😼中東情勢:イラン攻撃:現時点での評価2025年06月27日 23:35

中東情勢:イラン攻撃:現時点での評価


(米国防長官も失言、バンカーバスターの攻撃結果について誰も知らない)
https://grandfleet.info/us-related/us-secretary-of-defense-also-makes-gaffe-no-one-knows-the-outcome-of-bunker-buster-attacks/

「「攻撃結果を知っている者は誰もいない」ということは、核濃縮施設が破壊されたかどうか、遠心分離機に損傷を与えたかどうか、そこに濃縮ウランがあったのかどうかについても結論は下せず、もしフォルド核施設の地下施設が無傷ならイランが何れ公開するだろう。」(航空万能論ブログ管理人)

身も蓋もない結論だが、何しろ核濃縮施設や高濃縮ウランなど、国家機密の塊で、おまけに地下深くに設置されたり貯蔵されたりしていた話だから、そう簡単には分からないんだろうが、今現在の状況がどうなっているかは確認しておこうと思う。

「フォルド、ナタンズ、エスファハーンを含むイランの核施設攻撃は大成功を収めた」「この作戦に使用された航空機はイラン領空外に脱出して無事に帰還中だ」私は世界に今回の攻撃が目覚ましい軍事的成功であったことを報告できる」「イランの主要な核濃縮施設は完全に破壊された」(トランプ大統領)

「本当に地下深くにある核濃縮施設を破壊できたどうかは分からない」(ディフェンスメディアやアナリストら)

「濃縮ウランも遠心分離機もほぼ無傷でイランの核開発計画を数ヶ月程度遅らせただけ」(国防総省の情報機関=国防情報局(DIA)が作成した初期評価:CNN)

これは、ちょっとショックだったな(ホワイトハウスは猛反発)。

「この評価は完全に誤ったもので、評価自体も最高機密に指定されていた」「それにも関わらず情報機関の匿名な人物によってCNNにリークされてしまった」「この評価のリークはトランプ大統領を貶め、イラン攻撃任務を完璧に遂行したパイロットたちの信頼を損なわせる試みだ」(ホワイトハウスのリービット報道官:CNN)

浮沈子的に見れば、DIAの初期評価を裏付けた形だ。

攻撃は素晴らしい成功なことに間違いはない。

あんな離れ業が出来るのは、この地球上で米軍を置いて他にない。

が、その効果がどうだったかについては、未だに意見が分かれている。

「攻撃後の現場に向かったイスラエルの工作員は『施設が完全に破壊された』と話していた」「この件に関する報告書をイスラエルが作成中だ」「私は核施設が完全に破壊されたと信じている」(トランプ大統領)

「我々は攻撃後のフォルド核施設で如何なる活動も行っていない」「米国の攻撃結果についても「分析中」という立場」「核施設に対する構造的な破壊は不十分」「濃縮ウランもほぼ無傷だ」(イスラエル当局)

これに対して、ヘグセスは記者会見を開いて説明したらしい。

「この会見で専門的な部分の説明を担当した統合参謀本部議長=ケイン空軍大将の話を要約すると以下の通りになる。」

長いが、重要なので引用する。

「イラン軍はフォルド核施設への攻撃を防ぐためコンクリートでシャフトを塞ごうと試みたが、我々はコンクリートの蓋の具体的な寸法を把握していた。我々はこのシャフトを狙って攻撃を仕掛けた。バンカーバスターを2本のシャフトに6発づつ投下し、1発目はコンクリートの蓋を破壊してメインシャフトを露出させ、2発目~5発目はメインシャフトに毎秒300mを超える速度で侵入して目標空間で爆発するように、6発目は前の爆撃機やバンカーバスターが機能しなかった場合の予備として設定され、2つのメインシャフトに侵入したバンカーバスターは全て目標地点に到達した」

「ここで強調しておきたいのは統合部隊は自らの攻撃結果を評価しないという点で、これは情報機関の仕事だ。それでも今回の攻撃で我々が知っているのはバンカーバスターが適切に製造され、試験され、搭載されたこと、バンカーバスターは速度とパラメーターに従って投下されたこと、バンカーバスターは意図した目標と到達地点に誘導されたこと、バンカーバスターは設計通りに機能して爆発したことだ。この攻撃に参加したパイロット達は「今まで見た中で最も明るい爆発だった」「文字通り昼間のような明るさだった」と語っている」

