🚀スターライナー:太陽電池 ― 2024年07月28日 06:42
スターライナー:太陽電池
(NASA、ボーイング社のトラブルを抱えるスターライナー宇宙船をどうするか決定間近)
https://arstechnica.com/space/2024/07/nasa-nears-decision-on-what-to-do-with-boeings-troubled-starliner-spacecraft/
「スターライナーの発電用ソーラーパネルは宇宙船の後部にあるため、通常は後端を太陽に向けて飛行します。」
ああ、そういうことかあ・・・。
記事を読んだときに、思わず口を突いて出た言葉。
スラスターの過熱とか、ワケワカの原因で足止めを食っているスターライナーの本質的な設計の欠陥があらわになった瞬間だ。
「スターライナーが地球を周回する際に、後方に向いたスラスターが太陽光にさらされることが多くなる」
違いない。
が、まあ、メインの4個のエンジンがトラブっているわけじゃないから、ややビミョーな感じではある。
ドッグハウスの中でトラブったエンジンも、全て後方向きということなんだろうか(未確認)。
まあ、どうでもいんですが。
太陽電池が後ろ側についている宇宙機というのは、確かに従来、例がなかった気がする(詳細未調査)。
が、原因はそれだけでもなさそうだがな。
「基本的に、エンジニアたちは、スラスターの問題は過熱によって引き起こされると考えています。」
「過熱の原因となる別の要因もあります。」
「ドッグハウスには断熱材がたくさん使われています」「ドッキング中にスラスターを低温から守るために設計されています。しかし、スターライナーの初期テスト中には地上では発見できなかった統合効果が今、現れていると思います。スラスターにパルスを出しすぎ、スラスターを太陽に向けると、熱(環境)にクロストークが生じ、温度が上昇します。そこでスラスターの劣化が見られるのです。」(NASA の商業乗組員プログラム マネージャー、スティーブ・スティッチ氏)
「各「ドッグハウス」には、比較的小規模な軌道調整操作や宇宙船の方向転換に使用する 7 個の反応制御システム スラスタと、より大きな衝撃に使用する 3 個(5個の誤り?)のより強力な軌道制御エンジンが含まれています。」(カッコ内浮沈子)
「熱は1つのスラスターからだけではなく、ドッグハウス全体の魔法瓶効果から来ている可能性が高い」「これはモデル化されていたが、実際の飛行条件について学習している最中なので、モデルを再度調整する必要があると思う」(ナッピ氏:B社の担当副社長)
考えていなかったわけじゃないぞと言いたいんだろうが、下手の考え休むに似たりだ。
やれやれ・・・。
記事を読むと、スラスターの過熱につながった原因は3つ。
・太陽電池の場所(宇宙船後方)
・ドッグハウス(スラスター収納場所)の断熱
・短時間内での頻回の噴射(パルス)
加熱の結果、バルブ(ポペット バルブ)のシール(テフロン製)が変形して配管を通る推進剤の流れを妨げ、流量が減って十分な推進剤が供給されなくなったために、エンジンの推力が落ちたと推測しているようだ。
「そのポペットの端にはテフロン製のシールが付いています」「スラスタの点火によって生じる加熱と自然真空により、そのポペットシールが変形し、実際に少し膨らんでしまったのです。」(ナッピ氏:ホントかあ?)
