🚀スターライナー:クルーモジュールのスラスターも不発2024年09月08日 21:32

スターライナー:クルーモジュールのスラスターも不発


(スターライナーが無人のまま地球に帰還)
https://spacenews.com/starliner-returns-to-earth-uncrewed/

「クルーモジュールの12個の独立したスラスターのうち1つも、再突入前のテストでは作動しなかった。」

「スティッチ氏は、これらのスラスターはサービスモジュールのものと設計が異なり、故障の原因は不明だと述べた。ただし、冗長スラスターは正常に作動し、再突入時に問題は発生しなかった。」

「再突入時の通信遮断から回復した後、ナビゲーション・コンピュータ・システムがGPS信号を受信できなかったという不具合があった」

うーん、何かやる度に新たなトラブルが発生している。

モグラたたきだな。

クルーモジュール側のスラスターの不具合については、別記事では再突入前のテストだけでなく、最後まで一度も点火しなかったとある。

(スターライナーは乗組員を残して宇宙ステーションを出発し、地球へ帰還する)
https://arstechnica.com/space/2024/09/leaving-behind-its-crew-starliner-departs-space-station-and-returns-to-earth/

「クルーモジュールの 12 個の制御ジェットのうち 1 個は、スターライナーの帰還飛行中、一度も点火しなかった。」

やれやれ・・・。

問題は、次々と発生するトラブルが、無人機でのテストで洗いざらい解決されていなかったことなわけだ。

たとえば、GPSの受信障害について見ると、OFT-1の時にも別の通信障害が発生していて、その際に関連の機能を一から見直せば発見できていたかもしれないっつーことだ(そうなのかあ?)。

つまりだな、末永く安心して使い続けてもらうための宇宙船を作るというよりは、目の前にある問題だけを矮小化して、とりあえずそれだけ潰せばいいという後ろ向きの発想だ(そういうことかあ?)。

予算や開発期間の制約はあるが、開発が完了できなければ話が始まらんからな。

「スターライナーのチームが、無事に安全にドッキング解除、軌道離脱、再突入、着陸を成功させるために尽力したことを称えたい」

今回の離脱と帰還は通常の手順と異なる。

(NASAはスターライナーが宇宙ステーションから素早く脱出することを望んでいる)
https://arstechnica.com/space/2024/09/boeings-problem-plagued-starliner-spacecraft-comes-back-to-earth-tonight/

「NASAの関係者によると、この経路でスターライナーは、ドッキング解除後約20~25分で、軌道上の実験室の周囲にある2.5×1.25×1.25マイル(4×2×2キロメートル)の目に見えない境界である、いわゆる接近楕円体から出ることになる。これは、スターライナーがISS付近を離れるのに通常かかる時間の半分以下だ。」

今回の当初予定では、ISSの写真撮影をする能力のテストも行うはずだったらしい。

「当初の飛行計画では、ウィルモア氏とウィリアムズ氏が帰還の際にスターライナーに乗っていた場合、宇宙船はISSからより穏やかに離脱し、技術者らがナビゲーションセンサーの性能を徹底的にチェックし、宇宙船がISSの周辺に滞留して外部の写真調査を行う能力をテストすることになっていた。」

「スターライナーがISS付近を離れるのに通常かかる時間」(再掲)というのが、この写真撮影を含むかどうかは知らない。

「この場合、我々が行っているのはブレイクアウト噴射で、これは12回の噴射を連続して行うもので、各噴射は毎秒0.1メートル(0.2マイル)ほどのそれほど大きくなく、スターライナーをステーションから遠ざけるためだけのもので、その後すぐに上昇し始め、最終的には数周後にはステーションの上空で軌道から外れて頂点に達する」(スターライナーのドッキング解除シーケンス中にISSの運用を監督するNASAのフライトディレクター、アンソニー・ヴァレハ氏)

「これは、スラスタにかかる負担が少なく、ステーションから離れるより早い方法です」

要するに、ちゃんとした手順じゃないということだ。

「基本的に、フックを開くと、バネがスターライナーを押し出し、その後、非常に短いスラスタ噴射を行って、ステーションの上空を通過する軌道に乗せ、軌道離脱噴射を実行できる適切な範囲まで開きます。」

「ヴァレハ氏によると、万が一、さらに重大なスラスター故障が連続して発生した場合でも、スターライナーを宇宙ステーションから押し出すスプリングの力で衝突の危険がないことが十分に保証されるはず」

「その後は、非常に穏やかな姿勢を維持し、スラスターをほとんど噴射しないつもりです」(NASAの商業乗組員プログラムマネージャー、スティーブ・スティッチ氏)

この離脱方法をつかってISSから引き離し、スラスターの負担を軽減して再突入させて回収できたことに何の意味があるのか。

「スティッチ氏は、無人帰還にもかかわらず、CFT はミッション目標の 85~90% を達成したと指摘した。」(スペースニュース)

OFT-1でISSに到達できなかった際、ミッションの達成は8割程度といわれていた。

今回は、それよりは多いのかもしれないが、宇宙飛行士を乗せて帰ることが出来なかったということで、少なくともCFT-2の設定は不可避だろう。

浮沈子的には、OFT-3を行って全てのシステムの正常作動を確認してから、その後にCFT-2を行って確認するのが筋だと思うんだがな。

クルーモジュールのスラスターの1基が作動しなかったのは、痛恨の極みだ。

「スティーブ・スティッチ氏は着陸後のブリーフィングで、58秒間の軌道離脱燃焼中に2つのRCSスラスタが予想以上に熱くなったが故障はしなかったと述べた。同氏は、燃焼中に熱くなりすぎたスラスタを停止させないようコントローラーがソフトウェアを変更したが、ソフトウェア変更なしでスラスタがシャットダウンを引き起こす温度に達したかどうかは不明だと述べた。」(スペースニュース)

「着陸後のブリーフィングで、スティッチ氏は、NASA はボーイング社とスラスター問題とヘリウム漏れに対処するための次のステップについて話し合っていると述べた。」

「これには、ヘリウム加圧システムのシールを、宇宙船のハイパーゴリック推進剤とより互換性があり、さらに大型のものに交換することが含まれる。」

「他のチームは、スラスターを収納するサービスモジュールの「ドッグハウス」内の温度環境を変更して加熱を減らすことや、スラスターの使用方法の変更を検討している。」

大気圏で燃え尽きたサービスモジュールとは異なり、クルーモジュールは結果的に無事回収された。

作動しなかったスラスターの現物は手に入れたわけだからな。

徹底的に調査して、こっちも完全に潰しておく必要がある。

原因はドッグハウスの保温でもなければ、宇宙船(サービスモジュール)の底面に敷き詰められた太陽電池でもない。

まあ、どうでもいいんですが。

もう一つ、どーしても気になることがある。

この間のボーイングの記者会見への対応だ。

「NASAの勧告では、ボーイング社の幹部2人、ボーイング・エクスプロレーション・システムズ副社長のジョン・シャノン氏と、ボーイング社の副社長兼商業乗組員プログラム・マネージャーのマーク・ナッピ氏が参加すると述べられていた。しかし、両氏ともNASAジョンソン宇宙センターで行われた説明会には出席しなかった。」(スペースニュース)

