機上の空論(その2)2013年01月03日 19:42

機上の空論(その2)
機上の空論(その2)


セブからの帰りの機上で書いている。

ディレイしたので2時間ほど到着が遅れるようだ。

それでも、帰りは速くていい。4時間足らずで日本に着く。

気温差、30度の日本へ・・・。

まあ、仕方ない。

昼飯を食って一寝入りしたら、もう四国沖を飛んでいた。器材は747-400。フィリピンエアのフラッグシップである。先頭から2列目の窓際(1階です)。

久しぶりのジャンボだが、とても40年以上前の設計とは思えない。燃費がどうの、機体が古いのといろいろいわれるが、名機である。今後は徐々に引退していくことになるのだろうが、惜しまれる器材だ(タキシーイングでステアすると軋み音がするのは、なぜ?)。

それにしても、ビジネスクラスはいいなあ。

今後は、粗食に耐えて、ビジネスクラスで来ることにしよう・・・(あくまで、予定です)。

そのビジネスクラスでも、機上でネットには繋がらない。

マクタンのド田舎でも無線LANが繋がることを考えれば、何とかして欲しい。衛星経由でどうにでもなるだろう。JALはとっくにやっている。

もう、成田まで、600キロを切った。国内の大量高速輸送が鉄道に奪われたとしても、海外旅行については航空機の時代が今後も続く。世界的には、需要は伸び続けるわけだ。

37000フィートをの高空を、時速900キロ以上で飛んでいるとは信じられない。

アイポッドタッチに放り込んだ森高千里の「雨」を聞きながら、ノートパソコンでブログの原稿を書く。

やはり、21世紀的である。

このまま、セブにUターンしてくんないかなあ。

冬将軍の待つ日本、しかも、おもいっきり現実的な日常に放り込まれる。

昨日までの1週間が過去の記憶になり、その記憶を辿る「心の旅」が始まる。

21世紀になっても、旅の終わりの寂寥感は変わらない。

大島沖で機内放送が入った。これから高度を下げていくらしい。少しゆれ始めた。

気温は6度だと!。

ぬるい余韻も吹っ飛ぶことだろうよ・・・。

大切なこと2013年01月03日 23:49

大切なこと
大切なこと


最近の若い者は、モバゲーとかスマホに夢中で、自動車なんか見向きもしない、と言ったとか言わなかったとか。

トヨタは、若者に振り向いてもらおうと、このところ矢継ぎ早に奇抜なことをやり始めた。

(【トヨタ クラウン 新型発売】イメージ覆すピンクのクラウン登場…2013年冬に市販へ)
http://response.jp/article/2012/12/25/187707.html

米国の公聴会で泣いちゃった社長さんを使って、トップセールスしようというのだろうが、浮沈子にはピンとくるものがない。

初めて所有したクルマであるセリカ(だるまのST)も、軽以外で、初めて新車で買ったプリウスも、トヨタだった。

引き付けるものは、奇抜さや、奇をてらったデザインではなく、誠実なクルマ作りから生まれる、真面目な提案力であった。

もちろん、今でもその力はある。

しかし、移動という体験、移動した先での体験ではなく、通信を介した仮想の体験が、今時の若者を引き付けているのだ。

夕べ、ディスカバリーチャンネルで、米国の「アーミッシュ」といわれる人々の生活を、男女6人の米国の若者たちが体験するという企画の番組をやっていた。

(アーミッシュ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5

ケイタイも、インターネットも、テレビもない。

生活を維持する労働と、自然を愛でる楽しみがある。自動車には乗らずに、画像のような馬車に乗っている。

番組では、根底にある宗教の問題は、注意深く排除されていたが、まあ、いろいろ大人の事情があるのだろう。

エンジン式の発電機で起こした電気を使った洗濯機(どえらい年代モノだった)や、夜の探検には電池式のヘッドランプも登場するが、21世紀なんだから、いいんじゃないか。

若者たちは、異文化に触れる新鮮な驚きと、リアルな体験を通して、本物の持つ価値を確かに感じ取っていたようだった。

浮沈子は、晴耕雨読という言葉が好きで、人間の生活にとって、リアルな世界とバーチャルな世界とのバランスこそが大切なのだと思っている。

アーミッシュには、聖書を読み、その価値観を信じるという、バーチャルな世界がしっかりとある。

自動車であれ、馬車であれ、リアルな体験であることに違いはない。

若者の心を掴むのに、ピンクのクラウンしか思いつかないとしたら、少し悲しい。彼らの心の中に、リアルな移動の喜びや、旅先での出会いの喜びを伝えることの方が、よほど大切なのではないか。

世界企業となったトヨタが、世代を超えて、何かを伝えることができるとすれば、そういう根底的なことなのではないか。

ハイテクもいいし、スタイリッシュなのも結構。しかし、本気で何かを伝えたいと思ったら、真面目に、地道に、実際の体験を通じて時間をかけていくしかない。

ピンクのクラウンのニュースを読んで、アーミッシュのテレビ番組を思い出してしまう浮沈子が、既に取り残されているのかもしれない。