セカンド2016年01月09日 11:54

セカンド


CCRでは、緊急時以外に使用するということがないセカンドステージ・レギュレーター。

一度、バラシたところを見たことがあるが、こんなもんで大丈夫だろうかと思う程、シンプルな構造だった。

ゴムの膜(ダイアフラム)とカンチレバー(デマンドレバー)くらいしか、記憶にはないが、肝心のデマンドバルブというのもあるらしい。

(レギュレーターの基本構造と作動原理II)
http://www.piston-diaphragm.com/doyknow/principle2nd.html

分かりやすい解説を読みながら、分かったような気になる。

ダウンストリーム型(下流側に開くバルブ)って、なんだっけ?(分かってないじゃん!)。

(アンバランスダイアフラム式ファーストステージ)
http://www.piston-diaphragm.com/somosan-seppa/unbalance1st_diaphragm.html

ファーストステージの解説だが、デマンドバルブの仕組みとしては共通だ。

「デマンドバルブには、アップストリーム型とダウンストリーム型があります。」

「アップストリーム型ピストンは上流[高圧]側に開くので、圧縮空気を放出するためにピストンを移動させる際には 差圧が負荷になります。」

「ここに外開きの玄関扉があるとします。風の強い日には普段より大きな力をかけなければ 扉が開かないのと同じです。(アップストリーム型)」

分かりやすい例えだな。

「これに対してダウンストリーム型ピストンは下流[低圧]側に開くので、差圧は負荷になりません。」

じゃあ、みんなダウンストリーム型にしちゃえばいいじゃん?。

「但し バルブを閉じて気密を保つ際には差圧の影響を受けるので、アップストリーム型よりも大きなスプリングの張力を(が?)必要です。」

ここでいう差圧というのは、高圧側から掛かる圧力マイナス低圧側から掛かる圧力の差のことで、当然、作動時は高圧側からの方が大きい(でないと、給気できない!)。

アンバランス型で生じる、タンクの圧力の変化がバルブの作動に影響するという意味での「差圧」ではないので注意を要する。

で、それに逆らっているのが、バネの力(+周囲圧)ということになる、

セカンドステージにダウンストリーム型デマンドバルブを使用しているということは、バネの力で押し付けて吐出口(オリフィス)を塞いでいるわけで、この力は一定以上にはならないということだ。

つまり、故障するにしても、フリーフローはするが、詰まってしまうことはないという仕組みである(ピストンが固着すれば別だがな)。

スプリングというのは、どうやらヘタッてくることがあるらしい。

(POSEIDON Xstream/Deco 酸素クリーニング)
http://asahiscuba.ti-da.net/e3566467.html

「しかしそれは製造段階の理論上だけで、使用していれば、また年数がたってくればこれらの双方のスプリングも若干ヘタリ、バランスが崩れてくるのは当然。」

「メーカーとしては、中圧値が許容範囲から外れてくれば、OH時にスプリングごと交換して欲しいということだと思う・・・。」

「きっと業者さんの中には、セッティングで、どちらかと言うと後のフローを計算して、その時点からフローしてしまいそうならあえて渋めをチョイス、セッティングを出してくるところもあるだろうと思う・・・。」

パイロットバルブを使ったレギュレーターなので、ちょっと特殊なセッティングのようだが、この記事を読んだ記憶があったので、リンクしておく。

今朝は、体調がすぐれず、起きるのも遅かった。

気分を変えようと、敢えて、苦手意識のある器材の勉強をしてみた。

誰が考え出したのかは知らないが(エミール・ガニアン?)、上手い仕掛けだ。

オープンサーキットには、無くてはならないセカンドステージだし、CCRでもADV(オート・ディリュエント・バルブ)では、全く同じ仕組みを使っている(ポセイドンは、バラしたことはありませんが、インスピのADVは、Tバルブから覗くとカンチレバーとか見えます)。

