🐱スターシップ:燃料デポ今昔 ― 2023年02月04日 00:25
スターシップ:燃料デポ今昔
スターシップ(2段目)のバリエーションの一つであることが判明した推進剤デポ。
エンジンは搭載されるのかとか、軌道高度はどんだけかとか、貯蔵量はナンボよ?、などなど、分からないことだらけだが、ネットを漁っていたら、以前のアルスの記事を見つけた。
(一緒に働いている -
NASAは、軌道燃料補給技術でSpaceXと協力することに同意します
「マーシャルとグレンの公務員は、この分野で非常に才能があります。」
エリック・バーガー - 2019 年 7 月 31 日、午後 8 時 55 分)
https://arstechnica.com/science/2019/07/nasa-agrees-to-work-with-spacex-on-orbital-refueling-technology/
この時期は、まだアルテミス計画が策定されたばかりの頃で、HLSにスターシップが選ばれるなどとは夢にも考えられない時期なわけだ。
もちろん、SLSは飛んでいない。
「SLS ロケットは、依然としてスケジュールが大幅に遅れており、予算を上回っています。有意義な探査ミッションを少なくともあと3、4年は飛ばす可能性は低く、トランプ政権のアルテミス計画を遅らせている。」
我々は、3年と4か月後に初号機が飛び立ったことを知っている。
が、それは後の話だ。
浮沈子的に注目したのは、NASAが軌道上の燃料貯蔵施設について、長期に渡る研究開発を進めていたことだ。
「彼らは、持続可能な探査計画には軌道上での燃料補給と大型ロケットの両方が不可欠であると主張しました。」
もちろん、アルテミスで使用することを想定していたわけではないだろうが、将来的な探査には不可欠と考えていたことは間違いない。
S社の独壇場ではなかったわけだな。
「NASA はこれまで、宇宙での液体酸素、水素、メタンなどのロケット燃料の取り扱い、移送、貯蔵について研究してきました。金属製の燃料タンクを通って直接移動します)。」
「SpaceX の人々は、Starship アーキテクチャの機能とニーズの両方で、彼らのシステムを明確に知っています。彼ら全員が同じ部屋に集まり、同じ問題に取り組むという事実は、素晴らしいことです。」
今まさに、その状況が生かされている。
当時のS社の需要としては、あくまでも火星飛行に対するソリューションとしての燃料貯蔵所であったわけだ。
「人間を火星に送ることを目指しているいくつかのシナリオでは、スーパーヘビーロケットが火星行きのスターシップを地球低軌道に打ち上げます。」
「その時点で、宇宙船はペイロードを火星まで運ぶために、燃料タンクを補充する必要があります。」
「地球低軌道で火星行きの宇宙船 1 隻に燃料を補給するには、スターシップ 5 回分の燃料 (ペイロードとして) が必要であると推定されており、これには数百トンのメタンと液体酸素の移動が必要です。」
画像を見ると、今日のスターシップのバリエーションな燃料デポとはかけ離れた、立派な(!?)貯蔵施設がイメージされている。
巨大な太陽電池パネル群(しかも、ルーシーでケチをつけた扇形に開くやつ!)が目を引くが、3基のタンク(これは、打ち上げロケットの上段をタンクとして使っている感じで、リアリティがあるな)も見て取れる。
謎のトラス構造の枠がワケワカだが、補給に訪れた宇宙船をキャプチャーするカナダアームみたいなのもあって、それなりに考えてはいるようだ。
この時点では、ポンプみたいなのを駆動して給油することを考えていたのかも知れない。
現在のコンセプトでは、2機の宇宙船をくっ付けて、加速度を利用して移送することになった様だ。
まあいい。
議会に配慮したのかどうかは知らないけど、接続しているのはクルードラゴンじゃないからな(さりとて、当時すでに仕様が確定していたオリオン宇宙船ともビミョーに異なるのは、ささやかな抵抗かあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子は、民主党支配の議会が、地元に利益をもたらすSLSを推進していたことを批判する気にはなれない。
平時の宇宙開発なんて、そんなもんだと思っている。
今は、平時じゃないからな。
中国が宇宙戦争に全面的に参入し、スターリンクを撃墜すると公言する時代だ。
米国も、シスルナ空間での自由な移動を確保するために、原子力推進ロケットをNASAを引き込んで開発している。
静止軌道に於ける(静止軌道「から」ではない点に注意だな)監視を強化するために、我が国の衛星に監視カメラを搭載することになっている。
そんな時代に、軌道上にこんな立派な燃料貯蔵庫を浮かべていたら、真っ先に攻撃目標になりそうな気がするんだがな。
やっぱ、何かあったら、すたこらさっさと逃げ出せるように、S社の燃料デポには、1基だけでもラプターエンジンを搭載しておきたいところだ(そのためのエンジンかあ?)。
この記事の元ネタになっているNASAのプレスリリースも見てみる。
(NASA、月と火星の技術を前進させるための米国の業界パートナーシップを発表)
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-announces-us-industry-partnerships-to-advance-moon-mars-technology
「編集者注:このリリースの以前のバージョンでは、選択された企業の数が誤って記載されていました。正しい数は 13 です。」
エリックバーガーは、リリースされた日に記事を書いているからな。
訂正が反映されていないのは仕方ない(記事では、10社となっている)。
「SpaceX は Glenn と Marshall と協力して、同社の Starship 宇宙船の開発における重要なステップである、軌道上で推進剤を移送するために必要な技術を進歩させます。」
これが記事のネタなんだが、浮沈子的には、もう一つの方に注目だな。
「カリフォルニア州ホーソーンの SpaceX は、フロリダにある NASA のケネディ宇宙センターと協力して、大型ロケットを月に垂直に着陸させる技術を進歩させます。これには、エンジン プルームと月のレゴリスとの相互作用を評価するための高度なモデルが含まれます。」
おっと!。
まあ、ブルーオリジンの着陸船絡みの話も出てくる。
「ワシントン州ケントの Blue Origin は、ヒューストンとゴダードにある NASA のジョンソン宇宙センターと協力して、月面のさまざまな場所に安全かつ正確に着陸するためのナビゲーションおよび誘導システムを成熟させます。」
「Blue Origin は Glenn and Johnson と提携して、同社の Blue Moon 着陸船用の燃料電池電力システムを完成させます。このシステムは、ほとんどの場所で約 2 週間続く月の夜に、途切れることなく電力を供給することができます。」
「Blue Origin、Marshall、Langley は、月着陸船で使用できる液体ロケット エンジン ノズルの高温材料を評価し、成熟させます。」
ドリームチェイサーの話とか、ホールスラスター(自動翻訳では、長母音にしてるからな)の話も合って、気が散るな。
NASAは、ブルーオリジンのナショナルチームをものにしようと、積極的な支援を行っていたようだ。
S社の着陸支援の方は、かなり技術的に成熟している感じがする。
噴射に伴うレゴリスの挙動をシミュレーションするだけなのかもしれない(詳細未確認)。
ともあれ、S社の燃料デポは、スターシップ2段目のバリエーションということになった。
NASAが構想しているものとは異なる形だが、目的が果たされればそれでいいのだ。
(SpaceXがNASAのStarship軌道推進剤転送テストの作業を開始)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-orbital-propellant-transfer-nasa/
「NASA は SpaceX に「スターシップのタンク間で 10 トンの…液体酸素…を移送する大規模な飛行デモンストレーション」に対して 5,300 万ドルを授与しました。」
「NASA が 2021 年 4 月に SpaceX に、そして SpaceX だけで、Starship で人類を月に帰還させる 29 億ドルの契約を競争的に授与するという衝撃的な決定を下した」
そう、誰もが(イーロンマスクさえ)驚いたこの決定は、文字通り決定的だったからな。
浮沈子的にこの記事で注目したのは次の記述だ。
「地球の高軌道で燃料を補給することで、スターシップは地球の月に数百トンを着陸させ、太陽系のどこにでも貨物や宇宙船を短期間で打ち上げることができます。」
「高軌道」って、ナンボよ!?。
「SpaceX が 2022 年末までに作業を完了することを期待している」
我々は、その作業がまだ行われていないことを知っている。
ああっ、未来に身を置くことが幸せとは限らないのだ。
過去記事を読み返すのは、いささか辛いな・・・。
スターシップ(2段目)のバリエーションの一つであることが判明した推進剤デポ。
エンジンは搭載されるのかとか、軌道高度はどんだけかとか、貯蔵量はナンボよ?、などなど、分からないことだらけだが、ネットを漁っていたら、以前のアルスの記事を見つけた。
(一緒に働いている -
NASAは、軌道燃料補給技術でSpaceXと協力することに同意します
「マーシャルとグレンの公務員は、この分野で非常に才能があります。」
エリック・バーガー - 2019 年 7 月 31 日、午後 8 時 55 分)
https://arstechnica.com/science/2019/07/nasa-agrees-to-work-with-spacex-on-orbital-refueling-technology/
この時期は、まだアルテミス計画が策定されたばかりの頃で、HLSにスターシップが選ばれるなどとは夢にも考えられない時期なわけだ。
もちろん、SLSは飛んでいない。
「SLS ロケットは、依然としてスケジュールが大幅に遅れており、予算を上回っています。有意義な探査ミッションを少なくともあと3、4年は飛ばす可能性は低く、トランプ政権のアルテミス計画を遅らせている。」
我々は、3年と4か月後に初号機が飛び立ったことを知っている。
が、それは後の話だ。
浮沈子的に注目したのは、NASAが軌道上の燃料貯蔵施設について、長期に渡る研究開発を進めていたことだ。
「彼らは、持続可能な探査計画には軌道上での燃料補給と大型ロケットの両方が不可欠であると主張しました。」
もちろん、アルテミスで使用することを想定していたわけではないだろうが、将来的な探査には不可欠と考えていたことは間違いない。
S社の独壇場ではなかったわけだな。
「NASA はこれまで、宇宙での液体酸素、水素、メタンなどのロケット燃料の取り扱い、移送、貯蔵について研究してきました。金属製の燃料タンクを通って直接移動します)。」
「SpaceX の人々は、Starship アーキテクチャの機能とニーズの両方で、彼らのシステムを明確に知っています。彼ら全員が同じ部屋に集まり、同じ問題に取り組むという事実は、素晴らしいことです。」
今まさに、その状況が生かされている。
当時のS社の需要としては、あくまでも火星飛行に対するソリューションとしての燃料貯蔵所であったわけだ。
「人間を火星に送ることを目指しているいくつかのシナリオでは、スーパーヘビーロケットが火星行きのスターシップを地球低軌道に打ち上げます。」
「その時点で、宇宙船はペイロードを火星まで運ぶために、燃料タンクを補充する必要があります。」
「地球低軌道で火星行きの宇宙船 1 隻に燃料を補給するには、スターシップ 5 回分の燃料 (ペイロードとして) が必要であると推定されており、これには数百トンのメタンと液体酸素の移動が必要です。」
画像を見ると、今日のスターシップのバリエーションな燃料デポとはかけ離れた、立派な(!?)貯蔵施設がイメージされている。
巨大な太陽電池パネル群(しかも、ルーシーでケチをつけた扇形に開くやつ!)が目を引くが、3基のタンク(これは、打ち上げロケットの上段をタンクとして使っている感じで、リアリティがあるな)も見て取れる。
謎のトラス構造の枠がワケワカだが、補給に訪れた宇宙船をキャプチャーするカナダアームみたいなのもあって、それなりに考えてはいるようだ。
この時点では、ポンプみたいなのを駆動して給油することを考えていたのかも知れない。
現在のコンセプトでは、2機の宇宙船をくっ付けて、加速度を利用して移送することになった様だ。
まあいい。
議会に配慮したのかどうかは知らないけど、接続しているのはクルードラゴンじゃないからな(さりとて、当時すでに仕様が確定していたオリオン宇宙船ともビミョーに異なるのは、ささやかな抵抗かあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子は、民主党支配の議会が、地元に利益をもたらすSLSを推進していたことを批判する気にはなれない。
平時の宇宙開発なんて、そんなもんだと思っている。
今は、平時じゃないからな。
中国が宇宙戦争に全面的に参入し、スターリンクを撃墜すると公言する時代だ。
米国も、シスルナ空間での自由な移動を確保するために、原子力推進ロケットをNASAを引き込んで開発している。
静止軌道に於ける(静止軌道「から」ではない点に注意だな)監視を強化するために、我が国の衛星に監視カメラを搭載することになっている。
そんな時代に、軌道上にこんな立派な燃料貯蔵庫を浮かべていたら、真っ先に攻撃目標になりそうな気がするんだがな。
やっぱ、何かあったら、すたこらさっさと逃げ出せるように、S社の燃料デポには、1基だけでもラプターエンジンを搭載しておきたいところだ(そのためのエンジンかあ?)。
この記事の元ネタになっているNASAのプレスリリースも見てみる。
(NASA、月と火星の技術を前進させるための米国の業界パートナーシップを発表)
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-announces-us-industry-partnerships-to-advance-moon-mars-technology
「編集者注:このリリースの以前のバージョンでは、選択された企業の数が誤って記載されていました。正しい数は 13 です。」
エリックバーガーは、リリースされた日に記事を書いているからな。
訂正が反映されていないのは仕方ない(記事では、10社となっている)。
「SpaceX は Glenn と Marshall と協力して、同社の Starship 宇宙船の開発における重要なステップである、軌道上で推進剤を移送するために必要な技術を進歩させます。」
これが記事のネタなんだが、浮沈子的には、もう一つの方に注目だな。
「カリフォルニア州ホーソーンの SpaceX は、フロリダにある NASA のケネディ宇宙センターと協力して、大型ロケットを月に垂直に着陸させる技術を進歩させます。これには、エンジン プルームと月のレゴリスとの相互作用を評価するための高度なモデルが含まれます。」
おっと!。
まあ、ブルーオリジンの着陸船絡みの話も出てくる。
「ワシントン州ケントの Blue Origin は、ヒューストンとゴダードにある NASA のジョンソン宇宙センターと協力して、月面のさまざまな場所に安全かつ正確に着陸するためのナビゲーションおよび誘導システムを成熟させます。」
「Blue Origin は Glenn and Johnson と提携して、同社の Blue Moon 着陸船用の燃料電池電力システムを完成させます。このシステムは、ほとんどの場所で約 2 週間続く月の夜に、途切れることなく電力を供給することができます。」
「Blue Origin、Marshall、Langley は、月着陸船で使用できる液体ロケット エンジン ノズルの高温材料を評価し、成熟させます。」
ドリームチェイサーの話とか、ホールスラスター(自動翻訳では、長母音にしてるからな)の話も合って、気が散るな。
NASAは、ブルーオリジンのナショナルチームをものにしようと、積極的な支援を行っていたようだ。
S社の着陸支援の方は、かなり技術的に成熟している感じがする。
噴射に伴うレゴリスの挙動をシミュレーションするだけなのかもしれない(詳細未確認)。
ともあれ、S社の燃料デポは、スターシップ2段目のバリエーションということになった。
NASAが構想しているものとは異なる形だが、目的が果たされればそれでいいのだ。
(SpaceXがNASAのStarship軌道推進剤転送テストの作業を開始)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-orbital-propellant-transfer-nasa/
「NASA は SpaceX に「スターシップのタンク間で 10 トンの…液体酸素…を移送する大規模な飛行デモンストレーション」に対して 5,300 万ドルを授与しました。」
「NASA が 2021 年 4 月に SpaceX に、そして SpaceX だけで、Starship で人類を月に帰還させる 29 億ドルの契約を競争的に授与するという衝撃的な決定を下した」
そう、誰もが(イーロンマスクさえ)驚いたこの決定は、文字通り決定的だったからな。
浮沈子的にこの記事で注目したのは次の記述だ。
「地球の高軌道で燃料を補給することで、スターシップは地球の月に数百トンを着陸させ、太陽系のどこにでも貨物や宇宙船を短期間で打ち上げることができます。」
「高軌道」って、ナンボよ!?。
「SpaceX が 2022 年末までに作業を完了することを期待している」
我々は、その作業がまだ行われていないことを知っている。
ああっ、未来に身を置くことが幸せとは限らないのだ。
過去記事を読み返すのは、いささか辛いな・・・。
🐱ウクライナ降伏不可避:戦闘機 ― 2023年02月06日 20:52
ウクライナ降伏不可避:戦闘機
(ウクライナには戦闘機Su-27があと何機残っているか)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2ef0f0f1672508dcef4e0cce98abba8ac7b1ca2e?page=1
「ウクライナはここ数週間でようやく同盟国に北大西洋条約機構(NATO)スタイルの戦車を提供するよう説得」
西側はウクライナのNATO化を着々と進めている。
そうなのだ、NATOへの加盟は否定しているものの、リモコンNATO状態になりつつある。
唯一課されている条件は、ロシア本土に対する供与兵器での攻撃をしないことだが、貰うものさえ貰えれば、モスクワを攻撃することだってないとは言えない(そうなのかあ?)。
事実、ウクライナ製兵器で行うなら、米国は容認しているからな。
いくらでも攻撃していいということなわけだ。
貰った兵器で攻撃しないなどという口約束が守られる保証はない。
まあ、欲しいものが手に入るまでは、大人しくしているかもしれないけどな。
最終的に欲しいのは、モスクワを射程内に収める中距離弾道ミサイルと核弾頭だろう。
もちろん、NATOに加盟すればそうなるわけで、ロシアにとっては到底容認できない事態だ(それに反発して、軍事侵攻しているわけだからな)。
しかし、水から煮殺されるカエルになっちまった西側は、中距離核ミサイルの供与に向けて、次々とエスカレートしつつある・・・。
「次に最も必要としているものに目を向けている。それは新しい戦闘機だ。」
詳細はフォーブスの記事の通りだが、一応、残存機を整理しておこう。
・MiG-29(超音速戦闘機):50機
・Su-24(超音速爆撃機&偵察機):24機
・Su-25(ロシア版Aー10攻撃機):33機?
