🐱火星への道:ロザリンドフランクリンは飛ばず ― 2022年09月20日 21:08
火星への道:ロザリンドフランクリンは飛ばず
(火星への道)
https://www.esa.int/Science_Exploration/Human_and_Robotic_Exploration/Exploration/ExoMars/The_way_forward_to_Mars
「注: 2022 年 3 月に ExoMars ミッションの第 2 部は保留されましたが、この記事と関連する図は背景として残されています」
そう、これは、タラレバな話なのだ。
「火星の天候、発射装置の種類、および惑星を支配する物理法則により、2022 年 9 月 20 日から始まる 12 日間の発射ウィンドウが決定されました。」
本当なら、今日から打ち上げウインドウが開くはずだったんだがな。
「探査機を地球から火星まで 264 日で移動させる軌道は、2023 年 6 月 10 日の 17:30 CEST (15:30 UTC) 頃に火星表面にタッチダウンすることを予測しています。」
カザチョフと名付けられたランダーに乗って火星に降り立つはずだったローバー(:ロザリンドフランクリン:英国で制作)は、2022年に飛ぶことはない。
他の記事を漁ると、2028年という話もあるけど、ロシアとの協力が復活しなければ、それも難しいだろう。
ローバーは、ランダーとの整合性を考慮して作られているに違いない(未確認)。
カザチョフは、80パーセントをロシアが製造している。
事実上、ESAとロスコスモスの共同ミッションであるエクソマーズは死んだ。
これにより、2022年の打ち上げウインドウで、火星探査が行われることは無くなってしまった(ゼロです!)。
ローバーが、この先、別の手段を見つけて打ち上げられる公算は少ない。
それどころか、ひょっとすると、現在進行しているパーセベランスによるサンプルリターン計画すら危うい。
(古代生命の可能性についての手がかりを求めてペイダートに衝突する忍耐力の火星探査機)
https://spaceflightnow.com/2022/09/16/perseverance-mars-rover-hitting-paydirt-in-search-for-clues-about-possible-ancient-life/
「すべてがうまくいけば、NASA と欧州宇宙機関が開発中の共同サンプル回収ミッションは、2030 年頃にパーセビアンスの近くに別の宇宙船を着陸させ、ローバーから保存されたサンプルを収集するか、2 台の小型ヘリコプターを使用してサンプル チューブをピックアップする予定です。」
「サンプルは小型ロケットに搭載され、火星軌道に打ち上げられ、そこで別の宇宙船によって捕捉され、分析のために地球に戻されて、「潜在的なバイオシグネチャー」のいずれかが過去の微生物生命の実際の痕跡であるかどうかを判断します。」
米国はサンプルのピックアップと打ち上げロケットへの搭載を自前で行うことにしたようだ。
(欧米の火星サンプルリターン計画、サンプル保管容器を回収する小型ヘリ搭載へ)
https://sorae.info/space/20220730-mars-sample-return-program.html
「最新の計画ではSFRを使わずに、Perseverance自身が着陸機までサンプル保管容器を運ぶことになったようです。サンプル保管容器は着陸機SRLがロボットアームを使って受け取り、小型ロケットMAVに積み込んでから火星周回軌道へ向けて打ち上げられます。」
どころか、下手をすれば、火星軌道でロケットからサンプルを積み替え、地球に帰還する仕掛けも欧州に頼らずに行う必要が出てくる可能性もある。
「これらの計画変更は、着陸から1年半近くが経ったPerseveranceのこれまでの実績にもとづく信頼性と寿命の予測や、間もなく着陸から10年を迎える火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」の実績が考慮されています。」
つまり、欧州による回収計画が10年以内に実現しなければ、自前で回収せざるを得なくなる。
「現在の計画では、ESAが担当する地球帰還用の探査機EROは2027年秋に、小型ロケットMAVを搭載したNASAの着陸機SRLは2028年夏に打ち上げられます。Perseveranceが採取を続けている火星表面のサンプルは、11年後の2033年に地球へ届けられる予定です。」
どう考えても無理だろう。
2027年と言えば、もう5年しかない。
パーセベランスの寿命は、たぶん10年くらいだろうから、それまでにMAVに積み込んでしまえばいいけど、帰還機EROが予定通りに飛ばなければ、そこまでの話になっちまうからな。
