富戸の水中2014年10月17日 08:50

富戸の水中
富戸の水中


昨日から水中地図作成と称して、またまた富戸に潜りにきた。

水温は21度から22度と、浮沈子にとっては信じられない温度である。

ファンダイビングのお客さんと潜っているのだが、(浮沈子の)エアの減りが早くてご迷惑をおかけしている。

まあ、それでも、50分くらい潜っている。

お客さんは、残圧90で、浮沈子は30!。

まあいい。

早くCCRが使えるようにならないかな。

ガイドさんからは、呼吸が速いといわれている。

そんなこといわれても、人様の2倍のガスを肺に送り込まなければ生きていけない浮沈子は、今さらどうしようもない。

CCRでの酸素消費量も、他のダイバーと比べて多いのだから、これはもう、どうしようもなかろう。

まあ、なるべくご迷惑にならないように、無駄な動きをせず、安定した呼吸に徹するしかない。

幸いなことに、富戸のヨコバマでは、概ね20m以内の深度である。

それ以上に深く潜ることは殆どない。

セブで潜っていたときは、減圧の練習ということもあり、20mというのは、ディリュエントの切り替えと、浮上の際の通過点という認識だった。

つまり、常用深度ではなかった。

深度に関係なく、酸素の消費がダイバーの基礎代謝と運動量にほぼ依存するCCRの場合、深度管理とガスの管理は別物という認識だったわけだ。

計画潜水の際のガスマネージメントは、基本的には事前に行う潜水計画に従う。

海況等によって、それに拠り難い場合も想定して、いくつかの、より保守的なパターンも用意しておく。

インスピの場合、ビジョンコンピューターに内蔵されている減圧コンピューターを頼りにしたことはない。

まあ、エキジットしてからシーリングをぶち破っていないかどうかを、データを落として確認する程度だ。

練習中の身の上なので、深度のコントロールが甘くなることを考慮して、少し保守的に計画していることもあり、今までに天井破りをしたことは1度もない。

インスピ内蔵のダイコンに依存するなどという、身の毛がよだつようなダイビングをする度胸は、浮沈子にはない。

CCRの能力をギリギリまで使うような、シビアなダイビングなら別だが、そんなヘンタイなダイビングは浮沈子には無縁だ。

ダイコンは、確かに便利だし、無謀なダイビングを抑止する効果は期待できるが、ダイバー固有の要素を反映してはくれないので、それに依存したダイビングを行うことは考え物だというのが浮沈子の立場だ。

標準的なダイバーをモデルにして、瞬間瞬間の不活性ガスの吸収を積分して、ギリギリの無限圧潜水時間を計算する。

そりゃあ、減圧ソフトで計算したプロファイルだって、かなりリスキーな要素があって、減圧症に対しては一定のヒットがある。

それを承知の上で使うわけだが、リアルタイムで積分した値というのは、計画段階での保守性を管理することが出来ない。

せいぜい、十分な無限圧潜水時間を残し、最終減圧に相当する安全停止を行ってお茶を濁すだけである。

実際のダイビングは、最大深度に留まる時間も、最大深度自体も、ギリギリまでは使わない。

若干の余裕を見て運用する。

レクリエーショナルだって、元々はそうしていたわけだし。

ダイコンが普及するようになって、積分した値を基にして、無限圧限界時間を管理するようになった。

そこには、ダイブテーブルを基にしたダイビングの隠れた保守性を引きずり出し、ギリギリまでダイビングさせようというあざとさがある。

PADIの主唱するマルチレベルダイビングとやらも、同じ趣旨のものだ。

その心は、より多くのダイビングをさせて、ダイバーに金を使わせようとするためのものである(って、そこまでいうかあ?)。

あざとい。

実に、あざとい。

それは、真実に近寄ると見せかけて、崖っぷちギリギリを歩かせるようなものだ。

ダイブテーブルや、計画潜水を行うための減圧ソフトが優れているという意味ではない。

それらは、内包する保守性が図らずもダイバーを守ってきたという点で、たまたまラッキーだったに過ぎない。

ダイコンやML(マルチレベルダイビング)には、その幸運は付属しない。

自分で管理し、意識して保守性を付加するしかない。

幸いなことに、浮沈子は、活性ガス(酸素)ベースでのガスの消費が早い。

特に、オープンサーキットでの潜水時間がエアの容量によって制約されることは、同じプロファイルでの保守性を(図らずも)担保していることになる。

よくある誤解としては、ガスの消費が少ないダイバーの方が減圧症になりにくいというものがある。

浮沈子は、そんなことはないと断言する。

肺胞の毛細血管を通じて行われる不活性ガスの吸収量は、肺胞の中を通過した分子数ではなく、肺胞内の圧力と時間の関数だからだ。

オープンサーキットで同じプロファイルで潜水した場合、タンクのガスの消費量に関係なく、肺を通じて血液に溶解する不活性ガスの量は等しい。

まあ、これには、肺胞全体の面積とか、肺から血液に溶け込む量の個人差を考慮する必要はあるが、ほぼ同じ体格であれば、同等と看做しても良い。

エアの消費量と、減圧症になりやすさの間には、理屈の上では直接の相関はないのである。

むしろ、ガス消費が少ないダイバーの方が長時間もぐれる分、逆にデコを出しやすいかもしれない(直接の関係はないですが)。

と、まあ、エアの消費が早いことを、何のかんのと理屈をつけてカバーしようとしても、別にそれでエア持ちが良くなるわけではない。

今日もメタリコンの10リッタータンクを背負って、落ち着いて呼吸しなきゃ、とか意識しながらまったりと潜ることになる。