すわ、テロか? ― 2013年12月01日 23:57
すわ、テロか?
自衛隊の警護出動について、自衛隊法第8条の2第1項は、次のように定めている。
「内閣総理大臣は、本邦内にある次に掲げる施設又は施設及び区域において、政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で多数の人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊する行為が行われるおそれがあり、かつ、その被害を防止するため特別の必要があると認める場合には、当該施設又は施設及び区域の警護のため部隊等の出動を命ずることができる。」
ここのところを、そのままパクッて書いた法律がある。
(踏み絵)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/11/26/7075564
「特定秘密の保護に関する法律」(案:まだ、成立していません)である。
第12条の中に、こうある。
「2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。」
「一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。) 」
読みにくいなあ!。
縮めると、こうなる。
「一 特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項」
このテロリズムの定義として、自衛隊法を引いているわけだ。
そもそも、自衛隊法において、警護出動の対象となる施設は、自衛隊の施設と米軍基地に限られている。
元の法律では、施設警護のための、出動の要件となっているに過ぎないのだ。
基地周辺で、赤旗掲げて(白旗じゃないでしょう?)反対運動すると、自衛隊がやってくるという、時代を感じさせる表現になっている(9.11直後の立法である)。
この部分が、テロルの定義だとすれば、いささか投網がでかすぎるというものだ。
(石破発言について)
http://blogos.com/article/74887/
石破氏の元ブログは消えてしまっていて、読むことはできなかった。
朝日新聞の記事から、引用しておく。
「自民党の石破茂幹事長が、自身のブログで特定秘密保護法案への反対デモを批判した部分は次の通り。
今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。
主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。」
あまり多くの人の静穏を妨げているようには思えないんだが・・・。
(議員会館:国会周辺です)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%B0%E5%93%A1%E4%BC%9A%E9%A4%A8
これが、テロルと本質的な部分で共通だと喝破した点は、さすが石破氏である。
朝日新聞の取材に、次のように答えている。
「ルールにのっとったデモを介して意見を言うのはかまわないが、大音量という有形の圧力で一般の市民に畏怖(いふ)の念を抱かせるという意味で、本質的にテロ行為と同じだと申し上げた」
そう、テロル(俗にいう、テロ行為)は、精神的な恐怖を与えることが重要なのだ。
(テロリズム)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0
「テロリズムとは、何らかの政治的目的を実現するために、暴力によって脅威(恐怖心)を相手に与えることを手段として用いる傾向・主義、およびそれによって行われた行為のことである。」
「そもそも、暴力的手段に訴えることで政治的敵対者を威嚇することをドイツ語で「テロル(独: Terror)」と呼ぶ。もっぱらそうした「テロル」を用いることによって政治的な目的を果たそうとする傾向・姿勢・主義などが「terrorism(テロリズム)」と呼ばれているのである。」
「大音量という有形の圧力で一般の市民に畏怖(いふ)の念を抱かせる」というのは、立派なテロ行為である。
その意味では、反対運動の大勝利(?)ということになる。
しかし、うるさくて迷惑だと感じることはあっても、恐怖を感じるかどうかは微妙だな。
浮沈子の判定は、反対運動に対する石破氏の過大評価ということで、ペケ!。
もちろん、自衛隊法をそのままパクッた法案起草者や、内閣法制局もビックリの珍解釈をした森担当大臣も、ペケ!。
「森担当相は国会答弁でこの条文の解釈について、最初の「又は」は「かつ」という意味であり、「政治上」から「殺傷し」までを一つ続きで読むという珍妙な答弁を行った」とある。
どうせ、後で議事録から削除されるんだろうな(ハズカシ・・・)。
手抜き法案であるということが、またまたバレてしまったな。
自衛隊法では、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」しただけでは、テロ行為とは看做されない。
「本邦内にある次に掲げる施設(自衛隊の施設と米軍基地)又は施設及び区域において」とあり、行為を行う場所を明記している。
それを、日本全国津々浦々(議員会館周辺含む)に拡大したのが「特定秘密の保護に関する法律」である。
