😼欧州大戦争:ポクロフシク方面 ― 2024年07月04日 09:04
欧州大戦争:ポクロフシク方面
(侵攻852日目、ロシア軍がシヴェルシク方面とドネツク西郊外方面で前進:2024.06.25)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/on-the-852nd-day-of-the-invasion-russian-forces-advance-towards-siversk-and-the-western-outskirts-of-donetsk/
「RBC-Ukraineは今後の見通し=ロシア軍の夏季攻勢について以下のように予測している。」
「ウクライナ軍関係者は今夏4つの戦線(ポクロウシク方面、ハルキウ方面、チャシブ・ヤール方向)に戦力を集中させてくるだろうと予想している」
・ポクロウシク方面
・ハルキウ方面
・チャシブ・ヤール方向
4つって、あと1つはどこ?(トレツク方面かクラホヴェ方向)
「特に戦力が集中しているのはポクロウシク方面で、この夏の攻勢で敵はさらなる成功を収めたいと望んでいる。」
「この方面の敵戦力は7万に達し(これとは別に)他地域に転用しない予備戦力も相当量ある。」
「オチェレティネからT-0504に向って前進してポクロウシクに到達することが目標」
進軍のルートは、必ずしも一つではない。
ブログ管理人が作成している地形図(広域地図)を見ると、少なくとも4つのルートが考えられる(テキトーです)。
➀ノヴォオレクサンドリウカからT-0504を経るルート
➁プロレスから線路沿いを経るルート
➂カルリフカからE50を経るルート
➃クラホヴェから南側を大きく回り込むルート
が、どのルートを取るにしても、そこにはウクライナ軍が勝敗を賭けて築き上げた要塞が幾重にもわたって設けられている(はずなんだがな・・・)。
(ウクライナ降伏不可避:撤退:2月12日の記事)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2024/02/17/9660071
画像には、ネット上の動画に出てきた要塞の配置図を引用している。
ドネツク州のウクライナ側の州都であるクラマトルスクやドンバス地区の兵站の拠点の一つであるポクロフシク周辺は、特に要塞の配置が重点的に行われている。
ポクロフシクは、アウディーイウカから進軍した場合、4重の要塞を突破しなければたどり着くことはできない。
ロシア軍は、カルリフカに取りつこうとしている段階で、ここは最初の要塞(防御線)に当たる。
高台のふもとであり、高所からの攻撃を受ける不利な進軍を余儀なくされる。
➂のルートなわけだが、あんま効果的とは言えないな。
➁は高台に沿って、地形的なネガを被らずに進軍できるけど、そういうところはウクライナ軍も防御を固くしているに違いないから、困難を極めるだろう。
➀のT-0504経由で攻め込むルートは、それ自体が兵站ルートの遮断となることから、ブログ管理人が重要視しているルートだ。
浮沈子的にも、このルートは間接的ながら効果的と見ていて、仮に他のルートを主要ルートとすることがあったとしても、同時並行的に進軍を試みると見ている。
大穴的ルートとしては、➃のクラホヴェ経由というのがあるけど、ポクロフシクを囲む要塞は南側にも配置されていることから、地理的距離も考え合わせると可能性は低い。
しかし、地形的不利は少なく、防衛線全体に対する圧力を高める効果は期待できる。
要するに、4方向全体で攻めることになる。
このほかの戦闘地域としては、市街戦が繰り広げられているクラスノホリフカ方向や、カリノヴェ方向からの正面突破なども考えられる。
陣地戦におけるロシア軍の人的物的犠牲をいとわない攻撃が、ウクライナ軍の防御線をぶち破ることが出来るかどうかが焦点だ。
その一つの参考になるのが、ハルキウ北部の侵入点における攻防だろう。
ウクライナ軍には大した防御線もなかったのに、十分な兵力を投入して見事に進軍を止めている。