ESAは他の全ての事業をなげうってでも、飛ばさなければならないだろう。
ロザリンドフランクリンを送り込む余裕はない。
(火星サンプルリターンミッション:サンプルリターン)
https://en.wikipedia.org/wiki/Mars_sample-return_mission#Sample_return
「EROはESAが開発した宇宙船です。これには、火星低軌道 (LMO) で MAV によって運ばれたサンプル とランデブーするために、NASA が構築した捕獲および封じ込めおよび帰還システムが含まれています。」
なんだ、殆どNASAが作った仕掛じゃん!?。
「ERO は2027 年にアリアン 64ロケットで打ち上げられ、2028年に火星に到着する予定である。」
そもそも、アリアン6が飛ぶかどうかも怪しい・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
欧州の宇宙開発は、ロシアのウクライナ侵攻の影響で大打撃を食らっている。
エクソマーズからの撤退は、その一つの象徴に過ぎない。
火星サンプルリターン計画がとん挫するようなことになれば、人類の惑星探査に重大な影響が出る。
有人火星探査どころじゃないだろうな。
火星に生命の痕跡があるかどうか(もう、誰も、生命そのものがあるとは言わなくなったけど)は、惑星探査の重要な動機の一つだ。
そんなものはこれっぱかりもないということになれば、木星圏や土星圏への探査の見直しや、金星への探査にも影響するかもしれない。
業界の危機だな・・・。
ここは、何としてでも生命の痕跡を見つけ出して、事業の継続とさらなる発展を期さなければならないところだ。
正念場でもある。
一度で見つけられなければ、場所を変えて探査するという手もあるけど、何度やっても何も出ないということになれば、お先真っ暗な話だ。
どうするのかな。
21世紀前半くらいは引っ張れるかもしれないけど、それ以降は難しいだろう。
無人探査で何も出なければ、太陽系内での生命探査の道筋に暗雲が漂う。
まあ、そうなれば、遠慮なく有人探査が行えるという話になるかも知れない。
(「火星で最初に育てるべき植物」とは何なのか?)
https://gigazine.net/news/20220917-first-plant-grow-on-mars-alfalfa/
「火星の土壌には栄養分が少なく、塩分も高いため、火星における食用作物の栽培に直接利用することはできません。そのため、火星での長期的なミッションのためには、火星の土壌における栄養分を増やし、塩水を脱塩する戦略を開発することが不可欠です」
「アルファルファは火星を覆う過酷な火山性土壌でも栽培することが可能で、その他の作物などを栽培するための肥料にもなる」
「今回の研究では玄武岩を用いて火星の土壌を再現しましたが、これがどれほど正確に火星の土壌を再現できていたのかは不明であり、いくつかの有害な塩化物も含まれていなかったとのこと。」
火星表面が過塩素酸塩で覆われていることは周知だ。
アルファルファどころか、地球上の殆どの生物の生育に適さない。
お先真っ暗な話なわけだが、そんな程度ではめげないのが業界の懲りない面々なわけだ。
「この研究は長期的な目的で、火星における農業のために土壌と水資源を現地処理し、人間のミッションで恒久的な居住地を維持可能であることを意味します」
浮沈子には、とても信じられないんだがな。
人類は、いつか火星に辿り着くかもしれないし、そこに居住しようと試みる可能性もある。
最近、ちょっと気になる記事を読んだことを思い出す。
(「死ぬリスクを負ってまで、行く意味とは」野口聡一が“宇宙飛行の意味”を考えるようになった空中分解事故)
https://bunshun.jp/articles/-/57250?page=4
「宇宙から地球を眺めたとき、私が生まれてから今まで経験してきたことは、すべてあの球体の中で起こったのだと思い、直感的に地球の持つ時空の広がりを理解できたように感じました」
「間違いなく、この星でしか私は生きられないし、そこに帰っていって死ぬ。先祖も、今後生まれてくる子孫もすべて、この球体の中で生まれ、死んでいく。三次元の空間的な広がりだけでなく、概念では捉えきれないほどの時間の広がりがそこにあるのに、それを私が見ているのはこの一瞬というアンビバレントさと尊さがあります」
地球低軌道とはいえ、本物の宇宙空間からの眺めは想像することしかできないけど、人類はこの地球上でしか生きられないという直感には共感を覚える。
月周回軌道辺りから「地球の出」でも見れば、更に異なる感慨が浮かぶかもしれない。
火星辺りから、光る点にも等しい地球を見れば、更に更に異なるのかもな。
今日、9月20日は、本来なら欧州とロシアの火星探査機が飛ぶはずだった2022年の打ち上げウインドウの初日だ。
