🚢欧州大戦争:ロシア産原油:上限価格と影の船団2025年05月23日 20:41

欧州大戦争:ロシア産原油:上限価格と影の船団


(訂正 G7、過度の不均衡対処で合意 対ロ制裁計画で前進=欧州委員)
https://jp.reuters.com/markets/commodities/FKBGHJSDJZNHXIED3BNFHENDE4-2025-05-22/

「同制裁計画には、ロシア産原油のG7の取引価格上限を1バレル=50ドルに引き下げる可能性が含まれるとした。」

さて、この提案が採用されたのかどうかは、今一つはっきりしない。

「ウクライナ支援に向けたロシアへの制裁強化を巡る計画を前進させた。」

バレル60ドルから50ドルに下げることで、合意したのかしないのか、どっち!?。

(G7財務相会議閉幕、ロシアへの追加制裁は合意に至らず…ウクライナに対する「揺るぎない支持」は表明)
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250523-OYT1T50085/

「具体策は引き続き協議することになった。」

「欧州連合(EU)は、G7などが2022年12月からロシア産原油に設けている1バレルあたり60ドルの上限価格を、50ドル程度まで引き下げることを提案していたが、米国は難色を示した」

ははあ、まだ決まってないわけだ。

(G7のロシア産原油価格上限、米は引き下げ「納得せず」=欧州当局者)
https://jp.reuters.com/markets/commodities/QJQVJD4COFOZBPOSWZYYXXCZYU-2025-05-22/

「EUは価格上限を1バレル=50ドルに引き下げることを提案。ウクライナはさらに低い30ドルに引き下げることを求めている。」

「カナダのバンフで開かれている主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に出席している米財務省のチームは、原油価格はすでに下落しており、ロシアは打撃を受けているとの見解を示している。」

「米国は引き下げ案を排除しておらず、協議は継続される」

ロシア産原油については、その利益が軍備増強に充てられることから、ウクライナ侵攻後に上限価格が定められた(現在の価格上限は2022年12月にG7とEU、オーストラリアの間で合意した60ドル)。

「AI による概要:

ロシア産石油の価格は、国際的な原油価格の変動と制裁の影響を受けながら推移しています。2024年4月には、ロシアの経済発展省が2024~26年の原油輸出価格見通しを1バレル65ドルに下方修正しました。一方、2025年のブレント原油の平均価格見通しは68ドル、ウラル原油は56ドルと予想されています。

詳細:
・原油価格の変動:
ロシア産原油価格は、国際的な原油価格の変動に加えて、西側諸国の制裁の影響も受けています。
・価格上限:
西側諸国はロシア産原油の取引価格上限を1バレル60ドルに設定していますが、2024年9月にはその価格をわずかに上回る価格で取引されていることもあります。
・日本への影響:
ロシアは欧米の制裁で国際指標に比べて安く販売しているが、量の増加で収入を維持できている。2023年には、日本がロシア産石油を購入した価格は1バレル70ドル弱でした。
・2025年の見通し:
ロシア経済省は、2025年のブレント原油の平均価格見通しを68ドル、ウラル原油は56ドルと予測しています。
・ウクライナ侵攻の影響:
ロシアのウクライナ侵攻は、世界的なエネルギー価格の高騰に影響を与え、原油価格も高騰しました。

・参考:
ロシアのウクライナ侵攻による影響は、現在のガソリン価格の高止まりにも影響を与えています。
ロシアは、1日あたり1000万バレルもの原油を生産しており、世界の原油生産量の約1割を占めます。
ロシアの石油・ガス収入は、国家予算の歳入全体の3分の1を占めます。

・補足:
上記の情報は、2024年4月~9月、および2025年4月~5月の情報に基づいています。
原油価格は、市場の変動や政治的な要因によって常に変動するため、最新の情報を確認することをお勧めします。
2025年の世界的な原油需給は、世界銀行の見通しによると、2025年の世界の石油供給量は需要量を日量平均で70万バレル上回ると予測されています。」