「NASAの宇宙運用担当副次官ジョエル・モンタルバーノ氏は土曜日、着陸後の記者会見でボーイング社がスターライナーのミッションについて話し合うことをNASAに委ねたと述べた。」(アルス)

「スターライナーのチームが、無事に安全にドッキング解除、軌道離脱、再突入、着陸を成功させるために尽力したことを称えたい」「データを確認し、プログラムの次のステップを決定する」(アルス:ボーイングの商業乗員プログラムの副社長兼プログラムマネージャー、マーク・ナッピ氏)

「ナッピ氏の声明は、記者が土曜日の朝の記者会見に参加していたらボーイング社の誰かに尋ねたであろう最も重要な質問の一つに答えていない。それは、「ボーイング社は依然としてスターライナー計画に長期的なコミットメントを持っているのか?」である。」(アルス)

スペースニュースも、そのことを懸念している。

「ボーイング社は私たちとの仕事を続けることを約束しています」(モンタルバーノ氏)

「しかし、ボーイングからの短い声明は、必ずしも同じレベルのコミットメントを伝えてはいなかった。」

まあいい。

根本的な欠陥を抱えたまま、有人帰還を強行しようとしたB社は、明らかに当事者意識の欠如に見舞われている。

NASAのネルソン長官は、トップ会談では継続の確約を取り付けたといっていたが(8月24日の記者会見:無人帰還を決めた時)、業界は既にそれを疑問視している。

ハイリスクなミッションで、器材に冗長性を持たせること自体は悪いことではない(テクニカルダイビングでは常識だ)。

しかし、その前提としては、信頼性が高い器材を使うなど、故障しないように最善を尽くすことが不可欠だ。

最初から、いつ故障するかもしれない怪しげな器材を使うことは、冗長性によるトラブル回避の原則を無視している。

B社が主張し、強行しようとした手法は正にそれだ。

「今後の方針を決めるには少し時間がかかるだろうが、今日我々は宇宙船が非常にうまく機能するのを見た」(アルス:スティッチ氏)

悪いことは言わない。

もうこれ以上、この宇宙船に係わるのはやめた方がいい。

スターライナーは、根本から腐っている。

枝葉をいくら弄ったところで、次から次へとトラブルが噴出し続けるだけだ。

今年は米国の大統領選挙が行われる。

今は、政治の季節真っ只中だ。

うーん、こっちも泥沼だな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(スターライナーがニューメキシコに無事着陸)
https://spaceflightnow.com/2024/09/07/starliner-lands-safely-in-new-mexico/

「結局、スターライナーはうまく機能したようだ。既知のヘリウム漏れは悪化せず、ミッション初期に問題があった宇宙船のサービスモジュールの反応制御システムスラスタは、宇宙船を安全にステーションから遠ざけ、軌道離脱燃焼中に安定を保つために要求通りに機能した。」

「スラスターは出発の初期段階を通じて完璧に機能しました。」

「耐熱シールドで保護され、独自のRCSジェット12基を搭載した乗組員モジュールは、高度約40万フィートで再突入を開始し、秒速約5マイルの速度で再び下層大気圏に突入しながら、華氏3,000度にも達する高温に耐えた。」

サービスモジュールの2基のスラスターの想定外の過熱、クルーモジュールのスラスター1基の故障、大気圏再突入後のGPS信号の一時的な途絶については、一言も触れられていない。

まあ、どうでもいいんですが。

OFT-2.5は何事もなかったかのように終了したが、浮沈子的に見れば中身はボロボロだ(そうなのかあ?)。

B社の責任者は、恥ずかしくて人前に出られないだろう。

10年かかって作り上げた宇宙船は、飛ばす度に新たな問題を起こす厄介な代物だった。

本来なら、推進系の問題は無人飛行で解決し、有人飛行では生命維持装置など、有人機に特化した部分の機能を確認する程度の話なはずだ。

ヘリウムの漏洩だって、飛ばす前には1か所だったが、打ち上げた後で5か所に増えたからな。

CFTを名乗るのがおこがましいほどの、惨憺たる結果だ。

宇宙飛行士2名が取り残されたのはNASAの判断だが、機械としての宇宙船を見た時に、あまりの悲惨さに首をすくめざるを得ない。

無人のスターライナーは、無事に着陸した。

冗長性を持たせたクルーモジュールのスラスターは、トータルで正常に機能し、大気圏再突入を維持した。

GPS信号の一時的なロストも、着陸地点に大きな影響を及ぼすことはなかったようだ(未確認)。

宇宙船の堅牢さは証明された。

が、冗長性だけでカバーされた要素技術のお粗末さは目を覆うばかりだ。

毎回だぜ!?。

やれやれ・・・。

それでもNASAは、このクズな宇宙船に付き合い続けるつもりのようだ。

ばかばかしい・・・。

B社自身が、そろそろ見限り始めるのではないか。

確認しておこう。

次回の打ち上げが何時になるのか、無人で行われるのか有人で強行するのかは知らないが、その際にも新たなトラブルが起こることは間違いない(断定的!)。

いや、それだけではなく、ヘリウムの漏洩やトラブルを起こしたスラスターの問題が再発する公算は高い(どーせ、熱設計の根本的な見直しとかはしないだろうしな)。

通信系でも、モグラたたきが続くだろう。

関連する機能を全て見直してチェックするのではなく、問題になったところだけ手当てするにとどまるからな。

問題が起きてないのに、何かする必要はないという姿勢だ。

ったく・・・。

「宇宙飛行は困難です。余裕はわずかです。宇宙環境は容赦がありません」(ジョンソン宇宙センターの飛行運用部長ノーム・ナイト氏)

「そして私たちは正しく行動しなければなりません。」

紙に書いて、壁に貼り付けておくべきだな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(ドラゴンはクルー9ミッションで2人の宇宙飛行士だけを乗せて飛行し、「難破した」スターライナーの乗組員をISSから連れ戻す)
https://www.elonx.cz/dragon-poleti-na-misi-crew-9-jen-s-dvema-astronauty-zpet-z-iss-priveze-ztroskotanou-posadku-starlineru/

「不運なスターライナーは、2024 年 9 月 6 日についにステーションから切り離されました。降下中に他にも 2 つの問題が発生しました。航法コンピューターの短時間の停止と、通過中に船の向きを変えるように設計された 12 個のスラスターの 1 つが故障しました。」(自動翻訳一部修正)

記事の元ネタは、リンク(ウィキ経由)を辿るとアルスのスティーブンクラークの記事であることが分かるが、イジーハダチもまた、無人帰還飛行時に新たなトラブルに見舞われたことに注目しているようだ。

浮沈子的には、クルー9の遅延の原因が分かったことが大きい。

「Crew-9ミッションは、すでに飛行しているB1085.2の第1段を使用するFalcon 9ロケットによって軌道に打ち上げられる。」

「この最初のステージは、これまでのところ、今年 8 月のスターリンク 10-5 という1 つのミッションのみを完了しています。」(8月20日実施)