要塞は単に物理的な構造物に過ぎない。
ロシア軍は、同じように堅牢な構造物が立ち並ぶ市街地を、空爆や砲撃で廃墟と化して占領してきた(それって、占領なのかあ?)。
幾重にも張り巡らされているとはいえ、要塞も同じだろう。
ウクライナ軍も防空能力を強化しているとはいえ、空爆を完全に封じ込めることはできない。
また、供給される弾薬や補充される兵力の点においても優勢とは言えない状況が続いている。
この夏の間に、ポクロフシクが占領されるかどうかは分からない。
アウディーイウカが陥落して、第一防衛線にたどり着くまで5か月かかっている。
春先の泥濘期があったとはいえ、歩兵中心の前進では、それ程の影響はないだろうから、進軍の速度は明らかに落ちている。
高台への攻撃であること、要塞が築かれていること、ポクロフシクが兵站の要衝であることなどを考慮すれば、より攻め込むことが困難と予想される。
年内にたどり着くことが出来るかどうかも不明だ。
逆に、ウクライナ軍としては、なるべく長期間引き延ばして防御を続けるのに有利な戦いを行うことが可能だ。
軍事的状況とは別のところで、大きな動きがあるかもしれない。
民主的な手続きを重視する西側の統治体制から、米国大統領選挙(11月5日投票)の帰趨に注目が集まる。
ロシア軍としては、アウディーイウカのように、ロシア大統領選挙までに陥落させなければならないという期限はない。
棚からぼた餅が落ちてくるのを、口を開けて待っているだけでいい(そうなのかあ?)。
戦場の状況だけでは、この戦争の帰趨は見えてこない。
しかし、その戦場で勝てないウクライナは、大きな岐路に立たされている。
負けない(=勝てない)戦いを、いつまで続けられるのか。
或いは、負けない状況を持続できるのか。
戦線の一部では、ロシア軍の後退も見られる(ハルキウ方面やクレミンナ方面)。
外部調達の兵器はともかく、ウクライナ軍の致命的問題である兵力の不足は根本的に解決されているわけではない。
先日、大幅な進軍を許したとされるニューヨーク方向(トレツクの南)での進軍は、オケレタイン(オケレティネ)侵攻の規模を上回るとされる。
(侵攻861日目、ロシア軍が3km以上前進してニューヨーク市内に侵入)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/on-the-861st-day-of-the-invasion-russian-forces-advance-more-than-3km-into-new-york-city/
「ロシア軍はウクライナ軍の防衛ラインを突破してニューヨーク方向に3km以上も前進した」「線路沿いにニューヨーク市内を北上してユリウカ集落の大半を支配している」「この戦術的成功はオチェレティネ方向への突破を上回る規模と言える。」
やれやれ・・・。
限られた戦力を選択的に投入せざるを得ない中で、戦略上の優先順位が低い地域でロシア軍の侵攻を食い止められないのは想定の範囲内だが、嬉しい話ではない。
ウクライナには領土というリソースがあるけれど、それは貴重で限りがある資源だ。
そして、おそらく、一度失えば長期にわたって回復不可能となるだろう。
ウクライナは、戦力の回復を図り、再度、反転攻勢に出ると言われているが、その具体的なシナリオは見えない。
誰がどう見ても、時間を味方につけているのはロシアだろう。
この状況を打開するのは、F-16を含む米国等が供与する兵器で無制限にロシアを攻撃することを許容すること、西側の軍隊をウクライナに送り込むことなどだが、どれも現実的ではない。
いや、西側がロシアと本格的にドンパチ始めるということなら、極めて現実的かもしれない。
しかし、米国でも欧州でも、政治の嵐が吹き荒れている現在、そのような意思を明確にすることは困難だろう。
ロシアは、その隙を突いているとも言える。
ウクライナ戦線が手詰まりに陥る中、ロシアは今日も着々と欧州大戦争の準備を進めている(そうなのかあ?)。
ポクロフシクもクラマトルスクも、チャシブヤールもハルキウも、コップの中の嵐だ。
