジニーは、そんな話を書いていたような気もする(未確認)。

「電子戦分野におけるロシア側の適応スピードが上がっているため、ウクライナにおける電波技術のライフサイクルは3ヶ月ほどしかない」「新しいシステムの効果が最大限発揮されるのは対抗策が登場するまでの2週間程度だ」(Hudson Instituteのアナリスト)

「兵器システム側の適応力が欠如すると直ぐに戦場で効果を失うとエクスカリバー砲弾の経験が示唆しており、Hudson Instituteのアナリストは迅速な戦場の変化に適応できるだけの対応力と俊敏性の文化を育成するよう国防総省に促した」(NYT)

21世紀のスマート兵器の賞味期限は2週間か・・・。

「兵器システムの性能や効果は固定されたものではなく相対的なもので、敵が無能でない限り「想定された効果」は投入直後から失われて行くため「作りっぱなしの兵器システム」では役に立たず、敵を打ち負かすまで「適応作業を延々と繰り返さなければならない」」(ブログ管理人)

ハイテクなんて、薬にしたくてもないりゅう弾砲とかなら、そういう心配はないのかもしれないが、着弾の評価をドローンですることもあるかも知れないし、そのドローンの操縦も電波妨害を受けるだろうから無関係とは言えない。

「登場した兵器システムに対する適応とは電子戦技術だけを指しているのではなく、運用、戦術、対抗技術など広い意味のでの適応力」(ブログ管理人)

まあ、そこんとこは従来から変わっていないんだろうが、電子技術の発達で、高度化していることは間違いない。

記事は、GPS誘導の話だが、もちろん、お約束のAI兵器もある。

ウクライナ戦線における投入状況は不明だが、ナゴルノカラバフで大活躍したトルコ製のAIドローンは、ちょっとデカ過ぎて使い勝手が悪いという話もあった。

ある戦場で適用できても、別の戦場で効果を発揮するとは言えないし、調達できる数の問題もあるからな。

ロシア軍のランセットがAI化されて、効果を発揮しているという話も聞いた。

逆に、調達コストが低く、グッと安価で大量投入向きの徘徊型弾薬の記事もあった。

(圧倒的に安価なLancetの類似品、ロシアは2024年末までに数千機を生産)
https://grandfleet.info/russia-related/by-far-the-cheapest-lancet-analog-russia-will-produce-thousands-of-units-by-the-end-of-2024/

「Lancetの方が無線チャンネルの干渉に耐性がある」と述べて「一部の能力でScalpelはLancetに劣る」と認めている」

「Scalpelの調達コストはLancetの1/10以下」

「既にウクライナで使用されている」「改良されたカタパルトはコンパクトになって発射にかかる時間が1/3になった」「量産が開始され2024年末までに数千機のScalpelが生産される」(開発したボストーク設計局)

記事のソースは昨年だが、その後の展開は知らない。

ちなみに、スカルペルというのは、外科用のメスのことのようだ。

この手の兵器は、次々と開発され、実戦投入されて効果が確認される。

クズはとっととお払い箱になり、生き残った兵器もいつまでも使い続けられるとは限らない。

ランセット自体も進化し続けているようだし、廉価版のスカルペルを開発したのだって、その進化の一形態と見ることもできる。

戦争は兵器の進化を加速する。

ウクライナ軍が頼りにしているスターリンクなどは、まあ、そのために開発された兵器ではないけど、実に21世紀的だ。

もっとも、これだってハルキウ市北部侵入の際には妨害されたという話もあるからな。

先日には、ロシアが米国の軍事衛星と同じ軌道に、自国の衛星を投入したと報じられている。

(米当局:先週のロシアのロケット打ち上げは宇宙兵器を配備した可能性が高い)
https://arstechnica.com/space/2024/05/russia-still-appears-to-be-playing-cat-and-mouse-with-us-spy-satellites/

「ロシアはこの新しい対宇宙兵器を米国政府の衛星と同じ軌道に投入した」(米国の国連次席大使ロバート・ウッド氏)

「コスモス 2576 号は、国家偵察局 (NRO) のスパイ衛星と同じ軌道面を飛行しており、これは、極秘の米国偵察プラットフォームに定期的に接近できることを意味する。ロシアのプレセツク宇宙基地からソユーズ ロケットで打ち上げられたコスモス 2576 号は、地球の自転により発射地点が NRO スパイ衛星 (正式には USA 314 と命名) の軌道下に位置するように正確にタイミングが合った」

もっとも、これだけでは何とも言えないし、そもそもUSA314(米国諜報機関が使用する高解像度画像を撮影するための強力な地球向け望遠鏡を搭載していると考えられているバスサイズの宇宙船:その設計と機能は極秘である)とかを飛ばして他国をスパイすることの是非は棚上げされている(まあ、今どき、どこでもやっているんでしょうけど)。

「ロシア軍が、米国政府が軌道上で行っている活動に関する最も厳重に守られている秘密についてもっと知りたくて、その詳細を知りたいと考えるのは当然」

「ロシアの衛星は、無線通信を盗聴する目的で、静止軌道上にある西側諸国の通信衛星の近くを飛行したこともある。」

わが国の技術試験衛星は、その静止軌道上のロシアの活動を監視する米国のカメラを搭載する予定になっている(既に、国内搬入済み)。

スパイ衛星をスパイする衛星・・・。

「宇宙飛行イベントの追跡専門家で天体物理学者のジョナサン・マクドウェル氏によると、コスモス2576の現在の軌道では、USA 314から数百キロ以内に接近するのはまれ」

「マクドウェル氏はコスモス2576が対衛星兵器であるかどうかについて「非常に懐疑的」である」

追加の軌道変更が行われれば、その限りではないかも知れないし、ロシアは過去に類似の行動をとっていると言われる。

「最近では、米国政府当局者がロシアが核の衛星攻撃兵器を開発していると主張した。ロシア当局もこれを否定した。しかしロシアは先月、軌道上の大量破壊兵器を禁止する1967年の宇宙条約の文言を繰り返した国連安全保障理事会の決議に拒否権を発動した。」

「我々は、宇宙、空中、陸上、海上など、どの領域にいようとも、自国を防衛する能力を確保したいのです。それが、我々が軍隊として注力している点であり、そのための能力と専門知識を提供するために投資している」(統合参謀本部議長のチャールズ・「CQ」・ブラウン空軍大将)

それは、米国もロシアも中国も同じだ。

エスカレートする軍拡競争は、全領域に及んでいる。

ブラウン空軍大将は触れていないが、サイバー空間における戦闘も、熾烈を極めていると言われる。

「2022年のウクライナ侵攻開始時のロシアのサイバー攻撃により、商用衛星通信ネットワークがオフラインになった。」

滑空爆弾で商業施設を攻撃するだけが戦争じゃない。

(太平洋の海底ケーブルが中国の修理船による妨害やスパイ活動を受ける懸念があるとアメリカ当局がGoogleやMetaに警告している)
https://gigazine.net/news/20240520-us-warn-china-undersea-internet-cables/