「このブースターの最初の打ち上げが当初はクルー 9 のミッションになるはずだった」

「この新しく製造されたステージのテスト中に内部に水が浸入し、一部のコンポーネントを交換する必要が生じました。その後、まずスターリンクのミッションでステージを飛行し、水が深刻な問題を引き起こしていないことを確認することが決定された。」

ははあ、それで遅れたわけだな。

「Crew-9ミッションの乗組員は、すでに4回飛行したCrew Dragon C212.4 Freedomを使用します。この船は、2022 年 4 月のCrew-4ミッションで初めて私たちに紹介されました。 2回目と3回目の打ち上げでは、SpaceXはアクシオム社にそれをリースし、アクシオム社は、 Ax-2およびAx-3ミッションの一環として、2023年5月と2024年1月にISSをプライベート訪問した。結論として、Crew-9 の現在の打ち上げ日は 2024 年 9 月 25 日であることを付け加えておきます。」

クルードラゴンのスラスターが問題を起こしているわけではないらしい(未確認)。

少なくとも、9月25日に延期されたクルー9の表向きの理由が、1段目の作動確認(スターリンク 10-5)によるものだということは分かった。

回収後の整備の時間も必要だしな。

9月6日にスターライナーが無人で離脱できれば、記事にもある緊急脱出のリスクを軽減するために、すぐにでもクルー9を打ち上げたいところだが、そうはいかなかったわけだ。

浮沈子は、その理由がクルードラゴンのスラスターにあると見ていたけど(単なる妄想ですが)、ファルコン9の1段目の動作確認のミッションを間に挟む必要があったという方が説得力はある気がする。

が、まあ、妄想が完全に晴れたわけではない。

クルー9の船長が交代した理由にはならんからな。

自動操縦によるクルードラゴンの運用に万全の信頼があるのなら、当初の船長を差し替える必要はないはずだ。

まあいい。

「スターライナーは無人モードで地球に帰還し、乗組員はクルー9ミッションの一環としてクルードラゴンが到着するまでISSで待機する。」

シンプルな表現だが、それが全てだ。

余談だが、こんな記述もあった。

「こうして、初めてバリー・ウィルモアとスニータ・ウィリアムズの乗組員を乗せたCFT-1試験飛行の計画が始まる可能性がある。」

CFT-1試験飛行か・・・。

うーん、イジーハダチも(少なくとも)もう一度CFTが行われるに違いないと見ているわけだ(そういうことかあ?)。

まあ、どうでもいいんですが。

参考までに、CFTに関するウィキのリンク(日本語版:英語版からの翻訳かあ?)を張っておく。

(ボーイング有人飛行試験)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E6%9C%89%E4%BA%BA%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E8%A9%A6%E9%A8%93

「再突入中、スターライナーはナビゲーションシステムの一時的な不具合と、大気圏再突入中にカプセルの方向を決めるために使用された12個のスラスタのうち1つが点火しな(かった)という、以前の問題とは関係のない2つの技術的問題を経験した」(カッコ内浮沈子補足)

「故障したスラスターは軌道上で故障したサービスモジュール内の二液式スラスターシステムとは別の、カプセルに搭載された一液式スラスターだった」

キッチリ認識しておく必要があるだろうな・・・。

🚀スターリンク:旅客機Wi-Fi2024年09月16日 00:57

スターリンク:旅客機Wi-Fi
スターリンク:旅客機Wi-Fi


(ユナイテッド航空、Starlink Wi-Fi の機体から GEO オペレーターを排除)
https://spacenews.com/united-airlines-bumps-geo-operators-off-fleet-for-starlink-wi-fi/

「ユナイテッド航空は、スペースX社最大の航空Wi-Fi契約で複数の静止衛星通信事業者をスターリンク社に置き換え」

「同社は現在のWi-Fiパートナーであるビアサット、パナソニック、タレス、インテルサットから「数年にわたるプロセス」で移行」

「乗客に高速で低遅延のスターリンクWi-Fiを無料で提供することを計画」

「サポートされるスターリンクサービスには、ライブストリーミング、ゲーム、1人のユーザーが複数のデバイスを同時に接続する機能などが含まれる。」

ゲームかあ・・・。

浮沈子はゲームやらないんで分からないが、リアルタイム性を要求されるアプリには、低遅延の接続が必須だからな。

静止軌道衛星を用いたサービスでは、逆立ちしてもできない。

「新造機にはビアサットのWi-Fiがあらかじめ搭載されており、機体の改造と認証に時間がかかることから、静止軌道を運行する同社は今後5年間も市場シェアのトップを維持する見込み」

「・・・スターリンクは今後10年間で航空市場で最大のシェアを獲得する立場にある。」

「アメリカン航空、サウスウエスト航空、ジェットブルー航空」も、対抗上、スターリンクの導入になだれ込むだろうな。

「私たちの予測では、2025年頃にはViaSatの事前インストールが停止し、新しい配送機にStarlinkが追加される時点が来る可能性が高い」(ウィリアム・ブレア社のルイ・ディパルマ氏:業界アナリスト)

「スターリンクとの契約により、ビアサットの1,460機の航空機の受注残の一部が削減される可能性」(同上)

「当社の理解では、現在契約している航空機と契約残はユナイテッド航空との契約期間の残り期間中は引き続き運航されると考えています」(ビアサットの広報担当スコット・ゴリル氏)

希望的観測というやつか・・・。

「・・・複数のプレーヤーが参入する余地がある」(同上)

いやあ、スターリンク一択になるのは確実だ。

ユナイテッドの全面導入は衝撃的だ。

静止衛星併用じゃなく、完全に低軌道に置き換わる点に注目だ。

リアルタイム性を要求するのは、航空機で移動する顧客だからな。

他の航空会社が指をくわえて眺めているわけがない。

雪崩を打って乗り換えに走るだろう。

問題がないわけじゃない。

高緯度でのサービスは限られているからな。

北極を回る航路では、十分なサービスを受けられない。

まあ、その辺りは今後の展開によるだろう。

スターリンクの展開にスターシップは欠かせない。

ペッツドア(スターリンクV2フルを射出する仕掛け:画像参照)を成功させて、バンバン飛ばせるようになれば、極軌道の穴を埋められるだろう。

静止衛星事業者は、そのおこぼれをもらって、細々と生き残るしかなくなる。

全世界のインターネットバックボーンの半分を、スターリンクで賄おうという仰天な野望は成功するんだろうか・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(PEZディスペンサー:スターシップのペイロード展開システム)
https://ringwatchers.com/article/ship-pez-dispenser

ペッツドア(射出装置)について、詳細に考察したページを見つけたのでリンクしておく。

「目次:

・PEZディスペンサーとは何ですか?