タラレバとなったが、英国で作成されたローバーが宇宙に飛び立ち、NASAのローバーと一緒になって、火星の上をウロウロするはずだったわけだ。
おそらく、もう飛ぶことはないだろう。
2028年という時期も、決定しているわけではないし、既に見たように、火星からのサンプルリターンミッションが押しているからな。
火星に生命の痕跡などなく、もちろん、生命の存在も確認できず、更には、今後人類が生存し続ける場所としてあまりに不適当ということになれば、有人宇宙開発のみならず、太陽系内の無人探査にも多大な影響が及ぶかもしれない。
うーん、やっぱ、スペースコロニーしかないだろう・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(ヨーロッパの宇宙責任者は、ロシアとの協力への復帰を「見ることができない」)
https://arstechnica.com/science/2022/09/european-space-chief-cannot-see-a-return-to-cooperation-with-russia/
「皮肉なことに、欧州宇宙機関とロシアの間のより深い協力を促進したのは、NASA による行為でした。2012 年、NASA はジェームズ ウェッブ宇宙望遠鏡のコスト超過を補うために、ヨーロッパの宇宙船を初めて火星に着陸させようとした ExoMars ミッションへの参加をキャンセルしました。この決定を受けて、ヨーロッパはロシアに目を向け、ロシアはプロトン ロケットと着陸モジュールを提供する完全なパートナーになりました。」
「10 年後の今、ESA と NASA は ExoMars で再び協力することについて話し合っています。今日の政治情勢を考えると、NASA はロザリンド フランクリンという名前のヨーロッパのローバーを火星の表面に安全に降ろす手助けをすることにずっと従順でした。」
おっと、欧州の火星ローバーは、首の皮一枚繋がっているようだ。
NASAには、スカイクレーンもあるしな。
(火星科学研究所:スカイクレーン)
https://en.wikipedia.org/wiki/Mars_Science_Laboratory#Sky_crane
「スカイ クレーン システムは、ローバーを 7.6 m (25 フィート)のテザーで下げ、火星の表面にソフト ランディング (車輪を下ろした状態) にしました。このシステムは、ローバーを 3 本のナイロン テザーで下げる手綱と、降下ステージとローバーの間で情報と電力を運ぶ電気ケーブルで構成されています。」
「降下ステージの約 7.5 m (25 フィート) 下で、スカイ クレーン システムが減速して停止し、ローバーが着陸しました。ローバーが着陸した後、車輪の重量を検出して固い地面にあることを確認するために2秒間待ってから、いくつかのパイロ(小型爆発装置)を発射して、手綱のケーブルカッターとへその緒を作動させて降下段階から解放しました。 . その後、下降段は 650 m (2,100 フィート) 離れた場所に不時着しました。」
これだったら、ロシアのカザチョフを使わなくても、安全に降下させられるだろう。
ロザリンドフランクリンの命運やいかに・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(調査したすべての宇宙飛行士の血液に特定の突然変異を発見)
https://karapaia.com/archives/52316079.html
「調査対象となったのは、1998年から2001年にかけて宇宙に行ったNASAの宇宙飛行士14人。比較的短期間のミッション(中央値12日)で、6人は初めてのミッションだった。」
「クローン性造血は、血液がんの前段階の状態で、心臓や血管の病気とも関係する。だからといって、必ずしも宇宙飛行士がそうした重い病気にかかるわけではないという。」
「それでも、長期間宇宙の極限環境にさらされれば、そうなるリスクは高まる。」
死ぬリスクを負って宇宙に行くわけだからな。
血液ガンになるリスクが増える程度では驚かないだろう。
人類は、少なくとも当分の間、この地球にへばりついて生きていかざるを得ない。
そのうち、医学の進歩で遺伝子修復が簡単に行えるようになったり、そもそも放射線障害で死ぬのは当たり前という世界になる可能性だってあるからな。
地磁気反転に伴って磁気バリアーが消滅すれば、太陽からの放射線(主に陽子)や銀河放射線がしこたま降り注いで、宇宙飛行士と同じ目に合うわけだからな。
明日は我が身なわけだ(1500年くらい先だそうですが)。
まあいい。
浮沈子が生きている間は、有人火星探査も、火星移民も、地磁気反転もない。
物見遊山で宇宙に出かける前に、ちょっと余分に覚悟を決めておく必要があるだけだ(弾道飛行くらいなら、あまり心配ないかもな)。