(侵攻852日目、ロシア軍がシヴェルシク方面とドネツク西郊外方面で前進:2024.06.25)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/on-the-852nd-day-of-the-invasion-russian-forces-advance-towards-siversk-and-the-western-outskirts-of-donetsk/
「RBC-Ukraineは今後の見通し=ロシア軍の夏季攻勢について以下のように予測している。」
「ウクライナ軍関係者は今夏4つの戦線(ポクロウシク方面、ハルキウ方面、チャシブ・ヤール方向)に戦力を集中させてくるだろうと予想している」
・ポクロウシク方面
・ハルキウ方面
・チャシブ・ヤール方向
4つって、あと1つはどこ?(トレツク方面かクラホヴェ方向)
「特に戦力が集中しているのはポクロウシク方面で、この夏の攻勢で敵はさらなる成功を収めたいと望んでいる。」
「この方面の敵戦力は7万に達し(これとは別に)他地域に転用しない予備戦力も相当量ある。」
「オチェレティネからT-0504に向って前進してポクロウシクに到達することが目標」
進軍のルートは、必ずしも一つではない。
ブログ管理人が作成している地形図(広域地図)を見ると、少なくとも4つのルートが考えられる(テキトーです)。
➀ノヴォオレクサンドリウカからT-0504を経るルート
➁プロレスから線路沿いを経るルート
➂カルリフカからE50を経るルート
➃クラホヴェから南側を大きく回り込むルート
が、どのルートを取るにしても、そこにはウクライナ軍が勝敗を賭けて築き上げた要塞が幾重にもわたって設けられている(はずなんだがな・・・)。
(ウクライナ降伏不可避:撤退:2月12日の記事)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2024/02/17/9660071
画像には、ネット上の動画に出てきた要塞の配置図を引用している。
ドネツク州のウクライナ側の州都であるクラマトルスクやドンバス地区の兵站の拠点の一つであるポクロフシク周辺は、特に要塞の配置が重点的に行われている。
ポクロフシクは、アウディーイウカから進軍した場合、4重の要塞を突破しなければたどり着くことはできない。
ロシア軍は、カルリフカに取りつこうとしている段階で、ここは最初の要塞(防御線)に当たる。
高台のふもとであり、高所からの攻撃を受ける不利な進軍を余儀なくされる。
➂のルートなわけだが、あんま効果的とは言えないな。
➁は高台に沿って、地形的なネガを被らずに進軍できるけど、そういうところはウクライナ軍も防御を固くしているに違いないから、困難を極めるだろう。
➀のT-0504経由で攻め込むルートは、それ自体が兵站ルートの遮断となることから、ブログ管理人が重要視しているルートだ。
浮沈子的にも、このルートは間接的ながら効果的と見ていて、仮に他のルートを主要ルートとすることがあったとしても、同時並行的に進軍を試みると見ている。
大穴的ルートとしては、➃のクラホヴェ経由というのがあるけど、ポクロフシクを囲む要塞は南側にも配置されていることから、地理的距離も考え合わせると可能性は低い。
しかし、地形的不利は少なく、防衛線全体に対する圧力を高める効果は期待できる。
要するに、4方向全体で攻めることになる。
このほかの戦闘地域としては、市街戦が繰り広げられているクラスノホリフカ方向や、カリノヴェ方向からの正面突破なども考えられる。
陣地戦におけるロシア軍の人的物的犠牲をいとわない攻撃が、ウクライナ軍の防御線をぶち破ることが出来るかどうかが焦点だ。
その一つの参考になるのが、ハルキウ北部の侵入点における攻防だろう。
ウクライナ軍には大した防御線もなかったのに、十分な兵力を投入して見事に進軍を止めている。
要塞は単に物理的な構造物に過ぎない。
ロシア軍は、同じように堅牢な構造物が立ち並ぶ市街地を、空爆や砲撃で廃墟と化して占領してきた(それって、占領なのかあ?)。
