CCRの魔力2011年10月14日 20:00

CCRの魔力


CCRネタで、どこまで引っ張れるか、と考えているわけではない。

安全で楽しいCCRライフを送るためにはどうしたらいいかを、毎日真剣に考えているだけである(考えるだけでなく、できれば毎日でも潜りたいんですけど・・・)。

この項では、私自身の拙い経験から、CCRダイバーが陥りそうな「罠(わな)」、別の表現をするなら、CCRの魔力について書いておこうと思う。

CCRの桁外れの能力については前回も「しつこく」触れた。そして、その能力を遺憾無く発揮させるためには、絶えざる訓練が必要不可欠であることにも、さんざん触れてきた。

じゃあ、実際にCCRで潜っているときに、ダイバーはどう感じているのだろうか。その魅力に酔いしれ、スーパーマンやエスパーになった気分になっているのだろうか。

私に限って言えば、答えは「NO!」である。

プールでも、海でも、絶えず中性浮力やトリムのことを意識し、水深や酸素分圧をチェックし、酸素ゲージやディリュエントガスのゲージに目をやり、加えて、イントラが、いつ、ふいに課題を出すかもしれないとびくびくし、器材の調子に異常がないかと神経を尖らせ、ソレノイドバルブの作動音に耳を澄ましているのだ。

おまけに、海ではうっとーしい魚くん(メスもいますが)やクラゲ達に目の前をうろちょろされる(→じゃあ、何のために潜ってるの?)。

そんな、忙しくも緊張続きのダイビングの中でも、ふっと気が緩む時がある。特に40mを超える深いところでは浮力も安定し、トリムも取りやすく、酸素分圧をハイポジションにしていてもソレノイドバルブの作動音はたまにしか聞こえてこない。

穏やかな時間の流れに身を任せていると、ほっとするような、優しく包み込まれているような気分になることがある(窒素酔いか?)。

サイレントダイビングを可能にするCCRならではの、幸せな瞬間が訪れる。

「好事魔多し」というが、こんな時が一番危ないのだ。何か大切なことを忘れていませんか?。

そう、気づいた方もいるでしょうけれど、ボトムタイムの管理が疎かになってしまう。

一度、イントラに急かされて、ハッとした経験がある。減圧ダイビングで最も大切なことの一つが時間の管理だ。それを、つい忘れてしまう。

気づいたときには、計画時間を大きく超えてしまうことがあるかも知れない。バディが気づいてくれればいいが、両方とも「いい気分」になっていたら一大事である。

器材の故障が2人に同時に起こることは、極めてまれだし、いろいろな手段を駆使して浮上することができる可能性は高い。しかし、ぼーっとして時間管理を忘れた場合のリスクは2人同時に訪れる。

これは、ヤバい。

時間管理が疎かにならないように、タイマーをセットしてアラームが鳴るような機能を是非付けて欲しい、なんて、器材に頼っているようじゃ、まだまだ修行が足りませんな。