合計105機(2機合わないけど)
これらは、西側からの供与も可能のようだ。
・Su-27(超音速戦闘機&迎撃機):50機
これは、西側からの供与はできない。
つまりだな、西側が、Fー16などの余剰戦闘機を供与してくれれば、自国兵器でロシア本土を攻撃できるわけだ(米国は、それは止められない)。
供与した兵器じゃないからな。
ロシアにしてみれば、どっちの兵器だろうが、攻撃されたことに違いはない。
もちろん、ロシア本土の防空システムもあるから、攻撃した方もタダでは済まないだろうし、その効果は精神的なもの(戦意高揚など)に限られるに違いない。
が、それでも、そういう行動がとれないよりはマシというものだ。
バイデンは、Fー16の供与に対して、言下に否定した様だが、この大統領は、過去に台湾問題などでも、何度もチョンボ発言を繰り返しているからな(相当、ボケが進行しているようだ)。
当てにはできない。
浮沈子は、米国からの戦車供与に懐疑的だったが、その一線はあっさりと越えられた(M1エイブラムスの供与は31台だそうです)。
ドイツも、本国からのレオパルト2の出荷に踏み切ったからな。
ウクライナのNATO化は、最早、既定路線となった様だ。
そう、欧州大戦争は、いつの間にかウクライナで始まっていたのだ。
事実上、NATO化したウクライナと、ロシア正規軍(東部では、空挺部隊が参戦しているようです)との戦いになっている。
同時に、NATO(特に、旧ワルシャワ条約機構)の兵器体系は、ウクライナ情勢を受けて、急速に西側(特に米国)のそれに置き変わっている。
ポーランドは、特に顕著だ(戦車は、米国のエイブラムスをタダで貰えるみたいだしな:未確認)。
早速、供与の準備があると表明している。
(バイデン米大統領、F-16戦闘機のウクライナへの供与を否定)
https://www.bbc.com/japanese/64462142
「ポーランドは、NATOと連携して戦闘機を送る用意があるとしている。」
(ウクライナへF16戦闘機、ポーランドは「用意ある」…バイデン氏は「ノー」)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230131-OYT1T50105/
「北大西洋条約機構(NATO)で合意を得られれば、米国で開発されたF16戦闘機をウクライナに供与する用意がある」
米国は、今度も押し切られちゃうんだろうな(そうなのかあ?)。
まあいい。
こういう情勢の中で、いくら外交が動こうとしても、所詮はムリポな話なわけだ。
(バイデン大統領、プーチン大統領に「ウクライナ領土20%受けて終戦を」提案)
https://news.yahoo.co.jp/articles/dca7032a367f73577b4193747d9aefed6d472856
「バイデン大統領の提案をロシアとウクライナの双方が拒否したと、NZZは伝えた。ウクライナは領土分割の意思がなく、ロシアは長期的に戦争で勝利すると考えている」
「終戦の提案を双方から拒否された米国がウクライナにM1エイブラムス戦車の支援を決めることになった」
「バーンズ長官とジェイク・サリバン米国家安全保障担当大統領補佐官は、戦争を早期に終えて外交力を中国との対決に集中しようという立場」(早期収拾派?)
「ブリンケン国務長官とオースティン国防長官はウクライナに対する軍事支援を増やしてロシアに対抗すべきという立場」(戦争継続派?)
「ウクライナへの主力戦車支援が決まったことでブリンケン・オースティン長官案が採択された」
当局は、内情がばらされたことから対応に躍起だが、直ちに否定しないところが面白いな。
「正確でない」
「NZZの記事は興味深いが、推測性の報道だ。これには言及できない」
武器供与の結果として、ウクライナ紛争は長期化する。
事実上、NATOの一部隊となったウクライナ軍と、ロシアとの欧州大戦争になったわけだ(他の地域に波及する懸念は、逆に縮小している?:ブルームバーグはそう報じているようです)。
これは、西側対ロシア連合軍(中国、インド、イラク、北朝鮮、ベラルーシ、エトセエトセ)が参戦する、第2.5次世界大戦だ。
そういう目で眺めると、ウクライナ紛争の位置付けが分かって来る。
世界大戦の中における、欧州戦域での局地戦なわけだ。
仮に、ウクライナが降伏したとしても、戦争は終わらない。
米国の選択は、戦争の継続だ。
この国は、戦争し続けることが日常の国家だからな。
今までは、米国の兵士が現場で戦ってきたけど、ウクライナでは人的損耗の方は、現地で一手に引き受けてくれることになっている(そうなのかあ?)。
政治的には、美味しい戦争なわけだ。
ブリンケン&オースチンラインが続く限り、中国との対峙と並行して、ウクライナ戦は続く。
バイデン政権だけの話ではない。
10年でも、20年でも、政権が変わっても続くことになる。
米国が、内向きの政策を続けるとしても、いや、だからこそ、ウクライナ紛争は継続しやすい戦争なわけだ。
それは、対中国政策とも連携している。
台湾進攻は、ウクライナと同様の結果になるぞという警告なわけだ。
中国の台湾への侵攻は、一気に100万人規模の兵力を投入すると言われている(そのくらいじゃないと、攻めきれないだろうし)。
米国は、これに対して5隻の空母打撃群(約半数)を投入して対峙することになる。
時期的には、20年後くらいになるかも知れないけどな(中国海軍の拡大には、そのくらいの時間がかかるからな)。
この際には、北朝鮮も連動するし、南シナ海でもフィリピンを巻き込んだ戦闘が想定されている。
もちろん、我が国もただでは済まない。
中国は、グアムの基地も叩いてくるだろうし、我が国の米軍基地も攻撃されるに決まっている(じゃないと、そこから攻撃されるからな)。
沖縄はもちろん、東京だって狙われる(司令部あるし)。
そういう事態にならないように、長期的な視野でウクライナ紛争に関与し続けることが、米国にとっては利益になるというのがブリンケン&オースチンラインなわけだ。
いやいや、それは短期的利益にならないから、さっさとウクライナへのバルブを閉めて、中国との対峙に注力すべきだというのが、バーンズ&サリバンラインというわけだな(そうなのかあ?)。
(ウクライナ側「米欧の支援いつまで期待できるか」懸念示す…キーウ極秘訪問のCIA長官に)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230121-OYT1T50012/
「バーンズ氏は元駐露大使でロシアの事情に精通しており、ゼレンスキー政権の信頼も厚い」
「会談では、米国からの軍事支援の見通しについても意見交換した。」
「ウクライナ側は「米欧からの支援がいつまで期待できるのか」との懸念も示した」
エイブラハム戦車の供与とは裏腹に、米国は着々とバルブを閉める方策を打ちつつあるようにも見える。
浮沈子的には、米国は、長期戦略より短期利益を取ると見ているんだがな。
米国(をはじめとする、いわゆる民主勢力)は、そもそも、数十年に渡る長期戦略が苦手だ。
数年に一度の人気投票(!?)で、ころころと政策が変わる。
変わらないのは、市場支配を目論む現世利益の追求だけだ。
その点では、ウクライナ紛争を継続する選択は、短期的には悪くはない。
その弊害が、経済の停滞やシェアの損失に及んでいることは問題だがな。
欲得づくも、相反する利害を抱えている。
戦争経済は、モラトリアムな状況を生む(市場の混乱)。
世界が繋がって動いている以上、戦争当事国だけで収まる話ではない。
逼塞する状況を何とかしろという話が表沙汰になってくれば、戦争の継続も危うくなる。
政策的には続けたくても、欲得づくで収めなければならなくなる可能性もあるのだ。
浮沈子的には、そっちの可能性が高い(つーか、必然!)と見ているんだがな(もちろん、ロシアはそれを狙っている)。
米国の選択は、ウクライナにとっては死活的だ。
ウクライナ降伏不可避。
浮沈子の見立ては変わらない。
短期的戦術的勝敗の問題は、その情勢に影響を与えるんだろうか?。
戦車の供与や戦闘機の供与が、何らかの変更をもたらすとは思えないんだがな。
が、まあ、次の焦点が、F-16の供与であることは間違いない。
最終的には、モスクワに届く中距離核ミサイルまでエスカレートするだろうしな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(ポーランド、MiG-29戦闘機をスペアパーツの名目でウクライナに提供済か)
https://www.zaikei.co.jp/article/20230201/707858.html
「分解した一定数のMiG-29をスペアパーツの名目でウクライナに提供した。結局は胴体や主翼もスペアパーツだと政府関係者が述べている」
やれやれ・・・。
ポーランドは、米国からの支援も手厚く、ウクライナへの主要な支援ルートとなっていることもあり、かなり前のめりになっている感じがするんだがな(そうなのかあ?)。
ミグー29なんて、過去の遺物と思っていたが、一応、超音速戦闘機だからな。
ウクライナにとっては貴重だ。
ブログ本文でも触れたが、NATOとロシアの全面衝突のリスクは下がっていると見られている。
(米国、戦車「エイブラムス」31両をウクライナに供与へ-ドイツと協調)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-25/RP1RQAT0G1KW01
「侵攻開始から11カ月となり、NATOとロシアの全面戦争勃発への恐れが後退するにつれ、ウクライナ支援国は数カ月前に供与など考えられなかった対空防衛システムやドローンなどの兵器を提供し始めた。」
「焦点は今や、侵攻初期に占領された地域からロシア軍を駆逐することへと移った。」
追加供与の話の中では、ハイマースで発射できる長距離ロケット砲弾も含まれているようだしな。
(米国、ウクライナに長距離兵器供与へ クリミアが射程に)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN040320U3A200C2000000/
「GLSDBは射程が約150キロメートルとこれまでに供与した兵器の約2倍で、ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島が射程に入る。」
勇ましい話だな。
「戦車の操縦・保守管理に関する訓練はすぐにも始まる見通しだと、複数の当局者が記者団に述べた。訓練場所の特定は避けた。」(ブルームバーグの記事より)
訓練国は、導入が決まっているポーランドと見ているが、米国本土である可能性も否定できない(当局者が伏せている点が気になる)。
いずれにしても、ポーランドはウクライナ紛争が欧州大戦争に発展していく時の重要な地域となる。
全面対決の可能性は当面ないと見られているが、局地的に(例えば、スバルキギャップやバルト海沿岸などで)小規模な衝突が起こる可能性は常にある。
コップの中の嵐なら、戦車投入したり、戦闘機をくれてやってもいいということなのか。
バーンズ&サリバンラインの終戦交渉は失敗に終わったが、戦闘が続く中、双方の戦争当事者や市民の命は確実に失われ続けている。
いま必要なのは、一刻も早い停戦と、一刻も長い休戦であることに変わりはない。
浮沈子は、正義派じゃない。
ウクライナで、どんな支配が行われようと知ったことではない(そんなあ!)。
エネルギー需給の混乱から、電気料金が値上げされたり、ガソリンが高騰する方が問題だ。
身勝手かもしれないが、それが本音だ。
