🚀スターシップ:不完全再使用 ― 2024年05月26日 08:07
スターシップ:不完全再使用
(スペースX、スターシップ3便の飛行から学んだことを詳細に説明、4便の打ち上げ目標日を6月5日に設定)
https://spaceflightnow.com/2024/05/25/spacex-details-learnings-from-starship-flight-3-sets-june-5-as-target-launch-date-for-flight-4/
「スーパーヘビーブースターがブーストバック燃焼を行った後、4分が経過する直前に、スペースXはスターシップの1回目の飛行と2回目の飛行の間に追加されたホットステージアダプターを投棄する予定」
「飛行の最終段階に向けてブースターの質量を減らすため」
これって、完全再使用ロケットとしては、画龍点睛を欠くことになるのではないか。
スーパーヘビーブースターの元々の着陸プログラムは、ホットステージアダプターなしの状態で開発されたはずだ。
IFT-4で、海面への制御された着陸(着水)を目指すということなら、まあ、捨てちゃうというのもアリかも知れないけど、それをスタンダードの手順として採用するわけにはいかないだろう。
2段目は、確かに使い捨てにする場合があるかも知れないけど、1段目の使い捨ては想定外だからな。
着陸の度にアダプターを捨てちまうというのはあり得ない選択だ。
じゃあ、自由落下してくるアダプターを、落下傘で減速させて海面回収するという選択はあるのか。
ファルコン9のフェアリングの回収は、それが6億円の価値があるから行っているわけで、ステンレスの「籠」構造物であるだけのホットステージアダプターには、それ程の価値はないだろう。
つまり、これがどういうことかと言えば、将来的にアダプター付けたまま着陸させることになるか、ホットステージ方式の分離を取りやめるかの2択になるということなわけだ。
浮沈子は、後者になると見ている。
ラプターのエンジン出力が十分大きければ、ペイロード重量を十分賄えるようになり、分離時のロスを許容できるのではないか。
年間で数千機以上の打ち上げを想定しているスターシップの構造は、シンプルかつ再使用の妨げにならないことが重要だ。
そもそも、2段目の点火で焼かれるアダプターは、構造強度が落ちるために、回収したとしても再使用はできないだろう(未確認)。
現状では回収する意味はなく、今回(IFT-4)のように、分離して捨てちまうのが正解だ。
が、それでは不完全再使用ロケットになっちまう。
うーん、ビミョーだ・・・。
まあいい。
S社がどういう見立てをするかは分からない。
が、分離投棄方式を継続するとも思えない。
重箱の隅を突っつくのがダイスキな浮沈子・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(超大型宇宙輸送システム「スターシップ」6月5日打上げ 4回目の飛行試験)
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1594864.html
「最終飛行フェーズでのブースター質量を減らすため、ブーストバック後、Super Heavyのホットステージ(燃焼中のエンジンセクション)を投棄する」
マジか!?。
エンジンセクション丸ごと投棄(しかも、「燃焼中」)だってえ!?。
そりゃあ、確かに重量は激減するだろうが、ランディングバーンはどーするんだあ?。
かんべんしてくれ・・・。
(スペースX、スターシップ3便の飛行から学んだことを詳細に説明、4便の打ち上げ目標日を6月5日に設定)
https://spaceflightnow.com/2024/05/25/spacex-details-learnings-from-starship-flight-3-sets-june-5-as-target-launch-date-for-flight-4/
「スーパーヘビーブースターがブーストバック燃焼を行った後、4分が経過する直前に、スペースXはスターシップの1回目の飛行と2回目の飛行の間に追加されたホットステージアダプターを投棄する予定」
「飛行の最終段階に向けてブースターの質量を減らすため」
これって、完全再使用ロケットとしては、画龍点睛を欠くことになるのではないか。
スーパーヘビーブースターの元々の着陸プログラムは、ホットステージアダプターなしの状態で開発されたはずだ。
IFT-4で、海面への制御された着陸(着水)を目指すということなら、まあ、捨てちゃうというのもアリかも知れないけど、それをスタンダードの手順として採用するわけにはいかないだろう。
2段目は、確かに使い捨てにする場合があるかも知れないけど、1段目の使い捨ては想定外だからな。
着陸の度にアダプターを捨てちまうというのはあり得ない選択だ。
じゃあ、自由落下してくるアダプターを、落下傘で減速させて海面回収するという選択はあるのか。
ファルコン9のフェアリングの回収は、それが6億円の価値があるから行っているわけで、ステンレスの「籠」構造物であるだけのホットステージアダプターには、それ程の価値はないだろう。
つまり、これがどういうことかと言えば、将来的にアダプター付けたまま着陸させることになるか、ホットステージ方式の分離を取りやめるかの2択になるということなわけだ。
浮沈子は、後者になると見ている。
ラプターのエンジン出力が十分大きければ、ペイロード重量を十分賄えるようになり、分離時のロスを許容できるのではないか。
年間で数千機以上の打ち上げを想定しているスターシップの構造は、シンプルかつ再使用の妨げにならないことが重要だ。
そもそも、2段目の点火で焼かれるアダプターは、構造強度が落ちるために、回収したとしても再使用はできないだろう(未確認)。
現状では回収する意味はなく、今回(IFT-4)のように、分離して捨てちまうのが正解だ。
が、それでは不完全再使用ロケットになっちまう。
うーん、ビミョーだ・・・。
まあいい。
S社がどういう見立てをするかは分からない。
が、分離投棄方式を継続するとも思えない。
重箱の隅を突っつくのがダイスキな浮沈子・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(超大型宇宙輸送システム「スターシップ」6月5日打上げ 4回目の飛行試験)
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1594864.html
「最終飛行フェーズでのブースター質量を減らすため、ブーストバック後、Super Heavyのホットステージ(燃焼中のエンジンセクション)を投棄する」
マジか!?。
エンジンセクション丸ごと投棄(しかも、「燃焼中」)だってえ!?。
そりゃあ、確かに重量は激減するだろうが、ランディングバーンはどーするんだあ?。
かんべんしてくれ・・・。
🐱欧州大戦争:50個大隊 ― 2024年05月26日 12:33
欧州大戦争:50個大隊
(ウクライナ軍がハルキウ方面での反撃を準備中か、50個大隊以上が集結?)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/is-the-ukrainian-army-preparing-for-a-counterattack-in-the-kharkiv-area-with-more-than-50-battalions-assembled/