我が国の取引価格を見ると、バレル70ドル程度になっているようだ(2023年)。

実際の取引が、必ずしも上限価格の範囲内に収まっているわけじゃない。

逆に、実勢価格が取引上限を下回ったこともある。

(ロシア産ウラル原油、価格上限割り込む 世界的な相場安で)
https://jp.reuters.com/markets/commodities/VRV3BVZAVFJZFNWOAUVAO7F4VY-2024-09-11/

「バルト海の港で積み込まれるウラル原油の価格は10日、FOB(本船渡し)ベースで1バレル=59.89ドルに下落した。半面、黒海のノボロシスク港から積み込まれるウラル原油は60.33ドルと、依然として上限をわずかに上回る水準だった。」

「ロンドン証券取引所グループ(LSEG)のデータによると、ロシアの港でのウラル原油価格は非常に堅調に推移しており、年初来では6月の一時期を除き、60ドル超の水準をほぼ維持している。」

先日来、話題になっている影の船団との関係はどうなのか。

(EU、対ロシア制裁第17弾を採択、制裁回避策「影の船団」向けに大規模追加制裁)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/05/6222c22ee4a65c2a.html

「影の船団とは、EUがG7諸国などと実施するロシア産石油製品の上限価格規制の回避に利用される石油タンカーなどの船舶」

「今回、新たに189隻を追加したことで、制裁対象は342隻となった。また、影の船団の運航に関係する58団体と17個人も、資産凍結や資産提供の禁止などの対象に追加した。これには、ロシア石油大手スルグトネフテガスや石油輸送会社ボルガ・シッピングのほか、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、香港などの海運会社やロシアの石油輸送業向け保険会社なども含まれる。」

ちょっと気になる記述もある。

「サハリン2から日本へ輸出される原油に対する上限価格規制の適用除外措置については、2026年6月28日まで延長した。」

ははあ、我が国の取引には「適用除外措置」があるんだな。

制裁回避のための手段はいろいろあるようだが、こんなのも報じられている。

(ロシア「影の船団」が石油荷揚げできず 中国港など、米欧制裁を警戒)
https://www.asahi.com/articles/AST1G3SH0T1GUHBI026M.html

「報道によると、数十隻の船がアジアや中東の港で荷揚げできなくなる問題が発生。新たな買い手を探し、制裁対象外のタンカーに海上で移し替える必要があるとしている。」

「アジアや中東では、ウクライナ侵攻後も対ロシア制裁に参加していない国が多い。」「港の多くは、欧米企業と取引があり、制裁を受けるリスクを避ける必要がある。」

やれやれ・・・。

制裁を回避する手段を封じていこうとする動きがある一方で、制裁そのものを緩和(現状維持)しようとする動きもあるわけだ。

7か月ほど前の記事だが、こんなのもあった。

(対ロシア制裁、効果が薄いのはなぜ? スイスの専門家が語る裏事情)
https://www.swissinfo.ch/jpn/%E5%A4%96%E4%BA%A4/%E5%AF%BE%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E5%88%B6%E8%A3%81%E3%80%81%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%81%8C%E8%96%84%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%EF%BC%9F%E3%80%80%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%B0%82%E9%96%80%E5%AE%B6%E3%81%8C%E8%AA%9E%E3%82%8B%E8%A3%8F%E4%BA%8B%E6%83%85/87769438

「確かに、制裁が奏功した例は歴史上わずかしかない。」(汚職問題に詳しい刑法学者マーク・ピエト氏)

「ロシアほどの大国には制裁を回避する手段がたくさんある。」

「制裁制度はよく練られたものではない。それぞれの制裁リストには独自のロジックがあり、保護される人もいれば、そうでない人もいる。」

「ロシア経済を崩壊させることは可能だと考えられていた。ロシア経済はイタリアとほぼ同じ規模だと主張する人もいた。だがロシアは資源貿易とそれへの依存という切り札を持っていた」

事実、ロシア経済は崩壊していない。

戦争は継続し、政治情勢の劇的な変化で、プーチンは我が世の春を謳っている(そうなのかあ?)。

以下は1年余り前の記事だが、その辺りの理由を上手く説明している。

(ロシア経済 なぜへたらないのか?制裁が効かない真の理由)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/feature/2024/03/15/38345.html