「アメリカ当局はGoogleやMetaなどの企業に対し、中国企業がアメリカ所有の海底ケーブルの安全性を脅かす可能性があるという懸念を伝えています」(アメリカ当局の動きに詳しい関係者:WSJ)

「地震などの自然災害や船舶の過失などで海底ケーブルが切断される事例は年間約200件も起きているそうで、そのたびに海底ケーブル修理船が復旧作業に当たっています。」

「海底ケーブル修理船は復旧作業の際、海底ケーブルを海面に巻き上げて壊れた光ファイバーをつなぎ合わせ、再び海底に沈めるという工程を行います。アメリカの当局者は、海底ケーブルは修理のために海面へ引き上げられると改ざんに対して脆弱であり、作業中にケーブルを遠隔操作で無効にする装置を設置したり、信号中継器の技術を研究したりできる可能性があると指摘」

記事では、中国系企業の行動に対する懸念が報じられているという。

まあ、ちょっと荒業っぽい気もするけどな。

21世紀の戦場は遍在する(ユビキタスだ)。

時間的にも空間的にも、世界は繋がっているからな。

ウクライナ紛争の戦場は、浮沈子が与太ブログを打ちこんでいる、正にこのパソコンの隣にあるとも言える。

AIが、その戦場の姿を様変わりさせるという話もある。

浮沈子的に注目しているのは、グレーゾーンとかハイブリッドとか言われている話だ。

(<解説>「グレーゾーンの事態」と「ハイブリッド戦」)
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2019/html/nc007000.html

「「グレーゾーンの事態」とは、純然たる平時でも有事でもない幅広い状況を端的に表現したもの」

例)国家間にける領土、主権、海洋を含む経済権益などの主張に対立がある場合:

武力攻撃に当たらない範囲で、実力組織などを用いて、問題に関わる地域において頻繁にプレゼンスを示すことなどにより、現状の変更を試み、自国の主張・要求の受け入れを強要しようとする行為が行われる状況

「「ハイブリッド戦」は、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした現状変更の手法」

例)国籍を隠した不明部隊を用いた作戦、サイバー攻撃による通信・重要インフラの妨害、インターネットやメディアを通じた偽情報の流布などによる影響工作を複合的に用いた手法

まあ、あまりピンとこないんだが、AIが介入してくると、これらの対応がスムーズに行われるようになり、情報戦がし烈化すると懸念されているようだ。

気が付けば、まんまと騙されて、相手の思うつぼにハマっていたりすることになりかねない。

軍服着た兵隊が、戦場に互いに身を晒して対峙し合う分かりやすさはそこにはない。

(「戦争が廊下の奥に立つてゐた」は…)
https://mainichi.jp/articles/20221228/ddm/001/070/124000c

「「戦争が廊下の奥に立つてゐた」は、渡辺白泉の1939年の句である。」

「国民の多くにとって戦禍がまだ対岸の火事だった頃、いち早くそのにおいをかぎとっていた。2年後、日本は第二次世界大戦に参戦する」

「ウクライナでは災害級の厄災が日常であり、終わりが見えない。うつ病や自殺を防ぐ、息の長い支援が求められる」

毎日の記事は、日常化する戦争の困難さと、それを支える支援の重要さを指摘しているが、浮沈子的には渡辺白泉の句の意味が気になる。

21世紀の戦争は、あらゆる意味で遍在化している気がする。

時間的にも空間的にもその態様としても。

米国が主導した経済制裁が、ロシアに対して効果を発揮してこなかった本質的な原因もそこにあるのかもしれない。

生産関係がこれほどグローバル化し、緻密に結びついている世界で、ブロック化を断行しようとすれば様々な弊害が生まれる。

その歪みを元に戻そうとする圧力は、様々なレベルで様々な形をとって現れてくる。

場合によっては、新たな戦争を産み出すかもしれない。

経済制裁は、戦争を抑止し、激化を抑制するためのものだったはずだが、ロシアの侵攻を思い止まらせることは出来なかったし、中露接近や北朝鮮との軍事協力を促すことになっちまった。

グローバルサウスの離反も招いた。

短期的にはロシア経済を押し上げ、戦争激化の要因の一つにもなっている。

どころか、軍需産業の活性化で軍備は増え続け、欧州大戦争の下地は着実に整いつつある。

戦争が平和を生むように、平和もまた戦争を生む。

単なる現象論的警句ではなく、そこには明確な因果関係があるような気がする。

まあいい。

傍らに戦争を感じる今日この頃。

気が付けば、21世紀もそろそろ4分の1が経とうとしている。

敗戦を経験した浮沈子の恩師の一人は、日本はそのツケを払わされる時がきっと来ると信じ続けて亡くなった。

もう、何十年も前の話だ。

その時が近づいているのかもしれない・・・。

🐱欧州大戦争:大混乱2024年05月27日 14:37

欧州大戦争:大混乱


(ロシア、ハリコフ州東部の集落制圧と主張 ミサイル攻撃の死者16人に)
https://www.sankei.com/article/20240527-4D356FZXSBJRFH5G3ZMCZ7AMXQ/

「ロシア国防省は26日、ウクライナ東部ハリコフ州の集落ベレストボエを制圧したと主張」

それって、どこ?。

「同集落は露軍が越境攻撃を続ける同州北部の国境地域ではなく、州都ハリコフ市東方のクピャンスク方面に位置」

はて???。

(東部戦線のおさらい&セベルスクへの攻撃)
https://hara.livedoor.biz/archives/52324771.html

「さらにベルフネカメンスコエの南、ベレストボエの位置とそこへの砲撃の映像。」

おおっ、ここかあ!。

セベルスクの南ね・・・。

(ドネツィク州バフムート地区ベレストヴェ)
https://en.wikipedia.org/wiki/Berestove,_Bakhmut_Raion,_Donetsk_Oblast

「ウクライナ東部のドネツィク州バフムート地区にある村」

うーん、なんか違うような・・・。

(ロシア軍がチャシブ・ヤール東地区の南郊外に侵入、イワニフカ占領の可能性)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-troops-invade-the-southern-outskirts-of-the-eastern-part-of-chassib-yar-possibly-occupying-ivanivka/

ちょうど航空万能論の更新が上がったので確認すると、んな記述を見つけた。

「ロシア国防省は26日にベレストベ解放を発表したが、ロシア軍は視覚的に集落の半分しか支配していない。しかし解放の可能性を排除できない」(RYBAR)