「敵(ウクライナ軍)は50個大隊以上の戦力を集結させており間もなく反撃を開始する」(ロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR)
「敵(ロシア軍)は積極的防御に切り替えた」(シルスキー総司令官)
まだ、ウクライナ軍の本格的な反撃が開始される前から、ロシア軍が積極的防御に入ったとするシルスキーの評価が妥当かどうかは知らない。
(ロシア軍がウマンスキーを占領、クピャンスク方面でもイワニフカに侵入)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-troops-occupy-umansky-and-invade-ivanivka-in-the-kupyansk-area-as-well/
「リプシ、スロボジャンスケ、ボルシチョワ、ルシキ・ティシキは周囲よりも低地だが、リプシ近郊に標高約200mの高台があり、北の国境地域とハルキウ郊外を見渡すことが出来る。この高台にウクライナ軍が強力な要塞を築いているため、ここを占領しなければ新たな前進は不可能だ」(ロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR)
「ロシア軍が高台を占領した」(同上)
まあ、戦況の評価は時々刻々と変わっていくから、ある時点で妥当であっても、翌日には異なる状況が生じることは日常茶飯事だ。
確かなことは、ハルキウ方面での戦闘が継続していて、ウクライナ軍が反撃に出ようとしていることくらいか。
西側は、自国供与の兵器によるロシア領内の軍事目標の攻撃を認めておらず(英国除く?)、ロシアは相変わらず、航空優勢を維持しながら前線を叩くことが出来ているはずだ。
現に、国境から30km程のハルキウ市内に於いて、連日ロシア軍の爆撃が実行されている。
(ウクライナ東部ハリコフ ロシア軍の攻撃で6人死亡 商業施設など、50人超負傷)
https://www.sankei.com/article/20240526-THRSYLJKU5LX7JPVGLOL3TB27Y/
「国境から約30キロ離れたウクライナ第2の都市、ハリコフ市に対する攻撃も拡大」
「ウクライナ東部ハリコフ市で25日、大型商業施設がロシア軍の攻撃を受け、地元当局者によると、少なくとも6人が死亡し、約40人が負傷」
「同市の住宅地にも攻撃があり、10人以上が負傷」
国境から離れた都市への攻撃が可能で、その手前にあるロシア軍陣地(要塞?)が攻撃できないわけはない。
それとも、ウクライナ軍は、GPS誘導された滑空爆弾を回避する戦術を獲得したとでもいうのだろうか?。
「この方面のロシア軍は確保した国境沿いの地域を固めて攻勢から守勢に転じた。彼らの任務は敵を殺すことではなく、敵から戦場の主導権を奪い、ハルキウ周辺に集結した敵の予備戦力を破壊することにある。」(ロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR:初出の記事より)
「ウクライナ軍はハルキウ北東部からロシア軍を追い出すため大規模な反撃を開始する」
「ウクライナ軍は5月末までにハルキウ北東部で反撃を開始しなければならない。これはロシア軍をハルキウから追い出し「輝かしい勝利」を報告するほぼ最後のチャンスで、ロシア軍が新たな前進を出来るかどうかは敵の反撃を撃退し、どれだけ戦力が残っているかに依存している。」
「ウクライナ軍は領土喪失に対する世論の圧力を受け、費用がかかる反撃を開始する可能性が高く、そうなれば限られた予備戦力を使い果たすかもしれない」(Kyiv Independentの取材に応じたBlack Bird Groupのパシ・パロイネン氏)
つまりだな、国境の向こうに5万人近い予備兵力(前線に投入されているのは1割程度と言われている)を有するロシア軍相手に、高々50個大隊(多くても3万人程度)のウクライナ軍が、侵入してきたロシア軍を排除するために攻勢に出ようとしているわけだ。
世論の圧力という、いわば政治的理由で、貴重な戦力を使い果たそうとしている。
「国家捜査局がハルキウ防衛の準備不足と不適切な部隊運用について第125領土防衛旅団や関連部隊(第415独立小銃大隊、第23機械化旅団、第172独立小銃大隊)の調査を開始した」「ハルキウ北東部の陣地防衛を適切に確立出来ず、陣地、装備、人員の損失に繋がった」(Ukrainska PravdaやKyiv Independent)
既に、責任の押し付け合いが始まっている。
「国境沿いの陣地を守っていた特定の部隊が後退を余儀なくされたが、これらは書類上「戦闘グループ」として扱われても体力的に問題のある人間や引退した人間で一杯だった」(ウクライナ人が運営するDEEP STATE)
侵入を許した責任をどうこうするよりも、今は限られた戦力を温存し、戦線を安定させ、スムイ州で生じる可能性を示唆されている新たな侵入に備えることが必要だ。
予備兵力を使い切った状態で、ロシア軍の本格的な攻勢を浴びればどういうことになるのか。
既に、東部戦線や一部の南部戦線で、ロシア軍の前進が確認されている。
そこに、大規模な攻撃が掛けられたわけではなく、ウクライナ側の戦力の弱体化に伴うものだ。
ヤバいな・・・。
ヤバ過ぎ!。
ボルチャンスク市内、小河川(ボルチャ川)北部では、ウクライナ軍が果敢にロシア軍を撃退していると言われている。
それはそれで結構な話だが、当然そこでも戦力の損失は起こっている。
リプシ方面でも、事態は同じだ。
ウクライナ軍は、領土の喪失を許すまいとして、戦力損失の泥沼にずぶずぶとハマっていく。
それは、政治的には譲れない一線なんだろうが(当然ですな)、戦略的には最もマズい選択だ。
人口で3倍以上、砲弾で10倍の差を付けられ、長期に渡って戦闘能力を確保しているロシア相手に、いたずらに戦力を消耗することはマズいだろう。
シルスキーは、政治的目的のために、戦略目標を誤ろうとしている。
ロシアで軍事教育を受け、長年ロシア軍で活動してきた彼が政治指導に従うことに何の疑問も感じないだろうことは、以前から問題点として強く指摘されている。
仮に、侵入してきた地上軍を国境の向こうに追い返すことが出来たとしても、ハルキウ市内への空爆を止めることにはならない。
国境の向こうに、少なくとも数十km前進して(ロシア領に進軍か)、地対空ミサイルで、爆撃機を攻撃するよりほかに道はない。
西側供与の兵器では、ロシア領土を攻撃できないからな。
ロシア領を占領すれば、「ウクライナ領空」になるわけだから、地対空ミサイルで迎撃も可能になるし、ハルキウが爆撃される頻度も下がるだろう(弾道ミサイル落とされたらダメですが)。
が、その戦略にも不安が残る。
(ウクライナの防空体制は手に負えない状況、短期的にも解決不可能)
https://grandfleet.info/us-related/ukraines-air-defense-situation-is-out-of-control-and-cannot-be-resolved-in-the-short-term/
