🐱スターシップ:IFT-3:まとめ ― 2024年04月05日 10:03
スターシップ:IFT-3:まとめ
(スペースXの巨大宇宙船「スターシップ」が飛行試験、火星に向けさらに前進)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240404-2920372/
「今後の運用に向け、宇宙空間でペイロード・ドアを開閉させる実証や、船内のタンクの推進薬を別のタンクへ移送する技術実証、宇宙空間でスターシップ宇宙船のラプターを再着火する技術実証など、新たに追加の試験項目も設定された。ペイロード・ドア(お菓子のペッツに似ていることから、別名「ペッツ・ディスペンサー」とも呼ばれる)の開閉は、スターシップを使って衛星などを打ち上げる際に必要となる技術」
相変わらず、鳥嶋さんの記事は分かりやすい。
プロの物書きというのは、こういう記事を書ける人だ。
浮沈子的に、ちょっと気になる記述もある。
「今回は試験のため、地球を回る軌道には入らず、軌道速度の一歩手前にあたるサブオービタルで飛行したものの、エンジンをもうしばらく燃焼させていれば軌道に入っていた。」
弾道飛行経路を選択しているのは、軌道変更に必要なエンジンの再着火に失敗したとしても、巨大な宇宙ゴミ(50m級)を発生させずに済んだり、不制御落下で地上に損害を与えたりしないために「積極的に」設定しているわけで、「惜しかった」とか「燃焼が不十分だった」とかいうわけではない。
「今回は試験のため」と明記しているから、誤解を招くことはないし、軌道到達への技術的なハードルはクリアしているという評価を与えたい意図があるから、こういう表現になっているんだろう。
「飛行中のスターシップ宇宙船の映像からも、機体が不自然な回転をしていることが見て取れた。おそらく姿勢制御に問題があったためとみられる。」
この辺りの見立ては、浮沈子が感じたのと同じだ。
「前述のようにおそらく姿勢制御に問題があったためか、再突入中に機体は破壊され、着水までは至らなかった。」
ペッツドアの閉鎖に失敗したことも、原因の一つかもしれない。
「慣性飛行中に行われたペイロード・ドアの開閉についても、故障が発生したことがわかっている。」
「姿勢制御の問題については、推進薬の漏れや姿勢制御用スラスターの故障などが考えられる」
「飛行中のスターシップ宇宙船から耐熱タイルが多数はがれる様子が確認されており、たとえ正常な姿勢で再突入していたとしても、熱に耐えられなかった可能性がある。スペースXは耐熱タイルの問題についてあまり多くを語っておらず、数枚でも剥がれると再突入に支障があるのか、数枚程度なら問題ないのかなどはわからない。ただ、IFT-2よりは剥がれる数は少なくなっているように見え、改善が図られていることがうかがえる。」
「推進剤の移送試験についても、不十分な結果だったことが明らかになっている。」
飛行から3週間経って出てきた事実を盛り込んで、価値ある記事に仕立てている。
IFT-4の時期や、その内容に関心が集まる中で、真の実力がなければ書けない記事だ。
さすがだな・・・。
「現在はまだバージョン0.5か0.75あたりの完成度」
うーん、浮沈子的には、0.1くらいの評価だからな(そんなあ!)。
アルファー版にも達していないだろう。
「ペイロード・ベイがうまく開かなかったり、耐熱タイルが剥がれたり、再突入に失敗するのは、ある意味では当然」
そりゃそうなんだが、その失敗の内容が問題なわけだ。
まあいい。
「分離方法に「ホット・ステージング」と呼ばれる、スーパー・ヘヴィのエンジンがまだ燃焼中に、スターシップ宇宙船のエンジンに点火し、その勢いで分離する仕組みを採用」
ちょっと気になったのは、従来の分離方式ではエンジン燃焼停止後、数秒間の間をおいて分離していたわけだが、その際には何らかの仕掛け(バネとか、小さなロケットでの加速とか)でプッシュしてたのかどうかだな(未確認)。
ファルコン1の打ち上げでは、勢いが付いていた1段目が、空気抵抗をもろ受けている2段目に追突するという羽目になった。
燃焼から分離までの時間を、1秒くらい長くすることで解決したと記憶している。
まあいい。
こういう記事を読むと、ごちゃごちゃした頭の中がすっきりして、何となく見通しが良くなった気になる。
しかし、既に解決されているはずの問題も、次の段階に進んだ時に新たなトラブルの種になることもあり得る。
「ソフトウェアにおけるアジャイル開発と同じような手法であり、最初から完璧な完成品は目指さず、可能なところから造っていき、不完全な状態でも実際に動かし、設計変更や改良を繰り返していくというもの」
この手法が上手くいくとは限らない。
発射台の損傷だって、今後起こらないとも限らないわけで、開発における懸念は相変わらず高い。
人類最大の打ち上げロケットと宇宙機の開発なわけで、物理の神様との折り合いをつけるのは簡単ではないだろう。
やっぱ、幸運の女神様のお力も必要だろうな・・・。