・パート I - 衛星
・・スターリンクの詳細
・・ハードポイントとインターフェース

・パート II - フェアリング
・・ペイロードベイ構造
・・ペイロードボリューム

・パート III - ドア
・・ドア構造
・・シールと圧力
・・アクチュエーションシステム

・パート IV - ディスペンサー
・・ディスペンサー構造
・・ローリングシステム
・・昇降・積み重ねシステム
・・保持システム

・パート V - ローダー
・・ホワイトボックス
・・(ほぼ)PEZディスペンサー

・第6部 - 未来
・・大型ドアのパスファインダー
・・公式コンセプト

・しかし、それは機能するでしょうか?」

細部にわたる観察と考察は非常に参考になる。

この記事は、IFT-3(ドアの閉鎖に失敗:たぶん)の前に書かれている点に注意が必要だ。

その後、このペッツドアの設計に変更があったかどうかは知らない。

が、スペースXでは、ロケット(スターシップ)自体の成功と同時にスターリンクV2フル(V2.0)の打ち上げに使いたい意向が強いことの一つの傍証でもある。

んじゃなきゃ、こんなに詳細な仕掛けを作っているわけがないからな。

まあいい。

浮沈子的には、スターシップ全体の運用(タンカーや軌道上の燃料デポ、アルテミス用の月着陸船(HLS)のシUテムが出来上がる前に、スターリンク打ち上げの運用が始まると見ている。

2段目は当分使い捨てだ。

その再突入試験を兼ねて、1段目の回収の確立を図る。

タンカーの運用は再使用が前提になるだろうから、そのための方策ということになる。

2020年代は、それに費やされることになるだろうな。

アルテミス3なんて、いつになったら実現するか分からない。

1段目の再使用(~2025年:IFT-5自体が年越しになるかも)
→2段目の使い捨て(スターシップの打ち上げ)(2025年~)
→2段目の再使用を同時並行で追及(2026年~)
→タンカーの運用(2段目再使用)(2027年~)
→軌道上給油所(デポ)の運用(2028年~)
→HLSの運用(アルテミス3)(2029年~)

何事も起こらず(ありえねー・・・)、全てが順調だとしても、2028年までにアルテミス3が実現することはない。

その間に、墜落激突爆発炎上木っ端微塵が何度も繰り返されるに違いない(断定的!)。

それでも、スターシップシステムが確立されれば、人類の宇宙へのアクセスは飛躍的に高まる。

2030年代(中ごろか)、スターシップの有人化が実現すれば、今、何十億円も払っている宇宙旅行は、2桁くらい下がるだろう。

大陸間弾道旅客機については、数百万円で実現するに違いない。

スターリンクは、その技術を確立するためにも必要だ。

スターリンクの打ち上げで再使用を実現するのは、タンカーよりも後になるだろう。

デポへの推進剤の充填は、短期間に済ませなければならないからな。

高頻度の打ち上げが要求される。

もちろん、スターリンクも高頻度には違いないけど、ぶっちゃけ、それ程シビアではない。

それより、1回の打ち上げでどんだけ大量の衛星を上げられるかという方が重要だ。

うーん、まあ、何とも言えない気もする。

一般の衛星の打ち上げがどうなるかは見えていない。

大開口部を持つ2段目の開発が可能かどうかという問題もある。

こっちも、まずは使い捨てからスタートだろうな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(ユナイテッド航空、Starlinkで無料機内WiFi 26年から)
https://www.aviationwire.jp/archives/308364

「2025年初頭に実証実験を開始し、2026年後半から主要路線と地域路線の旅客便でサービスを順次始める予定。」

うーん、業界でも話題のようだ。

「乗客だけでなく客室乗務員や空港のグランドスタッフ(地上旅客係員)をはじめとする航空会社のスタッフも、自然災害発生時などに運航便との情報共有が円滑になる」

おっと、そういうクリティカルな通信まで担わせようってかあ?。

通信は重層化しておくに越したことはないけどな。

この記事には、ユナイテッドが従来の静止衛星経由の通信を廃止して、低軌道衛星群に置き換えるという方針はどこにも記載されていない。

やっぱ、刺激が強いんだろう(そういうことかあ?)。

(NGSOの収益は2028年までに静止衛星市場を上回る)
https://spacenews.com/ngso-revenue-to-overtake-geostationary-market-by-2028/

「9月15日に発表されたNovaspaceの調査によると、非静止軌道上の衛星群(NGSO)は2028年までに収益で静止衛星を追い抜く見込み」(NGSO:non-geostationary orbit)

「GEO 宇宙船は交通量の多い地域に大量の容量を供給するのに優れています。」

トラポン(トランスポンダー)の数で勝負だな。

「高スループットの GEO 衛星は、厳格なサービス レベル契約 (SLA) が普及している航空、軍事、企業、その他のプレミアム市場セグメントで引き続き大きな注目を集めている」

その一角である民間航空の大手が、GEOを切り捨ててNGSOに走ったわけだ。

「すべての軌道からの容量需要が 2023 年の 6.5 Tbps から 2033 年には 73 Tbps に増加すると予想」(Novaspace 社の最新の年次衛星接続およびビデオ市場レポートの編集者でもあるブックス氏)

「アマゾンがその強力な財務力を活用して大幅に低価格で市場に参入できるかどうかなど、複数の不確実性がこれらの予測を曇らせている。」

アマゾン(プロジェクトカイパー)だってえ?。

ニューグレンは飛ばず、ドリームチェイサーの遅延でバルカンの2号機が遅れる中、2020年代に低軌道衛星コンステレーションを展開するのは不可能だろう。

低軌道コンステレーションは、スターリンク一択の様相が色濃くなってきた(そうなのかあ?)。

イーロンマスクの鼻息は、ますます荒くなる一方だな・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーー

(衛星通信市場で Starlink に挑戦してみませんか?)
https://spacenews.com/want-to-challenge-starlink-in-the-satcom-market/

「軌道へのアクセス:
SpaceXは打ち上げ市場を独占」

「有望な打ち上げ選択肢としてアリアンスペース社のアリアン6号とブルーオリジン社のニューグレン号」

冗談はよしてくれ!。

「ソフトウェア定義衛星:
現実には、現時点では価格が大幅に上昇し、納期は3年から4年まで延びている」(ノヴァスペースのマネージングディレクター、ネイサン・デ・ルイター氏)

「衛星インフラネットワーク層が競争力を持つようにするには、この傾向を逆転させることが重要だ」

少なくとも、現状ではどうしようもない。

「地上セグメント」

スターリンクは、バックボーン自体を軌道上に上げようとしているわけで、地上セグメントの相対価値は低下するのではないのかあ?。

そのうち、サーバーとかも宇宙空間で運用されるようになるのかもしれない(熱設計が難しそうだがな)。

「リソースのプール:
Starlinkでさえ、中東、アフリカ、アジアの一部の地域ではアクセスできない。」

そこは、統治機構の都合でアクセスできないだけで、リソースをプールしても同じだ。

「スペースXのサービスは2023年に高スループット衛星通信トラフィックの70%を占めた。衛星のさらなる増加に伴い、スペースXのCEO、イーロン・マスク氏はスターリンクが「来年には宇宙ベースのインターネットトラフィックの90%以上を占めるだろう」と語った。」