「米国の援助でウクライナの防空問題は解決できない。これはシステム本体ではなく迎撃ミサイルの供給問題で、短期的にウクライナのニーズを満たすのは物理的に不可能だ」(Defense News)
「迎撃制限はシステム本体ではなく迎撃ミサイルの数に依存している。そしてウクライナのニーズを満たす迎撃ミサイルの供給問題は短期的に解決不可能」(ジェフ・ラミア氏)
「防空分野の基盤産業が衰退した原因はテロとの戦いで投資が減少したためで、何十年もかけて生じた基盤産業のギャップを埋めるには何年もかかるだろう。ウクライナの戦場でエイブラムスが生き残れないと証明されたように、パトリオットシステムもウクライナが直面して深刻な脆弱性を解決する万能薬ではない。ワシントンは軍事援助だけで戦争の結果を変えることも出来ないし、核戦争に発展するリスクなしで戦争への直接介入もできない」(同上)
ハルキウ方面についても悲観的だ。
「現在のウクライナは悲惨な防空体制に加え、戦場における火力投射量でも大きな格差が生じ、手足を失った兵士の復帰が必要なほど前線での人的資源が逼迫し、ハルキウ方面では他戦線から戦力転用を行っている。そのためロシアに対するウクライナの防衛力と交渉力は日に日に弱まっている」
供与兵器による越境攻撃やパトリオットの供与は、砲弾や兵士に代わるものではない。
西側が、第三次世界大戦のリスクを受け入れて、ウクライナに大規模派兵するか、NATO軍がロシアに宣戦布告して先制攻撃を掛けるか、今のうちに北京に核爆弾落としておくしか手はない(そんなあ!)。
「もしワシントンがウクライナにとっての最善を望むなら『破滅』を促すべきではない」
中国やグローバルサウスによる強力な経済支援、北朝鮮やイランによる軍事支援を受けて、ロシアは益々増長している。
もう誰も、ロシア支配地域の全面的な奪還を唱えたりはしなくなった。
それどころか、ウクライナの国家としての存立を危ぶむ声が聞こえ始めている。
その先に何があるかを考えておく必要がある。
浮沈子的には、大西洋を見下ろす丘の上にロシア国旗が翻る妄想程度しか見えない。
もちろん、その頃には台湾有事、朝鮮半島有事に巻き込まれて、我が国も焼け野原になっちまってるに違いない。
そうならないためにはどうしたらいいのか、冷戦終結後のどさくさに付け込んで、NATOをどこまでも拡大し、とうとうロシアを追い込んで戦闘国家に仕立て上げた落とし前を、西側はどこかでつけるしかないのだ。
現在のロシアを作り上げたのは、プーチンじゃない。
我々が育てた。
ウクライナを使って、ロシアを疲弊させようという戦略は潰えた。
国家存亡の危機に立たされたロシアは、驚異的な回復力を見せ、逆に西側を脅かしている。
虚ろな建前を捨てて、本気で対峙しなければ、こっちがやられる。
力による現状変更を認めないなどという、寝言を言っている場合じゃない。
79年近く前に、米国は我が国に対して核兵器を使用した。
そのガッツを、ロシアに対して示す必要がある(そんなあ!)。
力には力を、核には核を・・・。
いやはや、今日の妄想は物騒だな。
確認しておこう。
ウクライナは、ハルキウ方面の国境からの侵入を撃退すべく、最大3万人程度の軍事派遣を行い、攻勢を掛けようとしている。
それを迎え撃つ敵兵力は約5万人と言われている。
そりゃあ、国境から入り込んでいるのはせいぜい5千人だろうから、勝敗は見えている。
が、それは戦略的には大問題で、ウクライナには後がない。
撃退した後に、ウクライナが停戦交渉でもするなら話は違うが、そんな気はサラサラないだろう。
ロシアに余裕が全くなく、これで負けたらロシアが降伏でもして、占領地から全面撤退してくれると言うなら攻めてみてもいいかもしれない(ありえねー・・・)。
マズい戦略だし、兵力差(3万人(ウ軍)対5万人(ロ軍))から考えて、撃退できずに終わるようなことがあれば、政治的ダメージは計り知れない。
結果を押し付けられることになるシルスキーは、いい面の皮だ。
が、ハルキウ方面の戦闘の結果が、直ちに第三次世界大戦のトリガーになるとは思えない。
しかし、このままいけば、ウクライナが致命的な損害を被ることになる。
それを避けようとして、西側が取る選択を間違えれば、一寸先は闇の世界だ・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(ウクライナ北東部ハルキウ市のショッピングセンターが攻撃された瞬間…立ち上る黒煙、死傷者多数の情報)
https://www.yomiuri.co.jp/stream/1/23519/
「敵はミサイル2発をこのショッピングセンターに放った。これまでのところ、2人が死亡し、20人以上が負傷した」
犠牲者の数は、増えてきている。
(大型ホームセンターにミサイルが直撃し55人が死傷 ロシア軍が発射か ウクライナ・ハルキウ市)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1191949
「12人が死亡、43人がけが」
「また、この日市の中心部にある集合住宅などにも攻撃があり、25人がけが」
「明らかに一般市民を対象としている」(ゼレンスキー大統領)
「このような卑劣な方法で人々を殺害し、恐怖に陥れることができるのはプーチンのような狂人だけだ」
問題なのは、単なる狂人ではないところだな。
意図的な民間人への攻撃は、明らかに直接の軍事的な意味はない。
しかし、この攻撃がハルキウ市北部でロシア軍が侵入している時期に行われていることが問題だ。
両者には、これも直接の関係はない。
侵入前から爆撃は行われているし、地上軍が支援しているわけでもない。
また、軍備を備蓄しているわけじゃないだろうから(未確認)、兵站への攻撃でもない。
政治的意図で行われている、緻密で高度な頭脳戦だ。
ゼレンスキー政権に圧力をかけ、ハルキウ市北部の侵入に対する反撃を避けがたい選択肢としている。
幸い、50個大隊を超える兵力が集まり、撃退する準備は整いつつある。
「ウクライナ軍は5月末までにハルキウ北東部で反撃を開始しなければならない。これはロシア軍をハルキウから追い出し「輝かしい勝利」を報告するほぼ最後のチャンス」(初出記事:再掲)
ダメ押しだな・・・。
貴重な予備兵力をかき集めた大軍団を投じて、シルスキーは効果的な反撃を行うに違いない。
砲弾も、この戦線には潤沢に供給されているというから、ロシア軍を撃退する可能性は高い。
しかし、攻撃側の損害も少なくないだろう。
国境から30kmのハルキウ市を精密爆撃できるロシア軍が、せいぜい10kmしか侵入していない前線近くのウクライナ軍を攻撃できないはずはないだろう。
んなことは、シルスキーも分かっている。
この反撃は、マズい戦いだ。
ウクライナ軍には、国境からの侵入を許したという非難も出ているらしい。
負い目もあるしな。
「国境沿いの陣地を守っていた特定の部隊が後退を余儀なくされたが、これらは書類上「戦闘グループ」として扱われても体力的に問題のある人間や引退した人間で一杯だった」(ウクライナ人が運営するDEEP STATE:初出記事より)
やむを得ない側面はあるが、軍事的失態であることは間違いない。
防御ラインの構築にまつわる、黒いうわさも絶えない。
撃退できれば、いろいろ都合が悪い話を帳消しにできるかも知れないしな(そうなのかあ?)
