kfujitoの徒然（ｂｙ浮沈子）

欧州大戦争：停戦と交渉：駆け引き続く


（「一時停戦」終了、空爆再開か　硬軟両様で揺さぶり―ロシア）
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025051100130&g=int

「ウクライナ侵攻を続けるロシアが一方的に宣言した７２時間の一時停戦が１１日午前０時（日本時間同６時）、終了した。」

「ゼレンスキー政権は８日の一時停戦入り前、ロシアに対してドローン攻撃を実施。各国首脳を迎えるモスクワなどの空港がまひした。」

「プーチン政権が停戦終了後に大規模な報復に出るシナリオもあり得る。」

「ウクライナのメディアは、ロシア南部アストラハン州の演習場上空を１２、１３両日に封鎖する航空情報（ノータム）が出たと報道。」

「昨年１１月、ウクライナ東部ドニプロペトロウスク州に新型の極超音速中距離弾道ミサイル「オレシニク」が発射された際に似た動きと指摘」

米国大使館は、先日から大空襲の可能性を指摘している。

（ウクライナに「重大な空爆の可能性」、米大使館が警告）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/XAL5QELFZ5KXDNDH265VX2WYXE-2025-05-09/

「今後数日中にいつでも発生する可能性のある、重大な空爆に関する情報を受け取った」「空襲警報が発令された場合、直ちに避難できるよう準備しておくことを推奨する」

ヤバいな・・・。

ヤバ過ぎ！。

風雲急を告げる展開の一方、西側とロシアは双方とも、停戦や直接交渉と言った揺さぶりをお互いにかけ続けている。

（ゼレンスキー大統領“ウクライナ側の求めに応じ停戦行うべき”）
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250511/k10014802601000.html

「プーチン大統領は、今月15日にトルコでウクライナ側と直接会談することを一方的に提案」

「ロシアはウクライナ側の求めに応じてまずは12日から少なくとも30日間の停戦を行うべきだという立場」（ゼレンスキー大統領）

ロシアが停戦に応じるかどうかはビミョーだ。

（ロシア、30日間停戦を支持　「ニュアンス」が考慮されれば＝ペスコフ氏）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/CJPFA4DR4NI6DD5JOWXDTMIGQ4-2025-05-09/

「トランプ米大統領が８日に求めたロシアとウクライナに要求した３０日間の無条件停戦について、停戦に関する「ニュアンス」が十分に考慮された場合のみ、支持する」（ロシア大統領府（クレムリン）のペスコフ報道官）