幾重にも張り巡らされているとはいえ、要塞も同じだろう。
ウクライナ軍も防空能力を強化しているとはいえ、空爆を完全に封じ込めることはできない。
また、供給される弾薬や補充される兵力の点においても優勢とは言えない状況が続いている。
この夏の間に、ポクロフシクが占領されるかどうかは分からない。
アウディーイウカが陥落して、第一防衛線にたどり着くまで5か月かかっている。
春先の泥濘期があったとはいえ、歩兵中心の前進では、それ程の影響はないだろうから、進軍の速度は明らかに落ちている。
高台への攻撃であること、要塞が築かれていること、ポクロフシクが兵站の要衝であることなどを考慮すれば、より攻め込むことが困難と予想される。
年内にたどり着くことが出来るかどうかも不明だ。
逆に、ウクライナ軍としては、なるべく長期間引き延ばして防御を続けるのに有利な戦いを行うことが可能だ。
軍事的状況とは別のところで、大きな動きがあるかもしれない。
民主的な手続きを重視する西側の統治体制から、米国大統領選挙(11月5日投票)の帰趨に注目が集まる。
ロシア軍としては、アウディーイウカのように、ロシア大統領選挙までに陥落させなければならないという期限はない。
棚からぼた餅が落ちてくるのを、口を開けて待っているだけでいい(そうなのかあ?)。
戦場の状況だけでは、この戦争の帰趨は見えてこない。
しかし、その戦場で勝てないウクライナは、大きな岐路に立たされている。
負けない(=勝てない)戦いを、いつまで続けられるのか。
或いは、負けない状況を持続できるのか。
戦線の一部では、ロシア軍の後退も見られる(ハルキウ方面やクレミンナ方面)。
外部調達の兵器はともかく、ウクライナ軍の致命的問題である兵力の不足は根本的に解決されているわけではない。
先日、大幅な進軍を許したとされるニューヨーク方向(トレツクの南)での進軍は、オケレタイン(オケレティネ)侵攻の規模を上回るとされる。
(侵攻861日目、ロシア軍が3km以上前進してニューヨーク市内に侵入)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/on-the-861st-day-of-the-invasion-russian-forces-advance-more-than-3km-into-new-york-city/
「ロシア軍はウクライナ軍の防衛ラインを突破してニューヨーク方向に3km以上も前進した」「線路沿いにニューヨーク市内を北上してユリウカ集落の大半を支配している」「この戦術的成功はオチェレティネ方向への突破を上回る規模と言える。」
やれやれ・・・。
限られた戦力を選択的に投入せざるを得ない中で、戦略上の優先順位が低い地域でロシア軍の侵攻を食い止められないのは想定の範囲内だが、嬉しい話ではない。
ウクライナには領土というリソースがあるけれど、それは貴重で限りがある資源だ。
そして、おそらく、一度失えば長期にわたって回復不可能となるだろう。
ウクライナは、戦力の回復を図り、再度、反転攻勢に出ると言われているが、その具体的なシナリオは見えない。
誰がどう見ても、時間を味方につけているのはロシアだろう。
この状況を打開するのは、F-16を含む米国等が供与する兵器で無制限にロシアを攻撃することを許容すること、西側の軍隊をウクライナに送り込むことなどだが、どれも現実的ではない。
いや、西側がロシアと本格的にドンパチ始めるということなら、極めて現実的かもしれない。
しかし、米国でも欧州でも、政治の嵐が吹き荒れている現在、そのような意思を明確にすることは困難だろう。
ロシアは、その隙を突いているとも言える。
ウクライナ戦線が手詰まりに陥る中、ロシアは今日も着々と欧州大戦争の準備を進めている(そうなのかあ?)。
ポクロフシクもクラマトルスクも、チャシブヤールもハルキウも、コップの中の嵐だ。
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