大規模な反撃を開始する動機は山ほどある。
ロシアは、わなを仕掛けているのかもしれない。
アリ地獄に落ちてきたアリに、砂をかけ続けている。
浮沈子には、ウクライナが意図的に破滅的状況を作ろうとしているようにも見える。
西側の派兵や直接攻撃を促す、捨て身の戦術だ。
長距離ロケット砲、長距離ミサイル、高性能戦車、戦闘機を次々に調達してきたのと同じ手法だな。
ウクライナが負けちまえば、次は西側の番だと見せつけている。
兵力は枯渇し、武器支援が滞って、もう、敗戦寸前だと。
どーする!?。
まあ、派兵の話や直接関与はともかく、供与兵器による越境攻撃の緩和の議論は急速に高まっているようだ。
多少は効果があるかも知れないし、ロシア軍も損害が増えるだろうけど、戦況を大きく変える要素にはならないだろう(未確認)。
弾道ミサイルなどのアウトオブレンジ兵器の攻撃には効果はないし、前線の戦況への直接な影響はない(未確認)。
兵士と砲弾の代わりにはならない。
欧州は、ウクライナに引きずられて、自ら欧州大戦争のトリガーを引きそうになってきている。
ロシアの軍事力が急速に回復していることから、時間が経てば経つほど、NATOが不利になる構図が明らかになってきている。
エストニアの分析では、3年から5年と言われていたけど、さらに早まっているに違いない。
2年後、或いは来年にも、ロシアの欧州大戦争への準備が整う。
ロシアへの攻撃を先んじて行う方が、NATOにとっては有利に戦いを運べる可能性もある。
①供与兵器の越境攻撃容認
②非戦闘員のウクライナ派兵
③NATO軍によるウクライナでの直接戦闘
④ウクライナ戦域外への直接攻撃
必ずしも、段階を踏むとは限らない。
しかし、NATOに準備が出来ているかと言えば、いささか心もとない。
状況は良くない。
今、ドンパチ始めちまったら、収拾がつかなくなることは目に見えている。
で、結論は先延ばしされ、彼我の戦力は益々乖離していく。
プーチンは、ウクライナ軍にハルキウ市北方の侵入を撃退させるかもしれない。
「輝かしい勝利」を与え、深く戦争に引きずり込む。
一方で、支援が不十分な中でウクライナが勝利を手にすれば、支援を劇的に増やしたり、ロシアとの直接対決のリスクを高めずに済むという誤った安心感を西側に与えることが出来る。
しかも、ウクライナ軍は相当な損害を出し、兵力は大きく棄損される。
短期間で修復することは出来ないに違いない。
一石二鳥とか三鳥だな。
一方、政治的にウクライナ側のメリットは大きい。
来月中旬開催のスイスでの平和サミットで、大きな顔が出来るだろう(そうなのかあ?)。
国内世論も、占領地奪回に向けて、弾みがつくかもしれない。
それは、軍事的損害(壊滅的?)を補って余りある(そうなのかあ?)。
ウクライナは、停戦交渉による国家存立の確保から、ますます遠くなっていく。
それこそが、プーチンが仕掛ける罠だ。
シルスキーは、当然、この罠に気付いている。
軍事的損害(特に兵力の棄損)を最小限に止め、侵入者の撃退という政治的果実を上手くもぎ取る方策を取るだろう(未確認)。
ロシアがバフムトやアウディーイウカで行ったような肉弾戦は採り得ない。
世界最先端を誇るウクライナ製のドローンや、西側供与のあんな兵器やこんな兵器(未確認?)を駆使して、効率的に、スマートに撃退しなければならない。
なけなしの砲弾を、他の戦線に回さなければならない分までかき集めて、ありったけぶち込まなければならないだろう。
東部戦線や南部戦線では、多少押し込まれるかもしれないが、そんなことを言っていられる状況ではないからな。
そっちは、「領土」というリソースを食い潰すより仕方ない。
撃退、命!。
まあ、どうでもいいんですが。
確認しておこう。
ハルキウ市内の民間施設への攻撃は、狂人の仕業ではない。
綿密に練られ、計画された戦術の一環だ。
双方が承知の上で、攻撃へのリベンジとしての反撃が始まろうとしている。
市民の死傷者は数十人だが、反撃の犠牲者は千人単位に上るだろう。
数の問題じゃないかも知れないが、戦力的には大きな痛手だ。
バカな戦争は止めて、さっさと停戦するに限ると思うんだがな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(ゼレンスキー大統領、ロシア軍がハルキウから90km離れた国境地帯に集結中)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/president-zelenskiy-says-russian-troops-are-gathering-in-the-border-area-90km-from-kharkiv/
「ハルキウから北西に90km離れた国境地帯にロシア軍が集結している」(ゼレンスキー大統領)
近いな・・・。
「ゼレンスキーが言及した「ハルキウから北西に90km離れた国境地帯」とはスームィ方面のヴェリカ・ピサリフカ方向を指している可能性が高い。」(ブログ管理人)
「ヴェリカ・ピサリフカ自体は約3,000人ほどの小さな集落だが、その先にはボルチャンスクと同規模のアフトゥイルカが控えており、ヴェリカ・ピサリフカからボホドゥヒフ方向に進まれるとハルキウの西側面に問題が生じるため、本当にヴェリカ・ピサリフカ方向で攻勢が始まると再びウクライナ軍は対応(戦力投入)を強制することになる」(同上)
記事では、さらにスムイ寄りのスジャ付近での兵力集結にも言及しており、次の侵入点がどこになるかは予断を許さない。
規模、時期、目的などはいずれも不明だ。
つーか、ロシアの好き勝手!。