(火星への道)
https://www.esa.int/Science_Exploration/Human_and_Robotic_Exploration/Exploration/ExoMars/The_way_forward_to_Mars
「注: 2022 年 3 月に ExoMars ミッションの第 2 部は保留されましたが、この記事と関連する図は背景として残されています」
そう、これは、タラレバな話なのだ。
「火星の天候、発射装置の種類、および惑星を支配する物理法則により、2022 年 9 月 20 日から始まる 12 日間の発射ウィンドウが決定されました。」
本当なら、今日から打ち上げウインドウが開くはずだったんだがな。
「探査機を地球から火星まで 264 日で移動させる軌道は、2023 年 6 月 10 日の 17:30 CEST (15:30 UTC) 頃に火星表面にタッチダウンすることを予測しています。」
カザチョフと名付けられたランダーに乗って火星に降り立つはずだったローバー(:ロザリンドフランクリン:英国で制作)は、2022年に飛ぶことはない。
他の記事を漁ると、2028年という話もあるけど、ロシアとの協力が復活しなければ、それも難しいだろう。
ローバーは、ランダーとの整合性を考慮して作られているに違いない(未確認)。
カザチョフは、80パーセントをロシアが製造している。
事実上、ESAとロスコスモスの共同ミッションであるエクソマーズは死んだ。
これにより、2022年の打ち上げウインドウで、火星探査が行われることは無くなってしまった(ゼロです!)。
ローバーが、この先、別の手段を見つけて打ち上げられる公算は少ない。
それどころか、ひょっとすると、現在進行しているパーセベランスによるサンプルリターン計画すら危うい。
(古代生命の可能性についての手がかりを求めてペイダートに衝突する忍耐力の火星探査機)
https://spaceflightnow.com/2022/09/16/perseverance-mars-rover-hitting-paydirt-in-search-for-clues-about-possible-ancient-life/
「すべてがうまくいけば、NASA と欧州宇宙機関が開発中の共同サンプル回収ミッションは、2030 年頃にパーセビアンスの近くに別の宇宙船を着陸させ、ローバーから保存されたサンプルを収集するか、2 台の小型ヘリコプターを使用してサンプル チューブをピックアップする予定です。」
「サンプルは小型ロケットに搭載され、火星軌道に打ち上げられ、そこで別の宇宙船によって捕捉され、分析のために地球に戻されて、「潜在的なバイオシグネチャー」のいずれかが過去の微生物生命の実際の痕跡であるかどうかを判断します。」
米国はサンプルのピックアップと打ち上げロケットへの搭載を自前で行うことにしたようだ。
(欧米の火星サンプルリターン計画、サンプル保管容器を回収する小型ヘリ搭載へ)
https://sorae.info/space/20220730-mars-sample-return-program.html
「最新の計画ではSFRを使わずに、Perseverance自身が着陸機までサンプル保管容器を運ぶことになったようです。サンプル保管容器は着陸機SRLがロボットアームを使って受け取り、小型ロケットMAVに積み込んでから火星周回軌道へ向けて打ち上げられます。」
どころか、下手をすれば、火星軌道でロケットからサンプルを積み替え、地球に帰還する仕掛けも欧州に頼らずに行う必要が出てくる可能性もある。
「これらの計画変更は、着陸から1年半近くが経ったPerseveranceのこれまでの実績にもとづく信頼性と寿命の予測や、間もなく着陸から10年を迎える火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」の実績が考慮されています。」
つまり、欧州による回収計画が10年以内に実現しなければ、自前で回収せざるを得なくなる。
「現在の計画では、ESAが担当する地球帰還用の探査機EROは2027年秋に、小型ロケットMAVを搭載したNASAの着陸機SRLは2028年夏に打ち上げられます。Perseveranceが採取を続けている火星表面のサンプルは、11年後の2033年に地球へ届けられる予定です。」
どう考えても無理だろう。
2027年と言えば、もう5年しかない。
パーセベランスの寿命は、たぶん10年くらいだろうから、それまでにMAVに積み込んでしまえばいいけど、帰還機EROが予定通りに飛ばなければ、そこまでの話になっちまうからな。
ESAは他の全ての事業をなげうってでも、飛ばさなければならないだろう。
ロザリンドフランクリンを送り込む余裕はない。
