ファルコン9の5月打ち上げ2018年05月06日 18:39

ファルコン9の5月打ち上げ
ファルコン9の5月打ち上げ


当初、4月に詰め込めるだけ詰め込んで、5月の打ち上げの予定はなかったが、例によって予定は未定で、3件の打ち上げが入っている。

「・May 19 Iridium NEXT Flight 6 & GRACE follow-on
Location Vandenberg AFB SLC-4
Time 1:03 PM PDT / 2018-05-19 20:03:00Z

・May 24 SES-12
Location Cape Canaveral AFS SLC-40
Time 12:29 AM EDT / 2018-05-24 04:29:00Z
Window 58 minutes

・NET May Bangabandhu-1
Location Kennedy Space Center LC-39A
Time TBD
Window 2 hours, 25 minutes」

注目は、打ち上げ場所だな。

バンガバンデュ1は、おそらく一番早いスケジュールになると思われるが、発射台は決まっている。

初物でヤバイ打ち上げになりそうなのは、39Aでやる(そうなのかあ?)。

だって、発射台ごと吹っ飛ぶかもしれないと期待させたファルコンヘビーは、同じ39Aだったからな。

NASAは、今回も渋い顔したかもしれない(壊すなよお・・・)。

まあいい。

イリジウムネクストとグレイスFOは、極軌道だからな。

バンデンバーグになる。

そして、SES-12が手堅く40番発射台から上がる。

両方とも1段目は、ブロック4の再使用だ。

従来のやり方からすれば、回収されるかどうかは不明だ。

捨てちゃうかもしれない。

浮沈子は、その可能性が高いと見ている。

バンガバンデュ1は、ブロック5だから捨てるわけにはいかない。

100パーセント回収される(失敗すれば別ですが)。

今月の打ち上げで、フェアリングの回収がどこまで行われるかは不明だ。

回収船(Mr. Steven)は、西海岸にしかないからな。

シミュレーションとして、落下傘で落とすところまではやるんだろう(未確認)。

とにかく、重要なのは、ブロック5が実用になることを確認し、回収された1段目を徹底的に調べることだろう。

最小限のメンテナンス(48時間以内)で10回以上、オーバーホールして100回使えるかどうかをチェックする必要がある。

生産計画や、もちろんコストにも影響するからな。

商売としては重要なところだし、何度か書いているように、有人飛行に使う機体ということで、そのシビアさは半端ない。

他の2回の打ち上げは、ついでのようなもんだろう(そうなのかあ?)。

スタティックファイアテストも済み、後は衛星乗っけてぶち上げるだけだ。

100か所以上に上る改善が、有効に機能するのか、或いは、裏目に出て、新たなトラブルの種になるのか(あり得るなあ・・・)。

ブロック5の状況を見て、ブロック4の回収を考えているとしても不自然ではない。

しかし、従来も3度目の使用実績はないからな。

3度目の正直ということもある・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

ブロック5がいけるとなれば、早々にブロック4はお蔵になる。

いよいよ、スペースXの正念場が来る。

3か所ある発射台の全てを使う5月の打ち上げ。

成功すれば、ゲームのルールが変わることになる。

5月末時点で、今年の打ち上げはファルコンヘビーを入れても、13機にしかならない。

6月は、今のところ2機が予定されているようだ。

「・NETJun 13 STP-2
Falcon Heavy
Location Kennedy Space Center LC-39A
Time TBD

・NETJun 28 CRS-15
Falcon 9 ブロック4
Location Kennedy Space Center LC-39A
Time TBD
Window 1 second」

ヘビーは、7月に延期になる公算が強い。

その代わり、別の静止衛星の打ち上げがあるかもしれない。

数合わせとしては、半年で15機だから、年間30機は達成可能だろう。

しかし、もう、2桁の数字で語る時代は終わりを告げつつあるのかもしれない。

実際の運用がどうなるかは分からないが、キャパシティとして48時間に1回の打ち上げを可能とするロケットが出来ちまえば、そして、そのコストが他を圧して低ければ、勝負はついたも同然なのだ。

その高頻度の打ち上げを可能とする発射台も持っている。

そのすべてが稼働する今月の打ち上げは、その意味で、スペースXの今後を象徴しているといっていい。

まあな、成功すれば、の話だがな・・・。

インサイトの重さ2018年05月06日 21:21

インサイトの重さ
インサイトの重さ


先日書いた記事の内容が、気になって仕方なかった。

(ブロック5現る)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/05/04/8843972

「「Landerの仕様:
質量:
・ランダー:360 kg(794 lb)
・エアロシェル:189 kg(417 lb)」(自動翻訳のみ掲載)
ペイロードは550kg程度だ(打ち上げ質量:721kg(1,590 lb)とあるが、差分は不明)。
このほかに、キューブサットが2機混載される。」