ロシア国防省の発表の日付も一致しているし、こっちが正しいだろう。

しかし、例によって同じ名前の町があちこちにある。

やれやれ・・・。

産経の記事には、もう一つ集落が上がっている。

「露国防省は25日、ウクライナ東部ドネツク州の集落アルハンゲリスコエを制圧したと主張した。」

イヤーな予感・・・。

(アルハンゲリスコエ宮殿)
https://en.wikipedia.org/wiki/Arkhangelskoye_Palace

「ロシアのモスクワ州クラスノゴルスキー地区にある歴史的な地所で、モスクワの西約20km 、クラスノゴルスクの南西2kmに位置しています。」

モスクワじゃないでしょうな。

ロシアには、同名の村は他にもあった。

まあいい。

(アルハンヘールスク、ドネツィク州)
https://en.wikipedia.org/wiki/Arkhanhelske,_Donetsk_Oblast

「ウクライナのドネツィク州ポクロフスク地区の オチェレティネ集落フロマダにある村」

「ロシアは2024年5月25日のウクライナ侵攻中にこの村を制圧したと主張」

ビンゴな感じだ。

(ロシア軍がアウディーイウカ方面で大きな前進を遂げ、ネタラブも占領)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-troops-make-major-advances-in-the-audiiuka-area-and-occupy-netarab/

地図では、アルハンヘルズケとなっている。

現地語読み、ロシア語読み、英語読み、その他カタカナ読みで、数種類の表記のブレがある。

なるべく、現地読みにするのがいいようだが、ウクライナのような交戦地域で、実質的な支配者によって名称が揺れたり、以前の名称に戻されたりして混乱の極みになる。

それでなくても同じ名前、似たような名前の町や村がごろごろあるしな。

平和な時なら、その勘違いを楽しむこともできるが、今はイラつくだけだ。

緯度経度を示せとは言わないが、地域を特定して地図で確認できる術を与えてもらいたい。

「ウクライナのドネツィク州ポクロフスク地区の オチェレティネ集落フロマダにある村」(再掲:アルハンヘールスク←→アルハンゲリスコエ←→アルハンヘルズケ)

まあ、どうでもいいんですが。

混乱しながら考えたのは、支配者や統治は別として、この地域は多様な文化を包摂して、柔軟に対応してきた歴史があるということだ。

今行われている戦争も、終わってしまえば通り過ぎた嵐と同じになるだろう。

人々は、時の支配者の意に沿い、新たな文化を受け入れ、力強く生きていくに違いない。

そうあって欲しいし、そうあるべきだ。

欧州の多くの町や村は、同じような歴史を抱えている。

ドンパチの向こうに何を見るのか。

地名の混乱は、そのことを鋭く指摘しているような気がしてならない・・・。

🚀アルテミス:敗北宣言2024年05月27日 18:47

アルテミス:敗北宣言


(NASA長官、「アルテミス」では中国との競争よりも安全を優先させると発言)
https://uchubiz.com/article/new47373/

「「Artemis (アルテミス)」は、中国との競争よりも安全を優先させる」(米航空宇宙局(NASA)長官のBill Nelson氏)

おおっ!、これって事実上の「敗北宣言」ではないのかあ?。

「月に行くのは簡単だからではなく、難しいからだ」

まあ、人類が他の天体に初めて赴くということなら、ケネディの演説も光るんだろうが、まさか60年以上も経ってから「敗北」のいいわけに使われるとは思ってもいなかったろうな。

「Nelson氏はさらに、NASAが安全かつ迅速に月に到達しようとしている理由として、地政学的緊張があることを認めた。」

米国が、月面有人探査で中国の後塵を拝することになるというのは、業界の情報を追っている人なら誰でも知っている。

地政学的緊張(=早食い競争?)のついでに言えば、火星サンプルリターンもそろそろ怪しくなってきている。

こっちは、「安全第一」を理由に挙げるわけにはいかないからな。

どーする、ネルソン!?。

まあ、どうでもいいんですが。

「中国が主導する月面基地計画「International Lunar Research Station(ILRS)」にはロシアやベラルーシ、パキスタン、アゼルバイジャン、ベネズエラ、南アフリカ、エジプトなどが参加を表明」

塚本さんは、意図的に月面基地計画を持ち出しているが、アルテミスには具体的な「月面基地」の計画はない(未確認)。

つまりだな、計画レベルで言えば、中国の月面開発は米国に先行しているわけだ(そうなのかあ?)。

まあ、あっちには月周回ステーションの構想はないけどな。

せっかくなんだから、相補的に協力し合えばいいと思うんだが、そこはほれ、「地政学的緊張(=早食い競争)」が絡んでくるからな。

浮沈子は、別にアルテミスを揶揄したり、米国の宇宙開発を貶めるつもりはさらさらない。

再々延期への布石とはいえ(そうなのかあ?)、有人飛行探査の安全を優先する姿勢を示し、潔く敗北宣言を行ったことを、むしろ称賛する。

ネルソンは、フランシスコ教皇言うところの「白旗を掲げる勇気」を持ったリーダーと言える。

感服した!。

良い負けっぷりだ。

目指すところは「早食い」で勝てるかどうかではなく、持続可能な月面開発と、その先にある有人火星探査への準備にあるわけだから、そっちの方で引き続き頑張ってもらうのがよろしい。

浮沈子的には、中国と(出来ればロシアとも)協力してオール人類で火星を目指してもらいたいと思っている。

もっとも、有人火星探査そのものには懐疑的だがな。

実現は不可能だろう。

全人類の合意のもとに断念するというプロセスを踏む上でも、相互協力は欠かせまい(そういうことかあ?)。

まあいい。

サンプルリターンなら可能だろうから、それは是非とも協力して成功させてもらいたいな。

ネルソンが、今回ケネディの演説を引き合いに出したのには背景がある。

(「我々は月へ行くと決めた」NASA長官がJFK演説を引用)
https://uchubiz.com/article/new7205/

「Bill Nelson氏は米国時間9月12日、ヒューストンのライス大学で当時の大統領John F. Kennedy氏による「我々は月へ行くと決めた(We choose to go to the moon)」という一節を引用した演説を行った。」(2022年の記事)

そう、2年ほど前、ケネディが60年前に演説を行った同じ場所で、思いっきりぶち上げてたわけだ(演説は1962年9月12日:日付まで合わせたか・・・)。

「アルテミス世代は今、大きな足跡を残そうとしている」

「この世代は火星に行くことを選択し、その旅は人類の月への帰還とともに、今始まるのだ」(一部修正)

ちょっと、盛り上げ過ぎたな・・・。

で、2年後に敗北宣言か(そんなあ!)。

やれやれ・・・。

(アポロ計画:背景)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9D%E3%83%AD%E8%A8%88%E7%94%BB#%E8%83%8C%E6%99%AF