「それでも、市場拡大の余地は十分にあります。」

「衛星サービス市場が 2023 年の 190 億ドルから 2033 年には 530 億ドルに成長する」

その市場の支配はスターリンク独占に近づいていく。

ボトルネックが打ち上げ手段であることは明らかだ。

スターシップの運用が始まれば、決定的になる。

が、諦めたものでもない。

スターシップの打ち上げ能力は、スターリンクにとっては過剰だからな。

余剰の打ち上げ能力で、競合他社(アマゾン?)の衛星を上げてくれるかもしれない。

まあいい。

垂直統合で、自社事業展開できるスペースXに対抗するのは不可能だ。

統合されたリソースのどこをとっても、競合他社は追随できない。

驀進するS社のおこぼれを頂いて、隙間で生き残るのがせいぜいだろう。

が、スターシップが没になれば分からんけどな。

呪いをかけて、墜落激突爆発炎上木っ端微塵に期待するしかないか・・・。

<また追加>ーーーーーーーーーー

(ユナイテッド航空が2025年初めにStarlinkインターネットのテストを開始予定、2025年後半にも無料Wi-Fiが提供される可能性あり)
https://gigazine.net/news/20240917-united-airlines-starlink/

「衛星によってもたらされるインターネット通信を全顧客に無料で使えるようにすることを明らかにしました。」

うーん、この記事では、静止衛星サービスをぶったぎる話はビミョーに隠蔽されている。

「多くの乗客が接続するとしばしば混雑する現在の回線とは異なり、Starlinkは需要が多くとも対応しきれる」

スターリンクのカバーが少ない北極圏を飛ぶときには用心だろうな・・・。

「ユナイテッド航空の乗客は、すべての区間で、世界最先端の高速インターネットを利用できるようになります」(SpaceXのグウィン・ショットウェルCEO)

そこまで言って委員会?。

まあいい。

「機内通信が家でネットに接続するのと同じぐらいの感覚になる」(SpaceXのイーロン・マスクCEO)

CEO(Chief Executive Officer)が2人で委員会?。

自宅のネット接続がどれ程かという点も問題だがな。

ゲーマーとかは、低遅延に拘るだろうし、高品位のストリーミングの場合は高速で途切れなく接続できることが重要だ。

ウィンドウズの更新の時とかに重なると、悲惨なことになる可能性もある(そういうのは、家でやってくれ!)。

「ユナイテッド航空の最高顧客責任者であるリンダ・ジョジョ氏は、具体的な通信速度についてのコメントは避けつつ、「サービスについては保証する」と述べました。」

もちろん、太陽の活動が活発になって通信が阻害される事態になればその保証だって怪しい。

それでも、従来の接続に比べて良好なインターネット環境が期待できるようだ。

ユナイテッドには最近乗ってないけど、機械があれば試してみたいな・・・。

🚀軌道打上:高頻度需要2024年09月18日 00:32

軌道打上:高頻度需要


(打ち上げ会社は新型機の飛行率向上に注力)
https://spacenews.com/launch-companies-focus-on-scaling-up-flight-rates-of-new-vehicles/

「新たな打ち上げロケットを配備している企業は現在、ロケットに対する継続的な高い需要を満たすために事業規模を拡大する」

軌道打ち上げロケットのほとんど全てを賄っているスペースXと中国が抜けている記事に、何らかの意味があるとは思えないんだがな(新型ロケットに限った話なのは承知です)。

・ブルーオリジン:ニューグレン
2024年:1回
2025年:12回(最大)
2026年:24回

・ユナイテッド・ローンチ・アライアンス:バルカンロケット
2024年:3回(初回飛行を含む)
2025年:不明

・三菱重工業:H3
2024年:不明
2025年:8回(???)

・アリアンスペース:アリアン6号
2024年:3回(初回飛行を含む)
2025年:6回
2026年:不明
2027年:10回(最大)

ファルコン9は、年間約100回の打ち上げを記録しているし、中国もほぼ同様の頻度で上げている(未確認)。

ロシアはもちろん、インドやイラン、イスラエルも不定期に上げているし、米国企業でもロケットラボが年間数十回程度の打ち上げを目指している。

アリアンは、我が国と同じく、地域の政府需要を賄うためのロケットだから、欧州が独自の低軌道コンステレーションでも始めない限り、これ以上需要は伸びない。

H3も同じだ。

既存のロケットの置き換えなアリアンとバルカン、H3は、基本的に需要の拡大はない。

プロジェクトカイパーで、初期展開のバブルが見込めたとしても、ニューグレンが期待通りの出来なら、コスパの高さで対抗できないからな。

しかし、それも、スターシップの運用が始まるまでの話だ。

その高頻度打ち上げがどの程度になるかは不明だが、最終的に1時間に1回の打ち上げが可能とすれば(グインショットウェルはそう言ってたからな)、年間で8,760回(24×365)ということになる。

べらぼーめ・・・。

既に見たように、記事に登場する新型ロケットを束にしても、年間100回には届かない。

年に約1万回の打ち上げ(2桁違う!!)なんて、非現実的な気がする。

そんな需要は、打ち上げロケットにはない(断定的!)。

大陸間弾道旅客機でもなければ実現できないだろう。

弾道飛行だから、打ち上げロケットじゃないけどな。

まあ、どうでもいいんですが。

中国は、スターリンクに匹敵する低軌道コンステレーションを展開するつもりのようだから、そこそこの打ち上げ需要はあるかもしれない。

再使用ロケットの開発にも熱心だ。

一定の技術力があることは、各種無人探査や独自の宇宙ステーションの配備で証明済みだから、リアルな話ではある。

それでも、スターシップに匹敵するロケットを開発するのは困難だろう。

ニューグレンだって、2段目の完全再使用は先の話だ。

1段目の回収について、笑っちゃうネーミングを付けている。

「だからチャンスがあると言っているのね」(“So You’re Telling Me There’s a Chance.”)

誰も言ってくれないから(!)、自分で言うしかないわけだ(そういうことかあ?)。

まあいい。

低軌道コンステレーションは、確かに打ち上げ需要を喚起している。

しかし、スターシップが生み出す桁違いの打ち上げ能力や高頻度を満たす需要はまだ見えない。

宇宙空間に太陽電池を打ち上げて発電する話はあるけど、その電力を地上に降ろす話は検討中だ。

地球温暖化を緩和するために、太陽光を遮るシェード(日傘?)を打ち上げる話もあるけど、SFの域を出ないからな。

月面基地や火星移民なんて言う与太話は、いくらでも転がっているが、実現可能性はゼロだ(断定的!!)。

そういえば、宇宙に小型衛星をばらまいて、広告塔にするという話もあったな。

高頻度低価格な宇宙空間へのアクセスが可能になれば、様々なアプリケーションが生まれる余地はある。

浮沈子的に興味があるのは、実現可能性はともかく、スペースコロニーの建造だろう(<以下追加>参照)。

これまでは、月や小惑星からマスドライバーで材料を供給する話しかなかったが、スターシップが出来れば地上から打ち上げてもいいかも知れない。

が、数百万トンの材料を上げるとなると、1回あたり100トン(まあ、低軌道ですが)としても、数万回の打ち上げが必要になるからな。

相手にとって不足はない(そういうことかあ?)。

1時間に1機上げても、10年がかりの事業になる。

軌道打上ロケットの高頻度需要というのは、これからはそういうレベルの話になるんだろうな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(世界一の大富豪、アマゾンCEO・ベゾスが発表した「スペースコロニー計画」の実現度)
https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2019/05/29/108966/