概算で170kgほど合わない。

キューブサットは、2機合わせても27kg程度だから、まだ140kg以上不足しているし、そもそも、キューブサットの重さを勘定に入れているかどうかも不明だ(入れてるようです)。

(Mars Cube One)
https://en.wikipedia.org/wiki/Mars_Cube_One#Design_and_components

「Launch mass:13.5 kg (30 lb) each」

調べていたら、それらしき記事を見つけた。

(Preview of the InSight Mars launch)
http://www.planetary.org/blogs/emily-lakdawalla/2018/0405-preview-of-the-insight-mars.html

「Launch Plans and Timeline:EXPLODED VIEW OF THE INSIGHT SPACECRAFT:
The InSight flight system comprises the lander, with its component deck and thermal enclosure cover, encapsulated in the aeroshell formed by the back shell and heat shield, and topped by the cruise stage.」(起動計画とタイムライン:INSIGHT SPACECRAFTの表示例:
InSight飛行システムは、コンポーネントデッキと熱シールドカバーを備えたランダと、バックシェルと熱シールドによって形成されたエアシェルに封入され、クルーズステージを頂点としています。:自動翻訳のまま)

分かりづらいので、画像を基に一覧にしてみる(後述のプレスキットも参照)。

・クルーズステージ(太陽電池パネルなど):79kg
・ランダー(コンポーネントデッキなど):358 kg
・燃料、圧縮ガス(ランダーに搭載):67kg
・エアロシェル:189 kg
・・バックシェル(降下用パラシュートなど)
・・ヒートシールド
・キューブサット(2機分):27kg
(合計で1kg合わないのは、端数処理の関係か)

つまり、721kgは、これら全てで、549kgというのはクルーズステージと燃料を含まない重量だったわけだ。

クルーズステージというのは、打ち上げ時にセントールロケットにくっ付いているところで、円筒形の構造に、2枚の太陽電池パネルを始め、通信システムなど火星までの長旅に必要な仕掛けが色々くっ付いている。

これらの重量が、差分として計上されるわけだ。

地球から火星まで及び火星に着陸するためのロケットエンジン(全部で20基)は、全てランダーに搭載されている。

全てのデバイスは、ランダーに搭載されたコンピューターが制御している。

この記事の内容は、NASAのプレスキットが出所になっている。

(Mars InSight
Launch Press Kit)
http://planetary.s3.amazonaws.com/assets/presskit/20180404_mars_insight_launch_presskit.pdf

「Spacecraft:Mass:
About 1,530 pounds (694 kilograms) total of InSight spacecraft at launch. The spacecraft includes the lander, which is about 790 pounds (358-kilograms), the 418-pound (189-kilogram) aeroshell, 174-pound (79-kilogram) cruise stage and 148 pounds (67 kilograms) of loaded propellant and pressurant. Mass of each MarCO spacecraft: 30 pounds (13.5 kilograms). Total payload mass on the rocket: 1,590 pounds (721 kilograms)」(ポンドでは合計合ってます)

この中にも出てくるが、火星に着陸する時には、フェニックスと同じように、順次、構造を切り離しつつ、最後はランダーだけが地上に降り立つことになる(まあ、他のものも、適宜落っこちてくるんでしょうが・・・)。

・突入7分前:クルーズステージ分離
・突入6分30秒前から5分前:突入ターン
・高度128km、秒速5.9km:突入!
・最大加熱、最大加速度
・高度12km、秒速415m、突入後223秒:パラシュート展開
・高度10.3km、毎秒132m、突入後238秒:ヒートシールド投棄
・突入後248秒:着陸脚展開
・高度5.5km、突入後300秒:レーダー起動
・高度2.3km、着陸61秒前:レーダー波取得開始
・高度1.1km、毎秒61m、着陸43秒前:ランダー分離
・高度0.9km、着陸40秒前:重力ターン開始(意味不明)
・高度51m、秒速7.8m、着陸16秒前:定常降下開始
・着陸

テキトーに飛ばして書いたが、もちろん、このシークエンスは自動で行われる。

通信のタイムラグがあるので、地球からの誘導はできない。

良くて数分後に成否が分かる程度だろう(近い時で3分ちょっと、遠い時で20分以上:11月26日の着陸時点での距離は1億4600万キロだから、8分ちょっとか)。

突入後、着陸までの時間は「恐怖の7分」と呼ばれているようだ。

NASAは、これまでも成功させているんだからな。

突発的な事故が起こらない限り、今回も成功するだろうさ。

柳の下に、二匹目のどじょうを求めて、フェニックスと同じ枯れた技術を、敢えて選択したわけだからな。

インサイトの重量の謎は解けた。

が、浮沈子の重量(体重)の差分(標準体重との差?)は、相変わらず謎のままだ。

差分が解消されるまでには、そうとう時間がかかりそうだがな・・・。