うすーく引き延ばされたウクライナ軍が、どこでプッチンと切れるかを試されているようなもんだ。
ハルキウに比較的近いヴェリカ・ピサリフカで侵入されれば、現在の侵入点と同様、撃退レベルでの反撃を試みざるを得なくなる。
更なる戦力の損耗を促されることになるわけで、引き続き嬉しくない状況が続く。
ちなみに、ヴェリカ・ピサリフカは、スムイ州といっても、ハルキウ州との州境に近い。
「ウクライナ軍はハルキウ防衛のため戦略予備の投入に加え、ザポリージャ州やドネツク州からも戦力転用を行っており、ロシア軍は戦力密度が低下したクピャンスク方面、バフムート方面、ドネツク西郊外方面、南ドネツク方面、ザポリージャ方面で成功」(ブログ管理人)
陸戦に於いて、投入される兵力密度は重要だ。
将来的には、AIロボット兵士の密度になるかも知れないけど、2024年現在のところ、戦争はまだ人間の兵士に頼っている。
新たな侵入点は、その希薄化を促進する。
しかも、今後も増え続ける可能性を排除できない。
供与兵器の攻撃を受けないロシア領土という「聖域」からの侵入は、東部や南部のように、支配地域を攻撃されて損害が高じるリスクはないからな。
ロシアにとっては、美味しいルートだ。
場合によっては、実際に侵入して損がを出さずとも、国境周辺に終結して見せるだけで、ウクライナ軍を誘引することも可能だろう。
偵察隊程度は繰り出さなければならないだろうけどな。
まあいい。
ヴェリカ・ピサリフカ(ロシア側の地点はクライヴォロン)への侵入のそぶりは、浮沈子的にはブラフと見ている。
ゼレンスキー的には、ハルキウ市北に於ける反撃失敗のエクスキューズな布石を打ったのかもしれない。
次にどこから侵入するか知っているのはロシアだけだ。
この状況を作り出すことが出来ただけでも、ロシアのポイントは高いな・・・。
(ウクライナ軍がハルキウ方面での反撃を準備中か、50個大隊以上が集結?)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/is-the-ukrainian-army-preparing-for-a-counterattack-in-the-kharkiv-area-with-more-than-50-battalions-assembled/
「敵(ウクライナ軍)は50個大隊以上の戦力を集結させており間もなく反撃を開始する」(ロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR)
「敵(ロシア軍)は積極的防御に切り替えた」(シルスキー総司令官)
まだ、ウクライナ軍の本格的な反撃が開始される前から、ロシア軍が積極的防御に入ったとするシルスキーの評価が妥当かどうかは知らない。
(ロシア軍がウマンスキーを占領、クピャンスク方面でもイワニフカに侵入)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-troops-occupy-umansky-and-invade-ivanivka-in-the-kupyansk-area-as-well/
「リプシ、スロボジャンスケ、ボルシチョワ、ルシキ・ティシキは周囲よりも低地だが、リプシ近郊に標高約200mの高台があり、北の国境地域とハルキウ郊外を見渡すことが出来る。この高台にウクライナ軍が強力な要塞を築いているため、ここを占領しなければ新たな前進は不可能だ」(ロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR)
「ロシア軍が高台を占領した」(同上)
まあ、戦況の評価は時々刻々と変わっていくから、ある時点で妥当であっても、翌日には異なる状況が生じることは日常茶飯事だ。
確かなことは、ハルキウ方面での戦闘が継続していて、ウクライナ軍が反撃に出ようとしていることくらいか。
西側は、自国供与の兵器によるロシア領内の軍事目標の攻撃を認めておらず(英国除く?)、ロシアは相変わらず、航空優勢を維持しながら前線を叩くことが出来ているはずだ。
現に、国境から30km程のハルキウ市内に於いて、連日ロシア軍の爆撃が実行されている。
(ウクライナ東部ハリコフ ロシア軍の攻撃で6人死亡 商業施設など、50人超負傷)
https://www.sankei.com/article/20240526-THRSYLJKU5LX7JPVGLOL3TB27Y/
「国境から約30キロ離れたウクライナ第2の都市、ハリコフ市に対する攻撃も拡大」
「ウクライナ東部ハリコフ市で25日、大型商業施設がロシア軍の攻撃を受け、地元当局者によると、少なくとも6人が死亡し、約40人が負傷」
「同市の住宅地にも攻撃があり、10人以上が負傷」
国境から離れた都市への攻撃が可能で、その手前にあるロシア軍陣地(要塞?)が攻撃できないわけはない。
それとも、ウクライナ軍は、GPS誘導された滑空爆弾を回避する戦術を獲得したとでもいうのだろうか?。
「この方面のロシア軍は確保した国境沿いの地域を固めて攻勢から守勢に転じた。彼らの任務は敵を殺すことではなく、敵から戦場の主導権を奪い、ハルキウ周辺に集結した敵の予備戦力を破壊することにある。」(ロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR:初出の記事より)
「ウクライナ軍はハルキウ北東部からロシア軍を追い出すため大規模な反撃を開始する」