「地上でテストされたスラスターも同様の挙動を示した。ホワイトサンズでのスラスターの検査では、酸化剤バルブのテフロンシールに膨らみが見られ、四酸化窒素推進剤の流れが制限される可能性があることが判明した。スラスターはそれぞれ約 85 ポンドの推力を生み出し、四酸化窒素 (NTO) 酸化剤を消費し、ヒドラジン燃料と混合して燃焼させる。」
まあいい。
既製品のエアロジェットロケットダイン製エンジンを64個(うち、クルーモジュールに12個、サービスモジュールに52個)も組み込んだスターライナーは、実働環境に放り込まれてあっさりと馬脚を現したわけだ。
そもそもそういう問題は、ヘリウム漏れも含めて、少なくとも無人機のテストの段階で解決しておかなければならないはずなんだが、結果的に有人機テストで発生している。
しかも、状況はかなり深刻で、1週間余りのテスト期間は、そろそろ2か月を超えようとしている。
やれやれ・・・。
さて、問題はこの後始末をどうつけるかだな。
「ボーイング社とその推進装置サプライヤーであるエアロジェット ロケットダイン社は、スラスターの設計を変更するか、新しいタイプのシールを使用する必要があるかもしれない。また、ドッグハウスの断熱材を変更したり、スラスターの噴射頻度を減らすソフトウェア調整によって過熱問題を克服する方法もあるかもしれない。」「漏れを防ぐためにヘリウムシステムのシールを交換する必要もあるかもしれない。」
「どのような修正が必要であっても、実施には時間がかかる。」
「・・・2025年8月にステーションに向かう予定で、これがスターライナーが宇宙ステーションの定期的なクルー交代制度の一部となる最も早い機会」
記事の副題にあるように、最低でも向こう1年間は問題の修正に取り組むことになる。
それで問題が解決されるかは誰にも分からない。
浮沈子はゴルフをしないので、詳しいことは分からないけど、豪快にドライバーで飛ばした後の、パッティングで苦労している感じなんだろうか?。
ホールインワンとかチップインバーディーでない限り、パットが決まらなければいいスコアは出せない。
宇宙空間というグリーンを、舐めてかかると碌なことはないという見本だな。
ロケットダインの実績ある部品を使ったからといって、システム全体の設計や運用の中で正しく用いられなければトラブルは防げない。
しかし、太陽電池の場所がスラスターの作動条件を制約するというのは想定外だろう。
熱的なストレスを避けるために、軌道上でローテーション(姿勢変更)を行うという話は時々聞くけど、確かに太陽電池を日光に晒しておくためには、周辺を加熱し続けることになるからな。
(ボーイングのスターライナー宇宙船、成否を分けるテストが迫る)
https://spaceflightnow.com/2024/07/26/make-or-break-tests-on-tap-for-boeings-starliner-capsule/
「後方に向いたスラスタは長時間直射日光にさらされ、通常よりも高い温度で作動した。このことと、ランデブー中の連続した燃焼が、観測された性能に影響を与えた可能性が高い。」
この記事では、なぜ後方に向いたスラスターが長時間直射日光に晒らされたのかについての言及はないし、ドッグハウスの断熱にも触れられていない。
(スターライナーの帰還前にさらにスラスターテストを実施)
https://spacenews.com/more-thruster-tests-for-starliner-before-return/
「スラスターが設置されている「ドッグハウス」内の高温により酸化剤が蒸発し、推力が低下したのではないかというのが作業仮説」(NASA商業乗組員プログラムマネージャーのスティーブ・スティッチ氏)
スラスターそのものというより、配管や推進剤の温度管理の問題だな。
「ボーイングはおそらく、今後のスターライナーによる宇宙ステーションへのミッションでも同様のスラスター テストを実施するだろうと付け加え、他の訪問宇宙船が出発前に同様のスラスター テストを実施していることは知らなかったと述べました。」(ボーイングの副社長兼商業乗組員プログラム マネージャーのマーク ナッピ氏)
「スティッチ氏とナッピ氏は、燃料を補給したがホワイトサンズで3年間保管されていたスターライナーのサービスモジュールを検査したところ、ヘリウムシステムのシールが劣化している兆候が見られたと述べている。これは四酸化窒素推進剤への曝露が原因と思われる。これがヘリウム漏れの原因となったシールの問題を説明できるかもしれない。」