(火星サンプルリターンミッション:サンプルリターン)
https://en.wikipedia.org/wiki/Mars_sample-return_mission#Sample_return
「EROはESAが開発した宇宙船です。これには、火星低軌道 (LMO) で MAV によって運ばれたサンプル とランデブーするために、NASA が構築した捕獲および封じ込めおよび帰還システムが含まれています。」
なんだ、殆どNASAが作った仕掛じゃん!?。
「ERO は2027 年にアリアン 64ロケットで打ち上げられ、2028年に火星に到着する予定である。」
そもそも、アリアン6が飛ぶかどうかも怪しい・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
欧州の宇宙開発は、ロシアのウクライナ侵攻の影響で大打撃を食らっている。
エクソマーズからの撤退は、その一つの象徴に過ぎない。
火星サンプルリターン計画がとん挫するようなことになれば、人類の惑星探査に重大な影響が出る。
有人火星探査どころじゃないだろうな。
火星に生命の痕跡があるかどうか(もう、誰も、生命そのものがあるとは言わなくなったけど)は、惑星探査の重要な動機の一つだ。
そんなものはこれっぱかりもないということになれば、木星圏や土星圏への探査の見直しや、金星への探査にも影響するかもしれない。
業界の危機だな・・・。
ここは、何としてでも生命の痕跡を見つけ出して、事業の継続とさらなる発展を期さなければならないところだ。
正念場でもある。
一度で見つけられなければ、場所を変えて探査するという手もあるけど、何度やっても何も出ないということになれば、お先真っ暗な話だ。
どうするのかな。
21世紀前半くらいは引っ張れるかもしれないけど、それ以降は難しいだろう。
無人探査で何も出なければ、太陽系内での生命探査の道筋に暗雲が漂う。
まあ、そうなれば、遠慮なく有人探査が行えるという話になるかも知れない。
(「火星で最初に育てるべき植物」とは何なのか?)
https://gigazine.net/news/20220917-first-plant-grow-on-mars-alfalfa/
「火星の土壌には栄養分が少なく、塩分も高いため、火星における食用作物の栽培に直接利用することはできません。そのため、火星での長期的なミッションのためには、火星の土壌における栄養分を増やし、塩水を脱塩する戦略を開発することが不可欠です」
「アルファルファは火星を覆う過酷な火山性土壌でも栽培することが可能で、その他の作物などを栽培するための肥料にもなる」
「今回の研究では玄武岩を用いて火星の土壌を再現しましたが、これがどれほど正確に火星の土壌を再現できていたのかは不明であり、いくつかの有害な塩化物も含まれていなかったとのこと。」
火星表面が過塩素酸塩で覆われていることは周知だ。
アルファルファどころか、地球上の殆どの生物の生育に適さない。
お先真っ暗な話なわけだが、そんな程度ではめげないのが業界の懲りない面々なわけだ。
「この研究は長期的な目的で、火星における農業のために土壌と水資源を現地処理し、人間のミッションで恒久的な居住地を維持可能であることを意味します」
浮沈子には、とても信じられないんだがな。
人類は、いつか火星に辿り着くかもしれないし、そこに居住しようと試みる可能性もある。
最近、ちょっと気になる記事を読んだことを思い出す。
(「死ぬリスクを負ってまで、行く意味とは」野口聡一が“宇宙飛行の意味”を考えるようになった空中分解事故)
https://bunshun.jp/articles/-/57250?page=4
「宇宙から地球を眺めたとき、私が生まれてから今まで経験してきたことは、すべてあの球体の中で起こったのだと思い、直感的に地球の持つ時空の広がりを理解できたように感じました」
「間違いなく、この星でしか私は生きられないし、そこに帰っていって死ぬ。先祖も、今後生まれてくる子孫もすべて、この球体の中で生まれ、死んでいく。三次元の空間的な広がりだけでなく、概念では捉えきれないほどの時間の広がりがそこにあるのに、それを私が見ているのはこの一瞬というアンビバレントさと尊さがあります」
地球低軌道とはいえ、本物の宇宙空間からの眺めは想像することしかできないけど、人類はこの地球上でしか生きられないという直感には共感を覚える。
月周回軌道辺りから「地球の出」でも見れば、更に異なる感慨が浮かぶかもしれない。
火星辺りから、光る点にも等しい地球を見れば、更に更に異なるのかもな。
今日、9月20日は、本来なら欧州とロシアの火星探査機が飛ぶはずだった2022年の打ち上げウインドウの初日だ。
タラレバとなったが、英国で作成されたローバーが宇宙に飛び立ち、NASAのローバーと一緒になって、火星の上をウロウロするはずだったわけだ。