「ウクライナ軍は5月末までにハルキウ北東部で反撃を開始しなければならない。これはロシア軍をハルキウから追い出し「輝かしい勝利」を報告するほぼ最後のチャンスで、ロシア軍が新たな前進を出来るかどうかは敵の反撃を撃退し、どれだけ戦力が残っているかに依存している。」
「ウクライナ軍は領土喪失に対する世論の圧力を受け、費用がかかる反撃を開始する可能性が高く、そうなれば限られた予備戦力を使い果たすかもしれない」(Kyiv Independentの取材に応じたBlack Bird Groupのパシ・パロイネン氏)
つまりだな、国境の向こうに5万人近い予備兵力(前線に投入されているのは1割程度と言われている)を有するロシア軍相手に、高々50個大隊(多くても3万人程度)のウクライナ軍が、侵入してきたロシア軍を排除するために攻勢に出ようとしているわけだ。
世論の圧力という、いわば政治的理由で、貴重な戦力を使い果たそうとしている。
「国家捜査局がハルキウ防衛の準備不足と不適切な部隊運用について第125領土防衛旅団や関連部隊(第415独立小銃大隊、第23機械化旅団、第172独立小銃大隊)の調査を開始した」「ハルキウ北東部の陣地防衛を適切に確立出来ず、陣地、装備、人員の損失に繋がった」(Ukrainska PravdaやKyiv Independent)
既に、責任の押し付け合いが始まっている。
「国境沿いの陣地を守っていた特定の部隊が後退を余儀なくされたが、これらは書類上「戦闘グループ」として扱われても体力的に問題のある人間や引退した人間で一杯だった」(ウクライナ人が運営するDEEP STATE)
侵入を許した責任をどうこうするよりも、今は限られた戦力を温存し、戦線を安定させ、スムイ州で生じる可能性を示唆されている新たな侵入に備えることが必要だ。
予備兵力を使い切った状態で、ロシア軍の本格的な攻勢を浴びればどういうことになるのか。
既に、東部戦線や一部の南部戦線で、ロシア軍の前進が確認されている。
そこに、大規模な攻撃が掛けられたわけではなく、ウクライナ側の戦力の弱体化に伴うものだ。
ヤバいな・・・。
ヤバ過ぎ!。
ボルチャンスク市内、小河川(ボルチャ川)北部では、ウクライナ軍が果敢にロシア軍を撃退していると言われている。
それはそれで結構な話だが、当然そこでも戦力の損失は起こっている。
リプシ方面でも、事態は同じだ。
ウクライナ軍は、領土の喪失を許すまいとして、戦力損失の泥沼にずぶずぶとハマっていく。
それは、政治的には譲れない一線なんだろうが(当然ですな)、戦略的には最もマズい選択だ。
人口で3倍以上、砲弾で10倍の差を付けられ、長期に渡って戦闘能力を確保しているロシア相手に、いたずらに戦力を消耗することはマズいだろう。
シルスキーは、政治的目的のために、戦略目標を誤ろうとしている。
ロシアで軍事教育を受け、長年ロシア軍で活動してきた彼が政治指導に従うことに何の疑問も感じないだろうことは、以前から問題点として強く指摘されている。
仮に、侵入してきた地上軍を国境の向こうに追い返すことが出来たとしても、ハルキウ市内への空爆を止めることにはならない。
国境の向こうに、少なくとも数十km前進して(ロシア領に進軍か)、地対空ミサイルで、爆撃機を攻撃するよりほかに道はない。
西側供与の兵器では、ロシア領土を攻撃できないからな。
ロシア領を占領すれば、「ウクライナ領空」になるわけだから、地対空ミサイルで迎撃も可能になるし、ハルキウが爆撃される頻度も下がるだろう(弾道ミサイル落とされたらダメですが)。
が、その戦略にも不安が残る。
(ウクライナの防空体制は手に負えない状況、短期的にも解決不可能)
https://grandfleet.info/us-related/ukraines-air-defense-situation-is-out-of-control-and-cannot-be-resolved-in-the-short-term/
「米国の援助でウクライナの防空問題は解決できない。これはシステム本体ではなく迎撃ミサイルの供給問題で、短期的にウクライナのニーズを満たすのは物理的に不可能だ」(Defense News)
「迎撃制限はシステム本体ではなく迎撃ミサイルの数に依存している。そしてウクライナのニーズを満たす迎撃ミサイルの供給問題は短期的に解決不可能」(ジェフ・ラミア氏)
「防空分野の基盤産業が衰退した原因はテロとの戦いで投資が減少したためで、何十年もかけて生じた基盤産業のギャップを埋めるには何年もかかるだろう。ウクライナの戦場でエイブラムスが生き残れないと証明されたように、パトリオットシステムもウクライナが直面して深刻な脆弱性を解決する万能薬ではない。ワシントンは軍事援助だけで戦争の結果を変えることも出来ないし、核戦争に発展するリスクなしで戦争への直接介入もできない」(同上)
ハルキウ方面についても悲観的だ。
「現在のウクライナは悲惨な防空体制に加え、戦場における火力投射量でも大きな格差が生じ、手足を失った兵士の復帰が必要なほど前線での人的資源が逼迫し、ハルキウ方面では他戦線から戦力転用を行っている。そのためロシアに対するウクライナの防衛力と交渉力は日に日に弱まっている」
供与兵器による越境攻撃やパトリオットの供与は、砲弾や兵士に代わるものではない。
西側が、第三次世界大戦のリスクを受け入れて、ウクライナに大規模派兵するか、NATO軍がロシアに宣戦布告して先制攻撃を掛けるか、今のうちに北京に核爆弾落としておくしか手はない(そんなあ!)。
「もしワシントンがウクライナにとっての最善を望むなら『破滅』を促すべきではない」
中国やグローバルサウスによる強力な経済支援、北朝鮮やイランによる軍事支援を受けて、ロシアは益々増長している。