まあ、これは、第12条に於ける、適性評価の項目で、上記の「一」のほかには、次の項目があるわけで、この超拡大解釈によるテロ行為の定義によってトバッチリを食うのは、特定秘密を明示的に取り扱う公務員等に限られているので、これを根拠に一般市民を対象とした取締りのようなことが行われるわけではない(と思う)。
「二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項
四 薬物の濫用及び影響に関する事項
五 精神疾患に関する事項
六 飲酒についての節度に関する事項
七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項」
なんか、「一」だけ、妙に注釈が多いな。
「二」以下も、注釈だらけにしたかったのだが、面倒くさいからパスしたのかあ?。
まあ、どうでもいいんですが。
石破氏は、「ルールにのっとったデモを介して意見を言うのはかまわない」といっているし、「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべき」とも明言している。
大音量で、「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶことが、効果があるかどうかについては、やがて明らかになるだろう。
また、「畏怖の念を抱く」というのは、「敬意を抱く」意味を含んでいる。
(畏怖の念 ってどういう意味ですか?)
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1257928.html
一般の市民に、敬意を抱かせることになるというのは、理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げることに繋がるのではないのかあ?。
まあいい。
おそらく、畏怖という言葉は、恐怖の意味で使ったのだろう。
揚げ足取りのようなことは、浮沈子の高尚な(?)ブログの精神に反する。
(野党、石破氏の「テロ」発言を審議追及へ)
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20131201-1225738.html
参議院での審議の最中の敵失に、野党は盛り上がっているが、本質論ではない。
もっと、中身をちゃんと議論して、付帯決議とか、実質的なところでちゃんとした法律になるように、議論を尽くすべきだろう。
自衛隊の警護出動について、自衛隊法第8条の2第1項は、次のように定めている。
「内閣総理大臣は、本邦内にある次に掲げる施設又は施設及び区域において、政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で多数の人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊する行為が行われるおそれがあり、かつ、その被害を防止するため特別の必要があると認める場合には、当該施設又は施設及び区域の警護のため部隊等の出動を命ずることができる。」
ここのところを、そのままパクッて書いた法律がある。
(踏み絵)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/11/26/7075564
「特定秘密の保護に関する法律」(案:まだ、成立していません)である。
第12条の中に、こうある。
「2 適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。」
「一 特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下この号において同じ。)、父母、子及び兄弟姉妹並びにこれらの者以外の配偶者の父母及び子をいう。以下この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。) 」
読みにくいなあ!。
縮めると、こうなる。
「一 特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項」
このテロリズムの定義として、自衛隊法を引いているわけだ。
そもそも、自衛隊法において、警護出動の対象となる施設は、自衛隊の施設と米軍基地に限られている。
元の法律では、施設警護のための、出動の要件となっているに過ぎないのだ。
基地周辺で、赤旗掲げて(白旗じゃないでしょう?)反対運動すると、自衛隊がやってくるという、時代を感じさせる表現になっている(9.11直後の立法である)。
この部分が、テロルの定義だとすれば、いささか投網がでかすぎるというものだ。
(石破発言について)
http://blogos.com/article/74887/
石破氏の元ブログは消えてしまっていて、読むことはできなかった。
朝日新聞の記事から、引用しておく。
「自民党の石破茂幹事長が、自身のブログで特定秘密保護法案への反対デモを批判した部分は次の通り。
今も議員会館の外では「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。