「我々が10年以内に月に行こうなどと決めたのは、それが容易だからではありません。むしろ困難だからです。」

「この目標が、我々のもつ行動力や技術の最善といえるものを集結しそれがどれほどのものかを知るのに役立つこととなるからです。」

「その挑戦こそ、我々が受けて立つことを望み、先延ばしすることを望まないものだからです。そして、これこそが、我々が勝ち取ろうと志すものであり、我々以外にとってもそうだからです。」

米国大統領としてのJFKの評価は、必ずしも高くはないようだが、政治家としては抜群だな。

ネルソンは、中国の挑戦に白旗を掲げ、先延ばしにすることを決めた(たぶん)。

敗軍の将であることを自ら認めた。

浮沈子は、正しい選択だと評価するけど、世間がどう見るかは別の話だ。

タイミングとしては嬉しくない時期だな。

エリックバーガーも指摘していた通り、大統領選挙が絡んでいる。

再々延期を公式に認めるのは、少なくとも11月5日の投票が終わってからになるだろう(たぶん)。

正しい選択を行うことは、時に困難を伴う。

目標を高く掲げ、困難を乗り越え、「行動力や技術の最善といえるものを集結しそれがどれほどのものかを知る」ことに全力を尽くしてもらいたいものだ。

(リトアニアがアルテミス合意に署名、40カ国目の参加国。近年は日本との協力プロジェクトも)
https://sorae.info/space/20240523-artemis-accords-reach-40.html

「2024年5月15日(水)、北東ヨーロッパに位置するバルト三国の一つ、リトアニア共和国がアルテミス合意に署名」

「この探査計画に参加を表明している国はこれで世界40カ国に達しました。」

米国は孤独ではない。

「同合意には将来の実施が計画されている月や火星などでの探査活動の原則が定められています。」

月面も、みんなで歩けば怖くない・・・。

🚀スターシップ:同床異夢2024年05月27日 21:06

スターシップ:同床異夢
スターシップ:同床異夢


(再突入を生き延びることが、スペースXの4回目のスターシップ試験飛行の重要な目標である。)
https://arstechnica.com/space/2024/05/surviving-reentry-is-the-key-goal-for-spacexs-fourth-starship-test-flight/

「スペースXは3月の試験飛行でいくつかの異なる実験を試みたが、次のミッションの焦点はロケットのスーパーヘビーブースターとスターシップ上段の再突入の制御となる。前回の飛行では両機とも降下中に分解した。」

少し前の記事で、浮沈子もブログに上げようと思いながら、なんか引っかかって書きそびれていた。

「スペースXは、自分たちの立ち位置を知るために、この最後のテストに多くの労力を費やしたと思います」(NASA の有人着陸システムのマネージャー、リサ・ワトソン=モーガン氏:最後のテスト→IFT-3のこと)

「ですから、彼らは今、大まかに取り組むべき分野を把握しており、彼らの商業的アプローチの一部はハードウェアの再利用です。」

問題は次だ。

「これはNASAの要件ではありませんが、大量のハードウェアと迅速なターンアラウンド率を目にすることができるのは素晴らしいことです。」

そうか、再使用であることは、必ずしもHLSの打ち上げにとって、あるいは軌道上燃料保管庫であるデポやそこに推進剤を運ぶためのタンカー仕様のスターシップ(2段目)にとっては要件ではないのだ。

「再利用性を正しく実現できなければ、彼らは私たちのためにもっと生産しなければなりません。ですから、これは彼らにとって重要なのです。」

浮沈子は、IFT-4で、完全な周回軌道に上げるために必要な軌道上でのエンジンの再着火は、必須事項だと思ってたんだが、それは行われない。

その代わり、1段目の制御された着水と、2段目の制御された再突入、着陸フリップ(方向転換)、ランディングバーンを行うと言われている。

「次の飛行では、マスク氏はスターシップがすべてのシステムが機能した状態で再突入時の最高温度に耐えるのを見たいと考えている。最終的には、スペースXはスーパーヘビーとスターシップを推進着陸させて発射場に戻すことを望んでいる。」

「4回目の飛行では、燃料の移送やペッツドアの開放、スペースXが実証に取り組んでいた他の項目なしで、3回目の飛行の繰り返しになる予定だ」(ワトソンモーガン氏)

「NASAが4回目のスターシップ打ち上げに最も関心を寄せているのは、SpaceXが過去2回の飛行で実証した優れたエンジン性能を再現できるかどうかだ。」

ここは、極めて重要だな。

「我々にとって、第一に重要なのは、ラプターエンジンの点火に成功し、ブースター11でそれらすべてがメインステージに到達することです」(ワトソンモーガン氏)

「ラプターが各テスト飛行で一貫してパフォーマンスを確認できるところまで到達すれば、スペースXとNASAがHLS(月面着陸)ミッションに必要なすべてのアップデートを順調に行っていることを示す良い兆候になります。したがって、それに沿って、我々は間違いなく、シップ29でラプターのホットステージングと点火が成功するのを見たいと思っています。」(同上)

NASAが重視しているのは、ロケットシステムとしての安定性だ。

「ワトソン・モーガン氏は、スペースX社は次回のスターシップの試験飛行でラプターエンジンの再始動を試みることは計画していないと述べた。最終的には、スペースX社は将来のスターシップが軌道から外れて地球に帰還したり、月に向かって月面から離陸したりできるように、この能力を実証する必要がある。」

次の次でも、それは構わない。

今はまだ、その段階に達していないというキビシー見方だ。

「スターシップのロケットの初期試験飛行の打ち上げ軌道は安定軌道に到達しないため、宇宙船は軌道離脱噴射を必要とせずに地球を一周する前に自然に大気圏に再突入することになる。」

「宇宙でラプターエンジンを再点火することは、将来のミッションにとって「重要」だとワトソン=モーガン氏は言う。」

「しかし、まずは他の基礎を正しく整えなければなりません。ブースターの33基のエンジンすべてに点火できず、宇宙船の6基のエンジンすべてに点火できなければ、目的地にたどり着くのに困難が伴うでしょう」(同上)