もう誰も、ロシア支配地域の全面的な奪還を唱えたりはしなくなった。
それどころか、ウクライナの国家としての存立を危ぶむ声が聞こえ始めている。
その先に何があるかを考えておく必要がある。
浮沈子的には、大西洋を見下ろす丘の上にロシア国旗が翻る妄想程度しか見えない。
もちろん、その頃には台湾有事、朝鮮半島有事に巻き込まれて、我が国も焼け野原になっちまってるに違いない。
そうならないためにはどうしたらいいのか、冷戦終結後のどさくさに付け込んで、NATOをどこまでも拡大し、とうとうロシアを追い込んで戦闘国家に仕立て上げた落とし前を、西側はどこかでつけるしかないのだ。
現在のロシアを作り上げたのは、プーチンじゃない。
我々が育てた。
ウクライナを使って、ロシアを疲弊させようという戦略は潰えた。
国家存亡の危機に立たされたロシアは、驚異的な回復力を見せ、逆に西側を脅かしている。
虚ろな建前を捨てて、本気で対峙しなければ、こっちがやられる。
力による現状変更を認めないなどという、寝言を言っている場合じゃない。
79年近く前に、米国は我が国に対して核兵器を使用した。
そのガッツを、ロシアに対して示す必要がある(そんなあ!)。
力には力を、核には核を・・・。
いやはや、今日の妄想は物騒だな。
確認しておこう。
ウクライナは、ハルキウ方面の国境からの侵入を撃退すべく、最大3万人程度の軍事派遣を行い、攻勢を掛けようとしている。
それを迎え撃つ敵兵力は約5万人と言われている。
そりゃあ、国境から入り込んでいるのはせいぜい5千人だろうから、勝敗は見えている。
が、それは戦略的には大問題で、ウクライナには後がない。
撃退した後に、ウクライナが停戦交渉でもするなら話は違うが、そんな気はサラサラないだろう。
ロシアに余裕が全くなく、これで負けたらロシアが降伏でもして、占領地から全面撤退してくれると言うなら攻めてみてもいいかもしれない(ありえねー・・・)。
マズい戦略だし、兵力差(3万人(ウ軍)対5万人(ロ軍))から考えて、撃退できずに終わるようなことがあれば、政治的ダメージは計り知れない。
結果を押し付けられることになるシルスキーは、いい面の皮だ。
が、ハルキウ方面の戦闘の結果が、直ちに第三次世界大戦のトリガーになるとは思えない。
しかし、このままいけば、ウクライナが致命的な損害を被ることになる。
それを避けようとして、西側が取る選択を間違えれば、一寸先は闇の世界だ・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(ウクライナ北東部ハルキウ市のショッピングセンターが攻撃された瞬間…立ち上る黒煙、死傷者多数の情報)
https://www.yomiuri.co.jp/stream/1/23519/
「敵はミサイル2発をこのショッピングセンターに放った。これまでのところ、2人が死亡し、20人以上が負傷した」
犠牲者の数は、増えてきている。
(大型ホームセンターにミサイルが直撃し55人が死傷 ロシア軍が発射か ウクライナ・ハルキウ市)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1191949
「12人が死亡、43人がけが」
「また、この日市の中心部にある集合住宅などにも攻撃があり、25人がけが」
「明らかに一般市民を対象としている」(ゼレンスキー大統領)
「このような卑劣な方法で人々を殺害し、恐怖に陥れることができるのはプーチンのような狂人だけだ」
問題なのは、単なる狂人ではないところだな。
意図的な民間人への攻撃は、明らかに直接の軍事的な意味はない。
しかし、この攻撃がハルキウ市北部でロシア軍が侵入している時期に行われていることが問題だ。
両者には、これも直接の関係はない。
侵入前から爆撃は行われているし、地上軍が支援しているわけでもない。
また、軍備を備蓄しているわけじゃないだろうから(未確認)、兵站への攻撃でもない。
政治的意図で行われている、緻密で高度な頭脳戦だ。
ゼレンスキー政権に圧力をかけ、ハルキウ市北部の侵入に対する反撃を避けがたい選択肢としている。
幸い、50個大隊を超える兵力が集まり、撃退する準備は整いつつある。
「ウクライナ軍は5月末までにハルキウ北東部で反撃を開始しなければならない。これはロシア軍をハルキウから追い出し「輝かしい勝利」を報告するほぼ最後のチャンス」(初出記事:再掲)
ダメ押しだな・・・。
貴重な予備兵力をかき集めた大軍団を投じて、シルスキーは効果的な反撃を行うに違いない。
砲弾も、この戦線には潤沢に供給されているというから、ロシア軍を撃退する可能性は高い。
しかし、攻撃側の損害も少なくないだろう。
国境から30kmのハルキウ市を精密爆撃できるロシア軍が、せいぜい10kmしか侵入していない前線近くのウクライナ軍を攻撃できないはずはないだろう。
んなことは、シルスキーも分かっている。
この反撃は、マズい戦いだ。
ウクライナ軍には、国境からの侵入を許したという非難も出ているらしい。
負い目もあるしな。
「国境沿いの陣地を守っていた特定の部隊が後退を余儀なくされたが、これらは書類上「戦闘グループ」として扱われても体力的に問題のある人間や引退した人間で一杯だった」(ウクライナ人が運営するDEEP STATE:初出記事より)
やむを得ない側面はあるが、軍事的失態であることは間違いない。
防御ラインの構築にまつわる、黒いうわさも絶えない。
撃退できれば、いろいろ都合が悪い話を帳消しにできるかも知れないしな(そうなのかあ?)