主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。」
あまり多くの人の静穏を妨げているようには思えないんだが・・・。
(議員会館:国会周辺です)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AD%B0%E5%93%A1%E4%BC%9A%E9%A4%A8
これが、テロルと本質的な部分で共通だと喝破した点は、さすが石破氏である。
朝日新聞の取材に、次のように答えている。
「ルールにのっとったデモを介して意見を言うのはかまわないが、大音量という有形の圧力で一般の市民に畏怖(いふ)の念を抱かせるという意味で、本質的にテロ行為と同じだと申し上げた」
そう、テロル(俗にいう、テロ行為)は、精神的な恐怖を与えることが重要なのだ。
(テロリズム)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%AA%E3%82%BA%E3%83%A0
「テロリズムとは、何らかの政治的目的を実現するために、暴力によって脅威(恐怖心)を相手に与えることを手段として用いる傾向・主義、およびそれによって行われた行為のことである。」
「そもそも、暴力的手段に訴えることで政治的敵対者を威嚇することをドイツ語で「テロル(独: Terror)」と呼ぶ。もっぱらそうした「テロル」を用いることによって政治的な目的を果たそうとする傾向・姿勢・主義などが「terrorism(テロリズム)」と呼ばれているのである。」
「大音量という有形の圧力で一般の市民に畏怖(いふ)の念を抱かせる」というのは、立派なテロ行為である。
その意味では、反対運動の大勝利(?)ということになる。
しかし、うるさくて迷惑だと感じることはあっても、恐怖を感じるかどうかは微妙だな。
浮沈子の判定は、反対運動に対する石破氏の過大評価ということで、ペケ!。
もちろん、自衛隊法をそのままパクッた法案起草者や、内閣法制局もビックリの珍解釈をした森担当大臣も、ペケ!。
「森担当相は国会答弁でこの条文の解釈について、最初の「又は」は「かつ」という意味であり、「政治上」から「殺傷し」までを一つ続きで読むという珍妙な答弁を行った」とある。
どうせ、後で議事録から削除されるんだろうな(ハズカシ・・・)。
手抜き法案であるということが、またまたバレてしまったな。
自衛隊法では、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」しただけでは、テロ行為とは看做されない。
「本邦内にある次に掲げる施設(自衛隊の施設と米軍基地)又は施設及び区域において」とあり、行為を行う場所を明記している。
それを、日本全国津々浦々(議員会館周辺含む)に拡大したのが「特定秘密の保護に関する法律」である。
まあ、これは、第12条に於ける、適性評価の項目で、上記の「一」のほかには、次の項目があるわけで、この超拡大解釈によるテロ行為の定義によってトバッチリを食うのは、特定秘密を明示的に取り扱う公務員等に限られているので、これを根拠に一般市民を対象とした取締りのようなことが行われるわけではない(と思う)。
「二 犯罪及び懲戒の経歴に関する事項
三 情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項
四 薬物の濫用及び影響に関する事項
五 精神疾患に関する事項
六 飲酒についての節度に関する事項
七 信用状態その他の経済的な状況に関する事項」
なんか、「一」だけ、妙に注釈が多いな。
「二」以下も、注釈だらけにしたかったのだが、面倒くさいからパスしたのかあ?。
まあ、どうでもいいんですが。
石破氏は、「ルールにのっとったデモを介して意見を言うのはかまわない」といっているし、「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべき」とも明言している。
大音量で、「特定機密保護法絶対阻止!」を叫ぶことが、効果があるかどうかについては、やがて明らかになるだろう。
また、「畏怖の念を抱く」というのは、「敬意を抱く」意味を含んでいる。
(畏怖の念 ってどういう意味ですか?)
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/1257928.html
一般の市民に、敬意を抱かせることになるというのは、理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げることに繋がるのではないのかあ?。
まあいい。
おそらく、畏怖という言葉は、恐怖の意味で使ったのだろう。
揚げ足取りのようなことは、浮沈子の高尚な(?)ブログの精神に反する。
(野党、石破氏の「テロ」発言を審議追及へ)
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20131201-1225738.html
参議院での審議の最中の敵失に、野党は盛り上がっているが、本質論ではない。
もっと、中身をちゃんと議論して、付帯決議とか、実質的なところでちゃんとした法律になるように、議論を尽くすべきだろう。
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