もちろん、台湾有事も困るけどな(東京にミサイル飛んでくる可能性もあるし)。
そもそも、21世紀になっても、ドンパチ大砲撃ち合って、死人やけが人の山を築く、第一次世界大戦並みの消耗戦が繰り広げられているというのは如何なものか。
そもそも、そういう兵器しか供与してこなかったということが、逆に問題なのかもしれないが、じゃあ、だからといって、最新の戦車や戦闘機(F-16が最新かどうかは別としても)をくれてやるのがいいということにはならないだろう。
ウクライナ紛争の長期化を願う勢力は、たとえ、その動機が自由と正義(崇高だな)であったとしても、浮沈子にとっては好ましからざる存在に映る。
どっちが勝っても、別に構わないけど、さっさと終わらせてもらいたいのだ。
ハッキリ言えば、米国の長期的利益のために、間接的犠牲を払わされるのは御免被りたいわけだ。
まあ、我が国政府から電気代の支援を受け取って、米国準州であるグアム行って、ダイビングを楽しんできたわけだからな。
大きなことは言えないけどな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(台湾着上陸戦を抑止せよ! 5つの空母打撃群が日本に事前展開へ)
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00530/013100006/
ブログ本文で言及した、台湾有事のシナリオ。
かなり過激な内容だが、それでも、大人しい部類かもしれない(そうなのかあ?)。
「人民解放軍について、台湾着上陸戦を実行するには100万人規模の兵力を投入する必要がある」
「米海軍が保有する空母機動部隊は全部で11。メンテナンスや訓練に回す分を除き、実戦配備できるのは最大6程度とされる。そのうち5隊を出動させなければ中国を抑止することは難しい。」
「中国が台湾有事を好機と捉え、南シナ海での実効支配を強めようとする可能性がある」
「この記事は会員登録で続きをご覧いただけます」
おっと、残念!。
連動する朝鮮半島有事と、グアムや我が国の米軍基地(司令部含む)への攻撃は、想定の範囲内だ。
台湾有事のシミュレーションなんて、たぶん、星の数ほどあるに違いないけど、最近の有名どころについても記事が出ている。
(台湾有事 民間の被害避けられないのに触れない米有力シンクタンクの机上演習)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/225802
「米軍の元幹部や軍事専門家らによるCSISの机上演習は、2026年に中国軍が台湾に侵攻したことを想定して行われた。米軍や日本の関与度合いなどに応じて計24通りのシナリオを用意。ほとんどの場合で、中国の台湾制圧が「失敗する」と結論」
まあ、結論はともかく(中国が成功するという話は、なかなか表沙汰にはできないだろうしな)、被害の甚大さは目を覆うばかりだ・・・。
「中国軍の死傷者は2万2000人に上り、3万人以上が捕虜となる」
「米軍は2隻の原子力空母と最大20隻の艦船が撃沈され、最大372機の航空機を失い、最大1万人の死傷者が出る。」
しかし、こんなもんで済めば上等なのではないか。
「台湾が単独で応戦した場合や、日本が中立を保って在日米軍基地の使用を認めない場合は、台湾防衛に失敗するとした。」
ここは、我が国には、なんとしても中立を保ってもらいたいもんだ。
米軍基地の使用についても、最大限抵抗してもらいたい。
米軍は撤退すれば済むだろうが、我が国は不沈空母だから、動かすことはできない(そういうことかあ?)。
中国に核ミサイルでも落とされた日には、数発で決着がついちまうからな。
浮沈子は、正義派じゃない。
台湾が、どんな政治体制下におかれようと、知ったことではない(そんなあ!)。
我が国が、戦闘に巻き込まれさえしなければいいのだ(そうなのかあ?)。
「日本国内の基地を戦闘に使用する必要がある」
朝鮮戦争やベトナム戦争でも、米国は我が国を拠点として使ってきた。
台湾でも、同じことをするつもりなんだろう。
「沖縄や本土の在日米軍基地が中国軍からミサイル攻撃を受けると想定。日本の民間空港を軍が使用し、戦闘機がミサイル攻撃を受けるリスクを「分散化」する効果を強調する。」
日本全国が標的なわけだ。
冗談じゃない!。
「最初は、東シナ海を中心に海洋限定で戦闘が進んでいく。直ちに核戦争にいくことはないだろうが、米中の軍事的な決着がつかない以上、数年掛けて2会戦、3会戦とどんどん激しくなる。最終的に、全面戦争や核兵器の使用に向かっていく可能性は否定しきれない」
「台湾有事に横田基地などから参戦する想定もある。」
勘弁してくれえ!。
「戦争の技術的に「前線」「銃後」の差がなくなったのは、ウクライナ侵攻でも証明されている。どこにいても被害を免れない以上、戦争自体を防がないと生存できない。」
東京新聞的結論としては、中国が台湾併合に動いたら、我が国は指を咥えて眺めているのが正解ということなんだろうな(そうなのかあ?)。
中国は、100万人の軍隊を投入することに、何の抵抗もないだろう(死傷者100万人でも、痛くも痒くもないに違いない)。
逆に、米国にそれだけの決意はない(下院議長が台湾訪問するだけで大騒ぎだ・・・)。
米国にとっての台湾は、ロシアにとってのウクライナとは異なり、自らの血で贖う価値のある土地じゃない。
中国にとっては、反対に、それだけの価値があるだろうしな(たぶん)。
比較にはならないのだ。
米軍を投入した場合、いきなり負けるわけにはいかないから、初戦では、それなりの反撃をするだろうけど、戦略的に長期戦に持ち込まれる可能性はある(そうなっても、北京に核ミサイル打ち込むわけにはいかないだろうしな)。
長期戦と言ったって、ウクライナと違って、台湾は1年も持たないだろう。
ロシアは、最初から限定的な戦力を投入して、「これは、戦争じゃない」振りをし続けてきたからな。
中国は、最初から完全に占領するつもりで、全戦力を投入する。
そこも異なる話だ。
ぶっちゃけ、台湾に勝ち目などない。
そういう事態にならないように、現在の曖昧な状況を、一日でも長く維持することが重要だ。
あと、30年くらいでいい(そんなもんでいいのかあ?)。
浮沈子がこの世からいなくなった後に、世界がどうなろうと知ったことではないからな・・・。
(ウクライナには戦闘機Su-27があと何機残っているか)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2ef0f0f1672508dcef4e0cce98abba8ac7b1ca2e?page=1
「ウクライナはここ数週間でようやく同盟国に北大西洋条約機構(NATO)スタイルの戦車を提供するよう説得」
西側はウクライナのNATO化を着々と進めている。
そうなのだ、NATOへの加盟は否定しているものの、リモコンNATO状態になりつつある。
唯一課されている条件は、ロシア本土に対する供与兵器での攻撃をしないことだが、貰うものさえ貰えれば、モスクワを攻撃することだってないとは言えない(そうなのかあ?)。
事実、ウクライナ製兵器で行うなら、米国は容認しているからな。
いくらでも攻撃していいということなわけだ。
貰った兵器で攻撃しないなどという口約束が守られる保証はない。
まあ、欲しいものが手に入るまでは、大人しくしているかもしれないけどな。
最終的に欲しいのは、モスクワを射程内に収める中距離弾道ミサイルと核弾頭だろう。
もちろん、NATOに加盟すればそうなるわけで、ロシアにとっては到底容認できない事態だ(それに反発して、軍事侵攻しているわけだからな)。
しかし、水から煮殺されるカエルになっちまった西側は、中距離核ミサイルの供与に向けて、次々とエスカレートしつつある・・・。
「次に最も必要としているものに目を向けている。それは新しい戦闘機だ。」
詳細はフォーブスの記事の通りだが、一応、残存機を整理しておこう。
・MiG-29(超音速戦闘機):50機
・Su-24(超音速爆撃機&偵察機):24機
・Su-25(ロシア版Aー10攻撃機):33機?
合計105機(2機合わないけど)
これらは、西側からの供与も可能のようだ。
・Su-27(超音速戦闘機&迎撃機):50機
これは、西側からの供与はできない。
つまりだな、西側が、Fー16などの余剰戦闘機を供与してくれれば、自国兵器でロシア本土を攻撃できるわけだ(米国は、それは止められない)。
供与した兵器じゃないからな。
ロシアにしてみれば、どっちの兵器だろうが、攻撃されたことに違いはない。
もちろん、ロシア本土の防空システムもあるから、攻撃した方もタダでは済まないだろうし、その効果は精神的なもの(戦意高揚など)に限られるに違いない。
が、それでも、そういう行動がとれないよりはマシというものだ。
バイデンは、Fー16の供与に対して、言下に否定した様だが、この大統領は、過去に台湾問題などでも、何度もチョンボ発言を繰り返しているからな(相当、ボケが進行しているようだ)。
当てにはできない。
浮沈子は、米国からの戦車供与に懐疑的だったが、その一線はあっさりと越えられた(M1エイブラムスの供与は31台だそうです)。
ドイツも、本国からのレオパルト2の出荷に踏み切ったからな。
ウクライナのNATO化は、最早、既定路線となった様だ。
そう、欧州大戦争は、いつの間にかウクライナで始まっていたのだ。
事実上、NATO化したウクライナと、ロシア正規軍(東部では、空挺部隊が参戦しているようです)との戦いになっている。
同時に、NATO(特に、旧ワルシャワ条約機構)の兵器体系は、ウクライナ情勢を受けて、急速に西側(特に米国)のそれに置き変わっている。
ポーランドは、特に顕著だ(戦車は、米国のエイブラムスをタダで貰えるみたいだしな:未確認)。
早速、供与の準備があると表明している。
(バイデン米大統領、F-16戦闘機のウクライナへの供与を否定)
https://www.bbc.com/japanese/64462142
「ポーランドは、NATOと連携して戦闘機を送る用意があるとしている。」
(ウクライナへF16戦闘機、ポーランドは「用意ある」…バイデン氏は「ノー」)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230131-OYT1T50105/
「北大西洋条約機構(NATO)で合意を得られれば、米国で開発されたF16戦闘機をウクライナに供与する用意がある」
米国は、今度も押し切られちゃうんだろうな(そうなのかあ?)。
まあいい。
こういう情勢の中で、いくら外交が動こうとしても、所詮はムリポな話なわけだ。
(バイデン大統領、プーチン大統領に「ウクライナ領土20%受けて終戦を」提案)
https://news.yahoo.co.jp/articles/dca7032a367f73577b4193747d9aefed6d472856
「バイデン大統領の提案をロシアとウクライナの双方が拒否したと、NZZは伝えた。ウクライナは領土分割の意思がなく、ロシアは長期的に戦争で勝利すると考えている」
「終戦の提案を双方から拒否された米国がウクライナにM1エイブラムス戦車の支援を決めることになった」
「バーンズ長官とジェイク・サリバン米国家安全保障担当大統領補佐官は、戦争を早期に終えて外交力を中国との対決に集中しようという立場」(早期収拾派?)
「ブリンケン国務長官とオースティン国防長官はウクライナに対する軍事支援を増やしてロシアに対抗すべきという立場」(戦争継続派?)
