911ストーリー(964)2013年12月25日 01:34

911ストーリー(964)
911ストーリー(964)


自分が乗っている911が、83タルガなものだから、それ以降、特に、直後のモデルであるMY84(鉄板、厚くなって、剛性上がってます)などの記事を読むと、ちょっと悔しかったりする(エンジンは、930/64に載せ換えているので、悔しくないです!)。

プレステージという、近くの店では、964が取り扱いの主流なんだが、930から見ると、ググッと現代的なクルマなので、あまり比較の対象にならない(あまり、気にならない)。

パワステはあるわ、エアコンは快適になってるわ、オートマはあるし、エンジンは排気量上がって扱いやすいし、何より、足回りがコイルバネになって、「トーションバーって、なあに?」とか聞かれないで済むし・・・。

そんでもって、見かけは930と同じときているから、カエル面が好きな手合いは、大喜びだろう。

お店の掛田さんも、「964は、普通に乗れます」といっている。

現代のクルマなのだ。

とはいえ、既に20年が経とうというクルマである。

1989年に発表されてからだと、そろそろ25年、四半世紀前のクルマであり、国産車なら屑鉄の値段にしかならない。

それが、300万円とかで売られているのだから、クルマの価値というのは、一体なんで決まっているのだろう?。

(ポルシェ・964)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB964

エンジンとトランスミッションという、美味しいところ(第4章、第5章)を後回しにして読み進めている「ポルシェ911ストーリー」だが、第7章のボディ・バリエーションで、もたついている。

964については、218ページから書かれているが、219ページには、アウターパネルが同一だという記述がある。

ほう、これは初耳(初目?)だな。

「1989年にデビューした964型は、930型似の外観をまとってはいるものの、80%ものパーツを新製するといった手の込んだ手法を採ることとなった。」

「930型似」とあるが、同一パネルなのかあ?。

もちろん、中身は異なるが、フェンダーやフロントのトランクリッド、リア回りなどの外装は、共通なのだという。

本当なんだろうか。

もちろん、車体構造自体は変わっているので、ホワイトボディの部品番号は異なる。

(964のパーツリスト:ファイル、でかいです)
http://www.porsche.com/all/media/pdf/originalparts/en/E_964_KATALOG.pdf

PDFのページで、255ページからがボディセクションである。

270ページにフロントフェンダーが出てくるが、やはり部品番号は異なる。

しかし、290ページのトランクリッドの部品番号に、911で始まるやつを見つけた。

カレラRS用とある。

ボディ関係では、他に目ぼしい共通点はないように思って見ていくと、ドアウインドウ周りに共通部品がある。

313から314ページがそうだ。

それどころか、サイドウインドウの型番は、911で始まっている。

三角窓も同じだ(901から始まっている!)。

ということは、部品番号が違ってはいても、形の上での共通要素はあるわけだ。

フラッシュサーフェス化を図るために、微妙に変えてあるのかもしれないが、サイドウインドウ周りが同じということは、Aピラーの角度や、ルーフの角度が同じということである。

ドア周りでは、内張り関係で、371ページからも共通部品が多い。

後は、413ページの角型ミラー関係は、共通のようだ。

浮沈子的には、432ページのタルガのルーフ関係の部品番号が共通なのが嬉しかったりするのだが、ということは、寸法的には、このセクションは同じであるということだ。

天井と、サイドウインドウと、ドアの内張りは共通なわけで、ということは、クルマの真ん中が930ということになる。

もちろん、それは、構造的なものではなく、外見ということになり、同じクルマということではない。

930と964は、前に見たとおり、ホイールベース(軸距)は同じ(2272mmで同一)でも、ボディ構造は全く異なるクルマである。

外見だけ、似せて作り、真ん中辺は同じ部品を使い、しかし、フラッシュサーフェス化で現代的になって、トータルの品質を向上させたわけだな。

最後に決定的な証拠を見つけた!。

541ページからのヘッドライトの部品が、911から始まっている!。

ここの部品が同じということは、ヘッドライトの立ちの角度が同じということである。

間接的ではあるが、フロントフェンダーの形状も、殆んど同じという証拠であるな。

ポール・フレール(PF)の本の223ページには興味深い記述がある。

「1994モデルイヤーに、再度911のモデルチェンジが行われた。今回は964と違ってボディ外形が変わり・・・」

「とはいってもボディの構造に関しては、新規のリヤサスペンションにかかわる部分を除き、993と964はあまり違いがなかった。つまり964とは逆で、外見は変わったが中は変わらなかったのである。」