ヘリウム漏れも、一筋縄ではいかないようだ。
やれやれ・・・。
「ドッキング解除後に一連の手動操縦を行う計画を中止する」「手動操縦の一部はスラスターに余分な負担をかけることがわかったので、それを行うつもりはありません。」(スティッチ氏)
状況は、かなりヤバい。
余裕は全くなく(ヘリウムはたっぷりあるそうですが)、ドッキング解除後は最短で帰還することになる。
それも、一応、地上テストとかも行ってはいるけど、完全に再現されているわけではなく、原因の可能性を示唆している程度な試験結果なわけだ。
「NASAは、スターライナーではなくクルードラゴンを使ってウィリアムズとウィルモアをISSから帰還させるという緊急時の対応策を引き続き検討しているが、現時点ではスターライナーで帰還すると予想している」「8月19日か20日までの選択肢を検討」(スティッチ氏)
NASAとB社の「熱い」夏は、まだまだ過熱しそうだな・・・。
(NASA、ボーイング社のトラブルを抱えるスターライナー宇宙船をどうするか決定間近)
https://arstechnica.com/space/2024/07/nasa-nears-decision-on-what-to-do-with-boeings-troubled-starliner-spacecraft/
「スターライナーの発電用ソーラーパネルは宇宙船の後部にあるため、通常は後端を太陽に向けて飛行します。」
ああ、そういうことかあ・・・。
記事を読んだときに、思わず口を突いて出た言葉。
スラスターの過熱とか、ワケワカの原因で足止めを食っているスターライナーの本質的な設計の欠陥があらわになった瞬間だ。
「スターライナーが地球を周回する際に、後方に向いたスラスターが太陽光にさらされることが多くなる」
違いない。
が、まあ、メインの4個のエンジンがトラブっているわけじゃないから、ややビミョーな感じではある。
ドッグハウスの中でトラブったエンジンも、全て後方向きということなんだろうか(未確認)。
まあ、どうでもいんですが。
太陽電池が後ろ側についている宇宙機というのは、確かに従来、例がなかった気がする(詳細未調査)。
が、原因はそれだけでもなさそうだがな。
「基本的に、エンジニアたちは、スラスターの問題は過熱によって引き起こされると考えています。」
「過熱の原因となる別の要因もあります。」
「ドッグハウスには断熱材がたくさん使われています」「ドッキング中にスラスターを低温から守るために設計されています。しかし、スターライナーの初期テスト中には地上では発見できなかった統合効果が今、現れていると思います。スラスターにパルスを出しすぎ、スラスターを太陽に向けると、熱(環境)にクロストークが生じ、温度が上昇します。そこでスラスターの劣化が見られるのです。」(NASA の商業乗組員プログラム マネージャー、スティーブ・スティッチ氏)
「各「ドッグハウス」には、比較的小規模な軌道調整操作や宇宙船の方向転換に使用する 7 個の反応制御システム スラスタと、より大きな衝撃に使用する 3 個(5個の誤り?)のより強力な軌道制御エンジンが含まれています。」(カッコ内浮沈子)
「熱は1つのスラスターからだけではなく、ドッグハウス全体の魔法瓶効果から来ている可能性が高い」「これはモデル化されていたが、実際の飛行条件について学習している最中なので、モデルを再度調整する必要があると思う」(ナッピ氏:B社の担当副社長)
考えていなかったわけじゃないぞと言いたいんだろうが、下手の考え休むに似たりだ。
やれやれ・・・。
記事を読むと、スラスターの過熱につながった原因は3つ。
・太陽電池の場所(宇宙船後方)
・ドッグハウス(スラスター収納場所)の断熱
・短時間内での頻回の噴射(パルス)
加熱の結果、バルブ(ポペット バルブ)のシール(テフロン製)が変形して配管を通る推進剤の流れを妨げ、流量が減って十分な推進剤が供給されなくなったために、エンジンの推力が落ちたと推測しているようだ。
「そのポペットの端にはテフロン製のシールが付いています」「スラスタの点火によって生じる加熱と自然真空により、そのポペットシールが変形し、実際に少し膨らんでしまったのです。」(ナッピ氏:ホントかあ?)