「つまり、基本的には積み木方式なのです」

これは、S社のスパイラル式の開発手法とは異なる。

また、もし、NASAが本当に再使用を要件としていないなら、2段目の大気圏再突入と制御された着水を見せる必要もないはずだ。

が、ここんとこは積み木方式(building-block approach)だという。

確かに、再使用は要件ではないかも知れないが、安定した運用を得るには避けて通れない話ではある。

別記事では、キャシールーダースが、デポへのタンカーによる推進剤の充填には、15回の飛行を一定期間内に行うこと必要だと言ってたからな。

再使用による高頻度打ち上げを実行できなければ、その目論見は空論に終わる。

HLSの開発の遅れは致命的だ。

ネルソンは、既に見たように、早々に白旗を掲げて「敗北」を宣言しちまってるしな。

直接の原因は、オリオン宇宙船の耐熱シールドの損傷に伴う遅延だろうが、HLSの遅れはそんなレベルではないだろう。

が、やはりNASAとしては、有人宇宙船の打ち上げ(打ち上げ時に人は乗ってませんが)としてのスターシップロケットシステムの完成度にはキビシー目で臨んでいる。

有人システムに準じる完成度を求めている(たぶん)。

打ち上げに失敗しちまったら、アルテミス3はご破算になる。

40億ドル以上のコストをかけてオリオンで月軌道に打ち上げた宇宙飛行士2人は、手ぶらで戻ってくることになる。

んなこたぁ、許されない!。

SLSと同等の、或いはそれ以上の成功率で打ち上げてもらわなければ、アルテミス3は絵にかいた餅に終わる。

世界(習近平?)の笑いものになり、NASAの権威と名声は地に落ち、取り返しがつかない醜態を晒すことになるのだ。

んなこたぁ、「絶対に」許されない!!。

S社は、その期待に応えられるだろうか?。

浮沈子的には、IFT-4ではムリポと見ている。

打ち上げの度に、パラパラと落ちてしまう耐熱タイル、冗長性が確立していない姿勢制御ロケットシステム、まだ、一度もまともな実践で試されていない2段目の動翼を用いたマニューバリング、もう一つオマケで言えば、サブオービタルからの再突入(速度や進入角度は、完全な周回軌道からの再突入とは異なる:たぶん)で十分それらが実証されるかどうかも疑問だ。

IFT-4での成功率は、大甘に見積もっても1割程度。

厳しく見れば、1パーセントあるかどうか。

もう、メインエンジンの再起動やペッツディスペンサー(カーゴベイのドア)の開閉を試している場合じゃないだろう。

NASAの実質的な要件を満たすために、真剣勝負で臨まなければならない。

今回、イーロンマスクが立ち会うかどうかが見ものだな(前回は、パスしてます)。

(スペースX、スターシップ3便の飛行から学んだことを詳細に説明、4便の打ち上げ目標日を6月5日に設定)
https://spaceflightnow.com/2024/05/25/spacex-details-learnings-from-starship-flight-3-sets-june-5-as-target-launch-date-for-flight-4/

「この最新の試みでは、SpaceXは、ペイロードベイのドアの操作や上段の真空エンジンの再点火など、第3飛行中に試みたいくつかの追加飛行項目は行わない予定だ。」

「4回目の飛行試験では、軌道到達からスターシップとスーパーヘビーの帰還と再利用能力の実証に焦点が移ります」(スペースXの声明)

「主な目的は、スーパーヘビーブースターによる着陸噴射とメキシコ湾への軟着水、そしてスターシップの制御された突入を達成することです。」

なんだ、前回より見どころが減ったんじゃん!?。

浮沈子も最初はそう思ったけど、スティーブンクラークの記事を読み直して、納得出来た気がする

4回目のフライトプランを練り上げるに当たって、NASAとS社で喧々諤々の議論があったに違いない(未確認)。

ネルソンに白旗掲げさせるわけだからな。

半端なことでは済まされない。

イーロンマスクのビッグマウスも、今回は聞こえてこない。

「この次の飛行で追加された他の 2 つのイベントには、T+01:05:38 のいわゆる「着陸フリップ」と、その 5 秒後の着陸バーンが含まれます。」

浮沈子は、ホットステージアダプターの大気圏降下中の投棄に目を奪われたが、それだって、少しでも成功の確率を上げようとする涙ぐましい努力なわけだ(たぶん)。

「4回目の飛行は前回の飛行試験と同様の軌道を飛行し、スターシップはインド洋に着水する予定です」「この飛行経路では再突入時に軌道離脱噴射を必要とせず、公共の安全を最大限に確保しながら、制御されたスターシップの再突入という当社の主要目的を達成する機会を提供します。」(S社)

もう一つ、このフライトテストを成功させれば、FAAは「事故」とは見做さず、次回テストの早期承認に道が開かれる。

既に報じられているように、安全性が確立されれば、複数回を纏めた承認が与えられることになるかも知れない。

もちろん、当然のことながら、再使用への道が開かれれば、高頻度の打ち上げのみならず、ロケットシステムの節約にもなるわけで、S社にとってもIFTー4で成功することのメリットは大きい。

が、一発で達成することは極めて困難だろう。

浮沈子は、1段目はともかく、2段目の再使用は時間を掛けて、使い捨てを繰り返す中で、商売(スターリンクV2フルの打ち上げとか)しながら実現するしかないと見ている。

HLSは、いずれにしても、大気圏への再突入はしない機体だからな。

NASAの要件にも、当然、当てはまるまい。

が、S社は再突入と、その後のマニューバリングに加えて、着陸フリップとランディングバーンを追加してきた。

何故なのか?。

やはり、タンカーの運用が絡んでいるに違いない。

15回の給油を軌道上で行う期間は不明だが、タンク内で温められて沸騰して失われる推進剤を考えれば、かなり短いに違いない(未確認)。

再使用は、NASAの要件でも経済的なメリットでもなく、実質的に必要不可欠なんだろう。

ヤバいな・・・。

ヤバ過ぎ!。

ネルソンが、白旗掲げて済む程度の問題かどうかは分からない。

仮に、実現出来なかったら、アルテミス3そのものが不可能になる可能性もある。

数年前、HLSにS社の提案を単独で採用した際、浮沈子は悪い冗談かも知れないと思った。

ジェフベゾスが異議を唱えたのだって、常識的に考えれば当然の話だろう。

NASAは、ここに来て、深く深く後悔しているに違いない(そうなのかあ?)。

今、直面しているのは、アルテミス3の遅延ではない。

世界40か国を巻き込んだアルテミス計画そのものが、雲散霧消するかもしれないという、絶体絶命の危機だ。

あん時、ブルーオリジンの率いるナショナルチームを選択しときゃあ良かったのに・・・。

まあ、今更、どうしょうもないんですが。

正念場、土壇場、崖っぷち、背水の陣に追い詰められた米国(そうなのかあ?)。

この話は、今のところ浮沈子の妄想に留まっている。

ネルソンは、白旗の理由を「安全第一」としているからな。

S社と心中するかもしれないという話は、おくびにも出していない。

出せるわきゃないだろう!。

今年は、大統領選挙の年だ。

次期大統領は、就任早々、アルテミスの廃止を決定する必要に迫られるかも知れない(そんなあ!)。

或いは、S社を見限って、ブルーオリジンに膝を屈して泣いて縋るしかなくなるかもしれない(そ、そっ、そんなあああぁぁぁ・・・!!!)。

アルテミスの未来は、IFT-4にかかっている。

6月5日は、大変なことになるだろうな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(スペースX、新型ロケット「スターシップ」第4回飛行試験を実施へ 早ければ日本時間6月5日夜に)
https://sorae.info/space/20240528-starship.html