ということは、結局、ボディ的に見れば、こういうことになる。

・911(901)型:930型まで共通(84年に鋼板の肉厚が0.75mmから1mmに変更):2268~2272mm
・964型:モノコックになって大変更:2272mm
・993型:リア回りなど一部変更:2272mm
・966型:全く別のクルマ:2350mm
・997型:剛性強化の小変更:2350mm
・991型:全く別のクルマ:2450mm

参考までに、軸距を添えてみた。

基本的には901から993まで、同じクルマといっても差し支えないが、930と964の差は、964と993の差よりも大きいと浮沈子は考える。

設計年代のギャップ、構造的な変化、クルマに要求される要素の変化を考えれば、当然そうなる。

人によっては、964と993が大きく違うという意見もあるだろう。

特に、リアサスペンションの変更に伴う操縦性の改善は、劇的だったという。

そして、993には、「最後の空冷」という、永遠に消えることのない「勲章」が付いている!。

まあいい。

どーせ、930は、いつまで経っても浮かばれないのさ・・・。

964については、ボディだけでなく、駆動系についての変化も大きい。

4WDの導入である。

もっとも、初期型の4WDの操縦特性は、悲惨だったというから、初めからうまくいったわけではない。

「相変わらずのリアヘビーから来るトリッキーさは直らず、むしろ4WDのカレラ4の場合など、4WDのデメリットとRRのクセが共に悪いほうに重なってしまい、現在でも2WDのカレラ2に較べて不当に評価が低い。」

しかし、930時代に開発された959の流れを汲む4WDは、RRの911にとって、操縦性の本質的な改善を図る決定的な技術であり、現在では、911の約半数の販売台数を占めているといわれる(浮沈子担当の、ポルシェセンター営業さん:談)。

アウディの魔の手が、深く浸透しつつある現在のポルシェの状況を考えると、後輪駆動の911の命脈も、あと僅かであるかもしれない(マサカね・・・)。

ともあれ、4WDを導入し、コイルスプリングの足回りを得て、本来ならルンルンの状況のはずだったのだが、商売としては、はかばかしくなかったようだな。

964は、空力的にも洗練されたモデルである。

ボディ表面(下回り含む)のフラッシュサーフェス化(平滑化)によって、空気抵抗係数を減少させ、ボディリフトを押さえることに、成功した。

特筆すべきは、リアスポイラーが、電動格納式になったことである。

PFの本の219ページに、その記述はある。

「・・・エンジンカバーのグリル部分が80km/hでせり上がり人間の歩く速さで元に戻る電動式可動スポイラーだった。このスポイラーは、持ち上がったところをオーナーが目にすることは絶対ないから苦情の出ようがなく、せり出した時に冷却ファンの空気取り入れ口が広がるので冷却も完璧だった。」

垂れ尻を楽しみながら、ボディアンダーパネルの形状の工夫(後端跳ね上げ)と共に、高速でのリアのリフトを押さえるという、高度な解決方法を編み出したわけだ。

これについては、モデルは違うが、是非とも紹介したいビデオがある。

(Sexy Porsche 911 Commercial:動画出ます)
http://www.youtube.com/watch?v=Uyfejrpd37Y

996後期型カレラカブリオレであるな(おねえさんは、知らない・・・)。

クルマは、フランス語では女性名詞だったと記憶しているが、このクルマについては男性名詞としなければなるまい!。

ポルシェを作っているドイツ語では男性名詞だから、問題ない。

ちなみに、このコマーシャルにはパロディがあって、いくつかの動画が上がっている。

(Porsche Commercial Remake:動画出ます)
http://www.youtube.com/watch?v=LsP_tV1k_9I

(Porsche Commercial Concept:動画出ます)
http://www.youtube.com/watch?v=BZIiaG199_Q

まあ、どうでもいいんですが。

964は、手元のポルシェ・データ・ブックによれば、1989年モデルから1994年モデルまである。

・MY1989:Kプログラム
・MY1990:Lプログラム
・MY1991:Mプログラム
・MY1992:Nプログラム
・MY1993:Pプログラム

初年次に開発コードが与えられているようだ。

6年という短い寿命だったが、その後の993に至っては、5年間であるから、最短というわけではない。

しかし、930を含めると、26年間続いた901型(鋼板の厚みは変わったが、少なくともボディ構造は同じ)に対して、通算10年間という964以降のボディ寿命が短かったというのは否めない。