(スペースXの巨大宇宙船「スターシップ」が飛行試験、火星に向けさらに前進)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240404-2920372/
「今後の運用に向け、宇宙空間でペイロード・ドアを開閉させる実証や、船内のタンクの推進薬を別のタンクへ移送する技術実証、宇宙空間でスターシップ宇宙船のラプターを再着火する技術実証など、新たに追加の試験項目も設定された。ペイロード・ドア(お菓子のペッツに似ていることから、別名「ペッツ・ディスペンサー」とも呼ばれる)の開閉は、スターシップを使って衛星などを打ち上げる際に必要となる技術」
相変わらず、鳥嶋さんの記事は分かりやすい。
プロの物書きというのは、こういう記事を書ける人だ。
浮沈子的に、ちょっと気になる記述もある。
「今回は試験のため、地球を回る軌道には入らず、軌道速度の一歩手前にあたるサブオービタルで飛行したものの、エンジンをもうしばらく燃焼させていれば軌道に入っていた。」
弾道飛行経路を選択しているのは、軌道変更に必要なエンジンの再着火に失敗したとしても、巨大な宇宙ゴミ(50m級)を発生させずに済んだり、不制御落下で地上に損害を与えたりしないために「積極的に」設定しているわけで、「惜しかった」とか「燃焼が不十分だった」とかいうわけではない。
「今回は試験のため」と明記しているから、誤解を招くことはないし、軌道到達への技術的なハードルはクリアしているという評価を与えたい意図があるから、こういう表現になっているんだろう。
「飛行中のスターシップ宇宙船の映像からも、機体が不自然な回転をしていることが見て取れた。おそらく姿勢制御に問題があったためとみられる。」
この辺りの見立ては、浮沈子が感じたのと同じだ。
「前述のようにおそらく姿勢制御に問題があったためか、再突入中に機体は破壊され、着水までは至らなかった。」
ペッツドアの閉鎖に失敗したことも、原因の一つかもしれない。
「慣性飛行中に行われたペイロード・ドアの開閉についても、故障が発生したことがわかっている。」
「姿勢制御の問題については、推進薬の漏れや姿勢制御用スラスターの故障などが考えられる」
「飛行中のスターシップ宇宙船から耐熱タイルが多数はがれる様子が確認されており、たとえ正常な姿勢で再突入していたとしても、熱に耐えられなかった可能性がある。スペースXは耐熱タイルの問題についてあまり多くを語っておらず、数枚でも剥がれると再突入に支障があるのか、数枚程度なら問題ないのかなどはわからない。ただ、IFT-2よりは剥がれる数は少なくなっているように見え、改善が図られていることがうかがえる。」
「推進剤の移送試験についても、不十分な結果だったことが明らかになっている。」
飛行から3週間経って出てきた事実を盛り込んで、価値ある記事に仕立てている。
IFT-4の時期や、その内容に関心が集まる中で、真の実力がなければ書けない記事だ。
さすがだな・・・。
「現在はまだバージョン0.5か0.75あたりの完成度」
うーん、浮沈子的には、0.1くらいの評価だからな(そんなあ!)。
アルファー版にも達していないだろう。
「ペイロード・ベイがうまく開かなかったり、耐熱タイルが剥がれたり、再突入に失敗するのは、ある意味では当然」
そりゃそうなんだが、その失敗の内容が問題なわけだ。
まあいい。
「分離方法に「ホット・ステージング」と呼ばれる、スーパー・ヘヴィのエンジンがまだ燃焼中に、スターシップ宇宙船のエンジンに点火し、その勢いで分離する仕組みを採用」
ちょっと気になったのは、従来の分離方式ではエンジン燃焼停止後、数秒間の間をおいて分離していたわけだが、その際には何らかの仕掛け(バネとか、小さなロケットでの加速とか)でプッシュしてたのかどうかだな(未確認)。
ファルコン1の打ち上げでは、勢いが付いていた1段目が、空気抵抗をもろ受けている2段目に追突するという羽目になった。
燃焼から分離までの時間を、1秒くらい長くすることで解決したと記憶している。
まあいい。
こういう記事を読むと、ごちゃごちゃした頭の中がすっきりして、何となく見通しが良くなった気になる。
しかし、既に解決されているはずの問題も、次の段階に進んだ時に新たなトラブルの種になることもあり得る。
「ソフトウェアにおけるアジャイル開発と同じような手法であり、最初から完璧な完成品は目指さず、可能なところから造っていき、不完全な状態でも実際に動かし、設計変更や改良を繰り返していくというもの」
この手法が上手くいくとは限らない。
発射台の損傷だって、今後起こらないとも限らないわけで、開発における懸念は相変わらず高い。
人類最大の打ち上げロケットと宇宙機の開発なわけで、物理の神様との折り合いをつけるのは簡単ではないだろう。
やっぱ、幸運の女神様のお力も必要だろうな・・・。
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