「「ベゾス氏は『われわれは月の探査ではなく、月の経済開発をする』と言っています。月に観測装置などの機器を送り込むたびにブルー・ムーンを使えばビジネスになる。さらに、将来的に月に人が滞在するようになれば、定期的に物資を配送する物流ビジネスが展開できるんです」(鳥嶋氏)」

うーん、アマゾンだけに、キーワードは物流なわけだ・・・。

「「ガンダムに出てくるような、数千万人が暮らせるスペースコロニーを考えているようです。『自分の子供や孫の世代には実現できるよう、その基礎を造る。月着陸船などの宇宙開発もそのためのものだ』とも言っていました」(鳥嶋氏)」

高頻度打ち上げ需要の先にあるのは、やっぱスペースコロニーだろうな。

「1990年代前半に『バイオスフィア2』という完全な閉鎖環境内に独自の生態系をつくって、そこで植物を育てたり、人間が住んだりする実験が行なわれました。結果は時間がたつと酸素量が減っていき、うまくいかなかった。しかし、生態系は大きければ大きいほど維持しやすいんです。」(名古屋大学で天体物理学を研究している早川貴敬氏)

今のところ、具体的な話はもちろんない。

ISSなどの宇宙ステーションは、地球からの補給なしには維持できないからな。

それも、せいぜい10人程度の規模で維持されているに過ぎない。

数千万人が居住ということになれば、少なくとも10万倍の頻度で補給船を飛ばす必要が出てくる。

現在、3か月に1度程度の補給を行っているけど(プログレス含む)、計算上は1分に1回くらいの補給が必要になる(テキトーです)。

高頻度需要だな(そういうことかあ?)。

自給自足のコロニーを作るのは大変だろう。

補給船の頻度を軽減するのがせいぜいだ。

ジェフベゾスの構想の背景には、地球滅亡というシナリオがあるようだが、やがては太陽系自体も滅んでしまうだろうから、何らかのエネルギー源を確保しつつ、人類が継続して存在する基盤を構想する必要があるのかもしれない。

多惑星種とかいうのもその一つだけど、太陽依存の生態系には違いないからな。

スペースコロニーというのは、そういう話の究極のビジョンでもある。

そいつを太陽重力圏から解き放って、恒星間飛行させることができれば、人類播種計画ということになる。

そうなれば、高頻度打ち上げは必要なくなる。

それまでは、地球からとは限らないだろうけど、太陽系の資源を使ってスペースコロニーを作らなければならないからな。

高頻度需要の終焉は、恒星間飛行可能なコロニーの建造(完成)ということになる。

ジェフベゾスの孫の孫の孫くらいの世代になれば、そういう話も与太話ではなくなっているかもしれない。

しかしだ、そのスペースコロニーに住んでいる人々は、その頃にどういう風に考えるだろうか。

恒星間空間を飛行しながら、コロニーに閉じ込められ、閉塞感を味わうことになるのではないか(未確認!)。

つーことはだな、そのスペースコロニーから打ち上げられるロケットを開発するという新たな需要が生まれるわけだ(そうなのかあ?)。

高頻度打ち上げ保存の法則を見つけたりということか。

やれやれ・・・。

恒星間飛行するコロニーが複数あれば、その間をネットワークで結ぶ需要も生まれるかもしれない。

アマゾン保存の法則か。

まあ、どうでもいいんですが。

降る雪や、地球は遠くなりにけり・・・。

😼ニューラリンク:ブラインドサイト:心眼2024年09月22日 06:56

ニューラリンク:ブラインドサイト:心眼
ニューラリンク:ブラインドサイト:心眼


(Neuralink は、目の見えない人が見えるように設計されたデバイス、Blindsight の臨床試験に一歩近づいています)
https://www.elonx.cz/neuralink-je-o-krok-blize-ke-klinickym-testum-zarizeni-blindsight-ktere-ma-umoznit-slepym-videt/

「すべてのチャネル (電極) でニューロン信号を受信するだけでなく、各チャネルのニューロンを刺激することもできます。これにより、目を迂回して脳内で直接画像を生成することが可能になります。」

いろいろ含蓄にあふれた記事だが、浮沈子的に気になったのは感覚器を介さず、脳を直接刺激して画像を生成するという点だ。

この話は、ブラインドサイトにおいては視覚に限った話となるが、既にニューラリンクでは「テレパシー」において脳内の信号を取り出し、能動的にパソコンなどを操作することが出来る(<さらに追加>参照:順番逆だけど)。

「私たちは一般化されたニューラルインターフェイスの開発を試みています。」

「このロボットは脳のどの部分にも電極を埋め込むことができます。同様に、インプラントはどこにでも設置できます。」

つまりだな、視覚だけでなく、聴覚や味覚、内臓からのフィードバックも含めて、脳が受け取っている信号全てを置き換え、さらに筋肉などへの能動的な信号も含めたあらゆる脳活動のイン/アウトを制御しうるということなわけだ(そうなのかあ?)。

「Neuralink が開発しているプロテーゼは、簡単に言うと上の写真のようになります(画像参照)。これは 3 つのコンポーネントで構成されます。」(プロテーゼ:人工軟骨:ここでは視覚を生成するためのデバイス群の意?)

・カメラ:画像を携帯電話に送信します
・携帯電話:画像を処理し、必要なデータをニューラル インターフェイスに送信します。
・インターフェース:画像を必要なスキーマに変換し、ニューロンを刺激します。

携帯電話(通信機能を備えた情報処理可能なノード?)で、何らかの操作を行えば、実際には存在しないものを映したり、存在するものを消し去ったりするだけでなく、全く架空の映像を流すことさえも可能になる。

それが視覚のみならずあらゆる感覚に及べば、人間は架空の世界をリアルに感じながら生きることになる。

究極の仮想現実だな・・・。

過食と運動不足に悩む浮沈子(肥満に向けてまっしぐら!)にとっては、実に効果的なダイエットに繋がるかもしれない。

飯食ったつもりになり、食欲さえもコントロールできるようになる(そういうことかあ?)。

そうか、記憶さえも生成することが出来るようになるわけだ。

従来の記憶を消し去ったり、改変することが可能かどうかは分からないが、少なくとも新たな仮想記憶を植え付けることは可能だ。

もちろん、脳は電気的刺激だけで認識しているわけではなく、体内の化学的な刺激も感知しているから、「全て」の感覚を制御できるわけではないのかもしれないが、化学的刺激をブロックして、電気的刺激で仮想化された信号を送れば、その辺りはどうにでもなるような気もする。

脳細胞の電気的興奮を再現できればいいわけだからな(そうなのかあ?)