その後の996と997で、通産14年間だったので、今のところ、最短のボディである。

浮沈子的には、930スタイルのタルガが964までしか作られず、993からは、ガラススライド式になったことで、タルガモデルとしては、930と964との類似性から、964に親しみを感じることも確かだ。

英語のウィキには、ターボモデルを含めて、6年間で62,172台が作られたとある。

(Porsche 964:Production figures)
http://en.wikipedia.org/wiki/Porsche_964#Production_figures

993は、5年間で68,029台だったことを考えると、やはり売れなかったんだろう(993も、売れたとはいえませんが)。

(Porsche 993:Production figures)
http://en.wikipedia.org/wiki/Porsche_993#Production_figures

964については、ボディワークだけではなく、エンジン、トランスミッション、サスペンション、ブレーキなどの進歩も著しく、浮沈子的には、空冷911の一つの完成形だと思っている。

「最新のポルシェは最良のポルシェ」というが、この頃は、確かにそうだったに違いない(軸距も同じだし・・・)。

確認のため、ボディサイズを見ると、964は930より小さいことがわかる。

モデル:L:W:H
930:4291:1652:1320
964:4250:1652:1310
993:4245:1735:1300

長さと高さは、993が一番短く低い。

意外な数値だが、まあ、長さについてはバンパー(リア)の処理ということになるので、実質は殆んど同じである。

コンパクトで、軽い(といっても、既に1350kg!)4人乗りクーペとして、もっと売れても良かったのだろうが、今のところ、空冷中古市場の王者として君臨しているというのは、皮肉なもんだなあ・・・。

踏み止まれ!2013年12月25日 08:11

踏み止まれ!
踏み止まれ!


緊急で人道的な対応ということで、5.56mmNATO弾を1万発提供して、男を上げた自衛隊だが、今朝のニュース(朝日)を読んでぶったまげた。

(南スーダン撤退を検討 自衛隊PKO、治安悪化受け)
http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312240479.html

「南スーダンの国連平和維持活動(PKO)をめぐり、安倍政権は24日、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加している自衛隊を撤退させる検討に入った。現地の情勢が悪化しており、自衛隊のPKO参加条件が満たされなくなる可能性があると判断した。南スーダンから撤退すれば、自衛隊によるPKO活動は休止することになる。」

国連がPKOから撤退するというのなら、それでも残れとは、さすがに浮沈子もいいづらい。

しかし、今、パンギムンの勧告を受け、安全保障理事会は、全会一致で6000人規模の増派を決定したばかりである。

おまいら、邪魔だから、宿営地を明け渡せ!、とでもいわれているんだろうか?。

そうでなければ、このタイミングでの撤退は、最悪である。

「南スーダンでは、首都ジュバで15日に前副大統領によるとされるクーデター未遂が発生。各地で蜂起した反乱軍が大統領派と武力衝突している。自衛隊の派遣部隊は直後からジュバの宿営地内で避難民への医療支援や給水支援を行う一方、宿営地以外での活動を自粛している。」

その宿営地には、戦乱を恐れて、多くの市民が避難してきているといわれる。

自衛隊の撤退は、彼らを見捨てることにもなる。

「国連の潘基文(パンギムン)事務総長は23日、UNMISSへの増派を国連安全保障理事会に勧告。反政府勢力の動きは活発化しており、道路整備など自衛隊を派遣した本来の目的を達成するのは難しくなっている。」

もちろん、混乱の中、道路整備をやれといっているのではない。

これこそ、緊急かつ人道的な事態ではないのか。

百歩譲って、派遣している自衛隊の装備や人員が、現在の事態に対応できないとするならば、装備を送るとか、人員を増派、交代させるとか、そういった対応はできないのか。

「こうした状況から、政権内では「一日も早く撤退すべきだ」との声も出ていた。政権は、今の南スーダン情勢は、PKO参加5原則のうち「紛争当事者間で停戦合意が成立」の条件を満たしていない可能性があると分析。今後、UNMISSの活動状況を踏まえつつ、撤退時期などを慎重に検討する方針だ。」