「ウクライナへの主力戦車支援が決まったことでブリンケン・オースティン長官案が採択された」
当局は、内情がばらされたことから対応に躍起だが、直ちに否定しないところが面白いな。
「正確でない」
「NZZの記事は興味深いが、推測性の報道だ。これには言及できない」
武器供与の結果として、ウクライナ紛争は長期化する。
事実上、NATOの一部隊となったウクライナ軍と、ロシアとの欧州大戦争になったわけだ(他の地域に波及する懸念は、逆に縮小している?:ブルームバーグはそう報じているようです)。
これは、西側対ロシア連合軍(中国、インド、イラク、北朝鮮、ベラルーシ、エトセエトセ)が参戦する、第2.5次世界大戦だ。
そういう目で眺めると、ウクライナ紛争の位置付けが分かって来る。
世界大戦の中における、欧州戦域での局地戦なわけだ。
仮に、ウクライナが降伏したとしても、戦争は終わらない。
米国の選択は、戦争の継続だ。
この国は、戦争し続けることが日常の国家だからな。
今までは、米国の兵士が現場で戦ってきたけど、ウクライナでは人的損耗の方は、現地で一手に引き受けてくれることになっている(そうなのかあ?)。
政治的には、美味しい戦争なわけだ。
ブリンケン&オースチンラインが続く限り、中国との対峙と並行して、ウクライナ戦は続く。
バイデン政権だけの話ではない。
10年でも、20年でも、政権が変わっても続くことになる。
米国が、内向きの政策を続けるとしても、いや、だからこそ、ウクライナ紛争は継続しやすい戦争なわけだ。
それは、対中国政策とも連携している。
台湾進攻は、ウクライナと同様の結果になるぞという警告なわけだ。
中国の台湾への侵攻は、一気に100万人規模の兵力を投入すると言われている(そのくらいじゃないと、攻めきれないだろうし)。
米国は、これに対して5隻の空母打撃群(約半数)を投入して対峙することになる。
時期的には、20年後くらいになるかも知れないけどな(中国海軍の拡大には、そのくらいの時間がかかるからな)。
この際には、北朝鮮も連動するし、南シナ海でもフィリピンを巻き込んだ戦闘が想定されている。
もちろん、我が国もただでは済まない。
中国は、グアムの基地も叩いてくるだろうし、我が国の米軍基地も攻撃されるに決まっている(じゃないと、そこから攻撃されるからな)。
沖縄はもちろん、東京だって狙われる(司令部あるし)。
そういう事態にならないように、長期的な視野でウクライナ紛争に関与し続けることが、米国にとっては利益になるというのがブリンケン&オースチンラインなわけだ。
いやいや、それは短期的利益にならないから、さっさとウクライナへのバルブを閉めて、中国との対峙に注力すべきだというのが、バーンズ&サリバンラインというわけだな(そうなのかあ?)。
(ウクライナ側「米欧の支援いつまで期待できるか」懸念示す…キーウ極秘訪問のCIA長官に)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230121-OYT1T50012/
「バーンズ氏は元駐露大使でロシアの事情に精通しており、ゼレンスキー政権の信頼も厚い」
「会談では、米国からの軍事支援の見通しについても意見交換した。」
「ウクライナ側は「米欧からの支援がいつまで期待できるのか」との懸念も示した」
エイブラハム戦車の供与とは裏腹に、米国は着々とバルブを閉める方策を打ちつつあるようにも見える。
浮沈子的には、米国は、長期戦略より短期利益を取ると見ているんだがな。
米国(をはじめとする、いわゆる民主勢力)は、そもそも、数十年に渡る長期戦略が苦手だ。
数年に一度の人気投票(!?)で、ころころと政策が変わる。
変わらないのは、市場支配を目論む現世利益の追求だけだ。
その点では、ウクライナ紛争を継続する選択は、短期的には悪くはない。
その弊害が、経済の停滞やシェアの損失に及んでいることは問題だがな。
欲得づくも、相反する利害を抱えている。
戦争経済は、モラトリアムな状況を生む(市場の混乱)。
世界が繋がって動いている以上、戦争当事国だけで収まる話ではない。
逼塞する状況を何とかしろという話が表沙汰になってくれば、戦争の継続も危うくなる。
政策的には続けたくても、欲得づくで収めなければならなくなる可能性もあるのだ。
浮沈子的には、そっちの可能性が高い(つーか、必然!)と見ているんだがな(もちろん、ロシアはそれを狙っている)。
米国の選択は、ウクライナにとっては死活的だ。
ウクライナ降伏不可避。
浮沈子の見立ては変わらない。
短期的戦術的勝敗の問題は、その情勢に影響を与えるんだろうか?。
戦車の供与や戦闘機の供与が、何らかの変更をもたらすとは思えないんだがな。
が、まあ、次の焦点が、F-16の供与であることは間違いない。
最終的には、モスクワに届く中距離核ミサイルまでエスカレートするだろうしな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(ポーランド、MiG-29戦闘機をスペアパーツの名目でウクライナに提供済か)
https://www.zaikei.co.jp/article/20230201/707858.html
「分解した一定数のMiG-29をスペアパーツの名目でウクライナに提供した。結局は胴体や主翼もスペアパーツだと政府関係者が述べている」
やれやれ・・・。
ポーランドは、米国からの支援も手厚く、ウクライナへの主要な支援ルートとなっていることもあり、かなり前のめりになっている感じがするんだがな(そうなのかあ?)。
ミグー29なんて、過去の遺物と思っていたが、一応、超音速戦闘機だからな。
ウクライナにとっては貴重だ。
ブログ本文でも触れたが、NATOとロシアの全面衝突のリスクは下がっていると見られている。
(米国、戦車「エイブラムス」31両をウクライナに供与へ-ドイツと協調)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-25/RP1RQAT0G1KW01
「侵攻開始から11カ月となり、NATOとロシアの全面戦争勃発への恐れが後退するにつれ、ウクライナ支援国は数カ月前に供与など考えられなかった対空防衛システムやドローンなどの兵器を提供し始めた。」
「焦点は今や、侵攻初期に占領された地域からロシア軍を駆逐することへと移った。」
追加供与の話の中では、ハイマースで発射できる長距離ロケット砲弾も含まれているようだしな。
(米国、ウクライナに長距離兵器供与へ クリミアが射程に)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN040320U3A200C2000000/
「GLSDBは射程が約150キロメートルとこれまでに供与した兵器の約2倍で、ロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島が射程に入る。」
勇ましい話だな。
「戦車の操縦・保守管理に関する訓練はすぐにも始まる見通しだと、複数の当局者が記者団に述べた。訓練場所の特定は避けた。」(ブルームバーグの記事より)
訓練国は、導入が決まっているポーランドと見ているが、米国本土である可能性も否定できない(当局者が伏せている点が気になる)。
いずれにしても、ポーランドはウクライナ紛争が欧州大戦争に発展していく時の重要な地域となる。
全面対決の可能性は当面ないと見られているが、局地的に(例えば、スバルキギャップやバルト海沿岸などで)小規模な衝突が起こる可能性は常にある。
コップの中の嵐なら、戦車投入したり、戦闘機をくれてやってもいいということなのか。
バーンズ&サリバンラインの終戦交渉は失敗に終わったが、戦闘が続く中、双方の戦争当事者や市民の命は確実に失われ続けている。
いま必要なのは、一刻も早い停戦と、一刻も長い休戦であることに変わりはない。
浮沈子は、正義派じゃない。
ウクライナで、どんな支配が行われようと知ったことではない(そんなあ!)。
エネルギー需給の混乱から、電気料金が値上げされたり、ガソリンが高騰する方が問題だ。
身勝手かもしれないが、それが本音だ。
もちろん、台湾有事も困るけどな(東京にミサイル飛んでくる可能性もあるし)。
そもそも、21世紀になっても、ドンパチ大砲撃ち合って、死人やけが人の山を築く、第一次世界大戦並みの消耗戦が繰り広げられているというのは如何なものか。
そもそも、そういう兵器しか供与してこなかったということが、逆に問題なのかもしれないが、じゃあ、だからといって、最新の戦車や戦闘機(F-16が最新かどうかは別としても)をくれてやるのがいいということにはならないだろう。
ウクライナ紛争の長期化を願う勢力は、たとえ、その動機が自由と正義(崇高だな)であったとしても、浮沈子にとっては好ましからざる存在に映る。
どっちが勝っても、別に構わないけど、さっさと終わらせてもらいたいのだ。
ハッキリ言えば、米国の長期的利益のために、間接的犠牲を払わされるのは御免被りたいわけだ。
まあ、我が国政府から電気代の支援を受け取って、米国準州であるグアム行って、ダイビングを楽しんできたわけだからな。
大きなことは言えないけどな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(台湾着上陸戦を抑止せよ! 5つの空母打撃群が日本に事前展開へ)
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00530/013100006/
ブログ本文で言及した、台湾有事のシナリオ。
かなり過激な内容だが、それでも、大人しい部類かもしれない(そうなのかあ?)。
「人民解放軍について、台湾着上陸戦を実行するには100万人規模の兵力を投入する必要がある」
「米海軍が保有する空母機動部隊は全部で11。メンテナンスや訓練に回す分を除き、実戦配備できるのは最大6程度とされる。そのうち5隊を出動させなければ中国を抑止することは難しい。」
「中国が台湾有事を好機と捉え、南シナ海での実効支配を強めようとする可能性がある」
「この記事は会員登録で続きをご覧いただけます」
おっと、残念!。
連動する朝鮮半島有事と、グアムや我が国の米軍基地(司令部含む)への攻撃は、想定の範囲内だ。
台湾有事のシミュレーションなんて、たぶん、星の数ほどあるに違いないけど、最近の有名どころについても記事が出ている。
(台湾有事 民間の被害避けられないのに触れない米有力シンクタンクの机上演習)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/225802
「米軍の元幹部や軍事専門家らによるCSISの机上演習は、2026年に中国軍が台湾に侵攻したことを想定して行われた。米軍や日本の関与度合いなどに応じて計24通りのシナリオを用意。ほとんどの場合で、中国の台湾制圧が「失敗する」と結論」
まあ、結論はともかく(中国が成功するという話は、なかなか表沙汰にはできないだろうしな)、被害の甚大さは目を覆うばかりだ・・・。
「中国軍の死傷者は2万2000人に上り、3万人以上が捕虜となる」
「米軍は2隻の原子力空母と最大20隻の艦船が撃沈され、最大372機の航空機を失い、最大1万人の死傷者が出る。」
しかし、こんなもんで済めば上等なのではないか。
「台湾が単独で応戦した場合や、日本が中立を保って在日米軍基地の使用を認めない場合は、台湾防衛に失敗するとした。」
ここは、我が国には、なんとしても中立を保ってもらいたいもんだ。
米軍基地の使用についても、最大限抵抗してもらいたい。
米軍は撤退すれば済むだろうが、我が国は不沈空母だから、動かすことはできない(そういうことかあ?)。
中国に核ミサイルでも落とされた日には、数発で決着がついちまうからな。
浮沈子は、正義派じゃない。
台湾が、どんな政治体制下におかれようと、知ったことではない(そんなあ!)。
我が国が、戦闘に巻き込まれさえしなければいいのだ(そうなのかあ?)。
「日本国内の基地を戦闘に使用する必要がある」
朝鮮戦争やベトナム戦争でも、米国は我が国を拠点として使ってきた。
台湾でも、同じことをするつもりなんだろう。
「沖縄や本土の在日米軍基地が中国軍からミサイル攻撃を受けると想定。日本の民間空港を軍が使用し、戦闘機がミサイル攻撃を受けるリスクを「分散化」する効果を強調する。」
日本全国が標的なわけだ。
冗談じゃない!。
「最初は、東シナ海を中心に海洋限定で戦闘が進んでいく。直ちに核戦争にいくことはないだろうが、米中の軍事的な決着がつかない以上、数年掛けて2会戦、3会戦とどんどん激しくなる。最終的に、全面戦争や核兵器の使用に向かっていく可能性は否定しきれない」
「台湾有事に横田基地などから参戦する想定もある。」
勘弁してくれえ!。
「戦争の技術的に「前線」「銃後」の差がなくなったのは、ウクライナ侵攻でも証明されている。どこにいても被害を免れない以上、戦争自体を防がないと生存できない。」
東京新聞的結論としては、中国が台湾併合に動いたら、我が国は指を咥えて眺めているのが正解ということなんだろうな(そうなのかあ?)。
中国は、100万人の軍隊を投入することに、何の抵抗もないだろう(死傷者100万人でも、痛くも痒くもないに違いない)。
逆に、米国にそれだけの決意はない(下院議長が台湾訪問するだけで大騒ぎだ・・・)。
米国にとっての台湾は、ロシアにとってのウクライナとは異なり、自らの血で贖う価値のある土地じゃない。
中国にとっては、反対に、それだけの価値があるだろうしな(たぶん)。
比較にはならないのだ。
米軍を投入した場合、いきなり負けるわけにはいかないから、初戦では、それなりの反撃をするだろうけど、戦略的に長期戦に持ち込まれる可能性はある(そうなっても、北京に核ミサイル打ち込むわけにはいかないだろうしな)。
長期戦と言ったって、ウクライナと違って、台湾は1年も持たないだろう。
ロシアは、最初から限定的な戦力を投入して、「これは、戦争じゃない」振りをし続けてきたからな。
中国は、最初から完全に占領するつもりで、全戦力を投入する。
そこも異なる話だ。
ぶっちゃけ、台湾に勝ち目などない。
そういう事態にならないように、現在の曖昧な状況を、一日でも長く維持することが重要だ。
あと、30年くらいでいい(そんなもんでいいのかあ?)。
浮沈子がこの世からいなくなった後に、世界がどうなろうと知ったことではないからな・・・。
🐱全電化衛星のスラスターを追え! ― 2023年02月08日 03:45
全電化衛星のスラスターを追え!
(SpaceX、スペインのヒスパサット向け通信衛星を打ち上げ)
https://spaceflightnow.com/2023/02/06/falcon-9-amazonas-nexus-coverage/
久しぶりに、生中継で打ち上げを見た。
この衛星は、全電化衛星で、投入軌道はスーパーシンクロナス・トランスファー軌道という、絵に描いたような今時の流行な仕掛けだ。
「ソーラー アレイを配置した後、宇宙船は独自のプラズマ推進システムを使用して、今後数か月にわたって軌道を徐々に再形成し、最終的には赤道上空 22,000 マイル (約 36,000 キロメートル) を超える円形の静止軌道に落ち着きます。」
「ファルコン 9 ロケットは、上段エンジンを 2 回発射して、アマゾナス ネクサス宇宙船を楕円形の超同期トランスファー軌道に投入しました。」
スーパーシンクロナス・トランスファー軌道でググると、浮沈子の与太記事が、とんでもなく上位でヒットする(ヤバいな・・・)。
(スーパーシンクロナス・トランスファー軌道)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/02/19/8022738
「静止衛星を上げる時に、静止軌道である3万6千キロ(35786km)より高い高度に上げてしまうという方法らしい。」
まあ、どうでもいいんですが。
で、浮沈子としては、投入軌道よりも、今回は衛星に取り付けられている「独自のプラズマ推進システム」とやらが気になるわけだ。
(アマゾナス ネクサス ミッション)
https://www.elonx.cz/mise-amazonas-nexus/
「この衛星はSpacebus-Neo 200プラットフォーム上に構築され、電気モーターのみが装備されています。」
埋め込まれているリンク先(タレスやヒスパサットのページ)を見ても、大したことは書いてない。
こういう時は、いつものページだな・・・。
(アマゾナス・ネクサス)
https://space.skyrocket.de/doc_sdat/amazonas-nexus.htm
「推進:?、電気推進」
おいおい!。
当てにしていたページが外れだったので、少し調べる。
(タレス アレニア スペース: Spacebus-Neo)
https://space.skyrocket.de/doc_sat/tas_spacebus-neo.htm
一覧が出ていたので、整理してみた。
<衛星:打ち上げ日:バス:推進システム:>
・ユーテルサット コネクト:2020.01.16:Spacebus-Neo-100:4 × PPS-5000 プラズマスラスター
・シラキュース 4A:2021.10.24:Spacebus-Neo-100:4 × PPS-5000 プラズマスラスター
・SES 17:2021.10.24: Spacebus-Neo-200:4 × PPS-5000 プラズマスラスター
・Eutelsat Konnect VHTS:2022.09.07:Spacebus-Neo-200:4 × PPS-5000 プラズマスラスター
・ユーテルサット 10B:2022.11.23:Spacebus-Neo-200:プラズマスラスター
・アマゾナス・ネクサス:2023.02.07:Spacebus-Neo-200:?、電気推進
・サトリア:2023年:Spacebus-Neo-200:?、電気推進
・アストラ1P:202x:Spacebus-Neo-200:?、電気推進
・シクラル 3A:202x:Spacebus-Neo (不明なバージョン):?
・シクラル 3B:202x:Spacebus-Neo (不明なバージョン):?