「両段を再利用する構成では100~150トンのペイロード(搭載物)を打ち上げることが可能」

両段の再使用だと低軌道に50トンだってことになってたような気がするんだがな。

(巨大宇宙船「スターシップ」がさらに進化! イーロン・マスクが明かしたその姿)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240423-2932464/

「現行型の性能は、回収する場合で約50t、使い捨てる場合で約100t」

「スターシップ2が完成すれば、回収する場合でも100tの打ち上げ能力」

「「スターシップ3」というさらなる改良型の計画」

「スターシップ宇宙船に装着するラプター3エンジンを9基に増やし(現行型と2では6基)、回収を行う打ち上げでも地球低軌道に200t以上の打ち上げ能力」

まあ、この話は出所が出所だからな(イーロンマスク)。

当てにはならない。

「2段目のStarship宇宙船は単体でも地球上の2地点間を1時間以内に結ぶ準軌道飛行(サブオービタル飛行)が可能」(初出のソラエの記事)

この話もたまに出てくるんだが、実際のところ、例えば打ち上げ時の機体の保持はどうするなど、具体な対応は聞かない。

現在、建造予定のバージョンには含まれていないようだ。

まあいい。

「打ち上げ目標日時はアメリカ中部夏時間2024年6月5日7時(日本時間同日21時)で、約30分前から同社のウェブサイトとXにてライブ配信」

「Super Heavyは帰還時におけるエンジンの早期燃焼停止や再点火失敗に備えて推進剤のろ過能力が強化」

「Starship宇宙船は姿勢制御の冗長性が強化」

ややっこしい話を、うまくまとめて書いてある。

「ホットステージング用のアダプターを帰還時の重量軽減対策としてSuper Heavyから投棄」

この話も、漏れなく出ているしな。

「数多くのハードウェアとソフトウェアの改良や運用上の変更」

推進剤の注入の順序変更などもこれに含まれている。

(スペースX、スターシップ3便の飛行から学んだことを詳細に説明、4便の打ち上げ目標日を6月5日に設定)
https://spaceflightnow.com/2024/05/25/spacex-details-learnings-from-starship-flight-3-sets-june-5-as-target-launch-date-for-flight-4/

「打ち上げ前の注目すべき変更の 1 つは、燃料補給プロセスに関するものです。」

「3回目の飛行では、SpaceXはまずT-53分にスターシップの上段に液体酸素を積み込み、その2分後に液体メタンを船に積み込みました。」

「4回目の飛行ではその逆で、まずT-49分に液体メタンを積み込み、その2分後に液体酸素を積み込みます。」

「スーパーヘビーブースターの場合も同様に、フライト 3 は T-42 分に液体酸素を積載して開始し、その 1 分後に液体メタンを積載しました。」

「フライト 4 は T-40 分に液体メタンを積載して開始し、その 3 分後に液体酸素を積載しました。」

「スペースXは燃料補給プロセスの逆転の理由を明らかにしていない」

「発射台近くのタンクファームにある液体酸素と液体メタンの貯蔵タンクを改造」

「過去数か月間に垂直タンクが水平タンクに交換された。」

うーん、ワケワカ・・・。

「結局、スターシップの燃料補給時間は前回の飛行よりも約 4 分短くなる予定」

浮沈子は詳しくないんだが、打ち上げ後のトラブルの種になっている酸素フィルターの詰まりと何か関係があるんだろうか?。

トータルの重点時間を4分短縮するための手順変更というのもピンとこないしな。

まあ、どうでもいいんですが。

S社にとっても、NASAにとっても真剣勝負なIFT-4の打ち上げが迫っている。

(スペースX、スターシップの次回の試験飛行日を発表)
https://www.teslarati.com/spacex-announces-next-starship-test-flight-date/

「同社は先週、打ち上げ前の最終準備を完了するため、スターシップをスーパーヘビーブースターから取り外す前に、完全なウェットドレスリハーサルを完了した。」(2024年5月27日の記事)

「SpaceXは今週末、2機のロケットを積み重ね、FAAの承認を待つ間に6月5日の打ち上げに先立ち、もう一度燃料補給テストを実施する可能性がある。」

WDRを2回もやるかあ?。

燃料補給手順や地上タンクなどを変えているから、先週は早めにやったのかもしれないし(まだFAAの許可待ちだからな)、カウントダウンはせずに、燃料補給とかだけだったのかもしれない(未確認)。

記事では、「完全なウェットドレスリハーサルを完了」とあるけどな。

どーだか・・・。

「スペースXは、今回の飛行は3回目の試験と同じ飛行経路をたどるが、宇宙空間でのエンジン再点火、燃料移送、ペイロードベイドアの操作は行わないとしている。」

何故それを行わないのか(燃料移送は、データ取り出来たらしいですが)、記事では明らかになっていない。

「この飛行の目標は、両方の機体がそれぞれ大気圏再突入を生き延び、スーパーヘビーが海洋に軟着陸し、スターシップが制御された再突入を達成することです。」

「・・・スターシップの 4 回目の飛行は 3 回目を超えると思いますか、それとも別の問題が浮上して SpaceX がさらなる是正措置を講じることになると思いますか?」

リチャードアングル定番の締めだが、超えないと大変なことになるからな。

別の問題が浮上して、発射台で自爆するようなことになれば、目も当てられない話になる(それを期待しているわけじゃありませんが:念のため)。

ロケットシステムトータルとしての安定性を見せること、必要な冗長性や余裕を見込んだ設計を確立すること、何より、再突入を成功させ、完全再使用ロケットとしての可能性を示すことが重要だ。

HLSをS社に委ねることにした時から、アルテミスはスターシップロケットシステムと運命を共にすることとなった。

ド派手な爆発で、世界中のファンを大喜びさせる開発フェーズは、そろそろお終いにしなければならない(そういうことかあ?)。

「スペースXは、今回の飛行は3回目の試験と同じ飛行経路をたどるが、宇宙空間でのエンジン再点火、燃料移送、ペイロードベイドアの操作は行わないとしている。」(再掲)

失敗すると再突入に影響しかねないペッツドアの開閉や、既にデータ取りが終わっている燃料移送はともかくとして、軌道上でのエンジンの再点火試験は、今後のこともあるからやってもいいような気がするんだが、それもやらない(それこそ、新たなトラブルの種をまきかねないしな)。

余計なことは一切せずに、基本に戻る(つーか、専念する)。

襟を正して、座り直し、背筋を伸ばしている気がする。

ピリピリした緊張感が伝わってくる。

NASAは、軌道上点火の重要性は十分認識している。

(再突入を生き延びることが、スペースXの4回目のスターシップ試験飛行の重要な目標である。)
https://arstechnica.com/space/2024/05/surviving-reentry-is-the-key-goal-for-spacexs-fourth-starship-test-flight/