元々、紛争当事者というのは、スーダンと南スーダンであったはずである。

スーダン軍が、この機に乗じて国境を越えて攻め込んできたというなら、話は分かるが、そういう情報はない。

また、紛争が長期化し、派遣期間のなかで、本来の任務である道路整備が行えなくなることが見通せる状況になったわけでもない。

今は、軍事的実力を背景に、政府軍と反政府軍を交渉のテーブルに付かせることが出来るかどうかという、重要な時期である。

むしろ、紛争を長期化させ、内戦状態に移行させないために、一兵でも多くの実力部隊を展開し、紛争当事者に政治的圧力をかける時だ。

そのために、宿営地を明け渡せ!、というなら、それは止むを得ない。

工兵隊では脅しは効くまいし、首都における市街戦となった場合は、足手纏いになる。

PKO全体の戦略を踏まえて、適切な対応を求められているというなら、そういえば良い。

そうであっても、たとえば、早期の解決を見た場合に備えて、近隣国に宿営地を移す方策を採るのが、第一選択である。

だって、早期解決を図るために明け渡すのだから、逃げ帰ってしまっては、行動に矛盾を生じるであろう。

PKOの増派は、近隣に展開する部隊の移動が主になると考えられることから、入れ替わりで入営してもいい。

官房長官談話などという、役人が考えた小手先の対応ではなく、臨時国会を召集してでも、国民に対する説明を行い、クソ野党(失礼!、皆さん、選良ですものね!)の腑抜けた根性を叩き直す必要がある。

(南スーダンのPKO 活動を継続へ:NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131225/k10014085671000.html

「首都ジュバの情勢を巡って、陸上自衛隊の部隊の隊長は24日テレビ電話を通じて、小野寺防衛大臣に対し「人々の生活も平常に戻ってきており、沈静化に向かっている。問題なく任務を遂行している」と報告しました。」

「政府は、首都ジュバの治安は現時点では悪化していないとして、国連や各国の部隊と緊密に情報交換するとともに、外国部隊の協力も求めて警戒を強めながら、自衛隊の活動を継続する方針です。」

「ただ、今後、ジュバでも戦闘が激しくなった場合には活動が困難になるとして、撤退も検討することにしています。」

どうも、朝日の報道は、最後の部分を膨らませたようだな。

(国連安保理、南スーダンのPKO要員倍増を承認)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE9BN07S20131224

「潘事務総長は安保理の承認後、「要員を増員しても、南スーダンのすべての国民を守ることはできない」とし、「独立から日が浅い同国が直面している暴力は何をもっても正当化することはできない」と述べた。」

すべての国民を守ることなんて、できっこないのは、分かっている。

我が国を含めた国際社会が、一致して、有効な圧力を掛け続けることができるかどうか、外交、軍事、経済の総力を挙げて、事態の収拾をはかることができるかどうかが、問われている。

何度も書くが、事態は急を要している。

そして、外務大臣の「談話」とかではなく、積極的平和主義を掲げる自衛隊の最高指揮者の名で、強力なメッセージを発信してもらいたい。

威勢がいいのは、平時だけで、有事になると腰抜けになる(お腹が痛くなる?)というのでは、戦後レジームから脱却なんてたわ言は聞こえませんぞ!。

(解釈変更、説明なし 南スーダンPKO銃弾提供)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013122502000122.html

「今回の銃弾の提供で、過去の国会答弁や政府解釈を容易に変える安倍政権の姿勢が鮮明となった。」

「銃弾の提供は一部の閣僚が外交安保政策を密室で議論する国家安全保障会議(NSC)で即決された。十分な説明のないまま、国民の見えないところで、重要政策が転換される恐れが現実になったといえる。」

「公明党幹部は「『緊急性』と『人道性』の二言は、思考停止を招く。一番危険だ」と政府を批判した。」

軍事力という実力なくして、現実の平和は有り得ない。

この事態の中、NSCにも入れず、ポイントを取り損ねた公明党が寝言をいっても始まらない。

平和主義を掲げる我が国の国際協力は、本来、緊急性、人道性から始まるに決まっている。

紛争が収まってからのこのこ出て行く我が国が、目を瞑って、見ない振りをしていただけである。

思考は、正に、緊急性、人道性をスタートに始まるのだ。

そこで、「思考停止」になるのなら、そんな政党が政権に入っていること自体、百害あってなんとやらであろう。

(Security Council OKs 5,500 more troops to South Sudan)
http://edition.cnn.com/2013/12/24/world/africa/south-sudan-violence/