「バンカーバスターは15年前にイランの地下施設=フォルドを破壊するためだけに開発されたこと」「長い時間をかけてフォルドの建設工事、工事中の天候、廃棄物、地質、建設資材、資材の産地、地下施設のありとあらゆることを調べ上げたこと」「バンカーバスターは何百回もテストを繰り返したこと」「このためだけに特別な信管を開発したこと」(ケイン空軍大将の話)

「結局のところフォルド核施設を破壊出来たのかは「分からない」という結論だった。」

「ヘグセス国防長官は「攻撃の有効性を軽視するDIAの初期評価」について「信頼できない」と指摘したが、同時に「フォルドで何が起きているのか知りたいなら、そこに大きなシャベルを持って行くべきだ。なぜなら地下には誰もいないし、状況を正確に評価できる人間もいないからで、誰もが目に見えるものでしか判断していないからだ」とも述べた」

「バンカーバスターの攻撃結果を知っている者は「誰もいない」と認めた格好だ。」

「地中の目標を攻撃するバンカーバスターの「効果確認は困難」というのは至極当然」

無理もない話なわけで、トランプの舌禍に周りは振り回されるハメになっている。

まあ、今に始まった話じゃないけどな。

やられた方のイランは何と言っているのか。

(イラン核施設に「深刻な」被害 外相)
https://www.afpbb.com/articles/-/3585758?cx_amp=all&act=all

「イスラエルとの「12日間戦争」によるイラン核施設への被害は「深刻」」「イラン原子力庁の専門家が被害について詳細な評価を実施している」「現在、損害賠償の請求とその提供の必要性に関する議論は、イラン外交の重要課題の一つとなっている」「こうした被害は深刻であり、専門家による調査と政治的意思決定が同時に進められいる」(イランのアッバス・アラグチ外相)

軽微でないことは確かなようだ。

(イラン外相、来週の米国との協議を否定 核施設の被害「軽微でない」)
https://jp.reuters.com/world/security/TA7LV2HBEJJ7NP6MWLD7VOHZTM-2025-06-26/

「米国によるイランの核施設に対する攻撃については、被害は「軽微ではない」とし、関係当局が核計画の新たな現実を把握しようとしているところだと述べた。」(イランのアラグチ外相)

今のところ、イラン当局からはこの情報だけ。

いくつか、関連する話もある。

(米政権 イラン核施設からウラン移送の兆候なし)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000435396.html

「イランのフォルドゥ核施設などに対するアメリカ軍の攻撃を巡っては、イラン側が攻撃を受ける前に、核施設から濃縮ウランを別の場所へ移したと報じられています。」

「一方、ホワイトハウスのレビット報道官は26日、政権として攻撃に至るまでの数週間イランの核施設を監視し続けた結果、「濃縮ウランが移される兆候は全くなかった」として、反論しました。」

「私が確認した限り、ウランが本来あるべき場所になかったり、移されたりしたという情報はない」(ヘグセス国防長官)

(イラン核施設「稼働していない」 IAEA事務局長)
https://nordot.app/1311176219177271799?c=768367547562557440

「米軍が攻撃したイラン中部フォルドゥの地下核施設の遠心分離機は「もはや稼働していない」との認識」

「大型の特殊貫通弾(バンカーバスター)の威力に加え「遠心分離機の繊細さ」を踏まえると「被害は免れない」と説明」

「米軍の攻撃後、IAEAは現地での査察を実施していない」

「衛星写真を見て初期分析を実施」

「遠心分離機について「わずかな振動でも破損する可能性がある」と指摘」

いずれも、状況証拠や推測だけで、イランの発表にしても政治的意図が絡んでくるに決まってるから信用できない。

実際に濃縮ウランから核兵器を作り出して、砂漠の真ん中で爆発させて見せるしかないわけだ(そうなのかあ?)。

(イラン外相「IAEA訪問は受け入れない」…「核施設攻撃は条約違反」NPT脱退の可能性にも言及)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20250627-OYT1T50106/

「国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長から会談を打診されていることに関して「現時点ではグロッシ氏の訪問は受け入れない」と語った。」「核施設への攻撃は核拡散防止条約(NPT)違反だ」「NPTにとどまるか脱退するかは私たちが検討する問題だ」(イランのアッバス・アラグチ外相)