環境圧に応じて変化し、スプリングの張力によって供給圧をコントロールする仕組みだ。

この仕掛けのおかげで、水中で、深度に関わらず、快適な呼吸をすることができる(まあ、原理的には吸うだけですが)。

オープンサーキットでは、排気は、水中にぶちまけるしかない。

重いタンクを背負って、わざわざ水中に持ち込んだガスを、大して使っていない段階で捨ててしまう・・・。

深度が深くなればなるほど、環境圧に合わせた圧力で供給されることになるので、ガスの消費は激しくなる。

大深度潜水(40以上?)では、ヘリウム混ぜたりするのに、それさえ捨ててしまう(ヘリウムは、呼吸では消費されない:体内に蓄積はされる)。

ああ、もったいない・・・。

でも、まあ、複雑な器材を使って循環させるよりは、吸うだけ吸ったら捨ててしまうというのがシンプルでいいだろうな。

深場で使用量が多くなるというなら、しこたまタンクを持ち込めばいいだけだし。

作業潜水では、水上にカードル(何十本ものタンクを纏めておくケース?)置いて、送気潜水でガッツリ吸うこともできる。

なぜ、リスキーな要素満載のCCRで潜るのかについては、それなりの理由が必要なわけだ。

セカンドステージの話とは、離れてしまうので、今日は触れない(ウズウズ・・・)。

まあいい。

さて、そろそろ出かける準備をしよう。

大井町でプール講習のお手伝いの日だ。

ヨタブログを書いていたら、少し元気が出てきた。

浮沈子にとっては、これを話題にすると体調が回復するというのも、CCRの効用のうちかもしれないな・・・。

潜降2016年01月09日 21:12

潜降


「潜航」というのは、潜水艦(軍艦)や潜水艇(小型の潜水艦、又は、民間のもの)が沈む時に使うらしい。

「潜行」は、ダイバーが水中を進む時に使う(比喩的に、隠密行動を取るような時にも使われるようだ:深く静かに潜行せよ!)。

「潜降」は、水深を徐々に増やしていく(沈んでいく)時に使う。

ここでは、潜降の話。

アシストさせていただく予定の、ポセイドン受講生から質問があった。

殆ど呼吸しないで急速に潜降したたら、PO2の警告が出るのではないか。

正解。

が、そうともいえない。

ポセイドンのセットポイント(設定されたPO2(酸素分圧)の値は、デフォルト(標準)で1.2である(若干、弄ることは出来ます)。

水面では、それが0.5(こっちも、潜る前には弄れますが)になっていて、自動的に増えていって、15mくらいで1.2になる。

通常は、呼吸によって酸素が消費されるので、この値を下回ったところでソレノイドバルブが開いて酸素が供給され、PO2が設定値になる。

さて、息をしなかったら、どのくらい潜ればセットポイントを超えてしまうんだろうか?。

簡単のために、ディリュエントを空気だとすると、深度によって回路内の体積が縮小する分、新たに供給されるわけだから、たとえば40mの時には呼吸回路の体積の4倍の空気が足される。

水面では0.5(50パーセント)だったが、徐々に薄まるわけだ。

しかし、一方では深度の増加によって、圧力は高まり、酸素の分圧は増加していく。

かりに呼吸回路(ダイバーの肺を含む)の体積が10リットルとすると、水面では5リットルの酸素があることになり、加えられる空気は40リットルで、その中には20パーセントの酸素(8リットル)があるから、トータルでは13リットルになる。

ありゃ!?、40mまで、息をしないで潜降したら、この時点でセットポイントを超えてしまうことになるじゃん!?(呼吸回路の体積は10リットルなので、13÷10で1.3)。

こういう計算でいいのかあ?。

念のため、水面換算26パーセントのナイトロックス(10+40リットル中、酸素13リットル)を、水深40mに持ち込んだ状態であるわけだから、絶対圧5気圧下でのPO2は、0.26×5で1.3になる(合ってます?)。

潜降速度を毎分10mとすれば、4分間息を止めていることになるので、あまり現実的ではないが、潜降速度が速い時にはPO2の警告が出る恐れもあるな。

まあ、1.3じゃあ出ないけどな。

浮沈子は、耳抜きが苦手なので、ゆっくりと潜る。

だから、この手の問題が発生したことはない(耳抜きの方が問題だな)。

だいたい、40mに達する頃には、オープンサーキットなら80キュービックフィートのタンクで、50以上は吸っている。

PO2が設定値を上回る気づかいはない。

ポセイドンのセットポイントが、どのくらいのペースで上がっていくのかは知らないが、0.5から1.2になるのは、深度を計測しながらリニアに上げている(一気に切り替わるわけではない)ので、潜降時のグラディエーションの段階で引っかかるということはないだろう。

最近のインスピレーション(ビジョンコンピューターのモデル)のオートモードでは、ファームウェアの書き換えで、浮上時には同じようにグラディエーションが付けられるようになった(潜降は、設定した深度でローセットポイントからハイセットポイントに、一気に変わる)。