「ワトソン・モーガン氏は、スペースX社は次回のスターシップの試験飛行でラプターエンジンの再始動を試みることは計画していないと述べた。最終的には、スペースX社は将来のスターシップが軌道から外れて地球に帰還したり、月に向かって月面から離陸したりできるように、この能力を実証する必要がある。」(リサ・ワトソン=モーガン氏:NASA の有人着陸システムのマネージャー)

「軌道上でのエンジン再起動は、スターシップを制御された再突入に導くために必要であり、将来的に安定したより高い軌道に打ち上げるための前提条件である。その軌道上では、宇宙船は衛星を展開したり燃料補給を試みたりするために、何時間も、何日も、あるいは何週間も滞空する可能性がある。」

「スターシップのロケットの最初の試験飛行の打ち上げ軌道は安定軌道に到達しないため、宇宙船は軌道離脱噴射を必要とせずに地球を一周する前に自然に大気圏に再突入することになる。」

「宇宙でラプターエンジンを再点火することは、将来のミッションにとって「重要」」(ワトソン=モーガン氏)

今は、それ以前の状態であり、目の前の課題に集中すべきということだ。

グズグズの基礎の上に、何を積み上げよとしても何も得られない。

また、崩れてしまうだけだ。

テクニカルダイビングと同じだな。

盤石の基礎の上に、新たな石積みを行わなければ、前に進むことは出来ない。

「つまり、基本的には積み木方式なのです」

NASAの目から見れば、現在のスターシップはISSに辿り着けずに引き返しちまったスターライナーのOFT-1と同じに映っているに違いない。

ちゃんと飛べよ!。

メディアの情報には出てこないけど、米軍関係者も熱い目を注いでいるに違いない。

米国が、スターシップロケットシステムをものに出来るかどうかは、宇宙開発における今後数十年に渡る米国の地位を大きく左右するからな。

ロシアや中国が戦場としての宇宙空間に名乗りを上げてきている今、ぐちゃぐちゃ絡み合うのか、どーんと突き放すことが出来るかの境目にある。

ペッツドア弄ってる場合じゃないことだけは確かだ。

が、S社にしてみれば、それは再使用と同じくらい重要だからな。

金を使うだけしか能がないお役所と異なり、民間企業は稼いでなんぼ。

今回は引き下がったのかもしれないが、次回は試してくるに違いない(未確認)。

ペッツドアは、スターシールド衛星の展開にもかかわるからな(たぶん)。

S社のもうけ話だけじゃない。

でも、少なくとも今回はお預けになった。

可能な限りピュアな状態で、完全再使用の実現可能性を探る。

後付けしたホットステージ用のアダプターまで投棄するという徹底ぶりだ。

完全再使用ロケットとしての建前を「捨てて」まで、完全再使用に徹する(うーん、ワケワカ・・・)。

浮沈子的には、1段目(スーパーヘビーブースター)の制御着水は成功する可能性があると見ている。

ファルコン9での類似の経験もあるし、燃料系のトラブルがメインで、エンジンの本質的なところで躓いているわけじゃない(唯一の救いだな)。

技術的なブレイクスルーを行わなくても、水平的なレベルで対応可能だ。

それに対して、スターシップ宇宙船(2段目)は、大気圏再突入やマニューバリング、着陸フリップ、ランディングバーンのいずれも成功の見込みは低い気がする。

理由はいくつかあるけど、最も懸念されるのは耐熱タイルの性能(剥離も含めて)だな。

前回の再突入で、機体の温度がどうなったかは公表されていない。

まともな姿勢じゃなかったから、耐熱タイルがない所でも断熱圧縮による加熱を受け、ちゃんとしたデータが取れなかったんだろう。

今回、実施されるとしても、正常姿勢での再突入で、それらしきデータを取得できれば十分満足できる成果と見做していいのではないか。

前回は、制御エンジンがまともに動かず、回転しちまってたからな。

せめて、そこんとこは克服してもらって、ちゃんとした耐熱タイルの評価に結び付けたいところだ。

マニューバリングも、突入初期のデータ程度は取りたいところだ。

うっすーい高層大気の中で、動翼とスラスターを組み合わせて複雑な制御をしなければならず、実地でしか得られない貴重なデータだからな。

次の段階では、動翼の耐久性とか制御精度も懸念される。

空力が十分効いてくる高度まで耐熱タイルが持ってくれれば、大きな前進だ。

ターミナルベロシティ(終端速度)まで落とせれば、ほぼ合格。

ネコ着地(着陸フリップとランディングバーン)は、まあ、余禄だ。

このレベルのデータは、ほぼ取れているハズ。

大気圏内でのラプター2の再着火に不安を残すところだが、イグナイターでの着火に不安があれば、TEA-TEBも併用するかもしれない(未確認)。

今回は、おそらく高度100km程度で前回同様、制御を失い破壊されるのではないか(前回は約65kmで破壊)。

その代わり、希薄な大気の中でのマニューバリングデータの取得は行える可能性がある。

あと100kmか。

前回、中継されていたテレメトリーを見ていたんだが、殆ど減速されてない感じだった(データが正常に表示されていなかったからかもしれませんが)。

いずれにしても、2段目は悲惨な結果(飛散な結果?)に終わるだろう。

だが、それこそが前進なわけだ(NASAはそうは思わないかも知れないけど)。

まあ、もう、ネルソンは中国に白旗掲げちゃったし、多少(数年?)遅れたとしても、実現さえすれば問題はない。

杜撰な開発を続けて、B社のように、いつになったらまともに飛ぶのかが分からない状況で足踏みし続けたり、進捗が見えずに結局断念するようなことにならなければ上等だ。

10回目(IFT-10)くらいまでに2段目の制御着水に持っていければ奇跡だろう。

いや、それでも難しいかもな。

そう考えた時、スペースシャトルが行った軌道上からの帰還が、どれ程ヤバかったかということに思い至る。

コロンビアの事故は、たまたま偶然だったわけではない。

(コロンビア号空中分解事故)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%93%E3%82%A2%E5%8F%B7%E7%A9%BA%E4%B8%AD%E5%88%86%E8%A7%A3%E4%BA%8B%E6%95%85