「プーチン大統領はすぐに支持した」「停戦という概念を巡る多くのニュアンスに対する回答が見つからなければ、詳細に議論するのは非常に難しいという留保付きだ」

停戦するのかしないのか。

どっち！？。

まあ、時間稼ぎ＋はぐらかし＋テキトーなあしらい＝外交的常套句だろうな。

浮沈子は、こういうカオスな状況の下で、誰が何と言っているかにはあまり意味がないと思っている。

重要なのは、何がどうなっているかだ。

各国首脳を招いて開催したロシア最大のイベント（戦勝記念日）が終わり、国内は大いに盛り上がっている。

ロシア側の停戦期間中ではあったけど、戦線は押し気味で悪くない。

戦闘で勝っている時に停戦する動機は乏しい。

増して、無条件などという停戦に応じる必要はサラサラない。

条件を詰め、戦闘での優位をキッチリ織り込んだ停戦を行うための「交渉」を優先するだろう。

ロシアのスタンスは理に適っている。

もちろん、西側も情勢に応じた圧力を掛けているけど、主導権はロシア側に持って行かれたままで、相手が応じないからと非難するだけに留まっている。

米国は、印パの核戦争阻止でそれどころじゃないからな。

好きにしてくれ！（そうなのかあ？）。

米国が画策した１００日停戦プランは崩壊した。

夏も近づく中、ウクライナの継戦能力は日ごとに削がれていく。

戦勝記念日を狙ったモスクワへのドローン攻撃に対する大規模な反撃は、確実に行われるだろう。

西側からの停戦案は反故にされ、１５日の直接交渉も流れるに違いない。

ひょっとすると、このタイミングで米国は和平交渉から手を引くのではないか。

そりゃあ、表立って「これでやーめた！」とは言わないだろうが、ウクライナとの資源協定も結んだことだし、ロシアに対する制裁を徐々に解除する方向へと進むかもしれない。

米国の軍事支援が今後どうなるかは不明だが、占領地の奪還やロシア領内への再侵攻を行うことは難しいだろう。

米軍の直接支援を否定されて、欧州も軍隊の覇権を見送る方向だ。

今年はこのまま戦闘継続の可能性が高い。

夏が来れば、ブダノフが言ったように、ウクライナの戦闘継続が困難になる。

兵士のローテーションなのか、砲弾などの調達の問題なのかは知らない。

このまま押し続ければ、どこかで折れると分かっている交渉相手に対して、ロシアが手を緩め、無条件で停戦することはあり得ない。

是非はともかく、それはロシアの国益に反するからな。

では逆に、西側がロシアの求めに応じて、戦闘を継続するロシアとの直接交渉にウクライナを差し出すかと言われれば、それもないだろう。

無条件などではなく、降伏に等しい条件付きの停戦を呑まざるを得なくなることは分かり切っている。

それでも、停戦せざるを得なくなるところまでは、まだ追い詰められていないからな。

しかし、このままの状況が推移して、何か得るものがあるかと問われればそれもないだろう。

じり貧だ・・・。

今は、停戦が実現する環境にはないし、交渉を始めるタイミングでもない。

トランプ政権としては、停戦へのイニシャチブに対して限界を感じ始めているに違いない。

そろそろ潮時かも・・・。

（トランプ氏「ロシアとウクライナに素晴らしい日に」、プーチン氏の直接協議提案評価）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/5WL7QWNQT5J2FIRRLQNMC2BCUM-2025-05-11/

「この終わりのない『流血』が終結すれば、何十万人もの命が救われることを考えるべきだ」（トランプ米大統領）

「和平実現に向け、ロシア、ウクライナと今後も協力していく」

そこには、この件について主体的に行動しようというスタンスは見られない。

残念だが、終わりのない流血はしばらく続きそうだな・・・。

＜以下追加＞ーーーーーーーーーー

（ゼレンスキー大統領「プーチンをトルコで待つ」会談呼びかけ）
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250512/k10014803001000.html

「木曜日にトルコでプーチンを待っている。個人的には今回こそロシアが言い訳を探さないことを願っている」（ウクライナのゼレンスキー大統領）

「ウクライナは直ちにこの提案に応じるべきだ。少なくとも合意が可能か見極めることができるし、もし可能でなくても、ヨーロッパのリーダーやアメリカがどのような状況であるかを知りそれに応じて行動することができる。今すぐ会談しろ」（アメリカのトランプ大統領）

西側の呼びかけによる３０日間の停戦の有無にかかわらず、交渉の部隊は着々と整いつつある。

ロシアはどう出るのか。

プーチンは、おそらく出てこないだろう。

誰か、代理を立てて、とりあえず交渉の皮きりをさせる。

このさや当てが、単なる政治的茶番なのか、停戦へのきっかけになるかは分からない。

停戦か交渉か。

鶏か卵か。

売り言葉に買い言葉を掛け合っているうちに、瓢箪から駒が出ないとは限らない。

一寸先は闇の国際情勢。

ロシアの空爆が始まれば、交渉も吹っ飛ぶけどな・・・。

＜さらに追加＞ーーーーーーーーーー

（【解説】 プーチン氏による会談提案、米欧分断が狙いの可能性も）
https://www.bbc.com/japanese/articles/cp8d1memg4yo

「即時停戦はしない。これが重要なことだ。」

「ロシアは、30日間の無条件停戦から得るものはほとんどないと考えている。ウクライナの戦場でいま主導権を握っているのは自分たちだと信じている」

「プーチン氏は、イスタンブールでの協議が「新たな停戦」につながる可能性を「排除しない」と、分かりにくい言い方をした。」

「現在も戦闘、戦争が続いている。私たちは、自分たちではない人々によって中断された、協議の再開を提案している。それの何がまずいのか」

BBCだからな。

英国首相（ボリスジョンソン：当時）が足を引っ張ったとは言わんだろう。

「クレムリンは、イスタンブールでの直接会談の提案が、米政権と欧州首脳らとの間にくさびを打ち込むことになると計算しているのかもしれない。」

スティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長はそう見ているが、その必要はない。

楔を打ち込む役割は、米国が自ら果たしている。

状況は何も変わっていない。

戦闘の継続（大規模空爆含めて）と早期停戦の失敗、交渉のすれ違い（プーチンはトルコには行かない）は間違いない（そうなのかあ？）。

ロシアはゼレンスキーを民主国家の正当な代表とは見ていないからな。

さて、どうなることやら・・・。

＜さらにさらに追加＞ーーーーーーーーーー

（プーチン氏、停戦要求無視か－欧州諸国は追加制裁に向け米国とも調整）
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-12/SW52S9T0G1KW00

「事情に詳しい欧州政府の当局者によれば、トランプ氏はこの共同声明を承認し、必要であれば米国も欧州と協調し、追加制裁も辞さない姿勢を非公開のやりとりの中で明確にした。当局者は匿名を条件として語った。」