まあ、どうでもいいんですが。

マトリックスの世界、胡蝶の夢の世界が現実になる。

ただし、脳細胞そのものを直接弄るわけではない。

つまり、経験(感覚の時間的累積)から何を得るかというところは、相変わらず人間側に依存しているわけだ。

思想信条のコントロールはできない。

が、まあ、それだって怪しい。

「私たちは一般化されたニューラルインターフェイスの開発を試みています。」(再掲)

記憶は、脳全体に分散して保存されていると言われている(<以下追加>参照)。

そいつを弄ることが出来るようになれば、何でもアリな状況が生まれる。

人生の経験全て、外部に蓄積された資産(家族などの社会関係を含む)や情報(卒業証書とかも?)を除く、本人の記憶に属する情報は制御可能になっちまう。

「心」は、しかし、経験(記憶)とは切り離されて存在するのではないか。

(◆心不在焉、視而不見、聽而不聞、食而不知其味。此謂脩身在正其心。「心が 動揺すると身は収まらない」…『大学』)
https://ikaebitakosuika.cocolog-nifty.com/blog/2018/11/post-1010.html

「心が動揺し正常な判断や行動を保てないでいると、物事を視ても見えず、聴いても聞こえず、食べてもその味が分からない。
 わが身を修めるには、まず自分の心を正すことである、というのはこのことをいうのである。」

やっぱ、ダイエットするには「心を正す」必要があるということなわけだ(そういうことかあ?)。

イーロンXの記事では、ラフォージ(スタートレックの登場人物)の話が出てくるが、あらゆる周波数帯での拡張視覚を得たとしても、世界には心眼でしか見えないものがあるに違いない。

最近は、スターリンク衛星が飛び回っていて、電波天文学が崩壊の危機にさらられているという話もある。

(第2世代のStarlink衛星は第1世代の32倍もの電波を放射しており電波望遠鏡による天体観測を台無しにしてしまう可能性)
https://gigazine.net/news/20240920-starlink-satellites-leak-excess-radiation

「Starlinkなどの人工衛星から放出される電波が、電波望遠鏡による天体観測を脅かしている」

まあいい。

いろいろ調べていくと、「盲視」という現象があることも分かった(ニューラリンクのプロジェクト「ブラインドサイト」と同じ英語だが、出自はこっちではないらしい:SFネタのようです)。

(盲視:blindsight)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%B2%E8%A6%96

「知覚的な経験('クオリア')を伴うことなく、視覚刺激への何らかの応答を示す現象」

見えているという自覚がないのに、無意識に反応できるということなわけだ。

「網膜からV1へいたる経路は、皮質へ情報を伝達する最も主要な経路であっても、唯一の経路ではない。盲視を示す被験者で視覚が残存していることは、V1を経由せずに高次視覚野へ投射する経路によると、一般的には考えられている。」

「このようにして生じた高次視覚野での活動が、V1が存在しないときには視覚的意識(アウェアネス)を生じえないように見える」

「見えている」という意識(アウェアネス)は、V1経由であることが必要なようだ。

盲視は、一見、「心眼」のようにみえるが、脳の経路損傷や視野領域の損傷を補う代償行為みたいな感じなのかも知れない。

心ここにあらずとも、何となく見えているということなわけだ(感覚器である眼球は正常か)。

浮沈子は、両眼の水晶体は既に人工眼内レンズ(安物の単焦点レンズ)に置き換わっていて、網膜も新生血管を抑制するためにレーザーによる光凝固術で焼いている(目玉焼き2個!!)。

視覚については、いろいろと気になっているが、脳(視覚野)が無事なら、そのうちブラインドサイトで置き換えが出来るようになるかもしれない。

もっとも、最近は記憶の方が重傷で、さっき見たのは何だったっけ状態になりかねないけどな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(脳とは「記憶そのもの」だった──「記憶のメカニズム」の詳細が明らかに)
https://wired.jp/2017/08/12/your-brain-is-memories/

「典型的な記憶とは、過去のある時点で活発だった脳の複数の部位のつながりが、再び活性化することでしかないのです」(論文共著者のひとり、神経科学者のニコライ・ククシュキン)

「分子、イオンチャンネルの状態、酵素、転写プログラム、細胞、シナプス、それにニューロンのネットワーク全体をほじくり返してみると、記憶が蓄えられている場所など、脳内のどこにもないとわかります」(同上)

「生物が過去の一部を未来と統合し、新たな課題に挑戦できるようになる」

ほほう、これは重要な指摘だな。

記憶という「物」はなく、「脳全体の機能」として存在することなわけだ(そうなのかあ?)。

それは、生存性を高めることに決定的に寄与している。

「無限と言っていいほど膨大な数のインプットが、連鎖的に脳内を駆け巡る。ニューロン、制御分子、それによって生じたシナプスには、関連するすべての副次的事象が、その発生の時系列とともにエンコードされている」

脳の機能は複雑だ。

「記憶形成のしくみの詳細がわかるには、まだまだ時間がかかるだろう。」

しかし、それは不可能ということではない。

有限の要素が紡ぎ出す無限の可能性・・・。

我々の脳が、自らを理解するプロセスの一環だ。

いや、それは既にAIの仕事になるのかもな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(脳インプラント装着で「マルチタスキング」──ニューラリンク初の被験者に訊く)
https://wired.jp/article/neuralink-first-patient-interview-noland-arbaugh-elon-musk/

「アーボーはニューラリンクが「Telepathy」(テレパシー)と名付けた研究用機器を脳に埋め込む最初の被験者となった。ブレイン・コンピューター・インターフェイス(BCI)であるTelepathyは、使用者が意図する動きの脳内信号を解読して、コンピューターのコマンドに翻訳する。アーボーがノートPCのカーソルを動かそうと考えるだけで、カーソルは動く。」

ちょっと前の記事だが、日本語で全文が読めて分かりやすいのでリンクした。

浮沈子的に意外だったのは、記事の末尾のこの記述・・・。

「──BCIの次のフロンティアは何だと思いますか?」(ワイアード)

「・・・
BCIがまだ脳に書き込むことはできないのは知っています。いまは読むだけ。知識を埋め込むことはできません。でも、いま、読める段階にいるならば、いずれ書き込むこともできるかもしれない。ちょっと恐ろしい考えで、あまり喜ばない人がたくさんいると思います。じっくり考えて、慎重に進めなければいけないことかもしれません。でも、現実味のあることだと思います。きっと明るい未来です。」