うーん、去年の11月のユーテルサット10B辺りから、ワケワカになっている。
バスのサブバージョンのアップグレード(100→200)は、関係ないようだしな。
いろいろネットを徘徊したら、こんなページが出てきた。
(全電化衛星の世界動向)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kjsass/65/9/65_274/_pdf/-char/ja
時期的にはやや古いが、全体の傾向や技術要件の差、系統が分かって参考になった。
「いずれの電気推進も政府主導プログラムの成果から波及,開発されたものと言うことができ,初期の電気推進開発は開発リスクが高く,政府支援が必須であることが伺える.」
やや手前味噌な感じがしないでもない(本人は、技術試験衛星9号機のホールスラスタ開発担当!)。
これを読むと、B社(イオンエンジン)以外は全てホールスラスタな感じがする。
「第 1 表からは今後,全電化静止衛星においてはホールスラスタが趨勢を占めるであろうことも推測できる.」
「特に,Snecma の PPS-5000 が欧のみならず米にも販路を拡大している点には注目すべきである.」
「これに対し Aerojet は 2012 年に Belfast の TAS の工場内にEuropean Space Propulsion を設立,ESA 資金により XR5 をマイナーチェンジした XR-5E を開発,QT まで終え,TAS-B の PPU との組合せにて欧での生産,販売を画策したが,目標とした利益を得られず 2016 年に撤退している」
気になったので、調べてみた。
(欧州宇宙推進機関、タレス アレニア スペース ベルギー電力処理装置を使用した 5 キロワット ホール スラスターのテストを完了)
https://www.rocket.com/article/european-space-propulsion-completes-testing-five-kilowatt-hall-thruster-thales-alenia-space
「欧州宇宙推進 (ESP) は、パワー プロセッシング ユニット (PPU) を備えた 5 キロワットのホール スラスターのテストを成功裏に完了しました。 」
(欧州宇宙推進:航空宇宙企業がベルファストの事業を閉鎖:2016 年 5 月 13 日の記事)
https://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-36283409
「予想される年間売上高 1,300 万ポンドに近づくことはありませんでした。」
まあいい。
浮沈子が注目したのは、エアロジェットがテストしていた、ベルファストの工場の方だ。
(タレス防空)
https://en.wikipedia.org/wiki/Thales_Air_Defence#Historical
「2001 年に Shorts Missile Systems は Thales Air Defence Limited に改名されました。」
エアロジェットは、事実上、この会社でテストをしていたということになる(未確認)。
ところが、これがどんでん返しなわけだ。
(英国の拠点:ベルファスト)
https://www.thalesgroup.com/en/countries/europe/united-kingdom/about-thales-uk/our-uk-locations#northernireland
「2016 年 10 月 18 日、英国の宇宙飛行士ティム ピークは、英国初の電気宇宙推進統合センター製造施設を正式に開設しました。私たちは、ベルファスト サイトが知られている人工衛星用の最先端の電気推進システムを誇りに思っています。この施設は、当社の空間設計および製造能力における重要なマイルストーンです。」
BBCの記事にあるのと同じ建物が写っているからな。
やれやれ・・・。
撤退の記事が2016 年 5 月 13 日付けだから、米国の名門ロケット企業が撤退して半年も経たないうちに、同じ工場内に、欧州最大の衛星メーカーが電気推進の製造施設を開設したわけだ。
技術流出がなかったのかが問題だな。
余程気前のいい話だったのかもしれない(未確認)。
いずれにしても、それから2年余りの月日が流れた・・・。
(完璧な推進ポインティング: Neosat プログラムの主な成果)
https://www.esa.int/Applications/Telecommunications_Integrated_Applications/Perfect_propulsion_pointing_a_main_achievement_of_the_Neosat_programme
「「すべて電気」の Spacebus Neo 衛星は、角運動量の管理に加えて、スラスターによって生成された小さな力を効率的に使用して、軌道位置を変更または維持できます。」
「Thales Belfast のチームは、電動スラスターとそれに関連するハードウェアを受け取るための各ポインティング メカニズムを準備します。完成したアセンブリは、フランスの Thales Alenia Space Cannes に送られ、衛星に統合されます。」
「これらのユニットは、最初の Spacebus Neo 衛星である Eutelsat の KONNECT で飛行します。」
ギュンターの記事では、ユーテルサット コネクト(2020.01.16)のスラスターは、スネクマのPPS-5000ということになっている。
が、添付されている画像は、誰が見たってPPS-5000とは異なる(理由は<さらにさらに追加>参照)。
が、ギュンターの記事でも、PPS-5000と明記されているのは、昨年9月のEutelsat Konnect VHTSまでの話だ。
そう、タレスは、昨年11月のユーテルサット 10Bや、今回のアマゾナス・ネクサスでは、新たに開発されたホールスラスタ(たぶん)を実装したに違いないのだ(うーん、妄想かあ?→そうみたいですな)。
更に調べていくと、この謎の新開発のスラスター(?)には、ちゃんとした名前まで付いていることまで発見した。
(THALES ALENIA SPACEが韓国のGEO-KOMPSAT-3衛星にTETRA電気推進を提供)
https://www.thalesgroup.com/en/worldwide/space/press_release/thales-alenia-space-provide-tetra-electric-propulsion-koreas-geo
「Thales Alenia Space の新しい電気推進製品ラインである TETRA は、英国で設計および組み立てられており、SpaceBus NEO プラットフォーム推進サブシステムの実証済みの成功と飛行の遺産と、英国宇宙庁のサポートを組み合わせて利用しています。」
テトラって言うのか・・・。
「TETRA は、物理的、電気的、熱的に容易に対応できる、軽量で効率的かつコンパクトな最新のソリューションです。その長寿命と柔軟な設計により、メガコンステレーション、地球観測衛星、軌道上サービス、ハイブリッド静止衛星など、さまざまな軌道やアプリケーションに適しており、顧客の要件を完全に満たします。」
これが、ベルファストでエアロジェットからパクった(!)スラスターかどうかは知らない(そうではないようです)。
しかし、プレスリリースの中では、「実証済みの成功と飛行の遺産」と明記されているからな。
もう、飛ばしているってことなわけだ(そうなのかあ?)。
プレスリリースは、2月1日だ。
その時点では、もちろん、アマゾナス・ネクサスは上がっていない。
つまり、昨年11月のユーテルサット 10Bには、TETRAが実装されていたことになる(そういうことかあ?)。
もちろん、今回の打ち上げでもテトラスラスターが実装されているに違いない。
アマゾナス・ネクサスのホールスラスタ(たぶん)を巡る、浮沈子の長い旅はひとまず終わった。
ひょっとすると、ベルファストの工場は、単に組み立てだけを行うのかも知れない。
が、設計が英国ということになっているからな。
そこは重要だ(やっぱ、エアロジェットからのパクリかあ?)。
スラスターに電気を供給する電源(PPU)についても、タレスは内製している(TASベルギー)。
「ベルギーの Thales Alenia Space は推進力ユニットを提供し、ドイツの Thales の Microwave & Imaging Subsystems 活動は電気スラスターを提供します。」
このスラスターは、開発のスキームから、エアバスDSのEurostar Neoでも使われることになる。
欧州は、全電化衛星の市場をガッチリと掴みつつある。
我が国が技術試験衛星9号機の開発を終え、2025年度に延期された打ち上げをボーっと待っている間に、市場はごっそりさらわれちまうに違いない(実際、既に韓国の衛星は持っていかれたしな)。
「この契約は、Thales Alenia Space の韓国での長いサクセス ストーリーに追加され、衛星および衛星コンステレーション用の革新的な電気推進システムの設計と提供における当社の印象的な実績を裏付けるものです。」
三菱電機が、切歯扼腕しているのが目に浮かぶな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(ホールドライブ:ドイツ語のページ)
https://de.wikipedia.org/wiki/Hallantrieb
いろいろ調べているうちに偶然見つけたんだが、ホールスラスタは中国でも使われているようだ。
「ホール ドライブの最もよく知られている実用的な用途は、2021 年以降、中国の宇宙ステーションで行われました。そこでは、それぞれ 80 mN の推力を持つ 4 つのエンジンが、通常の軌道上昇 (「リブースト操作」) を担当しています。」
ISSのリブーストでは苦労しているからな。
もっとも、400トンを超えるISSと、せいぜい80トン止まりの天宮宇宙ステーションでは異なるのかも知れない。
このページには気になる記述もある。
「NASAは、2016 年から 2019 年にかけて、エアロジェット ロケットダインでの強力なホール効果エンジンの開発に 6,700 万ドルの資金を提供しました。」
欧州撤退のタイミングと、妙に一致しているのが気になる(気のせいかあ?)。
米国は、ホールスラスタよりも、惑星探査に使えそうなイオンエンジンに注力してきたからな。
撤退の穴埋めだったりしたら、大スキャンダルだ。
今回いろいろ調べて、ホールスラスタが静止衛星の軌道維持や静止軌道までの上昇におけるメインストリームになるのではないかという印象が強くなった。
B社が、イオンエンジンでどこまで粘るのか。
軌道到達期間(3か月から半年)を、投入軌道などの工夫と絡めて、どこまで縮めることが出来るのか。
そもそも、静止衛星の運用期間をどう見積もるのか(燃料補給とかの技術もあるしな)。
少し前までは、静止衛星と言えども、せいぜい5年くらいが寿命だった。
打ち上げロケットの性能向上で、重量衛星(6トン級)が上げられるようになり、衛星寿命は長くなった。
今では15年というのが当たり前だ。
大量(100個くらい)の中継器を積んで、腹一杯燃料を入れて、長期の業務に投入される。
今回のアマゾナス・ネクサスもそうだけど、機器の構成を制御するプログラムを弄れるようにして、柔軟な運用が可能な中継器群を搭載するようになってきた。
ここにも、メカトロニクスの時代が押し寄せているんだろうな。
トラポンのいくつかは、軍用に使われるようだし、区分所有も当たり前になっている。
衛星オペレーターは、アパートの大家さんみたいな感じになってきている。
電力とデータバスを管理し、軌道を維持して店子にサービスする存在だ。
その通信(放送・インターネット)衛星も、全電化衛星で様変わりしつつある。
運用期間は同程度の15年だけど、需要に応じて用途を変えたりすることが出来るようになったり、燃料搭載量を少なくできることから、スーパーシンクロナス・トランスファー軌道へ投入したり、2機纏めて打ち上げたりすることが出来るようになってきた。
まあ、アリアンは、元から2機打ち上げだけどな(5トン級くらいまで?)。
それもこれも、スターシップが運用されるまでの話かもしれない。
静止軌道衛星事業も、無傷ではいられないだろう。
業界が震撼する事態が始まろうとしている。
部屋の中のゾウだ。
ホールスラスタなんて、ショボい話は吹っ飛んじまうかもしれない。
しこたまヒドラジン積んで、静止軌道に直接20トンの衛星上げればいいじゃないの・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(地上基盤無線)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E4%B8%8A%E5%9F%BA%E7%9B%A4%E7%84%A1%E7%B7%9A
「地上基盤無線(ちじょうきばんむせん、TErrestrial Trunked RAdio、TETRA)は、公共安全に使用する特定用途向け業務用デジタル移動通信システムで、政府機関や、特別救急サービス、警察、消防署、救急車、鉄道輸送の従業員、運送サービス、および軍用向けに設計されている。」
タレスは、無線関係にも手を出していて、テトラとタレスを絡めて検索すると、こっちの関係がヒットして困った。
まだ、ニュースリリースしたばかりのホールスラスタの情報も、早く整備してもらいたいな・・・。
<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー
(Snecma は、エアバス、タレス衛星電気スラスターの注文の準備をしています)
https://spacenews.com/snecma-prepares-for-airbus-thales-satellite-electric-thruster-orders/
「PPS 5000 スラスターの使用に関するヨーロッパの 2 つの最大の衛星プライム コントラクターとの合意に続いて、今後 10 年間で年間 35 のプラズマ電気衛星推進ユニットを販売する予定」
記事は2016年のものだが、これによればPPS-5000は当分の間使い続けられるということなわけで、タレスのスペースバスネオのホールスラスターは、現在でもPPS-5000のままのはずだ。
とすれば、ベルファストで組付けられているのはいったい何なのか。
(スペースバス ネオ プラットフォーム用の電気推進ポインティング メカニズム (EPPM))
http://electricrocket.org/2019/243.pdf
「ESA パートナーシップ プロジェクトの一環として、RUAG は、Thales の Spacebus Neo プラットフォーム用の新しい EP ポインティング メカニズムの開発と認定に選ばれました。」
「設計駆動要件は次のとおりです。」
・スラスター供給ハーネス、スラスター供給配管、およびメカニズム ハーネスから生じる高抵抗トルク下でのポインティング機能。
・Fakel SPT-140 と Safran PPS-5000 の 2 つのスラスター タイプに対するメカニズムの相互互換性
・スラスターの高い衝撃感度。
そうなのだ、RUAGが開発したのは、ホールスラスタの「架台」だったわけで、画像でみても、スラスターヘッドがダミーで写っているだけなわけだ(記事のフィギャー1参照:SPT-140 スラスター マス ダミーを使用した発射構成の電気推進ポインティング メカニズム (EPPM)。:キャプションより)。
例によって、浮沈子の早とちりによるチョンボだな。
そうなると、テトラ=PPS-5000+EPPMという公式も怪しい(そうなのかあ?)。
ひょっとすると、互換性のあるSPT-140辺りが組み込まれている可能性すらある(そんなあ!)。
テトラなんていう、ワケワカのシステム名を与えたのは、ロシア製のスラスターヘッドユニットを使用しているのを隠すためのショボい対策の可能性すらある(ありえねー・・・:タレスは、一貫してPPS-5000だからな)。
まあ、どうでもいいんですが。
もちろん、様々な可能性はあるわけで、何とも言えない。
タレスはガリレオ衛星(欧州版GPS衛星)も作っているけど、それにはPPS-5000を搭載するようだ。
(Safran は PPS®5000 プラズマスラスターで Galileo に乗り込みます)
https://www.safran-group.com/fr/espace-presse/safran-monte-bord-galileo-propulseur-plasmique-ppsr5000-2022-01-26
「Thales Alenia Space は、Safran Aircraft Engines の PPS®5000 プラズマスラスターを選択して、ガリレオ1コンステレーションの 6 つの第 2 世代衛星に電力を供給しています。」
スネクマは、サフランの一部門となって名称も変わっている。
今後しばらくは、欧州ではPPS-5000の時代が続くんだろうな(今時、ロシア製のホールスラスタは売れないだろうし・・・)。
「電気衛星事業者から 88 台の PPS ® 5000 モーターが注文され、そのうち 44 台がすでに納入されています。」(記事は、2022年1月26日付)
まあいい。
TASのTETRAが何を意味するのかは、相変わらず不明のままだ。
つーことは、アマゾナス・ネクサスの電気推進システムがどうなっているかは、相変わらず不明のままということだな・・・。
(SpaceX、スペインのヒスパサット向け通信衛星を打ち上げ)
https://spaceflightnow.com/2023/02/06/falcon-9-amazonas-nexus-coverage/
久しぶりに、生中継で打ち上げを見た。
この衛星は、全電化衛星で、投入軌道はスーパーシンクロナス・トランスファー軌道という、絵に描いたような今時の流行な仕掛けだ。
「ソーラー アレイを配置した後、宇宙船は独自のプラズマ推進システムを使用して、今後数か月にわたって軌道を徐々に再形成し、最終的には赤道上空 22,000 マイル (約 36,000 キロメートル) を超える円形の静止軌道に落ち着きます。」
「ファルコン 9 ロケットは、上段エンジンを 2 回発射して、アマゾナス ネクサス宇宙船を楕円形の超同期トランスファー軌道に投入しました。」
スーパーシンクロナス・トランスファー軌道でググると、浮沈子の与太記事が、とんでもなく上位でヒットする(ヤバいな・・・)。
(スーパーシンクロナス・トランスファー軌道)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/02/19/8022738
「静止衛星を上げる時に、静止軌道である3万6千キロ(35786km)より高い高度に上げてしまうという方法らしい。」
まあ、どうでもいいんですが。
で、浮沈子としては、投入軌道よりも、今回は衛星に取り付けられている「独自のプラズマ推進システム」とやらが気になるわけだ。
(アマゾナス ネクサス ミッション)
https://www.elonx.cz/mise-amazonas-nexus/
「この衛星はSpacebus-Neo 200プラットフォーム上に構築され、電気モーターのみが装備されています。」
埋め込まれているリンク先(タレスやヒスパサットのページ)を見ても、大したことは書いてない。
こういう時は、いつものページだな・・・。
(アマゾナス・ネクサス)
https://space.skyrocket.de/doc_sdat/amazonas-nexus.htm
「推進:?、電気推進」
おいおい!。
当てにしていたページが外れだったので、少し調べる。
(タレス アレニア スペース: Spacebus-Neo)
https://space.skyrocket.de/doc_sat/tas_spacebus-neo.htm
一覧が出ていたので、整理してみた。
<衛星:打ち上げ日:バス:推進システム:>
・ユーテルサット コネクト:2020.01.16:Spacebus-Neo-100:4 × PPS-5000 プラズマスラスター
・シラキュース 4A:2021.10.24:Spacebus-Neo-100:4 × PPS-5000 プラズマスラスター
・SES 17:2021.10.24: Spacebus-Neo-200:4 × PPS-5000 プラズマスラスター
・Eutelsat Konnect VHTS:2022.09.07:Spacebus-Neo-200:4 × PPS-5000 プラズマスラスター
・ユーテルサット 10B:2022.11.23:Spacebus-Neo-200:プラズマスラスター
・アマゾナス・ネクサス:2023.02.07:Spacebus-Neo-200:?、電気推進
・サトリア:2023年:Spacebus-Neo-200:?、電気推進
・アストラ1P:202x:Spacebus-Neo-200:?、電気推進
・シクラル 3A:202x:Spacebus-Neo (不明なバージョン):?