「The UN stood with you on your road to independence,」

パンギムンが発した声明の中のUNには、今年、現大統領を招き、大使館の設置を約束した我が国の存在は、含まれていないのだろうか?。

今、我が国が検討すべきは、撤退ではなく、増派ではないのか?。

民族浄化2013年12月25日 11:34

民族浄化
民族浄化


いつもは、借りてきた猫のように大人しい浮沈子が、南スーダンの件で、ブログに書きまくっているのには、わけがある。

(国連安保理、6千人増派の決議を採択)
http://news24.jp/articles/2013/12/25/10242743.html

「北部・ユニティ州では、南スーダン軍の兵士34人の遺体が集団埋葬されているのが見つかっており、国連は特定の民族を狙った大量殺害が行われているという懸念を示している。」

スーダン西部でも、民族浄化が行われている。

(ダルフール紛争)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%AB%E7%B4%9B%E4%BA%89

(潜入ルポ ダルフール 隠された真実 (再))
http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/080519.html

同じような行為は、東欧や中国、いや、我が国を含め、歴史を振り返れば、ナチスドイツなど世界中で行われている。

人類の普遍的な行為なのだ。

(民族浄化)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E6%97%8F%E6%B5%84%E5%8C%96

「ボスニア紛争を契機にして1992年頃から世界の主要メディアでも広く使用されるようになった。流通するようになったきっかけは、当時のボスニア政府とPR契約を結んでいた、アメリカの広告代理店「ルーダー・フィン社」が効果的なメディア対策をおこなったためである。「ルーダー・フィン社」は当初、セルビア人による虐殺を非難するための言葉として「ホロコースト」を使用したがこの言葉をナチスによるユダヤ人虐殺以外に使わせることをユダヤ人団体が認めようとせず不快感をあらわにしたので、これに代わる言葉を見つけ出す必要があった。ルーダー・フィン社は「エトゥチニコ・シチェーニェ」という言葉を、ボスニア紛争以前に契約していたクロアチア側がセルビア人を非難するために使っていたことを知り、 セルビア側を攻撃する際に徹底的に使用するようになった。英訳の際に「ethnic purifying」と「ethnic cleansing」の2種類が用意され、当初はどちらも使われていたが、後者の方がより残酷な印象を与えるため、すぐに「ethnic cleansing」へ移行した。現在はもっぱら「ethnic cleansing」が用いられている。」

画像は、スレブレニツァの虐殺の墓地である。

(スレブレニツァの虐殺)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%8B%E3%83%84%E3%82%A1%E3%81%AE%E8%99%90%E6%AE%BA

「外注される戦争」を読み終わったばかりの浮沈子にとって、この言葉が広まった経緯に米国の広告代理店が絡んでいたことは、いささかの興味を引いた。

「民族浄化の手法
・自治体を乗っ取る
・異民族の社会からの排除
・宣伝活動
・安全を脅かす
・市部の住民を武装解除させる
・村落を武装解除させる
・強制退去させる
・大量強姦する
・絶滅させる
・資産を破壊する
・支配地域外の同胞を難民化させる」

内容については、記載することも憚られるので、ウィキを一読されたい。

関連項目の中に、「聖絶」というのがあって、浮沈子は初めて目にしたので引用する。

(聖絶)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E7%B5%B6

「一般的な用途に用いることを禁じ、神のために聖別すること、ささげられたもの、奉献物、のろわれたものを意味している」

「一方、イスラエルに敵対する異民族に対して聖絶が用いられる時は、「神への奉納物として、異教の神を拝むものとそれに関連する事物をことごとく滅ぼし尽くす」こと、全ての戦利品を滅却することを意味した。すなわち、聖絶の対象とされた敵対異民族は全員が剣で殺され、また家畜も含め生けるものは全て殺戮された。また、通常の戦闘では許される女子どもの捕虜も、また家畜などの戦利品も、聖絶においては自分たちの所有物とすることは許されず、全てが神への捧げ物とされなければならなかった。さらに、それ以外の剣でもって滅ぼせないものは火をもって焼き尽くされ、また、燃やすことの出来ない金銀財宝などは神殿の奉納倉へ納めて、「呪われた汚らわしきもの」として民衆の手からは隔離されなければならなかった。」