確認しておこう。

米国のバンカーバスターの攻撃は、軍事的には素晴らしい成功だが、戦果の評価は未定だ。

被害を受けたイランは深刻そうな顔をして見せるけど、政治的な駆け引きの可能性もあるからな。

分からないままにしておいた方が、有利に事を運べるかもしれない。

浮沈子的には、核兵器を持たずに核大国に逆らうとどういう目に合うのかを目の当たりにした気分だ。

真実がどこにあるのか、そもそも、それが明るみに出ることがあるのかどうかも分からない。

イスラエルの空爆も、イランのミサイルも、今のところは収まっている。

多くの死傷者は出たけど、バンカーバスターなどでとりあえずドンパチは終息した。

その戦果がどうあれ、休戦できたことの方が100倍重要だ。

とりあえずは、それで十分な気もする・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(イラン核施設爆撃、1カ所にバンカーバスター使用せず 標的の深さが理由と米軍制服組トップ)
https://www.cnn.co.jp/usa/35234859.html

「米軍のB2爆撃機は10発以上のバンカーバスターをイランのフォルドゥ、ナタンズの両核施設に投下した。しかしイスファハンの核施設に対する攻撃は、潜水艦から発射した巡航ミサイル「トマホーク」によるもののみ」

「当該の核施設があまりにも地中深くにあり、爆弾が効果を発揮しない公算が大きかったからだという。 軍の制服組トップが連邦議会上院議員への26日の説明で明らかにした。」

攻撃の評価ではないけど、そもそもバンカーバスターを投下しなかった施設があったことが明白になった。

問題は、そこに何があったかだな。

「情報機関の評価として、イランの濃縮核物質の大半はイスファハンとフォルドゥの地下にあるとの見方」(ラトクリフ中央情報局(CIA)長官)

「26日に行われた機密の説明を受け、共和党議員らは、米軍の攻撃がイランの持つ核物質全てを消滅させたわけではない可能性があることを認めた。」

「任務の目的は、イランが進める核開発プログラムの特定の側面を排除することで、それらは実際に排除された。核物質を取り除くことは任務に含まれていなかった」(共和党のグレッグ・マーフィー下院議員)

「イランが入り口を封鎖した時点で(高濃度ウランの)備蓄が依然トンネル内にあったとしても、現時点では備蓄は別の場所にあるのかもしれない」(米ミドルベリー国際大学院の教授で兵器の専門家、ジェフリー・ルイス氏)

既に、イランは攻撃を免れた高濃縮ウランを移送して、次なるステップへ踏み出し始めているかも知れない。

米国のお役所は、政権に忠実だからな。

CIAとかは、その最たるもんだろう。

いずれにしても、爆撃の評価はこれからだ。

イランの出方を読むうえでも重要だが、再爆撃を公言しているトランプの出方にも注目だ。

現時点では、イランはIAEAの査察を拒否している。

爆撃の評価を国際機関にやらせれば、世間の批判をかわすことも可能だからな。

イランが拒否しているのは、政治的なもんだろうけど当然と言えば当然かもな。

兵器開発に向かって驀進するなら、騙しっこしても意味はない。

この記事で明らかになった重要な点は、米軍が事前評価してバンカーバスターが効かないと判断した施設をイランが運用しているという点だ(今でもな)。

それは、イスファハンだけに限らないだろう(未確認)。

今回の爆撃は、バンカーバスターの限界を露呈してしまった。

イランはバカじゃない(そうなのかあ?)。

(イラン核開発に「深刻な打撃」、CIAが証拠ありと主張 米空爆の検証続く)
https://www.cnn.co.jp/usa/35234772.html

「米当局者らは、イラン国内に他にも秘密の核施設が複数カ所存在し、それらは今回の攻撃で標的になることもなく依然として稼働中だとみている。」

「もう一つの重要な疑問は、米軍の爆弾投下までにイランが高濃度ウランの備蓄を当該の施設から移していたのかどうかだ。少なくともフォルドゥにある核施設に関して、トランプ氏は攻撃を検討していることを事前に公言していた。」

「この問題を提起したある有力な米議員は、「イラン人は馬鹿ではない」と発言。備蓄の移動が行われていた可能性を示唆」

真実がどこにあるのか、それが明かされることはあるのか。

確かなことはただ一つ。

トランプの脊髄反射的発言は、100歩下がって聞くべきだろうな・・・。

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