・シクラル 3B:202x:Spacebus-Neo (不明なバージョン):?
うーん、去年の11月のユーテルサット10B辺りから、ワケワカになっている。
バスのサブバージョンのアップグレード(100→200)は、関係ないようだしな。
いろいろネットを徘徊したら、こんなページが出てきた。
(全電化衛星の世界動向)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kjsass/65/9/65_274/_pdf/-char/ja
時期的にはやや古いが、全体の傾向や技術要件の差、系統が分かって参考になった。
「いずれの電気推進も政府主導プログラムの成果から波及,開発されたものと言うことができ,初期の電気推進開発は開発リスクが高く,政府支援が必須であることが伺える.」
やや手前味噌な感じがしないでもない(本人は、技術試験衛星9号機のホールスラスタ開発担当!)。
これを読むと、B社(イオンエンジン)以外は全てホールスラスタな感じがする。
「第 1 表からは今後,全電化静止衛星においてはホールスラスタが趨勢を占めるであろうことも推測できる.」
「特に,Snecma の PPS-5000 が欧のみならず米にも販路を拡大している点には注目すべきである.」
「これに対し Aerojet は 2012 年に Belfast の TAS の工場内にEuropean Space Propulsion を設立,ESA 資金により XR5 をマイナーチェンジした XR-5E を開発,QT まで終え,TAS-B の PPU との組合せにて欧での生産,販売を画策したが,目標とした利益を得られず 2016 年に撤退している」
気になったので、調べてみた。
(欧州宇宙推進機関、タレス アレニア スペース ベルギー電力処理装置を使用した 5 キロワット ホール スラスターのテストを完了)
https://www.rocket.com/article/european-space-propulsion-completes-testing-five-kilowatt-hall-thruster-thales-alenia-space
「欧州宇宙推進 (ESP) は、パワー プロセッシング ユニット (PPU) を備えた 5 キロワットのホール スラスターのテストを成功裏に完了しました。 」
(欧州宇宙推進:航空宇宙企業がベルファストの事業を閉鎖:2016 年 5 月 13 日の記事)
https://www.bbc.com/news/uk-northern-ireland-36283409
「予想される年間売上高 1,300 万ポンドに近づくことはありませんでした。」
まあいい。
浮沈子が注目したのは、エアロジェットがテストしていた、ベルファストの工場の方だ。
(タレス防空)
https://en.wikipedia.org/wiki/Thales_Air_Defence#Historical
「2001 年に Shorts Missile Systems は Thales Air Defence Limited に改名されました。」
エアロジェットは、事実上、この会社でテストをしていたということになる(未確認)。
ところが、これがどんでん返しなわけだ。
(英国の拠点:ベルファスト)
https://www.thalesgroup.com/en/countries/europe/united-kingdom/about-thales-uk/our-uk-locations#northernireland
「2016 年 10 月 18 日、英国の宇宙飛行士ティム ピークは、英国初の電気宇宙推進統合センター製造施設を正式に開設しました。私たちは、ベルファスト サイトが知られている人工衛星用の最先端の電気推進システムを誇りに思っています。この施設は、当社の空間設計および製造能力における重要なマイルストーンです。」
BBCの記事にあるのと同じ建物が写っているからな。
やれやれ・・・。
撤退の記事が2016 年 5 月 13 日付けだから、米国の名門ロケット企業が撤退して半年も経たないうちに、同じ工場内に、欧州最大の衛星メーカーが電気推進の製造施設を開設したわけだ。
技術流出がなかったのかが問題だな。
余程気前のいい話だったのかもしれない(未確認)。
いずれにしても、それから2年余りの月日が流れた・・・。
(完璧な推進ポインティング: Neosat プログラムの主な成果)
https://www.esa.int/Applications/Telecommunications_Integrated_Applications/Perfect_propulsion_pointing_a_main_achievement_of_the_Neosat_programme
「「すべて電気」の Spacebus Neo 衛星は、角運動量の管理に加えて、スラスターによって生成された小さな力を効率的に使用して、軌道位置を変更または維持できます。」
「Thales Belfast のチームは、電動スラスターとそれに関連するハードウェアを受け取るための各ポインティング メカニズムを準備します。完成したアセンブリは、フランスの Thales Alenia Space Cannes に送られ、衛星に統合されます。」
「これらのユニットは、最初の Spacebus Neo 衛星である Eutelsat の KONNECT で飛行します。」
ギュンターの記事では、ユーテルサット コネクト(2020.01.16)のスラスターは、スネクマのPPS-5000ということになっている。
が、添付されている画像は、誰が見たってPPS-5000とは異なる(理由は<さらにさらに追加>参照)。
が、ギュンターの記事でも、PPS-5000と明記されているのは、昨年9月のEutelsat Konnect VHTSまでの話だ。
そう、タレスは、昨年11月のユーテルサット 10Bや、今回のアマゾナス・ネクサスでは、新たに開発されたホールスラスタ(たぶん)を実装したに違いないのだ(うーん、妄想かあ?→そうみたいですな)。
更に調べていくと、この謎の新開発のスラスター(?)には、ちゃんとした名前まで付いていることまで発見した。
(THALES ALENIA SPACEが韓国のGEO-KOMPSAT-3衛星にTETRA電気推進を提供)
https://www.thalesgroup.com/en/worldwide/space/press_release/thales-alenia-space-provide-tetra-electric-propulsion-koreas-geo
「Thales Alenia Space の新しい電気推進製品ラインである TETRA は、英国で設計および組み立てられており、SpaceBus NEO プラットフォーム推進サブシステムの実証済みの成功と飛行の遺産と、英国宇宙庁のサポートを組み合わせて利用しています。」
テトラって言うのか・・・。
「TETRA は、物理的、電気的、熱的に容易に対応できる、軽量で効率的かつコンパクトな最新のソリューションです。その長寿命と柔軟な設計により、メガコンステレーション、地球観測衛星、軌道上サービス、ハイブリッド静止衛星など、さまざまな軌道やアプリケーションに適しており、顧客の要件を完全に満たします。」
これが、ベルファストでエアロジェットからパクった(!)スラスターかどうかは知らない(そうではないようです)。
しかし、プレスリリースの中では、「実証済みの成功と飛行の遺産」と明記されているからな。
もう、飛ばしているってことなわけだ(そうなのかあ?)。
プレスリリースは、2月1日だ。
その時点では、もちろん、アマゾナス・ネクサスは上がっていない。
つまり、昨年11月のユーテルサット 10Bには、TETRAが実装されていたことになる(そういうことかあ?)。
もちろん、今回の打ち上げでもテトラスラスターが実装されているに違いない。
アマゾナス・ネクサスのホールスラスタ(たぶん)を巡る、浮沈子の長い旅はひとまず終わった。
ひょっとすると、ベルファストの工場は、単に組み立てだけを行うのかも知れない。
が、設計が英国ということになっているからな。
そこは重要だ(やっぱ、エアロジェットからのパクリかあ?)。
スラスターに電気を供給する電源(PPU)についても、タレスは内製している(TASベルギー)。
「ベルギーの Thales Alenia Space は推進力ユニットを提供し、ドイツの Thales の Microwave & Imaging Subsystems 活動は電気スラスターを提供します。」
このスラスターは、開発のスキームから、エアバスDSのEurostar Neoでも使われることになる。
欧州は、全電化衛星の市場をガッチリと掴みつつある。
我が国が技術試験衛星9号機の開発を終え、2025年度に延期された打ち上げをボーっと待っている間に、市場はごっそりさらわれちまうに違いない(実際、既に韓国の衛星は持っていかれたしな)。
「この契約は、Thales Alenia Space の韓国での長いサクセス ストーリーに追加され、衛星および衛星コンステレーション用の革新的な電気推進システムの設計と提供における当社の印象的な実績を裏付けるものです。」
三菱電機が、切歯扼腕しているのが目に浮かぶな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(ホールドライブ:ドイツ語のページ)
https://de.wikipedia.org/wiki/Hallantrieb
いろいろ調べているうちに偶然見つけたんだが、ホールスラスタは中国でも使われているようだ。
「ホール ドライブの最もよく知られている実用的な用途は、2021 年以降、中国の宇宙ステーションで行われました。そこでは、それぞれ 80 mN の推力を持つ 4 つのエンジンが、通常の軌道上昇 (「リブースト操作」) を担当しています。」
ISSのリブーストでは苦労しているからな。
もっとも、400トンを超えるISSと、せいぜい80トン止まりの天宮宇宙ステーションでは異なるのかも知れない。
このページには気になる記述もある。
「NASAは、2016 年から 2019 年にかけて、エアロジェット ロケットダインでの強力なホール効果エンジンの開発に 6,700 万ドルの資金を提供しました。」
欧州撤退のタイミングと、妙に一致しているのが気になる(気のせいかあ?)。
米国は、ホールスラスタよりも、惑星探査に使えそうなイオンエンジンに注力してきたからな。
撤退の穴埋めだったりしたら、大スキャンダルだ。
今回いろいろ調べて、ホールスラスタが静止衛星の軌道維持や静止軌道までの上昇におけるメインストリームになるのではないかという印象が強くなった。
B社が、イオンエンジンでどこまで粘るのか。
軌道到達期間(3か月から半年)を、投入軌道などの工夫と絡めて、どこまで縮めることが出来るのか。
そもそも、静止衛星の運用期間をどう見積もるのか(燃料補給とかの技術もあるしな)。
少し前までは、静止衛星と言えども、せいぜい5年くらいが寿命だった。
打ち上げロケットの性能向上で、重量衛星(6トン級)が上げられるようになり、衛星寿命は長くなった。
今では15年というのが当たり前だ。
大量(100個くらい)の中継器を積んで、腹一杯燃料を入れて、長期の業務に投入される。
今回のアマゾナス・ネクサスもそうだけど、機器の構成を制御するプログラムを弄れるようにして、柔軟な運用が可能な中継器群を搭載するようになってきた。
ここにも、メカトロニクスの時代が押し寄せているんだろうな。
トラポンのいくつかは、軍用に使われるようだし、区分所有も当たり前になっている。
衛星オペレーターは、アパートの大家さんみたいな感じになってきている。
電力とデータバスを管理し、軌道を維持して店子にサービスする存在だ。
その通信(放送・インターネット)衛星も、全電化衛星で様変わりしつつある。
運用期間は同程度の15年だけど、需要に応じて用途を変えたりすることが出来るようになったり、燃料搭載量を少なくできることから、スーパーシンクロナス・トランスファー軌道へ投入したり、2機纏めて打ち上げたりすることが出来るようになってきた。
まあ、アリアンは、元から2機打ち上げだけどな(5トン級くらいまで?)。
それもこれも、スターシップが運用されるまでの話かもしれない。
静止軌道衛星事業も、無傷ではいられないだろう。
業界が震撼する事態が始まろうとしている。
部屋の中のゾウだ。
ホールスラスタなんて、ショボい話は吹っ飛んじまうかもしれない。
しこたまヒドラジン積んで、静止軌道に直接20トンの衛星上げればいいじゃないの・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(地上基盤無線)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E4%B8%8A%E5%9F%BA%E7%9B%A4%E7%84%A1%E7%B7%9A
「地上基盤無線(ちじょうきばんむせん、TErrestrial Trunked RAdio、TETRA)は、公共安全に使用する特定用途向け業務用デジタル移動通信システムで、政府機関や、特別救急サービス、警察、消防署、救急車、鉄道輸送の従業員、運送サービス、および軍用向けに設計されている。」
タレスは、無線関係にも手を出していて、テトラとタレスを絡めて検索すると、こっちの関係がヒットして困った。
まだ、ニュースリリースしたばかりのホールスラスタの情報も、早く整備してもらいたいな・・・。
<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー
(Snecma は、エアバス、タレス衛星電気スラスターの注文の準備をしています)
https://spacenews.com/snecma-prepares-for-airbus-thales-satellite-electric-thruster-orders/
「PPS 5000 スラスターの使用に関するヨーロッパの 2 つの最大の衛星プライム コントラクターとの合意に続いて、今後 10 年間で年間 35 のプラズマ電気衛星推進ユニットを販売する予定」
記事は2016年のものだが、これによればPPS-5000は当分の間使い続けられるということなわけで、タレスのスペースバスネオのホールスラスターは、現在でもPPS-5000のままのはずだ。
とすれば、ベルファストで組付けられているのはいったい何なのか。
(スペースバス ネオ プラットフォーム用の電気推進ポインティング メカニズム (EPPM))
http://electricrocket.org/2019/243.pdf
「ESA パートナーシップ プロジェクトの一環として、RUAG は、Thales の Spacebus Neo プラットフォーム用の新しい EP ポインティング メカニズムの開発と認定に選ばれました。」
「設計駆動要件は次のとおりです。」
・スラスター供給ハーネス、スラスター供給配管、およびメカニズム ハーネスから生じる高抵抗トルク下でのポインティング機能。
・Fakel SPT-140 と Safran PPS-5000 の 2 つのスラスター タイプに対するメカニズムの相互互換性