米国は、今回の停戦の成り行きに悲観的なわけだ。

関与したり承認したりしたことについても大っぴらにはしたくない。

ロシアに対する配慮が見え見え・・・。

西側が提案した３０日の停戦は事実上無視され、ロシアから正当な交渉相手と見做されていないゼレンスキーは、トルコで格下の交渉相手と会うか、プーチンがビビッて逃げたと非難するのがオチだろう。

「ウクライナと欧州諸国が停戦開始期限とした12日午前０時が過ぎた時点で、ロシアが攻撃の手を和らげた兆しはない。」

「フランス大統領府の発表によると、マクロン氏は11日午後に今後数日間の重大な局面を前に協調を図るため、欧州諸国と電話で会談。続いてゼレンスキー氏、トランプ氏朝会話したという。」（元記事ママ）

結果的に西側のマッチポンプに終わるだろうけど、それでも何もしなかったよりはマシだったかもしれない。

９日のロシア戦勝記念日の大成功を、指を咥えて眺めているだけという非難は受けずに済むからな（そういうことかあ？）。

旧ソ連構成国だけではなく、中国やブラジルなどのブリックス諸国の首脳、果てはスロバキア首相まで参加して花を添えた。

あんま、直接の関係はないんだが、フォーブスが興味深い記事を上げている。

（核兵器を放棄したウクライナが降伏すればロシア周辺国が核保有を検討も）
https://forbesjapan.com/articles/detail/79051

「核兵器を自発的に放棄したウクライナがロシアの侵攻に降伏すれば、同じような運命を避けるために、世界中の国々が独自に核兵器を保有しようとする動きが活発化する可能性があると警告」（フランスのジャンノエル・バロ外相）

自発的には違いないが、さんざん抵抗していやいや手放したことは周知だ。

「かつて安全保障と引き換えに核兵器を手放すことに合意したウクライナが降伏するようなことがあれば、究極の安全保障は核兵器の保有だけだという警告を送ることになる」「核拡散の危機を引き起こし、過去80年間見られなかった水準で世界が再び不安定化するだろう」

それには、「西側諸国がウクライナを見捨てた場合」という前提が付いている。

「欧米の安全保障のコストを大幅に引き上げることになる。この見解は米国とフランスの間で共有されていると認識している」

だから、米国にウクライナを見捨てるなと言いたいんだろうが、そうはいかないだろう。

「永続的な平和を保障するために、フランスをはじめとする欧州諸国と緊密に連携していく」「持続可能な合意に向け、欧州とウクライナの支持を集めたフランスの主導権を称賛する」「この戦争を終結させるために、欧州は実質的な人材と政治的意志をもって立ち上がらなければならない」（米国のマルコ・ルビオ国務長官）

やるなら、自分たちでやってくれ、人（米国）を当てにしないでな・・・。

事実上、米国の積極的関与を突っぱねられた形だ（そうなのかあ？）。

「もしウクライナが降伏するようなことがあれば、それは世界全体に長期にわたる広範な影響を及ぼすだろう。なぜなら、それは基本的に規則に基づく国際秩序を最強の者の法に置き換えることになるからだ。隣国との国境問題を抱える世界中の国々にとって、領土を得るために侵攻したり、軍事的脅迫や武力を行使したりできると考える大きな動機が生まれるだろう。これはすべての国にとって非常に大きな負担になる。われわれは世界中で問題が爆発的に拡大していくのを目の当たりにするだろう」（バロ外相）

２ページ目のウクライナの核放棄に関する記述は割愛する。

「米国の核抑止力の信頼性について、ポーランドとドイツではすでに疑問の声が上がっている。米国の抑止力に対する信頼を失えば、同盟各国は代替手段を模索するかもしれない」（かつて駐ウクライナ米大使を務めたスティーブン・パイファー氏）

「もしその盾がなくなれば、プーチン大統領が核兵器の使用をちらつかせる中、かつては米国に守られていた国々が自国の核防衛体制の構築に奔走し始めるかもしれない。」

「ロシアの脅威が増大する一方で、米国の関与に対する信頼感が低下する中、ドイツ、ポーランド、そして恐らくトルコといったNATO加盟国の中には、核拡散につながる恐れのある措置を検討する動きもある」（米カリフォルニア大学国際紛争・協力研究所のスペンサー・ウォーレン博士）