まあ、聖絶というよりは、「壮絶」だな。

一神教は、これだから融通が利かなくて困る。

「この聖絶という慣習はイスラエルのみならずモアブやアッシリアのような近隣諸国にも古来から共通して見られた宗教儀礼で、それは敗北した敵を単に虐殺することだけでなく、聖なる闘いに関する宗教的規定のひとつであったが、実際にこの規定が適用されたことは現実問題としてかなり稀なことであったと考えられている。というのも、敵対する異民族を聖絶の捧げ物とした場合でも、相手を滅ぼしてもイスラエルの民には物質的には何の利益にもならないため、当然ながら違反者が続出した。また、一民族を全て根絶やしにすることは現実問題としても無理であった。「このように聖絶が不徹底であったため、バアル信仰がイスラエルの中に蔓延り、神の怒りを招いた結果、自分たちは異民族に支配されなければならなかったのだ」という反省及び歴史解釈がイスラエルの中に起こり、バビロン捕囚以後にそのような観点の下に聖書が編纂されたものと考えられている。したがって現在の歴史学では、聖書に書かれた虐殺の記述は歴史を正しく伝えたものではなく、後代のバビロン捕囚前後の時代にイスラエル中心主義の影響で書かれたものとされる。」

まあ、人生いろいろだな。

しかし、多神教の国家であっても、支配の手段として、大量虐殺が平然と行われたことはある。

(モンゴル帝国Ⅱ~ヨーロッパ遠征~:思わず、続きを読んだ)
http://www.benedict.co.jp/Smalltalk/talk-68.htm

空前にして絶後、人類史上最大の国家を建設したモンゴル帝国は、抵抗した民族を皆殺しにし、かつ、そのことを宣伝して、版図を拡大していった。

類似の語としては、以下がある。

(ホロコースト)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88

「元来はユダヤ教の宗教用語である燔祭(獣を丸焼きにして神前に供える犠牲)を意味するギリシア語で、のち転じて火災による大虐殺、大破壊、全滅を意味するようになった。英語では、ユダヤ人虐殺に対しては定冠詞をつけて固有名詞(英語: the Holocaust)とし、その他の用法を普通名詞 (英語: holocaust) として区別している。」

(ジェノサイド)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%8E%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%89

「1944年、ユダヤ系ポーランド人法律家のラファエル・レムキンによって創られた造語であり、一つの人種・民族・国家・宗教などの構成員に対する抹消行為をさす。」

「元々アルメニア人虐殺やナチス・ドイツのユダヤ人虐殺(ホロコースト)に対して使われていたことから、一般的には「大量虐殺」の意味で使われるが、国外強制退去による国内の民族浄化、あるいは異民族、異文化・異宗教に対する強制的な同化政策による文化抹消、また国家が不要あるいは望ましくないと見なした集団に対する断種手術の強要あるいは隔離行為など、あくまでも特定の集団等の抹消行為を指し、物理的な全殺戮のみを意味するわけではない。」

「また、これを目的とした行為は集団殺戮行為も含め、国連のジェノサイド条約によって禁止されており、現在では、集団殺害罪は国際法上の犯罪として確立している。」

南スーダンで行われている暴力行為が、戦争犯罪に当るといわれているのは、これによるようだ。

(殲滅)
http://ja.uncyclopedia.info/wiki/%E6%AE%B2%E6%BB%85

あー、いや、これは、引用ページを間違えたようだな。

しかし、狭義の殲滅というのは、軍事用語で、非戦闘員の大量虐殺や強制的な同化は含まれない。

(殲滅戦理論)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%B2%E6%BB%85%E6%88%A6%E7%90%86%E8%AB%96

「プロイセンは地理的にヨーロッパの中心に位置して四方を敵軍に露出している。イギリスのような島国は持久戦に持ち込むことが出来る。また、ロシアは自国内部に戦略的退却することも出来る。プロイセンは、後顧の憂いなく敵軍を完膚なきまでに打ち破らなければならない。つまり敵軍を殲滅 (fast annihilation of enemy forces) することである。速やかに、また滑らかに軍隊を機動し、敵軍を不安定にし、引き分けに持ち込ませずに殲滅することが肝要である。これは非常に厳しい訓練と規律、そして完全に専門的な統率力を必要とする。殲滅戦理論の多くはクラウゼヴィッツの著作「戦争論」に見ることが出来る。」

まあ、今日のブログとは趣が異なる。

しかし、殲滅を出したからには、これを出さずにいられようか?。

(エヴァンゲリオン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%82%A8%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%B2%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%94%A8%E8%AA%9E%E4%B8%80%E8%A6%A7#.E3.82.A8.E3.83.B4.E3.82.A1.E3.83.B3.E3.82.B2.E3.83.AA.E3.82.AA.E3.83.B3