・スラスターの高い衝撃感度。
そうなのだ、RUAGが開発したのは、ホールスラスタの「架台」だったわけで、画像でみても、スラスターヘッドがダミーで写っているだけなわけだ(記事のフィギャー1参照:SPT-140 スラスター マス ダミーを使用した発射構成の電気推進ポインティング メカニズム (EPPM)。:キャプションより)。
例によって、浮沈子の早とちりによるチョンボだな。
そうなると、テトラ=PPS-5000+EPPMという公式も怪しい(そうなのかあ?)。
ひょっとすると、互換性のあるSPT-140辺りが組み込まれている可能性すらある(そんなあ!)。
テトラなんていう、ワケワカのシステム名を与えたのは、ロシア製のスラスターヘッドユニットを使用しているのを隠すためのショボい対策の可能性すらある(ありえねー・・・:タレスは、一貫してPPS-5000だからな)。
まあ、どうでもいいんですが。
もちろん、様々な可能性はあるわけで、何とも言えない。
タレスはガリレオ衛星(欧州版GPS衛星)も作っているけど、それにはPPS-5000を搭載するようだ。
(Safran は PPS®5000 プラズマスラスターで Galileo に乗り込みます)
https://www.safran-group.com/fr/espace-presse/safran-monte-bord-galileo-propulseur-plasmique-ppsr5000-2022-01-26
「Thales Alenia Space は、Safran Aircraft Engines の PPS®5000 プラズマスラスターを選択して、ガリレオ1コンステレーションの 6 つの第 2 世代衛星に電力を供給しています。」
スネクマは、サフランの一部門となって名称も変わっている。
今後しばらくは、欧州ではPPS-5000の時代が続くんだろうな(今時、ロシア製のホールスラスタは売れないだろうし・・・)。
「電気衛星事業者から 88 台の PPS ® 5000 モーターが注文され、そのうち 44 台がすでに納入されています。」(記事は、2022年1月26日付)
まあいい。
TASのTETRAが何を意味するのかは、相変わらず不明のままだ。
つーことは、アマゾナス・ネクサスの電気推進システムがどうなっているかは、相変わらず不明のままということだな・・・。
🐱令和5年の梅開花 ― 2023年02月10日 02:47
令和5年の梅開花
春を待つ今日この頃。
先日(2月8日)、梅の花が咲いているのを見つけた。
6日に通りかかった時には咲いていなかったし(膨らみかけた白い蕾だけ)、翌日はフィットネスをサボったので未確認。
8日に、数輪の花が咲いていた。
梅一輪とは言うけれど、一気に5個くらい咲いていたからな。
その勢いで暖かい春が来るかと思いきや、予報では、今日は南岸低気圧が通って、東京地方も雪が降るという。
やれやれ・・・。
浮沈子は、今年、高齢者の仲間入りをする。
梅の開花を見るのも、何か特別な気がする。
あと何回なのかを、ついつい考えてしまう。
毎年、一期一会と思って眺めるようになるんだろう。
まあ、どうでもいいんですが。
昨日は、偶然、伊藤博文の墓所を知った。
(伊藤博文公墓所
初代内閣総理大臣 伊藤博文が眠る)
https://shinagawa-kanko.or.jp/spot/itouhirobumikumonjo/
「隣にはやや小型の梅子夫人の墓があります。」
「梅」繋がりだな・・・。
「通常は非公開のため入れませんが、毎年秋に開催する文化財ウィークには数日限定で公開されます。」
うーん、秋まで生きていれば行ってみようかな・・・。
春を待つ今日この頃。
先日(2月8日)、梅の花が咲いているのを見つけた。
6日に通りかかった時には咲いていなかったし(膨らみかけた白い蕾だけ)、翌日はフィットネスをサボったので未確認。
8日に、数輪の花が咲いていた。
梅一輪とは言うけれど、一気に5個くらい咲いていたからな。
その勢いで暖かい春が来るかと思いきや、予報では、今日は南岸低気圧が通って、東京地方も雪が降るという。
やれやれ・・・。
浮沈子は、今年、高齢者の仲間入りをする。
梅の開花を見るのも、何か特別な気がする。
あと何回なのかを、ついつい考えてしまう。
毎年、一期一会と思って眺めるようになるんだろう。
まあ、どうでもいいんですが。
昨日は、偶然、伊藤博文の墓所を知った。
(伊藤博文公墓所
初代内閣総理大臣 伊藤博文が眠る)
https://shinagawa-kanko.or.jp/spot/itouhirobumikumonjo/
「隣にはやや小型の梅子夫人の墓があります。」
「梅」繋がりだな・・・。
「通常は非公開のため入れませんが、毎年秋に開催する文化財ウィークには数日限定で公開されます。」
うーん、秋まで生きていれば行ってみようかな・・・。
🐱スターシップ:スーパーヘビーブースター:スタティックファイアテスト:31/33は成功なのか? ― 2023年02月11日 05:21
スターシップ:スーパーヘビーブースター:スタティックファイアテスト:31/33は成功なのか?
(SpaceX、Starship の巨大なスーパー ヘビー ブースターで 31 基のエンジンをテスト発射)
https://spaceflightnow.com/2023/02/09/spacex-test-fires-31-engines-on-starships-gigantic-super-heavy-booster/
「エンジニアがブースターの 33 個のエンジンの 1 つを点火直前に停止し、別のエンジンが「自動的に停止した」」
「つまり、全体で 31 個のエンジンが発火しました」
「しかし、軌道に乗るにはまだ十分なエンジンです!」
このテストは、スターシップにとっては重要なマイルストーンなわけだ。
「Gwynne Shotwellは・・・同社は木曜日に完全な静的燃焼テストを試みると述べ、「SpaceXにとって重要な日」と呼んだ.」
「実際に火をつけて出発する前に行うことができる最後の地上試験」
メディアは、次の発言を大々的に報じている。
「本当の目標は、発射台を爆破しないことです。それが成功です。」
これが、ギャグに過ぎないことは誰でも知っている。
テストの成功と呼べるのは、33機全てのエンジンが正常に点火されることだったことは明白だ。
軌道に上がるのに十分だとか、エリックラルフが言ってるように、エンジンの合計出力が史上最大を更新したかという話ではない。
(SpaceX Starship ブースターは、記録破りの 31 エンジンの静止火災に耐えました)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-booster-survives-most-powerful-static-fire-in-history/
「31 台のラプターが N1 の推力記録を破るには、平均スロットル設定が約 64% 以上である必要があり、不合理とは言えません。」
ったく、んなこたぁ、どーでもいーんですよ・・・。
浮沈子的には、このスタティックファイアテストは、当然のことながら失敗だと見ている。
単なる31/33という、点火したエンジンの数の問題じゃなく、スーパーヘビーブースターが、完成には程遠いことをうかがわせる、決定的な失敗なわけだ(そうなのかあ?)。
確かに、ここ2年間のスターシップの開発は、いくつかのトラブルがあったとはいえ、保守的な開発モードで行われてきた。
大量の資本を投下して作り上げた発射施設を温存したいというのも、確かに合理的な理由ではあるけれどな。
だが、仮に発射台をぶっ壊したとしても、貴重なデータが取れれば、そっちの方が長期的には速いペースでの開発に繋がる(たぶん)。
今回は、その意味では、多少ギャンブルな面があったかも知れない。
べらぼーな出力を発揮する猛獣を、フルに解き放つわけだからな。
そのリスクを冒す価値があるチャレンジで、結果的には最小のネガで切り抜けたと言えるのかもしれない。
まあいい。
しかし、全基が正常に起動しなかったことは、浮沈子的には大いに不満だ。
これが「成功」などとは、お世辞にも言えない。
事前に停止された1基のラプター(原因不明)だけならまだしも、自動停止した2基目(こっちも原因不明)があったというのは致命的だ。
今回は、たまたま1基だけが不発だったけど、次回は全部不発になるかも知れないじゃないの(そうなのかあ?)。
そんなロケットに、貴重なペイロードを載せられるのかあ?。
ラプター2改良型エンジンは、まだまだ完成には程遠いわけだ。
そして、その不安定なエンジンを33基も組み込んだスーパーヘビーブースターは、33倍ヤバいことになる(そういう計算なのかあ?)。
もちろん、一方では、クラスター化して束ねて使えば、一つ一つの信頼性は低くても、ある程度の冗長性が生まれることにはなる。
実際、ファルコン9でも、過去に作動不良を起こしているからな。
が、しかし、そういうのは、実際の運用の中で不測の事態が発生した場合の保険として組み込まれているわけで、通常は全てのエンジンが正常に稼働することが期待されている。
まだ開発中なわけだから、もちろん、完璧に動くとは限らない。
何らかの問題が発生することは、当然、想定の範囲内だ。
繰り返すが、今回どんな問題が起きたのかは、現時点では不明だ。
だが、安心して飛ばせる状態にないことだけは明確になった。
従来から、スーパーヘビーの地上テストは、慎重を期して起動するエンジンの数を小刻みに増やしてきた(一度は、全部同時にやるつもりで予備燃焼をチャレンジしたようですが、漏れ出たメタンに引火したしな・・・)。
それ以来、徐々に起動エンジンの数を増やして、今回、満を持しての全基起動のトライだったはずだが、結果は失敗に終わった(少なくとも、部分的失敗であることは否めない)。
品質管理上の問題なのか、ラプター2改良型の設計や製造の根本的な問題なのか。
スーパーヘビーブースターは、これまで何度も、エンジンを取り付けてから交換したりしているからな。
機体に取り付けてみないと、完全性の確認が出来ないのかも知れない(まともなテスト環境がないんだろう:つーか、エンジンテストを期待に取り付けてやる発想なのかも)。
そうなると、エンジン側だけではなく、スーパーヘビーブースターの燃料系の問題も気になる。
原因の究明には時間がかかる可能性があるな。
ひょっとすると、年内の打ち上げも怪しい(そうなのかあ?)。
3月だとか、4月だとか、メディアは勝手に書いているけど、まあ、絶対に、その時期には飛びっこない(断定的!:どんだけ早くても夏前ということはない)。
一方では、発射台の損傷の修復の問題もある。
壊滅的な破壊は免れたかもしれないけど、煙道を持たない安普請の発射台は、噴射の度に損傷し、毎回修復をしなければならない(ボカチカのスターベースは試験施設という位置付けだから、それはそれでいいのかもしれないけどな)。
次回の全基起動テストだって、5月くらい(3か月後)にならなければ実施不可能だ(発射台は2つあるから、交互に使えばすぐに出来るかもな)。
もちろん、そこで新たな問題が発生すれば、試験飛行は更にその後になる。
見かけは31基の制御起動に成功したわけだが、内実はボロボロズタズタな状況なわけだ(そんなあ!)。
じゃあ、今回のスタティックファイアテストは、目も当てられないほどの大失敗なのかと言えば、そんなことはない。
もろ手を挙げての大成功ではないけれど、前回14基の発射に留まったテストに比べれば、倍以上のラプターエンジンを起動することに成功している。
更に言えば、起動後に制御的に停止することにも成功した(ここ、重要です!)。
次のテストでは、正真正銘、33基全基の正常起動にチャレンジすることになる。
その際に、2段目を積み重ねた上で行うかは考え物だ(浮沈子は、まずは今回と同じように、スーパーヘビーブースター単体で行うと見ている)。
2段目のスターシップを積んだ完全な状態で、安定的に静的噴射を行う目途が立てば試験飛行に進めるが、それは当分先の話だ(早くても秋頃か)。
機体構造の動的挙動や、軌道速度からの2段目再突入など、飛ばしてみなければ分からないことは多いから、一日でも早く打ち上げたいところだが、エンジンの起動すらまともに行えない現状では、それ以前にやることが山ほどあることになる。
(SpaceX は、その巨大なスーパー ヘビー ロケットのホット ファイア テストを完了します [更新])
https://arstechnica.com/science/2023/02/as-early-as-today-starship-faces-its-final-exam-before-a-launch-attempt/
「本当の目標は発射台を爆破しないこと、それが成功だ」
メディア受けするコメントが、あちこちで使われているな。
それは、あくまでも、墜落激突爆発炎上木っ端微塵を繰り返してきた開発の経緯を振り返って、ショットウェルが放ったジョークに過ぎない。
確認しておこう。
「打ち上げチームは点火の直前に 1 つのエンジンを停止し、別のエンジンは自動的に停止しました。」
「SpaceX にとって朗報なのは、少なくとも初期の段階では、南テキサスの打ち上げインフラはほとんど無傷に見えたことです。」
それが全てで、それ以上でもそれ以下でもない。
「これは SpaceX にとって大きなマイルストーンであり、3 月後半または 4 月初旬に予定されている軌道試験飛行に向けて同社を軌道に乗せる可能性があります。」
外野はそれを期待しているが、浮沈子は極めて懐疑的だ(ありえねー・・・)。
これまでの、ド派手な開発の歴史をとりあえず棚上げにして公平な目で見るならば、スーパーヘビーブースター単体(2段目無し)での全基起動試験は、ありていに言って失敗に終わった。
それだけの話だ・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(スペースXが大型ブースター「スーパーヘビー」の点火試験実施 31基のエンジン同時点火に成功)
https://sorae.info/space/20230211-super-heavy-static-fire-test.html
「願わくば、今年はスターシップ」
たぶん、これが本音だろうな・・・。
浮沈子も、年内に上がればめっけもんだと思っている。
気になったのは次の部分だ・・・。
「dearMoonではスターシップは月の周回軌道に入らず、月の裏側を通過した後はそのまま地球へ戻ってくるため、打ち上げ後の推進剤補給は計画されていません。月面での離着陸を行うスターシップHLSに比べればハードルは低そうに思えます」
HLSの方が、大気圏再突入を伴わない分、100倍簡単だろう(そうなのかあ?)。
月面での離着陸なんて、半世紀以上前に、もっと複雑で危険なプロセス(着陸船と離陸船のエンジンは別もので、起動や分離に失敗すれば一巻の終わり)で、アポロが成功させているしな。
ショットウェルは、そこんとこは分かっている。
「スターシップによる有人飛行が少なくとも100回以上の無人飛行を重ねた後で行われると予想」
浮沈子的には、自由帰還軌道であれ何であれ、スターシップで人間を乗せて大気圏再突入→ネコ着地するのは、2030年代半ば以降の話と見ているからな。
10年早い。
もっとも、ちっとも分かってないのではないかと思われる節もある。
「・・・来年(2024年)はスターシップを100回飛ばしたい。来年は無理だとしても、2025年には100回飛ばせるだろう」