おそらく、もう飛ぶことはないだろう。
2028年という時期も、決定しているわけではないし、既に見たように、火星からのサンプルリターンミッションが押しているからな。
火星に生命の痕跡などなく、もちろん、生命の存在も確認できず、更には、今後人類が生存し続ける場所としてあまりに不適当ということになれば、有人宇宙開発のみならず、太陽系内の無人探査にも多大な影響が及ぶかもしれない。
うーん、やっぱ、スペースコロニーしかないだろう・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(ヨーロッパの宇宙責任者は、ロシアとの協力への復帰を「見ることができない」)
https://arstechnica.com/science/2022/09/european-space-chief-cannot-see-a-return-to-cooperation-with-russia/
「皮肉なことに、欧州宇宙機関とロシアの間のより深い協力を促進したのは、NASA による行為でした。2012 年、NASA はジェームズ ウェッブ宇宙望遠鏡のコスト超過を補うために、ヨーロッパの宇宙船を初めて火星に着陸させようとした ExoMars ミッションへの参加をキャンセルしました。この決定を受けて、ヨーロッパはロシアに目を向け、ロシアはプロトン ロケットと着陸モジュールを提供する完全なパートナーになりました。」
「10 年後の今、ESA と NASA は ExoMars で再び協力することについて話し合っています。今日の政治情勢を考えると、NASA はロザリンド フランクリンという名前のヨーロッパのローバーを火星の表面に安全に降ろす手助けをすることにずっと従順でした。」
おっと、欧州の火星ローバーは、首の皮一枚繋がっているようだ。
NASAには、スカイクレーンもあるしな。
(火星科学研究所:スカイクレーン)
https://en.wikipedia.org/wiki/Mars_Science_Laboratory#Sky_crane
「スカイ クレーン システムは、ローバーを 7.6 m (25 フィート)のテザーで下げ、火星の表面にソフト ランディング (車輪を下ろした状態) にしました。このシステムは、ローバーを 3 本のナイロン テザーで下げる手綱と、降下ステージとローバーの間で情報と電力を運ぶ電気ケーブルで構成されています。」
「降下ステージの約 7.5 m (25 フィート) 下で、スカイ クレーン システムが減速して停止し、ローバーが着陸しました。ローバーが着陸した後、車輪の重量を検出して固い地面にあることを確認するために2秒間待ってから、いくつかのパイロ(小型爆発装置)を発射して、手綱のケーブルカッターとへその緒を作動させて降下段階から解放しました。 . その後、下降段は 650 m (2,100 フィート) 離れた場所に不時着しました。」
これだったら、ロシアのカザチョフを使わなくても、安全に降下させられるだろう。
ロザリンドフランクリンの命運やいかに・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(調査したすべての宇宙飛行士の血液に特定の突然変異を発見)
https://karapaia.com/archives/52316079.html
「調査対象となったのは、1998年から2001年にかけて宇宙に行ったNASAの宇宙飛行士14人。比較的短期間のミッション(中央値12日)で、6人は初めてのミッションだった。」
「クローン性造血は、血液がんの前段階の状態で、心臓や血管の病気とも関係する。だからといって、必ずしも宇宙飛行士がそうした重い病気にかかるわけではないという。」
「それでも、長期間宇宙の極限環境にさらされれば、そうなるリスクは高まる。」
死ぬリスクを負って宇宙に行くわけだからな。
血液ガンになるリスクが増える程度では驚かないだろう。
人類は、少なくとも当分の間、この地球にへばりついて生きていかざるを得ない。
そのうち、医学の進歩で遺伝子修復が簡単に行えるようになったり、そもそも放射線障害で死ぬのは当たり前という世界になる可能性だってあるからな。
地磁気反転に伴って磁気バリアーが消滅すれば、太陽からの放射線(主に陽子)や銀河放射線がしこたま降り注いで、宇宙飛行士と同じ目に合うわけだからな。
明日は我が身なわけだ(1500年くらい先だそうですが)。
まあいい。
浮沈子が生きている間は、有人火星探査も、火星移民も、地磁気反転もない。
物見遊山で宇宙に出かける前に、ちょっと余分に覚悟を決めておく必要があるだけだ(弾道飛行くらいなら、あまり心配ないかもな)。
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