理由① 欧州は今もロシア産原油を買い続けている
理由② ロシア産LNGは禁止されていない
理由③ 巨額の軍事支出とトリクルダウン
理由④ 住宅政策もプラスに寄与

ロシア経済の問題点として、原油の上限価格設定の効果についても触れている。

「原油価格上限設定は成果あり?:
・・・
アメリカの財務省はこの制裁措置によってロシア産の原油価格が下落し、ロシアの原油販売による税収は2023年1月から9月までに40%減少したとする分析を2月23日に発表しました。時間はかかるものの、ロシアの外貨獲得の道を狭める一定の成果があるようです。」

経済成長も、2023年に比べて鈍化が指摘されている。

が、崩壊には程遠いし、遠からず米国の制裁が解除される見込みが出てきたことで、先行きの不安要素は減少していくだろう(そうなのかあ?)。

確かに、国債の発行で財政を賄う状況は健全とは言えない。

戦時経済をどれだけ維持できるかは、外部要因によっても決まってくる。

最大の外部要因は、戦っている敵国の軍事情勢だからな。

ロシアは、一気に攻め込んだりはしていない。

相手より、ほんの僅かだけ上回る軍事圧力をかけ続けている。

それは、政治目的がウクライナの領土獲得だけではないということの証だ。

浮沈子は、最終的には欧州の覇権獲得がその目的と見ているけど、1億5千万人のロシアが、5億人弱の欧州を席巻するというビジョンは、なかなかギャンブルなものがある(自分でもそう思います)。

米欧はウクライナ紛争をきっかけにロシアを呑み込もうとしたけど、その目論見は潰えた。

北欧や東欧は悲鳴を上げて制裁強化をぶち上げようとしているけど、大西洋を隔てた米国は、ロシアとの関係改善に関心を移している。

かなり荒っぽい話とは思ったが、今日はこんな記事も読んだ。

(【#佐藤優のシン世界地図探索110】就任100日、トランプ米大統領のスコア表<北米帝国主義と亜周辺編>)
https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2025/05/23/127120/

「なぜアメリカのGDPの8%しかないロシアが、ウクライナにおいてはアメリカと互角以上に戦えるのか、ということです。このロシアの謎が、生産の哲学だということに気が付いたんです。国の発展に必要なのはGDPではなく生産力」

米国と欧州は、今、嫌と言う程このことを噛み締めているだろう。

佐藤氏の話は、浮沈子的についていけないところが多々あるが、トランプ政権の長期化については同じ見通しのようだ(米国民の選択によることが前提ですが)。

「ひとつは、4年後にトランプが潰れ、逆にまたグローバリゼーションの嵐の揺り返し」

「もうひとつはトランプ革命が成功し、それぞれの国が自国内で、地産地消で自分たちが消費するモノを作っていこうと、グローバル化に歯止めがかかる」

「後者ならトランプ政権の後はバンス大統領となり、共和党政権が更に2期、計12年続く必要があります。そうなれば転換します。」

トランプが副大統領となって、引き続き影響力を行使するというアイデアもあるようだが、年齢が年齢だからな。

現国務長官のマルコルビオの名前も取りざたされている(浮沈子はそれはないと思ってるけど)。

まあ、どうでもいいんですが。

確認しておこう。

米国は、G7がロシア産原油の上限価格を引き下げる案に難色を示した(協議は継続:未発効)。

影の船団は、この制裁をかいくぐるためにも機能している。

それに対する追加制裁も行われたが、効果のほどは未定だ。

経済制裁は簡単じゃない。

少なくとも、ロシアに対して短期的な効果を求めることは出来ない。

今、ウクライナを支援するために求められているのは短期的な効果だ。

数年単位じゃなく、数か月、いや数週間の効果だ。

その意味では、欧州は無策に等しい。

が、これがウクライナ支援ではなく、ロシアに対する欧州直接な政策と見れば話は変わってくる。

数年単位でボディーブローのように効いてくる話は、大いにアリだろう。

国家は国益で動く。

欧州は、ウクライナから軸足を移し、わが身の保身を図っている(そうなのかあ?)。

少なくとも、ウクライナが求めるバレル30ドルという上限価格はスルーしたからな・・・。

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