リチウムイオン電池の過熱 ― 2016年05月02日 02:27
リチウムイオン電池の過熱
航空機にリチウムイオン電池を積んで、過熱事故を起こしたといえば、B社の787が有名だが、実はもう一機、ヤバイ機体がある。
(ソーラー・インパルス2、バッテリー修理・交換でハワイに足止め:昨年の記事です)
http://www.afpbb.com/articles/-/3054277
「絶縁が過剰だったため飛行初日にバッテリーの温度が急上昇したが、飛行中は冷却する方法がなかったのだという。」
このプロジェクトは、かなりヤバイと浮沈子が感じたのは、実績のない実験的なシステムを運用する上での基本的な姿勢というのがなっていないんじゃないかという点だな。
名古屋ーハワイ間は、118時間の長丁場だし、途中にダイバートする島も殆どないので(南鳥島、ウェーク島、ミッドウェー島)、過酷であることは確かだが、それが原因でバッテリーに負担が掛かったわけではない。
過熱したのは飛行初日とある。
普通なら、名古屋に引き返すところだ。
記事中にあるように、飛行中に有効な冷却をすることは出来ない。
このトラブルを抱えながら、残りの区間を飛行し続けたというのが信じられない。
システムの欠陥なのか、製品の不良なのかは分からないが、天候の都合で季節的に不適な時期になり、年越しをしたわけで、当初のプロジェクトの意義は、大いに棄損されたというわけだ。
太陽電池とリチウムイオン電池で空を飛ぶというのは、確立された技術ではないということを、全世界に知らしめたわけだからな。
もちろん、冒険としての価値は上がったといえるだろうが、プロジェクトの目的は冒険ではない。
再生可能エネルギーに対する関心を高めることにあるわけで、マイナスのイメージはご法度なわけだ。
記事によれば、絶縁をやり過ぎて、放熱が十分でなかったとある。
当然、そこのところは解決されたと願っているが、根本的には問題を抱えたままの状態で、以後の飛行を続けることになる。
無人機ではない。
1名とはいえ、有人の飛行機で、欠陥を抱えたままの飛行を継続したわけだ。
ハワイからカリフォルニアまでは、半分程度の時間で飛んでいるが、大西洋横断やサハラ横断が控えている。
いやな予感がするな。
もちろん成功を祈っているが、技術的な裏付けがあってこそのチャレンジだろう。
カリフォルニアまでの飛行で、バッテリーの温度管理は大丈夫だったんだろうか?。
(グーグルの無人飛行機、そのバッテリー技術が明らかに)
http://sorae.jp/10/2016_04_29_google.html
「飛行機の中心部から離れた場所にバッテリー格納部を配置することで安全にバッテリーを運搬し、ソーラー発電など他の搭載システムで発電した電力を安全に貯蓄し、推進用のプロペラが接続されたモーター、さらにはナビなど他システムも稼働させる」
無人機でさえ、バッテリーを隔離して、万が一の際の対応を確保している。
「要はバッテリーをメインシステムから離れた場所に配置する技術と考えればOKです。」
「現在も乗客による航空機へのリチウムイオンバッテリーの持ち込みは厳しく制限されています。」
充放電していないリチウムイオン電池は、衝撃を与えたりしなければ、それ程危険ではないだろう。
預託荷物ではなく、機内持ち込みで、回路から切り離されていれば安全に運搬することもできるだろう。
ノートパソコンの電池くらいなら、なんとかなる。
しかし、動力で使うような大電流を流す回路でリチウムイオン電池を使うというのは、まだ実用段階とはいえない。
重量が軽く、大電流の放出が可能で、移動体の電池として優れていることは確かだが、ヤバイ領域と安全な領域が近接し、制御が難しい電池であることも確かだ。
ソーラーインパルス2は、今回、そのことを思い知ったはずである。
それでも、飛んだ。
ハワイから、カリフォルニアまで飛んだ。
ハワイでの改修の内容と、今回の飛行の詳細は知らない。
そもそも、本来なら、上海からハワイまで、一気に飛ぶはずだった。
この際だから、米国で中止してしまうというのも選択肢だろう。
長距離飛行では、まだまだ問題が解決されていないということが証明されたわけだしな。
速度も遅く、有人飛行では限界があることも分かった。
ちなみに、気球による無着陸世界一周は、今回のパイロットの一人であるベルトランピカールが、1999年に、わずか19日間で達成している。
(世界一周飛行:無着陸世界一周飛行)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E5%91%A8%E9%A3%9B%E8%A1%8C#.E7.84.A1.E7.9D.80.E9.99.B8.E4.B8.96.E7.95.8C.E4.B8.80.E5.91.A8.E9.A3.9B.E8.A1.8C_2
今後の目標が、無人機というのも分かるような気がする。
無着陸、無給油(まあ、当然ですが)、無人という三無主義(本来は、無気力、無関心、無責任)で、21世紀的な世界一周飛行にチャレンジしてもらいたい。
自律飛行になるのか、衛星等を使って遠隔操縦することになるのか。
時速60kmで世界一周すれば、28日間で周ることができる。
そういう意味では、今回のプロジェクトは、その意義を失ってしまっている。
1年経っても、まだ終わっていない。
ここで断念するのが適当だろうと浮沈子は思っている。
この先で、決定的なトラブルに陥り、事故でも起こした日には目も当てられない。
ちょっとネガティブな話だが、それが常識というもんだろう。
もちろん、そういうまともな話が通じる世界でないことは承知の上だ。
冒険野郎がいなければ、世界はつまらなくなってしまう。
イカレタヤツがいるからこそ、浮沈子のようなマトモな人間(?)の価値もあるというものだ。
それにしても、ちょっとヤバ過ぎのような感じになっている。
今後の展開が、気になる話だ。