「古代ギリシア語で福音の意の「エウアンゲリオン」(εὐαγγέλιον) のラテン語表記「EVANGELION」から。
正式名称は「汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン」。略称はEVA(エヴァ)。」

「人類が14年の歳月と、天文学的な経費をかけて製造した巨大な人造人間。生命の起源であり神に近い存在とされる第1使徒アダムまたは第2使徒リリスを複製し造られた素体に、装甲板という名の拘束具をつけることで本来の力を抑え込み、運用可能としたもの。A.T.フィールドを展開できるため、襲来する使徒を殲滅できる唯一の兵器とされる。しかし建造された真の目的は「人類補完計画」を遂行するためだとされる。」

「人類補完計画
種として行き詰まった人類を、人工的に進化させるとする計画。本作品における最大の謎。」

ジョークで出したつもりだったが、この人類補完計画というのが、あるいは、民族浄化の本質なのかもしれない。

遺伝的交雑により、多様性を求める一方で、同一地域にいる区別された集団(民族)を排除しようとする。

浅ましき人類の特性である。

(民族)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E6%97%8F

「民族(みんぞく)とは一定の文化的特徴を基準として他と区別される共同体をいう。」

しかし、他の全ての民族を浄化できたとして、最後に残った人類そのものを浄化することは出来ない。

エヴァの中に登場する「人類補完計画」というのは、結局、地球上の全ての人類を、サードインパクトによる炎で焼き尽くすことに他ならない。

前出のジェノサイドのウィキには、用語発案者であるラムキンが、この用語を思いついたいきさつが紹介されている。

「なお、ラムキンが「ジェノサイド」という言葉を思いついたのは、1941年8月、ウインストン・チャーチルがBBC放送演説における「われわれは名前の無い犯罪に直面している」という言葉によるという。のちに、1945 年のニュルンベルク裁判の検察側最終論告において、「ジェノサイド」が初めて使用された。」

「われわれは名前の無い犯罪に直面している」

それは、別の意味で真実である。

(ジェノサイド/高野和明)
http://blogs.yahoo.co.jp/bioclif/62495931.html?from=relatedCat

素晴らしい書評なので紹介する(本は読んでません)。

「ジェノサイドとは大量殺戮という意味である。そして、人間だけが同種間のジェノサイドを行う生物であり、それがヒトという生き物の定義である。この本は、ジェノサイドを描くことによって、人間性の残虐性を描いている。」

「かつて地球上にいた別種の人類、原人やネアンデルタール人は、その脳の容積は我々現生人類より大きかったのではないかと推定されている。それにもかかわらず、我々が生き残ったのは何故か。それは、現生人類の方が知性に優れていたためではなく、残虐性に勝っていたためである。」

「小説の初めの部分で主人公たちが、ジャングルの中、サルが争うのを目にする。勝者が敗者を食い殺す共食いの姿を見て、サルを残酷な動物と見る。では、サルは野蛮でヒトは高等と言い切れるか。この小説は訴え続ける。戦争は形を変えた共食いである。そしてヒトは、知性というベールを使って共食いの本能を隠蔽しようとする。そのベールとは、政治、宗教、イデオロギー、愛国心と言った屁理屈だ。しかし根底にあるのは獣と同じ欲求だ。領土をめぐって人間が殺しあうのと、縄張りを侵されたチンパンジーが怒り狂って暴力を振るうのと、どこが違うのか」

「過去二十万年間に亘って殺し合いを繰り返してきた人類は、常に他集団からの侵略に怯え、疑心暗鬼が被害妄想寸前の状態で維持され、国家なる防衛体制を作り上げて現在に至っている。この異常な心理状態は、人類全体があまねく共有しているために異常ではなく正常とみなされる。これが”人間という状態“だ。そして、完全なる平和が達成されないのは、他者が危険であるという確固たる証拠を、互いが己の内面にみているからだ。ヒトは皆、他者を傷つけてでも食料や資源や領土を奪い取りたいのだ。その本性を敵に投影して恐怖し、攻撃しようとしているのだ。そして、死をもたらす暴力の行使には、国家や宗教という後ろ盾が免罪符となる。その枠外にいるのは異人(エイリアン)、すなわち敵だからだ。こうした悪徳に目をつぶってこられたのは、同種間の殺戮を非難する知性がヒト以外に存在しなかったからである。神すらも異教徒の殺害を奨励しているのだ。」