大規模な反撃を開始する動機は山ほどある。
ロシアは、わなを仕掛けているのかもしれない。
アリ地獄に落ちてきたアリに、砂をかけ続けている。
浮沈子には、ウクライナが意図的に破滅的状況を作ろうとしているようにも見える。
西側の派兵や直接攻撃を促す、捨て身の戦術だ。
長距離ロケット砲、長距離ミサイル、高性能戦車、戦闘機を次々に調達してきたのと同じ手法だな。
ウクライナが負けちまえば、次は西側の番だと見せつけている。
兵力は枯渇し、武器支援が滞って、もう、敗戦寸前だと。
どーする!?。
まあ、派兵の話や直接関与はともかく、供与兵器による越境攻撃の緩和の議論は急速に高まっているようだ。
多少は効果があるかも知れないし、ロシア軍も損害が増えるだろうけど、戦況を大きく変える要素にはならないだろう(未確認)。
弾道ミサイルなどのアウトオブレンジ兵器の攻撃には効果はないし、前線の戦況への直接な影響はない(未確認)。
兵士と砲弾の代わりにはならない。
欧州は、ウクライナに引きずられて、自ら欧州大戦争のトリガーを引きそうになってきている。
ロシアの軍事力が急速に回復していることから、時間が経てば経つほど、NATOが不利になる構図が明らかになってきている。
エストニアの分析では、3年から5年と言われていたけど、さらに早まっているに違いない。
2年後、或いは来年にも、ロシアの欧州大戦争への準備が整う。
ロシアへの攻撃を先んじて行う方が、NATOにとっては有利に戦いを運べる可能性もある。
①供与兵器の越境攻撃容認
②非戦闘員のウクライナ派兵
③NATO軍によるウクライナでの直接戦闘
④ウクライナ戦域外への直接攻撃
必ずしも、段階を踏むとは限らない。
しかし、NATOに準備が出来ているかと言えば、いささか心もとない。
状況は良くない。
今、ドンパチ始めちまったら、収拾がつかなくなることは目に見えている。
で、結論は先延ばしされ、彼我の戦力は益々乖離していく。
プーチンは、ウクライナ軍にハルキウ市北方の侵入を撃退させるかもしれない。
「輝かしい勝利」を与え、深く戦争に引きずり込む。
一方で、支援が不十分な中でウクライナが勝利を手にすれば、支援を劇的に増やしたり、ロシアとの直接対決のリスクを高めずに済むという誤った安心感を西側に与えることが出来る。
しかも、ウクライナ軍は相当な損害を出し、兵力は大きく棄損される。
短期間で修復することは出来ないに違いない。
一石二鳥とか三鳥だな。
一方、政治的にウクライナ側のメリットは大きい。
来月中旬開催のスイスでの平和サミットで、大きな顔が出来るだろう(そうなのかあ?)。
国内世論も、占領地奪回に向けて、弾みがつくかもしれない。
それは、軍事的損害(壊滅的?)を補って余りある(そうなのかあ?)。
ウクライナは、停戦交渉による国家存立の確保から、ますます遠くなっていく。
それこそが、プーチンが仕掛ける罠だ。
シルスキーは、当然、この罠に気付いている。
軍事的損害(特に兵力の棄損)を最小限に止め、侵入者の撃退という政治的果実を上手くもぎ取る方策を取るだろう(未確認)。
ロシアがバフムトやアウディーイウカで行ったような肉弾戦は採り得ない。
世界最先端を誇るウクライナ製のドローンや、西側供与のあんな兵器やこんな兵器(未確認?)を駆使して、効率的に、スマートに撃退しなければならない。
なけなしの砲弾を、他の戦線に回さなければならない分までかき集めて、ありったけぶち込まなければならないだろう。
東部戦線や南部戦線では、多少押し込まれるかもしれないが、そんなことを言っていられる状況ではないからな。
そっちは、「領土」というリソースを食い潰すより仕方ない。
撃退、命!。
まあ、どうでもいいんですが。
確認しておこう。
ハルキウ市内の民間施設への攻撃は、狂人の仕業ではない。
綿密に練られ、計画された戦術の一環だ。
双方が承知の上で、攻撃へのリベンジとしての反撃が始まろうとしている。
市民の死傷者は数十人だが、反撃の犠牲者は千人単位に上るだろう。
数の問題じゃないかも知れないが、戦力的には大きな痛手だ。
バカな戦争は止めて、さっさと停戦するに限ると思うんだがな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(ゼレンスキー大統領、ロシア軍がハルキウから90km離れた国境地帯に集結中)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/president-zelenskiy-says-russian-troops-are-gathering-in-the-border-area-90km-from-kharkiv/
「ハルキウから北西に90km離れた国境地帯にロシア軍が集結している」(ゼレンスキー大統領)
近いな・・・。
「ゼレンスキーが言及した「ハルキウから北西に90km離れた国境地帯」とはスームィ方面のヴェリカ・ピサリフカ方向を指している可能性が高い。」(ブログ管理人)
「ヴェリカ・ピサリフカ自体は約3,000人ほどの小さな集落だが、その先にはボルチャンスクと同規模のアフトゥイルカが控えており、ヴェリカ・ピサリフカからボホドゥヒフ方向に進まれるとハルキウの西側面に問題が生じるため、本当にヴェリカ・ピサリフカ方向で攻勢が始まると再びウクライナ軍は対応(戦力投入)を強制することになる」(同上)
記事では、さらにスムイ寄りのスジャ付近での兵力集結にも言及しており、次の侵入点がどこになるかは予断を許さない。
規模、時期、目的などはいずれも不明だ。
つーか、ロシアの好き勝手!。
うすーく引き延ばされたウクライナ軍が、どこでプッチンと切れるかを試されているようなもんだ。
ハルキウに比較的近いヴェリカ・ピサリフカで侵入されれば、現在の侵入点と同様、撃退レベルでの反撃を試みざるを得なくなる。
更なる戦力の損耗を促されることになるわけで、引き続き嬉しくない状況が続く。
ちなみに、ヴェリカ・ピサリフカは、スムイ州といっても、ハルキウ州との州境に近い。
「ウクライナ軍はハルキウ防衛のため戦略予備の投入に加え、ザポリージャ州やドネツク州からも戦力転用を行っており、ロシア軍は戦力密度が低下したクピャンスク方面、バフムート方面、ドネツク西郊外方面、南ドネツク方面、ザポリージャ方面で成功」(ブログ管理人)
陸戦に於いて、投入される兵力密度は重要だ。
将来的には、AIロボット兵士の密度になるかも知れないけど、2024年現在のところ、戦争はまだ人間の兵士に頼っている。
新たな侵入点は、その希薄化を促進する。
しかも、今後も増え続ける可能性を排除できない。
供与兵器の攻撃を受けないロシア領土という「聖域」からの侵入は、東部や南部のように、支配地域を攻撃されて損害が高じるリスクはないからな。
ロシアにとっては、美味しいルートだ。
場合によっては、実際に侵入して損がを出さずとも、国境周辺に終結して見せるだけで、ウクライナ軍を誘引することも可能だろう。
偵察隊程度は繰り出さなければならないだろうけどな。
まあいい。
ヴェリカ・ピサリフカ(ロシア側の地点はクライヴォロン)への侵入のそぶりは、浮沈子的にはブラフと見ている。
ゼレンスキー的には、ハルキウ市北に於ける反撃失敗のエクスキューズな布石を打ったのかもしれない。
次にどこから侵入するか知っているのはロシアだけだ。
この状況を作り出すことが出来ただけでも、ロシアのポイントは高いな・・・。
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