ボーイングの蹉跌2013年01月24日 10:01

ボーイングの蹉跌
ボーイングの蹉跌


「蹉跌(さてつ)」というのは、失敗、チョンボ、ドジ、挫折のことである。物事がうまく進まず、しくじること、とある。

(さ‐てつ【×蹉×跌】)
http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/88613/m0u/

躓くという意味だそうだ。

(青春の蹉跌)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E6%98%A5%E3%81%AE%E8%B9%89%E8%B7%8C

ボーイングとは、全然関係ありませんが・・・。

いや、しかし、万事うまくいくと思っていたら、その本質的な部分が原因で過ちを繰り返し、最も高揚した時にしっぺ返しを食らうという構図は、どこか似ていなくもない。

(トヨタになれなかったボーイングの過ち)
http://www.nikkei.com/article/DGXZZO50905390T20C13A1000000/

フォーブスの記事の転載だが、今回のB787の件を、深く掘り下げて解説している。開発が3年も遅れるなんてことは、工業製品としては有り得ない話だ(資金がないとか、注文がないならともかく)。

そこに、製造を分散したリスクが潜んでいた、というわけである。しかも、そのプロセスにインテグレーターであるボーイングの関与が薄かった(または、なかった?)というのだから、穏やかではない。

消費者(航空会社)は、メーカーというのは製品の設計、開発、製造に責任を持って取り組み、誰よりもその製品に精通し、徹底した品質管理を行い、「不良品」の名を受けるのを恥じる企業だと信じている。

工場を持たないファブレスメーカーであっても、その製品の品質には責任がある。

しかし、ボーイングという会社のCEOは、飛行機を作るということに関心を失い、開発は下請け任せにして、製品の品質に問題を発生させた。

単にバッテリーのことだけではなく、製造に係る管理の杜撰さが、製品全てに及んでいるこのような航空機は、果たして「安全」なのだろうか?。

型式証明を与えた規制当局にしても、最早、監査能力を欠いているといわれても仕方ない。

規制当局の権限は、政府を通じて、消費者から委託されているものだ。安全な製品の供給が果たせるように、消費者に成り代わって、強力な権限を行使する。

電気のことが分からないとか、細かいところはメーカー任せとか、そんなことではダメだ。今行われているような調査が、なぜ認定前に行われなかったのか。

それとも、何か目を瞑っていたところがあったのか。

2万時間を超えるテスト飛行の際に、バッテリーの不具合はなかったのか。テスト飛行の機体と、製造ラインにある機体で、何かが違っていたのではないか。

次々と沸き起こる疑問に、不安は募る一方だ。

(ボーイング787、"就航以来トラブルの連続"だった「夢の飛行機」:前編)
http://news.mynavi.jp/articles/2013/01/23/787/

(運行停止のボーイング787、トラブル集中の理由とは:後編)
http://news.mynavi.jp/articles/2013/01/23/787_2/

航空関係のライターである筆者は、夢よ、もう一度!と結んでいるが、そんなに甘い話にはならないのではないか。

最悪の事態を想定しておく必要があるような気がする。B787が二度と飛べないのではないか、ということをである。

たかが電気関係のトラブルで、とお思いの方が、特に航空関係の方には多いのではないか。

CCRや自動車もそうだが、今の工業製品は、電気がなければただのガラクタである。航空機などは、1ミリも動くことは出来ない。ましてや、B787は、電気機器の塊である。リンケージも油圧も圧縮空気もなく、ひたすら電気に頼って飛ぶのだ。

昔は主翼の設計が航空機のコアな技術であったかもしれないが、現代の航空機では、要素技術の一つに過ぎない(とはいえ、重要な技術ではある)。現代の航空機の核心は、制御システムそのものである。

最近の戦闘機などは、コンピューターの支援がないと、普通に飛ぶことが出来ない。墜落してしまう。B787も、動翼の制御はアクチュエーターを動かして行う。エンジンが停止した際の補助電源は、バッテリーからの供給に頼るしかない。そのバッテリーが燃えてしまえば、全ては終わり。

そう簡単にエンジンが止まることはないが、このエンジンもオイル漏れなどのトラブルを未だに起こしている。

既に、飛行機としての基本的なところで破綻しているのだ。不良とか、欠陥といった問題ではなく、飛んでいることが不思議なくらいだ(そこまで言うか?)。

いま、本当に明らかにしなければならないのは、個別の不具合の解決がどうなったかという問題ではない。

この飛行機を飛ばしていいのかどうか。

その確証を、どうやって得るのか。

メーカーと規制当局は、消費者(航空会社)に明確にすべきだろう。

さもないと、受注残の800機全てがキャンセルになる可能性がある。

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