人類は、まだ、その歴史を刻まない頃からジェノサイドを行っていたのである。

名前のない犯罪を犯してしまうこと、それは、ジェノサイドが人類の本性によるものであることの何よりの証である。

無人探査車2013年12月25日 19:31

無人探査車
無人探査車


わざわざ無人と付けなければならないのは、例の月面車の存在があるからで、他は全て無人である。

(探査車)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8E%A2%E6%9F%BB%E8%BB%8A

この中の、活動中の探査車によれば、現在、3機(3台?)の探査車が運用中である。

・オポチュニティ
・キュリオシティ
・玉兎号

レスポンスが、未だに無視して記事にしない玉兎号については、着陸したばかりで、これからが本格的な活動となる。

(「玉兎号」、ロボットアームのテストが成功)
http://japanese.cri.cn/881/2013/12/24/145s216006.htm

と思ったら、明日から、正月休み(もとい、月の夜に入るので、活動停止)だそうだ(画像参照)。

「月面探査機「玉兎号」がロボットアームをまるで手を出すように動かし、月面でのテストを順調に終えたということです。」

「今回の月の夜は26日前後から始まり、およそ半月間続きます。「玉兎号」はエネルギーの補充が得られないため、太陽の光が再び月面に照らすまで、スリープ状態になるということです。」

太陽電池を動力源としているローバーは、運用寿命に制限はないが、日当たりの関係で制限を受けるわけだ。

月面で動いているのは、これ1台だが、火星では、2台のローバーが動いている。

(オポチュニティ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%9D%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3

(OPPORTUNITY UPDATE)
http://marsrovers.jpl.nasa.gov/mission/status.html#opportunity

「Total odometry is 24.05 miles (38.70 kilometers).」とあるので、ルノホート2号の約42kmの記録を破るかもしれない。

(ルノホート2号:ミッション終了)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%882%E5%8F%B7#.E3.83.9F.E3.83.83.E3.82.B7.E3.83.A7.E3.83.B3.E7.B5.82.E4.BA.86

まあ、半年で1.7kmなので、あと1年は掛りそうだが、それまで持つかどうかが問題だな。

相方のスピリットは、2年前に運用を停止したが、こっちはまだ生きている。

元々の設計寿命は92日(地球時間)とされていたわけだから、10年を超えた現在、いつ止まってもおかしくはない。

(マーズ・サイエンス・ラボラトリー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%9C%E3%83%A9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC

こちらは、原子力電池を積み、夜昼関係なく活動できるが、なにしろ電池だから、プルトニウムの崩壊熱が下がってくれば発電できなくなる。

「昼夜や季節に関係なく一定の電力が得られるうえ、余熱はパイプを通じて探査機のシステムの保温に使用できる。キュリオシティで使われるRTGはボーイング社が開発した最新のMulti-Mission Radioisotope Thermoelectric Generatorと呼ばれるタイプである。重量は約50kgで4.8kgのプルトニウム238を搭載しており、打上げ時の事故で衝突、爆発、再突入による落下が起きてもプルトニウムが守られるように保護層で覆われている。ミッション初期には約2000Wの発熱から125Wの電力を得られ、14年後でも100Wの電力が得られる。」

活動予定期間は2年とされているが、うまいこといけば、10年くらいは持ちそうであるな。

「キュリオシティが活動を予定している地域の火星の気温は、+30から −127℃の間で変動すると予想されている。このため、Heat rejection system (HRS)を使って機器の温度を維持する設計となっている。長さ60mのパイプ内にポンプで流体を流し、MMRTGからの熱で保温する。温度が上昇しすぎる場合は冷却にも使える。」

搭載機器に優しい性能な訳だ。

(What's New)
http://mars.jpl.nasa.gov/msl/news/whatsnew/

こっちは、まだまだ現役バリバリなので、得意のソフトウェアのバージョンアップを施しながら、観測を続けている。

原子力電池は、火星など、ある程度の大気がある岩石惑星上で、太陽電池に土埃が着いて、発電が出来なくなるという事態が起こらないというメリットもある。

キュリオシティについては、このブログでも、何度か取り上げている。

(車輪の下)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/08/06/6533363

(原子力電池)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/08/07/6533777

(火星自動車?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/08/06/6532350

(故郷の風景?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/08/07/6535161

これからの探査に注目しよう。

次のローバー(探査車)は、いつ、どの天体に降り立って、どんな不思議を我々に見せてくれるのだろうか。

人間のいない世界で、人間が送り込んだ移動可能なロボットたちが、今も無言で動き続けている・・・。