「地上でテストされたスラスターも同様の挙動を示した。ホワイトサンズでのスラスターの検査では、酸化剤バルブのテフロンシールに膨らみが見られ、四酸化窒素推進剤の流れが制限される可能性があることが判明した。スラスターはそれぞれ約 85 ポンドの推力を生み出し、四酸化窒素 (NTO) 酸化剤を消費し、ヒドラジン燃料と混合して燃焼させる。」
まあいい。
既製品のエアロジェットロケットダイン製エンジンを64個(うち、クルーモジュールに12個、サービスモジュールに52個)も組み込んだスターライナーは、実働環境に放り込まれてあっさりと馬脚を現したわけだ。
そもそもそういう問題は、ヘリウム漏れも含めて、少なくとも無人機のテストの段階で解決しておかなければならないはずなんだが、結果的に有人機テストで発生している。
しかも、状況はかなり深刻で、1週間余りのテスト期間は、そろそろ2か月を超えようとしている。
やれやれ・・・。
さて、問題はこの後始末をどうつけるかだな。
「ボーイング社とその推進装置サプライヤーであるエアロジェット ロケットダイン社は、スラスターの設計を変更するか、新しいタイプのシールを使用する必要があるかもしれない。また、ドッグハウスの断熱材を変更したり、スラスターの噴射頻度を減らすソフトウェア調整によって過熱問題を克服する方法もあるかもしれない。」「漏れを防ぐためにヘリウムシステムのシールを交換する必要もあるかもしれない。」
「どのような修正が必要であっても、実施には時間がかかる。」
「・・・2025年8月にステーションに向かう予定で、これがスターライナーが宇宙ステーションの定期的なクルー交代制度の一部となる最も早い機会」
記事の副題にあるように、最低でも向こう1年間は問題の修正に取り組むことになる。
それで問題が解決されるかは誰にも分からない。
浮沈子はゴルフをしないので、詳しいことは分からないけど、豪快にドライバーで飛ばした後の、パッティングで苦労している感じなんだろうか?。
ホールインワンとかチップインバーディーでない限り、パットが決まらなければいいスコアは出せない。
宇宙空間というグリーンを、舐めてかかると碌なことはないという見本だな。
ロケットダインの実績ある部品を使ったからといって、システム全体の設計や運用の中で正しく用いられなければトラブルは防げない。
しかし、太陽電池の場所がスラスターの作動条件を制約するというのは想定外だろう。
熱的なストレスを避けるために、軌道上でローテーション(姿勢変更)を行うという話は時々聞くけど、確かに太陽電池を日光に晒しておくためには、周辺を加熱し続けることになるからな。
(ボーイングのスターライナー宇宙船、成否を分けるテストが迫る)
https://spaceflightnow.com/2024/07/26/make-or-break-tests-on-tap-for-boeings-starliner-capsule/
「後方に向いたスラスタは長時間直射日光にさらされ、通常よりも高い温度で作動した。このことと、ランデブー中の連続した燃焼が、観測された性能に影響を与えた可能性が高い。」
この記事では、なぜ後方に向いたスラスターが長時間直射日光に晒らされたのかについての言及はないし、ドッグハウスの断熱にも触れられていない。
(スターライナーの帰還前にさらにスラスターテストを実施)
https://spacenews.com/more-thruster-tests-for-starliner-before-return/
「スラスターが設置されている「ドッグハウス」内の高温により酸化剤が蒸発し、推力が低下したのではないかというのが作業仮説」(NASA商業乗組員プログラムマネージャーのスティーブ・スティッチ氏)
スラスターそのものというより、配管や推進剤の温度管理の問題だな。
「ボーイングはおそらく、今後のスターライナーによる宇宙ステーションへのミッションでも同様のスラスター テストを実施するだろうと付け加え、他の訪問宇宙船が出発前に同様のスラスター テストを実施していることは知らなかったと述べました。」(ボーイングの副社長兼商業乗組員プログラム マネージャーのマーク ナッピ氏)
「スティッチ氏とナッピ氏は、燃料を補給したがホワイトサンズで3年間保管されていたスターライナーのサービスモジュールを検査したところ、ヘリウムシステムのシールが劣化している兆候が見られたと述べている。これは四酸化窒素推進剤への曝露が原因と思われる。これがヘリウム漏れの原因となったシールの問題を説明できるかもしれない。」
ヘリウム漏れも、一筋縄ではいかないようだ。
やれやれ・・・。
「ドッキング解除後に一連の手動操縦を行う計画を中止する」「手動操縦の一部はスラスターに余分な負担をかけることがわかったので、それを行うつもりはありません。」(スティッチ氏)
状況は、かなりヤバい。
余裕は全くなく(ヘリウムはたっぷりあるそうですが)、ドッキング解除後は最短で帰還することになる。
それも、一応、地上テストとかも行ってはいるけど、完全に再現されているわけではなく、原因の可能性を示唆している程度な試験結果なわけだ。
「NASAは、スターライナーではなくクルードラゴンを使ってウィリアムズとウィルモアをISSから帰還させるという緊急時の対応策を引き続き検討しているが、現時点ではスターライナーで帰還すると予想している」「8月19日か20日までの選択肢を検討」(スティッチ氏)
NASAとB社の「熱い」夏は、まだまだ過熱しそうだな・・・。
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