「NASAによるシャトルの元々の設計要件定義では、外部燃料タンクから断熱材などの破片が剥落してはならないとされていた。」

「技術者たちは破片が剥落し機体に当たるのは不可避かつ解決不能と考えるようになった」

「破片の問題は安全面で支障を及ぼさないかもしくは許容範囲内のリスクである」

「大半の打ち上げにおいて剥落した断熱材の衝突による耐熱タイルの損傷が記録されていた」

「NASAは破片問題について「外部燃料タンクは安全に飛行可能であり、新たな問題(やリスクの増大)はない」としてこれを容認する判断を示した。」

「ミッション管理班 (MMT) 議長のリンダ・ハムは「当時も今も(危険性の)根拠は乏しい」としてこれを追認」

「ハムの他にシャトル計画責任者であるロン・ディッテモア(英語版)も2002年10月31日の会議に参加しており、その場でこの打上決行が決定された。」

「シャトルの113回目の飛行であるSTS-107は、2001年1月11日に打ち上げられる予定だったが、2年間に18回も延期」

垣間見えるのは、人々がリスクに慣れてしまうことだな。

過小評価し、内部に取り込み、忘れ去ろうとしてしまうことだ。

それは残念ながら、今も同じだろう。

こういう「文化」の中で、地政学的緊張や外部の無責任な圧力に晒されながら、ネルソンが「敗北宣言」して、安全を優先したことは称賛に値する。

スターシップロケットシステムは、当面、有人打ち上げには使われないが、ゆくゆくはそうすることを目的としているし、HLS自体に人が乗って打ち上げられることはないものの、打ち上げられる宇宙船は有人機だ。

さらに、2段目は将来、単独で大陸間弾道旅客ロケットとして運用される可能性もある。

スターシップの耐熱タイルは、打ち上げの度に剥がれ落ちていると言われている(未確認)。

「大半の打ち上げにおいて剥落した断熱材の衝突による耐熱タイルの損傷が記録されていた」(再掲)

「NASAによるシャトルの元々の設計要件定義では、外部燃料タンクから断熱材などの破片が剥落してはならないとされていた。」(再掲)

「大半の打ち上げ」は基準違反の状態で打ち上げられており、コロンビアだけが特別だったわけではなく、剥がれ落ちた外部燃料タンクの断熱材の破片が、文字通り当たり所が悪かっただけに過ぎない。

ロシアンルーレットしながら運用され続けた。

2006年に再開されてからも、2011年に引退するまで続いた。

浮沈子が乗ることはないと思うが、スターシップは将来不特定多数の人々を乗せて世界中の空を飛ぶロケットだ。

HLSを飛ばすだけじゃないし、ペッツドアからスターリンクやスターシールドの衛星を打ち出すだけでもない。

現在のNASAが、シャトルの時代と比べてまともかどうかは知らない。

たぶん、組織の文化は良い意味でもそうでない意味でも、脈々と受け継がれているに違いない。

それでも、様々な欠点はあっても、米国の非軍事の宇宙開発を担い続けている。

ここは、キッチリけじめをつけて、21世紀の宇宙開発の姿を示してもらいたいもんだ。

ネルソンは、白旗掲げてまで安全を優先した。

それで、致命的な欠点を抱えたまま、たまたま当たり所が良くてうまくいっちまったのを見逃したりすれば、何のための白旗かということになる。

もう、後戻りはできない。

アルテミスは、S社と運命を共にするしかないのだ。

えっ?、ブルーオリジンのナショナルチームが、アルテミス5で月面着陸獲得したから大丈夫だろうってえ?。

(NASA、アルテミス計画の月着陸船を開発する2番目の企業にブルー・オリジンを選定)
https://sorae.info/space/20230524-blue-origin-hls.html

「今回締結されたのは、2029年に実施が予定されているアルテミス計画5番目のミッション「アルテミス5」で使用されるHLSの設計・開発・試験などに関する契約です。契約には“本番”となるアルテミス5の前に実施される1回の無人試験飛行も含まれています。」

「ブルー・ムーンの開発にはロッキード・マーティン、ドレイパー、ボーイング、アストロボティックといった複数の企業がパートナーとして参加しており、ブルー・オリジンは「ナショナルチーム」と呼んでいます。」

ロッキードマーチンはオリオン宇宙船の耐熱シールドでケチをつけ、ボーイングはスターライナーで塗炭の苦しみ、アストロボティックは月面でこけて中途半端な成功に留まる。

親玉のブルーオリジンのロケットがいつになったら飛ぶかは、ジェフベゾスさえ知らないだろう。

記事にもあるように、長期の水素や酸素の貯蔵に問題を抱えていて、何らかのブレイクスルーがなければ実現が危ぶまれている。

2029年の予定とあるが、間違いなく2030年代にずれ込むだろう。

どころか、実現可能性も疑われる。

(ブルームーン(宇宙船))
https://en.wikipedia.org/wiki/Blue_Moon_(spacecraft)

「ブルーオリジンが開発中のブルームーンの運用に不可欠な技術は、太陽光発電による推進剤の沸騰緩和メカニズムであり、最低20K(-253℃、-424℉)の温度で液体水素と液体酸素を長期保存することを可能にすることを目的としたものである。このようなシステムにより、宇宙船は軌道上または月面に留まることが可能になり、月面での恒久的な存在や核熱推進をサポートできるようになる可能性がある。」

この怪しげな仕掛けは、ゼロボイルオフシステムとも呼ばれているようだ。

記事を読むと、この計画が如何に複雑で精緻を極めているかがよく分かる。

全ての歯車がかみ合い、調律されて初めて成功する。

鉈でぶった切ったようなS社のシステム(それでも十分複雑ですが)とは大違いだ。

燃料補給も、地球低軌道でトランスポーター(タグ+デポ)にため込んでから月軌道(ゲートウェイ軌道(NRHO:Near-rectilinear halo orbit))に移動してそこで着陸船に行われる。

詳細は記事と画像を参照されたい。

「アストロボティックはブルームーンに、表面居住区や月面車などの大型ペイロード用の貨物収容システムを提供する。ボーイングはドッキングシステムを供給し、ドレイパーは誘導、航法、制御(GNC)技術を提供し、ハニービーロボティクスは貨物配送システムの供給を担当する」

「ロッキード・マーティンは、ブルームーンのアーキテクチャの一部として、シスルナ・トランスポーターと呼ばれる再利用可能な宇宙タグを設計し、運用する」

「ブルーオリジンは着陸船の開発を主導し、ニューグレンロケットの7メートル(23フィート)のペイロードフェアリングに収まるように設計され、ロケットに搭載して打ち上げられる。」

この複雑なシステムが、S社のHLSに取って代わるかどうかは知らない。

それでも、何もバックアップがないまま白旗掲げてお終いになるよりはいい。

シスルナトランスポーターへのタンカー給油が何回になるかは知らないが、数多くの打ち上げが、これも一定期間内に収まる必要がある。

オリオン宇宙船が、ゲートウェイ軌道までしか行けないというのが何とも言えないな(パワー不足で、月低軌道まで行けない)。

あらゆる複雑さは、それが最大の原因だろう。

まあ、作っちまったものは仕方ない。

スターシップが人間を乗せられるようになるまでは、これに頼るしかないからな・・・。