減圧の時とかは、ハイセットポイントのまま浅い深度に留まりたいわけで、その際はマニュアルモードにして、ハイセットポイントを維持することになる。

今、浮沈子は、これで苦労している。

が、これは、浮上時の話だ。

まあ、どうでもいいんですが。

さて、今日はIDCのプール練習のお手伝い。

浮沈子たち生徒役を相手に、受講生がプレゼンしたりデモンストレーションしたりする。

当然課題が出されて、生徒役として、トラブルを織り交ぜながら実行するんだが、天然トラブルが多発して、どれが本物のトラブルか分からなくなる(ダメじゃん!?)。

だって、借り物のBCが小さくて、ウエストのベルクロは届かないし、手は抜けないし・・・。

お前の体をなんとかしろ!(っていってもねえ・・・)。

淡水、アルミタンク、5ミリのウエットだと、6kgのウエイトを付けないと潜降できない。

この浮きまくる体を何とかしたいもんだな。

3時間余り、水に漬かって、ようやく元気になった。

良く拝見している須賀次郎氏のブログで、同じような記事が良く出る。

ダイバーは、潜ってナンボである。

おかサーファーというのは聞いたことがあるが、おかダイバーなんて、聞いたこともない(うーん、イメージ不可能・・・)。

ダイビングをネタにして、酒飲んでる風情かあ?。

深酒は、ダイビングにも良くないので、自重しましょう!。

4mのプールでの練習は、実に楽しい。

講習生の方々は、始めた頃に比べれば、見違えるような上達ぶりだ。

浮沈子も、このくらい出来ていれば苦労することはなかったんだがなあ。

あと3週間でIEである。

大きなチョンボをしなければ、実技で落とすことは、まあ、ないだろう(たぶん)。

お題を出されてから、短い時間でスレートにメモって、プレゼンテーションができるようになってきた。

細かい点では、気になるところもあるが、もう、安心して見ていられる。

学科(5科目)や基準は本人の努力しかない。

お手伝いも限られる。

学科プレゼンは、合格点が出ているので、慌てなければ大丈夫だろう。

海洋には、若干課題があるが、これからどれだけ潰せるかというところか。

スキルサーキットでは、満点も可能なレベルまで来ているが、環境によっては、ちっと苦手のスキルもあるようだな。

今年、他にも何人かチャレンジャーがいるかもしれない。

少しでもお手伝いをして、後に続く(追い越していく?)指導者を増やしたいもんだ。

そっちの方は、可能な限りのお手伝いということで、浮沈子は、本業(?)のCCRの方に専念しなければならない。

潜降時のPO2の変化くらいは、即答できるようにしなければならんな。

反省。

ちなみに、CCRといえども、潜降時に呼吸していなければ、肺が潰れてしまうので、この記事を読んで不用意に人体実験などしないように、念のため書いておく。

さらには、ガマンして息を止めていて、一気に肺に環境圧の呼吸ガスが流れ込んだ場合、深い深度であっても、肺の損傷に至る可能性がある(たぶん:良い子は
絶対マネしないでね!)。

普通の安定した呼吸で潜降すれば、PO2もセットポイントを超えることなくレクリエーショナルレベルの最大深度(40m)に達することができるしな。

さらに付言すれば、1.3というPO2の値は、水面で0.5になっている状態から、無呼吸と仮定して40mに潜降した場合であって、通常潜行(水中を進む)では、もちろん、ディリュエントが足されたからといって、PO2がセットポイントを上回ることはない(じゃないと、ディリュエント(薄めるの意)にならない)。

さらに厳密には、ポセイドンでも、レクリエーショナルレベルのカウンターラングには、ディリュエント側のマニュアルインフレーターはないので、潜降時にディリュエントガスを追加するためには、息を吸い込んで(呼吸して)ADV(オートディリュエントバルブ)を作動させるしかなく、無呼吸での潜降というのは不可能に近い(裏技はありますが、ここには書きません)。

まあ、どうでもいいんですが。

CCR受講生からは、浮上の際の問題も出されている。

教えることは学ぶこと(まだ、アシスタント修行中ですが)。

浮上時には、吸い込んだ呼吸ガスを鼻から出し続けることになるんだろうかというもの。

うーん、浮上時のミニマムループボリュームの維持という、CCRダイビングの核心に迫るお題だ・・・。

浮上に際して減少するPO2をセットポイントに維持しようと、立て続けに作動するソレノイドバルブ!。

怒涛の如く追加される酸素!!。

それでなくても、浮力が付いて膨らむカウンターラング!!!。

ああ、BCや、場合によってはドライスーツとかの浮力調整もやらなければならず、ベイルアウトとかの場合は、さらに複雑怪奇になる・・・。

当然、浅くなれば、浮力のコントロールは、よりシビアになって、トリムを少し変えただけで、行き足が付く。

浮上を制する者は、CCRを制する(って、ホントかあ?)。

つづきは、また次回。