記事では、1日数十回の打ち上げを目指す話も出てくる。
やれやれ・・・。
まあ、このくらいオプチミスティックでなければ、S社の社長は務まらんだろうがな・・・。
スターシップの未来はバラ色に見えるが、全ては33基のラプターエンジンの点火に成功した暁の話だ。
それがクリアできなければ、ロケット革命なんて、いつまで経っても絵に描いた餅のまま終わる。
それを願っているロケットメーカーは多いだろうな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(スーパー ヘビー ロケットは、伝説のサターン V を上回る 31 のラプター エンジンの試験発射を実行しました。)
https://www.elonx.cz/raketa-super-heavy-provedla-testovaci-zazeh-31-motoru-raptor-a-prekonala-tak-legendarni-saturn-v/
「イーロン・マスクは、スターシップが2つのエンジンが機能していない状態で離陸したとしても、軌道に到達できると述べました。」
そう、それは誰でも知っている。
次が重要だな。
「ただし、実際の打ち上げの試みでは、ロケットはまったく離陸しないことを付け加えておく必要があります。これは、コンピューターが点火中にエンジンのいずれかに問題を検出した場合、打ち上げが中止されるためです。」
思った通り、点火エラーで起動しなかったエンジンがあれば離陸は行われない(考えてみれば当然ですが)。
こんな情報もある。
「SpaceX は後に、テスト中にエンジンが約 50% の出力に抑制されたことを特定したため、総推力は約 3,600 トンでした。これは、アポロ計画の伝説的なサターン V 月面ロケットよりもわずかに高いです。ただし、総推力は約3,900トンで、現在の王様であるアメリカのSLSロケットよりは少し劣ります。」
リンクされているツイッターには次の記述がある。
「スーパー ヘビー ブースター 7 は、31 台のラプター エンジンの全期間の静的燃焼テストを完了し、推力 790 万ポンド (約 3,600 トン) を生成しました。これは、ブースターの能力の半分未満です。」
まあいい。
いずれにしても、スーパーヘビーブースターのスタティックファイアテストは失敗に終わった。
記録も達成できていないしな。
顔を洗って、出直すしかないのだ・・・。
(SpaceX、Starship の巨大なスーパー ヘビー ブースターで 31 基のエンジンをテスト発射)
https://spaceflightnow.com/2023/02/09/spacex-test-fires-31-engines-on-starships-gigantic-super-heavy-booster/
「エンジニアがブースターの 33 個のエンジンの 1 つを点火直前に停止し、別のエンジンが「自動的に停止した」」
「つまり、全体で 31 個のエンジンが発火しました」
「しかし、軌道に乗るにはまだ十分なエンジンです!」
このテストは、スターシップにとっては重要なマイルストーンなわけだ。
「Gwynne Shotwellは・・・同社は木曜日に完全な静的燃焼テストを試みると述べ、「SpaceXにとって重要な日」と呼んだ.」
「実際に火をつけて出発する前に行うことができる最後の地上試験」
メディアは、次の発言を大々的に報じている。
「本当の目標は、発射台を爆破しないことです。それが成功です。」
これが、ギャグに過ぎないことは誰でも知っている。
テストの成功と呼べるのは、33機全てのエンジンが正常に点火されることだったことは明白だ。
軌道に上がるのに十分だとか、エリックラルフが言ってるように、エンジンの合計出力が史上最大を更新したかという話ではない。
(SpaceX Starship ブースターは、記録破りの 31 エンジンの静止火災に耐えました)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-booster-survives-most-powerful-static-fire-in-history/
「31 台のラプターが N1 の推力記録を破るには、平均スロットル設定が約 64% 以上である必要があり、不合理とは言えません。」
ったく、んなこたぁ、どーでもいーんですよ・・・。
浮沈子的には、このスタティックファイアテストは、当然のことながら失敗だと見ている。
単なる31/33という、点火したエンジンの数の問題じゃなく、スーパーヘビーブースターが、完成には程遠いことをうかがわせる、決定的な失敗なわけだ(そうなのかあ?)。
確かに、ここ2年間のスターシップの開発は、いくつかのトラブルがあったとはいえ、保守的な開発モードで行われてきた。
大量の資本を投下して作り上げた発射施設を温存したいというのも、確かに合理的な理由ではあるけれどな。
だが、仮に発射台をぶっ壊したとしても、貴重なデータが取れれば、そっちの方が長期的には速いペースでの開発に繋がる(たぶん)。
今回は、その意味では、多少ギャンブルな面があったかも知れない。
べらぼーな出力を発揮する猛獣を、フルに解き放つわけだからな。
そのリスクを冒す価値があるチャレンジで、結果的には最小のネガで切り抜けたと言えるのかもしれない。
まあいい。
しかし、全基が正常に起動しなかったことは、浮沈子的には大いに不満だ。
これが「成功」などとは、お世辞にも言えない。
事前に停止された1基のラプター(原因不明)だけならまだしも、自動停止した2基目(こっちも原因不明)があったというのは致命的だ。
今回は、たまたま1基だけが不発だったけど、次回は全部不発になるかも知れないじゃないの(そうなのかあ?)。
そんなロケットに、貴重なペイロードを載せられるのかあ?。
ラプター2改良型エンジンは、まだまだ完成には程遠いわけだ。
そして、その不安定なエンジンを33基も組み込んだスーパーヘビーブースターは、33倍ヤバいことになる(そういう計算なのかあ?)。
もちろん、一方では、クラスター化して束ねて使えば、一つ一つの信頼性は低くても、ある程度の冗長性が生まれることにはなる。
実際、ファルコン9でも、過去に作動不良を起こしているからな。
が、しかし、そういうのは、実際の運用の中で不測の事態が発生した場合の保険として組み込まれているわけで、通常は全てのエンジンが正常に稼働することが期待されている。
まだ開発中なわけだから、もちろん、完璧に動くとは限らない。
何らかの問題が発生することは、当然、想定の範囲内だ。
繰り返すが、今回どんな問題が起きたのかは、現時点では不明だ。
だが、安心して飛ばせる状態にないことだけは明確になった。
従来から、スーパーヘビーの地上テストは、慎重を期して起動するエンジンの数を小刻みに増やしてきた(一度は、全部同時にやるつもりで予備燃焼をチャレンジしたようですが、漏れ出たメタンに引火したしな・・・)。
それ以来、徐々に起動エンジンの数を増やして、今回、満を持しての全基起動のトライだったはずだが、結果は失敗に終わった(少なくとも、部分的失敗であることは否めない)。
品質管理上の問題なのか、ラプター2改良型の設計や製造の根本的な問題なのか。
スーパーヘビーブースターは、これまで何度も、エンジンを取り付けてから交換したりしているからな。
機体に取り付けてみないと、完全性の確認が出来ないのかも知れない(まともなテスト環境がないんだろう:つーか、エンジンテストを期待に取り付けてやる発想なのかも)。
そうなると、エンジン側だけではなく、スーパーヘビーブースターの燃料系の問題も気になる。
原因の究明には時間がかかる可能性があるな。
ひょっとすると、年内の打ち上げも怪しい(そうなのかあ?)。
3月だとか、4月だとか、メディアは勝手に書いているけど、まあ、絶対に、その時期には飛びっこない(断定的!:どんだけ早くても夏前ということはない)。
一方では、発射台の損傷の修復の問題もある。
壊滅的な破壊は免れたかもしれないけど、煙道を持たない安普請の発射台は、噴射の度に損傷し、毎回修復をしなければならない(ボカチカのスターベースは試験施設という位置付けだから、それはそれでいいのかもしれないけどな)。
次回の全基起動テストだって、5月くらい(3か月後)にならなければ実施不可能だ(発射台は2つあるから、交互に使えばすぐに出来るかもな)。
もちろん、そこで新たな問題が発生すれば、試験飛行は更にその後になる。
見かけは31基の制御起動に成功したわけだが、内実はボロボロズタズタな状況なわけだ(そんなあ!)。
じゃあ、今回のスタティックファイアテストは、目も当てられないほどの大失敗なのかと言えば、そんなことはない。
もろ手を挙げての大成功ではないけれど、前回14基の発射に留まったテストに比べれば、倍以上のラプターエンジンを起動することに成功している。
更に言えば、起動後に制御的に停止することにも成功した(ここ、重要です!)。
次のテストでは、正真正銘、33基全基の正常起動にチャレンジすることになる。
その際に、2段目を積み重ねた上で行うかは考え物だ(浮沈子は、まずは今回と同じように、スーパーヘビーブースター単体で行うと見ている)。
2段目のスターシップを積んだ完全な状態で、安定的に静的噴射を行う目途が立てば試験飛行に進めるが、それは当分先の話だ(早くても秋頃か)。
機体構造の動的挙動や、軌道速度からの2段目再突入など、飛ばしてみなければ分からないことは多いから、一日でも早く打ち上げたいところだが、エンジンの起動すらまともに行えない現状では、それ以前にやることが山ほどあることになる。
(SpaceX は、その巨大なスーパー ヘビー ロケットのホット ファイア テストを完了します [更新])
https://arstechnica.com/science/2023/02/as-early-as-today-starship-faces-its-final-exam-before-a-launch-attempt/
「本当の目標は発射台を爆破しないこと、それが成功だ」
メディア受けするコメントが、あちこちで使われているな。
それは、あくまでも、墜落激突爆発炎上木っ端微塵を繰り返してきた開発の経緯を振り返って、ショットウェルが放ったジョークに過ぎない。
確認しておこう。
「打ち上げチームは点火の直前に 1 つのエンジンを停止し、別のエンジンは自動的に停止しました。」
「SpaceX にとって朗報なのは、少なくとも初期の段階では、南テキサスの打ち上げインフラはほとんど無傷に見えたことです。」
それが全てで、それ以上でもそれ以下でもない。
「これは SpaceX にとって大きなマイルストーンであり、3 月後半または 4 月初旬に予定されている軌道試験飛行に向けて同社を軌道に乗せる可能性があります。」
外野はそれを期待しているが、浮沈子は極めて懐疑的だ(ありえねー・・・)。
これまでの、ド派手な開発の歴史をとりあえず棚上げにして公平な目で見るならば、スーパーヘビーブースター単体(2段目無し)での全基起動試験は、ありていに言って失敗に終わった。
それだけの話だ・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(スペースXが大型ブースター「スーパーヘビー」の点火試験実施 31基のエンジン同時点火に成功)
https://sorae.info/space/20230211-super-heavy-static-fire-test.html
「願わくば、今年はスターシップ」
たぶん、これが本音だろうな・・・。
浮沈子も、年内に上がればめっけもんだと思っている。
気になったのは次の部分だ・・・。
「dearMoonではスターシップは月の周回軌道に入らず、月の裏側を通過した後はそのまま地球へ戻ってくるため、打ち上げ後の推進剤補給は計画されていません。月面での離着陸を行うスターシップHLSに比べればハードルは低そうに思えます」
HLSの方が、大気圏再突入を伴わない分、100倍簡単だろう(そうなのかあ?)。
月面での離着陸なんて、半世紀以上前に、もっと複雑で危険なプロセス(着陸船と離陸船のエンジンは別もので、起動や分離に失敗すれば一巻の終わり)で、アポロが成功させているしな。
ショットウェルは、そこんとこは分かっている。
「スターシップによる有人飛行が少なくとも100回以上の無人飛行を重ねた後で行われると予想」
浮沈子的には、自由帰還軌道であれ何であれ、スターシップで人間を乗せて大気圏再突入→ネコ着地するのは、2030年代半ば以降の話と見ているからな。
10年早い。
もっとも、ちっとも分かってないのではないかと思われる節もある。
「・・・来年(2024年)はスターシップを100回飛ばしたい。来年は無理だとしても、2025年には100回飛ばせるだろう」
記事では、1日数十回の打ち上げを目指す話も出てくる。
やれやれ・・・。
まあ、このくらいオプチミスティックでなければ、S社の社長は務まらんだろうがな・・・。
スターシップの未来はバラ色に見えるが、全ては33基のラプターエンジンの点火に成功した暁の話だ。
それがクリアできなければ、ロケット革命なんて、いつまで経っても絵に描いた餅のまま終わる。
それを願っているロケットメーカーは多いだろうな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(スーパー ヘビー ロケットは、伝説のサターン V を上回る 31 のラプター エンジンの試験発射を実行しました。)
https://www.elonx.cz/raketa-super-heavy-provedla-testovaci-zazeh-31-motoru-raptor-a-prekonala-tak-legendarni-saturn-v/
「イーロン・マスクは、スターシップが2つのエンジンが機能していない状態で離陸したとしても、軌道に到達できると述べました。」
そう、それは誰でも知っている。
次が重要だな。
「ただし、実際の打ち上げの試みでは、ロケットはまったく離陸しないことを付け加えておく必要があります。これは、コンピューターが点火中にエンジンのいずれかに問題を検出した場合、打ち上げが中止されるためです。」
思った通り、点火エラーで起動しなかったエンジンがあれば離陸は行われない(考えてみれば当然ですが)。
こんな情報もある。
「SpaceX は後に、テスト中にエンジンが約 50% の出力に抑制されたことを特定したため、総推力は約 3,600 トンでした。これは、アポロ計画の伝説的なサターン V 月面ロケットよりもわずかに高いです。ただし、総推力は約3,900トンで、現在の王様であるアメリカのSLSロケットよりは少し劣ります。」
リンクされているツイッターには次の記述がある。
「スーパー ヘビー ブースター 7 は、31 台のラプター エンジンの全期間の静的燃焼テストを完了し、推力 790 万ポンド (約 3,600 トン) を生成しました。これは、ブースターの能力の半分未満です。」
まあいい。
いずれにしても、スーパーヘビーブースターのスタティックファイアテストは失敗に終わった。
記録も達成できていないしな。
顔を洗って、出直すしかないのだ・・・。
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