欧州の中で核拡散が起こるというのは、まあ、おそらくあり得ないと思われるが、NATOとしての核運用が変容していくことは間違いないだろう。

欧州大戦争では、戦術核がさく裂しまくるからな（そうなのかあ？）。

南アフリカ共和国は、かつて核兵器を保有していたが後に放棄した経緯がある。

どっちかといえば、そういう「大国の周縁ではない国々」への拡散の方が気になる。

大国の周縁の国々が核兵器を持とうとすれば、大国が許さないだろうしな。

その観点から見れば、北朝鮮はユニークな存在ということになる。

まあ、核拡散については、様々な見解があるだろう。

浮沈子的には、バロ外相が「ウクライナの降伏」を、現実の想定として掲げている点が気になる。

欧州は、その方向に進み始めている。

米国は、ウクライナからだけではなく、欧州自体から手を引こうとしているからな。

フランスの核抑止だけで、ロシアに対抗できるとは思えない。

つまり、核兵器があるというだけでは抑止できないのだ。

NATOとしての核運用を見直し、通常戦力とのバランスや即応力を強化、発展させていかなければ、絵に描いた餅に終わる。

その中に、明確にウクライナを組み込むことが出来なければ、欧州としても切り捨てるしかなくなるのだ。

その次はバルト３国、ポーランドなどの東欧諸国、フィンランド、場合によってはトルコ、エトセエトセ・・・。

米国が地域大国へと急速に転換していく中で、様々な出来事が世界中で起こるだろう。

台湾有事、朝鮮半島有事、南シナ海有事（そうなのかあ？）、北方領土有事（そういうことかあ？）、エトセエトセ・・・。

バロ外相が展開する核拡散の懸念には、注目すべき点が見られる。

そう、ウクライナのことはこれっから先も考えていないことだな。

欧州自身の安全保障コストのことで頭がいっぱいだ。

欧州の政治家は、そういう思考回路の中で生きている。

ウクライナは、身内じゃないのだ。

いいだろう、国益の追求は外交官としては当然だ。

資源協定で米国に油揚げをさらわれた欧州としては、何らかの取り分を確保しなければ、これ以上の投資を続ける意味がなくなる。

どこで見限るかの算段をするにあたって、核抑止を持ち出しているのかもしれない（支援額を釣り上げられるし、時間的な猶予も得られるからな）。

しかし、それは欧州にとってはリスクだ。

少なくとも、米国はこの議論には組しないと明言した（マルコルビオ）。

もう、取るもんは取ったしな（そういうことかあ？）。

欧州の中でさえ、直ちに不協和音が聞こえてきそうだ。

どこかで、はしごを外す時が来る。

ウクライナに対してだけじゃない。

ロシアに隣接する地域全域に対して、NATO第５条の発動を含めた見直しを掛けなければならなくなる。

マクロンは精力的に動いているようだが、３年前、フランスの諜報機関はウクライナ紛争の開戦を見誤ったからな（まあ、CIAも外しましたが）。

何がどうなっているか。

クルスクの越境侵攻は失敗に終わり、東部戦線は押されっぱなし、明日には崩壊すると言われたロシアは意気軒昂で、国際関係も盛り返し、何より米国という強ーい見方を得ている（そうなのかあ？）。

欧州は、米国国務長官にあからさまにケツ向けられるしな。

やれやれ・・・。

フランス外交の奮闘は、いたずらに戦闘を長引かせ、ウクライナ国土を毀損し双方の死傷者を増やすだけに思える。

政治的パフォーマンスの犠牲者の数は膨大だろうな・・・。

＜また追加＞ーーーーーーーーーー

（ウクライナ要求の停戦無視　侵攻継続、要衝包囲も―ロシア）
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025051201080&g=int

「特別軍事作戦は継続中」（ロシア国防省）

「「３０日間の停戦」の１２日からの実施をロシア側に求めていたが、無視」

「ロシア軍が東部ドニプロペトロウスク州手前１キロの地点に進軍」（タス：ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派幹部）

「ポクロフスクを包囲する構え」

うーん、ISWの戦況地図はここ１週間くらい毎日見ているんだが、「包囲」には至っていないし、西部で若干の進軍は認められるものの、目立った動きにはなってない。

このタイミングで、何らかの戦果を報告することを求められていて、情報戦の一環として上げているだけの気がする。

ウクライナだけじゃなく、ロシアも国内対策としての情報戦に汲々としているところがあるからな。

まあ、どうでもいいんですが。

重要なのは、西側の停戦要求を無視という点だろう。

ぺスコフがリップサービスした程度で、ぶっちゃけ、鼻であしらわれた格好だ。

停戦無き交渉に臨まざるを得ないゼレンスキーは、トルコで待ちぼうけになるのは確実だ。

トランプが、それを促したとされているが、今、喉から手が出るほど戦闘を止めたがっているのはウクライナだろうからな・・・。