実際にインターフェースを埋め込んだアーボーの見解であるところに注目だな。

彼は恐れてはいない。

「書き込み」とあるが、ブラインドサイトもその一つの形だ(知覚信号ですが)。

「知識を埋め込む」ということとは質的に異なるだろう。

が、いずれは乗り越えてしまうに違いない。

彼は、そこに「明るい未来」を見ている。

そう、自動運転のテスラとかじゃなくて、まるで映画マトリックスの中でトリニティがヘリの操縦を瞬時にマスターするように、脳に「新たな機能」を埋め込む。

学習とか、熟練とかは過去の話になる。

浮沈子だって、運動神経に問題はないと思ってるけど、筋肉と上手く繋がっていないとこが玉に瑕なわけだ(未だにクロールの呼吸が出来ない・・・:そういうことかあ?)。

そこんところを外部デバイスに直付けして制御できるようにすれば、ヘリを飛ばすことだってできるようになるかもしれないしな。

まあいい。

脳にインプットするためのアクセスがどういう形で実現するのかは知らないが、繰り返し刺激を与え続ければ、熟練も不可能ではないかも知れない。

ダイビング関連で、「筋肉の記憶」について書いたことがある。

繰り返し手順を訓練して、筋肉が覚えるまで熟練する必要があるという話だ。

(メキシコへの道:第2章:筋肉の記憶)
https://kfujito2.asablo.jp/blog/2021/12/13/9447714

「ここで重要なのは、「筋肉の記憶」を発達させて、無意識のプロセスを拡大し、意識の負荷を軽減して、その分を他に振り向けて、ロストラインなどのリスクを減らそうという点だ。」

もちろん、筋肉は記憶できない(たぶん)。

が、脳内の回路の形成だけではなく、脳から筋肉への経路も太くする必要があるかもしれない(未確認)。

明るい未来か。

アーボーの言う通りだといいんだがな・・・。

🐼再使用ロケット:ネビュラ1:惜しい!2024年09月24日 10:52

再使用ロケット:ネビュラ1:惜しい!
再使用ロケット:ネビュラ1:惜しい!


(ディープ・ブルー・エアロスペースのホップテスト、着陸直前に異常発生)
https://spacenews.com/deep-blue-aerospace-hop-test-suffers-anomaly-moments-before-landing/

「垂直離陸、垂直着陸試験の映像には、ロケットが所定の高度まで上昇し、179秒間の飛行に使用された3基のエンジンのうち2基を停止する様子が映っている。」

どう見てもCGな1本目の動画とは異なり、2本目の映像は打ち上げから「墜落激突爆発」までの一貫したリアル映像を示している(残念ながら爆発後の「炎上&木っ端微塵」は映っていない:惜しい!:そういうことかあ?)。

まあいい。

打ち上げ、上昇、姿勢制御、降下への切り替え(エンジンの一部停止)、着陸地点への誘導、地上5mくらいまでの降下(スロットリングによる推力の制御)、ホバリングに近い速度までの減速は上手くいっている。

あとちょっとだったのにな・・・。

中国のパワードランディングの実情を初めて見た。

もちろん、これはスペースXがグラスホッパーでやっていたレベルだからな。

宇宙空間からの超音速での降下(と減速)は今後の課題だが、実用への可能性を十分感じさせてくれる。

このレベルの飛行は、おそらく我が国でも実現可能に違いない(未確認)。

エリックバーガーも記事にしている。

(中国のロケットが日曜日に着陸をわずかに逃した。ビデオは素晴らしい)
https://arstechnica.com/space/2024/09/a-chinese-rocket-narrowly-missed-a-landing-on-sunday-the-video-is-amazing/

「試験飛行は約2分半順調に進んだが、着陸直前に機体に問題が発生し、火の玉が噴き出した。」

「ファルコン9と同様に、灯油と液体酸素を燃料とするエンジンで動く。」

「早ければ11月にも、再度の高高度テスト飛行を試みる予定」

再テストへのリードタイムの短さも、S社を彷彿とさせる。

記事によれば、中国ではこのほかにも数社が再使用ロケットに取り組んでいるらしい。

Deep Blue Aerospaceは、外連味のないエンジンを採用し、基礎的な技術を積み上げて、確実な打ち上げロケットを開発しようとしているように見える。

それが実現可能であることは、ファルコン9が実証しているからな。

何の前例もなく、工学的なチャレンジを行うのとは異なる。

さらには、経済的なインセンティブ、高頻度打ち上げによる市場支配という人参もぶら下がっている。

中国の再使用ロケット技術は本物だ。

ネビュラ1のビデオ(実写版の方)は、そのことを明らかにしている。

エリックバーガーは余裕で見ているけど、やがては追いつかれ、ひょっとするとぶち抜かれる可能性もある。

米国は、国家を挙げて使い捨てロケットであるSLSを開発したが、中国は官民一体で再使用ロケットに取り組んでいる。

(中国、大型再使用ロケットを2025年と2026年に打ち上げ予定–直径が4mと5m)
https://uchubiz.com/article/new41280/

「直径が4mと5mの再使用可能なロケットを、それぞれ25年と26年に打ち上げる計画」

「2027年の試験飛行が予定されている長征10号のシングルコア版は次世代宇宙船を地球低起動(LEO)に打ち上げるのに利用され、3コア版は宇宙船「夢舟(むしゅう、Mengzhou)」を月周回軌道に打ち上げる。」

(中国、有人月探査ロケット「長征10号」の新型エンジンをテスト)
https://uchubiz.com/article/new24413/

「長征10号は2027年の試験飛行が予定されているロケットで、月探査や有人月面探査にも利用される予定」

だが、まあ、当分は1段目の再使用に留まるだろう。

それでも、再使用ロケットによる高頻度低コスト打ち上げを手に入れれば、地球低軌道衛星コンステレーションによるインターネットサービスやスパイ衛星網を構築することが可能になるし、スターリンク(スターシールド)に対抗することだってできるかもしれない。

スターシップのように2段目の再使用が可能になれば、そして、スターリンクを上回る高頻度打ち上げ需要を見出すことが出来れば、中国は真の宇宙大国へと進化する可能性がある。

うーん、やっぱスペースコロニーかなあ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

別稿で取り上げるかもしれないけど、インドはその中国をキャッチアップしようと猛烈に追い上げている。

軍事需要があまりなさそうなので(未確認)すそ野は広くないかも知れないけど、限られたリソースを効率的に投入して、惑星探査や月面着陸を成功させている。

が、再使用ロケットの話は聞かない(まあ、将来、ちょこっとはやるようですが)。

鳴かず飛ばずのロシアでも、再使用という話は出ていない。

欧州や我が国は、話だけ出ていて、また、要素技術の開発はしているけど、本格的に取り組んでいるとは言えない。

未だに懐疑的だ。

つーか、1年に10回程度の打ち上げなら、使い捨ての方がいいのかもしれない。

中国が再使用に積極的取り組んでいる背景には、年間100回を大幅に上回る高頻度打ち上げの需要を見据えているからに他ならない。

中国版スターリンクの先に、どんな需要が見えているのか。

浮沈子的には、そっちの方が気になる。

太陽光発電か、宇宙日傘か。

中国の場合は、インドと異なり、軍事需要が活発だからな。

米国とシスルナ空間を争うのか、中国版スターシールドを展開するのか。

世界中どこでも1時間以内に兵士を送り込める、大陸間弾道輸送ロケットを目指しているのかもしれない。

ネビュラ1の先には、無限の広がりが横たわっている。

宇宙は広大だ。

そこへの高頻度低価格のアクセスを確立することは、国家にとっては極めて重要だろう。

小さな1歩だが、既に踏み出していることの意義は大きい。

その歩みが後退することはない・・・。