航空機にリチウムイオン電池を積んで、過熱事故を起こしたといえば、B社の787が有名だが、実はもう一機、ヤバイ機体がある。
(ソーラー・インパルス2、バッテリー修理・交換でハワイに足止め:昨年の記事です)
http://www.afpbb.com/articles/-/3054277
「絶縁が過剰だったため飛行初日にバッテリーの温度が急上昇したが、飛行中は冷却する方法がなかったのだという。」
このプロジェクトは、かなりヤバイと浮沈子が感じたのは、実績のない実験的なシステムを運用する上での基本的な姿勢というのがなっていないんじゃないかという点だな。
名古屋ーハワイ間は、118時間の長丁場だし、途中にダイバートする島も殆どないので(南鳥島、ウェーク島、ミッドウェー島)、過酷であることは確かだが、それが原因でバッテリーに負担が掛かったわけではない。
過熱したのは飛行初日とある。
普通なら、名古屋に引き返すところだ。
記事中にあるように、飛行中に有効な冷却をすることは出来ない。
このトラブルを抱えながら、残りの区間を飛行し続けたというのが信じられない。
システムの欠陥なのか、製品の不良なのかは分からないが、天候の都合で季節的に不適な時期になり、年越しをしたわけで、当初のプロジェクトの意義は、大いに棄損されたというわけだ。
太陽電池とリチウムイオン電池で空を飛ぶというのは、確立された技術ではないということを、全世界に知らしめたわけだからな。
もちろん、冒険としての価値は上がったといえるだろうが、プロジェクトの目的は冒険ではない。
再生可能エネルギーに対する関心を高めることにあるわけで、マイナスのイメージはご法度なわけだ。
記事によれば、絶縁をやり過ぎて、放熱が十分でなかったとある。
当然、そこのところは解決されたと願っているが、根本的には問題を抱えたままの状態で、以後の飛行を続けることになる。
無人機ではない。
1名とはいえ、有人の飛行機で、欠陥を抱えたままの飛行を継続したわけだ。
ハワイからカリフォルニアまでは、半分程度の時間で飛んでいるが、大西洋横断やサハラ横断が控えている。
いやな予感がするな。
もちろん成功を祈っているが、技術的な裏付けがあってこそのチャレンジだろう。
カリフォルニアまでの飛行で、バッテリーの温度管理は大丈夫だったんだろうか?。
(グーグルの無人飛行機、そのバッテリー技術が明らかに)
http://sorae.jp/10/2016_04_29_google.html
「飛行機の中心部から離れた場所にバッテリー格納部を配置することで安全にバッテリーを運搬し、ソーラー発電など他の搭載システムで発電した電力を安全に貯蓄し、推進用のプロペラが接続されたモーター、さらにはナビなど他システムも稼働させる」
無人機でさえ、バッテリーを隔離して、万が一の際の対応を確保している。
「要はバッテリーをメインシステムから離れた場所に配置する技術と考えればOKです。」
「現在も乗客による航空機へのリチウムイオンバッテリーの持ち込みは厳しく制限されています。」
充放電していないリチウムイオン電池は、衝撃を与えたりしなければ、それ程危険ではないだろう。
預託荷物ではなく、機内持ち込みで、回路から切り離されていれば安全に運搬することもできるだろう。
ノートパソコンの電池くらいなら、なんとかなる。
しかし、動力で使うような大電流を流す回路でリチウムイオン電池を使うというのは、まだ実用段階とはいえない。
重量が軽く、大電流の放出が可能で、移動体の電池として優れていることは確かだが、ヤバイ領域と安全な領域が近接し、制御が難しい電池であることも確かだ。
ソーラーインパルス2は、今回、そのことを思い知ったはずである。
それでも、飛んだ。
ハワイから、カリフォルニアまで飛んだ。
ハワイでの改修の内容と、今回の飛行の詳細は知らない。
そもそも、本来なら、上海からハワイまで、一気に飛ぶはずだった。
この際だから、米国で中止してしまうというのも選択肢だろう。
長距離飛行では、まだまだ問題が解決されていないということが証明されたわけだしな。
速度も遅く、有人飛行では限界があることも分かった。
ちなみに、気球による無着陸世界一周は、今回のパイロットの一人であるベルトランピカールが、1999年に、わずか19日間で達成している。
(世界一周飛行:無着陸世界一周飛行)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%80%E5%91%A8%E9%A3%9B%E8%A1%8C#.E7.84.A1.E7.9D.80.E9.99.B8.E4.B8.96.E7.95.8C.E4.B8.80.E5.91.A8.E9.A3.9B.E8.A1.8C_2
今後の目標が、無人機というのも分かるような気がする。
無着陸、無給油(まあ、当然ですが)、無人という三無主義(本来は、無気力、無関心、無責任)で、21世紀的な世界一周飛行にチャレンジしてもらいたい。
自律飛行になるのか、衛星等を使って遠隔操縦することになるのか。
時速60kmで世界一周すれば、28日間で周ることができる。
そういう意味では、今回のプロジェクトは、その意義を失ってしまっている。
1年経っても、まだ終わっていない。
ここで断念するのが適当だろうと浮沈子は思っている。
この先で、決定的なトラブルに陥り、事故でも起こした日には目も当てられない。
ちょっとネガティブな話だが、それが常識というもんだろう。
もちろん、そういうまともな話が通じる世界でないことは承知の上だ。
冒険野郎がいなければ、世界はつまらなくなってしまう。
イカレタヤツがいるからこそ、浮沈子のようなマトモな人間(?)の価値もあるというものだ。
それにしても、ちょっとヤバ過ぎのような感じになっている。
今後の展開が、気になる話だ。
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